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特開2024-69445比例ソレノイドバルブを制御するための方法、システム、装置、プログラム、記録媒体、および比例ソレノイドバルブ
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  • 特開-比例ソレノイドバルブを制御するための方法、システム、装置、プログラム、記録媒体、および比例ソレノイドバルブ 図1
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  • 特開-比例ソレノイドバルブを制御するための方法、システム、装置、プログラム、記録媒体、および比例ソレノイドバルブ 図3
  • 特開-比例ソレノイドバルブを制御するための方法、システム、装置、プログラム、記録媒体、および比例ソレノイドバルブ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069445
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】比例ソレノイドバルブを制御するための方法、システム、装置、プログラム、記録媒体、および比例ソレノイドバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F16K31/06 310F
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039557
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2020012341の分割
【原出願日】2020-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】望月 進介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比例ソレノイドに交番磁界を生じさせて残留磁気の影響を回避しつつ、駆動電流のレベルによって所望の弁開度を得る。
【解決手段】駆動電流を生成する工程と、前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイド28を励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨーク32と可動磁極26を互いに異なる磁極に磁化させる工程と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により弁体18を移動させる工程と、前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流を生成する工程と、
前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる工程と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により弁体を移動させる工程と、
前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する工程と、
を含むことを特徴とする比例ソレノイドバルブの制御方法。
【請求項2】
逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する工程と、
順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する工程と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する工程と、
極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の比例ソレノイドバルブの制御方法。
【請求項3】
比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される比例ソレノイドバルブと、
前記比例ソレノイドに流す駆動電流を生成し、この駆動電流の電流レベルに応じて前記比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する制御部と、
を備えることを特徴とする比例ソレノイドバルブシステム。
【請求項4】
さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の比例ソレノイドバルブシステム。
【請求項5】
比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される比例ソレノイドバルブの制御装置であって、
前記比例ソレノイドに流す駆動電流を生成し、この駆動電流の電流レベルに応じて前記比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する制御部と、
を備えることを特徴とする比例ソレノイドバルブの制御装置。
【請求項6】
前記制御部には、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の比例ソレノイドバルブの制御装置。
【請求項7】
コンピュータにより実現するプログラムであって、
比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成するための制御情報を生成する機能と、
前記駆動電流の電流レベルに応じて前記比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる機能と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺させる機能と、
を前記コンピュータにより実現するプログラム。
【請求項8】
さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する機能と、
順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する機能と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する機能と、
極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する機能と、
を前記コンピュータにより実現する請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される弁機構と、
前記比例ソレノイドに流す駆動電流を生成し、この駆動電流の電流レベルに応じて前記比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する制御部と、
を備えることを特徴とする比例ソレノイドバルブ。
【請求項11】
弁機構と、
前記弁機構を励磁によって制御する比例ソレノイドと、
駆動電流の電流レベルに応じて前記比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、
前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする比例ソレノイドバルブ。
【請求項12】
前記制御部には、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部と、
を含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の比例ソレノイドバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はたとえば、燃料ガスの制御弁などに用いられる比例ソレノイドバルブおよびその制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスなどの流体の制御にはバルブが用いられ、このバルブにはソレノイドの励磁によりバルブ開度を制御する比例ソレノイドバルブが知られている。
比例ソレノイドバルブの開度制御にはたとえば、PWM(pulse width modulation:パルス幅変調)方式による制御が用いられる。
この比例ソレノイドバルブのPWMによる制御に関し、サスペンション制御装置では通電電流の大きさに関係無く、ディザ振動の周期を加減する制御が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-258625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、比例ソレノイドバルブでは、ソレノイドに流す駆動電流を増加させて特定の弁開度に到達させた場合の駆動電流と、該駆動電流を減少させて特定の弁開度に到達させた場合の駆動電流に差が生じる。また、駆動電流を増加させて特定の駆動電流に到達させた場合の弁開度と、該駆動電流を減少させて特定の駆動電流に到達させた場合の弁開度に差が生じる。つまり、駆動電流と弁開度にはヒステリシスが存在し、同一の駆動電流であってもその増減方向で弁開度に相違が生じ、同一の弁開度であっても駆動電流に相違が生じる。
斯かるヒステリシス特性を持つ比例ソレノイドバルブを用いた場合、燃料ガスなどの流体制御に影響し、制御特性の信頼性を損なう。このようなヒステリシスの要因は比例ソレノイドバルブが持つ磁化特性、とりわけ残留磁気にある。磁性体を用いる場合、この残留磁気の影響を無視することができない。
【0005】
残留磁気とソレノイドの励磁を考察すると、比例ソレノイドが残留磁気と同方向に励磁されるタイミングでは生成磁力に残留磁気が加わるのに対し、比例ソレノイドが残留磁気と反対方向に励磁されるタイミングでは生成磁力の一部が残留磁気で相殺されてしまうという課題がある。
発明者は、斯かる課題に対し、残留磁気の影響を軽減するには比例ソレノイドに交番磁界を生成させればよく、斯かる交番磁界を生じさせる駆動電流であってもそのレベルによって所望の弁開度が得られるとの知見を得た。
そこで、本開示の目的は上記課題や知見に鑑み、比例ソレノイドに交番磁界を生じさせて残留磁気の影響を回避しつつ、駆動電流のレベルによって所望の弁開度を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の比例ソレノイドバルブの制御方法の一側面によれば、駆動電流を生成する工程と、前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる工程と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により弁体を移動させる工程と、前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する工程とを含む。
この比例ソレノイドバルブの制御方法において、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する工程と、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する工程と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する工程と、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する工程とを含んでもよい。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の比例ソレノイドバルブシステムの一側面によれば、比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される比例ソレノイドバルブと、前記比例ソレノイドに流す駆動電流を生成し、この駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドバルブのヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する制御部とを備える。
この比例ソレノイドバルブシステムにおいて、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部とを備える。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の比例ソレノイドバルブの制御装置の一側面によれば、比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される比例ソレノイドバルブの制御装置であって、前記比例ソレノイドに流す駆動電流を生成し、この駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドバルブのヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺する制御部とを備える。
この比例ソレノイドバルブの制御装置において、前記制御部には、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部とを含んでもよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータにより実現するプログラムであって、比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成するための制御情報を生成する機能と、前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる機能と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させて交番磁界を生じさせ、少なくとも前記可動磁極の残留磁気を相殺させる機能とを前記コンピュータにより実現する。
このプログラムにおいて、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する機能と、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する機能と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する機能と、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する機能とを前記コンピュータにより実現してもよい。
上記目的を達成するため、本開示の記録媒体の一側面によれば、前記プログラムを格納した記録媒体である。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の比例ソレノイドバルブの一側面によれば、比例ソレノイドの励磁によって弁体が制御される弁機構と、前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する前記弁体の移動より速い周期で反転させて残留磁気を相殺する制御部とを備える。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の比例ソレノイドバルブの一側面によれば、弁機構と、前記弁機構を励磁によって制御する比例ソレノイドと、前記駆動電流の電流レベルに応じて比例ソレノイドを励磁し、前記駆動電流の流れ方向に関係なく前記比例ソレノイドの励磁によりヨークと可動磁極を互いに異なる磁極に磁化させる駆動部と、前記可動磁極と前記ヨークに生じる前記磁極の吸引力により移動する弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部とを備える。
前記比例ソレノイドバルブにおいて、前記制御部には、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部とを含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ソレノイドに流す駆動電流の極性を反転させてソレノイドに交番磁界を生じさせ、この交番磁界によって残留磁気を相殺できるので、残留磁気によるヒステリシスを軽減できる。
(2) 残留磁気の影響を受けることなく、駆動電流のレベルによって弁開度を制御することができる。
(3) ソレノイドに流す駆動電流を増加させて特定の開度に制御した際の駆動電流と、該駆動電流を減少させて特定の弁開度に制御した場合の駆動電流の差を軽減することができる。
(4) ソレノイドに流す駆動電流を増加させて特定の駆動電流に到達させた場合の弁開度と、該駆動電流を減少させて特定の駆動電流に制御した場合の弁開度の差を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブシステムを示す図である。
図2】比例ソレノイドバルブの弁機構を示す図である。
図3】比例ソレノイドバルブの弁駆動機構を示す図である。
図4】比例ソレノイドバルブの制御工程を示すフローチャートである。
図5】PWM制御による駆動電流の極性反転、レベル制御および吸引力の生成を示す図である。
図6】第2の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブシステムを示す図である。
図7】第3の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブを示す図である。
図8】極性反転を伴わない駆動電流で駆動した比例ソレノイドバルブの動作特性を示す図である。
図9】極性反転を伴う駆動電流で駆動した比例ソレノイドバルブの動作特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブシステム2を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示が限定されるものではない。
この比例ソレノイドバルブシステム2は、比例ソレノイドバルブ4および制御装置6を備える。比例ソレノイドバルブ4はたとえば、燃料ガスなどの流体Gを流す流体路8に設置される。弁室10には入側ポート12-1および出側ポート12-2が形成されている。流体路8に流れる流体Gは入側ポート12-1から弁室10に導入され、弁室10から弁機構14を経て出側ポート12-2より流体路8に流れる。矢印で示す流体Gの流れ方向は一例に過ぎない。
【0015】
弁機構14は弁座16および弁体18を備える。弁座16は弁室10の壁面に固定され、弁体18は弁座16の弁座面に対して直交方向に移動する。
弁体18の中心軸上に形成された軸部20には支持部材22によりダイヤフラム24が取り付けられている。弁室10の内壁の間にはダイヤフラム24の外縁が支持されている。したがって、弁体18は弁室10に上下動可能にダイヤフラム24によって支持されており、流体Gの圧力が弁室10内に作用すると、ダイヤフラム24の膨出で弁体18が引き下げられる。
【0016】
弁体18に対して可動磁極26が設置され、この可動磁極26と弁体18の軸部20が接している。つまり、可動磁極26がプランジャを構成する。この可動磁極26は、比例ソレノイド28に挿入され、弁体18の中心軸方向に移動可能である。比例ソレノイド28にはコイル30を挟んでヨーク32が設置されている。コイル30はコイルボビン34に巻回されて比例ソレノイド28に設置されている。したがって、ヨーク32は可動磁極26に対して固定磁極を構成する。
ヨーク32側には支持フレーム36が固定され、この支持フレーム36にはダイヤフラム24の膨出を許容する空間部38が形成されている。
ヨーク32には支持部材40が固定されており、この支持部材40はスプリング支持部42を備える。可動磁極26にはスプリング挿入部44が形成され、このスプリング挿入部44とスプリング支持部42との間にコイル状のスプリング46が設置されている。したがって、スプリング46の復元力が可動磁極26に作用する。
【0017】
制御装置6はたとえば、駆動部48および制御部50を備え、駆動電流idの生成、極性反転およびレベル制御を行う。駆動部48は、制御部50の制御により駆動電流idを生成し、この駆動電流idを比例ソレノイド28に流す。制御部50はたとえば、コンピュータを備え、制御信号Sinとしてたとえば、温度センサ、水量センサなどの各種センサの検出出力を受け、比例ソレノイドバルブ4を制御するための情報処理を行う。この情報処理には、
(a) 駆動電流idの生成のための制御
(b) 弁体18の移動より速い周期による駆動電流idの極性反転
(c) 駆動電流idの電流レベルによる弁開度の制御
などが含まれる。
【0018】
<弁機構14>
図2は、比例ソレノイドバルブ4の弁機構14を拡大して示している。弁座16は弁室10に保持枠51により固定され、弁座16と弁室10の内壁面の間はOリング52によって封止されている。
弁体18は円錐状面部54を備え、この円錐状面部54と弁座16の弁口部56とで弁機能を果たす。
弁室10には弁体18に対向し、弁体18の中心軸上にたとえば、円形の凹部58が形成されている。この凹部58に対向し、弁体18の径大面部には凸部60が形成されている。弁体18が移動した際、凸部60が弁室10側の凹部58に進入し、弁体18の移動を許容する。
【0019】
<弁駆動機構62および吸引力Fの生成>
図3は、比例ソレノイドバルブ4の弁駆動機構62を示している。弁駆動機構62は、駆動電流idの励磁によって弁体18を上下方向に駆動する。
比例ソレノイド28に駆動電流idが流れると、比例ソレノイド28に磁界φが発生する。これによって可動磁極26およびヨーク32(固定磁極)が磁化され、可動磁極26およびヨーク32には互いに異なる磁極N、磁極Sが生成され、この磁極N-Sによる吸引力Fを受け、可動磁極26は吸引力Fの方向に移動する。駆動電流idの方向に関係なく、可動磁極26およびヨーク32には互いに異なる磁極N、磁極Sが生成されるので、磁極N-Sによる吸引力Fが働く。
【0020】
<駆動電流idの極性反転>
駆動電流idを一定の周期で極性を反転させると、可動磁極26およびヨーク32には磁極N、磁極Sの極性が反転するも、両者間には同方向の吸引力Fが作用する。この結果、極性に関係なく、駆動電流idの電流レベルに応じた弁開度が得られる。
駆動電流idの反転により、可動磁極26およびヨーク32の着磁方向が反転するため、残留磁気が反転電流によって相殺され、残留磁気による影響を除くことができる。
【0021】
<比例ソレノイドバルブ4の制御工程>
図4のAは、比例ソレノイドバルブ4の制御工程の一例を示している。この制御工程には駆動電流idの生成(S101)、駆動電流idの極性反転(S102)、駆動電流idの電流レベル制御(S103)などが含まれる。
駆動電流idの生成(S101): 制御装置6は、比例ソレノイド28に流す駆動電流idを生成する。
駆動電流idの極性反転(S102): 制御装置6は、弁体18の移動速度より速い周期で駆動電流idの極性を反転させる。弁体18の移動は駆動電流idの電流レベルの変動に依存し、駆動電流idの極性反転は弁体18の移動速度により速い周期たとえば、ディザ周期Tdの1/2の周期で行う。
駆動電流idの電流レベル制御(S103): 制御装置6は、駆動電流idの電流レベルを制御し、電流レベルに応じた弁開度に弁機構14を制御する。
【0022】
図4のBは、この制御工程における駆動電流idの極性反転およびレベル制御の一例を示している。この制御工程には制御信号Sinの入力(S201)、順方向パルスのデューティ比の算出(S202)、逆方向パルスのデューティ比の算出(S203)、順方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S204)、逆方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S205)、弁開度の制御(S206)などが含まれる。
制御信号Sinの入力(S201): 制御装置6は、弁機構14の弁開度を制御するための制御信号Sinを受ける。この制御信号Sinの信号レベルによって弁開度が制御される。
【0023】
順方向パルスのデューティ比の算出(S202): 制御装置6は、後述する極性制御パルスPsw1(極性反転部)を除く順方向パルスのデューティ比を算出する。
逆方向パルスのデューティ比の算出(S203): 制御装置6は、後述する極性制御パルスPsw2(極性反転部)を除く逆方向パルスのデューティ比を算出する。
【0024】
順方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S204): 制御装置6は、比例ソレノイド28に流す順方向の駆動電流idを生成するための順方向パルスを生成する。この順方向パルスには、先頭部に極性反転部として、弁体18の移動より速く駆動電流idの電流方向を反転させるための極性制御パルスPsw1が含まれる。この極性制御パルスPsw1は、他の順方向パルスよりパルス幅が大きく、高デューティ比パルスとなっている。順方向パルスにおける極性反転部は、逆方向の駆動電流idの極性を順方向の駆動電流idに切り替えるために用いられる。
逆方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S205): 制御装置6は、比例ソレノイド28に流す逆方向の駆動電流idを生成するための逆方向パルスを生成する。この逆方向パルスには、先頭部に極性反転部として、弁体18の移動より速く駆動電流idの電流方向を反転させるための極性制御パルスPsw2が含まれる。この極性制御パルスPsw2は、他の逆方向パルスよりパルス幅が大きく、高デューティ比パルスとなっている。逆方向パルスにおける極性反転部は、順方向の駆動電流idの極性を逆方向の駆動電流idに切り替えるために用いられる。
弁開度の制御(S206): 制御装置6は、制御信号Sinの信号レベルに応じて駆動電流idの電流レベルを制御し、弁開度を制御する。
【0025】
<駆動電流idの極性反転、そのレベル制御および吸引力F>
図5のAは、順方向パルスの一例である順方向PWMパルスを示している。この順方向パルスは、ディザ周期Tdの1/2(=Td/2)の期間で生成され、先頭部に極性反転部として極性制御パルスPsw1が含まれる。極性制御パルスPsw1は、逆方向の駆動電流idを順方向に切り替える極性反転期間を短くするために一定のパルス幅を有する。
これに対し、極性制御パルスPsw1を除く順方向PWMパルスのデューティ比は制御信号Sinによって制御される。図5のAでは説明の都合上、一定のデューティ比としているが、弁開度に応じて異なるデューティ比に制御される。
【0026】
図5のBは、逆方向パルスの一例である逆方向PWMパルスを示している。この逆方向パルスは、ディザ周期Tdの1/2(=Td/2)の期間で生成され、先頭部に極性反転部として極性制御パルスPsw2が含まれる。極性制御パルスPsw2は、順方向の駆動電流idを逆方向に切り替える極性反転期間を短くするために一定のパルス幅を有する。この実施の形態では、極性制御パルスPsw1、Psw2は同一パルス幅である。
これに対し、極性制御パルスPsw2を除く逆方向PWMパルスのデューティ比は制御信号Sinによって制御される。図5のBでは説明の都合上、一定のデューティ比としているが、弁開度に応じて異なるデューティ比に制御される。
【0027】
図5のCは、順方向または逆方向に流れる駆動電流idを示している。駆動電流idは、ディザ周期Tdの2分の1の周期ごとに極性制御パルスPsw1と極性制御パルスPsw2が交互に生成されることで、逆方向の駆動電流idから順方向の駆動電流id、さらに順方向の駆動電流idから逆方向の駆動電流idへの切り替えが繰り返される。
この極性反転を伴う駆動電流idは、順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比に依存し、その電流レベルが制御される。
【0028】
図5のDは、可動磁極26およびヨーク32(固定磁極)に作用する吸引力Fを示している。比例ソレノイド28は、極性反転を伴い且つレベル制御された駆動電流idによって励磁され、可動磁極26およびヨーク32が磁化される。ディザ周期Tdの2分の1の周期ごとに異なる磁極対に反転するが、可動磁極26およびヨーク32間に生じる吸引力Fは、駆動電流idのレベルに依存する。
【0029】
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ディザ周期Tdの2分の1周期(=Td/2)で駆動電流idの極性を反転させて比例ソレノイド28による可動磁極26およびヨーク32間の磁極を反転させるので、残留磁気を相殺できる。この極性反転は、弁機構14の開閉より速い周期で行われるので、弁開度の制御に影響しない。
(2) 極性反転の時間間隔において、駆動電流idは順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比により電流レベルを制御するので、駆動電流idの極性反転に影響されることなく、駆動電流idの電流レベルによって弁機構14の弁開度を制御できる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
図6は、第2の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブシステム2を示している。図6の構成において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
駆動部48には、電源64、駆動ブリッジ回路66、順方向駆動回路68-1、逆方向駆動回路68-2が含まれる。電源64は駆動電流idの電流源を構成する。
駆動ブリッジ回路66は、Pch-FET(Pチャネル-電界効果トランジスタ)71、72、Nch-FET(Nチャネル-電界効果トランジスタ)73、74を含む。
【0031】
順方向駆動回路68-1は、制御部50から順方向PWMパルスを受け、駆動ブリッジ回路66から比例ソレノイド28に順方向の駆動電流idを流す。これに対し、逆方向駆動回路68-2は、制御部50から逆方向PWMパルスを受け、駆動ブリッジ回路66から比例ソレノイド28に逆方向の駆動電流idを流す。つまり、ディザ周期Tdの半周期(=Td/2)でPch-FET72およびNch-FET73の導通により順方向の駆動電流idが比例ソレノイド28に流れ、ディザ周期Tdの次の半周期(=Td/2)でPch-FET71およびNch-FET74の導通により逆方向の駆動電流idが比例ソレノイド28に流れる。
【0032】
制御部50は制御回路76、パルス発生部78、PWM生成部80、論理回路82を備える。制御回路76はマイクロコンピュータで構成され、プロセッサ84、記憶部86、入出力部(I/O)88を備える。プロセッサ84は、記憶部86にある制御プログラムを実行し、制御信号Sinに応じたパルス幅制御などの制御を実行する。
斯かる制御および制御情報には、
a)駆動電流idを生成するための制御情報
b)弁体18の移動より速い周期で駆動電流idの極性を反転させる制御情報
c)駆動電流idの電流レベルによって弁開度を制御する制御情報
d)極性制御パルスを除く順方向パルスのデューティ比の算出
e)極性制御パルスを除く逆方向パルスのデューティ比の算出
f)逆方向の駆動電流idの極性を順方向に切り替える制御パルスを含む順方向パルスの生成(算出したパルス制御の実行)
g)順方向の駆動電流idの極性を逆方向に切り替える制御パルスを含む逆方向パルスの生成(算出したパルス制御の実行)
が含まれる。
【0033】
記憶部86は本開示のプログラムを格納する記録媒体の一例である。この記憶部86にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子が用いられ、各種制御情報の生成や記憶に用いられる。
I/O88は、制御信号Sinの取込みや制御情報の生成を行う。
パルス発生部78は、一定周期のクロックパルスを生成し、このクロックパルスの分周または倍周により一定周期のパルスを生成する。
【0034】
PWM生成部80には順方向PWMパルス生成機能および逆方向PWMパルス生成機能を備え、制御信号Sinの信号レベルに応じたデューティ比を持つ順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスを生成し、論理回路82に出力する。
論理回路82は、パルス発生部78からディザ周期Tdの2分の1の周期に同期する制御パルスを受け、Td/2に同期して順方向PWMパルスと逆方向PWMパルスを出力する。順方向PWMパルスは順方向駆動回路68-1に提供され、逆方向PWMパルスは逆方向駆動回路68-2に提供される。
【0035】
<第2の実施の形態の効果>
第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ディザ周期Tdの2分の1周期(=Td/2)で駆動電流idの極性を反転させて比例ソレノイド28による可動磁極26およびヨーク32間の磁極を反転させるので、残留磁気を相殺でき、ヒステリシス特性を改善できる。
(2) 極性反転の時間間隔において、駆動電流idは順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比により電流レベルを制御でき、駆動電流idの極性反転に影響されることなく、駆動電流idの電流レベルによって弁機構14の弁開度の制御性を高めることができる。
【0036】
〔第3の実施の形態〕
図7は、第3の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブ404を示している。図7の構成において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この第3の実施の形態において、比例ソレノイドバルブ本体400は第1の実施の形態の比例ソレノイドバルブ4のバルブ機能部である。
筐体402には比例ソレノイドバルブ本体400、駆動部48および制御部50が設置されている。したがって、この実施の形態では、制御機能を一体に備える比例ソレノイドバルブ404が構成されている。
【0037】
〔実験結果〕
図8は、横軸に時間、縦軸に弁開度を取り、極性切替えを伴わない駆動電流idで駆動した比例ソレノイドバルブ4、404の動作特性を示している。
極性反転を伴わない駆動電流idで比例ソレノイド28を励磁した場合には、一方向の駆動電流idで励磁されるため、残留磁気の影響を除くことができない。つまり、残留磁気と同方向となる駆動電流idでは、磁化が強調されるのに対し、残留磁気と逆方向となる駆動電流idでは、残留磁気の相殺のために、駆動電流idによる磁化が損なわれる。この結果、制御信号Sinと弁開度の間にヒステリシスhの影響が顕著になる。
【0038】
図9は、同様に、横軸に時間、縦軸に弁開度を取り、極性切替えを伴う駆動電流idで駆動した比例ソレノイドバルブ4、404の動作特性を示している。
極性反転を伴う駆動電流idで比例ソレノイド28を励磁した場合には、極性反転によって駆動電流idで残留磁気が相殺され、残留磁気の影響がない駆動電流idと弁開度の関係が得られる。この結果、制御信号Sinと弁開度の間にヒステリシスhの影響は無視できる程度に改善される。
【0039】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、PWM制御を例示しているが、比例ソレノイドバルブの制御をPWM制御以外の制御を用いてもよい。
(2) 駆動電流idの反転周期をディザ周期Tdの2分の1に設定しているが、弁体18の移動速度より速ければよく、実施例の周期に限定されない。
(3) 上記実施の形態では、順方向パルスまたは逆方向パルスに含まれる極性反転部に極性制御パルスを例示しているが、この極性制御パルスは、PWM制御で生成されるパルスの他、PWM制御と別個に生成される極性反転パルスを用いてもよい。この極性反転パルスは、駆動電流idの極性反転に最適な極性反転タイミングを含む周期を備え、且つ最適な時間幅に設定されたパルス幅を備えればよい。
【0040】
以上説明したように、本発明の構成の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、駆動電流によって可動磁極と固定磁極(ヨーク)の磁極関係を反転させて残留磁気を相殺でき、残留磁気の影響を受けない磁力によって弁機構を駆動でき、ヒステリシス特性を改善できる。
【符号の説明】
【0042】
2 比例ソレノイドバルブシステム
4、404 比例ソレノイドバルブ
6 制御装置
G 流体
8 流体路
10 弁室
12-1 入側ポート
12-2 出側ポート
14 弁機構
16 弁座
18 弁体
20 軸部
22 支持部材
24 ダイヤフラム
26 可動磁極
28 比例ソレノイド
30 コイル
32 ヨーク
34 コイルボビン
36 支持フレーム
38 空間部
40 支持部材
42 スプリング支持部
44 スプリング挿入部
46 スプリング
48 駆動部
50 制御部
51 保持枠
52 Oリング
54 円錐状面部
56 弁口部
58 凹部
60 凸部
62 弁駆動機構
64 電源
66 駆動ブリッジ回路
68-1 順方向駆動回路
68-2 逆方向駆動回路
71、72 Pch-FET
73、74 Nch-FET
76 制御回路
78 パルス発生部
80 PWM生成部
82 論理回路
84 プロセッサ
86 記憶部
88 入出力部(I/O)
400 比例ソレノイドバルブ本体
402 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9