(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006938
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ハイパフォーマンス冷却モジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240110BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240110BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F1/20 A
H05K7/20 M
H05K7/20 Q
F25B1/00 399Y
F25B1/00 304H
F25B1/00 371C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026884
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】63/357,288
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/902,029
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VXWORKS
2.Darwin
3.OS X
4.Python
(71)【出願人】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】陳 朝榮
(72)【発明者】
【氏名】黄 玉年
(72)【発明者】
【氏名】林 永慶
(72)【発明者】
【氏名】莊 天睿
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322AA11
5E322AB08
5E322AB10
5E322AB11
5E322BB03
5E322BB06
5E322DA01
5E322DA04
5E322DB02
5E322DB06
5E322DB12
5E322FA01
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】ハイパフォーマンス冷却モジュールを提供する。
【解決手段】冷却液サイクルと冷媒サイクルを組み合わせて、コンピューターデバイスの発熱部品から効率的且つ効果的に熱を伝えるハイブリッド冷却システムを開示する。冷却液サイクルは、冷却液をポンプで冷却板に送り込んで、発熱部品から熱を取り出す。加熱された冷却液は、冷却液-冷媒熱交換器を通過し、冷媒サイクルからの冷媒は、冷却液からの熱を吸収する。加熱された冷媒は、圧縮器を通って凝縮器に達し、ここで、高圧で加熱された冷媒は、凝縮器を通過するの空気によって冷却される。ハイブリッド冷却システムは、非ハイブリッド冷却システムと比較して、発熱部品をより効果的に冷却することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システムであって、
発熱部品を有するコンピューターデバイスと、
前記発熱部品に熱的に結合された冷却板と、
前記冷却板の出口と前記冷却板の入口を結合する冷却液経路ループであって、前記冷却板から出るときよりも低い温度で前記冷却板に進入する冷却液流体を収容する冷却液経路ループと、
圧縮器と、凝縮器と、膨張弁と、を結合する冷媒経路ループを有する冷媒サイクルであって、前記冷媒経路ループは冷媒を収容する、冷媒サイクルと、
前記冷却液経路ループ及び前記冷媒経路ループに結合された熱交換器であって、前記冷却液流体の熱は、前記膨張弁の後であり且つ前記圧縮器の前である位置で前記冷媒に伝達される、熱交換器と、
を備えることを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記冷却液経路ループは、前記冷却液経路ループを通じて前記冷却液を移動させることを容易にするポンプをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記発熱部品に関連する温度センサーと、
前記温度センサーからの温度信号の少なくとも一部に基づいて前記ポンプを制御するために、前記ポンプに結合された制御システムと、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記冷媒経路ループに結合される圧力センサーをさらに備え、前記制御システムは、前記圧縮器及び前記膨張弁のうち少なくとも一つに結合されており、前記圧力センサーからの圧力信号の少なくとも一部に基づいて前記圧縮器及び前記膨張弁のうち前記少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記温度センサー又は前記圧力センサーは、前記コンピューターデバイスのベースボード管理コントローラーによってアクセス可能であり、前記制御システムは、前記温度信号又は前記圧力信号を受信するために、前記ベースボード管理コントローラーに通信可能に結合されていることを特徴とする請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
シャーシをさらに備え、前記コンピューターデバイス、前記冷却液経路ループ及び前記冷媒サイクルは、前記シャーシ内に封入されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記シャーシを通過する空気を引き込むための一組のファンモジュールをさらに備え、前記一組のファンモジュールは、前記コンピューターデバイスのコンポーネントを通過する空気を引き込むための少なくとも第一ファンモジュールと、前記凝縮器を通過する空気を引き込むための少なくとも第二ファンモジュールと、を有することを特徴とする請求項6に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記凝縮器は、前記シャーシを通過する気流の方向に対して垂直に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記熱交換器は、周辺の環境から熱的に絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項10】
冷却方法であって、
発熱部品で熱が生成されるようにコンピューターデバイスを動作させる工程と、
冷却液をポンプで冷却液経路ループに通過させる工程であって、前記冷却液は、冷却板及び熱交換器に送り込まれ、前記冷却板は、前記発熱部品に熱的に結合されている、工程と、
冷媒経路ループ内で冷媒を圧縮する工程であって、前記圧縮する工程は、圧縮された冷媒を、凝縮器及び膨張弁を通過してから前記熱交換器に到達させ、前記熱交換器を通過する前記冷媒は、前記熱交換器を通過する前記冷却液から熱を引き出す工程と、
を含むことを特徴とする冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューターデバイスに関し、特に、コンピューターデバイスの発熱部品の冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターデバイス(例えば、パソコン、サーバー等)は、通常、大量の熱を生成する。特に、コンピューターデバイス内の特定の電子部品は、特に大量の熱を生成するとともに、効率よく、素子を最適に動作させる必要がある。例えば、中央処理装置、画像処理装置、テンソルプロセッシングユニット、及び、様々な他の専用処理装置は、特に、大量の熱を生成する。さらに強大な計算素子に対する需要が増長し続けるのに伴い、これらのコンポーネントは、さらに多くの電力を使用し、快速に動作する、あるいは、さらに多くの熱を生成する方式で動作する。
【0003】
コンピューターデバイスのコンポーネントを冷却する通常の技術は、受動冷却(例えば、比較的少ない量の熱を生成するコンポーネントに対するファン無し冷却)、ファンベース冷却(例えば、ファンを使用して、冷たい空気を、暖かい計算素子に通過させる)、及び、液体冷却を有する。液体冷却は、空気と比較して密度が高く比熱が大きいため、空気冷却に比べてかなり低い流速で多くの熱を放散することができる。液体冷却は、発熱部品に取り付けられた冷却板に冷却液(例えば、水)をポンプで送り込み、その後、ラジエーターを通過させる。ラジエーターは、ファンに隣接して配置されることが多く、冷たい空気を暖かいラジエーターに通過させる。よって、発熱部品からの熱は、冷却板を介して液体に伝わり、その後、加熱された液体がラジエーターを通過し、ラジエーター周辺の空気に熱が伝わることが可能になり、その後、冷却された液体が再び冷却板を通過して、ループを継続する。
【0004】
しかし、液体冷却システムにおいて、冷却能力は、主に、ラジエーターのサイズと、熱を放散するためにラジエーターを通過する空気の量と、によって決定される。現実の用途では、ラジエーターに利用可能な空間が非常に限られており、液体冷却装置の冷却能力に対して著しい制限が生じる。このような液体冷却特有の制限があるため、液冷式計算素子は、本来動作可能な高速動作や高エネルギーの動作が実行できず、且つ、スロットルで調整する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の用語及び同様の用語は、本開示及び以下の請求項の発明の全てに広く言及することを意図している。これらの用語を含む複数の提示は、ここで記述される発明を限定するものではなく、以下の請求項の意義や範囲を限定しないことを理解されたい。ここでカバーされる本発明の実施形態は、この概要ではなく、以下の請求項により定義される。この概要は、本開示の各種態様の高レベル(high-level)の概説であり、且つ、以下の詳細な説明の段落でさらに記述されるいくつかの概念を導入する。この概要は、請求される発明の重要な必須の特徴を特定することを意図していない。この概要は、請求される発明の範囲を決定するために単独で用いられることを意図していない。発明は、本開示の明細書全体、任意の又は全ての図面、及び、各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本発明は、ハイパフォーマンス冷却モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、発熱部品を有するコンピューターデバイスを備える冷却システムを含む。冷却システムは、発熱部品に熱的に結合された冷却板をさらに備える。冷却システムは、冷却板の出口と冷却板の入口とを繋ぐ冷却液経路ループ(coolant pathway loop)をさらに備える。冷却液経路ループは、冷却板から出るときよりも低い温度で冷却板に流入する冷却液流体を収容する。冷却システムは、冷媒サイクルをさらに備える。冷媒サイクルは、圧縮器と、凝縮器と、膨張弁とを結合する冷媒経路ループを含む。冷媒経路ループは、冷媒を含む。冷却システムは、冷却液流体中の熱が膨張弁の後であり圧縮器の前の位置で冷媒に伝えられるように、冷却液経路ループと冷媒経路ループとに結合された熱交換器をさらに備える。
【0008】
本発明の実施形態は、コンピューターデバイスを動作させる工程を含む冷却方法を有する。コンピューターデバイスの動作は、発熱部品で熱を生成する工程を有する。本方法は、冷却液を冷却液経路ループに送り込む工程をさらに有する。冷却液を冷却液経路ループに送り込む工程は、冷却液を、発熱部品に熱的に結合された冷却板と熱交換器とに送り込む工程を有する。本方法は、冷媒経路ループ内冷媒を圧縮する工程をさらに有する。冷媒を圧縮することにより、圧縮された冷媒が、熱交換器に到達する前に凝縮器及び膨張弁を通過する。熱交換器を通過する冷媒は、熱交換器を通過する冷却液から熱を引き出す。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハイブリッド冷却の使用により、制限を克服することができる。
【0010】
本発明は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明及び実施例を参照することによってさらに十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システムを示す図である。
【
図3】本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システムを制御するシステムのブロック図である。
【
図4】本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システムを含むシャーシの側視の簡潔な概略図である。
【
図5】本発明の特徴とプロセスを実行する例示的なシステム機構のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の態様及び特徴は、ハイブリッド冷却システムに関連し、ハイブリッド冷却システムは、冷却液サイクルと冷媒サイクルとを組み合わせて、コンピューターデバイスの発熱部品からの熱を効率よく且つ効果的に伝える。冷却液サイクルは、冷却液をポンプで冷却板に送り込んで、発熱部品から熱を除去する。加熱された冷却液は、冷却液-冷媒熱交換器(coolant-to-refrigerant heat exchanger)を通過し、冷媒サイクルからの冷媒が冷却液から熱を吸収する。加熱された冷媒は、圧縮器を通って凝縮器に送られ、高圧の加熱された冷媒は、凝縮器を通過する空気により冷却される。ハイブリッド冷却システムは、非ハイブリッド冷却システムに比べて、発熱部品をより良く冷却することができる。
【0013】
図1は、標準的な液体冷却システム100を示す図である。標準的な液体冷却システム100は、発熱部品102に熱的に結合された冷却板104を有する。比較的冷たい冷却液が、ポンプ108によって、配線118を介して冷却板104に送り込まれる。冷却板内では、熱が発熱部品102から液体冷媒に伝達され、その後、配線114に沿って冷却板104の外に出される。加熱された液体冷媒は、配線116を介してポンプ108に戻る前に、ラジエーター106を通過する。ラジエーター106を通過する間、冷却液からの熱は、周囲の空気に伝達される。ファン110を使用すると、気流112をラジエーター106に押し込んで、ラジエーター106での冷却液からの熱伝達を改善することができる。
【0014】
この標準的な液体冷却システム100は、いくつかの使用例には有効であるが、その冷却能力は、様々な制限(例えば、ラジエーター106のサイズ、及び、熱を放散するためにラジエーター106を流れる空気の量等)により制限される。多くのコンピューターデバイスでは、シャーシ内の利用可能な空間に制限があり、ラジエーター106及びファン110のサイズ及びスタイルも同様に制限されるので、液体冷却システム100の利用可能な冷却能力を制約している。
【0015】
しかし、本発明の特定の態様は、ハイブリッド冷却の使用により、これらの制限及び他の制限を克服することができる。
【0016】
ハイブリッド冷却システムは、ラジエーターを除去することにより、冷却液サイクルを改善する。冷却液-冷媒熱交換器(coolant-to-refrigerant heat exchanger)は、冷却液サイクルと冷媒冷却液サイクルを熱的に結合する。冷却液サイクルは、最初、発熱部品からの熱を吸収し、その後、加熱された冷却液が熱交換器を介して熱を冷媒サイクルに伝達する。よって、冷却液サイクル内には、ファン等の空気誘導器が必要ない。その後、冷却された冷却液は、ポンプで冷却板に押し込まれ、発熱部品からの熱を吸収し続ける。
【0017】
同時に、熱交換器において冷媒により吸収される熱は、冷媒を、液体から気体の状態に変化させる。その後、この過熱蒸気冷媒は、圧縮器で圧縮され、より高温・高圧になる。圧縮器から出た過熱蒸気は凝縮器に送られ、過熱蒸気冷媒から熱が効果的に除去され、冷媒を凝縮させて、圧縮された液体冷媒に戻す。ファンや他の空気誘導器を使用することで、凝縮器の効果を向上することができる。圧縮された液体冷媒は、凝縮器を出た後に、膨張弁により断熱膨張し、低圧の超低温液体蒸気混合冷媒に気化させることができる。この超低温液体蒸気混合冷媒は、熱交換器ユニットを介して冷却液サイクルの冷却液から熱を吸収するために使用され、冷媒は、次のサイクルのために圧縮器に戻る低圧の過熱蒸気冷媒になる。
【0018】
注意すべきことは、従来の液体冷却システムは、そのラジエーターを介して冷却液をせいぜい周囲の温度までしか冷却できないことである。ハイブリッド冷却システムは、熱交換器を介して冷却液を周囲の温度よりも低い温度まで冷却することができる。よって、ハイブリッド冷却システムの冷却板は、従来の液体冷却システムの冷却板よりもはるかに低い温度を達成することができる。
【0019】
別の利点として、冷媒は、従来の液体冷却システムにおける高温の冷却液よりもはるかに高い温度まで圧縮される。よって、ハイブリッド冷却システムにおける凝縮器は、作動流体(例えば、冷媒サイクルの冷媒及び冷却液サイクルの冷却液)と周囲の空気との間の温度差がはるかに大きいので、従来のシステムにおけるラジエーターよりも熱を放散する効率がはるかに高い。その結果、ハイブリッド冷却システムでは、液体冷却システムよりも少ない気流及び少ないファン電力の消費によって、同様の又はより優れた冷却効果を達成することができる。よって、ハイブリッド冷却システムは、少ない冷却電力消費で電子部品をより低温まで冷却することができる。所望の冷却レベルを達成するために、異なる冷媒、圧力、凝縮器設計、熱交換器設計及び凝縮器気流を使用することができる。いくつかの状況において、冷媒は、周囲の空気より少なくとも10~15°F低い温度に到達することができる。
【0020】
さらに、ハイブリッド冷却システムの冷却液サイクルを使用することにより、冷却板を、発熱部品の動作限界内で動作させ続けることができる。冷媒サイクルが冷却板に直接結合されている場合、冷却板が、発熱部品の効率的な動作には低すぎる温度に達し、冷却板の周辺に結露の問題を生じる可能性がある。
【0021】
さらに、ハイブリッド冷却システムのコンポーネントは、コンピュータシャーシ内の異なる位置に容易に配置することができ、冷却システムコンポーネントのさらに効率的なレイアウトが可能である。例えば、冷却板は、効果的な熱結合のために発熱部品と接触して設置される必要があるが、他のコンポーネントは、発熱部品から間隔を置いて配置され、さらに他の電気部品及び回路基板から間隔を置いて配置されてもよい。例えば、ポンプ及び圧縮器は、特定の振動に弱いコンポーネントから間隔を置いて配置されてもよい。また、熱交換器は、熱交換器周辺の断熱に欠陥がある場合に結露の問題が生じるリスクを最小化するために、液体に弱いコンポーネントから離して配置することができる。また、凝縮器を、大量の気流を受けることができる位置に配置することで、冷却システムの効率を向上させることができる。
【0022】
いくつかの状況において、ハイブリッド冷却システムは、マルチユニットラックマウントシャーシに設置され、ハイブリッド冷却システムの特定のコンポーネントは、発熱部品を有するシャーシのセクションとは別のセクション又はレベルに設置され得る。例えば、5Uのシャーシにおいて、コンピューターシステムのマザーボード及びその電気部品の全ては、ハイブリッド冷却システムの冷却板と共に下部の2Uレベルに属し、上部の3Uレベルは、ハイブリッド冷却システムの大部分の他のコンポーネントに用いることができる。冷却液は、ホースやパイプを用いて、下部のレベルの冷却板から上部のレベルの熱交換器まで輸送される。3Uの上層において、凝縮器ユニットを、冷媒から周囲の空気への最適な熱交換を達成するために、気流方向と垂直な方向に配置し、冷却液-冷媒熱交換器を、気流方向と平行な方向に配置して、気流がブロックされるのを防止する。各レベルにファンを配置し、独立して動作させることで、効果的な冷却電力使用を達成する。下部の2Uのファンは、コンピューターシステムの他のコンポーネント(例えば、メモリ(DDR)、ストレージ(HDD)アドオンカード等)を冷却するのに十分な気流を提供することができる。上部の3Uレベルにおける一つ以上のファンは、気流を凝縮器に提供して、冷媒と周囲の空気との熱交換に用いる。他のサイズ(例えば、1U、0.5U、2U)のシャーシや非ラックマウントシャーシを使用することもできる。
【0023】
いくつかの状況において、ハイブリッド冷却システムは、冷却液サイクルのラジエーターを冷却液‐冷媒熱交換器と交換し、冷媒サイクルの全てのコンポーネントをすぐに取り付けられる状態で、改造キット(retrofit kit)として提供することができる。
【0024】
いくつかの状況において、制御システムは、ハイブリッド冷却システムを制御するために、ハイブリッド冷却システム及び/若しくは発熱部品内の一つ以上の位置の温度、並びに/又は、冷媒サイクルの一つ以上の位置の圧力を監視することができる。いくつかの状況において、制御システムは、液体冷却システムのポンプ、並びに/又は、冷媒冷却システムの圧縮器及び/若しくは膨張弁を制御することができる。このような制御システムは、ベースボード管理コントローラーとすることができ、コンピューターデバイスのオペレーティングシステムに組み込まれるか、外部コントローラーとすることができる(例えば、コンピューターデバイスの外部、及び、オプションでシャーシの外部にある)。
【0025】
いくつかの状況において、ハイブリッド冷却システムの使用は、周囲の空気が比較的暖かい場合であっても、効果的な冷却を実現することが可能である。例えば、システム冷却するのに用いられる周囲の空気が既に暖かい場合、自然に暖かい周囲の空気(例えば、室外の辺縁のコンピューターデバイス)からでも、あるいは、他の付近の熱源(例えば、高温機械及び/又は他の高温コンピューターデバイスの近くのコンピューターデバイス)からでも、冷却液と周囲の空気との温度差がとても小さいので、冷却液システムは、冷却板を全く冷却することができないか、あるいは、十分な冷却能力を提供することができない。しかし、ハイブリッド冷却システムは、かなり高温の冷媒温度で凝縮器に進入する状況下で動作するように設定されるので、冷媒の温度と暖かい周囲の空気の温度との間に依然として十分なギャップが維持される。このような温度ギャップを維持することにより、ハイブリッド冷却システムは、熱を周囲の空気に放散することができる。
【0026】
これらの理解を助ける実例は、読者に、ここで説明する一般的な主題を紹介するために与えられ、本発明の概念の範囲を制限することを意図していない。以下の段落は、図面を参照しながら、様々な追加の特徴と例を説明し、同様の符号は、同様の要素を示すとともに、方向性の記述が具体例を記述するために用いられるが、例示的な実施形態と同様に、本発明を制限することに用いられるべきではない。図面に含まれる要素は、必ずしも、縮尺通りに描かれていない。
【0027】
図2は、本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システム200を示す図である。ハイブリッド冷却システム200は、熱交換器230を介して冷媒サイクル252に熱的に結合された冷却液サイクル254を有する。熱交換器230は、任意の適切な熱交換器(例えば、チューブ状の熱交換器(例えば、シェルチューブ(shell-and-tube)熱交換器)、プレート熱交換器等)である。
【0028】
ハイブリッド冷却システム200は、任意の適切な電子部品(例えば、コンピューターデバイスの発熱部品202)と一緒に用いられる。発熱部品202は、使用中に熱を生成し、この熱は、発熱部品202をスロットル調整する必要を回避するために、及び/又は、発熱部品202若しくは周囲のコンポーネントの損傷を回避するために、発熱部品202から出される必要がある。
【0029】
冷却液サイクル254は、発熱部品202に熱的に結合された(例えば、熱ペースト等の熱伝導材を介して、又は、他の方法で)冷却板204を有しているので、発熱部品202からの熱は、冷却板204に放散する。冷却液経路ループは、冷却板204の出口と冷却板204の入口とを結合し、その中の冷却液が冷却板204からの熱を吸収し、冷却板204に戻る前に、その熱を別の場所に伝えるのを可能にする。冷却液流体は、冷却液とも呼ばれ、冷却液経路ループにおいて、任意の適切な冷却液流体になる(例えば、水又はポリエチレングリコール等)。冷却液経路ループは、熱交換器230と、ポンプ208と、複数の接続液路(例えば、チューブ、パイプ、チャネル等)と、を有する。例示の目的で、冷却液を運ぶ液路がパイプとして説明され、冷媒を運ぶ液路がチューブとして説明されるが、任意の適切な液路を任意の作業流体に対して用いることができる。
【0030】
冷却板204から熱を吸収することにより、高温で冷却板204を出る冷却液は、パイプ214を通過して、熱交換器230に達する。熱交換器230において、冷却液は、熱を、冷媒サイクル252の冷媒に放散する。冷却液は、熱交換器230に進入するときよりも低温で熱交換器230を出るとともに、パイプ216を通過して、ポンプ208に達する。ポンプ208は、冷却液を加圧して、冷却液経路ループを流れるようにする。加圧された冷却液は、パイプ218でポンプ208を出て、冷却液を冷却板204に運ぶ。例えば、ポンプ208が、冷却板の後であって、熱交換器230の前にある等の他の配置が用いられてもよい。
【0031】
冷媒サイクル252は、一つ以上の接続冷媒経路(例えば、チューブ、パイプ、チャネル等)を介して、圧縮器234、凝縮器236、膨張弁238及び熱交換器230の順序で結合する冷媒経路ループを有する。圧縮器234は、低圧の蒸気冷媒を取り込んで高圧の蒸気になるまで加圧し、チューブ242を介して凝縮器236に出す。冷媒の圧力が増加するにつれて、その温度も上昇し、冷媒の温度と周囲温度との間のギャップが増加する。凝縮器236において、高温高圧の蒸気冷媒が凝結し、蒸気から液体へと状態を変え、熱を、凝縮器を介して周囲の空気に放散する。一つ以上のファン248を用いて、凝縮器を通過及び/又は経過する気流250を生成し、冷媒凝縮の速度を改善することができる。冷媒は、凝縮器236を出て、チューブ244を介して膨張弁238に進む。凝縮器236を出る冷媒は、圧縮器234によって提供される圧力下であっても、凝縮器236に進入するときの温度よりも低い。膨張弁238に到達すると、冷却された高圧の液体冷媒は、低圧の冷却された液体蒸気混合物へと膨張する。この冷たい液体蒸気混合冷媒は、チューブ246を通過して熱交換器230に進入し、ここで、熱交換器230を出てチューブ240を通って圧縮器234に戻るまで経路232を辿る。経路232は、蛇状の経路(serpentine path)であるが、任意の適切な経路232を使用することができる。熱交換器230において、冷却された液体蒸気混合冷媒は、熱交換器230を通過する冷却液から熱を吸収する。熱を吸収すると、液体冷媒は、蒸発して低圧の蒸気になり、この蒸気は、圧縮器234に提供され、高圧の蒸気に圧縮される。冷媒サイクル252は、十分に低い沸点の冷媒を選択する等により、様々な態様で調整される。
【0032】
いくつかの状況において、ハイブリッド冷却システム200の特定のコンポーネントは、発熱部品202及び/又はコンピューターデバイスの他のコンポーネントから物理的に離れている。いくつかの状況において、発熱部品202とハイブリッド冷却システム200の一つ以上のコンポーネントとの間に、バリア256が構築される。いくつかの状況において、バリア256は、冷却板204をハイブリッド冷却システム200の他のコンポーネントから分離する。バリア256において、冷却板204をポンプ208及び熱交換器230と流動的に結合するために、コネクターを使用することができる。いくつかの状況において、
図2のバリア256で示されるコンポーネントのいくつかは、代わりに、バリア256の反対側に設置されてもよい。いくつかの状況において、バリア256は用いられない。
【0033】
いくつかのコンポーネントが示されているが、ある状況において、ハイブリッド冷却システム200は、追加のコンポーネントを用いることができる。いくつかの状況において、単一のハイブリッド冷却システムは、複数の発熱部品202に冷却を提供する。例えば、パイプ218は、複数の岐に分岐し、冷却液を複数の冷却板に提供し、複数の冷却板の各々は、それ自身が対応する発熱部品に結合される。このような場合、複数の岐は、パイプ214で再結合される。
【0034】
図3は、本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システムを制御するシステム300のブロック図である。システム300は、任意の適切なハイブリッド冷却システム(例えば、
図2のハイブリッド冷却システム200)を制御することができる。
【0035】
制御システム360は、本明細書でさらに詳細に説明するように、その機能を実行するのに必要な命令を実行するのに適した一つ以上のプロセッサと、メモリと、を有する。例えば、制御システム360は、ベースボード管理コントローラー(BMC)とすることができ、発熱部品が搭載されるコンピューターデバイスのオペレーティングシステムに組み込むことができ、あるいは、外部システム(例えば、コンピューターデバイスのラック全体又はコンピューターデバイスのルーム全体を管理する熱管理システム)とすることができる。
【0036】
いくつかの状況において、制御システム360は、温度センサー362に通信可能な方式で結合されており、温度情報(例えば、温度信号)を収集する。いくつかの状況において、温度センサー362は、発熱部品302に関連する温度を測定するために、発熱部品302に隣接しており、結合されており、あるいは、発熱部品302内に組み込まれている。しかし、いくつかの状況において、温度センサー362は、他の要素に熱的に結合して、他の温度(例えば、ハイブリッド冷却システム内の作動流体(例えば、冷却液、あるいは、冷媒)の温度)を測定することができる。いくつかの状況において、複数の温度センサー362が用いられる。
【0037】
いくつかの状況において、制御システム360は、一つ以上の圧力センサー364に通信可能に結合されており、圧力情報(例えば、一つ以上の圧力信号)を収集する。圧力センサー364は、冷媒経路ループに沿った様々な点(例えば、圧縮器334と凝縮器との間(例えば、高圧蒸気測定値)、凝縮器と膨張弁との338間(例えば、高圧液体測定値)、膨張弁338と熱交換器との間(例えば、低圧液体測定値)、及び/又は、熱交換器と圧縮器との間(例えば、低圧蒸気測定値))における冷媒の圧力を決定するように配置され得る。
【0038】
温度センサー362から受信した温度信号、及び/又は、圧力センサー364から受信した圧力信号に基づいて、制御システム360は、i)冷却液経路ループを通過する冷却液の流速を増加又は減少させるポンプ308、ii)凝縮器に進入する冷媒の圧力/温度を増加又は減少させる圧縮器334、iii)熱交換器に進入する冷媒の圧力/温度を増加又は減少させる膨張弁338(例えば、調整可能なスロットル開口を有する電磁石膨張弁)、iv)空気を凝縮器に通す一つ以上のファン366、あるいは、v)i~ivの任意の組み合わせを制御する。
【0039】
例えば、発熱部品302が熱くなりすぎている場合、ポンプ308を介して冷却液の流速を増加させることにより、圧縮器334を介して冷媒圧力を増加させることにより、及び/又は、ファン366を介して気流を増加させることにより、凝縮器で放散される熱の量を増加させて、冷却力を増加させることができる。
【0040】
いくつかの状況において、システム300は、一つ又はそれ以上のコンポーネントを有する。
【0041】
図4は、本発明の特定の実施形態による、ハイブリッド冷却システムを含むシャーシ470の側視の簡潔な概略
図400である。ハイブリッド冷却システムは、任意の適切なハイブリッド冷却システム(例えば、
図2のハイブリッド冷却システム200)である。
【0042】
図示したように、シャーシ470は、5U高さのシャーシであるが、任意の適切なシャーシが用いられてもよい。シャーシ470は、コンピューターシステムのマザーボード472をサポートする。マザーボード472は、複数のコンポーネント(例えば、第一プロセッサ402(例えば、中央処理ユニット)、第二プロセッサ403(例えば、テンソル処理ユニット)、メモリ476(例えば、ランダムアクセスメモリ)、及び、拡張カード474(例えば、PCIeカード)を有する。マザーボード472上の全てのコンポーネントは、使用中に熱を生成するが、第一プロセッサ402及び第二プロセッサ403は、使用中に特に大量の熱を生成し、高度な冷却方法(例えば、ハイブリッド冷却システム)を必要とする場合がある。マザーボード472上の他のコンポーネントは、ファンモジュール478を介してシャーシ470を通して引き込まれる気流451によって冷却されてもよい。
【0043】
第一冷却板404は、第一プロセッサ402に熱的に結合されており、第二冷却板405は、第二プロセッサ403に熱的に結合されている。冷却液経路ループは、冷却板404、405間に構築されており、冷却板404、405は、冷却液経路ループ内で平行に配置されており、ポンプ408と熱交換器430は、両方とも、冷却液経路ループ内に配置されている。冷たい冷却液は、ポンプ408により汲み出され、パイプ418を介して冷却板404、405に進入する。冷却液は、第一冷却板404及び第二冷却板405を介して、第一プロセッサ402及び第二プロセッサ403からそれぞれ熱を吸収する。この加熱された冷却液は、パイプ414を介して熱交換器430に運ばれる。熱交換器430において、加熱された冷却液は、パイプ416を介してポンプ408に戻される前に冷却され、よって、ループが完成する。
【0044】
チューブ446からの低圧で冷たい液体蒸気混合冷媒は、熱交換器430に進入し、ここで、冷却液から熱を吸収する。冷媒の沸点が比較的低いため、冷媒は、冷却液から熱を吸収する際に、低圧の加熱された蒸気に沸騰する。この低圧の加熱された蒸気冷媒は、チューブ440を通って圧縮器434に進入し、ここで、高圧の過熱蒸気に圧縮される。この高圧の過熱蒸気冷媒は、その後、チューブ442を通って凝縮器436に進入し、ここで、熱が放散されて、高圧の暖かい液体に凝縮される。この高圧の暖かい液体冷媒は、チューブ444を通って膨張弁438に進入し、ここで、低圧の冷たい液体蒸気混合冷媒に急速に膨張し、その後、チューブ446を介して熱交換器430に運ばれ、ループが完成する。
【0045】
ハイブリッド冷却システムの大部分のコンポーネントは、シャーシ470の3U上部領域484に配置され、コンピューターデバイス、第一プロセッサ402及び第二プロセッサ403は、2U下部領域486に配置される。ファンモジュール478(例えば、2Uファンモジュール)は、2U下部領域486に気流451を提供し、ファンモジュール448、449(例えば、1.5Uファンモジュール)は、空気を気流450として3U上部領域484に引き込むことができる。この気流450は、ハイブリッド冷却システムの各種コンポーネントを通過し、最も重要なことは、凝縮器436を通過することである。気流450が凝縮器436を通過すると、過熱蒸気冷媒から気流450の空気中への熱放散が促進される。いくつかの状況において、凝縮器436は、シャーシ470の気流450出口付近に配置されており、加熱された空気がシャーシ470内の他のコンポーネントを潜在的に加熱するのを防止する。効率を最大化するか改善するために、凝縮器436は、気流450に対して垂直に方向付けられる。
図4に示すように、凝縮器436は、十分な長さでページの内外に延在することができる。いくつかの状況において、この長さは、凝縮器436の高さ又は深さより長い。同様に、他のコンポーネントは、気流450への干渉を最小化するように方向付けられ、気流450がより容易に凝縮器436に到達することを可能にする。例えば、熱交換器430は、気流450と平行に方向付けられる。
図4に示すように、熱交換器430は、比較的小さい深さだけページの内外に延在することができる。この深さは、熱交換器430の長さ又は高さより小さい。
【0046】
いくつかの状況において、熱交換器430は、絶縁シェル431を有する。絶縁シェル431は、任意の適切な材料(例えば、ファイバーガラス、プラスチック、ゴム等)である。絶縁シェル431は、熱交換器430周囲の結露の最小化又は消去を助ける。いくつかの状況において、各種チューブ440、442、444、446のいくつかも絶縁されてもよい。
【0047】
いくつかのコンポーネントが、特定の位置及び方位性で記述されているが、コンピューターシステム及びハイブリッド冷却システムの各種コンポーネントは、シャーシ470内の異なる位置及び異なる方位に配置されてもよい。例えば、コンピューターデバイスは、多数のハイブリッド冷却システムコンポーネントよりも上方の領域に配置されてもよい。他の配置が用いられてもよい。
【0048】
図5は、例えば、
図2~
図4を参照して説明したもの等のように、本発明の特徴及びプロセスを実行する例示的なシステムアーキテクチャ500のブロック図である。システムアーキテクチャ500は、任意の適切なコンピューターデバイス(例えば、サーバー、ワークステーション、タブレット、あるいは、他のこのようなデバイス)を実装して、本発明の様々な特徴及びプロセスを実施するために使用される。システムアーキテクチャ500は、任意の電子装置上に実装され、電子装置は、コンパイルされた命令から派生したソフトウェアアプリケーションを実行し、これに制限されないが、パソコン、サーバー、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、電子メール装置等を有する。いくつかの実施において、システムアーキテクチャ500は、一つ以上のプロセッサ502と、一つ以上の入力装置504と、一つ以上のディスプレイデバイス506と、一つ以上のネットワークインターフェース508と、一つ以上のコンピューター可読媒体510をと、有する。これらのコンポーネントの各々は、バス512によって結合され得る。
【0049】
ディスプレイデバイス506は、任意の既知のディスプレイ技術であり、これに限定されないが、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)技術を用いたディスプレイ装置を有する。プロセッサ502は、任意の既知のプロセッサ技術を用い、これに制限されないが、グラフィックプロセッサ及びマルチコアプロセッサを有する。入力装置504は、任意の既知の入力装置技術であり、これに制限されないが、キーボード(バーチャルキーボードを有する)、マウス、トラックボール及びタッチセンサー式パッド、あるいは、ディスプレイを有する。バス512は、任意の既知の内部又は外部バス技術であり、これに限定されないが、ISA、EISA、PCI、PCIExpress、NuBus、USB、シリアルATA、あるいは、FireWire(登録商標)を有する。
【0050】
コンピューター可読媒体510は、命令をプロセッサ502に提供することに参加して実行する任意の媒体であり、これに制限されないが、不揮発性ストレージ媒体(例えば、光学ディスク、磁気ディスク、フラッシュドライブ等)、あるいは、揮発性媒体(例えば、SDRAM、ROM等)を有する。コンピューター可読媒体(例えば、ストレージデバイス、媒体、及び、メモリ)は、例えば、ケーブル、あるいは、ビットストリーム等を含む無線信号を有する。しかし、言及する場合、非一時的なコンピューター可読ストレージ媒体は、媒体(例えば、エネルギー、キャリア信号、電磁波、及び、信号等)を明示的に排除する。
【0051】
コンピューター可読媒体510は、オペレーティングシステム514、及び、アプリケーション520(例えば、コンピュータープログラム)を実施する様々な命令を含む。オペレーティングシステムは、マルチユーザー、マルチプロセッシング、マルチタスキング、マルチスレッディング、リアルタイム等とすることができる。オペレーティングシステム514は、基本タスクを実行し、基本タスクは、これに制限されないが、入力装置504からの入力を識別すること、出力をディスプレイデバイス506に送信すること、コンピューター可読媒体510上のファイル及びディレクトリを追跡すること、直接又はI/Oコントローラーを介して制御される周辺装置(例えば、ディスクドライブ、プリンター等)を制御すること、バス512上のトラフィックを管理すること、を含む。コンピューター可読媒体510は、ファームウェアプロセス(例えば、BIOS)を実行する様々な命令を含む。コンピューター可読媒体510は、
図2~
図4で説明したもの等のように、本明細書で説明した任意のプロセスを実行するための様々な命令を含む。
【0052】
メモリ518は、高速ランダムアクセスメモリ及び/又は不揮発性メモリ(例えば一つ以上の磁気ディスク記憶装置、一つ以上の光学記憶装置、及び/又は、フラッシュメモリ(例えば、NAND、NOR))を有する。メモリ518(例えば、コンピューター可読ストレージデバイス、媒体、及び、メモリ)は、ビットストリーム等を含むケーブル、あるいは、無線信号を有する。しかし、言及する場合、非一時的なコンピューター可読ストレージ媒体は、媒体(例えば、エネルギー、キャリア信号、電磁波、及び、信号等)を明示的に排除する。メモリ518は、オペレーティングシステム(例えば、Darwin、RTXC、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、OS X、WINDOWS(登録商標))、又は、組み込みオペレーティングシステム(例えば、VxWorks)を保存することができる。
【0053】
システムコントローラー522は、プロセッサ502から独立して動作するサービスプロセッサとすることができる。いくつかの実施形態において、システムコントローラー522は、ベースボード管理コントローラー(BMC)であってもよい。例えば、BMCは、専用のサービスプロセッサであり、センサーを用いて、コンピューター、ネットワークサーバー、あるいは、他のハードウェアデバイスの物理的状態を監視するとともに、独立した接続を介してシステム管理者と通信する。BMCは、監視されるマザーボード又は主回路基板上に設置される。BMCのセンサーは、内部物理変数(例えば、温度、湿度、電源電圧、ファン速度、通信パラメーター、及び、オペレーティングシステム(OS)機能)を測定することができる。
【0054】
記述される特徴は、一つ以上のコンピュータープログラムで有利に実施され、コンピュータープログラムは、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを有するプログラム可能システムで実行され、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサは、データストレージシステム、少なくとも一つの入力装置、及び、少なくとも一つの出力装置と結合され、データ及び命令を送受信する。コンピュータープログラムは、命令の集合であり、命令は、直接的又は間接的にコンピューターで用いられて、特定のアクティビティを実行する、あるいは、特定の結果をもたらす。コンピュータープログラムは、任意の形式のプログラミング言語(例えば、Objective-C、Java(登録商標)、Python)で書き込まれ、コンパイル型言語又はインタープリタ型言語を有し、且つ、独立型のスタンドアローンプログラム又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいは、コンピューター環境中で用いられるのに適切な他のユニットとして、任意の形式で配備される。
【0055】
命令のプログラムを実行するのに適当なプロセッサは、例えば、汎用及び特殊用途のマイクロプロセッサ、及び、任意の種類のコンピューターの単一のプロセッサ若しくは複数のプロセッサ又はコアのうち何れかを有する。一般的に、プロセッサは、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、あるいは、その両方から、命令及びデータを受信する。コンピューターの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを保存する一つ以上のメモリである。一般的に、コンピューターは、データファイルを保存するための一つ以上の大容量ストレージデバイスを有するか、大容量ストレージデバイスと通信するように動作可能に結合される。このような装置は、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク、及び、リムーバブルディスク)、光磁気ディスク、光学ディスクを有する。コンピュータープログラム命令及びデータを具体的に実現するのに適するストレージデバイスは、あらゆる形式の不揮発性メモリを有し、不揮発性メモリは、例として、半導体メモリ装置(例えば、EPROM、EEPROM、及び、フラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク、リムーバブルディスク)、光磁気ディスク、CD-ROM及びDVD-ROMディスクを有する。プロセッサやメモリに、ASIC(application-specific integrated circuit)を追加したり、組み込んだりすることも可能である。
【0056】
ユーザーとの相互作用を提供するために、特徴は、コンピューター上で実施される。コンピューターは、ユーザーに情報を表示するディスプレイデバイス(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニター)と、ユーザーが入力をコンピューターに提供するためのキーボード及びポィンテイングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有する。
【0057】
特徴は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバー)、あるいは、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバー又はインターネットサーバー)、あるいは、フロントエンドコンポーネント(例えば、グラフィカルユーザーインターフェース、あるいは、インターネットブラウザ、あるいは、それらの任意の組み合わせを有するクライアントコンピュータ)を有するコンピューターシステムで実施される。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形式、あるいは、媒体(例えば、通信ネットワーク)により接続される。通信ネットワークの例は、例えば、LAN、WAN、並びに、インターネットを形成するコンピューター及びネットワークを有する。
【0058】
コンピューターシステムは、クライアント及びサーバーを有する。クライアント及びサーバーは、通常、互いに離れており、且つ、通常、ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバーとの関係は、各々のコンピューター上で実行され、互いにクライアント‐サーバー関係を有するコンピュータープログラムによって生じする。
【0059】
本発明の一つ以上の特徴又は工程は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を用いて実施される。APIは、呼び出しアプリケーションと、他のソフトウェアコード(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリルーティン、関数)との間で伝送される一つ以上のパラメーターを定義し、他のソフトウェアコードは、サービスを提供する、データを提供する、又は、操作若しくは計算を実行する。
【0060】
APIは、API仕様書で定義された呼び出し規約に基づいて、パラメーターリスト又は他の構造を介して一つ以上のパラメーターを送受信するプログラムコード内の一つ以上の呼び出しとして実施される。パラメーターは、定数、キー、データ構造、オブジェクト、オブジェクトクラス、変数、データタイプ、ポインター、アレイ、リスト、又は、他の呼び出しとすることができる。API呼び出し及びパラメーターは、任意のプログラミング言語によって実施される。プログラミング言語は、プログラマーがAPIをサポートする機能にアクセスするために採用する語彙及び呼び出し規約を定義することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、API呼び出しは、アプリケーションを動作する装置の能力(例えば、入力能力、出力能力、処理能力、電源能力、通信能力等)をアプリケーションに報告することができる。
【0062】
図示した実施形態を含む実施形態の上記の説明は、例示及び説明のためだけに示されており、開示された正確な形態に対して網羅的又は限定的であることを意図しない。当業者であれば、多種の修正、適用及び使用を理解することができる。本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、開示された実施形態に対して多種の変更を行うことができる。よって、本発明の幅及び範囲は、上述した任意の実施形態によって限定されるべきではない。
【0063】
本発明の特定の態様及び特徴が一つ以上の実施形態に関して説明及び記述されているが、当業者であれば、本明細書及び添付図面を参照すれば、それらの等価物及び修正を思いつくであろう。また、特定の特徴が、いくつかの実施形態のうち一つだけに関して開示されているが、このような特徴は、任意の又は特定の用途において、他の実施形態の一つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0064】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されているような「一」、「1つの」、「この」という単数形は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む」、「有する」やこれらの変化形が詳細な説明及び/又は特許請求の範囲に用いられており、このような用語の意味は、「備える」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0065】
特に定義されない限り、本明細書で使用される用語(技術用語及び科学用語)は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されるような用語は、関連技術の文脈における意味と同じ意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0066】
以下の任意の請求項からの一つ以上の素子、態様若しくは工程、又は、これらの任意の部分は、他の請求項からの一つ以上の素子、態様若しくは工程、又は、これらの任意の部分と組み合わせて、本発明の一つ以上の追加の実施形態及び/又は請求項を形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
100…標準的な液体冷却システム
102、202、302…発熱部品
104、204…冷却板
106…ラジエーター
108、208、308、408…ポンプ
110、248、366…ファン
112、250、450、451…気流
114、116、118…配線
200…ハイブリッド冷却システム
214、216、218、414、416、418…パイプ
230、430…熱交換器
232…経路
234、334、434…圧縮器
236、436…凝縮器
238、338、438…膨張弁
240、242、244、246…チューブ
252…冷媒サイクル
254…冷却液サイクル
256…バリア
300…システム
360…制御システム
362…温度センサー
364…圧力センサー
400…簡潔な概略図
402…第一プロセッサ
403…第二プロセッサ
404…第一冷却板
405…第二冷却板
431…絶縁シェル
440、442、444、446…チューブ
448、449…ファンモジュール
470…シャーシ
472…マザーボード
474…拡張カード
476、518…メモリ
478…ファンモジュール
484…3U上部領域
486…2U下部領域
500…システムアーキテクチャ
502…プロセッサ
504…入力装置
506…ディスプレイデバイス
508…ネットワークインターフェース
510…コンピューター可読媒体
512…バス
514…オペレーティングシステム
520…アプリケーション
522…システムコントローラー