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特開2024-69364車両用ヘッドアップディスプレイおよび車両用ヘッドアップディスプレイシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069364
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車両用ヘッドアップディスプレイおよび車両用ヘッドアップディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/23 20240101AFI20240514BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240514BHJP
   B60K 35/40 20240101ALI20240514BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60K35/23
G02B27/01
B60K35/40
H04N5/64 521Z
H04N5/64 501D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035592
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2021507350の分割
【原出願日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019051485
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019051486
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019051487
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 典子
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕平
(57)【要約】
【課題】透明カバーに塵や埃が積もりにくい車両用ヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】所定の画像を車両の乗員に向けて表示する車両用ヘッドアップディスプレイ(42)は、上方に開口したハウジング(422)と、ハウジング(422)の開口を覆う透明カバー(423)と、ハウジング(422)と透明カバーで形成される収容部(S1)の内部に設けられた、所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部(424)と、画像生成部(424)により出射された光がウインドシールド(18)へ照射されるように、光を反射させる反射部(428)と、を有する画像生成ユニットと、透明カバー(423)の外表面を清浄にするクリーナ(50)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された光をウインドシールドへ照射させる、少なくとも凹面鏡を含む反射部と、
前記画像生成部へ光が入射することを遮ることが可能なシェード部と、を有し、
前記シェード部は、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮る閉位置と、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮らない開位置と、に移動可能に設けられている、車両用ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記ヘッドアップディスプレイの電源OFF時に、前記シェード部が前記閉位置へ移動し、
前記ヘッドアップディスプレイの電源ON時に、前記シェード部が前記開位置へ移動するように構成されている、請求項1に記載の車両用ヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記画像生成部の温度を検出する温度センサまたは、太陽光の強度または前記画像生成部から出射される光の強度を測定する光センサの出力に応じて、前記シェード部が前記閉位置または前記開位置へ移動するように構成されている、請求項1に記載の車両用ヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記シェード部が前記閉位置へ移動している時に、ヘッドアップディスプレイの使用不可を知らせる報知手段が作動するように構成されている、請求項3に記載の車両用ヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記シェード部に太陽電池または畜光部材が設けられている、請求項1に記載の車両用ヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記畜光部材が設けられた前記シェード部は、前記凹面鏡よりも前記画像生成部に近い位置に設けられている、請求項5に記載の車両用ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ヘッドアップディスプレイおよび車両用ヘッドアップディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、透明な表示媒体を用いて立体的な虚像を表示するための光学系を備えるヘッドアップディスプレイを開示している。このヘッドアップディスプレイは、ウインドシールド上で、運転手の視界内に光を投射する。投射された光の一部はウインドシールドを透過するが、他の一部はウインドシールドに反射される。この反射光は運転者の目に向かう。運転者は、目に入ったその反射光を、ウインドシールド越しに見える実在の物体を背景に、ウインドシールドを挟んで反対側(自動車の外側)にある物体の像のように見える虚像として知覚する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2018-45103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにウインドシールドに画像を表示させるヘッドアップディスプレイにおいて、透明カバーは上面を向いた状態で設置されている。透明カバーに塵や埃が積もるとウインドシールドへ適切に画像を表示させることができない。
本発明は、透明カバーに塵や埃が積もりにくい車両用ヘッドアップディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係る車両用ヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
上方に開口したハウジングと、
前記ハウジングの開口を覆う透明カバーと、
前記ハウジングと前記透明カバーで形成される収容部の内部に設けられた、前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、前記画像生成部により出射された光がウインドシールドへ照射されるように、前記光を反射させる反射部と、を有する画像生成ユニットと、
前記透明カバーの外表面を清浄にするクリーナを有する。
【0006】
本発明の一側面に係る車両用ヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された光をウインドシールドへ照射させる、少なくとも凹面鏡を含む反射部と、
前記画像生成部へ光が入射することを遮ることが可能なシェード部と、を有し、
前記シェード部は、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮る閉位置と、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮らない開位置と、に移動可能に設けられている。
【0007】
本発明の一側面に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステムは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成された車両用ヘッドアップディスプレイシステムであって、
車載センサから取得した情報に基づいて対象物を検出し、前記対象物の位置を特定する検出部と、
前記対象物が、運転者の死角の外に位置するか否かを判断する判断部と、
前記死角内に前記対象物があると前記判断部が判断した信号を取得したら、前記対象物を示す画像を生成して表示部に表示させる画像出力部を有する。
【0008】
本発明の一側面に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステムは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成された車両用ヘッドアップディスプレイシステムであって、
前記車両の周囲の情報を取得するカメラと、
前記カメラから取得した画像を表示するウインドシールドまたはコンバイナと、
車載センサから取得した情報に基づいて対象物を検出し、前記対象物の位置を特定する検出部と、
前記対象物が、前記カメラから視認できない領域に位置するか否かを判断する判断部と、
前記カメラから視認できない領域に前記対象物があると前記判断部が判断した信号を取得したら、前記対象物を示す画像を生成して前記ウインドシールドまたは前記コンバイナに表示させる画像出力部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、透明カバーに塵や埃が積もりにくい車両用ヘッドアップディスプレイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)を備えた車両用システムのブロック図である。
図2】本実施形態に係るHUDの模式図である。
図3】HUDの上面図である。
図4】第二実施形態に係るHUDの模式図である。
図5】閉状態のカバー部材を示す図4と同様の図である。
図6】第二実施形態の変形例に係るHUDの図4と同様の図である。
図7】本発明の第三実施形態に係るHUDシステムを備えた車両用システムのブロック図である。
図8】第三実施形態に係るHUDの模式図である。
図9】車両が二つの建物の間から前方の道路へ進入しようとしている様子を上方から見た図である。
図10】HUDシステムが実行するフローチャートである。
図11】HUDにより画像が表示されるウインドシールドを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図2に示すHUD(Head-Up Display)42について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。左右方向は、図2では示されていないが、上下方向及び前後方向に直交する方向である。
【0013】
最初に、図1を参照して、本実施形態に係る車両システム2について以下に説明する。図1は、車両システム2のブロック図である。当該車両システム2が搭載された車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0014】
図1に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、車両用表示システム4(以下、単に「表示システム4」という。)と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7とを備える。さらに、車両システム2は、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11と、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
【0015】
車両制御部3は、車両の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及びTPU(Tensor Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0016】
表示システム4は、ヘッドランプ20と、路面描画装置45と、HUD42と、表示制御部43とを備える。
【0017】
ヘッドランプ20は、車両の前面における左側と右側に配置されており、ロービームを車両の前方に照射するように構成されたロービームランプと、ハイビームを車両1の前方に照射するように構成されたハイビームランプとを備える。ロービームランプとハイビームランプの各々は、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の1以上の発光素子と、レンズ及びリフレクタ等の光学部材を有する。
【0018】
路面描画装置45は、ヘッドランプ20の灯室内に配置されている。路面描画装置45は、車両の外部の路面に向けて光パターンを出射するように構成されている。路面描画装置45は、例えば、光源部と、駆動ミラーと、レンズやミラー等の光学系と、光源駆動回路と、ミラー駆動回路とを有する。光源部は、レーザ光源又はLED光源である。例えば、レーザ光源は、赤色レーザ光と、緑色レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。駆動ミラーは、例えば、MEMS(MicroElectro Mechanical Systems)ミラー、DMD(Digital Mirror Device)、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等である。光源駆動回路は、光源部を駆動制御するように構成されている。
光源駆動回路は、表示制御部43から送信された所定の光パターンに関連する信号に基づいて、光源部の動作を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を光源部に送信するように構成されている。
ミラー駆動回路は、駆動ミラーを駆動制御するように構成されている。ミラー駆動回路は、表示制御部43から送信された所定の光パターンに関連する信号に基づいて、駆動ミラーの動作を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を駆動ミラーに送信するように構成されている。光源部がRGBレーザ光源である場合、路面描画装置45は、レーザ光を走査することで様々の色の光パターンを路面上に描画することが可能となる。例えば、光パターンは、車両の進行方向を示す矢印形状の光パターンであってもよい。
【0019】
また、路面描画装置45の描画方式は、ラスタースキャン方式、DLP(Digital Light Processing)方式又はLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式であってもよい。DLP方式又はLCOS方式が採用される場合、光源部はLED光源であってもよい。また、路面描画装置の描画方式として、プロジェクション方式が採用されてもよい。プロジェクション方式が採用される場合、光源部は、マトリクス状に並んだ複数のLED光源であってもよい。路面描画装置45は、左右のヘッドランプの灯室内にそれぞれ配置されてもよいし、車体ルーフ上、バンパーまたはグリル部に配置されてもよい。
【0020】
HUD42は、少なくとも一部が車両の内部に位置する。具体的には、HUD42は、車両の室内の所定箇所に設置されている。例えば、HUD42は、車両のダッシュボード内に配置されてもよい。HUD42は、車両と乗員との間の視覚的インターフェースとして機能する。HUD42は、所定の情報(以下、HUD情報という。)が車両の外部の現実空間(特に、車両の前方の周辺環境)と重畳されるように当該HUD情報を乗員に向けて表示するように構成されている。このように、HUD42は、AR(Augmented Reality)ディスプレイとして機能する。HUD42によって表示されるHUD情報は、例えば、車両の走行に関連した車両走行情報及び/又は車両の周辺環境に関連した周辺環境情報(特に、車両の外部に存在する対象物に関連した情報)である。
【0021】
図2に示すように、HUD42は、HUD本体部420を備えている。HUD本体部420は、ハウジング422と出射窓423を有する。出射窓423は可視光を透過させる透明板である。HUD本体部420は、ハウジング422の内側に、画像生成部(PGU:Picture Generation Unit)424と、制御基板(制御部の一例)425と、レンズ426と、スクリーン427と、凹面鏡(反射部の一例)428とを有する。
【0022】
画像生成部424は、光源と、光学部品と、表示デバイスとを有する。光源は、例えば、レーザ光源又はLED光源である。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑光レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光学部品は、プリズム、レンズ、拡散板、拡大鏡等を適宜有する。表示デバイスは、液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)等である。画像生成部424の描画方式は、ラスタースキャン方式、DLP方式又はLCOS方式であってもよい。DLP方式又はLCOS方式が採用される場合、HUD42の光源はLED光源であってもよい。なお、液晶ディスプレイ方式が採用される場合、HUD42の光源は白色LED光源であってもよい。
【0023】
制御基板425は、画像生成部424、レンズ426、スクリーン427の動作を制御するように構成されている。制御基板425は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリが搭載され、メモリから読みだしたコンピュータプログラムをプロセッサが実行して、画像生成部424、レンズ426、スクリーン427の動作を制御する。制御基板425は、表示制御部43から送信された画像データに基づいて、画像生成部424の動作を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を画像生成部424に送信するように構成されている。また、制御基板425は、表示制御部43から送信された画像データに基づいて、レンズ426、スクリーン427の位置を調整するための各制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号をそれぞれレンズ426、スクリーン427に送信するように構成されている。また、制御基板425は、凹面鏡428の向きを変更するように制御してもよい。
【0024】
レンズ426は、画像生成部424から出射された光の光路上に配置されている。レンズ426は、例えば凸レンズを含み、画像生成部424により生成された画像を所望の大きさでスクリーン427に投影するように構成されている。また、レンズ426は、駆動部を含み、制御基板425により生成された制御信号により短時間の応答速度で平行移動して画像生成部424との距離を変更できるように構成されている。
【0025】
スクリーン427は、画像生成部424から出射された光の光路上に配置されている。画像生成部424から出射された光がレンズ426を透過してスクリーン427上に投影される。また、スクリーン427は、駆動部を含み、制御基板425により生成された制御信号により短時間の応答速度で平行移動して画像生成部424及びレンズ426との距離を変更できるように構成されている。
なお、画像生成部424が、レンズ426とスクリーン427とを内包していてもよい。また、レンズ426およびスクリーン427が設けられていなくてもよい。
【0026】
凹面鏡428は、画像生成部424から出射された光の光路上に配置されている。凹面鏡428は、画像生成部424により出射されてレンズ426及びスクリーン427を透過した光をウインドシールド18に向けて反射する。凹面鏡428は、虚像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、スクリーン427上に結像した光の像を所定の倍率で反射させる。
【0027】
HUD本体部420から出射された光は、ウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に照射される。次に、HUD本体部420からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部420から出射された光(所定の画像)をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成された虚像として認識する。このように、HUD42によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0028】
また、虚像オブジェクトIの距離(乗員の視点Eから虚像までの距離)は、レンズ426及びスクリーン427の位置を調整することによって適宜調整可能である。虚像オブジェクトIとして2D画像(平面画像)を形成する場合には、所定の画像を任意に定めた単一距離の虚像となるように投影する。虚像オブジェクトIとして3D画像(立体画像)を形成する場合には、互いに同一または互いに異なる複数の所定の画像をそれぞれ異なる距離の虚像となるように投影する。
【0029】
表示制御部43は、路面描画装置45、ヘッドランプ20及びHUD42の動作を制御するように構成されている。表示制御部43は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、CPU、MPU、GPU及びTPUのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。
【0030】
本実施形態では、車両制御部3と表示制御部43は、別個の構成として設けられているが、車両制御部3と表示制御部43は一体的に構成されてもよい。この点において、表示制御部43と車両制御部3は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。また、表示制御部43は、ヘッドランプ20と路面描画装置45の動作を制御するように構成された電子制御ユニットと、HUD42の動作を制御するように構成された電子制御ユニットの2つの電子制御ユニットによって構成されてもよい。また、HUD42の動作を制御する制御基板425が表示制御部43の一部として構成されていてもよい。
【0031】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサのうち少なくとも一つを含む。センサ5は、車両の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
【0032】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、一以上の外部カメラ6Aと、内部カメラ6Bとを含む。外部カメラ6Aは、車両の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を取得する。ここで、周辺環境情報は、車両の外部に存在する対象物(歩行者、他車両、標識等)に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。外部カメラ6Aは、単眼カメラとしても構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。
【0033】
内部カメラ6Bは、車両の内部に配置されると共に、乗員を示す画像データを取得するように構成されている。内部カメラ6Bは、乗員の視点Eをトラッキングするトラッキングカメラとして機能する。ここで、乗員の視点Eは、乗員の左目の視点又は右目の視点のいずれかであってもよい。または、視点Eは、左目の視点と右目の視点を結んだ線分の中点として規定されてもよい。表示制御部43は、内部カメラ6Bによって取得された画像データに基づいて、乗員の視点Eの位置を特定してもよい。乗員の視点Eの位置は、画像データに基づいて、所定の周期で更新されてもよいし、車両の起動時に一回だけ決定されてもよい。
【0034】
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ及びレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)のうちの少なくとも一つを含む。例えば、LiDARユニットは、車両の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニットは、車両の周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて、周辺環境情報を特定する。
【0035】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(HUDを除く)である。GPS9は、車両の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0036】
無線通信部10は、車両の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器とアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両は、図示しない通信ネットワークを介して他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と通信してもよい。通信ネットワークは、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及び無線アクセスネットワーク(RAN)のうちの少なくとも一つを含む。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0037】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2次元又は3次元の地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10と通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0038】
車両が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両の走行は車両システム2により自動制御される。
【0039】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両の走行は運転者により制御される。
【0040】
次に、車両の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両を運転する。
【0041】
このように、本実施形態のHUD42は、車両1に設けられ、所定の画像を車両1の乗員に向けて表示するように構成されている。HUD42は、上方に開口したハウジング422と、ハウジング422の開口を覆う出射窓423(透明カバー)と、ハウジング422と出射窓423で形成される画像形成室S1(収容部)の内部に設けられた、所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部424と、画像生成部424により出射された光がウインドシールド18へ照射されるように、光を反射させる反射部428と、を有する画像生成ユニットを備えている。
【0042】
本実施形態のHUD42はさらに、出射窓423の外表面を清浄にするクリーナ50を有している。このクリーナ50について、図2および図3を用いて説明する。なお図2における左側がウインドシールド18側であり、右側が運転席側である。図3は、HUD42の上面図である。
【0043】
本実施形態のクリーナ50は、出射窓423の外表面に空気を吹き付ける送風機構である。本実施形態のクリーナ50は、空気を連続的に送り出すエアブロワである。クリーナ50は、送風装置51と、ノズル52と、導風管53とを備えている。送風装置51は、整流部54と、羽根車55と、モータ56を備えている。送風装置51で生じた気流が導風管53を介してノズル52まで導かれ、ノズル52から出射窓423の外表面に空気が吹き付けられる。
【0044】
送風装置51はハウジング422の内部に設けられている。整流部54は、画像生成部424や凹面鏡428などが設けられている画像形成室S1とは隔壁429により隔てられている。整流部54には、羽根車55および回転軸部が設けられている。整流部54と外部とを隔てるハウジング422の壁には、外部から整流部54へ空気を取り込む取込口57が設けられている。
【0045】
羽根車55は、整流部54に回転可能に支持されている。羽根車55の回転軸部は、ハウジング422の壁に支持されている。羽根車55の回転軸部はモータ56の出力軸と連結されている。モータ56が駆動すると羽根車55が回転する。羽根車55によって空気は遠心力によって回転軸部から遠ざかるように流れ、整流部54に押し付けられた空気は整流部54の内壁に沿って整流され、整流された空気は導風管53を通ってノズル52から排出される。また、取込口57から新たな空気が整流部54に流れ込む。
【0046】
ところで、HUD42はウインドシールド18に下方から光を照射するため、出射窓423の外表面は上方に面している。このため、出射窓423の外表面には埃や塵などの汚れが堆積しやすい。また、出射窓423は、運転席から遠いウインドシールド18と車両1のダッシュボードの間の狭い空間に面している。このため、出射窓423の近傍に空気の流れが生じにくく、さらに汚れが堆積しやすい。
さらに、この出射窓423はウインドシールド18に近い位置、つまり、運転席から遠い位置に設けられることが多いため、乗員が出射窓423に汚れが堆積していることに気が付きにくい。また、運転席から遠い位置にあるため、乗員が出射窓423を清浄にしようとする意志が働きにくい。
出射窓423に汚れが堆積したままであると、凹面鏡428で反射した光が出射窓423上の汚れで遮られあるいは乱反射し、所望の光強度でウインドシールド18に表示することができない。
【0047】
本発明者は、このようにHUD42の出射窓423に汚れが堆積しやすく、かつ、堆積した汚れを除去する機会が少ないことに気が付いた。そこで、HUD42に、出射窓423の外表面を清浄にするクリーナ50を組み込むことを発想した。HUD42にクリーナ50が組み込まれているため、クリーナ50を作動させることで汚れを除去することができ、所望の光強度でウインドシールド18に所望の画像を表示し続けることができる。
【0048】
本実施形態において、クリーナ50は、出射窓423の外表面に向かって空気を吹き付ける送風機構である。クリーナ50として、送風機構の他にブラシやワイパなど汚れと接触して汚れを除去する機構も知られている。しかしながら、ブラシやワイパは、泥や水など比較的重い異物を除去するのに適しているが、出射窓423には埃などの比較的軽い異物が堆積する。送風機構は軽い異物を除去するのに適しているため、送風機構はHUD42に搭載するのに適している。
【0049】
なおクリーナ50は、非容積式や、上述した実施形態の容積式の空気を送るファンを用いることができる。あるいはクリーナ50は、上述した実施形態のように連続的に一定量の空気を送るファンを用いることができるし、主観的に高圧の空気を出射窓423に吹き付ける機構を用いることができる。さらには、クリーナ50として、ブラシやワイパなどを有して、出射窓423の外表面の汚れを接触して除去する機構を用いることもできる。
【0050】
本実施形態において、クリーナ50は、運転席側からウインドシールド18側に向かうように出射窓423の外表面に空気を吹き付ける。クリーナ50から吹き付けられた空気によって埃が運転席側に運ばれにくい。
【0051】
本実施形態において、出射窓423は、運転席側とウインドシールド18側との間に谷部Vが設けられた凹曲面形状である。クリーナ50はこの谷部Vに向かって空気を吹き付けるように構成されている。
汚れは谷部Vに堆積しやすい。また谷部Vは、出射窓423のうち運転席側とウインドシールド18側との中間に位置することが多く、凹面鏡428で反射された光が通過することが多い領域である。クリーナ50がこのような谷部Vに向かって空気を吹き付けるように構成されているため、より効果的にHUD42による表示を良好に維持しやすい。
【0052】
本実施形態において、クリーナ50は、複数のノズル52と、ノズル52から空気を送り出す送風装置51と、送風装置51と複数のノズル52とを接続する導風管53とを備えている。
ところでウインドシールド18は、車両1の左右寸法が車両1の高さ寸法よりも長い扁平な長方形である。このウインドシールド18に向けて光を照射するため、HUD42の出射窓423も車両1の左右寸法が車両1の前後寸法よりも長い扁平な長方形であることが多い。
図3に示したように、このような出射窓423の形状に合わせて、本実施形態においては、車両1の左右方向に沿って複数のノズル52が設けられている。この複数のノズル52に向けて単一の送風装置51で空気を送り込んでいるため、出射窓423の全面を清浄可能としつつHUD42の大型化が抑制されている。
【0053】
本実施形態においてクリーナ50は、車両1の電源のON時に作動するように構成されている。
図3に示したように、クリーナ50のモータ56は、車両1のイグニッションスイッチEGと接続されている。車両のイグニッションスイッチEGがONとなったときに、クリーナ50が作動するように構成されている。
HUD42は運転席から遠い位置に配置されることが多く、乗員が出射窓423に汚れが堆積していることに気が付きにくい。そこで、車両1の電源がONとなった時に併せてクリーナ50も作動するように構成することにより、乗員がわざわざクリーナ50を操作しなくても、車両1の運転の開始時に出射窓423を清浄にすることができる。
【0054】
なおイグニッションスイッチEGがONとなった後イグニッションスイッチEGがOFFとなるまでクリーナ50を作動させ続けるようにクリーナ50を構成してもよい。あるいは、イグニッションスイッチEGがONとなった後に所定時間が経過したらクリーナ50をOFFにするように構成してもよい。
【0055】
あるいは、イグニッションスイッチEGがONとなったと同時にクリーナ50をONにしてもよいし、イグニッションスイッチEGがONとなった時から所定時間が経過した後にクリーナ50をONにしてもよい。さらにはクリーナ50がONとなった時から所定時間が経過した後に再びクリーナ50をONにしてもよい。
【0056】
あるいはクリーナ50は、ハウジング422の内部に設けられ、凹面鏡428(反射部)から出射した光の出射窓423での反射に基づいて出射窓423の汚れ度合いを判定する汚れセンサ58に出力に応じて作動するように構成されていてもよい。
【0057】
図3に示したように、汚れセンサ58はハウジング422の画像形成室S1の内部に設けられている。汚れセンサ58は、光センサである。出射窓423に汚れが付着していると、凹面鏡428から出射した光がこの汚れによって反射される。つまり汚れの付着量が多いほど、出射窓423からの反射光の光強度が大きくなる。汚れセンサ58はこの出射窓423からの反射光の光強度を取得し、光強度に応じた電気信号を出力する。これにより、汚れの付着度合いを推定することができる。そこでクリーナ50は、汚れセンサ58の出力に応じてモータ56をONにするように構成されている。具体的には、汚れセンサ58からの出力が所定値を超えたときに、モータ56をONにするように構成されている。
【0058】
このような構成によれば、常時クリーナ50を作動させることがなく、汚れ度合いが大きくなったときにクリーナ50を作動させることができる。例えば送風機構として上記実施形態のようにエアブロワを採用した場合には、乗員はエアブロワの作動音がうるさいと感じるときがある。汚れ度合いが大きいときにのみクリーナ50が作動するので、乗員の精神的な負担を軽減できる。
【0059】
またクリーナ50を作動後も汚れセンサ58から出射窓423が所定の程度以上汚れていることを示す信号を取得したときに、インジケータ59(報知手段)が作動するように構成されていてもよい。
【0060】
クリーナ50作動後も汚れセンサ58の出力が所定値を超えているときに、図4に示したように、クリーナ50に設けられたインジケータ59が点灯するように構成してもよい。汚れが出射窓423に固着してしまった場合など、クリーナ50を作動させても汚れを除去できないこともある。この場合には、乗員に汚れが除去できないことを知らせて、乗員に出射窓423が汚れていることを通知する。
【0061】
なお、上述した実施形態では、反射部が凹面鏡428のみを備える構成を説明したが、反射部が凹面鏡428と平面鏡とを備えた構成としてもよい。画像生成部424から出射された光が、レンズ426、スクリーン427を通過した後に平面鏡で反射され、平面鏡で反射された光が凹面鏡428に入射するように構成してもよい。このような構成によれば、光の経路の設計自由度を高められるため、HUD42をコンパクトに構成しやすい。
【0062】
<第二実施形態>
ところで、特許文献1のヘッドアップディスプレイに太陽光が入射する際には、太陽光は凹面鏡を介して画像生成部に集光してしまう。すると画像生成部に熱が生じて、画像生成部が劣化してしまう恐れがある。
そこで本発明の第二実施形態は、画像生成部の劣化を抑制することができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【0063】
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された光をウインドシールドへ照射させる、少なくとも凹面鏡を含む反射部と、
前記画像生成部へ光が入射することを遮ることが可能なシェード部と、を有し、
前記シェード部は、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮る閉位置と、
前記画像生成部と前記凹面鏡との間の光路を遮らない開位置と、に移動可能に設けられている。
【0064】
本実施形態のヘッドアップディスプレイの基本的な構成は、上述した第一実施形態のヘッドアップディスプレイと同様である。そこで、同様の構成部材には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施形態のHUD42は、車両1に設けられ、所定の画像を車両1の乗員に向けて表示するように構成されている。HUD42は、上方に開口したハウジング422と、ハウジング422の開口を覆う出射窓423(透明カバー)と、ハウジング422と出射窓423で形成される画像形成室S1(収容部)の内部に設けられた、所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部424と、画像生成部424により出射された光がウインドシールド18へ照射されるように、光を反射させる反射部428と、を有する画像生成ユニットを備えている。
【0066】
本実施形態のHUD42はさらに、カバー部材60を備えている。このカバー部材60は、画像生成部424へ光が入射することを遮ることが可能なシェード部62を備えている。このカバー部材60について、図4図5を用いて説明する。図4は、開位置のシェード部62を示している。図5は、閉位置のシェード部62を示す図4と同様の図である。
【0067】
本実施形態のカバー部材60は、回転軸部61と、シェード部62と、モータ63とを備えている。回転軸部61はモータ63の出力軸と連結されている。回転軸部61は車両1の左右方向(図4の紙面に垂直方向)に延びている長尺の部位である。シェード部62は板状の部位である。シェード部62は、その一端が回転軸部61に固定され、回転軸部61の径方向に延びている。本実施形態においてシェード部62は、凹面鏡428とスクリーン427との間に設けられている。
【0068】
本実施形態のシェード部62は、モータ63によって回転軸部61を回転させることにより、画像生成部424と凹面鏡428との間の光路を遮る閉位置(図5に示した位置)と、画像生成部424と凹面鏡428との間の光路を遮らない開位置(図4に示した位置)と、に移動可能である。
【0069】
ところで、図4の線Sで示したように太陽光がHUD42の内部に入射することがある。このとき、太陽光は出射窓423から入射して凹面鏡428で集光されながら反射され、スクリーン427やレンズ426を経て、画像生成部424に入射する。画像生成部424は、液晶素子や発光素子、あるいはDMD素子などを備えている。これらの素子は熱によって劣化しやすい性質を持っている。このため、太陽光が画像生成部424の素子に入射してしまうと画像生成部424を劣化させてしまう恐れがある。特に太陽光は凹面鏡428で集光されているため、画像生成部424にはエネルギー密度の高い状態で入射し、画像生成部424に熱を生じさせやすい。
【0070】
本実施形態のHUD42によれば、シェード部62は閉位置と開位置とに移動可能である。このため、太陽光が画像生成部424に入射するような場合にシェード部62を閉位置に移動させることにより、太陽光が画像生成部424に入射することを阻止し、太陽光によって画像生成部424が加熱されることを阻止することができる。
シェード部62はハウジング422の内部に設けられる。シェード部62を開位置と閉位置とに移動可能にするために、シェード部62の可動領域をハウジング422の内部で大きく確保しなければならない。しかしながら、本実施形態のシェード部62は画像生成部424と凹面鏡428との間に位置している。凹面鏡428で反射された太陽光は集光されているため、この位置にシェード部62を設けることにより太陽光を遮るために要する面積が小さくなる。小さいシェード部62で効率的に太陽光を遮ることができるため、シェード部62の可動領域も小さくできる。このため、カバー部材60をハウジング422の内部に設けても、HUD42が大型化しにくい。
このように、本実施形態のHUD42によれば、大型化を抑制しつつ、太陽光によって画像生成部424が加熱されることが阻止されている。
【0071】
本実施形態において、HUD42の電源OFF時にシェード部62が閉位置へ移動し、HUD42の電源ON時に、シェード部62が開位置へ移動するように構成されている。
図4に示したように、本実施形態においてモータ63はHUD42の電源スイッチSWと接続されている。また、シェード部62はコイルスプリング64の一端と接続されている。コイルスプリング64の他端はハウジング422の内壁に固定されている。モータ63に通電すると、コイルスプリング64の弾性力に抗してシェード部62が反時計方向に回転し、開位置に移動する。モータ63への通電を停止すると、コイルスプリング64の弾性力によってシェード部62は時計方向に回転し、ハウジング422に固定されたストッパ65によってそれ以上の時計方向の移動が阻止されて閉位置に移動する。
【0072】
このように、本実施形態のHUD42において、HUD42の電源OFF時に画像生成部424への太陽光の入射が阻止されているため、車両の不使用時などHUD42の不使用時に画像生成部424が太陽光によって加熱されることが阻止されている。また、HUD42の使用時にはシェード部62が開位置に移動されるので、HUD42の使用を妨げない。
また本実施形態のHUD42によれば、コイルスプリング64とストッパ65によって閉位置を維持することができるため、HUD42の非使用時にエネルギーを消費することなく閉位置を維持することができる。
【0073】
図6は、本発明の変形例に係るHUD42の図4と同様の図である。
図6に示したように、画像生成部424の温度を検出する温度センサ66または、太陽光の強度または画像生成部424から出射される光の強度を測定する光センサ67の出力に応じて、シェード部62が閉位置または開位置へ移動するように構成されていてもよい。
【0074】
図6に示したように、温度センサ66や光センサ67は、画像生成部424内あるいはハウジング422内部に設けることができる。モータ63は、モータ制御部531に接続されている。モータ制御部531によってモータ63の動作が制御される。モータ制御部531は、温度センサ66や光センサ67の出力に応じてモータ63を駆動するように構成してもよい。このような構成によれば、画像生成部424に所定強度以上の光が入射して加熱されようとしているとき、あるいは、画像生成部424が所定温度以上となっているときに、画像生成部424へのそれ以上の太陽光の入射を遮ることができる。
【0075】
このように構成した場合、シェード部62が閉位置へ移動している時に、HUD42の使用不可を知らせる報知手段68が作動するように構成されていることが好ましい。図6に示した例では、報知手段68はインジケータである。インジケータ68を点灯させることにより、HUD42の使用不可を知らせる。
シェード部62が閉位置移動している時は、HUD42を作動させようとすると画像生成部424に太陽光が入射してしまうので、HUD42を作動させることが好ましくない。このような場合に、本変形例のHUD42によれば報知手段68により乗員に使用不可であることを知らせることができる。
【0076】
本変形例において、シェード部62に蓄光部材69が設けられている。この蓄光部材69は、シェード部62が閉位置に位置する時に、集光された太陽光が入射する。このため、蓄光部材69は効率よく光のエネルギーを蓄積することができる。蓄光部材69は、シェード部62が開位置に位置するときに発光してHUD42の装飾性を高めることができる。なお、蓄光部材69の代わりに/または追加して太陽電池をシェード部62に設けてもよい。
【0077】
本変形例において、蓄光部材69および/または太陽電池が設けられたシェード部62は、凹面鏡428よりも画像生成部424に近い位置に設けられていることが好ましい。凹面鏡428から遠くに位置するほど、太陽光の集光の度合いが高まる。蓄光部材69および/または太陽電池が凹面鏡428よりも画像生成部424に近い位置に設けられていると、より集光の度合いが高い太陽光を受けることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、反射部が凹面鏡428のみを備える構成を説明したが、反射部が凹面鏡428と平面鏡とを備えた構成としてもよい。画像生成部424から出射された光が、レンズ426、スクリーン427を通過した後に平面鏡で反射され、平面鏡で反射された光が凹面鏡428に入射するように構成してもよい。このような構成によれば、光の経路の設計自由度を高められるため、HUD42をコンパクトに構成しやすい。
【0079】
また、上述した実施形態では、シェード部が回転により開位置と閉位置とに移動する構成を説明したが、本発明はこの例に限られない。シェード部は、開位置と閉位置とを平行移動する板状の部材としても構成できる。あるいはシェード部は、開位置に位置するときは折り畳まれており、閉位置に位置するときに展開するような部材としても構成できる。
【0080】
また、上述した実施形態では、画像生成部から出射した光が反射部で反射され、ウインドシールドに入射する構成を説明したが、本発明はこれに限られない。画像生成部から出射した光が反射部で反射され、ウインドシールドとは異なるコンバイナに入射する構成を採用してもよい。コンバイナで画像を表示させる構成であっても、上述したように太陽光が反射部で集光されて画像生成部に入射する恐れがある。本発明によれば、シェード部によって画像生成部を保護することができる。
【0081】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態は、より有用な情報を提供する車両用ヘッドアップディスプレイシステムを提供する。
本実施形態のヘッドアップディスプレイの基本的な構成は、上述した第一実施形態のヘッドアップディスプレイと同様である。そこで、同様の構成部材には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0082】
図7は、本実施形態に係るHUDシステム70を含む車両システム2Aのブロック図である。図7に示したように、本実施形態に係るHUDシステム70は、光源ユニット21とLiDAR5とカメラ6を有するヘッドランプ20と、HUD42と、表示制御部43を含んでいる。
【0083】
図8は、本実施形態のHUD42の模式図である。図8に示したように、本実施形態のHUD42は、車両1に設けられ、所定の画像を車両1の乗員に向けて表示するように構成されている。HUD42は、上方に開口したハウジング422と、ハウジング422の開口を覆う出射窓423(透明カバー)と、ハウジング422と出射窓423で形成される画像形成室S1(収容部)の内部に設けられた、所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部424と、画像生成部424により出射された光がウインドシールド18へ照射されるように、光を反射させる反射部428と、を有する画像生成ユニットを備えている。
【0084】
図9は、車両1が二つの建物の間から前方の道路へ進入しようとしている様子を上方から見た図である。図9に示したように、センサ5やカメラ6は、運転席とは異なる位置に設けられている。本実施形態においては、LiDAR5とカメラ6がヘッドランプ20に設けられている。このようにLiDAR5とカメラ6が運転席とは異なる位置に設けられているため、LiDAR5とカメラ6の視野は、運転者の視野と異なっている。このため、図9に示したように、物体AはLiDAR5とカメラ6と運転者から視認されるが、物体BはLiDAR5とカメラ6には視認されているが運転者からは視認されない。
【0085】
具体的には、ヘッドランプ20は運転席よりも前方に設けられている。このため、LiDAR5とカメラ6は物体Bを建物C1で遮られずに捉えることができるが、運転者からは建物C1で遮られてしまい物体Bを認識することができない。
そこで本実施形態のHUDシステム70によれば、図10に示した処理を実行することにより、運転者から認識できない物体BをHUD42で表示することにより、運転者に知らせることができる。図10は、本実施形態に係るHUD42を制御する表示制御部43が実行するフローチャートである。図10に示した処理は、図9に示したシチュエーションで実行される。図10に示した処理は表示制御部43により実行される。表示制御部43は、特に、以降で説明するステップS04を実行する判断部431と、ステップS06を実行する画像出力部432と、を備えている(図7参照)。
【0086】
まず表示制御部43は、LiDAR5とカメラ6からセンシングしたデータを取得する(ステップS01)。次に表示制御部43は、LiDAR5とカメラ6から取得したデータに基づき、HUD42で表示すべき物体があるか否かを判定する(ステップS02)。表示すべき物体とは、運転者に注意を喚起すべき、歩行者や自転車、自動車などである。以降の説明において、表示すべき物体のことを対象物と呼ぶ。対象物がないと判定すると(ステップS02:No)、表示制御部43は再びステップS01に戻る。
【0087】
対象物があると判定した場合(ステップS02:Yes)、表示制御部43はLiDAR5とカメラ6から取得したデータに基づき対象物の位置を特定する(ステップS03)。例えば、LiDAR5の出力には、検出対象の方位角と立体角と距離のデータが含まれている。このため、LiDAR5の出力から対象物の位置を特定することができる。あるいは、カメラ6が2つの異なる位置に設けられた撮像素子を有したステレオカメラの場合には、双方の撮像素子から作成した画像を比較することにより、対象物の位置を特定することができる。
【0088】
次に表示制御部43は、対象物が運転者の死角にあるか否かを判定する(ステップS04)。運転者の死角とは、正確には、運転者の目を起点として定義される領域である。しかしながら、本実施形態では、運転者の死角を、運転席のヘッドレストの中心位置から所定距離前方の仮想的な点を起点として定義している。このように定義することにより、表示制御部43は運転者の死角を、運転者の頭の高さや顔の向きの変動によらず、固定された点から広がる領域として扱うことができる。本実施形態において、運転者の死角の起点を表す情報は、メモリに読み出し可能に記録された固定値である。
【0089】
前方に障害物が無い場合、運転者の死角は、この仮想的な起点と、車両1のフロントピラーなどの車両1の構造物に基づいて決定される。また、表示制御部43が、建物や塀、樹木、あるは他の車両1などのそれより先が見通せず、かつ、一定の面積を有する障害物が前方に出現したと判断したときに、これらの障害物を考慮して運転者の死角を再計算する。前方に障害物が現れると、起点からこれらの障害物を通る直線群により形成される領域のうち、障害物の起点とは反対側の領域が死角として新たに追加される。このようにして逐次計算される運転者の死角情報が、ステップS04に用いられる。
【0090】
表示制御部43は、運転者の死角を読み出し、この領域内に対象物が位置しているか否かを判定する。対象物が運転者の死角内に位置していないと判定すると(ステップS04:No)、表示制御部43は通常の方法で対象物を表示する(ステップS05)。
【0091】
例えば表示制御部43は、HUD42によって、図9に示した物体Aを強調するように通常の方法で表示する。図11は、HUD42により画像が表示されるウインドシールド18を示している。図11には、前方の左方に建物C1、前方の右方に建物C2が、それぞれウインドシールド18を介して見える様子が描かれている。図11に示したように例えば、物体A(歩行者)が運転者の注意を引きやすいように、表示制御部43はHUD42に物体Aを囲む赤い枠A’を表示させる。このように、通常の方法で表示するとは、既に運転者から見えている対象物を強調する画像を表示することを言う。通常の方法の表示とは、赤い枠A’を表示することに限られず、他の色を使ってもよいし、枠以外の表示を行ってもよい。もっとも、対象物は既に運転者が視認されているのだから、表示制御部43は、対象物そのものを示す画像を表示することはない。
【0092】
一方、対象物が運転者の死角外に位置していると判定すると(ステップS04:Yes)、表示制御部43は、対象物を示す画像を生成しウインドシールド18に該画像を表示させる(ステップS06)。
例えば表示制御部43は、建物C1が存在しなければ運転者から見える位置に、歩行者Bを示す画像B’を表示させる。歩行者Bを示す画像B’は、歩行者Bを撮像したカメラ6からの出力を用いてもよいし、単に歩行者を示すマーク、あるいは何らかの物体があることを示すだけのマークを用いてもよい。表示制御部43は、このような画像B’を点滅させて表示させ、建物C1の背後に歩行者(物体)Bがいることを強調する。このように、対象物が運転者から視認できない場合は、表示制御部43は、対象物を示す画像B’を表示する。対象物を示す画像B’とは、対象物そのもののカメラ画像、または、対象物を模した画像である。
【0093】
このように本実施形態に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、車両1に設けられ、所定の画像を車両1の乗員に向けて表示するように構成されている。本車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、
車載センサ5,6から取得した情報に基づいて対象物を検出し、対象物の位置を特定する検出部433と、
対象物が、運転者の死角の内か否かを判断する判断部431と、
死角の内に対象物があると判断部が判断した信号を取得したら、対象物を示す画像B’を生成して表示部に表示させる画像出力部432を有する。
【0094】
本実施形態に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステム70によれば、運転者の死角の内に対象物がある場合に、HUD42により該対象物を示す画像が表示されるので、運転者は係る情報に基づいて運転をすることができる。
【0095】
また本実施形態に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、運転者の死角の内に対象物があると判断部431が判断した場合と、運転者の死角の外に対象物があると判断部431が判断した場合とで、互いに異なる態様でHUD42による表示をする。
本実施形態においては、表示制御部43は運転者の死角の外に対象物があると判断した場合、対象物そのものを表す画像ではなく、その対象物を強調するような画像A’を生成し、ウインドシールド18に表示させる。一方で、表示制御部43は運転者の死角の内に対象物があると判断した場合、対象物そのものの画像あるいは対象物を示す画像B’を生成し、ウインドシールド18に表示させる。
このため、運転者は、運転者が見えていない物体と、運転者が見えている物体とを区別して把握することができる。
【0096】
また本実施形態に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、ヘッドランプ20またはリアコンビネーションランプ内に設けられている車載センサ6を有している。
ヘッドランプ20またはリアコンビネーションランプは、運転席から離れた位置に設けられている。このため、センサ6の視野角は運転者の視野角と大きく異なるので、運転者の死角に位置する物体を認識しやすい。このため、ヘッドランプ20またはリアコンビネーションランプ内に設けられているセンサ6は、車両用ヘッドアップディスプレイシステム70に適している。
【0097】
なお、表示制御部43は上述した実施形態のように車両1に搭載されていてもよいし、HUD42に搭載されていてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、HUD42がウインドシールド18に画像を表示させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。HUD42は車室内に設けられたコンバイナに画像を表示させてもよい。
【0099】
例えば車両1の後方の情報を取得するリアカメラ6の出力に基づいてコンバイナに車両1の後方の様子を示すカメラ画像を表示させ、さらに該カメラ画像のうちで本来であれば見えない対象物(運転者の死角内に位置する対象物)を車両1の後方の情報を取得するリアLiDAR5で特定し、表示制御部43はリアLiDAR5で特定した対象物を示す画像を生成してカメラ画像にオーバーラップさせて表示させてもよい。この場合、リアカメラ6とリアLiDAR5とは異なる位置に設ける。
【0100】
このように、本発明の変形例に係る車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、車両1に設けられ、所定の画像を前記車両1の乗員に向けて表示するように構成されている。本車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、
車両1の周囲の情報を取得するカメラ6と、
カメラから取得した画像を表示するウインドシールドまたはコンバイナと、
車載センサ5から取得した情報に基づいて対象物を検出し、対象物の位置を特定する検出部433と、
対象物が、カメラ6から視認できない領域に位置するか否かを判断する判断部431と、
カメラ6から視認できない領域に対象物があると判断部431が判断した信号を取得したら、対象物を示す画像を生成してウインドシールドまたはコンバイナに表示させる画像出力部432を有する。
【0101】
また、本車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、車両1の側方の情報を取得するセンサ5やカメラ6を含んでいてもよい。運転者の死角となる車両1の側方の情報をこれらセンサ5やカメラ6が取得し、センサ5やカメラ6が取得した情報をHUD42で表示することにより、運転者に車両1の周囲の情報をさらに多く提供することができる。このように車両1の側方の情報を取得するセンサ5やカメラ6を含む車両用ヘッドアップディスプレイシステム70は、車両1の側方の情報を取得するカメラの画像を表示するコンバイナを含むことが好ましい。
【0102】
上記実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0103】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0104】
本出願は、2019年3月19日出願の日本特許出願(特願2019-51485)、2019年3月19日出願の日本特許出願(特願2019-51486)、2019年3月19日出願の日本特許出願(特願2019-51487)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、透明カバーに塵や埃が積もりにくいヘッドアップディスプレイが提供される。
【符号の説明】
【0106】
1:車両
2,2A:車両システム
3:車両制御部
4:車両用表示システム
5:車載センサ
6A:外部カメラ
6B:内部カメラ
7:レーダ
10:無線通信部
11:記憶装置
12:ステアリングアクチュエータ
13:ステアリング装置
14:ブレーキアクチュエータ
15:ブレーキ装置
16:アクセルアクチュエータ
17:アクセル装置
18:ウインドシールド
20:ヘッドランプ
21:光源ユニット
42:ヘッドアップディスプレイ
43:表示制御部
45:路面描画装置
50:クリーナ
51:送風装置
52:ノズル
53:導風管
54:整流部
55:羽根車
56:モータ
57:取込口
58:センサ
59:インジケータ
60:カバー部材
61:回転軸部
62:シェード部
63:モータ
64:コイルスプリング
65:ストッパ
66:温度センサ
67:光センサ
68:インジケータ
69:蓄光部材
70:車両用ヘッドアップディスプレイシステム
420:HUD本体部
422:ハウジング
423:透明カバー
423:出射窓
424:画像生成部
425:制御基板
426:レンズ
427:スクリーン
428:凹面鏡
429:隔壁
431:判断部
432:画像出力部
433:検出部
531:モータ制御部
図1
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