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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069471
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】卵容器及び卵包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/32 20060101AFI20240514BHJP
   B65B 23/02 20060101ALI20240514BHJP
   B65B 61/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D85/32 100
B65D85/32 150
B65B23/02
B65B61/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039959
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2019236019の分割
【原出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】303055235
【氏名又は名称】エフピコダイヤフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雄二
(57)【要約】
【課題】卵の商品に対応した専用の卵容器の種類を減らして、卵容器の保管、管理の手間を減らす。
【解決手段】複数の卵収容部5を有する本体2と、本体2にヒンジ部4を介して回動可能に一体成形された蓋体3とを備えた、合成樹脂シート製の卵容器1であって、卵容器1の表面には、離型剤が付着しており、卵容器1の表面のうち一部には、卵の種類を特定するためのバーコードが印刷可能なエリアである、バーコード印刷用エリアが、卵容器1に別部材が貼着されることにより設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵収容部を有する本体と、本体にヒンジ部を介して回動可能に一体成形された蓋体とを備えた、合成樹脂シート製の卵容器であって、
卵容器の表面には、離型剤が付着しており、
卵容器の表面のうち一部には、卵の種類を特定するためのバーコードが印刷可能なエリアである、バーコード印刷用エリアが設けられている、卵容器。
【請求項2】
卵容器に別部材が貼着されることにより、バーコード印刷用エリアが設けられている、請求項1記載の卵容器。
【請求項3】
請求項1記載の卵容器に複数の卵が収容された卵包装体を製造する方法であって、
請求項1記載の卵容器を製造する容器製造工程と、
搬送ラインに開蓋状態の卵容器を供給する容器供給工程と、
搬送ラインにおいて、卵容器に卵を収容する卵収容工程と、
搬送ラインにおいて、卵が収容された卵容器を封緘する容器封緘工程と、
卵容器のバーコード印刷用エリアにバーコードを印刷する印刷工程と、を含む、卵包装体の製造方法。
【請求項4】
容器製造工程は、離型剤が塗布された合成樹脂シートから卵容器を成形する容器成形工程と、
成形された卵容器に別部材を貼着することにより卵容器の表面にバーコード印刷用エリアを設けるエリア形成工程と、を含む、請求項3記載の卵包装体の製造方法。
【請求項5】
容器封緘工程において封緘された卵容器を搬送ラインの外に移送する封緘容器移送工程を更に含み、
容器供給工程は、搬送ラインの近傍の容器ステーションに開蓋状態の複数の卵容器を積み重ねられた状態にセットする容器セット工程と、
容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器から順次搬送ラインに卵容器を移送する容器移送工程と、を含み、
印刷工程は、下記の(1)乃至(4)のうち何れかにおける卵容器にバーコードを印刷する、請求項3又は4記載の卵包装体の製造方法。
(1)容器セット工程の前の卵容器。
(2)容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器。
(3)搬送ライン上であって、容器封緘工程の後の卵容器。
(4)封緘容器移送工程の後の卵容器。
【請求項6】
容器封緘工程において封緘された卵容器を搬送ラインの外に移送する封緘容器移送工程を更に含み、
容器供給工程は、搬送ラインの近傍の容器ステーションに開蓋状態の複数の卵容器を積み重ねられた状態にセットする容器セット工程と、
容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器から順次搬送ラインに卵容器を移送する容器移送工程と、を含み、
印刷工程は、容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器にバーコードを印刷する、請求項3又は4記載の卵包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏卵やウズラ卵等の卵を収容するための卵容器と、卵容器に卵が収容された卵包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、一般に、合成樹脂シートからなる卵容器、いわゆる卵パックに収容されてスーパーマーケット等で販売される。卵容器は、透明な合成樹脂シートから熱成形等により一体成形された本体と蓋体とからなる。その本体に卵が収容された後、蓋体が閉じられて封緘されることにより、卵が卵容器にパック詰めされた卵包装体が形成される。
【0003】
このような卵容器には、バーコードが印刷された印刷済みのラベルが貼着される。バーコードは、レジでの商品精算時にバーコードリーダーで読み取られ、いわゆるPOSシステムと呼ばれる商品販売情報の管理システムに利用されている。ラベルには、卵の商品毎に異なるバーコードが印刷されている。卵の商品は、卵の生産者、親鳥の種類、親鳥に与えるエサ、卵の色、サイズ等の組み合わせによって、多品種となる。種類の異なる卵の商品毎に、それぞれ異なるバーコードが印刷される。例えば、一生産者あたりに、数十種類のバーコードが存在することもある。
【0004】
ラベルは、下記特許文献1に記載されているような専用のラベル貼着装置で、卵が包装される前の空の卵容器に貼着される。ラベルが貼着された空の卵容器は、その後、積み重ねられ、バーコードの種類毎に、一旦保管、在庫される。そして、必要に応じて出荷される。
【0005】
卵は、パッキングセンターと呼ばれる施設に集荷されて包装される。パッキングセンターでは、卵の選別と包装が行われる。パッキングセンターには、数多くの生産者から卵が集められる。生産者の卵は、パッキングセンターに委託されて包装され、パッキングセンターからスーパーマーケット等に出荷される。
【0006】
卵容器は容器メーカーによって製造される。容器メーカーが生産者から注文を受けると、容器メーカーからパッキングセンターに容器が搬入される。パッキングセンターにおいては、汎用性の低い特殊形状の卵容器を使用するというようなことはなく、汎用性の高い同一形状の卵容器が用いられることが多い。同一形状の卵容器であっても、異なる種類のバーコードが印刷されたラベルが貼着されると、そのラベル付きの卵容器の種類はおのずと異なるものとなり、専用容器となる。そのため、容器メーカーは、同一形状の卵容器であっても、バーコードの種類毎に卵容器を分別して管理し、在庫しなければならない。
【0007】
図16に一例を示している。パッキングセンターには、生産者A、生産者B・・・というように数多くの生産者から卵が集められる。例えば、生産者Aが生産する卵には、白玉、赤玉というような色の異なるものが存在する。また、同じ白玉であっても、エサαが与えられたものとエサβが与えられたものでは異なる種類となる。更には、同じ白玉であってエサαが与えられたものであっても、サイズ毎に卵の商品は異なる。そのため、同じ生産者Aの卵であっても、卵の商品の種類は非常に多いものとなる。生産者Bについても同様である。従って、ラベルには、これらの卵の商品毎に異なるバーコードが印刷され、多種のラベルが貼着された多種の卵容器が存在することになる。
【0008】
例えば、生産者Aの白玉のエサαの卵101であっても、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズというサイズ毎にそれぞれ異なる専用の卵容器が必要である。同様に、生産者Aの白玉のエサβの卵102であっても、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズというサイズ毎にそれぞれ異なる専用の卵容器が必要である。同じMサイズの卵を収容できるMサイズの卵容器であっても、ラベルのバーコードが異なる結果、生産者Aの白玉のエサαの卵101のMサイズの卵容器と、生産者Aの白玉のエサβの卵102のMサイズの卵容器は、異なる種類となる。ラベルが貼着される前の卵容器は、Mサイズの卵を収容できる同一の卵容器である。しかしながら、ラベルが貼着された卵容器は、それぞれバーコード毎に異なる専用の卵容器となる。そのため、容器メーカーは、同じMサイズの卵容器であっても、バーコードの種類毎に卵容器を分別して管理し、在庫しなければならない。Sサイズの卵容器、Lサイズの卵容器等についても、同様である。
【0009】
この問題に対して、卵容器にバーコードを直接印刷することを検討した。しかしながら、卵容器に直接印刷しようとしても、インクが卵容器に付着しにくく、バーコードが綺麗に印刷されないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5-178337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、卵の商品に対応した専用の卵容器の種類を減らして、卵容器の保管、管理の手間を減らすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る卵容器は、複数の卵収容部を有する本体と、本体にヒンジ部を介して回動可能に一体成形された蓋体とを備えた、合成樹脂シート製の卵容器であって、卵容器の表面には、離型剤が付着しており、卵容器の表面のうち一部には、卵の種類を特定するためのバーコードが印刷可能なエリアである、バーコード印刷用エリアが設けられている。
【0013】
卵容器は合成樹脂シートから形成される。合成樹脂シートは、いわゆるシート押し出し成形にて製造される。合成樹脂シートには離型剤が塗布されている。塗布方法としては、シートの表裏両面に塗布を行う両面塗布と、シートの表裏両面のうち何れかの一方の面のみに塗布を行う片面塗布とがある。離型剤が塗布された合成樹脂シートは、ロール状に巻き取られる。
【0014】
片面のみに塗布された合成樹脂シートであっても、ロール状に巻き取られることにより、塗布面から反塗布面に離型剤が移行する。そのため、離型剤はシートの両面に付着していることとなる。
【0015】
このようなシートから成形された卵容器の表面には、離型剤が付着している。そのため、卵容器の表面に直接バーコードを印刷しようとしても、綺麗にバーコードを印刷することができない。一方、卵容器の表面のうち一部には、バーコード印刷用エリアが設けられている。バーコード印刷用エリアは、バーコードが印刷可能な程度に離型剤の量が抑制されたエリアである。そのため、バーコード印刷用エリアには、バーコードを確実に印刷することができる。卵容器のバーコード印刷用エリアには、バーコードが印刷されていない。バーコードが印刷されていない状態の卵容器をパッキングセンターに搬入し、パッキングセンターにおいて、卵容器に収容される卵の種類に応じたバーコードを卵容器のバーコード印刷用エリアに印刷することができる。例えば、図16に示した例であれば、Mサイズの卵容器は一種類で済む。同様に、Sサイズの卵容器とLサイズの卵容器についても、それぞれ一種類ずつで済む。尚、空の容器同士を積み重ねて、離型剤がバーコード印刷用エリアに移行することがあっても、熱成形した後の離型剤の移行は僅かである。そのため、バーコード印刷用エリアの離型剤の量は、バーコードを印刷可能な程度に抑制される。
【0016】
特に、卵容器に別部材が貼着されることにより、バーコード印刷用エリアが設けられていることが好ましい。これにより、離型剤の影響を受けないバーコード印刷用エリアを卵容器に容易に形成することができる。
【0017】
また、本発明に係る卵包装体の製造方法は、上記の卵容器に複数の卵が収容された卵包装体を製造する方法であって、卵容器を製造する容器製造工程と、搬送ラインに開蓋状態の卵容器を供給する容器供給工程と、搬送ラインにおいて、卵容器に卵を収容する卵収容工程と、搬送ラインにおいて、卵が収容された卵容器を封緘する容器封緘工程と、卵容器のバーコード印刷用エリアにバーコードを印刷する印刷工程と、を含む。
【0018】
特に、容器製造工程は、離型剤が塗布された合成樹脂シートから卵容器を成形する容器成形工程と、成形された卵容器に別部材を貼着することにより卵容器の表面にバーコード印刷用エリアを設けるエリア形成工程と、を含む。
【0019】
また、卵包装体の製造方法は、容器封緘工程において封緘された容器を搬送ラインの外に移送する封緘容器移送工程を更に含み、容器供給工程は、搬送ラインの近傍の容器ステーションに開蓋状態の複数の卵容器を積み重ねられた状態にセットする容器セット工程と、容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器から順次搬送ラインに卵容器を移送する容器移送工程と、を含み、印刷工程は、下記の(1)乃至(4)のうち何れかにおける卵容器にバーコードを印刷する。
(1)容器セット工程の前の卵容器。
(2)容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器。
(3)搬送ライン上であって、容器封緘工程の後の卵容器。
(4)封緘容器移送工程の後の卵容器。
【0020】
また、卵包装体の製造方法は、容器封緘工程において封緘された容器を搬送ラインの外に移送する封緘容器移送工程を更に含み、容器供給工程は、搬送ラインの近傍の容器ステーションに開蓋状態の複数の卵容器を積み重ねられた状態にセットする容器セット工程と、容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器から順次搬送ラインに卵容器を移送する容器移送工程と、を含み、印刷工程は、容器ステーションに積み重ねられた複数の卵容器のうち供給側先端の卵容器にバーコードを印刷する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、卵の商品に対応した専用の卵容器の種類を減らすことができ、卵容器の保管や管理の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態における卵容器の開蓋状態を示す斜視図。
図2】同卵容器の開蓋状態を示す正面図。
図3】同卵容器のエリア形成工程を示す斜視図。
図4】本発明の一実施形態における卵包装体を示す斜視図。
図5】本発明の一実施形態における卵包装体の製造工程を示す概略平面図。
図6】同製造工程を示す概略平面図。
図7】同製造工程を搬送方向から見た図。
図8】同製造工程を搬送方向から見た図。
図9】同製造工程を搬送方向から見た図。
図10】本発明の他の実施形態における卵包装体の製造工程を示す概略平面図。
図11】本発明の他の実施形態における卵包装体の製造工程を示す概略平面図。
図12】本発明の他の実施形態における卵包装体の製造工程を示す概略平面図。
図13】本発明の他の実施形態における卵容器の開蓋状態を示す斜視図。
図14】本発明の他の実施形態における卵容器の開蓋状態を示す正面図。
図15】本発明の他の実施形態における卵容器の開蓋状態を蓋体側から見た図。
図16】従来における卵の商品と卵容器との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る卵容器(以下、単に容器という。)と卵包装体の製造方法について図1図9を参酌しつつ説明する。図1及び図2に、開蓋状態の容器1を示している。容器1は、本体2と蓋体3とを備えている。本体2と蓋体3は、ヒンジ部4によって互いに連結されている。容器1は、蓋一体型のものであり、本体2と蓋体3は一体的に形成されている。蓋体3はヒンジ部4を回動支点として本体2に対して回動可能である。本体2と蓋体3はそれぞれ平面視矩形状、具体的には平面視長方形状である。長方形の長辺において本体2と蓋体3は連結されている。
【0024】
容器1には、複数の卵が収容される。卵の個数は任意であって、例えば4個や6個、8個、10個、12個等があり、好ましくは並列で二列とされることが好ましい。本実施形態では10個であり、一列あたり5個ずつ収容され、二列分で合計10個となる。本体2は、上面開口の形状である。本体2は、卵の下部が収容される卵収容部5を有している。卵収容部5は、上側に開口している。卵収容部5は、収容する卵の個数分備えられており、本実施形態では10個の卵収容部5が備えられている。蓋体3は、閉蓋状態において、卵収容部5に収容された卵の上部を覆う。
【0025】
容器1は、ラベル貼着部6を備えている。ラベル貼着部6の位置や大きさ、形状等は任意である。本実施形態では、ラベル貼着部6は、本体2に設けられている。具体的には、ラベル貼着部6は、本体2の短辺側の側面に設けられている。ラベル貼着部6は、側面の上部に設けられている。ラベル貼着部6は平坦面であることが好ましいが、ラベル10の貼着に支障をきたさない程度で凹凸が形成されていてもよい。ラベル貼着部6に凹凸が形成されていると、消費者が容器1を分別廃棄する際に、ラベル貼着部6からラベル10を容易に剥離できる。凹凸の形状は種々であってよく、例えば、粒状の突起であってもよいし、格子状のリブであってもよい。ラベル貼着部6は、好ましくは、水平方向に沿った法線を有する垂直面である。ラベル貼着部6は、横方向に長い長方形状である。
【0026】
ラベル貼着部6の外面には、ラベル10が貼着されている。ラベル10には、バーコード41が印刷される。但し、容器1に貼着されているラベル10は、バーコード41が印刷されていない未印刷状態のものである。ラベル貼着部6には、バーコード41が印刷されていない未印刷状態のラベル10が貼着されている。ラベル10は、横方向に長い長方形状である。ラベル貼着部6は、ラベル10の形状に対応していることが好ましい。ラベル貼着部6の大きさは、ラベル10の大きさよりも若干大きい。ラベル10の色は、特には限定されないが、例えば白色である。ラベル10の色は、そこに印刷されるバーコード41に対して背景色となり、印刷されたバーコード41がバーコードリーダーで読み取り可能な程度のコントラストを有する。ラベル10の色は、バーコード41とのコントラストが得られるのであれば、複数色であってもよい。また、ラベル10に図柄や文字があってもよい。
【0027】
本体2と蓋体3は、一枚の透明な合成樹脂シートから一体的に形成されており、外部から内部の卵が視認できる。容器1はいわゆるシート成形により形成されている。シート成形としては例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等があり、何れにしても合成樹脂製のシートを熱成形することにより形成される。ここで、合成樹脂シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂から構成されたシートや、これらを延伸した延伸シート等が挙げられる。中でも延伸シートは、延伸処理によって透明性や強度が向上するため特に好ましい。
【0028】
合成樹脂シートには離型剤が塗布されている。シート成形された容器1の表面には離型剤が付着している。この離型剤により、パッキングセンターの容器供給工程において、積み重ねられた容器1を容易に一枚ずつ離間して供給することができる。図3には、ラベル10が貼着されていない状態の容器1を示している。シート成形後の容器1のラベル貼着部6に、バーコード41が印刷されていない未印刷状態のラベル10が貼着されて、図1及び図2に示している容器1が形成される。未印刷状態のラベル10は、容器1に形成されたバーコード印刷用エリアである。シート成形後の容器1のラベル貼着部6に、バーコード41が印刷されていない未印刷状態のラベル10が貼着されることにより、容器1にバーコード印刷用エリアが形成される。未印刷状態のラベル10を容器1に貼着する工程は、容器1にバーコード印刷用エリアを形成するエリア形成工程である。
【0029】
図4に、卵包装体7を示している。卵包装体7において、容器1は、封緘テープ11によって封緘されている。卵包装体7の製造方法は、容器1を製造する容器製造工程と、搬送ラインに開蓋状態の容器1を供給する容器供給工程と、搬送ラインにおいて、容器1に卵を収容する卵収容工程と、搬送ラインにおいて、卵が収容された容器1を封緘する容器封緘工程と、容器1のラベル10にバーコード41を印刷する印刷工程と、容器封緘工程において封緘された容器1を搬送ラインの外側の集荷ステーション32に移送する封緘容器移送工程とを含んでいる。容器製造工程は、離型剤が塗布された合成樹脂シートから容器1を成形する容器成形工程と、成形された容器1のラベル貼着部6に未印刷状態のラベル10を貼着することにより容器1の表面にバーコード印刷用エリアを設けるエリア形成工程とを含んでいる。容器供給工程は、搬送ラインの近傍の容器ステーション31に開蓋状態の複数の容器1を積み重ねられた状態にセットする容器セット工程と、容器ステーション31に積み重ねられた複数の容器1のうち供給側先端の容器1から順次搬送ラインに容器1を移送する容器移送工程とを含んでいる。
【0030】
卵包装体7の製造工程の概略について説明する。簡略化のため、卵のサイズはSサイズ、Mサイズ、Lサイズの三種類とする。容器メーカーは、上述のように容器1を製造する。容器1には、未印刷状態のラベル10が貼着されている。容器製造工程は、容器メーカーにより行われる。容器メーカーは、Sサイズの容器1aと、Mサイズの容器1bと、Lサイズの容器1cを製造し、保管する。Sサイズの容器1a、Mサイズの容器1b、Lサイズの容器1cには、それぞれ未印刷状態のラベル10が貼着されている。Sサイズの容器1aに貼着されている未印刷状態のラベル10と、Mサイズの容器1bに貼着されている未印刷状態のラベル10と、Lサイズの容器1cに貼着されている未印刷状態のラベル10は、全て同じものである。即ち、未印刷状態のラベル10は、一種類のみでよい。未印刷状態のラベル10が貼着されたSサイズの容器1aは一種類だけでよく、未印刷状態のラベル10が貼着されたMサイズの容器1bも一種類だけでよく、未印刷状態のラベル10が貼着されたLサイズの容器1cも一種類だけでよい。容器メーカーは、各サイズの容器1a,1b,1cをそれぞれ一種類ずつ保管、在庫すればよい。このように容器1の種類を大幅に削減することができ、容器1の保管、管理の手間も大幅に削減することができる。
【0031】
図5図9にパッキングセンターにおける製造工程の概要を示している。図5及び図6は、製造ラインの平面図である。容器メーカーは、生産者からの注文を受けてパッキングセンターにサイズ毎の容器1を搬入する。例えば、容器メーカーは、Sサイズの容器1aと、Mサイズの容器1bと、Lサイズの容器1cを搬入する。容器1のラベル10には、バーコード41は印刷されていない。何れの生産者からの注文に対しても、同じSサイズの容器1aやMサイズの容器1b、Lサイズの容器1cを搬入すればよい。そのため、搬入コストも削減される。また、パッキンセンターにおける容器1の受け入れ管理の手間、コストも削減される。
【0032】
容器供給工程と、卵収容工程と、容器封緘工程と、封緘容器移送工程と、印刷工程は、パッキングセンターにおいて行われる。パッキングセンターは、第一搬送ライン20と第二搬送ライン30を備えている。第一搬送ライン20は、卵をサイズ毎に選別する搬送ラインである。第二搬送ライン30は、卵を容器1にパック詰めし、封緘する搬送ラインである。図5は、第一搬送ライン20を示し、図6は、主として第二搬送ライン30を示している。第一搬送ライン20の最上流部に卵が供給される。卵は、例えば生産者Aの特定の卵である。図16に示したもので言えば、例えば、生産者Aの白玉のエサαの卵である。卵のサイズは種々混合した状態である。即ち、Sサイズの卵とMサイズの卵とLサイズの卵が混合した状態で第一搬送ライン20に供給される。
【0033】
第一搬送ライン20は、コンベアに卵を載せて搬送する。卵は、コンベアによって第一搬送ライン20の下流へと搬送される。第一搬送ライン20は、卵を洗浄する洗浄装置21と、卵をサイズ別に選別する選別装置22を備えている。第一搬送ライン20に供給された無選別の卵は、洗浄装置21へと送られる。洗浄装置21において卵が順次洗浄されて下流へと搬送される。卵は続いて選別装置22へと送られる。選別装置22において、無選別の卵はサイズ毎に分けられる。無選別の卵は、Sサイズの卵、Mサイズの卵、Lサイズの卵にそれぞれ分けられて下流へと搬送される。尚、卵の洗浄後、卵を検査する工程や卵の重量を計測する工程等があるが、それらの図示及び説明は省略する。
【0034】
第一搬送ライン20の最下流部の近傍に第二搬送ライン30が設置されている。第二搬送ライン30は、コンベア上の容器1に卵を載置して下流へと搬送する。第二搬送ライン30の最上流部は、例えば第一搬送ライン20の最下流部の近傍に位置している。第二搬送ライン30の最上流部の近傍には、容器ステーション31が設けられている。容器ステーション31には、容器1が積み重ねられた状態でセットされる。容器1は、サイズ毎にセットされる。即ち、Sサイズの卵を収容するためのSサイズの容器1a、Mサイズの卵を収容するためのMサイズの容器1b、Lサイズの卵を収容するためのLサイズの容器1c毎に、それぞれセットされる。何れの生産者の卵に対しても、同じ容器1をセットすればよいので、容器1を間違えてセットする可能性が低くなり、セットの手間も少なくて済む。尚、図6では、容器ステーション31が第二搬送ライン30の隣に並ぶように図示されているが、実際には、図7のように、第二搬送ライン30の上側に設けられている。以下、代表として、Mサイズの容器1bにMサイズの卵を収容する場合について説明する。
【0035】
図7のように、容器ステーション31には、容器1bが開蓋状態でセットされる。図示しないが、Sサイズの容器1a、Lサイズの容器1cについても同様である。容器1bは、開口部が上を向くようにして複数個積み上げられる。積み重ねられた容器1bは、供給側先端の容器1b、即ち、最も下側に位置する容器1bから順次、第二搬送ライン30に供給される。具体的には、積み上げられた容器1bのうちの最下端の容器1bが図示しない吸着部によって下側に引かれて、第二搬送ライン30上に落とされる。容器1bは、開口部が上を向いた開蓋状態で第二搬送ライン30に載置される。
【0036】
容器ステーション31においてラベル10にバーコード41が印刷される。尚、バーコード41の種類は問わない。例えば、二次元バーコードであってもよい。容器ステーション31には、バーコード41を印刷するための図示しない印刷装置が設けられている。印刷の方式は限定されないが、例えばインクジェットである。印刷装置のヘッド40は、最下端の容器1bに対応して設置されている。例えば、ヘッド40は、最下端の容器1bの水平方向の隣に待機している。ヘッド40は、バーコード41をラベル10に印刷する際には、待機位置から最下端の容器1bに接近してラベル10にバーコード41を印刷する。例えば、ヘッド40は水平方向にスライド移動する。印刷した後、ヘッド40は元の待機位置に戻る。バーコード41が印刷された後、最下端の容器1bは第二搬送ライン30に移される。第二搬送ライン30に移送された容器1bのラベル10にはバーコード41が印刷されている。そのバーコード41は、例えば、生産者Aの白玉のエサαのMサイズの卵を意味する内容のものである。印刷内容は、印刷装置にて任意に設定の変更が可能である。尚、Sサイズの容器1aのラベル10には、生産者Aの白玉のエサαのSサイズの卵を意味する内容のバーコード41が印刷され、Lサイズの容器1cのラベル10には、生産者Aの白玉のエサαのLサイズの卵を意味する内容のバーコード41が印刷される。このバーコード41は、生産者や卵の色、エサの種類等に応じた内容とされる。印刷装置のヘッド40は、各サイズの容器1a,1b,1c毎にそれぞれ一つずつ設置されることが好ましい。
【0037】
最下端の容器1bのラベル10にバーコード41が印刷された後、その最下端の容器1bが第二搬送ライン30に供給される。最下端の容器1bが第二搬送ライン30に供給されると、その最下端の容器1bの直ぐ上側に位置していた容器1bが次の最下端の容器1bとなる。そして、再びヘッド40が最下端の容器1bに接近して最下端の容器1bのラベル10にバーコード41を印刷する。このような動作が繰り返し行われる。容器1bは停止していて位置決めされた状態であるため、バーコード41をラベル10に容易且つ正確に印刷することができる。また、第二搬送ライン30に供給される直前の空の容器1bにバーコード41を付すため、その直後に第二搬送ライン30上において容器1bに収容される卵の種類、内容との整合を取りやすいという利点がある。
【0038】
第二搬送ライン30に移送された容器1bは、第二搬送ライン30上を下流側に搬送される。図8及び図9のように、第二搬送ライン30上の容器1bには、第一搬送ライン20からMサイズの卵が移送される。例えば、Mサイズの卵が10個まとめて第一搬送ライン20から第二搬送ライン30に移送され、第二搬送ライン30上の容器1bの本体2に、10個の卵が一括的に収容される。その後、容器1bの蓋体3が閉じられて、容器1bは封緘テープ11によって封緘され、図4に示すような卵包装体7が完成する。尚、封緘方法は、熱溶着や超音波によりシールしてもよい。卵包装体7は、第二搬送ライン30の最下流部に搬送され、その最下流部から第二搬送ライン30の外側の集荷ステーション32に移送される。集荷ステーション32には、複数の卵包装体7が集められ、一時、保管される。その後、卵包装体7はスーパーマーケット等に出荷される。尚、容器1に卵が収容された後、商品ラベルの封入工程や賞味期限の表示工程等があるが、それらの図示及び説明は省略する。
【0039】
尚、本実施形態では、容器ステーション31において容器1のラベル10にバーコード41を印刷したが、容器1のラベル10にバーコード41を印刷する印刷工程は、種々のタイミングであってよい。例えば、容器セット工程の前の容器1のラベル10にバーコード41を印刷してもよい。図10に示すように、容器ステーション31にセットされる前の段階の容器1のラベル10に、バーコード41を印刷するようにしてもよい。容器メーカーからパッキングセンターに容器1が搬入された後、容器ステーション31にセットされる前の容器1のラベル10にバーコード41を印刷し、その印刷後に、容器1を容器ステーション31にセットしてもよい。
【0040】
また、第二搬送ライン30上であって容器封緘工程により封緘された容器1のラベル10にバーコード41を印刷してもよい。図11のように、第二搬送ライン30の最下流部に印刷装置を備えてもよい。第二搬送ライン30の最下流部までラベル10は未印刷状態のままとし、第二搬送ライン30の最下流部に搬送された容器1のラベル10にバーコード41を印刷する。その場合、第二搬送ライン30の最下流部において容器1を一旦停止させ、停止状態の容器1のラベル10にバーコード41を印刷することが好ましい。
【0041】
また、封緘容器移送工程の後の容器1のラベル10にバーコード41を印刷してもよい。第二搬送ライン30の外側に移した容器1のラベル10にバーコード41を印刷するようにしてもよい。例えば、図12のように、集荷ステーション32に印刷装置を備えるようにしてもよい。集荷ステーション32に集められた容器1に順次バーコード41を印刷するようにしてもよい。
【0042】
尚、第二搬送ライン30上において、例えば、容器ステーション31から第二搬送ライン30に載置された空の容器1のラベル10にバーコード41を印刷するようにしてもよいし、容器1に卵が収容された後であって容器1が封緘される前において、容器1のラベル10にバーコード41が印刷されてもよい。このように、容器1のラベル10にバーコード41を印刷するタイミングは種々であってよい。
【0043】
尚、容器1におけるラベル貼着部6の位置も種々変更してよい。例えば、図13のように、本体2の長辺側の側面にラベル貼着部6を備えてもよい。本体2ではなく、蓋体3にラベル貼着部6を備えてもよい。例えば図14のように蓋体3の短辺側の側面にラベル貼着部6を設けてもよい。蓋体3の長辺側の側面にラベル貼着部6を設けてもよい。また、図15のように、蓋体3の天面にラベル貼着部6を設けてもよい。
【0044】
上記実施形態では、容器1に未印刷状態のラベル10を貼着することによって容器1にバーコード印刷用エリアを形成したが、ラベル10以外の他の部材を容器1に貼着することによってバーコード印刷用エリアを形成してもよい。また、容器1の一部の離型剤を除去することにより、その除去部をバーコード印刷用エリアとしてもよい。容器1の一部に離型剤を塗布しない未塗布部を設けて、その未塗布部をバーコード印刷用エリアとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 容器(卵容器)
1a Sサイズの容器
1b Mサイズの容器
1c Lサイズの容器
2 本体
3 蓋体
4 ヒンジ部
5 卵収容部
6 ラベル貼着部
7 卵包装体
10 ラベル
11 封緘テープ
20 第一搬送ライン
21 洗浄装置
22 選別装置
30 第二搬送ライン
31 容器ステーション
32 集荷ステーション
40 ヘッド
41 バーコード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵収容部を有する本体と、本体にヒンジ部を介して回動可能に一体成形された蓋体とを備えた、合成樹脂シート製の卵容器であって、
卵容器の表面には、離型剤が付着しており、
本体又は蓋体の側面にラベル貼着部が設けられ、ラベル貼着部の外面に、バーコードが印刷可能な未印刷のラベルが、本体又は蓋体のフランジから離れて貼着されている、卵容器。