(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006940
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プログラム、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20240110BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030590
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2022107770の分割
【原出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】518123947
【氏名又は名称】株式会社HRBrain
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健士郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】仮に対応する会話のパターンが準備されていない場合でも、円滑に適切な回答を行うことができる自動応答システムを提供する。
【解決手段】本発明のプログラムは、コンピュータのプロセッサに、ユーザから質問文の入力を受け付けるステップと、予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された回答文をユーザに対して提示するステップと、ユーザから、回答文に対する評価の入力を受け付けるステップと、回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、質問文を管理担当者に対して提示するステップと、管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付けるステップと、新たな回答候補として、再回答の内容をデータベースに登録するステップと、を実行させる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータのプロセッサに、
ユーザから質問文の入力を受け付けるステップと、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された前記質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された前記回答文をユーザに対して提示するステップと、
ユーザから、前記回答文に対する評価の入力を受け付けるステップと、
前記回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、前記質問文を管理担当者に対して提示するステップと、
前記管理担当者から、前記質問文への再回答の入力を受け付けるステップと、
新たな回答候補として、前記再回答の内容を前記データベースに登録するステップと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記プロセッサに、更に、
前記再回答の内容を前記データベースに登録するステップに先立って、
前記管理担当者から、前記再回答の内容を新たな回答候補として登録するか否かの選択の入力を受け付けるステップを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記選択の入力を受け付けるステップでは、
前記再回答の内容が属する質問区分の指定の入力を受け付ける、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記再回答の内容を前記データベースに登録するステップでは、
選択された前記質問区分と紐づけて前記再回答の内容を登録する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記再回答の内容を前記データベースに登録するステップでは、
選択された前記質問区分と紐づけて、前記質問文を必要に応じて編集した後に登録する、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記回答文に対する評価には、
前記回答文に含まれる回答内容に過不足があることを指摘する否定的な評価と、
前記回答文に含まれる回答内容の質問区分が不適切であることを指摘する否定的な評価と、を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記質問文を管理担当者に対して提示するステップでは、
前記管理担当者に対して、ユーザが入力した否定的な評価の内容を提示する、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記回答文に対する評価の入力を受け付けるステップにおいて、前記回答内容の質問区分が不適切であることを指摘する否定的な評価が入力されたことに応答して、ユーザに対して、学習済みモデルが前記回答文の次に回答すべき候補として出力した複数の回答文を新たに提示する、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
新たに提示した複数の回答文のいずれにも適切な回答が含まれない旨の評価がユーザから入力されたことに応答して、前記質問文を前記管理担当者に対して提示するステップを実行させる、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
新たに提示した複数の回答文に適切な回答が含まれる旨の評価がユーザから入力されたことに応答して、前記質問文を前記適切な回答に対応する新たな質問パターンとして前記データベースに登録するステップを実行させる、請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータに用いられる方法であって、
前記コンピュータのプロセッサが、
ユーザから質問文の入力を受け付けるステップと、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された前記質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された前記回答文をユーザに対して提示するステップと、
ユーザから、前記回答文に対する評価の入力を受け付けるステップと、
前記回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、前記質問文を管理担当者に対して提示するステップと、
前記管理担当者から、前記質問文への再回答の入力を受け付けるステップと、
新たな回答候補として、前記再回答の内容を前記データベースに登録するステップと、を実行する方法。
【請求項12】
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータを有する自動応答システムであって、
前記コンピュータのプロセッサは、
ユーザから質問文の入力を受け付ける手段と、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された前記質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された前記回答文をユーザに対して提示する手段と、
ユーザから、前記回答文に対する評価の入力を受け付ける手段と、
前記回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、前記質問文を管理担当者に対して提示する手段と、
前記管理担当者から、前記質問文への再回答の入力を受け付ける手段と、
新たな回答候補として、前記再回答の内容を前記データベースに登録する手段と、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザからの問い合わせに対して自動応答により回答を行う自動応答システム(チャットボット)が広く利用されている。
例えば特許文献1に記載のシステムでは、会話のパターンを用いた機械学習により、入力された質問文に対して適切な回答文を生成する処理が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような自動応答システムでは、会話のパターンを用いた機械学習により質問への回答を行うため、会話のパターンが準備されていない特定の問い合わせに対しては、適切な学習ができておらず回答ができないことがある。
【0005】
本発明は、仮に対応する会話のパターンが準備されていない場合でも、円滑に適切な回答を行うことができる自動応答システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータに用いられるプログラムであって、コンピュータのプロセッサに、ユーザから質問文の入力を受け付けるステップと、予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された回答文をユーザに対して提示するステップと、ユーザから、回答文に対する評価の入力を受け付けるステップと、回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、質問文を管理担当者に対して提示するステップと、管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付けるステップと、新たな回答候補として、再回答の内容をデータベースに登録するステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る自動応答システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る従業員端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る管理者端末の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る自動応答システムにおける使用手順の前半を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る自動応答システムにおける使用手順の後半を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る従業員データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る会話パターンデータベースのデータ構造の概要を示す第1の図である。
【
図9】本実施形態に係る会話パターンデータベースのデータ構造の概要を示す第2の図である。
【
図10】本実施形態に係る会話パターンデータベースの第1の編集画面を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る会話パターンデータベースの第2の編集画面を示す図である。
【
図12】自動応答システムによる処理のうち、
図5における手順P01からP07における処理の詳細を説明する図である。
【
図13】自動応答システムによる処理のうち、
図5における手順P08からP10における処理の詳細を説明する図である。
【
図14】自動応答システムによる処理のうち、
図6における手順P11からP19における処理の詳細を説明する図である。
【
図15】自動応答システムによる処理のうち、
図6における手順P20からP21における処理の詳細を説明する図である。
【
図16】自動応答システムにおける画面例のうち、
図12に示す第1画面例P10を示す図である。
【
図17】自動応答システムにおける画面例のうち、
図13に示す第2画面例P11を示す図である。
【
図18】自動応答システムにおける画面例のうち、
図15に示す第3画面例P12を示す図である。
【
図19】自動応答システムにおける画面例のうち、
図15に示す第4画面例P13を示す図である。
【
図20】自動応答システムにおける画面例のうち、
図15に示す第5画面例P14を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0009】
(1)自動応答システム1の構成
自動応答システム1(以下、単にシステム1という)の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るシステム1の全体構成を示すブロック図である。システム1は、例えば企業内で使用される社内システムの一部を構成する。システム1は、従業員(ユーザ)が例えば人事部門や総務部門といった管理部門に対して、社内のルールについての問い合わせを行う際に用いられるシステムである。自動応答システム1は、テキスト入力により行われた質問に対して、適切な回答を自動応答により出力するチャットボットである。
【0010】
図1に示すように、システム1は、複数の従業員端末10と、複数の管理者端末20と、サーバ30と、会話パターンDB(データベース)40と、により構成される。
従業員端末10、管理者端末20、サーバ30、および会話パターンDB40は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)50を介して接続される。
【0011】
従業員端末10および管理者端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
従業員端末10とは、システム1が運用される会社の従業員が使用する端末である。この説明において、従業員とは、雇用形態を問わずシステム1が運用される会社の業務に従事する者を指す。なお、この発明における従業員端末10には、従業員には含まれない役員が使用する端末を含んでもよい。
【0012】
管理者端末20とは、システム1の管理者が使用する端末である。管理者とは、システム1が運用される会社において、システム1の保守及び運用についての責任を負う主管部門に属する従業員を指す。主管部門としては、例えば総務、人事、経理、財務といった、各部門からの問い合わせが多い管理部門が該当する。なお、主管部門としては管理部門に限られず、例えば、営業部門からの問い合わせが頻繁にある営業支援部門、又は営業支援部門からの問い合わせが頻繁にある製造部門等をシステム1の主管部門としてもよい。
【0013】
ここで、従業員端末10のうちの一部が管理者端末20に該当することになるが、当該端末の操作の目的により、従業員端末10か管理者端末20かを区別する。
すなわち、主管部門に属する従業員が、システム1を用いて社内のルールについて確認する場合には、当該従業員が使用する端末は、この説明における従業員端末10に該当する。一方、当該従業員が、自身の職務として、後述するシステム1の保守に関する操作を行う場合には、当該従業員が使用する端末は、この説明における従業員端末10に該当する。
【0014】
サーバ30は、複数の従業員端末10から取得した情報、および複数の管理者端末20から入力された情報に基づいた演算処理を実行し、後述する各種の情報を出力する。サーバ30は、1以上の物理コンピュータによって構成され得る。
サーバ30は、従業員端末10から送信されたリクエストに応じたレスポンスを従業員端末10に提供する。
サーバ30は、管理者端末20から送信されたリクエストに応じたレスポンスを管理者端末20に提供する。
【0015】
(1-1)従業員端末10の構成
従業員端末10の構成について説明する。
図2は、本実施形態の従業員端末10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、従業員端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、従業員端末10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、従業員端末10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、従業員端末10に接続される出力デバイスに情報を出力させるように構成される。
入力デバイスは、例えば、物理ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ15、スピーカ、ランプ、又は、それらの組合せである。
【0021】
通信インタフェース14は、従業員端末10と外部装置(例えば、管理者端末20、サーバ30、会話パターンDB40、またはそれらの組み合わせ)との間の通信を制御するように構成される。
ディスプレイ15は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ15は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0022】
(1-2)管理者端末20の構成
管理者端末20の構成について説明する。
図4は、本実施形態の管理者端末20の構成を示すブロック図である。
【0023】
図4に示すように、管理者端末20は、記憶装置21と、プロセッサ22と、入出力インタフェース23と、通信インタフェース24、ディスプレイ25と、を備える。
【0024】
記憶装置21は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置21は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0025】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0026】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0027】
プロセッサ22は、記憶装置21に記憶されたプログラムを起動することによって、管理者端末20の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ22は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0028】
入出力インタフェース23は、管理者端末20に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、管理者端末20に接続される出力デバイスに情報を出力させるように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ25、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0029】
通信インタフェース24は、管理者端末20と外部装置(例えばサーバ30、会話パターンDB40、またはそれらの組み合わせ)との間の通信を制御するように構成される。
ディスプレイ25は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ25は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0030】
(1-3)サーバ30の構成
サーバ30の構成について説明する。
図3は、本実施形態のサーバ30の構成を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0032】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0033】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム(例えば、自動応答モデル)
【0034】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース(例えば、従業員データベース)
・情報処理の実行結果
【0035】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0036】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報を出力させるように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0037】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、従業員端末10、管理者端末20、会話パターンDB40、またはそれらの組み合わせ)との間の通信を制御するように構成される。
【0038】
次に、サーバ30の記憶装置31が記憶する自動応答モデルについて説明する。
自動応答モデルは、チャットボットとしての自動応答機能を実現するための学習済みモデルである。自動応答モデルは、例えば、サーバ30が自動応答サービスを提供するにあたり、予め記憶装置31に記憶されている。自動応答モデルは、後述する処理に基づき、随時、再学習される。自動応答モデルは、例えば、会話パターンDB40に記憶された会話パターンを学習用データとして学習している。
【0039】
自動応答モデルは、学習用データに基づき、モデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。本実施形態において、自動応答モデルは、例えば、入力される質問文に対し、所定の回答文を、当該回答文が属する質問区分(QA項目)とともに出力するように学習されている。このとき、学習用データは、例えば、会話の種類に応じた複数の質問パターンを入力データとし、この質問パターンに対する回答パターン、およびその区分を正解出力データとする。
より具体的には、自動応答モデルは、入力された質問文に対してテキストマイニング処理を行い、質問文の特徴量に対して類似度が高い特徴量を有する質問パターンを選定する。そして、当該質問パターンが紐づけられた質問区分(QA項目)に対応する回答パターンを選定する。この際、自動応答モデルは、類似度の高さに応じたレコメンドスコアを選定された質問区分(QA項目)に対して付与し、レコメンドスコアが高い複数の質問区分(QA項目)と回答パターンをレコメンドする。
【0040】
本実施形態に係る機械学習モデルは、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る機械学習モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる自動応答モデルは、質問を入力する入力層と、質問に対する回答を出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。自動応答モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0041】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、時系列情報等を対象とする再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)を用いてもよい。また、自然言語を対象とする自己注意機構付きネットワークを用いてもよい。
【0042】
記憶装置31は、自動応答モデルを用いてユーザからの質問に回答するための対話プログラムを記憶している。対話プログラムは、例えば、記憶装置31に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて記憶装置31にインストールされてもよい。
【0043】
(1-4)会話パターンDB40の構成
図1に示す会話パターンDB40は、自動応答モデルの学習用データとなる会話パターンを記憶するデータベースである。会話パターンとは、質問文の候補である質問パターンと、回答文の候補である回答パターンと、を含む。
会話パターンDB40は、質問の内容に応じて分類される質問の区分であるQA項目に対して、回答パターンを紐づけて記憶している。また、会話パターンDB40は、1つのQA項目(すなわち1つの回答パターン)に対して、複数の回答パターンを紐づけて記憶している。会話パターンDB40の構造の詳細については後述する。
【0044】
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は、システム1における使用手順の前半を示す図である。
図6は、システム1における使用手順の後半を示す図である。システム1は、一般的なチャットボットとは異なり、適切な回答が出力できなかった場合に、保守を促す情報を管理者に通知する機能を有している。この点について詳述する。
【0045】
図5に示すように、システム1の手順の前半を以下に列挙する
・手順P01:ユーザが質問文を入力する。
・手順P02:ユーザに対して回答を出力する。
・手順P03:ユーザが、システム1から出力された回答に対して評価を入力する。
・手順P04:ユーザからの評価が肯定的な場合、処理を終了する。
・手順P05:ユーザからの評価が否定的な場合、その理由を確認する。
【0046】
ここで、ユーザからの評価が否定的な理由には、主に以下の2つが挙げられる。システム1では、否定的な評価の内容を管理者に通知する。
・理由1:回答文に含まれる回答内容に過不足がある場合(手順P07)
・理由2:回答文に含まれる回答内容のQA項目が不適切である場合(手順P06)
【0047】
理由1は、システム1が、ユーザからの質問に対して適切な質問区分(QA項目)をレコメンドしているが、回答の内容が更新されていない、又は余計な情報を含むなどの理由により、不備が生じていると考えられる場合である。この場合には、該当するQA項目に対して紐づけられた回答パターンについて、管理者が情報を更新して修正することが必要となる。
【0048】
このため、理由1の不備を解消する処理は、以下の手順で行われる。
・手順P08:管理者に対して回答パターンの情報更新を推奨する。
・手順P09:管理者が回答パターンの情報を更新する。
・手順P10:更新された情報に基づいて、質問をしたユーザに新たに回答がされる。
これにより、理由1により回答内容に不備がある場合に、適切な情報をユーザに対して回答することができる。
【0049】
一方、手順P06における理由2は、システム1が、ユーザからの質問に対して適切な質問区分(QA項目)をレコメンドできておらず、質問に対して関連性の低い情報を回答していることにより、不備が生じていると場合である。この場合には、回答パターンに対して紐づけられた質問パターンを修正する必要性、又はそもそも当該質問に対応するQA項目が設定されていないが懸念される。
【0050】
このため、理由2の不備を解消する処理は、
図6に示すように、以下の処理で行われる。
・手順P11:他の回答候補を出力する。
この際、前回出力したQA項目を除外して、他の複数の回答候補について、例えば、QA項目の名称を並べた複数の選択肢を出力し、ユーザに適切と思われる回答候補を選択させる。また、適切と思われる選択肢がない場合を想定し、その旨を記載した選択肢(「該当なし」)も併せて出力する。
【0051】
まず、いずれかのQA項目をユーザが選択した場合を説明する。
・手順P12:ユーザが選択したQA項目について、回答パターンを表示する。
・手順P13:新たな回答に対して、評価を入力する。
【0052】
ここで、肯定的な評価が入力された場合(手順P14)には、以下の処理を行う。
・手順P15:質問文を新たな質問パターンとして追加する。
すなわち、回答パターンに対して紐づけられた質問パターンが不十分であったと判断し、当該質問を、新たな質問パターンとして回答パターンに対して紐づけて会話パターンDB40に登録する。その後、自動応答モデルが再学習をすることで、同様の質問が今後入力された場合に、今回再回答した内容を出力できるように更新する。
【0053】
一方、手順P13において、否定的な評価が入力された場合(手順P16)には、その理由を確認する。
この場合にも、ユーザからの評価が否定的な理由は、以下のいずれかになる。
・理由1:回答文に含まれる回答内容に過不足がある場合(手順P18)
・理由2:回答文に含まれる回答内容のQA項目が不適切である場合(手順P17)
【0054】
ここで、理由1の場合には、適切なQA項目のレコメンドはできたものとして、回答内容を更新する必要があると判断し、前述した
図5における手順P08からP10の処理を行う。これにより、理由1により回答内容に不備がある場合に、適切な情報をユーザに対して回答することができる。
【0055】
一方、理由2の場合には、適切なQA項目のレコメンドが前回同様にできていないものとして、手順P11の処理を再度繰り返す。すなわち、過去2回において出力したQA項目を除外して、他の複数の回答候補について、再度ユーザに対して選択肢を出力する。
【0056】
次に、手順P10において新たに出力された他の回答候補について、適切な選択肢がない場合(手順P19)を説明する。
・手順P20:エスカレーション処理を行う。
・手順P21:管理者からの回答内容をユーザに対して通知する。
ここで、エスカレーション処理とは、そもそもユーザからの質問に対応する適切なQA項目が設定されていないと判断し、管理者からのテキスト入力による回答を行う処理である。またエスカレーション処理では、当該回答を新たに管理者の判断により、新たな会話パターンとして登録することもできる。
【0057】
例えば、当該質問が今後も他の従業員から頻繁に来る可能性があれば、テキスト入力した回答を回答パターンとし、当該質問を質問パターンとして、新たに設定したQA項目に対して紐づけて会話パターンDB40に記憶させることができる。
一方、当該質問がユーザの個人的な事情に関する質問である場合には、一般化した回答は導きにくいため、新たな会話パターンの登録は不要と判断することもできる。
【0058】
そして、このようにテキスト入力された回答がユーザに対して通知されることで、適切なQA項目が設定されていないような質問についても、適切に回答を行うことができる。
また、その後に自動応答モデルが再学習をすることで、新たに登録された質問パターンと類似する質問が別途問い合わせされた場合に、新たな回答パターンとして設定された回答文が出力される。
【0059】
(3)データベース
本実施形態に係るシステム1が使用するデータベースについて説明する。
【0060】
(3-1)従業員DB
本実施形態に係る従業員DB(データベース)について説明する。
図7は、本実施形態に係る従業員DBのデータ構造の一例を示す図である。従業員DBはサーバ30の記憶装置31に記憶されている。
【0061】
従業員DBには、従業員情報が格納される。従業員情報は、企業に属する従業員に関する情報である。なお、従業員DBには、使用者である役員に関する情報を含んでもよく、システム1により問い合わせを行う全てのユーザの情報を含みえる。
【0062】
図7に示すように、従業員DBは、「従業員ID」フィールドと、「氏名」フィールドと、「所属部署」フィールドと、「役職」フィールドと、「連絡先」フィールドと、「個人情報」フィールドと、を含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0063】
「従業員ID」フィールドには、従業員のIDが格納される。従業員IDは、従業員を識別するための符号であり、従業員ごとに設定されている。
【0064】
「氏名」フィールドには、従業員IDに対応する従業員の氏名が格納される。
【0065】
「所属部署」フィールドには、従業員IDに対応する従業員の現在の所属部署に関する情報が格納される。例えば、「所属部署」フィールドには、営業部、開発部、法務部、総務部、製造部等の部署名が格納される。
【0066】
「役職」フィールドには、従業員IDに対応する従業員の現在の役職に関する情報が格納される。「役職」フィールドには、チームリーダ、課長、部長等の部署における役職に限られず、プロジェクトマネージャー等のような業務案件における役割に関する情報を格納してもよい。また、役職にかえて、あるいは役職とは別に、従業員の職位に関する情報を格納してもよい。
【0067】
「個人情報」フィールドには、従業員IDに対応する従業員の個人情報が格納される。従業員の個人情報は、例えば以下の情報を含む。
・年齢、性別、生年月日等の出生に関する情報
・国籍、出身地、居住地等の従業員と関連の深い地理的な情報
・学歴、職歴(現職における過去の役職、業務内容を含む)等の経歴に関する情報
・配偶者および子供の有無等の家族に関する情報
なお、これらの各情報は、項目毎に従業員DBにカラムが設けられてもよい。
【0068】
また、従業員DBには、これらの属性に限定されず、従業員の属性に関するあらゆる情報を格納することができる。
【0069】
(3-2)会話パターンDB
会話パターンDB40について説明する。
図8は、本実施形態に係る会話パターンDB40のデータ構造の概要を示す第1の図である。
図9は、本実施形態に係る会話パターンDB40のデータ構造の概要を示す第2の図である。
【0070】
図8に示すように、会話パターンDB40は、質問の内容に応じて分類されたQA項目と呼ばれる質問の区分により、会話パターンを記憶する領域が区画されている。会話パターンは、質問パターンおよび回答パターンにより構成される。質問パターンは、ユーザからの質問を想定して設定された質問文を示すテキストデータである。回答パターンは、質問パターンに相当する質問への回答として設定された回答候補となる回答文を示すテキストデータを含む回答情報である。回答パターンには回答内容が記載されたPDFなどの文書データ、所内のシステム又は役所などが管理するサイトのアドレス情報、および画像データが含まれてもよい。
【0071】
通常、一つの回答パターンに対して複数の質問パターンが設定されている。すなわち、同じ回答を求めている場合であっても、ユーザ毎に質問の仕方が異なることが想定される。このため、幅広い質問の仕方に対して適切にQA項目をレコメンドできるように、一つの回答パターンに対して複数の質問パターンが設定されている。
【0072】
図9に示すように、会話パターンDB40は階層構造をなしている。各QA項目は、関連性の高いもの同士が、小カテゴリと呼ばれる中区分に分類されている。
更に、関連性の高い複数の小カテゴリをまとめて、大カテゴリと呼ばれる大区分が分類されている。このように階層だててQA項目を管理することで、会話パターンの編集を円滑に行うことができる。
【0073】
図示の例では、大カテゴリとして以下の大区分が設定されている。
・勤怠管理…日々の業務の勤怠の記録の修正、休暇の申請方法等に関する内容
・労務手続…従業員の住所、氏名、家族構成の変更等に関する内容
・経費関連…各種の経費の精算方法の確認等に関する内容
・人事関連…社内公募、異動希望等に関する内容
・総務関連…オフィスの設備の利用方法、又は設備の修繕の依頼等に関する内容
・その他…上記のいずれにも該当しない内容
なお、この大区分はあくまで一例であって、任意に変更、追加することができる。
【0074】
そして、図示の例では、勤怠管理の大カテゴリに少なくとも以下の小カテゴリが、中区分として設定されている。
・出張費関連…出張に伴い発生する費用の清算等に関する内容
・福利厚生関連…例えば日々の交通費を含む福利厚生に関する内容
なお、この中区分はあくまで一例であって、任意に変更、追加することができる。
【0075】
そして、図示の例では、出張費関連の小カテゴリに少なくとも以下のQA項目が、質問区分として設定されている。
・旅費申請に関して…出張に伴う交通費の清算方法に関する内容
・交通手段の予約方法に関して…出張に伴う交通チケットの予約方法に関する内容
・宿泊施設の費用の条件に関して…出張先での宿泊施設の条件(費用)に関する内容
なお、このQA項目はあくまで一例であって、任意に変更、追加することができる。
【0076】
そして、これらの階層構造を有する各区分は、任意に編集することができる。
図10は、会話パターンDB40の第1の編集画面を示す図である。
図11は、会話パターンDB40の第2の編集画面を示す図である。
図10に示すように、QA項目を編集する際には、管理者は、管理者端末20に表示されたQA項目の設定画面において、左側に表示された大カテゴリから、編集するQA項目が含まれる大区分を選択する。更に、右側の画面において、編集するQA項目が含まれる小カテゴリを選択し、編集対象となるQA項目(図示の例では、「交通費の申請に関して」)を選択する(符号G)。これにより、
図11に画面表示が遷移する。
【0077】
次に、管理者は、
図11において、表示されたQA項目に対する回答パターンの編集を行う。具体的には、
図11の上図に示すように、回答文としてのテキスト情報、および回答内容を含まれる各種のファイルデータの入力を行う。
また、管理者は、この画面において質問パターンの追加を行うことができる。管理者は、該当するQA項目についてユーザがどのような質問をする可能性があるか、という観点で、質問の仕方を広げて設定する。最後に、入力された内容を保存ボタンHをクリックすることで保存する。これにより、新たなQA項目が設定される。このようにして会話パターンDBには、各種の内容の質問に対する回答パターンが登録されている。
【0078】
(4)情報処理
次に、本実施形態の情報処理について説明する。
図12は、システム1による処理のうち、
図5における手順P01からP07における処理の詳細を説明する図である。
【0079】
(4-1)手順P01からP07
図12に示すように、まず、従業員端末10は、ユーザからの質問文の入力を受け付ける(ステップS101)。
具体的には、従業員であるユーザが、日々の業務において、管理部門に確認が必要な不明点(困りごと)が生じた場合に、従業員端末10を操作してシステム1のチャット機能を起動させ、質問文を会話形式でチャット欄に入力する。従業員端末10のプロセッサ12は、通信インタフェース14を介して入力されたテキスト情報を、サーバ30に出力する。
【0080】
ステップS101の後に、サーバ30は、ユーザから入力された質問文を取得する(ステップS301)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、通信インタフェース34を介して、従業員端末10から出力された質問文であるテキスト情報を取得する。
【0081】
ステップS301の後に、サーバ30は、質問文に対する最適な回答文を選択する(ステップS302)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、自動応答モデルに質問文を入力することで、予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、自動応答モデルから出力された回答候補であって、レコメンドスコア最も高いQA項目および回答パターンを選択する。
【0082】
ステップS302の後に、サーバ30は、選択した回答文を出力する(ステップS303)。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS301において選択した回答パターンを、通信インタフェース34を介して、従業員端末10に出力する。
【0083】
ステップS303の後に、従業員端末10は、サーバ30から出力された回答文を表示する(ステップS102)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、サーバ30から出力された回答文を通信インタフェース14を介して取得し、ディスプレイ15に表示する。これにより、質問を行ったユーザに対して、質問への回答が提示される。
【0084】
ステップS102の後に、従業員端末10は、回答文に対するユーザからの評価の入力を受け付ける(ステップS103)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、回答文の表示の後に、当該回答文が適切かどうかのアンケートをユーザに対して表示する。この際、アンケートでは、少なくとも以下の内容をユーザに対して確認する。
・回答文が適切であるかどうか
・回答文が不適切である場合に、その理由
【0085】
また、回答文が不適切である場合におけるその理由については、以下の選択肢を提示してユーザに選択をさせる。
・回答文に含まれる回答内容に過不足がある為
・回答文に含まれる回答内容の質問区分(QA項目)が不適切である為
なお、回答文が不適切である場合におけるその理由については、選択肢を提示することなく、ユーザからのテキスト入力によるアンケートを行ってもよい。プロセッサ12は、通信インタフェース14を介して入力された評価結果を、サーバ30に出力する。この時の従業員端末10のディスプレイ15に表示される第1画面例P10については後述する。
【0086】
ステップS103の後に、サーバ30は、ユーザから入力された評価結果を取得する(ステップS304)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、ユーザが入力した回答の内容を、通信インタフェース14を介して取得する。
【0087】
ステップS304において、肯定的な評価がユーザから入力された場合(ステップS305におけるYes)、サーバ30は、処理を終了する。ユーザの質問への回答が適切であり、それによりユーザの抱える困りごとが解消したもの判断できるためである。
【0088】
一方、ステップS304において、否定的な評価がユーザから入力された場合(ステップS305におけるNo)、サーバ30は、その否定的な評価の理由により、処理を分岐する。
【0089】
具体的には、回答文に含まれる回答内容の質問区分(QA項目)が不適切であるとユーザが入力した場合(ステップS306におけるX)には、サーバ30は、結合子B以降の処理を行う。
一方、回答文に含まれる回答内容に過不足があるとユーザが入力した場合(ステップS306におけるY)には、サーバ30は、結合子C以降の処理を行う。ここではまず、結合子C以降の処理について説明する。
図13は、結合子C以降の処理として、システム1による処理のうち、
図5における手順P08からP10における処理の詳細を説明する図である。
【0090】
(4-2)手順P08からP10
ステップS306の後に、サーバ30は、管理者端末20に対して、情報更新の推奨の通知を行う(ステップS311)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、レコメンドしたQA項目に紐づけられた回答パターンについて、管理者に情報更新を推奨する旨の通知を、通信インタフェース24を介して管理者端末20に向けて出力する。この通知には、例えば、以下の情報が含まれる。
・情報更新が必要なQA項目のタイトル
・当該QA項目に関連するお問合せ件数
・回答文に対して不備を指摘したユーザに関する情報
すなわち、ユーザから、回答文に含まれる回答内容に過不足があるという指摘がある以上、その不備を解消するために、当該回答文の情報を更新する必要があると考えられるためである。
【0091】
ステップS311の後に、管理者端末20は、情報更新の推奨の通知を、ディスプレイ25に表示する(ステップS211)。
具体的には、管理者端末20のプロセッサ22は、サーバ30から出力された情報更新の推奨の通知を通信インタフェース24を介して受領し、その内容をディスプレイ25に表示することで、管理者に提示する。これにより、管理者が、更新が必要なQA項目の内容を把握することができる。この時の管理者端末20のディスプレイ25に表示される第2画面例P11については後述する。
【0092】
ステップS211の後に、管理者は、回答内容の情報を更新する(ステップS212)。
具体的には、管理者は、管理者端末20を操作して、情報更新が必要なQA項目の回答文について、その内容を編集し更新を行う。この際、前述したQA項目の編集画面(
図10、
図11参照)において、QA項目の編集を行うことができる。管理者端末20のプロセッサ22は、通信インタフェース24を介して、更新した旨、およびその内容をサーバ30へ出力する。
【0093】
ステップS212の後に、サーバ30は、更新された情報を取得する(ステップS312)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、管理者端末20から出力された情報を通信インタフェース34を介して受領する。
【0094】
ステップS312の後に、サーバ30は、更新された情報を出力する(ステップS313)。
具体的には、プロセッサ32は、更新された回答文に関する情報を、回答文に対して不備を指摘したユーザに対して、通信インタフェース34を介して出力する。この際、回答文を新たに通知するうえで、管理者により、回答文に含まれる情報が更新されている旨を通知する。
【0095】
ステップS313の後に、従業員端末10は、出力された情報を表示する(ステップS111)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、通信インタフェース14を介してサーバ30から出力された情報を取得し、回答の内容をディスプレイ15に表示する。ユーザは、ディスプレイ15に表示された回答の内容を確認することで、当初の質問に対して、情報が更新された適切な回答文を確認することができる。
以上により、
図12における結合子C以降(
図5に示す手順P08からP10)が終了する。次に、
図12における結合子B以降の処理について説明する。
【0096】
(4-3)手順P11からP19
図14は、システム1による処理のうち、
図6における手順P11からP19における処理の詳細を説明する図である。
図14に示すように、ステップS306の後に、サーバ30は、他の回答候補をユーザに対して提示する(ステップS321)。すなわち、前工程において、回答文に含まれる回答内容のQA項目が不適切であるとユーザが評価しているので、そもそも、質問文からレコメンドしたQA項目が妥当ではなかったとみなすことができる。このため、サーバ30は、既にユーザに対して提示した回答文の次に回答すべき候補として、自動応答モデルが出力した他の複数の回答文を、新たに出力する。
【0097】
具体的には、プロセッサ32は、
図13のステップS302において自動応答モデルからレコメンドされた複数のQA項目のうち、レコメンドスコアが2番以降となる複数のQA項目を選択し、従業員端末10に向けて出力する。この際、選択したQA項目と、当該QA項目に紐づけられた回答パターンの情報と、を出力する。
【0098】
ステップS321の後に、従業員端末10は、サーバ30から出力された他の回答候補を表示する(ステップS121)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、サーバ30から出力された複数の回答候補(例えばレコメンドスコアが2番から4番の3つのQA項目の名称)をディスプレイ15に表示する。この際、プロセッサ12は、ユーザに、確認すべき回答文と対応しそうなQA項目を選択の入力を受け付ける。プロセッサ12は、適切なQA項目の選択肢がない場合に備えて、「選択肢なし」という選択肢を併せて表示する。
【0099】
ステップS121の後に、従業員端末10は。他の回答候補からのユーザによる選択を受け付ける(ステップS122)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、ディスプレイ15に表示した複数のQA項目の選択肢、および「選択肢無し」を示す選択肢のうちのいずれかを、ユーザが選択する操作の入力を受け付ける。プロセッサ12は、選択された情報を、サーバ30に出力する。
【0100】
ステップS122において、適切なQA項目の選択肢がない場合、すなわち、「選択肢無し」の選択肢がユーザにより選択された場合(ステップS123のNo)には、管理者にその後の対応を委ねるエスカレーション処理として、結合子D以降の処理を実行する。このエスカレーション処理については
図15を用いて後述する。
【0101】
ステップS122において、いずれかのQA項目の選択肢がユーザにより選ばれた場合(ステップS123のYes)には、従業員端末10は、選択された回答候補の内容を表示する(ステップS124)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、ユーザにより選択されたQA項目に紐づけて記憶された回答パターンを回答文としてディスプレイ15に表示する。これにより、ユーザに対して新たな回答文が提示される。
【0102】
ステップS124の後に、従業員端末10は、回答文に対する評価の入力を受け付ける(ステップS125)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、ユーザに対して新たに提示した回答文が適切かどうかのアンケートをユーザに対して表示する。このアンケートは、
図12のステップS103において表示したアンケートと同じである。具体的には、このアンケートでは、少なくとも以下の内容をユーザに対して確認する。
・回答文が適切であるかどうか
・回答文が不適切である場合に、その理由
【0103】
また、そして、前回同様に、回答文が不適切である場合におけるその理由については、以下の選択肢を提示してユーザに選択をさせる。
・回答文に含まれる回答内容に過不足がある為
・回答文に含まれる回答内容の質問区分(QA項目)が不適切である為
【0104】
ステップS125の後に、サーバ30は、ユーザから入力された評価結果を取得する(ステップS322)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、ユーザが入力した回答の内容を、通信インタフェース14を介して取得する。
【0105】
ステップS322において、肯定的な評価がユーザから入力された場合(ステップS323におけるYes)、サーバ30は、ユーザからの質問文を、適切な回答であった再回答に対応する新たな質問パターンとして、会話パターンDB40に登録する。この場合には、ユーザからの質問に対して本来回答するべきであった再回答の回答パターンに対して、適切な質問パターンが紐づけられていなかったものと考えられる。このため、当該質問文を新たな質問パターンとして再回答に係る回答パターンに紐づけて会話パターンDB40に記憶させる。その後、自動応答モデルが新たな会話パターンを再学習することで、同様の質問に対して、適切な回答を以後行うことができる。
その後、サーバ30は処理を終了する。
【0106】
一方、ステップS322において、否定的な評価がユーザから入力された場合(ステップS323におけるNo)、サーバ30は、その否定的な評価の理由により、処理を分岐する。
【0107】
具体的には、回答文に含まれる回答内容の質問区分(QA項目)が不適切であるとユーザが入力した場合(ステップS325におけるX)には、サーバ30は、結合子B以降の処理として、ステップS321の処理を再度実行する。すなわち、サーバ30は、推薦された順番に従って、未だ提示していない他のQA項目を回答候補として出力する。それ以降の処理は、同様に実行される。
【0108】
一方、回答文に含まれる回答内容に過不足があるとユーザが入力した場合(ステップS325におけるY)には、サーバ30は、結合子C以降の処理として、
図13に示すステップS311以降の処理を再度実行する。すなわち、サーバ30は、QA項目に紐づけられた回答パターンの情報の更新を推奨する旨の通知を、管理者端末20に向けて出力する。
以上により、
図6に示す手順P11からP19の処理が終了する。
【0109】
(4-4)手順P20からP21
次に、結合子D以降の処理として、エスカレーション処理を含む
図6における手順P20からP21における処理を説明する。
図15は、システム1による処理のうち、
図6における手順P20からP21における処理の詳細を説明する図である。
【0110】
図15に示すように、サーバ30は、質問文を管理者端末20に出力する(ステップS331)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、新たに複数の回答文の候補を提示した場合であっても適切なQA項目がレコメンドされていないとユーザが判断した場合に、その質問文を管理者端末20に出力する。エスカレーション処理を管理者に促すためである。エスカレーション処理とは、管理者が直接質問文を確認して回答をテキスト入力することによる、ユーザからの質問への個別の対応を指す。
【0111】
ステップS331の後に、管理者端末20は、質問文を表示する(ステップS231)。
具体的には、管理者端末20は、サーバ30から出力された質問文をディスプレイ25に表示する。これにより、管理者に対して当該質問文が提示される。この時の管理者端末20のディスプレイ25に表示される第3画面例P12については後述する。
【0112】
ステップS231の後に、管理者端末20は、再回答についての回答入力を受け付ける(ステップS232)
具体的には、管理者は、提示された質問文を確認し、その回答を管理者端末20の入出力インタフェース33を操作して入力する。この時の管理者端末20のディスプレイ25に表示される第4画面例P13については後述する。
【0113】
ステップS232の後に、管理者端末20は、新たに会話パターンDB40に追加するかどうかの選択を受け付ける(ステップS233)
具体的には、管理者端末20のプロセッサ12は、ディスプレイ25に対して、管理者が入力した内容について、新たに会話パターンとして登録するかどうかの選択肢を表示する。管理者は、新たに会話パターンとして登録する場合には、登録する旨の指示に併せて、回答文が紐づけられる新たなQA項目の区分を入力する。具体的には、再回答の回答文が新たに登録されるQA項目の区分の名称を管理者が入力する。また、管理者は、質問文について、新たな質問パターンとして登録するうえでの必要な編集を行うこともできる。
この時の管理者端末20のディスプレイ25に表示される第5画面例P14については後述する。
【0114】
ステップS233の後に、管理者端末20は、入力された情報をサーバ30に出力する(ステップS234)
具体的には、管理者端末20のプロセッサ22は、管理者により入力された情報として、例えば以下の情報を、サーバ30に出力する。
・管理者により入力された新たな回答文の情報
・管理者により入力された、当該回答文を新たに会話パターンDB40に登録するかどうかに関する情報
・管理者により入力された、当該回答文を新たに会話パターンDB40に登録する場合において、当該会話文が紐づけられる新たなQA項目の名称に関する情報
・質問文に対する編集により、作成された新たな質問パターンを示すテキストデータ
【0115】
ステップS234の後に、サーバ30は、入力された情報を取得する(ステップS332)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、管理者端末20から出力された、新たな回答に関する情報を取得する。
【0116】
ステップS332の後に、サーバ30は、再回答の登録を行う(ステップS333)
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、再回答の回答文を回答パターンとし、ユーザからの質問文(又は質問文から編集されたテキストデータ)を質問パターンとして、ユーザから入力された名称を有する新たなQA項目に紐づける。そして、再回答の回答文およびユーザからの質問文を、会話パターンDB40に登録する。これにより、新たなQA項目に対して、回答パターンおよび質問パターンが新たに登録される。その後、自動応答モデルが新たな会話パターンを再学習することで、同様の質問に対して、自動応答モデルにより当該新たなQA項目がレコメンドされ、管理者から再回答された回答内容が、回答文として質問者の従業員端末10に対して自動で出力される。
【0117】
ステップS333の後に、サーバ30は、再回答の情報を従業員端末10に出力する(ステップS334)。
具体的には、サーバ30のプロセッサ32は、再回答の情報をユーザに提示するために、従業員端末10に出力する。この際、ユーザの連絡先に対して管理者から再回答があった旨を連絡してもよい。
【0118】
ステップS334の後に、従業員端末10は、再回答を表示する(ステップS131)。
具体的には、従業員端末10のプロセッサ12は、ディスプレイ15に再回答を表示することで、ユーザに対して再回答の内容を提示する。これにより、ユーザは再回答を確認することで、自身がおこなった質問に対する適切な回答を得ることができ、困りごとを解消することができる。
以上により、エスカレーション処理を含む
図6における手順P20からP21における処理が終了する。
【0119】
(5)画面例
次に、システム1の画面例について
図16から
図20を参照して説明する。
【0120】
(5-1)第1画面例P10
図16は、システム1における画面例のうち、
図12に示す第1画面例P10を示す図である。
図16に示すように、この画面では、自身が問い合わせを行った質問に対する回答を提示されたユーザに対して、その確認後に、回答の内容に関するアンケートが表示されている。まず、上部に示すアンケートA1において、以下の選択肢が表示されている。
・解決したことを示す選択肢(肯定的な評価)
・解決しなかったことを示す選択肢(否定的な評価)
ここで、回答により困りごとが解決した場合には、回答内容が適切であったという肯定的な評価と捉えることができる(
図12のステップS305のYes)。
一方、回答により困りごとが解決しなかった場合には、回答内容が不適切であったという否定的な評価と捉えることができる(
図12のステップS305のNo)。
【0121】
次に、下部に示すアンケートA2において、以下の選択肢が表示されている。
・回答のレコメンドが間違っている
・回答の内容が不適切
ここで、「回答のレコメンドが間違っている」がユーザにより選択された場合は、回答文に含まれる回答内容のQA項目が不適切である場合に相当する(
図12のステップS306のX)。
一方、「回答の内容が不適切」がユーザにより選択された場合は、回答文に含まれる回答内容に過不足がある場合に相当する(
図12のステップS306のY)。
このように、アンケートを従業員端末10に表示することにより、ユーザからの評価を確認することができる。
【0122】
(5-2)第1画面例P11
図17は、システム1における画面例のうち、
図13に示す第2画面例P11を示す図である。
図17に示すように、第2画面例P11には、回答文に含まれる情報の更新を推奨するQA項目のリストL1として、複数のカテゴリとQA項目が表示されている。図示の例では、大カテゴリとQA項目のタイトルが表示されている。
リストL1には、お問合せ件数が表示されている。お問合せ件数とは、当該QA項目について所定の期間に質問が来た件数を示す数字である。リストL1は、例えばお問合せ件数の多いQA項目が上位に来るように表示されてもよい。
リストL1における編集ボタンB1を管理者がクリックすることで、
図11に示すQA項目の編集画面が表示され、回答内容を編集することで更新することができる。
【0123】
(5-3)第1画面例P12
図18は、システム1における画面例のうち、
図15に示す第3画面例P12を示す図である。
図18に示すように、第3画面例P13には、エスカレーション処理として、管理者による回答を促す質問のリストL2として、複数のカテゴリとQA項目が表示されている。図示の例では、エスカレーション処理が必要と判断された質問文が表示されている。
リストL1における回答ボタンB2を管理者がクリックすることで、
図19に示す第4画面例P13が表示され、回答内容を入力することができる。
【0124】
(5-4)第1画面例P13
図19は、システム1における画面例のうち、
図15に示す第4画面例P13を示す図である。
図19に示すように、第4画面例P13では、管理者からの回答内容を確認する画面が表示されている。管理者は、エスカレーション処理の対象となる質問を確認して、適切な回答を回答欄に入力する。この際、画像データ、動画データ、文書データなどを添付してもよい。
管理者は、適切な回答を入力した後に、下端に表示された「問い合わせに回答」ボタンB3をクリックする。これにより、
図20に示す第5画面例P14が表示される。
【0125】
(5-5)第1画面例P14
図20は、システム1における画面例のうち、
図15に示す第5画面例P14を示す図である。
図20に示すように、第5画面例P14には、管理者から、再回答の内容を新たな回答候補として登録するか否かを選択させるチェックボックスB4が表示されている。
また、第5画面例P14には再回答の内容が属する質問区分の指定の入力欄B5が表示されている。入力欄B5には、登録先のカテゴリとして、大カテゴリおよび中カテゴリが選択できる選択欄B6と、新たなQA項目の名称を入力する入力欄B7と、が表示されている。そして、必要な入力を済ませたユーザが送信ボタンB8をクリックすることで、入力された情報がサーバ30に出力される。
また、図示を省略しているが、ユーザから入力された質問文に対して、質問パターンとして適切な表現に修正する作業を行ってもよい。この質問文への修正は任意であり、必要に応じて行うことができる。
【0126】
(6)小括
以上説明したように、本実施形態に係るシステム1では、自動応答による回答文に対してユーザから否定的な評価がされた後に、エスカレーション処理として、質問文を管理者に対して出力し、管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付ける。そして、システム1では、新たな回答候補として、再回答の内容を会話パターンDB40に登録する。このため、対応する会話パターンが準備されていない場合でも、円滑に適切な回答を行うことができる。また、未だ回答文が準備されていない新たな問い合わせ事項について、担当者からの回答内容を、その後に自動応答により回答できる状態とすることができる。
【0127】
ところで、従来の一般的な消費者向けのチャットボットでは、個別具体的な特定の問い合わせの件数の割合が少ないことと、様々な場面に適用できる汎用性を求めるあまり、特定の問い合わせに対する回答を学習させる動機が少なかった。システム1は特に労務に特化しているので、特定の問い合わせに対する回答を学習させることに充分がメリットがあると考えられる。
【0128】
また、システム1では、再回答の内容を登録するステップに先立って、管理担当者から、再回答の内容を新たな回答候補として登録するか否かの選択の入力を受け付ける。このため、回答に個人情報が含まれる場合など、会話パターンとして一般化するべきではない回答については、新たな登録を行わないという選択肢を管理者に与えることができ、管理者による保守の利便性を向上することができる。
【0129】
また、システム1は、管理者から再回答の内容が属する質問区分の指定の入力を受け付ける。これにより、新たな会話パターンをその内容に応じて適切なカテゴリに登録することができる。
【0130】
また、システム1は、再回答の内容を登録するステップにおいて、管理者から選択された質問区分に対して、再回答の内容を登録する。このため、階層構造を備えたカテゴリにより分類される会話パターンDBの管理を円滑に行うことができる。
【0131】
また、システム1は、再回答の内容を登録するステップでは、選択された質問区分に対して、質問文を登録する。これにより、質問のカテゴリに対して、回答文と質問文を対応付けて管理することができる。
【0132】
また、システム1は、管理担当者に対して、ユーザが入力した否定的な評価の内容を提示する。これにより、ユーザに対して行った結果を、管理者に正確に伝えることができる。
否定的な評価において問題視されている観点を把握することができ、否定的な評価の内容を管理担当者が把握できることで、その後に適切な対応をすることができる。
【0133】
また、システム1は、回答内容の質問区分(QA項目)が不適切であることを指摘する否定的な評価が入力されたことに応答して、ユーザに対して、自動応答モデルが回答文の次に回答すべき候補として出力した複数の回答文を新たに提示する。これにより、自動応答モデルが次候補となる回答文をユーザに複数提示して、適切な回答を提示することができる。
【0134】
また、システム1は、新たに提示した複数の回答文のいずれにも適切な回答が含まれない旨の評価がユーザから入力されたことに応答して、質問文を管理担当者に出力する。これにより、管理者に対して適切にエスカレーション処理を促すことができる。
【0135】
(7)変形例
記憶装置31は、サーバ30の外部に存在し、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
会話パターンDB40に記憶される会話パターンの情報は、サーバ30の記憶装置31に記憶されてもよい。
【0136】
上記の情報処理の各ステップは、従業員端末10、サーバ30、及び管理者端末20の何れでも実行可能である。
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。すなわち、処理に矛盾が生じない範囲において、任意に変更することができる。
【0137】
上述した会話パターンが格納されるカテゴリの内容は、任意に変更可能である。すなわち、管理者の設定により、大カテゴリ、小カテゴリ、QA項目を任意に設定することができる。
【0138】
システム1は、その他の機能を有していてもよい。例えば、システム1は、エスカレーション処理の対象となる質問に対して、再回答をさせるべき担当者を自動で選定してもよい。この機能において、サーバ30のプロセッサ32は、自動応答モデルがレコメンドしたQA項目の内容に応じて、関連性の高い部門を設定する。そして従業員DBを参照して、当該部門において、問い合わせ事項の窓口として設定された回答担当者を選定する。サーバ30は、エスカレーション処理における再回答の担当者として、選定した回答担当者の連絡先に対して、再回答を依頼する通知を送る。回答担当者は、再回答した内容を管理者に対して送信する。管理者は、回答担当者から回答された内容を確認し、新たにQA項目として追加するかどうかの選択を行う
図15におけるステップS233以降の処理を行う。
この機能により、問い合わせ事項が仮に専門性の高い内容を含んでいても、適切な部門の担当者を回答担当者として選定することで、円滑にユーザからの問い合わせに対して回答することができる。
【0139】
また、管理者による再回答を新たなQA項目に登録する場合には、当該QA項目が属する大カテゴリおよび小カテゴリについては、既存のカテゴリに限られない。すなわち、新たなQA項目の登録において、新たな大カテゴリ又は中カテゴリを作成して、その中に格納される新たなQA項目として登録してもよい。例えば、再回答の内容が紐づけられるQA項目だけが所属する再回答専用の大カテゴリ又は中カテゴリを、既存の大カテゴリおよび中カテゴリとは別に設けてもよい。
【0140】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
また、上記の実施形態及び変形例は、その一部を省略可能である。例えば、質問者であるユーザから回答に対する否定的な評価の入力を受け付けた際に、その理由を確認することなく、エスカレーション処理を行ってもよい。
【0141】
(7)付記
本発明の内容を以下に付記する。
【0142】
(付記1)
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータに用いられるプログラムであって、
コンピュータのプロセッサに、
ユーザから質問文の入力を受け付けるステップ(ステップS101)と、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された回答文をユーザに対して提示するステップ(ステップS102)と、
ユーザから、回答文に対する評価の入力を受け付けるステップ(ステップS103)と、
回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、質問文を管理担当者に対して提示するステップ(ステップS231)と、
管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付けるステップ(ステップS232)と、
新たな回答候補として、再回答の内容をデータベースに登録するステップ(ステップS333)と、を実行させるプログラム。
【0143】
(付記2)
プロセッサに、更に、
再回答の内容をデータベースに登録するステップ(ステップS333)に先立って、
管理担当者から、再回答の内容を新たな回答候補として登録するか否かの選択の入力を受け付けるステップ(ステップS233)を実行させる、付記1に記載のプログラム。
【0144】
(付記3)
選択の入力を受け付けるステップ(ステップS233)では、
再回答の内容が属する質問区分の指定の入力を受け付ける、付記1又は2に記載のプログラム。
【0145】
(付記4)
再回答の内容をデータベースに登録するステップ(ステップS333)では、
選択された質問区分と紐づけて再回答の内容を登録する、付記1から3のいずれかに記載のプログラム。
【0146】
(付記5)
再回答の内容をデータベースに登録するステップ(ステップS333)では、
選択された質問区分と紐づけて、質問文を必要に応じて編集した後に登録する、付記1から4のいずれかに記載のプログラム。
【0147】
(付記6)
回答文に対する評価には、
回答文に含まれる回答内容に過不足があることを指摘する否定的な評価と、
回答文に含まれる回答内容の質問区分が不適切であることを指摘する否定的な評価と、を含む、付記1から5のいずれかに記載のプログラム。
【0148】
(付記7)
質問文を管理担当者に対して提示するステップ(ステップS231)では、
管理担当者に対して、ユーザが入力した否定的な評価の内容を提示する、付記6に記載のプログラム。
【0149】
(付記8)
回答文に対する評価の入力を受け付けるステップ(ステップS103)において、回答内容の質問区分が不適切であることを指摘する否定的な評価が入力されたことに応答して、ユーザに対して、学習済みモデルが回答文の次に回答すべき候補として出力した複数の回答文を新たに提示する、付記7に記載のプログラム。
【0150】
(付記9)
新たに提示した複数の回答文のいずれにも適切な回答が含まれない旨の評価がユーザから入力されたことに応答して、質問文を管理担当者に対して提示するステップ(ステップS231)を実行させる、付記8に記載のプログラム。
【0151】
(付記10)
新たに提示した複数の回答文に適切な回答が含まれる旨の評価がユーザから入力されたことに応答して、質問文を適切な回答に対応する新たな質問パターンとしてデータベースに登録するステップ(ステップS324)を実行させる、付記8に記載のプログラム。
【0152】
(付記11)
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータに用いられる方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
ユーザから質問文の入力を受け付けるステップ(ステップS101)と、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された回答文をユーザに対して提示するステップ(ステップS102)と、
ユーザから、回答文に対する評価の入力を受け付けるステップ(ステップS103)と、
回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、質問文を管理担当者に対して提示するステップ(ステップS231)と、
管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付けるステップ(ステップS232)と、
新たな回答候補として、再回答の内容をデータベースに登録するステップ(ステップS333)と、を実行する方法。
【0153】
(付記12)
自動応答によりユーザからの質問に回答するコンピュータを有する自動応答システムであって、
コンピュータのプロセッサは、
ユーザから質問文の入力を受け付ける手段と、
予めデータベースに登録された複数の回答候補のうち、入力された質問文に対する回答として適切な回答文を学習済みモデルに出力させ、出力された回答文をユーザに対して提示する手段と、
ユーザから、回答文に対する評価の入力を受け付ける手段と、
回答文に対して、ユーザから否定的な評価が入力された場合に、質問文を管理担当者に対して提示する手段と、
管理担当者から、質問文への再回答の入力を受け付ける手段と、
新たな回答候補として、再回答の内容をデータベースに登録する手段と、を備えるシステム。
【符号の説明】
【0154】
1 :情報処理システム
10 :端末
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
20 :管理者端末
21 :記憶装置
22 :プロセッサ
23 :入出力インタフェース
24 :通信インタフェース
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース