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特開2024-69453関節リウマチを治療するための組成物およびこれを用いる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069453
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】関節リウマチを治療するための組成物およびこれを用いる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240514BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20240514BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20240514BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P19/02 ZNA
A61P29/00 101
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/42
A61K31/4402
A61K31/4706
C07K14/715
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039618
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2021111885の分割
【原出願日】2012-10-10
(31)【優先権主張番号】61/545,864
(32)【優先日】2011-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】12305889.3
(32)【優先日】2012-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャソン,マルティーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マルク,バネッサ
(72)【発明者】
【氏名】ラディン,アレン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及び/又はヒドロキシクロロキンの投与が有効ではない関節リュウマチの治療方法を提供する。
【解決手段】ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体である、サリルマブの有効用量を、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及び/又はヒドロキシクロロキンと一緒に投与する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンおよび/またはヒドロキシクロロキンを投与することによる治療を以前受けている被験者において関節リウマチを治療する方法であって、前記被験者に有効量のサリルマブ(SAR153191)を投与することを含む、関節リウマチを治療する方法。
【請求項2】
被験者が、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンおよび/またはヒドロキシクロロキンを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンおよび/またはヒドロキシクロロキンをサリルマブと一緒に投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
サリルマブとメトトレキサートを一緒に投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
メトトレキサートを1週間につき6mgから25mg投与する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
サリルマブを1週間につき50mgから150mg投与する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
サリルマブを2週間につき100mgから200mg投与する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
サリルマブを2週間につき150mg、または2週間につき200mg投与する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%の改善を達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で50%の改善を達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で70%の改善を達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
被験者が、TNF-αアンタゴニストを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
被験者が、直近2年間に抗-TNF-αアンタゴニストで少なくとも3ヶ月間治療されていたか、または被験者が、少なくとも1つのTNF-αアンタゴニストに不耐性であった、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
TNF-αアンタゴニストが生物学的抗-TNF-αである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
TNF-αアンタゴニストが、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよび/またはセルトリズマブペゴールからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
有効量のサリルマブならびに、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンおよびヒドロキシクロロキンからなる群の1つを含む、医薬組成物。
【請求項17】
医薬として連続して、または同時に使用するための、
a.サリルマブを含む医薬組成物、および
b.メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンまたはヒドロキシクロロキンを含む医薬組成物
の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチの治療処置の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、関節リウマチを治療するために、疾患修飾抗リウマチ薬と組み合わせたインターロイキン-6受容体(IL-6R)アンタゴニスト、例えば、抗-IL-6R抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
北米および欧州では、成人の約0.5%から1%が関節リウマチ(RA)に罹患していると概算されている。RAは、男性よりも女性が2倍多く罹患しており、この発生は、40歳を超える女性で最も多い。
【0003】
RAは、持続性の滑膜炎、ならびに複数の関節での進行性の軟骨破壊および骨破壊を特徴とする。この疾患の特徴は、手や足の小さな関節が関与する特徴的な全身性多発性関節炎である。炎症過程は、他の臓器、特徴的には、骨髄(貧血症)、眼(強膜炎、上強膜炎)、肺(間質性肺炎、胸膜炎)、心臓(心膜炎)および皮膚(小結節、白血球破砕性血管炎)が標的となることもある。全身性炎症は、検査所見の異常、例えば、貧血症、赤血球沈降速度の亢進、フィブリノーゲンおよびC反応性タンパク(CRP)の増加および倦怠感、体重減少、罹患した関節部分の筋萎縮といった臨床症状を特徴とする。ポリクローナル高力価リウマチ因子および抗環状シトルリン化ペプチド(抗-CCP)抗体の存在が、免疫調節異常の証拠となる。RA患者の65%から70%が、関節破壊、障害および早世を引き起こす進行性疾患を患っていると概算された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当分野において、RAに関連する症状を改善するための改良された治療計画が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、関節リウマチを治療することが必要な被験者において、関節リウマチを治療する方法を提供する。この方法は、有効量のサリルマブ(SAR153191)ならびに、レフルノミド、スルファサラジンおよびヒドロキシクロロキンからなる群の1つを被験者に投与することを含む。特定の実施形態では、被験者は、TNF-αアンタゴニストを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。具体的には、被験者は、TNF-αアンタゴニストで少なくとも3ヶ月間治療されていたか、またはTNF-αアンタゴニストに不耐性であった。TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブまたはセルトリズマブがあり得た。他の実施形態では、被験者は、メトトレキサートを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。
【0006】
サリルマブを1週間につき50mgから150mg、または2週間につき100mgから200mg投与することができる。
【0007】
特定の具体的な実施形態では、サリルマブとレフルノミドを被験者に投与する。レフルノミドは、経口投与することができる。レフルノミドを、被験者に1日につき10mgから20mg投与することもできる。
【0008】
他の具体的な実施形態では、サリルマブとスルファサラジンを被験者に投与する。スルファサラジンは、経口投与することができる。スルファサラジンを、被験者に1日につき
1000mgから3000mg投与することもできる。
【0009】
他の具体的な実施形態では、サリルマブとヒドロキシクロロキンを被験者に投与する。ヒドロキシクロロキンは、経口投与することができる。ヒドロキシクロロキンを、被験者に1日につき200mgから400mg投与することもできる。
【0010】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)のコアセット疾患指数(core set disease index)で20%または50%の改善を達成する。他の実施形態では、治療の結果として、被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%、50%または70%の改善を達成する。
【0011】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、治療前の被験者と比べて、12週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する。疾患活動性スコアは、12週目に2.6以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から12週間までの間に1.2より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、12週目に3.2以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から12週間までの間に0.6より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、12週目に5.1以下であり得る。
【0012】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、治療前の被験者と比べて、24週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する。疾患活動性スコアは、24週目に2.6以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から24週間までの間に1.2より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、24週目に3.2以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から24週間までの間に0.6より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、24週目に5.1以下であり得る。
【0013】
本開示は、さらに、有効量のサリルマブおよびメトトレキサートを被験者に投与することを含み、被験者は、抗TNF-α治療薬を投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、関節リウマチを治療することが必要な被験者において関節リウマチを治療する方法を提供する。特定の実施形態では、被験者は、メトトレキサートを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。メトトレキサートを、被験者に1週間につき10mgから25mg投与することができる。
【0014】
特定の実施形態では、被験者は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒトであり得る。特定の実施形態では、ヒトは、アジアまたは太平洋地域出身の個人の子孫である。アジアまたは太平洋地域出身の個人の子孫のヒトに、メトトレキサートを1週間につき6mgから25mg投与することができる。
【0015】
特定の実施形態では、被験者は、TNF-αアンタゴニストを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。具体的には、被験者は、TNF-αアンタゴニストで少なくとも3ヶ月間治療されていたか、またはTNF-αアンタゴニストに不耐性であり得た。TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブまたはセルトリズマブがあり得た。他の実施形態では、被験者は、メトトレキサートを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。
【0016】
サリルマブを1週間につき50mgから150mg、または2週間につき100mgから200mg投与することができた。
【0017】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%または50%の改善を達成する。他の実施形態では、治療の結果として、被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%、50%または70%の改善を達成する。
【0018】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、治療前の被験者と比べて、12週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する。疾患活動性スコアは、12週目に2.6以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から12週間までの間に1.2より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、12週目に3.2以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から12週間までの間に0.6より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、12週目に5.1以下であり得る。
【0019】
ある実施形態では、治療の結果として、被験者は、治療前の被験者と比べて、24週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する。疾患活動性スコアは、24週目に2.6以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から24週間までの間に1.2より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、24週目に3.2以下であり得る。疾患活動性スコアは、治療開始時から24週間までの間に0.6より大きく低下させることができる。疾患活動性スコアは、24週目に5.1以下であり得る。
【0020】
本開示は、有効量のサリルマブならびに、レフルノミド、スルファサラジンおよびヒドロキシクロロキンからなる群の1つを含む医薬組成物も提供する。サリルマブは、投薬あたり50mgから150mg、または投薬あたり100mgから200mgになるように存在し得る。
【0021】
特定の具体的な実施形態では、組成物は、サリルマブとレフルノミドを含む。レフルノミドは、経口投薬形態で存在し得る。レフルノミドは、組成物中に、投薬あたり10mgから20mgになるように存在していてもよい。
【0022】
他の具体的な実施形態では、組成物は、サリルマブとスルファサラジンを含む。スルファサラジンは、経口投薬形態で存在し得る。スルファサラジンは、組成物中に、被験者に対して1日につき1000mgから3000mgになるように存在し得る。
【0023】
他の具体的な実施形態では、組成物は、サリルマブとヒドロキシクロロキンを含む。ヒドロキシクロロキンは、経口投薬形態で存在し得る。ヒドロキシクロロキンは、組成物中に、被験者に対して1日につき200mgから400mgになるように存在し得る。
【0024】
本発明の実施形態の例を以下に列挙する。
【0025】
実施形態1:有効量のサリルマブ(SAR153191)ならびに、レフルノミド、スルファサラジンおよびヒドロキシクロロキンからなる群の1つを被験者に投与することを含む、関節リウマチを治療することが必要な被験者において関節リウマチを治療する方法。
【0026】
実施形態2:被験者が、TNF-αアンタゴニストを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、実施形態1の方法。
【0027】
実施形態3:TNF-αアンタゴニストが生物学的抗-TNF-αアンタゴニストである、実施形態2の方法。
【0028】
実施形態4:被験者が、TNF-αアンタゴニストで少なくとも3ヶ月間治療された、
実施形態2または3の方法。
【0029】
実施形態5:被験者がTNF-αアンタゴニストに不耐性であった、実施形態2または3の方法。
【0030】
実施形態6:TNF-αアンタゴニストが、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよびセルトリズマブからなる群から選択される、実施形態2または3の方法。
【0031】
実施形態7:被験者が、メトトレキサートを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、実施形態2または3の方法。
【0032】
実施形態8:サリルマブを1週間につき50mgから150mg投与する、実施形態1の方法。
【0033】
実施形態9:サリルマブを2週間につき100mgから200mg投与する、実施形態1の方法。
【0034】
実施形態10:サリルマブとレフルノミドを被験者に投与する、実施形態1の方法。
【0035】
実施形態11:レフルノミドを経口投与する、実施形態10の方法。
【0036】
実施形態12:レフルノミドを被験者に1日につき10mgから20mg投与する、実施形態10の方法。
【0037】
実施形態13:サリルマブとスルファサラジンを被験者に投与する、実施形態1の方法。
【0038】
実施形態14:スルファサラジンを経口投与する、実施形態13の方法。
【0039】
実施形態15:スルファサラジンを被験者に1日につき1000mgから3000mg投与する、実施形態13の方法。
【0040】
実施形態16:サリルマブとヒドロキシクロロキンを被験者に投与する、実施形態1の方法。
【0041】
実施形態17:ヒドロキシクロロキンを経口投与する、実施形態16の方法。
【0042】
実施形態18:ヒドロキシクロロキンを被験者に1日につき200mgから400mg投与する、実施形態16の方法。
【0043】
実施形態19:被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%の改善を達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0044】
実施形態20:被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で50%の改善を達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0045】
実施形態21:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%の改善を達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0046】
実施形態22:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で50%の改善を達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0047】
実施形態23:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で70%の改善を達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0048】
実施形態24:被験者は、治療前の被験者と比べて、12週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0049】
実施形態25:疾患活動性スコアが12週目に2.6以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0050】
実施形態26:疾患活動性スコアが、治療開始時から12週間までの間に1.2より大きく低下する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0051】
実施形態27:疾患活動性スコアが12週目に3.2以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0052】
実施形態28:疾患活動性スコアが、治療開始時から12週間までの間に0.6より大きく低下する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0053】
実施形態29:疾患活動性スコアが12週目に5.1以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0054】
実施形態30:被験者は、治療前の被験者と比べて、24週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0055】
実施形態31:疾患活動性スコアが24週目に2.6以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0056】
実施形態32:疾患活動性スコアが、治療開始時から24週間までの間に1.2より大きく低下する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0057】
実施形態33:疾患活動性スコアが24週目に3.2以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0058】
実施形態34:疾患活動性スコアが、治療開始時から24週間までの間に0.6より大きく低下する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0059】
実施形態35:疾患活動性スコアが24週目に5.1以下である、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0060】
実施形態36:有効量のサリルマブおよびメトトレキサートを被験者に投与することを含み、被験者は、TNF-αアンタゴニストを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、関節リウマチを治療することが必要な被験者において関節リウマチを治療する方法。
【0061】
実施形態37:被験者が、メトトレキサートを投与することによる有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている、実施形態36の方法。
【0062】
実施形態38:メトトレキサートを被験者に1週間につき10mgから25mg投与する、実施形態36の方法。
【0063】
実施形態39:被験者が哺乳動物である、実施形態36の方法。
【0064】
実施形態40:哺乳動物がヒトである、実施形態37の方法。
【0065】
実施形態41:ヒトは、アジアまたは太平洋地域出身の個人の子孫である、実施形態38の方法。
【0066】
実施形態42:アジアまたは太平洋地域出身の個人の子孫であるヒトに、メトトレキサートを1週間につき6mgから25mg投与する、実施形態39の方法。
【0067】
実施形態43:被験者が、TNF-αアンタゴニストで少なくとも3ヶ月間治療された、実施形態36の方法。
【0068】
実施形態44:被験者がTNF-αアンタゴニストに不耐性であった、実施形態36の方法。
【0069】
実施形態45:TNF-αアンタゴニストが生物学的抗-TNF-αアンタゴニストである、実施形態36から44のいずれか1つの方法。
【0070】
実施形態46:TNF-αアンタゴニストが、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよびセルトリズマブからなる群から選択される、実施形態44の方法。
【0071】
実施形態47:サリルマブを1週間につき50mgから150mg投与する、実施形態36の方法。
【0072】
実施形態48:サリルマブを2週間につき100mgから200mg投与する、実施形態36の方法。
【0073】
実施形態49:被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%の改善を達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0074】
実施形態50:被験者は、12週間治療した後に米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で50%の改善を達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0075】
実施形態51:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で20%の改善を達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0076】
実施形態52:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で50%の改善を達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0077】
実施形態53:被験者は、24週間治療した後の米国リウマチ学会のコアセット疾患指数で70%の改善を達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0078】
実施形態54:被験者は、治療前の被験者と比べて、12週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0079】
実施形態55:疾患活動性スコアが12週目に2.6以下である、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0080】
実施形態56:疾患活動性スコアが、治療開始時から12週間までの間に1.2より大きく低下する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0081】
実施形態57:疾患活動性スコアが12週目に3.2以下である、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0082】
実施形態58:疾患活動性スコアが、治療開始時から12週間までの間に0.6より大きく低下する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0083】
実施形態59:疾患活動性スコアが12週目に5.1以下である、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0084】
実施形態60:被験者は、治療前の被験者と比べて、24週間治療した後に、低い疾患活動性スコアを達成する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0085】
実施形態61:疾患活動性スコアが24週目に2.6以下である、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0086】
実施形態62:疾患活動性スコアが、治療開始時から24週間までの間に1.2より大きく低下する、実施形態36から48のいずれかの方法。
【0087】
実施形態63:疾患活動性スコアが24週目に3.2以下である、実施形態34から45のいずれかの方法。
【0088】
実施形態64:疾患活動性スコアが、治療開始時から24週間までの間に0.6より大きく低下する、実施形態34から45のいずれかの方法。
【0089】
実施形態65:疾患活動性スコアが24週目に5.1以下である、実施形態34から45のいずれかの方法。
【0090】
実施形態66:有効量のサリルマブならびに、レフルノミド、スルファサラジンおよびヒドロキシクロロキンからなる群の1つを含む医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】実施例1の投薬量を示す。
図2】実施例1のACR20応答を示す。
図3】実施例1のACR50およびACR70応答を示す
【発明を実施するための形態】
【0092】
本開示は、医薬組成物および関節リウマチ(RA)を治療し、RAの少なくとも1つの症状を改善するために、これらの組成物を使用する方法を提供する。これらの組成物は、ヒトインターロイキン-6受容体(hlL-6R)に特異的に結合する少なくとも1つの抗体と、少なくとも1つの疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)とを含む。
【0093】
抗-hlL-6R抗体
本開示は、hlL-6Rに特異的に結合するヒト抗体またはこの抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法を含む。本明細書で使用する場合、「hlL-6R」と
いう用語は、ヒトインターロイキン-6(IL-6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。特定の実施形態では、患者に投与される抗体は、hlL-6Rの細胞外ドメインに特異的に結合する。hlL-6Rの細胞外ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列で示される。
【0094】
特に別途示されない限り、「抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、2個の免疫グロブリン重鎖と2個の免疫グロブリン軽鎖を含む抗体分子(即ち、「全抗体分子」)およびこの抗原結合フラグメントを包含すると理解されるべきである。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などの用語は、本明細書で使用する場合、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在するか、酵素によって得ることができるか、合成によるか、または遺伝子操作されたポリペプチドもしくは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、タンパク質消化、または抗体可変領域および(場合により)定常領域をコードするDNAの操作および発現を含む組み換え遺伝子操作技術のような任意の適切な標準技術を用い、例えば、全抗体分子から誘導されてもよい。このようなDNAは既知であり、および/または、例えば、商業的な供給業者、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリー)から簡単に入手可能であるか、または合成することができる。DNAは、シークエンシングされてもよく、化学的に、または、例えば、1つ以上の可変領域および/または定常領域を整列させて適切な構造にするか、または、コドンを導入し、システイン残基を作成し、アミノ酸を変えるか、加えるか、または削除するなどの分子生物学技術を用いることによって操作されてもよい。
【0095】
抗原結合フラグメントの非限定例としては、以下のものが挙げられる。(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR))を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位。他の操作された分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよびミニボディも、本明細書で使用する場合、「抗原結合フラグメント」という表現の範囲内に包含される。
【0096】
抗体の抗原結合フラグメントは、典型的には、少なくとも1つの可変領域を含むだろう。可変領域は、任意の大きさまたは任意のアミノ酸組成であってもよく、一般的に、1つ以上のフレームワーク配列に隣接する少なくとも1つのCDRを含むか、またはフレーム内に少なくとも1つのCDRを含むだろう。V領域に連結するV領域を有する抗原結合フラグメントでは、V領域およびV領域は、お互いに相対的に任意の適切な配置に位置し得る。例えば、可変領域は、ダイマーであってもよく、V-Vダイマー、V-VダイマーまたはV-Vダイマーを含んでいてもよい。または、抗体の抗原結合フラグメントは、モノマーのVH領域またはVL領域を含んでいてもよい。
【0097】
特定の実施形態では、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常領域に共有結合した少なくとも1つの可変領域を含んでいてもよい。本発明の抗体の抗原結合フラグメントの中に発見され得る可変領域および定常領域の非限定的で例示的な構造としては、以下のものが挙げられる。(i)V-CH1;(ii)V-CH2;(iii)V-CH3;(iv)V-CH1-CH2;(V)V-CH1-CH2-CH3;(vi)V-CH2-CH3;(vii)V-C;(viii)V-CH1;(ix)V-CH2;(x)V-CH3;(xi)V-CH1-CH2;(xii)V-CH1-CH2-CH3;(xiii)V-CH2-CH3;および(xiv)V-C。上に列挙した例示的な任意の構造を含め、任意の構造の可変領域および定常領域では、可変領域および定常領域は、互いに直接連結していてもよく、またはヒンジ領域またはリンカー領域の全部または一部によって連結し得る。ヒンジ領域は、1つのポリペプチド分子中の隣接する可変領域および/または定常領域の間の可とう性結合または半可
とう性結合を生じる少なくとも2(例えば、5、10、15、20、40、60またはこれより多く)のアミノ酸からなっていてもよい。さらに、本発明の抗体の抗原結合フラグメントは、お互いに非共有結合によって、および/または1つ以上のモノマーのVまたはV領域と(例えば、ジスルフィド結合によって)、上に列挙した任意の可変領域および定常領域の構造とのホモダイマーまたはヘテロダイマー(または他のマルチマー)を含んでいてもよい。
【0098】
「特異的に結合する」という用語は、抗体またはこの抗原結合フラグメントが、生理学的条件で比較的安定な抗原との複合体を形成することを意味する。特異的な結合は、解離定数が少なくとも約1×10-6Mまたはもっと小さいことによって特徴づけることができる。他の実施形態では、解離定数は、少なくとも約1×10-7M、1×10-8M、または1×10-9Mである。2つの分子が特異的に結合するかどうかを決定する方法は、当分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。
【0099】
全抗体分子を用いるとき、抗原結合フラグメントは、単一特異的または多特異的(例えば、二重特異性)であってもよい。抗体の多特異的な抗原結合フラグメントは、典型的には、少なくとも2つの異なる可変領域を含み、それぞれの可変領域は、別個の抗原に特異的に結合可能であるか、または同じ抗原の異なるエピトープに特異的に結合可能である。本明細書に開示する例示的な二重特異的な抗体フォーマットを含む、任意の多特異的な抗体フォーマットを、当分野で利用可能な通常の技術を用い、本発明の抗体の抗原結合フラグメントという観点で使用するように適合させてもよい。
【0100】
具体的な実施形態では、本発明の方法で使用するための抗体または抗体フラグメントは、多特異的な抗体であってもよく、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよく、または、1つより多い標的ポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含んでいてもよい。本発明の観点で使用可能な例示的な二重特異的な抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3領域および第2のIg CH3領域の使用を含み、第1および第2のIg CH3領域は、少なくとも1つのアミノ酸によってお互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸の違いによって、アミノ酸の違いがない二重特異的な抗体と比較して、タンパク質Aに対する二重特異的な抗体の結合が低下する。一実施形態では、第1のIg CH3領域は、タンパク質Aに結合し、第2のIg CH3領域は、タンパク質Aの結合を低下または消失させる変異、例えば、H95R改変(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けによってH435R)を含む。第2のCH3は、さらに、Y96F改変(IMGTによる;EUによればY436F)を含んでいてもよい。第2のCH3の中に発見され得るさらなる改変としては、lgG1抗体の場合には、D16E、L18M、N44S、K52N、V57MおよびV82I(IMGTによる;EUによれば、D356E、L358M、N384S、K392N、V397MおよびV422I);lgG2抗体の場合には、N44S、K52NおよびV82I(IMGT;EUによれば、N384S、K392NおよびV422I);ならびにlgG4抗体の場合には、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79QおよびV82I(IMGTによる;EUによれば、Q355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419QおよびV422I)が挙げられる。上述の二重特異的な抗体フォーマットの変形は、本発明の範囲内であると想定される。
【0101】
他の具体的な実施形態では、抗体はサリルマブ(SAR153191)である。サリルマブの重鎖可変領域は、以下に配列番号2として示される。
【0102】
サリルマブの軽鎖可変領域は、以下に配列番号3として示される。
【0103】
抗体を「中和する」または「ブロックする」は、本明細書で使用する場合、hlL-6
Rに対する結合によってhlL-6の生体活性を阻害する抗体を指すことを意図している。hlL-6の生体活性の阻害は、当分野で知られるhlL-6生体活性、例えば、hlL-6によって誘発される細胞活性化およびhlL-6Rに対するhlL-6の結合のうち、1つ以上の指標を測定することによって評価することができる(以下の例を参照)。
【0104】
本明細書に開示する全ヒト抗-IL-6R抗体は、対応する生殖細胞配列と比較して、重鎖および軽鎖の可変領域のフレームワークおよび/またはCDR領域に、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入および/または欠失を含んでいてもよい。このような変異は、本明細書に開示するアミノ酸配列と、例えば、公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖細胞配列とを比較することによって簡単に確認することができる。本発明は、本明細書に開示する任意のアミノ酸配列から誘導される抗体およびこの抗原結合フラグメントを含み、1つ以上のフレームワーク領域および/またはCDR領域の中の1つ以上のアミノ酸が、対応する生殖細胞残基または対応する生殖細胞残基の保存アミノ酸置換(天然または非天然)に復帰突然変異されている(このような配列の変化は、本明細書では、「生殖細胞復帰突然変異」と呼ばれる。)。当業者は、本明細書に開示する重鎖および軽鎖の可変領域の配列を用いて開始すると、1つ以上の個々の生殖細胞復帰突然変異またはこれらの組み合わせを含む多くの抗体および抗原結合フラグメントを簡単に製造することができる。特定の実施形態では、VH領域および/またはVL領域内のすべてのフレームワーク残基および/またはCDR残基が、生殖細胞配列へと復帰突然変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えばFR1の最初の8アミノ酸またはFR4の最後の8アミノ酸の中にみられる変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2またはCDR3の中にみられる変異した残基のみが生殖細胞配列へと復帰突然変異される。さらに、本発明の抗体は、フレームワーク領域および/またはCDR領域内に2つ以上の生殖細胞復帰突然変異の任意の組み合わせを含んでいてもよく、即ち、特定の個々の残基が生殖細胞配列へと復帰突然変異される一方、生殖細胞配列とは異なる特定の他の残基は維持される。いったん得られたら、1つ以上の生殖細胞復帰突然変異を含む抗体および抗原結合フラグメントについて、例えば、改善された結合特異性、高められた結合アフィニティ、改善されたか、または高められたアンタゴニスト生体特性もしくはアゴニスト生体特性(場合によっては)、低下した免疫原性などの1つ以上の望ましい特性を簡単に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体および抗原結合フラグメントは、本発明に包含される。
【0105】
「エピトープ」という用語は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域にある特異的な抗原結合部位と相互作用する抗原決定因子を指す。1つの抗原が、1つより多いエピトープを有し得る。エピトープは、立体構造であってもよく、または線形であってもよい。立体構造エピトープは、線形ポリペプチド鎖の異なるセグメントから、空間的に並列に並べられたアミノ酸によって作られる。線形エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって作られるものである。特定の場合には、エピトープは、抗原の上に糖、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含んでいてもよい。
【0106】
抗-hlL-6Rは、サリルマブ(SAR153191)であってもよい。一実施形態では、サリルマブは、配列番号2の重鎖可変領域と配列番号3の軽鎖可変領域とを含む抗体であると定義される。
【0107】
DMARD
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)としては、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキンおよびレフルノミドが挙げられる。本開示の組成物および方法によれば、DMARDを以下のように投与することができる。メトトレキサートを、経口または筋肉注射によって1週間につき10mgから25mg投与することができる。別の実施形態では、アジア-太平洋地域出身の患者またはアジア-太平洋地域出身のヒトの子孫である患者に、メトトレキサートを、経口または筋肉注射によって1週間につき6mgか
ら25mg投与する。アジア-太平洋地域としては、台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、タイおよびインドが挙げられる。特定の実施形態では、メトトレキサートを、1週につき6mgから12mg、10mgから15mg、15mgから20mgおよび20から25mg投与する。他の実施形態では、メトトレキサートを、1週につき6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25mg投与する。レフルノミドを、経口で1日につき10mgから20mg投与することができる。特定の実施形態では、レフルノミドを、1日につき10mgから12mg、12mgから15mg、15mgから17mgおよび18mgから20mg投与することができる。他の実施形態では、レフルノミドを、1日につき10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mg投与する。スルファサラジンを、経口で1日につき1000mgから3000mg投与することができる。特定の実施形態では、スルファサラジンを、1日につき1000mgから1400mg、1400mgから1800mg、1800mgから2200mg、2200mgから2600mgおよび2600mgから3000mg投与することができる。他の実施形態では、スルファサラジンを、1日につき1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900または3000mg投与する。ヒドロキシクロロキンを、経口で1日につき200mgから400mg投与することができる。特定の実施形態では、ヒドロキシクロロキンを、1日につき200から240、240から280、280から320、320から360および360から400投与することができる。他の実施形態では、ヒドロキシクロロキンを、1日につき200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390または400mg投与することができる。
【0108】
治療のための投与および製剤
本明細書に記載する方法は、治療に有効な量の抗-hlL-6R抗体およびDMARDを患者に投与することを含む。本明細書で使用する場合、「治療に有効な量」という句は、関節リウマチに関連する1つ以上の症状を検出可能な程度まで改善するか、または関節リウマチの状態または症状を生じる背後にある病理学的機構と相関関係にある生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーの量の減少)を生じる抗-hlL-6R抗体およびDMARDの投薬量を意味する。例えば、慢性疾患貧血症、発熱、鬱病、倦怠感、リウマチ小結節、血管炎、ニューロパシー、強膜炎、心膜炎、Felty症候群および/または関節破壊といった任意の症状または状態を改善する1つ以上のDMARDを含む抗-hlL-6R抗体の投薬量は、「治療に有効な量」であるとされる。
【0109】
検出可能な改善は、American College of Rheumatism(ACR)関節リウマチ分類基準を用いても検出することができる。例えば、ベースラインからの20%の改善(ACR20)、50%の改善(ACR50)または70%の改善(ACR70)を用い、検出可能な改善を示すことができる。
【0110】
疾患活動性スコア(DAS28)を使用し、検出可能な改善を示すことができる。DAS28は、28関節に基づく圧痛関節数、28関節に基づく関節腫脹数、全体的な健康評価およびC反応性タンパク(CRP)レベルを測定することによって評価することができる炎症マーカーを合わせた複合的なスコアである。疾患応答は、European League against Rheumatism(EULAR)応答基準を用いてあらわすことができる。この基準による良好な応答は、DAS28スコアで1.2より大きい改善であり、現在のスコアが3.2以上である。中程度の応答は、DAS28スコアで0.6より大きく1.2以下の改善であり、現在のスコアが3.2以上である。応答なしは、DAS28スコアで0.6未満の改善であり、現在のスコアが5.1より大きい。DA
S28寛解は、DAS28スコアが2.6未満である。
【0111】
本発明の方法によれば、患者に投与される抗-hlL-6R抗体の治療に有効な量は、患者の年齢および大きさ(例えば、体重または体表面積)および投与経路および当業者に周知の他の因子によって変わるだろう。特定の実施形態では、患者に投与される抗-hlL-6R抗体の投薬量は、約10mgから約500mgである。例えば、本発明は、1週間につき約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、またはもっと多い抗-hlL-6R抗体を患者に投与する方法を含む。
【0112】
一実施形態では、hlL-6R抗体を週につき100mgから150mg投与する。別の実施形態では、hlL-6R抗体を2週間ごとに100mgから200mg投与する。他の実施形態では、hlL-6R抗体を週につき約100mgまたは約150mg投与する。他の実施形態では、hlL-6R抗体を2週間ごとに約100、150または200mg投与する。
【0113】
患者に投与される抗-hlL-6R抗体の量は、患者の体重1キログラムあたり、抗体のミリグラムという単位であらわすことができる(即ち、mg/kg)。例えば、本発明の方法は、患者の体重あたり、約0.01mg/kgから約100mg/kg、約0.1mg/kgから約50mg/kg、または約1mg/kgから約10mg/kgの1日投薬量で抗-hlL-6R抗体を患者に投与することを含む。
【0114】
本発明の方法は、特定の一連の時間にわたって、抗-hlL-6R抗体を患者に複数回投薬によって投与することを含む。例えば、抗-hlL-6R抗体を1日につき約1から5回、1週につき約1から5回、1ヶ月に約1から5回、または1年に約1から5回投与することができる。特定の実施形態では、本発明の方法は、第1の時間点で第1の投薬量の抗-hlL-6R抗体を患者に投与した後、第2の時間点で少なくとも第2の投薬量の抗-hlL-6R抗体を患者に投与することを含む。第1の投薬量および第2の投薬量は、特定の実施形態では、同じ量の抗-hlL-6R抗体を含有し得る。例えば、第1の投薬量および第2の投薬量は、それぞれ、抗体を約10mgから約500mg、約20mgから約300mg、約100mgから約200mg、または約100mgから約150mg含有し得る。第1の投薬と第2の投薬の間の時間は、約数時間から数週間であってもよい。例えば、第2の時間点(即ち、第2の投薬量を投与するときの時間)は、第1の時間点(即ち、第1の投薬量を投与するときの時間)から約1時間後から約7週間後であってもよい。本発明の特定の例示的な実施形態によれば、第2の時間点は、第1の時間点から、約1時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約14週間たった後、またはもっと後でもよい。特定の実施形態では、第2の時間点は、約1週間または約2週間である。第3の投薬量およびその後の投薬量は、患者への一連の治療中に同様に投与されてもよい。
【0115】
本発明は、抗-IL-6R抗体またはこの抗原結合フラグメントと、1つ以上のDMARDとを含む治療組成物を用いる方法を提供する。本発明の治療組成物は、適切な担体、賦形剤および改良された移動性、送達性、耐性などを与えるように製剤に組み込まれる他の薬剤とともに投与されるだろう。すべての医薬品化学に対して製剤的に知られている大量の適切な製剤を見出すことができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)を含有するベシクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNA接合体、無水吸収ペースト、水中油および油中水のエマルション、エマルションカルボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲルおよびカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。また、Powellら「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci
Technol 52:238-311を参照。
【0116】
投薬量は、投与される被験者の年齢および体重、標的疾患、状態、投与経路などによって変わるだろう。種々の送達系が知られており、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、受容体が介在するエンドサイトーシスを使用し、本発明の医薬組成物を投与することができる(例えば、Wuら(1987)J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照)。導入方法としては、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経鼻、硬膜外および経口経路が挙げられる。組成物を任意の簡便な経路によって、例えば、点滴またはボーラス注射によって、上皮または粘膜の内部を介する吸収(例えば、口腔粘膜、直腸および大腸の粘膜など)によって投与してもよく、他の生体活性のある薬剤と一緒に投与してもよい。全身または局所に投与することができる。hlL-6R抗体を皮下投与してもよい。DMARDは、経口または筋肉内から投与することができる。
【0117】
医薬組成物は、ベシクル、特に、リポソームに入れて送達することもできる(Langer(1990)Science 249:1527-1533を参照)。特定の状況では、医薬組成物を、例えば、ポンプまたはポリマー材料を用い、制御放出系で送達することができる。別の実施形態では、制御放出系を、組成物の標的の近くに配置することができ、これによって、全身投薬量の一部のみを必要とする。
【0118】
注射可能な調製物は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内の注射、局所注射、点滴などのための投薬形態を含んでいてもよい。これらの注射可能な調製物は、公的に知られている方法によって調製されてもよい。例えば、上述の抗体またはこの塩を、注射に通常用いられる滅菌水性媒体または油性媒体に溶解し、懸濁させ、または乳化することによって、注射可能な調製物を調製してもよい。注射のための水性媒体として、例えば、生理食塩水、糖および他の補助剤を含有する等張性溶液などが存在し、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート 80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などと組み合わせて使用してもよい。油性媒体として、例えば、ゴマ油、大豆油などを使用し、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用してもよい。このようにして調製した注射液を適切なアンプルに充填してもよい。
【0119】
有利には、上述の経口用途または非経口用途のための医薬組成物を、活性成分の投薬量を合わせるのに適した単位投薬量になるような投薬形態に調製する。このような単位投薬量の投薬形態としては、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、注射液(アンプル)、坐剤など
が挙げられる。含有されるDMARDの量は、一般的に、使用する特定のDMARDに依存して、経口単位投薬量で投薬形態あたり約5mgから3000mgである。含有されるhlL-6R抗体の量は、一般的に、皮下投薬形態あたり約100mgから200mgである。
【0120】
本明細書に開示する方法によれば、抗-hlL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)を、許容可能な任意のデバイスまたは機構を用いて、患者に投与することができる。例えば、注射器と針を用い、または再利用可能なペンおよび/またはオートインジェクター送達デバイスを用い、投与を行うことができる。本発明の方法は、抗-hlL-6R抗体(またはこの抗体を含む医薬製剤)を投与するための多くの再利用可能なペンおよび/またはオートインジェクター送達デバイスの使用を含む。このようなデバイスの例としては、限定されないが、数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、ウッドストック、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、バーグドルフ、スイス国)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、インディアナポリス、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、コペンハーゲン、デンマーク)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、フランクリンレイクス、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)およびOPTICLIK(商標)(sanofi-aventis、フランクフルト、ドイツ)が挙げられる。本発明の医薬組成物の皮下送達での用途を有する使い捨てペンおよび/またはオートインジェクター送達デバイスの例としては、限定されないが、数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi-aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen、サウザンドオークス、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、シュトゥットガルト、ドイツ)、EPIPEN(Dey、L.P.)およびthe HUMIRA(商標)Pen(Abbott Labs、アボットパーク、IL)が挙げられる。
【0121】
抗-hlL-6R抗体(またはこの抗体を含む医薬製剤)を患者に送達するためのマイクロインフューザーの使用も本明細書で想定される。本明細書で使用する場合、「マイクロインフューザー」という用語は、大容積(例えば、約2.5mL以上まで)の治療製剤を長期間にわたって(例えば、約10、15、20、25、30分以上)ゆっくりと投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、U.S.6,629,949;US 6,659,982;およびMeehanら、J.Controlled Release 46:107-116(1996)を参照。マイクロインフューザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mL以上)および/または粘性溶液の中に含有される多量の投薬量の治療用タンパク質を送達するのに特に有用である。
【0122】
組み合わせ療法
本発明は、関節リウマチの治療を必要とする患者に、少なくとも1つのさらなる治療薬剤と組み合わせて抗-hlL-6R抗体を投与することを含む、関節リウマチを治療する方法を含む。本発明の方法を実施する際に、抗-hlL-6R抗体と組み合わせて投与可能なさらなる治療薬剤の例としては、限定されないが、DMARDおよびヒト被験者の関節リウマチを治療し、予防し、または改善することが知られている任意の他の化合物が挙げられる。本発明の方法という観点で抗-hlL-6R抗体と組み合わせて投与可能なさらなる治療薬剤の具体的で非限定的な例としては、限定されないが、メトトレキサート、
スルファサラジン、ヒドロキシクロロキンおよびレフルノミドが挙げられる。本発明の方法では、さらなる治療薬剤を抗-hlL-6R抗体と同時に、または連続して投与することができる。例えば、同時投与の場合、抗-hlL-6R抗体と少なくとも1つのさらなる治療薬剤を両方とも含有する医薬製剤を製造することができる。本発明の方法を実施する際に抗-hlL-6R抗体と組み合わせて投与されるさらなる治療薬剤の量は、当分野で既知で容易に利用可能な通常の方法を用いて簡単に決定することができる。
【0123】
本発明の開示は、以下のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0124】
100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、10から25mgのメトトレキサートとを含む組成物。
【0125】
100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、10から25mgのメトトレキサートとを含む組成物。
【0126】
100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、6から25mgのメトトレキサートとを含む組成物。
【0127】
100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、6から25mgのメトトレキサートとを含む組成物。
【0128】
100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、10から20mgのレフルノミドとを含む組成物。
【0129】
100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、10から20mgのレフルノミドとを含む組成物。
【0130】
100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、1000から3000mgのスルファサラジンとを含む組成物。
【0131】
100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1000から3000mgのスルファサラジンとを含む組成物。
【0132】
100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、200から400mgのヒドロキシクロロキンとを含む組成物。
【0133】
100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、200から400mgのヒドロキシクロロキンとを含む組成物。
【0134】
本発明の開示は、以下のいずれかを含む、関節リウマチに関連する症状を改善する方法を提供する。
【0135】
必要とする被験者に、1週につき100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、10から25mgのメトトレキサートとを投与することを含む方法。
【0136】
必要とする被験者に、2週間ごとに100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1週につき10から25mgのメトトレキサートとを投与することを含む方法。
【0137】
必要とする被験者に、1週につき100mgから150mgのサリルマブ(SAR15
3191)と、6から25mgのメトトレキサートとを投与することを含む方法。
【0138】
必要とする被験者に、2週間ごとに100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1週間につき6から25mgのメトトレキサートとを投与することを含む方法。
【0139】
必要とする被験者に、1週につき100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき10から20mgのレフルノミドトとを投与することを含む方法。
【0140】
必要とする被験者に、2週間ごとに100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき10から20mgのレフルノミドとを投与することを含む方法。
【0141】
必要とする被験者に、1週につき100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき1000から3000mgのスルファサラジンとを投与することを含む方法。
【0142】
必要とする被験者に、2週間ごとに100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき1000から3000mgのスルファサラジンとを投与することを含む方法。
【0143】
必要とする被験者に、1週につき100mgから150mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき200から400mgのヒドロキシクロロキンとを投与することを含む方法。
【0144】
必要とする被験者に、2週間ごとに100mgから200mgのサリルマブ(SAR153191)と、1日につき200から400mgのヒドロキシクロロキンとを投与することを含む方法。
【0145】
バイオマーカー
本開示は、hlL-6Rに特異的に結合する治療に有効な量のヒト抗体またはこの抗体結合フラグメントと、治療に有効な量の1つ以上のDMARDとを、関節リウマチを治療することが必要な患者に投与することによって、投与後に、患者における1つ以上のRAに関連するバイオマーカーのレベルが変わる(例えば、場合により、増える、減るなど)、関節リウマチを治療する方法を含む。関連する態様では、本発明は、hlL-6Rに特異的に結合する治療に有効な量のヒト抗体またはこの抗原結合フラグメントと、治療に有効な量の1つ以上のDMARDとを患者に投与することによる、患者におけるRAに関連するバイオマーカーを減らすための方法を含む。
【0146】
RAに関連するバイオマーカーの例としては、限定されないが、例えば、高感度C反応性タンパク(hsCRP)、血清アミロイドA(SAA)、赤血球沈降速度(ESR)、血清ヘプシジン、インターロイキン-6(IL-6)およびヘモグロビン(Hb)が挙げられる。当業者によって理解されるように、RAに関連するバイオマーカーの増加または減少は、投与前の患者で測定したバイオマーカーレベル(即ち、「ベースライン測定値」)に対し、抗-IL-6R抗体を投与した後の所定時間点に、患者で測定したバイオマーカーレベルを比較することによって決定することができる。バイオマーカーを測定することができる所定の時間点は、例えば、抗-hlL-6R抗体を投与してから約4時間、8時間、12時間、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、15日間、20日間、35日間、40日間以上経過後であってもよい。
【0147】
本発明の特定の実施形態によれば、患者は、抗-hlL-6R抗体を患者に投与した後に、hsCRP、SAA、ESRおよび/またはヘプシジンの1つ以上のレベルの減少を示し得る。例えば、抗-hlL-6R抗体と、1つ以上のDMARDを週に1回投与して約12週目に、患者は、以下の1つ以上を示し得る。(i)hsCRPが約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはもっと大きく低下;(ii)SAAが、約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはもっと大きく低下;(iii)ESRが、約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、またはもっと大きく低下;および/または(iv)ヘプシジンが、約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、またはもっと大きく低下。
【0148】
本発明の特定の他の実施形態によれば、患者は、抗-hlL-6R抗体と1つ以上のDMARDを患者に投与した後に、HbまたはIL-6のうち1つ以上のレベルの増加を示し得る。例えば、抗-hlL-6R抗体と、1つ以上のDMARDを週に1回投与して約12週目に、患者は、以下の1つ以上を示し得る。(v)Hbが、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、またはもっと大きく増加;および/または(vi)IL-6が、約100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、またはもっと大きく増加。
【0149】
本発明は、ある被験者が抗-hlL-6R抗体の投与が有益であるような適切な患者であるかどうかを決定する方法を含む。例えば、ある個体が、抗-hlL-6R抗体および/または1つ以上のDMARDを摂取する前に、疾患状態を知らせるRAに関連するバイオマーカーのレベルを示す場合、この個体は、抗-hlL-6R抗体の投与が有益である適切な患者であると特定される。特定の例示的な実施形態によれば、ある個体は、この個体が以下の1つ以上を示す場合、抗-hlL-6R/DMARD治療の良好な候補者であると特定してもよい。(i)hsCRPのレベルが、約4mg/Lより大きい(例えば、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約5.5mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約10.0mg/L、約15.0mg/L、約20.0mg/L、またはもっと大きい。);(ii)SAAのレベルが約3800ng/mLより大きい(例えば、約4000ng/mL、4500ng/mL、約5000ng/mL、約5500ng/mL、約6000ng/mL、約10,000ng/mL、約20,000ng/mL、約25,000ng/mL、約30,000ng/mL、約35,000ng/mL、約40,000ng/mL、約45,000ng/mL、またはもっと大きい。);(iii)ESRが、約15mm/hrより大きい(例えば、約16mm/hr、約17mm/hr、約18mm/hr、約19mm/hr、約20mm/hr、約21mm/hr、約22mm/hr、約25mm/hr、約30mm/hr、約35mm/hr、約40mm/hr、約45mm/hr、約50mm/hr、またはもっと大きい。);および/または(iv)ヘプシジンのレベルが、約60ng/mLより大きい(例えば、約62ng/mL、約64ng/mL、約68ng/mL、約70ng/mL、約72ng/mL、約74ng/mL、約76ng/mL、約78ng/mL、約80ng/mL、約82ng/mL、約84ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約105ng/mL、またはもっと大きい。)。さらなる基準、例えば、他のRAの臨床的な指標を、上述のRAに関連するいずれかのバイオマーカーと組み合わせて使用し、抗-hlL-6R治療の適切な候補者として個体を特定してもよい。
【0150】
患者集団
特定の実施形態では、本明細書に記載する方法および組成物を、特定の患者集団に投与する。これらの集合は、抗-hlL-6R抗体と1つ以上のDMARDの組み合わせ以外の治療計画で関節リウマチをすでに治療された患者を含む。これらの治療計画は、抗-TNF-α治療、例えば、生物学的抗-TNF-α治療計画を含む。生物学的抗-TNF-αアンタゴニストとしては、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよびセルトリズマブペゴールが挙げられる。これらの治療計画には、抗-hlL-6R抗体が存在しない状態でのDMARD治療も含まれる。
【0151】
治療に使用するDMARDとしては、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキンおよびレフルノミドが挙げられる。DMARDを単独で投与してもよく、または抗-hlL-6R抗体ではない別の治療と組み合わせて投与してもよい。具体的な実施形態では、以前の治療計画は、メトトレキサートであった。別の実施形態では、抗-hlL-6R抗体で治療される患者において、メトトレキサートを用いた治療を継続する。特定の実施形態では、患者は、抗-TNF-α治療およびDMARD治療の両方を以前投与されていた。治療は、任意の順序で、または同時に行ってもよい。特定の実施形態では、抗-hlL-6R抗体と1つ以上のDMARDの組み合わせを摂取する前の2年以内に患者がこれらの治療を受けている。他の実施形態では、抗-hlL-6R抗体と1つ以上のDMARDの組み合わせを摂取する前の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年以内に患者がこれらの治療を受けている。
【0152】
特定の実施形態では、本明細書に記載する方法および組成物を、上述の1つ以上の治療計画を受けており、これらの治療が有効ではなかった特定の患者集団に投与する。本明細書で使用する場合、抗-TNF-αおよびDMARDの投薬によって、関節リウマチに関連する1つ以上の症状の検出可能な改善がみられず、または、関節リウマチの状態または症状を生じる背後にある病理学的機構と相関関係にある生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーの量の減少)を生じないとき、治療は有効ではなかった。
【0153】
別の例では、抗-TNF-αの投薬によって、関節リウマチに関連する1つ以上の症状の検出可能な改善がみられず、または、関節リウマチの状態または症状を生じる背後にある病理学的機構と相関関係にある生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーの量の減少)を生じないとき、治療は有効ではなかった。
【0154】
別の例では、抗-hlL-6R抗体とDMARDの投薬によって、関節リウマチに関連する1つ以上の症状の検出可能な改善がみられず、または、関節リウマチの状態または症状を生じる背後にある病理学的機構と相関関係にある生物学的効果を生じないとき、治療は有効ではなかった。
【0155】
特定の実施形態では、DMARDを用いた有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている患者にサリルマブを投与する。本明細書で使用する場合、DMARDを用いた治療は、治療後に患者が依然として「活動性疾患」を主張する場合、有効ではなかった。68のうち少なくとも8の圧痛関節を示し、66のうち6の関節腫脹を示し、高感度C反応性タンパク(hs-CRP)>10mg/L(>1.0mg/dL)を示すとき、患者は、活動性疾患を主張する。具体的な実施形態では、患者は、MTXを用いた有効ではない関節リウマチの治療を以前受けている。このような例では、患者は、少なくとも12週間、10mgから25mg/週(または、投薬範囲が異なる場合、地域でのラベル付けの要求事項あたり)のMTXを用いた継続的な治療を受けてもよく、最短で8週間、MTXの安定な投薬を受けてもよく、以下に定義されるような、中程度から重度の活動度があるRAが存在する。(i)68のうち少なくとも8の圧痛関節、66のうち6の関節腫脹および(ii)高感度C反応性タンパク(hs-CRP)>10mg/L(>1.0mg/dL)。
【0156】
例えば、以下のいずれかの症状または状態を改善しない治療は、有効ではないとされる。慢性疾患貧血症、発熱、鬱病、倦怠感、リウマチ小結節、血管炎、ニューロパシー、強膜炎、心膜炎、Felty症候群および/または関節破壊。
【0157】
検出可能な改善は、American College of Rheumatism(ACR)関節リウマチ分類基準を用いても検出することができる。例えば、ベースラインからの20%の改善(ACR20)、50%の改善(ACR50)または70%の改善(ACR70)を用い、検出可能な改善を示すことができる。
【0158】
疾患活動性スコア(DAS28)を使用し、検出可能な改善を示すことができる。DAS28は、28関節に基づく圧痛関節数、28関節に基づく関節腫脹数、全体的な健康評価およびC反応性タンパク(CRP)レベルを測定することによって評価することができる炎症マーカーを合わせた複合的なスコアである。疾患応答は、European League against Rheumatism(EULAR)応答基準を用いてあらわすことができる。この基準による良好な応答は、DAS28スコアで1.2より大きい改善であり、現在のスコアが3.2以上である。中程度の応答は、DAS28スコアで0.6より大きく1.2以下の改善であり、現在のスコアが3.2以上である。応答なしは、DAS28スコアで0.6未満の改善であり、現在のスコアが5.1より大きい。DAS28寛解は、DAS28スコアが2.6未満である。DAS28スコアの任意の要素での改善を測定することによって、検出可能な改善を示すこともできる。
【実施例0159】
[実施例1]
サリルマブとメトトレキサートの組み合わせは、メトトレキサート治療が有効ではない患者における関節リウマチの治療に有効である。
【0160】
メトトレキサート(MTX)に対する応答が不十分な関節リウマチ患者において、世界的、二重盲検、プラセボコントロールによる無作為試験を行った。この試験に参加した患者は、以下の基準を有していた。患者は、以下のように定義される活動性疾患にかかっている必要があった。66のうち少なくとも6の関節腫脹および68のうち少なくとも8の圧痛関節、hs-CRP>6mg/L。また、患者は、10mgから25mg/週(またはアジア-太平洋地域の患者について、6mgから25mg/週)の12週間のメトトレキサート(MTX)を用いた継続的な治療を受けていることも必要であった。
【0161】
この試験は、2つの部分を含む。試験の第1部(パートA)は、効能(徴候および症状の低減)および安全性に基づく2つの最良の投薬計画を選択することを目的とした12週間の6種類の投薬範囲に及ぶ部分であった。試験の第2部(パートB)は、これらの2つの選択した投薬計画について、徴候および症状の低減、構造損傷の進行を抑制、物理的機能の改善および主な臨床反応の誘発に対する効能ならびに安全性を確認する52週間の部分であった。
【0162】
この試験が操作的につなぎ目のない設計であるという性質は、パートBは、パートAの結果に基づいて投薬量を選択するのを待つことなく、パートAで最後の患者が無作為に分けられた直後に患者の試験を開始するという事実によるものである。このようにして、パートBの患者は、登録時間に従って2種類の別個のコホートに属する。
【0163】
投薬量選択の前にコホート1の患者を無作為に選び、これらの患者を6群に無作為に分ける(パートAの1つとして)。投薬量選択の後、患者を、52週の治験を継続する2つの選択した投薬量およびプラセボ計画に無作為に分けるが、他の3群に無作為に分けられ
た患者は、この試験を中断するが、非盲検試験での延長試験に参加することが提案される(LTS11210を参照)。
【0164】
コホート2の患者を投薬量選択後に無作為に分け、これらの患者を、無作為に2つの選択した投薬量およびプラセボの3群に分けた。
【0165】
パートA
診断、疾患活動性、この試験への適格性および併用治療の確認を確定するためにスクリーニング訪問時に患者を評価した。血液学的試験、化学物質プロフィール、脂質プロフィール、肝臓の酵素および急性相反応物質、HbA1c、B型肝炎およびC型肝炎、ならびに妊娠可能性がある女性には血清妊娠試験を含め、完全な試験および実験室での検査を行った。ECG評価も行った。結核を除外するために、PPD試験およびQuantiFERONと、胸部X線(直近の3ヶ月間に行われた陰性のX線書類が入手可能ではない場合)を行った。
【0166】
適格性を確認した後、MTX並行治療で週に1回皮下から与えられるSAR153191またはプラセボの6群を用いた、このインターナショナルマルチセンター、二重盲検、プラセボコントロール群並行で行われる12週間の試験治療において、患者をバランスのとれた様式で無作為に分けた。投薬量を図1に示す。
【0167】
試験の前に投与されていたとおりに、それぞれの患者にメトトレキサートを投与した。アジア-太平洋地域(台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、タイおよびインド)の患者について、投薬量は、10mgから25mg/週、または6mgから25mg/週であった。
【0168】
1回目の訪問の間に、禁止されている薬物治療のリストを患者に思い出させ、MTXの毒性を防ぐために地域的な推奨によって葉酸を用いて試験を終了するまで、この現時点での安定な投薬量でMTXの投薬を続けるべきであることについて注意を喚起した。IMPを調製し、自分で投与するように患者に練習させ、厳格に7日間あけて注射するように注意を喚起した。現場観察以外の場所で起こる投薬時間点で、SAR153191は、患者自身によって、訓練された専門的な介護者によって、または訓練された専門家によって注射された。
【0169】
患者は、2、4、6、8、10および12週目にさらに6回訪問した。主な効能スコアを計算し、安全性の態様の経過観察をするために、血液学的試験、化学物質プロフィール、脂質プロフィール、肝臓の酵素および急性相反応物質を含む効能評価ならびに実験室での検査をこの試験全体にわたって評価した。無作為な訪問および2、4、8および12週目の訪問時に、ACRスコア(プライマリーエンドポイント)を計算するために、検査員とは別個の評価者によって、また、患者のデータによって、圧痛関節数および関節腫脹数に関する完全な関節試験を行った。盲検を維持するために、検査員、治験依頼者および患者は、試験中にCRPおよび血清IL6のレベルがわからないようになっている。
【0170】
体温をモニタリングすることによって部分的に評価される感染の可能性を含む有害事象の綿密なモニタリングを訪問時ごとに行った。特定の患者評価によって結核の存在を調べた(任意の徴候または症状、または活動的なTBとの接触について調査)。神経学的異常(病歴および身体検査)または自己免疫の素因(ANA、ds-DNA抗体)を、ベースラインおよび治療訪問終了時に検査した。
【0171】
疾患応答または有害事象の予測となり得る潜在的なバイオマーカーを調べるために、試験中に特定の血液および尿のサンプルを採取した。これらのサンプルには、DNAのため
の1サンプル(患者が特定のインフォームドコンセント書面にサインした後に)と、RNA発現プロフィール作成およびタンパク質バイオマーカー分析のための試験全体にわたって連続的に得た数種類のサンプルが含まれていた。SAR153191に対する薬物動態パラメータおよび抗体のために、適切な時間点にサンプルも集めた。
【0172】
完全な臨床的評価および実験室での評価を含む治療訪問が終了したときに、早い時期に中断した患者を評価した。これらの患者は、ACRスコアについて不応答者とした。
【0173】
治療訪問終了時に、すべての患者について、治療後の経過観察のための訪問を完了するために日程を決めた。治療期間を終了した患者には、SAR153191を用いた非盲検試験での長期間にわたる安全性延長試験に参加することが提案された。
【0174】
結果
標準的なRA治療であるメトトレキサート(MTX)と組み合わせてサリルマブ(REGN88/SAR153191)で治療したヒト患者は、MTXのみで治療した患者と比較して、中程度から重度の関節リウマチ(RA)の徴候および症状について顕著で臨床的に意味のある改善を達成した。国籍がさまざまな306人の患者について、投薬量を変え、複数群の二重盲検プラセボコントロールによる無作為試験を行い、MTXと組み合わせたサリルマブの5種類の異なる投薬量での計画と、プラセボおよびMTXとを比較した。この試験のプライマリーエンドポイントは、12週間後にRA症状の少なくとも20%の改善(ACR20)を達成した患者の割合であった。
【0175】
MTXと組み合わせてサリルマブを摂取する患者において、投薬応答を観察した。12週後のACR20応答は、プラセボおよびMTXを受けた患者では46.2%でみられたのに対し、最も低用量のサリルマブ投薬計画を受けた患者の49.0%および最も高用量の投薬計画を受けた患者の72.0%にみられた(p=0.02、多重性を修正、最も高用量のサリルマブ投薬計画の場合)(図2)。実薬治療群でより頻繁に報告された最も一般的な有害事象(>5%)は、感染(重篤ではない。)、好中球減少および肝臓機能試験の異常を含んでいた。有害事象の種類および頻度は、IL-6阻害についてすでに報告されている内容と一致していた。サリルマブ5治療群およびプラセボ群での重篤な有害事象の発生は、同等であった。
【0176】
サリルマブは、ACR 50、ACR 70およびDAS 28スコア、RA治験で用いられる臨床的な活動性のさらなる測定を含め、セカンダリーエンドポイントでもプラセボと比較して有意な利益を示した。さらに具体的には、
-12週後のACR50応答は、プラセボおよびMTXを受けた患者では15%でみられたのに対し、最も低用量のサリルマブ投薬計画を受けた患者の22%および最も高用量の投薬計画を受けた患者の30%にみられた(図3
-ACR70も、プラセボに対し、200mg q2w群で有意に高かった。12週後のACR70応答は、プラセボおよびMTXを受けた患者では2%でみられたのに対し、最も高用量の投薬計画を受けた患者の16%にみられた(図3)。
【0177】
これらの結果は、サリルマブを用いてIL-6Rをブロックすることが、RA疾患の症状を低減するための新しい抗炎症の有望な研究的治療の代表例であるという証拠を与えている。
【0178】
パートB
診断、疾患活動性、この試験への適格性および併用治療の確認を確定するためにスクリーニング訪問時に患者を評価する。検査員は、患者が抗環状シトルリン化ペプチド抗体(CCP)陽性もしくはリウマチ因子(RF)陽性であるか、または患者が、X線で確認さ
れた骨びらんを有するかを調べる。必要な場合、CCPおよびRFが両方とも陰性であり、X線がない患者について、中心部を再観察したスクリーニングX線を行い、さらに、これを試験のベースラインX線評価とする。
【0179】
コホート1:投薬量選択前に無作為に分けた患者
パートAで最後の患者を無作為に分けた直後に、長期間にわたる安全性延長試験の募集を開始する。適格性を確認した後、MTX並行治療で週に1回皮下から与えられるSAR153191(5つの実薬投薬群)またはプラセボの6群を用いた、この国際的マルチセンター、二重盲検、プラセボコントロール群並行で行われる試験治療において、以前の生物学的使用および領域によって階層に分け、患者をバランスのとれた様式で無作為に分ける。
【0180】
コホート1患者のすべての患者の訪問開始時に、検査員は、IVRSリストを見て、患者がこの試験に依然として「適格」であること、即ち、患者が、選択されていない群に無作為に分けられたために中断すべきではないことを調べる。実際に、パートAから重要な投薬計画が選択されたら、対応する群またはプラセボに無作為に分けられた患者のみが、この試験に依然として適格性があるとされ、合計で52週間の試験を継続する。他の患者(選択されていない投薬計画に無作為に分けられた。)は、IVRSに適格性がないとされる。検査員は、これらの患者に対し、患者を登録するときに利用可能な最も高用量の投薬計画でのSAR153191を用いた非盲検試験での延長試験に参加することを提案する。
【0181】
最初の無作為化は、全患者にとって盲検状態のままである。
【0182】
コホート2:投薬量選択後に無作為に分けた患者-重要な部分
1日目に、適格性を確認した後、MTX並行治療で皮下から与えられるSAR153191(2つの重要な投薬計画)またはプラセボの3群を用いた、このインターナショナルマルチセンター、二重盲検、プラセボコントロール群並行で行われる試験において、以前の生物学的使用および領域によって階層に分け、患者をバランスのとれた様式で無作為に分ける。
【0183】
両コホート:
いずれかのコホートにおいて、効能および安全性の評価ならびに実験室での試験について、患者を2週目、4週目、28週目まで4週間ごと、次いで、52週まで8週間ごとに評価する。
【0184】
パートAに記載したのと同じ手順をパートBに適用する。これに加え、ベースライン、24週目、52週目に手と足の関節のX線評価を行う。任意の患者の情報を非特定化したレントゲン写真を、Sharpスコア(関節破壊の特定的なスコアリングシステム)を計算するためにセントラルリーダに送る。健康経済評価、例えば、SF-36も加える。
【0185】
16週目から、2回の連続した訪問で関節腫脹数(SJC)または圧痛関節数(TJC)のいずれかが、ベースラインからの改善が20%未満であるとして定義される、効能がない患者、または検査員の判断に基づいて任意の他の明らかに効能がない患者は、救助治療群に移るときに利用可能な最も高用量の投薬量でのSAR153191を用いた非盲検試験で助けられることを提案され、計画に沿った訪問スケジュールに従って試験を継続する。実験室での分析用血液サンプルを、安全性の目的に切り替えた2週間後に採取する。これらの患者は、プライマリーエンドポイント(ACR20)で不応答者とされる。これらの患者は、試験に残り、すべての訪問を継続する。
【0186】
選択した国において、7回目の訪問/16週目またはこれ以降にパートBの治療での効能基準を満たさない患者は、治療を永久的に中止し、非盲検の救助群に参加する適格性がない。その代わりに、この患者には、治療訪問が終了してから6週間後に、安全性を評価するために経過観察訪問がある。
【0187】
早めに中止した任意の患者、または非盲検のSAR153191で早めに救助される任意の患者について、この前3週間以内にX線評価試験が行われていない限り、退薬または救助のときにさらなるX線評価を行う(X線曝露を避けるために、2回のX線評価の間に3ヶ月の期間を考えるべきである。)。
【0188】
パートBを終了する患者(非盲検の救助群の患者を含む。)は、登録時に最大用量の投薬計画での非盲検延長試験に登録することが提案される。すべての患者について、治療後の経過観察訪問を終了するための日程を決める。患者が、SAR153191の非盲検の長期間にわたる延長試験に入ることを承諾し、適格性があると確認された場合、治療後の経過観察訪問は終了しない。
【0189】
[実施例2]
サリルマブとDMARDの組み合わせは、TNF-αアンタゴニスト治療およびメトトレキサート治療が有効ではない患者における関節リウマチの治療に有効である。
【0190】
メトトレキサート(MTX)および少なくとも1つのTNF-αアンタゴニストに対する応答が不十分な関節リウマチ患者において、世界的、二重盲検、プラセボコントロールによる無作為試験を行った。この試験に参加した患者は、以下の基準を有していた。検査員の意見では、患者は、直近2年間に少なくとも3ヶ月間治療した後に、少なくとも1つのTNF-αアンタゴニストに対して不十分な応答を有していたか、または、患者は、少なくとも1つのTNF-αアンタゴニストに不耐性であり、中止された。TNF-αアンタゴニストには、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよび/またはセルトリズマブペゴールが含まれていた。患者は、以下のように定義される活動性疾患にかかっている必要があった。66のうち少なくとも6の関節腫脹、68のうち少なくとも8の圧痛関節、hs-CRP≧8mg/L。患者には、ベースラインの前に少なくとも12週間、DMARDまたはDMARDの組み合わせを用いた継続的な治療が行われており、スクリーニングの前に少なくとも6週間、安定な投薬が行われていることも必要であった。これらのDMARDは、メトトレキサート(MTX)を10mgから25mg/週(またはアジア-太平洋地域の患者の場合、6mgから25mg/週);レフルノミド(LEF)を1日につき10mgから20mg;スルファサラジン(SSZ)を1日につき1000mgから3000mg;またはヒドロキシクロロキン(HCQ)を1日につき200mgから400mg含んでいた。
【0191】
【表1】
【0192】
皮下投与は、腹部または大腿部で行う。それぞれの投薬は、1回の注射での自己投薬である(可能な場合はいつでも)。SC注射部位は、腹部の四分円(へそまたは腰部分を除く。)または大腿部(前側および側面)に交互に行ってもよい。
【0193】
二重盲検治療期間の開始時に、IMPを調製し、投与するように患者および/またはこの専門家ではない介護者を訓練する。この訓練は、患者の試験ファイルに記載しなければならない。この試験コーディネーターまたは委任された者は、1日目(2回目の訪問)の訓練手順の一部として、最初の投薬量を含む1回目の注射を投与してもよい。患者が試験訪問する日に、臨床手順に従ってIMPを投与し、血液を収集する。試験部位で投薬量を摂取しない場合、これらの注射に関連する情報を記録するために日記が与えられるだろう。これらの日記は、患者の試験ファイルに元のデータとして保管されるだろう。患者が、IMPを投与することができないか、またはIMPを投与することを望まない場合、試験場所で摂取するように日程を決められない投薬については、資格のある現場要員および/または介護者がIMPを投与するように準備がなされなければならない。
【0194】
試験訪問が計画した場所で行われない場合、計画したとおりに患者および/または介護者によって投薬量が投与されるだろう。
【0195】
24週間治療を続ける。12週目から、2回の連続した訪問でSJCおよびTJCの両方がベースラインからの改善が20%未満であるとして定義される、効能がない患者は、治験の最も高用量の投薬量で非盲検試験のサリルマブを用いて助けられることを提案される。これらの患者は、訪問計画に従って治験を継続する。
【0196】
この試験では、サリルマブは、DMARD治療の頂点で投与され、背景療法であると考えられる。すべての患者は、背景療法として、ベースラインの前に少なくとも12週間、スクリーニングの前に少なくとも6週間、安定した投薬量で非生物学的DMARDまたは非生物学的DMARDの組み合わせを用いた継続的な治療を受け続けるべきである。
【0197】
・メトトレキサート(MTX)-10mgから25mg/週(またはアジア-太平洋地域の患者について6mgから25mg/週)、葉酸/フォリン酸を追加した
・レフルノミド(LEF)-1日につき10mgから20mg
・スルファサラジン(SSZ)-1日につき1000mgから3000mg
・ヒドロキシクロロキン(HCQ)-1日につき200mgから400mg
試験中、症例の報告フォームにそれぞれのDMARD投薬量を記録する。どんなときでも、DMARD投薬量は、安全性または耐性の理由のため、減らすことができる。投薬量の変更および新しい投薬の開始日は、すべての訪問時にe-CRFに記録しなければならない。DMARDは、IMPとして治験依頼者によって配られるか、または供給される。
【0198】
MTXを受けるすべての患者は、試験を行う国の地域的な推奨に従って、葉酸/フォリン酸を摂取する。葉酸/フォリン酸の投薬量、経路および投与スケジュールを、併用医薬とともに記録する。
【0199】
サリルマブおよびマッチングプラセボは、同一になるように合わせたガラスにあらかじめ充填したシリンジで与えられる。それぞれのあらかじめ充填されたシリンジには、1.14mLのサリルマブ(SAR153191)またはマッチングプラセボ溶液が入っている。
【0200】
治療キット番号のリストを作成する。対話型音声応答システム(IVRS)によって無作為化リストを作成する。無作為化および治療キットのリストを両方ともIVRSに入れる。
【0201】
患者を無作為に分けたときに検査員によって治療キット番号が与えられ、その後、患者は、1日に24時間利用可能なIVRSによって訪問日を決める。
【0202】
二重盲検の設計にしたがい、検査員は、盲検状態で治療試験を行い、第8.7章に記載される状況を除き、無作為化(治療コード)にアクセスしない。
【0203】
IVRSを用いた集中的な無作為化システムによって患者を1つの治療群に無作為に分ける。患者は、IVRSによって治療番号が与えられたとき、無作為に分けられたと考えられる。
【0204】
スクリーニング訪問の1回目の訪問時に、現場コーディネーターは、IVRSに接続し、インフォームドコンセントを受けるそれぞれの患者の患者番号を得る。それぞれの患者には、センターに関連する患者番号が割り当てられ、それぞれのセンターで入力順に割り当てられる。
【0205】
治療の割り当ては、以前の抗-TNFの領域および番号によって階層化されたIVRSによって、集中的な無作為化リストに従って患者に割り当てられる(1対>1)。2回目の訪問(1日目)に、患者が治療期間に入るのに適格性があると確認した後、現場コーディネーターは、1回目の治療割り当て(キット番号)を受け取るために、IVRSに接続する。患者を無作為に分け、サリルマブの2つの治療群またはこのマッチングプラセボのいずれかを受ける。無作為化比率は、1:1:1(サリルマブ150mg:サリルマブ 200mg:マッチングプラセボ)である。治療期間中のその後の配剤訪問時に、現場コーディネーターは、IVRSを呼び出し、その後の治療キットの割り当てを得る。それぞれの割り当ての後に、現場に確認ファックス/電子メールを送る。
【0206】
無作為に分けられた患者は、IVRSログファイルから書面化されるように、IVRSによって無作為化番号を登録され、割り当てられた患者であると定義される。IMPも、センターのIMP目録書式に記録され、追跡される。
【0207】
本開示の組成物および方法は、本明細書に記載する具体的な実施形態によって範囲を限
定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されているものに加え、本発明の種々の改変は、上の記載から当業者には明らかになるだろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
【配列表】
2024069453000001.app
【外国語明細書】