(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069473
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】シロシビン、異なる多形形態、中間体、調合物の調製及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07F 9/572 20060101AFI20240514BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240514BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240514BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240514BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240514BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240514BHJP
【FI】
C07F9/572 A
A61P25/22
A61P25/14
A61P25/24
A61P25/34
A61P25/36
A61P25/32
A61P25/30
A61P25/04
A61P29/02
A61P25/18
A61P1/14
A61K31/675
A61K9/48
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/14
【審査請求】有
【請求項の数】65
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040039
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2022208641の分割
【原出願日】2018-10-09
(31)【優先権主張番号】1716505.1
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1810588.2
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1816438.4
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520124291
【氏名又は名称】コンパス パスファインダー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デレク ジョン ロンデスブラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン スコット ノーゼン
(72)【発明者】
【氏名】ジリアン ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ヘマント パティル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ニコルス
(57)【要約】
【課題】 疾患を処置する方法を提供すること
【解決手段】 本発明は、医薬において使用するためのシロシビンの大規模生産に関する。より具体的には、本発明は、特に多形Aの形態の高純度結晶性シロシビンを取得する方法に関する。本発明は、さらに、シロシビンの製造のための方法及びその生産における中間体並びにシロシビンを含有する調合物に関する。大規模とは、10gより大きい、より好ましくは100gより大きい、より好ましくは250gより大きい並びにKgレベルまで及びKgレベルを上回る重量を有するシロシビンのバッチを生産することを意味する。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1および19.7±0.1°2θにおけるX線回折(XRPD)ピークにより特徴付けられる結晶性シロシビンを含む組成物であって、ここで、前記組成物が、HPLC分析により決定される1%超の単一の不純物を含まず、そしてここで、前記不純物が、サイロシン、リン酸、
【化1】
である、
組成物。
【請求項2】
HPLC分析による1%未満のサイロシンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
31
P NMRによる1%未満のリン酸を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1%以下の
【化4A】
【化4B】
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
50~200ミクロンの範囲のサイズを有する結晶を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶性シロシビンが、0.5%w/w未満の水含量によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記水含量が、0.4%w/w未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記水含量が、0.3%w/w未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記水含量が、0.2%w/w未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記水含量が、0.1%w/w未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記結晶性シロシビンが、さらに、以下:
a)2%w/w以下の乾燥時減量;
b)0.5%w/w以下の強熱残分;
c)HPLCにより測定される95~103重量%のアッセイ(乾燥ベース);
d)HRGCにより測定される3000ppmメタノール;5000ppmエタノール、720ppmTHF、および890ppmトルエン以下の残存溶媒含量;および
e)以下の誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)元素分析:
i. 1.5ppm以下 Cd;
ii. 1.5ppm以下 Pb;
iii. 4.5ppm以下 As;
iv. 9.0ppm以下 Hg;
v. 15ppm以下 Co;
vi. 30ppm以下 V;
vii. 60ppm以下 Ni;
viii.165ppm以下 Li;および
ix. 30ppm以下 Pd
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、組成物。
【請求項12】
前記結晶性シロシビンが、20.4±0.1、22.2±0.1、24.3±0.1および25.7±0.1°2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークによってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記結晶性シロシビンが、25℃~200℃の間でのTGAサーモグラムにおける0.5%w/w未満の損失によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記結晶性シロシビンが、205℃~220℃の間の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記結晶性シロシビンが、145℃~155℃の間の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
治療有効量の請求項1に記載の結晶性シロシビンおよび少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加剤を含む薬学的組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加剤が、希釈剤である、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記希釈剤が、微結晶セルロース、デンプン、マンニトール、リン酸水素カルシウム無水物、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、またはそれらの組み合わせである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記希釈剤が、微結晶セルロースを含む、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記微結晶セルロースが、珪化された微結晶セルロースを含む、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記微結晶セルロースが、2つの珪化された微結晶セルロース変異形の混合物を含む、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
第1の珪化された微結晶セルロース変異形が、約45~80ミクロンの粒径を有し、そして第2の変異形が約90~150ミクロンの粒径を有する、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記微結晶セルロースの約30%以下が、前記約45~80ミクロンの粒径を有する第1の変異形であり、そして前記微結晶セルロースの約70%以上が、前記約90~150ミクロンの粒径を有する第2の変異形である、請求項22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記微結晶セルロースの約20%以下が、前記約45~80ミクロンの粒径を有する第1の変異形であり、そして前記微結晶セルロースの約80%以上が、前記約90~150ミクロンの粒径を有する第2の変異形である、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記微結晶セルロースの約15%以下が、前記約45~80ミクロンの粒径を有する第1の変異形であり、そして前記微結晶セルロースの約85%以上が、前記約90~150ミクロンの粒径を有する第2の変異形である、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの添加剤が、崩壊剤を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの添加剤が、結合剤を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記結合剤が、ポビドン、コポビドンまたはヒドロキシルプロピルセルロースを含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1つの添加剤が、滑沢剤を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリルフマル酸ナトリウムである、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1つの添加剤が、流動促進剤を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素である、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記薬学的組成物は、カプセルである、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記薬学的組成物は、錠剤である、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
約1mg~約40mgの前記結晶性シロシビンを含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
約1mgの前記結晶性シロシビンを含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
約25mgの前記結晶性シロシビンを含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記結晶性シロシビンが、HPLCにより決定される99%超の化学純度を有する、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記結晶性シロシビンが、0.5%w/w未満の水含量を有する、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
HPLC分析によって決定される1%未満のサイロシンを有する、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
31
P NMRによる1%未満のリン酸を有する、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記結晶性シロシビンが、HPLC分析により決定される98%超の化学純度を有する、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記結晶性シロシビンが、0.5%w/w未満の水含量を有する、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
HPLC分析によって決定される1%未満のサイロシンを有する、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
31
P NMRによる1%未満のリン酸を有する、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記結晶性シロシビンが、HPLCにより決定される98%超の化学純度を有する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記結晶性シロシビンが、0.5%w/w未満の水含量を有する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
HPLC分析によって決定される1%未満のサイロシンを有する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
31
P NMRによる1%未満のリン酸を有する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項51】
全般不安症、パーソナリティ障害、薬物障害、ギャンブル依存症、摂食障害、身体醜形障害、疼痛またはうつ病を処置することを必要とする対象におけるその処置における使用のための、請求項1~15のいずれか一項に記載の結晶性シロシビンを含む組成物または請求項16~50のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項52】
前記全般不安症が、大うつ病性障害(MDD)、群発頭痛、または強迫性障害(OCD)である、請求項51に記載の使用のための組成物または薬学的組成物。
【請求項53】
前記パーソナリティ障害が、行為障害である、請求項51に記載の使用のための組成物または薬学的組成物。
【請求項54】
前記薬物障害が、アルコール依存、ニコチン依存、オピオイド依存、またはコカイン依存である、請求項51に記載の使用のための組成物または薬学的組成物。
【請求項55】
前記うつ病が、薬物抵抗性うつ病である、請求項51に記載の使用のための組成物または薬学的組成物。
【請求項56】
薬学的組成物を調製する方法であって、
(1) 11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1および19.7±0.1°2θにおける粉末X線回折(XRPD)ピークにより特徴付けられる結晶性シロシビン組成物を提供すること;および
(2) 少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加剤とともに前記組成物を調合すること
を含んで前記薬学的組成物を与える、方法。
【請求項57】
前記シロシビンが、HPLC分析により決定される97%超の化学純度を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記シロシビンが、HPLC分析により決定される1%超の単一の不純物を有さない、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
約100g以上の結晶性シロシビンを含むバッチであって、ここで、前記結晶性シロシビンが、11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1および19.7±0.1°2θにおける粉末X線回折(XRPD)ピークにより特徴付けられる、バッチ。
【請求項60】
前記結晶性シロシビンが、HPLC分析により決定される97%超の化学純度を有する、請求項59に記載のバッチ。
【請求項61】
前記結晶性シロシビンが、HPLC分析により決定される1%超の単一の不純物を有さない、請求項59に記載のバッチ。
【請求項62】
結晶性シロシビンであって、以下:
(1)サイロシンをテトラベンジルピロホスフェートと反応させて、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを形成すること;
(2)触媒の存在下で、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを水素と反応させて、少なくとも約100g以上のシロシビンを形成すること;および
(3)前記結晶性シロシビンを水から結晶化すること
を含んで前記結晶性シロシビンを提供するプロセスによって調製される、結晶性シロシビン。
【請求項63】
HPLC分析により決定される97%超の化学純度を有する、請求項62に記載の結晶性シロシビン。
【請求項64】
HPLC分析により決定される1%超の単一の不純物を有さない、請求項62に記載の結晶性シロシビン。
【請求項65】
11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1および19.7±0.1°2θにおける粉末X線回折(XRPD)ピークにより特徴付けられる、請求項62に記載の結晶性シロシビン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬において使用するためのシロシビンの大規模生産に関する。
【0002】
大規模とは、10gより大きい、より好ましくは100gより大きい、より好ましくは250gより大きい並びにKgレベルまで及びKgレベルを上回る重量を有するシロシビンのバッチを生産することを意味する。
【0003】
本発明は、サイロシンを含むがこれに限定されない中間体、同形の変異形を含むシロシビンの異なる多形形態、及び単独で又はデジタル式に提供され得る心理学的支援と組み合わせて、具体的には、ただしこれに限定されないDiagnostic and Statistical Manual,5thEditionで定義されている治療抵抗性うつ病の処置のために、医薬において使用するためのそれらの調合物の生産にも関する。
【背景技術】
【0004】
シロシビンは、Sandozによって、1958年に最初に合成され(英国特許第912714号及び米国特許第3075992号参照)、1960年代半ばまで研究化学物質として広く利用可能であった。
【0005】
植物を基礎とする幻覚剤、シロシビンは、気分障害及びアルコール性障害の処置のための心理療法の補助として使用されており、最近、3つの臨床試験が、抑うつ症候のためのシロシビンの使用を報告した。
【0006】
Griffithsら2016;J Psychopharmacol 30(12):1181-1197;
【0007】
Rossら2016;J Psychopharmacol 30(12):1165-1180;及び
【0008】
Carhart-Harrisら2016,Lancet Psychiatry3(7):619-627。
【0009】
シロシビンの製造方法は限られており、以下のものが含まれる。
【0010】
J Nat Prod 2003,66,885-887頁;
【0011】
Helv Chim Acta 1959,42,2073-2103;
【0012】
Experientia 1958,15,397-399;及び
【0013】
Synthesis 1999,935-938。
【0014】
この文献に基づいて、出願人は、J Nat Prod 2003,66,885-887頁(以下、JNP)に開示されている方法が、商業的規模の方法に発展させるのに最も適した方法であると考えた。
【0015】
その中に開示されている方法は、10gの桁の量を生産し、(i)~(vi)の番号が付された6つの工程から構成された。
【0016】
出願人の方法と同様に、以下では、工程ii及びiiiは単一の工程(工程2)として論述され、JNP法は本明細書の
図1として再現されている。
【0017】
工程1(i)は、0℃で、4-ヒドロキシインドール(「3」)を、ピリジン及び無水ジクロロメタン(CH2Cl2)中で無水酢酸(Ac2O)と反応させることを含んだ。水を添加し、混合物を蒸発させ、生じた濃縮物を酢酸エチル中に溶解し、水及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで有機相を乾燥させ、蒸発させて、4-アセチルインドール(「4」)を得、ろ過によってこれを集め、水及び酢酸エチルで洗浄した。
【0018】
工程2(ii及びiii)、2工程の、アシル化(ii)-アミド化工程(iii)は、(ii)4-アセチルインドール(「4」)を無水ジエチルエーテル中の塩化オキサリル((COCl)2)と反応させ、撹拌し、n-ヘキサンを添加し、-20℃に維持して、ろ過によって分離された中間体3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イルアセテート(「5」)を生産することによって、3-ジメチルアミノオキサリル-4-アセチルインドール(「6」)を形成することを含んだ。この中間体を無水テトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、テトラヒドロフラン及びピリジン中のジメチルアミン((CH3)2NH)と反応させた。固化に起因して無水エーテルを添加し、反応生成物をろ過によって分離し、nヘキサン、酢酸エチル及び水で洗浄して3-ジメチルアミノオキサリル-4-アセチルインドール(「6」)を得た。
【0019】
工程3(iv)は、アルゴン雰囲気下で、3-ジメチルアミノオキサリル-4-アセチルインドール(「6」)を無水THF中で水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)と反応させることによるサイロシン(「1」)の形成を含んだ。還流及び冷却後、無水硫酸ナトリウムを添加した後、硫酸ナトリウムの溶液、さらに無水硫酸ナトリウムを添加した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、真空中で素早く濃縮し、得られたサイロシン結晶をメタノールで短時間洗浄した。
【0020】
工程4(v)は、無水THF中に溶解されたサイロシンを、-78℃のn-ヘキサン中のn-ブチルリチウム(n-BuLi)、及びテトラベンジルピロホスフェート[(BnO)2PO]2Oと反応させ、反応を0℃まで加温し、中間体ジベンジル3-[(2-ジメチルアミノ)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(「7」)の生産をモニターすることによる、ベンジル[2-(4-オキシインドール-3-イル)エチル]ジメチルアンモニオ-4-O-ベンジルホスフェート(「8」)の形成を含んだ。「7」の存在をチェックしたら直ちに、アミノプロピルシリカゲルを添加し、混合物を酢酸エチルで希釈し、吸引によってCeliteパッドを通してろ過し、真空中でろ液を濃縮し、CH2Cl2中に再溶解し、ろ過によって沈殿物を集めた。
【0021】
工程5(vi)は、パラジウム-活性炭触媒(Pd/C)を用いた、メタノール(MeOH)中の(「8」)の水素(H2)との反応によるシロシビン(「2」)の形成を含んだ。生成物沈殿に起因して、水を添加し、シロシビンの出現とともに、(「8」)、そのモノ脱ベンジル化された誘導体をモニターし、Celiteパッドを通して反応溶液をろ過した。ろ過によって生成物を集め、エタノールで洗浄して、融点190℃~198℃を有する白色針状結晶形態を得た。
【0022】
メタノール又はエタノールなどの非水性溶媒を使用する、JNPなどの多くの方法とは異なり、Experientia1958,15,397-399は、キノコ抽出物からシロシビンを得るために、単回の水からの再結晶を使用した。この教示は、クロマトグラフィーによって小規模で得られた出発材料を溶解するために沸騰水を使用することであり、得られた高真空乾燥された材料は185~195℃の間で不明確に融解すると記述され
、25.4%の重量喪失を示したので、出願人によって得られたものと、純度及び形態において明瞭に異なることを示唆している。
【0023】
シロシビンを生産するための合成の開発の間に、出願人は、5g規模の多数の水素付加反応を実施し、異なる結晶性形態のシロシビンが取得された。最初の水素付加反応は、
図7dに示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8dに示されているDSC及びTGAサーモグラムを示した水和物A(JCCA2157E)を与えた。DSCは、脱水を示唆するTGAの重量低下と同時に起こる約97℃での吸熱、及び融解であると推定された約216℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。別の水素付加反応はエタノール溶媒和物(JCCA2158D)を与え、これは、XRPD(
図7e)、DSC(
図8e)、TGA(
図8e)及び
1H NMRによって分析されたときに、11%の捕捉されたエタノールを示した。DSCサーモグラムは、TGAにおける約13%の重量喪失と同時に起こる融解であると思われた約154℃の開始を有する吸熱を示す。開発中に行われた別の実験では、出願人は、シロシビンの結晶化を行った。熱水中で溶液に留めて仕上げろ過(polish filtration)工程を可能にするよりむしろ、高温(>90℃)で沈殿が起こった。形成された固体は、さらなる加熱又はさらなる水の添加時に再溶解しなかった。固体(CB646E)の冷却及び単離に際して、XRPDを実施した。XRPDディフラクトグラム(
図7f)は、多形A’(JCCA2160-F-D4)及び多形B(JCCA2160-F-TM2-C5)の混合された相を示唆した。これらの知見は、所望の結晶性形態を一貫して生産することができる方法を開発することの重要性を強調するので、出願人は、これらの形態のいずれが医薬において使用するのに適した制御された形態で化学的に純粋なシロシビンを生産することができる状態にあるかを決定するための実験に着手した。
【0024】
臨床試験のために、いずれの新規活性物質(NAS)も、ヒト対象に投薬されるべき活性物質の量に応じて、大規模な生産(典型的には100g以上、より典型的には250gより多い、より好ましくは500gより多い、kg以上までのバッチ)が可能であるべきである。また、新規活性物質は、化学的に純粋であり、十分に確定され、保存時に安定であるべきである。
【0025】
さらに、いずれの製造方法も、容易に再現可能でなければならず、バッチごとの一貫性を与えなければならない。
【0026】
ヒト対象に投与するための、一貫した多形形態のシロシビンを提供することが本発明の第一の目的である。
【0027】
ヒト対象に投与するための、一貫した多形形態の化学的に純粋なシロシビンを提供することが本発明の別の目的である。
【0028】
商業的用途のために、純粋なシロシビンが規模を拡大して生産されなければならないので、大規模なバッチ量で、化学的に純粋なシロシビンを提供することがさらなる目的である。
【0029】
シロシビンを所望の多形形態で結晶化する方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
サイロシン又は4ヒドロキシインドールからシロシビンを製造するための拡張可能な方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0030】
適切な方法論を開発する際に、出願人は克服しなければならない数多くの問題及び困難を経験した。各工程で特定された問題を克服し、本発明を単独で又は組み合わせて使用す
ることが別の独立した目的である。
単独で又はデジタル健康製品若しくはデジタルソリューションと組み合わせて、特に中枢神経系障害(CNS)の処置において、より具体的には、ただしこれに限定されないが、うつ病、特に薬物抵抗性うつ病の処置において、ヒト対象に投与するのに適した形態で本発明のシロシビンを調合し、これを医薬において使用することが本発明のさらなる目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】英国特許第912714号明細書
【特許文献2】米国特許第3075992号明細書
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Griffithsら2016;J Psychopharmacol 30(12):1181-1197
【非特許文献2】Rossら2016;J Psychopharmacol 30(12):1165-1180
【非特許文献3】Carhart-Harrisら2016,Lancet Psychiatry3(7):619-627
【非特許文献4】J Nat Prod 2003,66,885-887
【非特許文献5】Helv Chim Acta 1959,42,2073-2103
【非特許文献6】Experientia 1958,15,397-399
【非特許文献7】Synthesis 1999,935-938
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の第一の態様にしたがい、以下の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる多形A又は多形A’の形態での結晶性シロシビンが提供される。
a.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる);
c.
図7a若しくは
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8a若しくは
図8bに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
多形A
【0034】
本発明の好ましい実施形態にしたがい、以下の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる多形Aの形態での結晶性シロシビンが提供される。
a.11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる);
c.
図7aに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8aに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0035】
17.5°2θ±0.1°2θのピークが、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比べて、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7%、8%から、9%、少なくとも10%までの相対強度を有する。
【0036】
一実施形態において、シロシビン多形Aは、表1に要約されているディフラクトグラムによって特徴付けられるXRPDディフラクトグラムを呈する。一実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも3つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも4つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも5つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも6つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも8つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも10のピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Aは、表1の少なくとも15のピークの(±0.1°2θ)を含む。約17.5°2θ±0.1°2θのピークは、このピークが非存在又は実質的に非存在である(すなわち、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比べて、2%未満、より好ましくは1%未満の相対強度を有する)多形A’からシロシビン多形Aを区別する。
【0037】
【0038】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、19.7、20.4、22.2、24.3又は25.7°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも1つの追加
のピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、19.7、20.4、22.2、24.3又は25.7°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも2つの追加のピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、19.7、20.4、22.2、24.3又は25.7°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも3つの追加のピークによってさらに特徴付けられる。さらなる実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、
図7aに示されているXRPDディフラクトグラムと実質的に同一のXRPDディフラクトグラムを呈する。
【0039】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられ、17.5°2θにおけるピークは、14.5°2θにおけるピークの強度の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも6%、少なくとも7%から、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%までである強度を有する。
【0040】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、10.1におけるXRPDディフラクトグラムピークが非存在であり、又は実質的に非存在である。実質的に非存在によって、10.1におけるいずれのXRPDディフラクトグラムピークも、14.5°2θにおけるピークの強度の2%未満、例えば1%未満であり、又はXRPDディフラクトグラム中に検出可能でないことを意味する。
【0041】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、145~165℃、例えば145~160℃、又は例えば145~155℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、DSCサーモグラムにおける、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有する吸熱事象、及び145~165℃、例えば145~160℃、又は例えば145~155℃の開始温度を有する吸熱事象によって特徴付けられる。さらに別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、
図8aのDSCサーモグラムと実質的に同一のDSCサーモグラムを呈する。
【0042】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、又は例えば0.1%w/w未満の水含量を有することによって特徴付けられる。当業者は、化合物の水含量を測定するための方法、例えば、カールフィッシャー滴定を知っているであろう。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、約25℃などの周囲温度~200℃でのTGAサーモグラムにおける、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の喪失を有することによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、乾燥減量試験において、2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満を喪失する。乾燥減量試験は、70℃で行われる。
【0043】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、多形Aの極めて純粋な結晶性形態であり、例えば、シロシビンは、少なくとも90重量%、例えば95重量%、例えば99重量%、例えば99.5重量%の多形Aを含む。
【0044】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、白色ないし灰白色の固体である。
【0045】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは化学的に純粋であり、例えば、シロ
シビンは、HPLCによって、97%超、例えば98%超、又は例えば99%超の化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、31P NMRによって測定されるリン酸及びHPLCによって測定されるサイロシンを含めた、1%より大きい、より好ましくは0.5%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、HPLCによって、97面積%より大きい、より好ましくは98面積%より大きい、最も好ましくは99面積%より大きい化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さいレベルでサイロシンを含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、31P NMRによって測定された場合に、1重量%より大きい、より好ましくは0.5重量%より小さいレベルでリン酸を含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Aは、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、又は例えば少なくとも98重量%の化学的アッセイを有する。
多形A’
【0046】
本発明の別の実施形態にしたがい、以下の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる結晶性シロシビン多形A’が提供される。
a.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(ただし、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在若しくは実質的に非存在である);
b.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(ただし、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在若しくは実質的に非存在であり、19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる);
c.
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8bに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0047】
17.5°2θ±0.1°2θにピークが実質的に非存在とは、このピークが、存在する場合に、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比べて、5%未満、より好ましくは4%未満、3%未満から、2%、1%又はそれ未満の相対強度を有することを意味する。
【0048】
一実施形態において、シロシビン多形A’は、表2に要約されているディフラクトグラムによって特徴付けられるXRPDディフラクトグラムを呈する。一実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも3つのピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも4つのピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも5つのピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも6つのピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも8つのピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性
シロシビン多形A’は、表2の少なくとも10のピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも15のピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも20のピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形A’は、表2の少なくとも25のピークの(±0.1°2θ)を含むが、17.5°2θ±0.1°2θにピークが非存在又は実質的に非存在である。
【0049】
【0050】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピーク、ただし、17.5°2θ±0.1°2θにピークが実質的に非存在であることによって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、19.7、20.4、22.2、24.3又は25.7°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも1つの追加のピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、19.7、20.4、22.2、24.3又は25.7°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも2つの追加のピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、10.1°2θ±0.1°2θに出現するピークの存在によって
さらに特徴付けられ、多形Aから区別される。さらなる実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、
図7bに示されているXRPDディフラクトグラムと実質的に同一のXRPDディフラクトグラムを呈する。
【0051】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられ、17.5°2θにおけるピークの強度は、14.5°2θにおけるピークの強度の5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、又は例えば約1%である。
【0052】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、10.1及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられ、10.1°2θにおけるピークの強度は、14.5°2θにおけるピークの強度の少なくとも1%、例えば少なくとも2%、例えば少なくとも3%、又は例えば約4%である。
【0053】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、145~165℃、例えば145~160℃、又は例えば145~155℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、DSCサーモグラムにおける、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有する吸熱事象、及び145~165℃、例えば145~160℃、又は例えば145~155℃の開始温度を有する吸熱事象によって特徴付けられる。さらに別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、
図8bのDSCサーモグラムと実質的に同一のDSCサーモグラムを呈する。
【0054】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、又は例えば0.1%w/w未満の水含量を有することによって特徴付けられる。当業者は、化合物の水含量を測定するための方法、例えば、カールフィッシャー滴定を知っているであろう。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、25℃などの周囲温度~200℃でのTGAサーモグラムにおいて、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の喪失を有することによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、乾燥減量試験において、2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満を喪失する。乾燥減量試験は、70℃で行われる。
【0055】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、多形A’の極めて純粋な結晶性形態であり、例えば、シロシビンは、少なくとも90重量%、例えば95重量%、例えば99重量%、例えば99.5重量%の多形A’を含む。
【0056】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、白色ないし灰白色の固体である。
【0057】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は化学的に純粋であり、例えば、シロシビンは、HPLCによって、97%より大きい、より好ましくは98%より大きい、最も好ましくは99%より大きい化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、31P NMRによって測定されるリン酸及びHPLCによって測定されるサイロシンを含めた、1%より大きい、より好ましくは0.5%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、HPLCによっ
て、97面積%より大きい、より好ましくは98面積%より大きい、最も好ましくは99面積%より大きい化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さいレベルでサイロシンを含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、31P NMRによって測定された場合に、1重量%より大きい、より好ましくは0.5重量%より小さいレベルでリン酸を含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A’は、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、又は例えば少なくとも98重量%の化学的アッセイを有する。
【0058】
XRPDディフラクトグラム及びXRPDピーク位置は、Cu Kα放射線を用いて獲得される。
【0059】
DSC及びTGAサーモグラムは、20℃/分の加熱速度を用いて獲得される。
【0060】
一実施形態において、
図7a又は
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8a又は
図8bに実質的に図示されているDSCサーモグラフを示す、高純度結晶性シロシビン、多形A又は多形A’(12A又は12A’)或いはこれらの混合物が提供される。
【0061】
好ましくは、結晶性シロシビン多形A(12A)は、
図7aに図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8aに図示されているDSCサーモグラフを示す。
【0062】
好ましくは、結晶性シロシビン多形A’(12A’)は、
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8bに実質的に図示されているDSCサーモグラフを示す。
【0063】
好ましくは、高純度結晶性シロシビン多形A(12A)は、
図7aに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8aに実質的に図示されているDSCサーモグラフによって特徴付けられる。
【0064】
好ましくは、高純度結晶性シロシビン多形A(12A’)は、
図7bに図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8bに図示されているDSCサーモグラフによって特徴付けられる。
【0065】
多形A(その同形変異形多形A’を含む)(
図7a及び
図7b)は、多形B(
図7c)、水和物A(
図7d)及びエタノール溶媒和物(
図7e:溶媒和物A)とは異なり、これらの異なる形態のいくつかの間の関係性は
図9に図示されている。
【0066】
結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、白色ないし灰白色の固体であり、並びに/又はHPLCによって、97%より大きい、より好ましくは98%より大きい、最も好ましくは99%より大きい化学的純度を有し、並びに31P NMRによって測定されるリン酸及びHPLCによって測定されるサイロシンを含めた、1%より多い、より好ましくは0.5%より少ない単一の不純物を有さない。一実施形態において、高純度結晶性シロシビン、多形A又は多形A’が提供される。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、HPLCによって、97面積%より大きい、より好ましくは98面積%より大きい、最も好ましくは99面積%より大きい化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さい単一の不純物を有さない。一
実施形態において、結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さいレベルでサイロシンを含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、31P NMRによって測定された場合に、1重量%より大きい、より好ましくは0.5重量%より小さいレベルでリン酸を含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形A又は多形A’は、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、又は例えば少なくとも98重量%の化学的アッセイを有する。
【0067】
多形A又はA’の加熱は、多形A又は多形A’の多形Bへの固体-固体遷移に相当するおよそ150℃の開始温度を有する吸熱事象をもたらす。得られた固体、すなわち、多形Bの継続した加熱は、205~220℃の開始温度を有する融点に対応する第二の吸熱事象をもたらす(
図8a及び
図8b参照)。
【0068】
本発明の別の独立した態様にしたがい、以下の1つ又はそれより多くによって特徴付けられるシロシビン、水和物Aの結晶性形態が提供される。
a.8.9、12.6及び13.8°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.8.9、12.6及び13.8°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(6.5、12.2、19.4、20.4若しくは20.8°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる);
c.
図7dに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8dに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0069】
一実施形態において、シロシビン水和物Aは、表3に要約されているディフラクトグラムによって特徴付けられるXRPDディフラクトグラムを呈する。一実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン水和物Aは、表3の少なくとも3つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン水和物Aは、表3の少なくとも4つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン水和物Aは、表3の少なくとも5つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン水和物Aは、表3の少なくとも8つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン水和物Aは、表3の少なくとも10のピークの(±0.1°2θ)を含む。
【表3】
【0070】
一実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、8.9、12.6及び13.8°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4又は20.8°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも1つのピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4又は20.8°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも2つのピークによってさらに特徴付けられる。さらなる実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、
図7dに示されているXRPDディフラクトグラムと実質的に同一のXRPDディフラクトグラムを呈する。
【0071】
一実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、85~105℃の、又は90~100℃などの開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、DSCサーモグラムにおける、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃
の開始温度を有する吸熱事象、及び85℃~105℃の、又は90~100℃などの開始温度を有する吸熱事象によって特徴付けられる。さらに別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、
図8dのDSCサーモグラムと実質的に同一のDSCサーモグラムを呈する。
【0072】
別の実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、10~18%、例えば12~16%、又は例えば約13%の水含量を有することによって特徴付けられる。当業者は、化合物の水含量を測定するための方法、例えば、カールフィッシャー滴定を知っているであろう。一実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、約25℃などの周囲温度~120℃で、10~18%、例えば12~16%、又は例えば約13%の、TGAサーモグラムにおける重量喪失を有することによって特徴付けられる。
【0073】
一実施形態において、結晶性シロシビン水和物Aは、水和物Aの極めて純粋な結晶性形態であり、例えば、シロシビンは、少なくとも90重量%、例えば95重量%、例えば99重量%、例えば99.5重量%の水和物Aを含む。
【0074】
本発明の別の独立した態様にしたがい、以下の1つ又はそれより多くによって特徴付けられるシロシビン、多形Bの結晶性形態が提供される。
a.11.1、11.8及び14.3°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.1、11.8及び14.3°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク(14.9、15.4、19.3、20.0若しくは20.6°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる);
c.
図7cに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8cに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0075】
一実施形態において、シロシビン多形Bは、表4に要約されているディフラクトグラムによって特徴付けられるXRPDディフラクトグラムを呈する。一実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Bは、表4の少なくとも3つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Bは、表4の少なくとも4つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Bは、表4の少なくとも5つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Bは、表4の少なくとも8つのピークの(±0.1°2θ)を含む。ある実施形態において、本明細書に記載されている結晶性シロシビン多形Bは、表4の少なくとも10のピークの(±0.1°2θ)を含む。
【表4】
【0076】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、11.1、11.8及び14.3°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラムピークによって特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、14.9、15.4、19.3、20.0又は20.6°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも1つのピークによってさらに特徴付けられる。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、14.9、15.4、19.3、20.0又は20.6°2θ±0.1°2θに出現する少なくとも2つのピークによってさらに特徴付けられる。さらなる実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、
図7cに示されているXRPDディフラクトグラムと実質的に同一のXRPDディフラクトグラムを呈する。
【0077】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、又は例えば210~216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によって特徴付けられる。さらに別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、
図8cのDSCサーモグラムと実質的に同一のDSCサーモグラムを呈する。
【0078】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、又は例えば0.1%w/w未満の水含量を有することによって特徴付けられる。当業者は、化合物の水含量を測定するための方法、例えば、カールフィッシャー滴定を知っているであろう。一
実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、約25℃などの周囲温度~200℃でのTGAサーモグラムにおいて、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の喪失を有することによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、乾燥減量試験において、2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満を喪失する。乾燥減量試験は、70℃で行われる。
【0079】
一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、多形Bの極めて純粋な結晶性形態であり、例えば、シロシビンは、少なくとも90重量%、例えば95重量%、例えば99重量%、例えば99.5重量%の多形Bを含む。
【0080】
別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは化学的に純粋であり、例えば、シロシビンは、HPLCによって、97%超、例えば98%超、又は例えば99%超の化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、31P NMRによって測定されるリン酸及びHPLCによって測定されるサイロシンを含めた、1%より大きい、より好ましくは0.5%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、HPLCによって、97面積%より大きい、より好ましくは98面積%より大きい、最も好ましくは99面積%より大きい化学的純度を有する。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さい単一の不純物を有さない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、HPLCによって測定された場合に、1面積%より大きい、より好ましくは0.5面積%より小さいレベルでサイロシンを含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、31P NMRによって測定された場合に、1重量%より大きい、より好ましくは0.5重量%より小さいレベルでリン酸を含有しない。一実施形態において、結晶性シロシビン多形Bは、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、又は例えば少なくとも98重量%の化学的アッセイを有する。
【0081】
多形A又はA’の形態の本発明のシロシビンは、下表5に示されている一般的な特性を有する。
【表5】
【0082】
シロシビンは、下表6に記された及び
図10~13のスペクトルに図示されているスペクトルと合致する。
【表6】
【0083】
高純度は、潜在的な有機不純物が著しく低下されることを確実にするために、反応条件の注意深い制御によって達成される。
【0084】
シロシビン中の既知の及び潜在的な不純物が、下表7に示されている。
【表7-1】
【表7-2】
【0085】
同様に、注意深い処理は、溶媒レベルが表8に記されているレベルを常に下回ることを確実にする。
【表8】
【0086】
操作方法論の注意深い選択を通じて、本発明のシロシビン薬物物質は、下表9に示されている受容基準を充足する。
【表9】
表中で使用された略号:NMT=以下、NLT=以上。
【0087】
純度を確認するために使用された方法論は、詳細な説明に記載されている。
【0088】
実際に、下表10に記されているように、基準6~13は実際には十分に充足されている。
【表10】
表中で使用された略号:NMT=以下、LT=未満。
【0089】
このように、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンは、プロトン(
1H)及び炭素(
13C)NMR、FT-赤外線分光法(FT-IR)及び質量分析(MS)-
図10~13と合致するスペクトルを有する。
【0090】
多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンは、表9又は表10に明記されている基準のいずれかに合致する。
【0091】
本発明の第二の態様にしたがい、本発明の第一の態様による多形A又は多形A’の形態で、結晶性シロシビンのバッチが提供される。一実施形態において、少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも250gを含む結晶性シロシビン、多形A又は多形A’のバッチが提供される。一実施形態において、少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも250gを含む結晶性シロシビン、多形A又は多形A’のバッチが提供される。一実施形態において、少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも250gを含む高純度シロシビンのバッチが提供される。一実施形態において、少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも250gを含む高純度シロシビン多形Aのバッチが提供される。一実施形態において、少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも250gを含む高純度シロシビン多形A’のバッチが提供される。
【0092】
又は、独立して、結晶性シロシビンは、水和物A又は多形Bの形態を取り得る。
【0093】
本発明の第三の態様にしたがい、結晶性シロシビンと1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。
【0094】
一実施形態において、高純度シロシビン及び1又はそれを超える添加剤を含む薬学的調合物が提供される。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形Aと1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。別の実施形態において、結晶性シロシビン多形A’と1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。別の実施形態において、高純度結晶性シロシビン、多形A又は多形A’と1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。別の実施形態において、高純度結晶性シロシビン多形Aと1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。別の実施形態において、高純度結晶性シロシビン多形A’と1又はそれを超える添加剤とを含む薬学的調合物が提供される。
【0095】
又は、独立して、調合物中の結晶性シロシビンは、水和物A又は多形Bの形態を取り得る。
【0096】
経口調合物用の好ましい薬学的添加剤には、微結晶セルロース、デンプン、マンニトール、リン酸水素カルシウム無水物、又は二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、微結晶セルロース及びタルクの共混合物(co-mixtures)などの希釈剤;デンプングリコール酸ナトリウム又はクロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤;ポビドン、コポビドン又はヒドロキシルプロピルセルロースなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウムなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;及びOpadryIIホワイト又はPVAをベースとするブラウンOpadryIIなどのフィルムコートが含まれる。
【0097】
シロシビンは、多数の理由のため、調合することが困難な活性物質である。第一に、シロシビンは乏しい流動特性を有し、第二に、相対的に低用量で使用され、この組み合わせのために、錠剤化する上での含量均一性を確実にすることが困難である。
【0098】
優れた混和は、15未満、より好ましくは10未満のAV値、受容値(Acceptance Value)を有するであろう。
【0099】
優れた混和は、90%より大きい、より好ましくは、94%より大きい%ラベルクレーム(Label claim)も有するであろう。
【0100】
それらの間において、これらのパラメータは、錠剤間でのシロシビンの一貫した投薬を示す。
【0101】
多くの薬学的錠剤に対して、標準的な添加剤、特に増量剤を使用することができる。しかしながら、シロシビン錠剤を調合する際に、出願人は、満足できる製品を達成するためには、標準的でない増量剤が好ましいことを見出した。
【0102】
これに関して、機能的な増量剤が選択された。機能的な増量剤は、珪化された増量剤、好ましくは、珪化された微結晶セルロースであった。好ましい形態は、約45~150ミクロンの粒径範囲を有する高い圧縮可能性等級を含む。
【0103】
実際に、異なる粒径範囲を有する2つの機能的増量剤の混合物は、2つのうちより大きなサイズの粒子を好む重量百分率で使用され得る。
【0104】
一実施形態において、珪化された微結晶増量剤は、重量で、最大30%、より好ましくは最大20%、より好ましくは最大15%又はそれ未満の量で約45~80ミクロンの粒径範囲を有する第一の増量剤と、最大70%、より好ましくは最大80、より好ましくは最大85%又はそれを超える量で約90~150ミクロンの粒径範囲を有する第二の増量剤とを含み得る。
【0105】
調合物は、崩壊剤、好ましくはデンプングリコール酸ナトリウム、流動促進剤、好ましくはコロイド状二酸化ケイ素、及び滑沢剤、好ましくはステアリルフマル酸ナトリウムをさらに含み得、又はこれらからなり得る。
【0106】
調合物開発のさらなる詳細は、実施例12に記載されている。
【0107】
調合物は、開示されている好ましい多形形態だけではなく、任意の形態のシロシビンを含み得ることに注意すべきである。
【0108】
Studerusら、(2011)J Psychopharmacol 25(11)1434-1452は、シロシビンの経口用量を次のように分類した:0.045mg.kgでの極めて低用量、0.115~0.125mg/kgの低用量、0.115~0.260mg/kgの中用量及び0.315mg/kgの高用量。
【0109】
シロシビンは、典型的には、0.01mg/kg~1mg/kgの量での調合された用量で存在するであろう。典型的な(60~80kgの体重の成人に対する)ヒト用量は、0.60mg~80mgのどこかの用量に等しいであろう。一実施形態において、2~50mgの結晶性シロシビン、最も好ましくは、多形A又は多形A’は、2~40mgなど、2~10mgなど、5mgなど、5~30mgなど、5~15mgなど、10mgなど、20~30mgなど、又は25mgなど、調合された用量で存在する。一実施形態において、2~50mgの結晶性シロシビン、特に多形Aは、2~40mgなど、2~10mgなど、5mgなど、5~30mgなど、5~15mgなど、10mgなど、20~30mgなど、又は25mgなどの、調合された用量で存在する。一実施形態において、2~
50mgの結晶性シロシビン、特に多形A’は、2~40mgなど、2~10mgなど、5mgなど、5~30mgなど、5~15mgなど、10mgなど、20~30mgなど、又は25mgなど、調合された用量で存在する。
【0110】
好ましい成人経口用量は、1mg~40mg、好ましくは2~30mg、より好ましくは15~30mgの範囲、例えば、5mg、10mg又は25mgである可能性が高い。微量投薬、典型的にはこれらの用量の約1/10も可能であり、微量用量調合物は、典型的には、0.05mg~2.5mgの範囲内に存在する。
【0111】
好ましい薬学的調合物は、経口剤形である。
【0112】
経口剤形は、錠剤又はカプセルであり得る。
【0113】
錠剤については、活性物質を正確に分散できることが必要である。これは、低用量並びにその流動性を制約する活性物質の吸湿性及び粘着性のために困難である。
【0114】
シロシビンは、1又はそれを超える添加剤と一緒に存在するであろう。好ましい添加剤には、微結晶セルロース及びデンプン、より好ましくは、珪化された微結晶セルロースが含まれる。
【0115】
本発明の第四の態様にしたがい、医薬において使用するための、本発明の第一の態様による多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンが提供される。一実施形態において、医薬において使用するための結晶性シロシビン多形Aが提供される。一実施形態において、医薬において使用するための結晶性シロシビン多形A’が提供される。一実施形態において、医薬において使用するための高純度結晶性シロシビン多形Aが提供される。一実施形態において、医薬において使用するための高純度結晶性シロシビン多形A’が提供される。
【0116】
又は、独立して、結晶性シロシビンは、水和物A又は多形Bの形態を取り得る。
【0117】
本発明の第五の態様にしたがい、中枢神経障害を処置することにおいて使用するための、本発明の第一の態様の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンが提供される。
【0118】
又は、独立して、結晶性シロシビンは、水和物A又は多形Bの形態を取り得る。
【0119】
一実施形態において、うつ病を処置することにおいて使用するための結晶性シロシビン、多形A又は多形A’が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための結晶性シロシビン、多形A又は多形A’が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための結晶性シロシビン多形Aが提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための結晶性シロシビン多形A’が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための高純度結晶性シロシビン多形Aが提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための高純度結晶性シロシビン多形A’が提供される。
【0120】
処置され得るその他の症状には、進行したステージの病気、例えば、がんにおける不安及び全般不安症を含む不安障害、大うつ病性障害を含むうつ病、群発頭痛、強迫性障害、行為障害を含むパーソナリティ障害、アルコール依存、ニコチン依存、オピオイド依存、コカイン依存を含む薬物障害並びにギャンブル依存症、摂食障害及び身体醜形障害を含むその他の嗜癖が含まれる。さらなる症状は、疼痛の処置である。
【0121】
本発明の第六の態様にしたがい、中枢神経障害を処置することを必要とする対象に、有効用量の、発明の第一の態様による多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンを投与することを含む、中枢神経障害を処置する方法が提供される。
【0122】
一実施形態において、うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量の、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンを投与することを含む、うつ病を処置する方法が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量の、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンを投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量のシロシビン多形Aを投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量のシロシビン多形A’を投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量の高純度結晶性シロシビン多形Aを投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法が提供される。一実施形態において、薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量の高純度結晶性シロシビン多形A’を投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法が提供される。
【0123】
又は、独立して、結晶性シロシビンは、水和物A又は多形Bの形態を取り得る。
【0124】
本発明のシロシビンを生産するために、シロシビンは、制御された様式で水から結晶化された。
【0125】
本発明の第七の態様にしたがい、シロシビンの大規模製造のための方法であって、前記方法が、本発明の第一の態様による結晶性シロシビン多形Aを生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビンを水結晶化工程に供することを含むことを特徴とする、方法が提供される。
【0126】
一実施形態において、シロシビンの大規模製造のための方法であって、前記方法が、
図7aに図示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8aに例示されているDSC及びTGAサーモグラフを有する結晶性シロシビン多形Aを生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビンを水結晶化工程に供することを含むことを特徴とする、方法が提供される。一実施形態において、シロシビンの大規模製造のための方法であって、前記方法が、
図7aに図示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8aに図示されているDSCサーモグラフを有する高純度結晶性シロシビン-多形Aを生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビンを水結晶化工程に供することを含むことを特徴とする、方法が提供される。
【0127】
好ましくは、多形Aは、
図7aに図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8aに図示されているDSCサーモグラフを有する同形変異形である。
【0128】
より好ましくは、シロシビンは、典型的には約10~20容量の水中で再結晶され、少なくとも70℃の温度に撹拌しながら加熱され、適切なカットオフ(典型的には、5μm未満)で仕上げろ過され、約70℃の温度でシードされ、2時間を超える期間にわたって制御された様式で約5℃に冷却される。
【0129】
より好ましくは、この方法は、1時間に約5℃~15℃、より好ましくは1時間に約10℃温度を低下させる、制御された冷却を含む。
【0130】
好ましくは、仕上げろ過工程は、1.2μmのインラインフィルターなどの適切な大きさのフィルターを通して行われる。
【0131】
好ましくは、撹拌は、約400~500rpm、典型的には、約450rpmで撹拌されることによる。
【0132】
好ましくは、結晶種はシロシビン水和物Aである。一実施形態において、0.1重量%又はそれ未満の結晶種が前記過程に添加される。
【0133】
好ましくは、結晶性シロシビンは、真空ろ過によって単離される。
【0134】
一実施形態において、単離された結晶は、少なくとも30℃、例えば30~50℃、又は例えば40~50℃の温度で、真空中で乾燥される。一実施形態において、単離された結晶は、少なくとも10時間、例えば12~18時間、又は例えば約30時間、真空中で乾燥される。一実施形態において、単離された結晶は、真空中において、少なくとも30℃、例えば30~50℃、又は例えば40~50℃の温度で、少なくとも10時間、例えば12~18時間又は例えば約30時間乾燥される。一実施形態において、単離された結晶が、乾燥減量試験において2%未満、例えば0.5%未満の重量の重量を失うまで、単離された結晶が乾燥される。
【0135】
好ましくは、単離された結晶は、水中で数回洗浄され、真空中において、約50℃で、少なくとも12時間乾燥される。
【0136】
得られた結晶は、典型的には、相対的に大きく(50~200ミクロンの範囲)、
図16aに図示されているように、10倍の顕微鏡下で見たときに均一である。
【0137】
これは、
図16bに図示されているように、10倍の顕微鏡下で見たときに、はるかに小さいサイズ(典型的には、5~50ミクロン)である制御された冷却なしに得られた結晶と異なる。
【0138】
本発明の第八の態様にしたがい、本発明の結晶化の方法によって得られた本発明の第一の態様によるシロシビンが提供される。
【0139】
本発明の第九の態様にしたがい、本発明の結晶化の方法によって得られた本発明の第一の態様によるシロシビンを含む薬学的調合物が提供される。
【0140】
結晶化前に製造されたシロシビンは、合成的又は生物学的なあらゆる方法を用いて、例えば発酵によって生産され得、又はきのこからの抽出によって取得され得る。
【0141】
好ましい製造方法は、出発材料として、サイロシン又は4ヒドロキシ-インドールを使用する。
【0142】
本発明の第十の態様にしたがい、以下の工程を含む、サイロシンからのシロシビンの大規模製造のための方法が提供される。
i)ステージ4 - サイロシンをテトラベンジルピロホスフェートと反応させて、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを形成すること;及び
ii)ステージ5 - ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを水素と反応させて、シロシビンを形成すること。
【0143】
本発明の第十一の態様にしたがい、以下の工程を含む、4-ヒドロキシインドールからのシロシビンの大規模製造のための方法が提供される。
i)ステージ1 - 4-ヒドロキシインドールを無水酢酸と反応させて、1H-インドール-4-イルアセテートを形成すること;
ii)ステージ2 - 1H-インドール-4-イルアセテートを塩化オキサリル及びジメチルアミンと反応させて、3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテートを形成すること;
iii)ステージ3 - 3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテートを水素化アルミニウムリチウムと反応させて、サイロシンを形成すること;
iv)ステージ4 - サイロシンをテトラベンジルピロホスフェートと反応させて、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを形成すること;及び
v)ステージ5 - ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを水素と反応させて、シロシビンを形成すること。
【0144】
本発明の第十二の態様にしたがい、以下をさらに含む、本発明の第十又は第十一の態様にしたがうシロシビンの大規模製造のための方法が提供される。
vi)ステージ6 - 本発明の第一の態様にしたがう結晶性シロシビン多形Aを生産するための、制御された乾燥を伴う、水結晶化工程。
【0145】
一実施形態において、以下をさらに含む、本発明の第十又は第十一の態様にしたがうシロシビンの大規模製造のための方法が提供される。
vi)ステージ6 -
図7aに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8aに実質的に図示されているDSCサーモグラフを有する結晶性シロシビン-多形Aを生産するための、制御された乾燥を伴う、水結晶化工程。
【0146】
一実施形態において、以下をさらに含む、本発明の第十又は第十一の態様にしたがうシロシビンの大規模製造のための方法が提供される。
vi)ステージ6 -
図7aに図示されているXRPDディフラクトグラム及び
図8aに図示されているDSCサーモグラフを有する高純度結晶性シロシビン-多形Aを生産するための、制御された乾燥を伴う、水結晶化工程。
【0147】
好ましくは、結晶性シロシビンは、多形Aである。
【0148】
サイロシン又はシロシビンの大規模生産のための方法論を開発する際に、出願人は、ステージ1~5の各々における1又はそれを超える重大な問題を克服し、サイロシン若しくはシロシビンの大規模生産各工程との関連でこれらの問題が検討され、より正確には各問題が克服された方法は、サイロシン、シロシビンへの中間体又はプロドラッグを与える、その他の誘導体、塩、エステルなどであれば、他の活性物質の製造において用途を有するので、別個の独立した発明と考えられる。
【0149】
好ましくは、ステージ4(i)反応は、ヘキサメチルジシラザンナトリウム(NaHMDS)の使用を含む。
【0150】
これは、i)取り扱いがより容易であり、ii)下流の処理で問題を引き起こすリチウムを反応中に導入しない点で、ブチルリチウムの使用より利点を有する。
【0151】
好ましくは、反応は、溶媒THFを使用する。
【0152】
これは、得られる生成物が著しくより高い純度で得られるという利点を有する。
【0153】
好ましくは、(i)において、反応は-50℃より下で開始される。
【0154】
これは、その後に下流で純度に影響を及ぼし得る不純物(LCMSによって観察されたm/z295.2)のレベルを低下させるという利点を有する。
【0155】
より好ましくは、ステージ4(ii)工程は、溶媒としてTHFを使用する。
【0156】
これは、濃厚化が回避されることを確実にするという利点を有し、生成物を得るための単純な撹拌過程(stir out process)を容易にする。
【0157】
好ましくは、ステージ4(ii)工程は、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートを得るための撹拌過程を含む。
【0158】
撹拌過程は、過程が単純化され、収率が改善されるという利点を有する。
【0159】
ステージ4(ii)反応が完了するまで実行されることを確実にするために、中間体4Aのレベルがモニターされ、完了したら直ちに、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェートがろ過され、オーブンで乾燥される。
【0160】
これは、不純物が最小化され、より純粋な生成物が得られるという利点を有する。
【0161】
好ましくは、ステージ5反応は、相対保持時間(RRT)を用いて、HPLCによって、中間体のレベルに関してモニターされ、中間体が0.2%未満で存在することによって、完了が決定される。
【0162】
シロシビン粗製物(ステージ5生成物、(12))は、HPLC法におけるその相対保持時間(RRT)が、それぞれ、約1.89及び2.45である主なステージ5不純物並びにサイロシン(RRT1.66)を有する。これらの不純物は、表7に記されている。典型的には、シロシビン粗製物(ステージ5生成物(12))は、0.24面積%のRRT1.89不純物、0.03面積%のRRT2.45不純物及び1.86面積%のサイロシンを有する。さらに、ピロリン酸不純物(RRT0.31)が、例えば、HPLCによれば約2~6面積%のレベルでシロシビン粗製物中に存在する。
【0163】
このレベルで、実質的に純粋なシロシビン、例えば、HPLCによって少なくとも95面積%、例えば少なくとも98面積%、又は例えば少なくとも99面積%の純度を有するシロシビンを与えるために、後続の結晶化過程を実施することができる。一実施形態において、ピロリン酸不純物(RRT0.31)は、HPLCによって0.3面積%未満、例えば0.2面積%未満、又は例えば0.1面積%未満のレベルで実質的に純粋なシロシビン中に存在する。
【0164】
さらに、このステージの間に、シロシビンを溶液中に維持するために、反応物に水が添加される。
【0165】
好ましくは、触媒はろ過によって回収される。
【0166】
好ましくは、ステージ1において、反応は、DCM及びピリジン中で実施される。
【0167】
これは、可燃性溶媒が回避されるという利点を有する。
【0168】
好ましくは、反応混合物は、約2~3のpHを与えて過剰なピリジンを除去するために、クエン酸で洗浄され、酸相はDCM相から分離される。
【0169】
これは、中間体2Aを単離することができるという利点を有しており、過剰の塩化オキサリルを含まないようにする精製が可能となる。
【0170】
より好ましくは、DCM相は、約pH8の重炭酸ナトリウムでさらに洗浄される。
【0171】
これは、より純粋な処理という利点を有する。
【0172】
好ましくは、1H-インドール-4-イルアセテートは、ヘプタン中に沈殿される。
【0173】
これは、沈殿を補助し、部分的な溶解度の問題を克服する。
【0174】
好ましくは、硫酸マグネシウムが乾燥剤として使用される。
【0175】
好ましくは、溶媒のtert-ブチルメチルエーテル(TBME)及びテトラヒドロフラン(THF)が使用される。
【0176】
好ましくは、塩化オキサリルとの反応は、約30℃~40℃で実施される。
【0177】
これは、高い反応速度が確実にされて、改善されたレベルの完了を与えるという利点を有する。
【0178】
好ましくは、中間体2Aは、ろ過によって単離される。
【0179】
これは、中間体が過剰な塩化オキサリルを含まずに精製されるという利点を有する。
【0180】
好ましくは、ステージ2、工程iでは、過剰な塩化オキサリルを除去するために、中間体2Aは洗浄もされる。
【0181】
好ましくは、中間体2Aは、TBMEで洗浄される。
【0182】
好ましくは、さらなる中間体2Aを沈殿させるために、ヘプタン添加が行われる。
【0183】
好ましくは、ステージ2、工程iiでは、ジメチルアミンは過剰に使用される。
【0184】
これは、さらに改善された不純物プロファイル及び収率が得られるという利点を有する。
【0185】
好ましくは、pHは約pH7又はpH7より上に維持される。
【0186】
好ましくは、反応はTBME中で実施される。
【0187】
好ましくは、このステージは、ジメチルアミン塩を除去する精製工程をさらに含む。
【0188】
これは、純度が改善されるという利点を有する。
【0189】
好ましくは、このステージは、スラリー化及びろ過工程を含む。
【0190】
これは、取り扱い及び純度が改善されるという利点を有する。
【0191】
より好ましくは、このステージは、水及び/又はIPAでスラリー化すること、ろ過すること、及び単離された3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテートを乾燥させることを含む。
【0192】
これは、純度及び収率が改善され、加水分解が低減されるという利点を有する。
【0193】
好ましくは、ステージ3において、反応は、溶媒THF中で実施される。
【0194】
これは、懸濁液/エマルジョンが濃厚化することなしに形成されるという利点を有する。
【0195】
好ましくは、3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテートは、THF中のLiAlH4の溶液に添加される。
【0196】
好ましくは、反応は、アセトン、続いてクエン酸で停止され、混合物が強塩基性(pH11又はそれより上)に留まることを確実にする。
【0197】
これは、高い収率が得られるという利点を有する。
【0198】
好ましくは、サイロシンはろ過され、THF中で洗浄され、PrOAc:TBME中でスラリー化され、ろ過され、TBME中で洗浄され、乾燥される。
【0199】
これは、高い純度の生成物、例えば、HPLCによって少なくとも95%純粋、HPLCによって例えば少なくとも98%純粋、又はHPLCによって例えば少なくとも99%純粋な生成物が得られるという利点を有する。
【0200】
好ましい生産方法は、ステージ1~6のそれぞれを含むが、各ステージの特徴のそれぞれは独立して存在することができ、又は反応の同一の若しくは異なる工程からの任意の他の特徴と組み合わせて使用できることが理解されるであろう。
【0201】
所定の形態、多形A又は多形A’のシロシビン及びこのような高純度のシロシビンは以前には得られておらず、出願人の知る限り、特に出願人の多形A及び多形A’(
図7a及び
図7b並びに
図8a及び
図8b中に図示されているような)の生産は新規である。実際に、多形Aの巨大なバッチ量の生産は新規である。本発明の結晶化方法論及び一部には、製造方法の結果、このような高い化学的純度の結晶性シロシビンを得ることが可能になる。
【0202】
さらに、本化合物の不安定な性質を考慮すれば、加速された条件下で、(以下に記載されている)少なくとも12ヶ月間、安定であることが示された結晶性形態を得た。
【0203】
多形A及びA’(
図7a及び7b)は、以下に記載されているように、それらのXRPDディフラクトグラム及びDSCサーモグラフから明らかなように、多形B(
図7c)、水和物A(
図7d)及びエタノール溶媒和物(
図7e)及び混合物(
図7f(上))とは
異なる。
【0204】
【0205】
実際に、結晶のサイズ及び形状は、結晶化法論によって決定され、これらは、次いで、安定性及び生成物を調合する能力に影響を与え得る。
【0206】
特に好ましい実施形態において、シロシビンは、以下に概説されているように、6ステージの過程を通じて製造される。
【0207】
本発明の別の態様にしたがい、本発明の第一の態様による結晶性シロシビンの製造のための方法であって、前記方法が、本発明の第一の態様による結晶性シロシビン多形A又は多形A’を生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビンを水結晶化工程に供することを含むことを特徴とする、方法が提供される。一実施形態において、本発明の第一の態様による結晶性シロシビンの製造のための方法であって、前記方法が、
図7a又は
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8a又は
図8bに実質的に図示されているDSCサーモグラフを有する結晶性シロシビン-多形A又は多形A’を生産するために、制御された乾燥とともに、水結晶化工程を含むことを特徴とする、方法が提供される。一実施形態において、本発明の第一の態様によるシロシビンの製造のための方法であって、前記方法が、
図7a又は7bに図示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8a又は
図8bに図示されているDSCサーモグラフを有する高純度結晶性シロシビン-多形A又は多形A’を生産するために、制御された乾燥とともに、水結晶化工程を含むことを特徴とする、方法が提供される。
【0208】
好ましくは、多形A及び多形A’は、
図7a及び
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム並びに
図8a及び
図8bに実質的に図示されているDSCサーモグラフを有する同形変異形である。
【0209】
より好ましくは、シロシビンは、約10~20容量の水中で再結晶され、少なくとも70℃の温度に撹拌しながら加熱され、適切なカットオフ(典型的には、5μm未満)で仕上げろ過され、約70℃の温度でシードされ、2時間を超える期間にわたって制御された様式で約5℃に冷却される。
【0210】
より好ましくは、この方法は、1時間に約5℃~15℃、より好ましくは1時間に約10℃温度を低下させる、制御された冷却を含む。
【0211】
好ましくは、仕上げろ過工程は、1.2μm又は0.45μmのインラインフィルターなどの適切な大きさのフィルターを通して行われる。
【0212】
好ましくは、撹拌は、約400~500rpm、典型的には、約450rpmで撹拌されることによる。
【0213】
好ましくは、結晶種はシロシビン水和物Aである。一実施形態において、0.1重量%又はそれ未満の結晶種が前記過程に添加される。
【0214】
好ましくは、結晶性シロシビンは、真空ろ過によって単離される。
【0215】
一実施形態において、単離された結晶は、少なくとも30℃、例えば30~50℃、又は例えば40~50℃の温度で、真空中で乾燥される。一実施形態において、単離された結晶は、少なくとも10時間、例えば12~18時間又は例えば約30時間、真空中で乾
燥される。一実施形態において、単離された結晶は、真空中において、少なくとも30℃、例えば30~50℃又は例えば40~50℃の温度で、少なくとも10時間、例えば12~18時間又は例えば約30時間乾燥される。一実施形態において、単離された結晶が、乾燥減量試験において2%未満、例えば0.5%未満の重量の重量を失うまで、単離された結晶が乾燥される。
【0216】
好ましくは、単離された結晶は、水中で数回洗浄され、真空中において、約50℃で、少なくとも12時間乾燥される。
【0217】
得られた結晶は、典型的には、相対的に大きく(50~200ミクロンの範囲)、
図16aに図示されているように、10倍の顕微鏡下で見たときに均一である。
【0218】
これは、
図16bに図示されているように、10倍の顕微鏡下で見たときに、はるかに小さいサイズ(典型的には、5~50ミクロン)である制御された冷却なしに得られた結晶と異なる。
ステージ1:1H-インドール-4-イルアセテート(3)の合成
【0219】
中核の反応は、1H-インドール-4-イルアセテート(3)を形成するための、4-ヒドロキシインドール(1)の無水酢酸(2)との反応である(
図2)。
【0220】
最も好ましくは、ステージ1は、以下のとおりである。
【0221】
4-ヒドロキシインドール(1)、DCM(12)及びピリジン(13)を容器に添加し、約0~5℃まで冷却する。無水酢酸(2)を滴下により添加し、約20~25℃まで混合物を加温し、HPLCによる完了まで撹拌する。反応物質をクエン酸水溶液(14)及び水性NaHCO3(15)で洗浄し、MgSO4(16)で乾燥させ、ろ過し、約半分の容量まで蒸発させる。ヘプタン(17)を添加し、DCMの大半を除去するために蒸留を継続する。混合物を約5~25℃に冷却し、ろ過し、ヘプタンで洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥させて、以下のステージで使用するのに適した固体として、1H-インドール-4-イルアセテート(3)を単離する。
ステージ2:3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテート(6)の合成
【0222】
中核の反応は、3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテート(6)を形成するための、1H-インドール-4-イルアセテート(3)の塩化オキサリル(4)及びジメチルアミン(5)との反応である(
図3)。
【0223】
最も好ましくは、ステージ2は、以下のとおりである。
【0224】
1H-インドール-4-イルアセテート(3)を、室温で、THF(19)及びTBME(18)の混合物中に溶解する。塩化オキサリル(4)を滴下により添加し、約35~40℃で反応を発熱させる。残りの添加を通じて、温度範囲を維持する。次いで、HPLCによる完了まで、約40℃で反応物を撹拌する。反応物を室温まで冷却し、ヘプタン(17)を添加し、さらなる固体を沈殿させる。スラリーを撹拌し、次いで、沈降させ、続いて、デカンテーションによって、溶媒(18/19)の大半を除去する。ヘプタン(17)で2回、容器中で固体を洗浄した。TBME(18)を添加して黄色のスラリーを得、混合物を約-20℃まで冷却する。-20℃~-10℃に温度を維持しながら、ジメチルアミン溶液(5)を添加する。次いで、反応物を室温まで加温し、完了まで撹拌し、必要であれば、さらなるジメチルアミンを添加する。反応をろ過し、ヘプタン(17)で洗浄し、真空オーブン中で乾燥した。水(20)、次いで、IPA(21)中でのスラリー
化によって、粗製の3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテート(6)をさらに精製し、次いで、真空オーブン中で乾燥させて、以下のステージで使用するのに適した固体として(6)を得た。
ステージ3:3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(サイロシン)(8)の合成
【0225】
中核の反応は、サイロシン(8)を形成するための、3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテート(6)の水素化アルミニウムリチウム(7)との反応である(
図4)。
【0226】
最も好ましくは、ステージ3は、以下のとおりである。
【0227】
3[(ジメチルカルバモイル)カルボニル]-1H-インドール-4イル-アセテート(6)をTHF(19)中にスラリー化し、約0℃まで冷却した。約0~20℃に温度を維持しながら、LiAlH4(7)のTHF溶液を滴下により添加した。次いで、HPLCによる完了まで、反応物を還流した。反応物を0℃まで冷却し、アセトン(22)、続いてクエン酸水溶液(14)の添加によって、過剰なLiAlH4をクエンチした。リチウム及びアルミニウム塩を除去するために、バッチをろ過した。MgSO4(16)でろ液を乾燥させ、ろ過し、濃縮し、シリカパッド(23)上に搭載した。THF(19)でパッドを溶出し、生成物を含有する画分を蒸発させた。得られた固体をiPrOAc:TBME(24/18)混合物中でスラリー化し、ろ過し、TBMEで洗浄した。固体をオーブン中で乾燥させて、灰白色の固体として高純度サイロシン(8)を得た。
ステージ4:ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(10)の合成
【0228】
中核の反応は、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(10)を形成するための、サイロシン(8)のテトラベンジルピロホスフェート(9)との反応である(
図5)。
【0229】
最も好ましくは、ステージ4は、以下のとおりである。
【0230】
容器にサイロシン(8)を加え、続いてTHF(19)を加える。反応物を-50℃~-70℃まで冷却し、NaHMDS(25)を約-45℃~-70℃で滴下により添加した。温度を約-45℃~-60℃に調整し、THF中のテトラベンジルピロホスフェートを添加した。バッチを0℃まで加温し、その後、固体副生成物をろ過によって除去し、真空中でろ液を濃縮した。次いで、濃縮された混合物を約40℃に加熱し、モニタリング及びHPLCの使用によって制御して、中間体がステージ4生成物(10)に転化するまで撹拌した。約0~5℃にバッチを冷却し、得られた固体をろ過によって単離し、真空中で乾燥させて、固体として、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(10)を与えた。
ステージ5:中間等級リン酸水素3-[2-(ジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イル(シロシビン粗製物)(12)の合成
【0231】
中核の反応は、シロシビン(12)を形成するために、ベンジル3-[2-(ベンジルジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(10)を水素(11)と反応させることを含む(
図6)。
【0232】
最も好ましくは、ステージ5は、以下のとおりである。
【0233】
Pd/C(26)、メタノール(24)及び3-[2-(ベンジルジメチルアザニウム
イル)エチル]-1H-インドール-4-イルホスフェート(10)を容器に加え、HPLCによる完了まで、得られた混合物に水素(11)を注入した。生成物を溶液中に保持するために、この過程の間、精製水(20)を添加する。混合物を約35℃~45℃に加熱し、次いで、Celite(27)の床を通してろ過し、メタノール(24)及び精製水(20)で洗浄した。ろ液を真空中で蒸発させ、エタノール(28)と共沸して、中間等級のシロシビン(12)を得た。
ステージ6:リン酸水素3-[2-(ジメチルアザニウムイル)エチル]-1H-インドール-4-イル(シロシビン)の合成
【0234】
中核の精製/多形決定工程は、高純度結晶性シロシビン、多形A又は多形A’を生産するための、水結晶化工程、その後の制御された冷却及び乾燥工程である。
【0235】
最も好ましくは、ステージ6は、以下のとおりである。
【0236】
精製水(20)を有する容器に中間等級のシロシビン(12)(ステージ5)を加え、シロシビン(12)が溶解するまで、混合物を加熱した。次いで、得られたバルク溶液を、予め加温された容器中に仕上げろ過した。好ましくは、約68℃~70℃に温度を調整し、シロシビン水和物結晶種(すなわち、水和物A)を反応物に添加した。次いで、制御された様式で、バッチを約0~10℃に冷却し、撹拌し、固体をろ過によって収集し、精製水で洗浄した。次いで、単離された固体を真空中で乾燥させて、灰白色の固体として、高純度結晶性シロシビン、多形A又はA’を得た。
【図面の簡単な説明】
【0237】
以下では、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態をさらに記載する。
【
図1】
図1は、JNPにおいて教示された反応の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一態様のステージ1反応の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一態様のステージ2反応の模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の一態様のステージ3反応の模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の一態様のステージ4反応の模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の一態様のステージ5反応の模式図である。
【
図7A】
図7Aは、多形A(GM764B)のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7B】
図7Bは、多形A’(JCCA2160F)のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7C】
図7Cは、多形B(JCCA2160-F-TM2)のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7D】
図7Dは、水和物A(JCCA2157E)のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7E】
図7Eは、エタノール溶媒和物(JCCA2158D)のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7F】
図7Fは、ディフラクトグラム多形A’(JCCA2160F)(中央)及び多形B(JCCA2160-TM2)(下)と比較した、本過程の開発の間に得られた生成物(CB646-E)のXRPDディフラクトグラム(上)である。
【
図8A】
図8Aは、多形A(GM764B)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図8B】
図8Bは、多形A’(JCCA2160F)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図8C】
図8Cは、多形B(GM748A)のDSCサーモグラフである。
【
図8D】
図8Dは、水和物A(JCCA2157E)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図8E】
図8Eは、エタノール溶媒和物(JCCA2158D)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図9】
図9は、水をベースとする系中の形態の相互関係を示す形態相図である。
【
図10】
図10は、シロシビンの1H NMRスペクトルである(帰属実施例7と併せて読まれたい)。
【
図11】
図11は、シロシビンの
13C NMRスペクトルである(帰属実施例7と併せて読まれたい)。
【
図12】
図12は、シロシビンのFT-IRスペクトルである。
【
図14】
図14は、シロシビンの数字が付された構造式である。
【
図15】
図15は、水中でのシロシビンに対する温度溶解度曲線である。
【
図16A】
図16Aは、制御された冷却によって得られた結晶を示す顕微鏡写真である。
【
図16B】
図16Bは、制御されていない冷却乾燥によって得られた結晶を示す顕微鏡写真である。
【
図17】
図17は、異なる溶媒系中の形態の相互関係性を示す形態相図である。
【
図18】
図18は、25及び50℃で単離された固体に対するXRPDディフラクトグラム-パターンCである。
【
図19】
図19は、25及び50℃で単離された固体に対するXRPDディフラクトグラム-パターンD、E及びFである。
【
図20】
図20は、溶媒A~H中での非晶質シロシビンの平衡状態から単離された固体に対して取得されたXRPDディフラクトグラムの比較である。
【
図21】
図21は、溶媒I~P中での非晶質シロシビンの平衡状態から単離された固体に対して取得されたXRPDディフラクトグラムの比較である。
【
図22】
図22は、溶媒R~Y中での非晶質シロシビンの平衡状態から単離された固体に対して取得されたXRPDディフラクトグラムの比較である。
【発明を実施するための形態】
【0238】
従来技術とは対照的に、本発明は、少なくとも100g、より好ましくは少なくとも250g、JNP中に記載されているレベル(10g規模でグラム量を生産するための「大」規模法を記載する)より1対数又は2対数高いレベルの量又はバッチで、商業的大規模でシロシビンを生産することを目指す。
JNPからの多くの重要な開発工程を実証するために、以下の記載は、過程ステージの各々で行われた実験及び研究の詳細を記述し、4-ヒドロキシインドール(1)から出発して、GMPに適合するシロシビン(7)(様々な中間体(2~6)を含む)を大規模に生産する上で、直面した多数の技術的課題を克服するために為された選択を例示している。
【0239】
特定の数値の参照は、文脈が明確に反対の意味を表していなければ、少なくともその特定の値を含む。値の範囲が表現されている場合には、別の実施形態は、一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。さらに、範囲で表記された値の参照は、その範囲内のそれぞれの全ての値を含む。全ての範囲は両端を含み、組み合わせることができる。
【0240】
先行詞「約」の使用によって値が近似として表されている場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0241】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を含む。
【0242】
数的範囲、カットオフ又は具体的な値の参照において使用される場合、「約」という用
語は、示された値がその列記された値から最大10%まで変動し得ることを示すために使用される。本明細書において使用される数値の多くは実験的に決定されるので、このような決定は、異なる実験ごとにしばしば変動し得ることが、当業者によって理解されるはずである。この固有の変動のために、本明細書において使用される値は過度に限定的に考えられるべきではない。このため、「約」という用語は、明記された値からの、±10%若しくはそれ未満の変動、±5%若しくはそれ未満の変動、±1%若しくはそれ未満の変動、±0.5%若しくはそれ未満の変動又は±0.1%若しくはそれ未満の変動を包含するために使用される。
【0243】
本明細書において使用される場合、「処置する」及び類似の用語は、症候の重度及び/又は頻度を低下させること、症候及び/又は前記症候の基礎となる原因を除去すること、症候及び/又はその基礎となる原因の頻度又は可能性を低下させること、疾患及び/又は障害の進行を遅延させ、予防し及び/又は遅らせること、並びに疾患及び/又は障害によって直接的に又は間接的に引き起こされる損傷を改善すること又は是正することを表す。
【0244】
以下の略号が本明細書において使用されている。
DSC-示差走査熱量測定
RT-室温
TBME-メチルtert-ブチルエーテル
TGA-熱重量分析
THF-テトラヒドロフラン
wrt-に関して
XRPD-X線粉末回折
【実施例0245】
[実施例1]
ステージ6 結晶化過程及び得られる多形
形態A’を生産するための実験:
1.0gの粗シロシビンを25mLフラスコに加えた。水(投入材料の活性に基づいて12.8mL/16容量)を添加した。混合物を撹拌し、80℃に加熱した。可視的な溶解されていない固体を有する濃い茶色の溶液が得られた。加温された0.45μmフィルターを通して、熱い25mLフラスコ中に混合物を仕上げろ過した。溶解されていない固体を除去して、濃い茶色の溶液を得た。溶液を75℃で再度平衡化し、次いで、周囲温度までゆっくり(10℃/時間)冷却した。生じた薄い茶色の溶液を、周囲温度で16時間平衡化させた。真空ろ過による固体の単離前に、懸濁液を5℃に冷却した。水(0.8mL/1容量)でろ過ケーキを洗浄し、50℃で16時間、真空中で乾燥させた。75%の収率、化学的純度99%、NMRアッセイ>98%。
【0246】
14容量(11.2mL)の水を用いて上記手順を繰り返した。69%の収率、化学的純度99%、NMRアッセイ>98%。
【0247】
両事例において、粗シロシビンの溶解はおよそ75℃で達成された。徐々に冷却すると、およそ60℃で沈殿が観察された。
【0248】
両事例において、シロシビン多形A’が生産され、XRPD(
図7bと一致するディフラクトグラム)及びDSC(
図8bと一致するサーモグラム)によって確認された。
形態Aを生産するための実験
【0249】
ステージ5過程から得られた94gの粗シロシビン(約4%ピロホスフェート不純物を有し、HPLCによれば約93%純粋)を、以下に記載されているような水性再結晶に供
した。
【0250】
プロトコールは、十分な水(12容量)、急速な撹拌速度(450rpm)及び制御された冷却プロファイル(10℃/時間)を使用した。
【0251】
シロシビン(94.0g)(CB650E)を2Lフラスコに加えた。水(投入材料の活性に基づいて902ml、12容量)を添加した。混合物を撹拌し、約78℃に加熱した。可視的な溶解されていない固体を有する濃い茶色の溶液が得られた。オーバーヘッド撹拌機(450rpm)が取り付けられた熱い5Lフラスコ中に、1.2μmインラインフィルターを通して混合物を仕上げろ過した。溶解されていない固体を除去して、清澄化された濃い茶色の溶液を得た。溶液を15分間約75℃で再度平衡化し、次いで、周囲温度までゆっくり(10℃/時間)冷却した。68~70℃における水)中での熟成後に、シロシビン水和物A(GM758A-
図7dと合致するXRPDディフラクトグラム)を溶液にシードした。生じた薄い茶色の懸濁液を、周囲温度で約16時間平衡化させた。真空ろ過による固体の単離前に、懸濁液を5℃まで1時間冷却した。水(282mL、3容量)でろ過ケーキを洗浄し、約50℃で30時間、真空中で乾燥させた。
【0252】
この過程は、75%の収率が達成されて、首尾よく完了された。固体の化学的純度は、99.3%と確認された。30時間の乾燥後のXRPDによる固体の分析が多形Aを示した(
図7a)。17.5°2θなどのおよそ17°2θで特徴的な摂動が観察され、バルク材料において顕著であった。
多形A及び多形A’の固体状態の性質決定
【0253】
多形Aに対して得られたDSC及びTGAサーモグラム(
図8a)は、多形A’に対して得られたDSC及びTGAサーモグラム(
図8b)と同等であった。多形A及び多形A’に対して得られたTGAサーモグラム(
図8a)は、分解前に重量喪失を示さない。このことは、多形Aに対して得られたXRPD(
図7a、およそ17°2θに摂動が存在する)と小規模で得られた多形A’に対して得られたXRPD(
図7b、摂動は存在しない)との間の差が過剰な水和に起因するものでないことを示唆した。
【0254】
固体の顕微鏡法(
図16a)は、良好な均一性を有し、50~200ミクロンの間のサイズ範囲の竿形状の結晶を示す。
【0255】
多形A’に対して得られたXRPDディフラクトグラムは、多形Aと同じ程度のおよそ17°2θにおける摂動を示さない。およそ17°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中の摂動は、(小規模で得られたものと比べて)大規模に生産されたシロシビンに対してより顕著であり、予想外であった。出願人は、水和物Aが、17°2シータ領域中に回折ピークを持たずに、幅広い温度にわたって存在する唯一の多形形態であることを実証した(
図7d参照)。これは、脱水して水和物Aが崩壊して、規模に応じて変動して多形A又はA’を与えること、及び多形Aが真正な形態であり、小規模で形成される多形A’は非定型的であることを強く示唆する。
【0256】
この理論の確かさを調べるために、及び多形Aへの回復を実証するために、(水和物Aを再生するために)水の中に再度浸した後に、少量のバルクを再乾燥させた。少量の試料(250mg-シロシビン多形A)を、1時間、水(10容量)中で平衡化した。懸濁液をろ過し、湿った固体の分析は、水和物Aが生成され(
図7d)、17°2シータに摂動がないことを確認した。この材料を16時間真空中で乾燥させ、XRPDによって固体を再評価した。多形A’材料が、XRPD(
図7b)によって確認され、XRPD摂動の低下が認められた。周囲温度での元のバルク固体のさらなる乾燥及び熟成は、固体のXRPDディフラクトグラムを変化させなかった。2つの固体様式が得られ、多形A及び多形A
’に対するXRPDディフラクトグラムは、およそ17.5°2シータピーク以外に実質的に同一である。熱的特性も同一である。多形Aと多形A’のXRPDディフラクトグラム間の差はわずかであり、両多形は、水和された状態に、極めて急速に、速度論的に転化する。
【0257】
多形A及び多形A’のXRPDディフラクトグラムの差が、その後にそれほど効果的に乾燥せず、変化を引き起こしたより大きな粒径の固体を与えるより大規模な結晶化過程によるものであるかどうか、又は結晶性固体の晶癖及びサイズ差が原因であったかどうかを確かめるために、さらなる実験を行った。乳鉢と乳棒を用いてシロシビン多形A(実験前に確認された多形形態)をすりつぶし、XRPDによって評価した。多形の変化は観察されなかった。別の一部(51mg)に水(<1mL)を加え、水和物が形成されたことを確認するために湿気を評価した。真空中において50℃でおよそ18時間両ロットを乾燥させ、XRPDによって再評価した。すりつぶされた試料は、多形Aとして残った。脱水後の水和された試料は、多形A’であることが示された(すなわち、およそ17.5°2θに反射がない)。これは、サイズ/晶癖だけが、元の反射ピークの唯一の理由でないことを示唆した。
【0258】
TGA評価は、投入ロットはおよそ70℃までに低い質量喪失(0.139%重量)を示すことを明らかにした。粒径が低下し、続いて乾燥された固体は、およそ75℃までに0.343重量%のより大きな質量喪失を示したのに対して、水和され及び乾燥された固体は、およそ80℃までに0.069重量%の最も小さい質量喪失を示した。粒径が低下し、続いて乾燥された固体を80℃に(TGAによる質量喪失の点を過ぎた)10分間維持したが、XRPDによる評価は投入から変化がないことを明らかにし、低レベルの水和及び結晶格子の部分的膨潤は変動の原因でなかったことを意味する。
【0259】
多形Aの水和及び単離された固体の小規模でのその後の乾燥を介して多形A’を生成することが可能である。
【0260】
両ロットから水和物Aを与えるために、シロシビン多形A及び多形A’、それぞれおよそ60mgに水0.2mlを加えた。真空中25℃で、およそ17と1/4時間、各水和物Aの半分を乾燥させ、周囲温度で、N2流下で、およそ17と1/4時間、各水和物Aの残りを乾燥させた。乾燥後に固体を単離し、XRPDによって評価した。多形A投入から単離された固体のXRPD評価は、水和物Aが首尾よく生成されること、及び固体が乾燥して両乾燥方法から多形A’を与えることを確認した。多形A’投入から単離された固体のXRPD評価は、水和物Aが首尾よく生成されること、及び固体が乾燥して両乾燥方法から多形A’として残ることを確認した。
【0261】
調べられた小さな規模では、多形A及び多形A’は、乾燥して、水和物Aへの転化を介して多形A’を与えるであろう。
【0262】
乳鉢と乳棒によるすりつぶしを用いて、シロシビン多形A(100mg)の粒径を低下させた。粒径を低下させることが試料の脱水に影響を及ぼしたかどうかを評価するために、すりつぶしたロットを2つの異なる乾燥計画に供した。第一の試料は10分間、80℃に維持し、第二の試料は10分間、110℃に維持した。両固体がXRPDによって評価され、多形Aが保持されたことを明らかにした。事前の等温ストレス中に置かれたすりぶされたロットは、形態に影響を及ぼすのに十分な長さで、110℃に維持されなかったかどうかが検討され、このため、110℃でおよそ24時間、すりつぶされたロットの一部を真空中で乾燥させた。XRPDによる評価は、わずかに低下した強度であるが、多形A反射がおよそ17になお存在する形態のわずかな変化を明らかにした。
【0263】
粒径低下及び/又は高温での乾燥を介して、多形Aは多形A’に容易に転化しないであろうと結論付けられた。
方法論
【0264】
ピロホスフェート不純物を含有しないシロシビンの安定性評価は、80℃を超える温度で、シロシビンの加水分解によって生成されたステージ3中間体不純物(サイロシン)のレベルが関心事項であることを示した。例えば、83mg/mLのシロシビン水溶液を90℃に加熱し、1、2及び4時間でHPLCによって分析されるときに、ステージ3不純物のレベルは、それぞれ、0.28、1.82及び7.79面積%と測定された。比較すると、50mgのシロシビンを水中(1.2~1.8ml;溶液を維持するのに十分な容量)に溶解し、70、75及び80℃まで4時間加熱すると、ステージ3不純物のレベルは、HPLCによって、それぞれ、0.53、0.74及び2.30面積%と測定された。溶解及び仕上げろ過を達成するために、再結晶は、75℃~80℃まで粗シロシビンを加熱する。溶液の即時冷却は、過度な温度への材料の滞留時間を短縮することによって、シロシビン加水分解のレベルを制約する。
【0265】
以下の変化を導入して、シロシビンのさらなる試験的再結晶を行った。
【0266】
使用される水の容量を変動させる;
【0267】
撹拌を変動させる;
【0268】
制御された冷却プロファイルを有する;
【0269】
急速な(制御されない)冷却プロファイルを有する。
【0270】
より少容量の水(わずか12容量)を用いることは、再結晶過程を妨害せず、仕上げろ過工程を可能にする温度でシロシビンの溶解が達成された。異なる冷却速度は、異なる結晶サイズ分布をもたらすことが示され、およそ10℃/時間での遅い制御された冷却は、相対的により大きく、より均一な平均的結晶サイズを生じた(
図16a)のに対して、急速な冷却プロファイルはより小さな結晶を与えた(
図16b)。制御された冷却プロファイルが好ましく、これは、制御された冷却に対する改善された純度に反映された。
【0271】
この過程を使用することは、75%の収率で、99.3%の化学純度のシロシビンをもたらした。固体の熱特性は、所望される熱特性と一致した。乾燥固体のXRPDディフラクトグラムの差は、水和物Aがどのように崩壊して好ましい固体形態を与えるかを決定する上で、乾燥プロファイルが重要であり得ることを示唆した。多形Aは、加速された安定性試験条件下で、12ヶ月間安定であることが実証された。
【0272】
実験
【0273】
N2下で、ステージ5、続いて水(活性なステージ5に基づいておよそ12~15容量)を容器に加えた。溶解を達成するために、混合物を約80℃に加熱し、1.2μmインラインフィルターを通して、80℃に加熱されたきれいな新しいフラスコ中に仕上げろ過した。撹拌速度を高いレベル(450rpm)に設定し、溶液を70~75℃で平衡化した。およそ10℃/時間で、溶液を周囲温度に冷却し、68~70℃でシロシビン水和物A(0.001×ステージ5添加量)をシードした。懸濁液を周囲温度で一晩維持し、次いで、およそ5℃まで冷却し、1時間維持した。懸濁液をろ過し、水(ステージ5の活性添加量に基づいて2~3容量)で洗浄した。純粋なシロシビンを、真空中、50℃で乾燥させた。結晶性材料シロシビン(規模に応じて多形A又は多形A’)が得られ、例えば、
94g投入のシロシビンを使用することは多形Aを与え、1g投入のシロシビンを使用することは多形A’を与えた。典型的には、5gより大きなバッチサイズは多形Aをもたらすのに対して、5gより小さなバッチサイズは多形A’をもたらす。
【0274】
JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
i)この追加の結晶化工程は、規定された結晶性形態-多形A(又はA’)を生じる。
ii)短期間の、約80℃への加熱は、溶解度が最大化される(及び加水分解が避けられる)という利点を有し、これは良好な収率を確実にする。
iii)約70~80℃で、不溶性不純物を除去するために仕上げろ過を使用することができる。これは、インラインフィルター、典型的には約1.2μmのものを用いると最も良好に達成される。これは、良好な化学的純度を確実にする。
iv)高い撹拌速度(典型的には約450rpm)を用いることによって、素早い溶解が確実にされ、溶液が80℃に維持される時間を最小限に抑えることができ、このため、シロシビンの加水分解によって形成されるステージ3中間体不純物の増加したレベルが回避される。
v)制御された冷却、典型的には、約10℃/時間での冷却の提供は、より均一な結晶サイズをもたらし、結晶性水和物Aとして形態を維持する。
vi)約70℃でシロシビン水和物Aを溶液にシードすることは、水和物Aとしての結晶化を促進する。
vii)純度を最大化し、規模に応じて多形A又はA’をもたらすために、結晶は水中で洗浄され、約50℃で乾燥される。
実施例2~6
ステージ1~5 シロシビンの生産
【0275】
本明細書中に前述されているように、以下の実施例は、JNPに記載されており、
図1に図示されている過程からの重要な発展を示している。
[実施例2]
ステージ1(
図2)
【0276】
JNP中のステージ1条件は、溶媒DCM中の、1.1当量Ac2O及び1.2当量ピリジンを使用した。一晩撹拌した後、反応は完了したことが見出された(99%生成物、0%出発材料(SM))。反応混合物を水で洗浄し、真空中で濃縮して、茶色の油状物を得た。文献では、油状物をEtOAc中に取り込み、蒸発によって濃縮し、低容量で固体の沈殿を与えた。
研究
【0277】
しかしながら、出願人の手許では、EtOAcからの固体の沈殿は観察されなかった。固体の沈殿はヘプタンでの摩砕によって促進されたが、これは、拡張可能な過程を形成しないであろう。固体を集めて、高純度のステージ1生成物を得た(75%収率、NMRによれば95%超純粋)。
【0278】
反応は良好に機能したが、取り扱いが容易な固体が得られ得るようにするために、単離手法はさらなる進展を必要とした。ろ過による固体の単離は、次いで、精製の手段も与えることが期待された。
【0279】
固体の沈殿を促進することができ、反応混合物から直接的に単離することを可能にするかどうかを明らかにするために、まず、EtOAc中で反応を試した。しかしながら、EtOAc中の反応プロファイルは、DCM中よりも好ましくなことが明らかとなり、したがって、この反応は断念した。
【0280】
生成物の再結晶を抑制していることがあり得ると考えられたので、出願人は、DCM反応混合物からピリジンを洗い流した。反応を反復し(HPLCにより、0.4%出発材料、98.7%生成物の完了)、pH2/3を達成するために、20%クエン酸で反応混合物を洗浄し、蒸発工程中での低いpHを避けるために、ピリジン、次いで、飽和NaHCO3(水溶液)を除去した。有機物を乾燥させ、ヘプタンへの溶媒の切り替えを行い、ステージ1の沈殿を得た。ろ過によって、固体を収集し、真空中で乾燥した後に純粋なステージ1を得た(NMRによれば87%収率、95%超の純度)。
【0281】
安定性試験を実施し、20%クエン酸及び飽和NaHCO3とも一緒に撹拌したときに、反応混合物が一晩安定であることを確認した。40℃及び60℃でオーブン乾燥されたときに、生成物は安定であることが見出された。
規模拡大
【0282】
ステージ1反応は首尾よく規模拡大され、100g超の4-ヒドロキシインドールを処理した。反応は、予想されたとおりに進行し、後処理されて、ステージ1生成物を与えた(93%収率、約98%NMR純度)。
GMP原料合成
【0283】
GMP出発材料を供給するために、大規模なステージ1反応を実施した(500g超の4-ヒドロキシインドールを処理)。反応は、予想されたとおりに進行し、HPLCにより、出発物質の消費を与えた(99.2%生成物、0.1%未満出発物質)。確立された手法を用いて、反応を後処理して、乾燥後にステージ1生成物を得た(94%収率、HPLCにより99.1%、99%NMRアッセイ)。
【0284】
ステージ1の手法は、4-ヒドロキシインドールのいくつかのバッチ中に存在する微量の不純物を除去する上で効果的であることも開発中に注目された。4-ヒドロキシインドール中に存在する低レベルの不純物は、ステージ1反応後に完全に除去され、高い収率(89%)と純度(HPLCにより99%、NMRアッセイにより99%)できれいな材料を与えた。
【0285】
実験
【0286】
N2下で、4-ヒドロキシインドール(1当量制限試薬)を容器に加え、その後、DCM(ジクロロメタン;4-ヒドロキシインドール添加量に基づいて6容量)を加えた。反応物を0~5℃まで冷却し、0~5℃でピリジンを滴下により添加した(1.2当量)。無水酢酸(1.1当量)を0~5℃で滴下により添加し、20~25℃まで1~1.5時間反応物を加温し、20~25℃でさらに3時間撹拌した。反応物の試料を採取し、完了に関して分析した。次いで、20%クエン酸水溶液(4-ヒドロキシインドール添加量に基づいて3×3容量)で反応物を3回、飽和NaHCO3(4-ヒドロキシインドール添加量に基づいて3容量)で1回洗浄した。MgSO4でDCM溶液を乾燥させ、ろ過し、蒸留によって、DCM層を半分の容量まで濃縮した。ヘプタン(4-ヒドロキシインドール添加量に基づいて6容量)を添加し、ステージ1の完全な沈殿が起こるまで、さらなるDCMを蒸留によって除去した。15~25℃まで反応物を冷却し、ろ過によって固体を集め、ヘプタン(4-ヒドロキシインドール添加量に基づいて1容量)で洗浄し、真空下で一晩、60℃で乾燥させた。
【0287】
JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
i)出願人は、約2~3のpHのクエン酸を用いて、ピリジンを洗浄除去した。これにより、改善された単離及び結晶化が促進された。実際に、DCM相が分離され、水性クエン酸相は廃棄される。
ii)重炭酸ナトリウム中でのさらなる洗浄は、さらなる改善をもたらした。
iii)溶媒をヘプタンに交換することによって、固体の沈殿が改善されて、収率が最大化し、再現可能な高純度のステージ1がもたらされた。
[実施例3]
ステージ2(
図3)
工程i-酸塩化物の形成
【0288】
文献中で使用されている、揮発性で高度に可燃性のEt2Oの実行可能な代替物であるかどうかを決定するために、まず、TBME及びTHF(6容量/1容量)の混合物中での、ステージ1生成物の塩化オキサリル(1.5当量)との反応による反応性中間体2Aの形成を試した。反応は、Et2Oと類似の溶解度プロファイルで、およそ18時間後に完了した(溶液中のステージ1、ステージ2Aの沈殿)。
【0289】
酸塩化物中間体は加水分解しやすく、変動する分析結果をもたらすので、反応が(ステージ2を与えるために)THF/NMe2中にクエンチされ、次いで、HPLCによって分析されるより強固な試料の作製及び分析を開発した。
【0290】
最高の純度及び収率の中間体を与えるために、TBME及びTHFの比が最適化され、大規模化のために、6:1のTBME:THFの好ましい比率を選択した。他の比率のTBME:THFが使用され得る。
【0291】
大規模な反応は、好ましい溶媒混合物(1容量THF、6容量TBME)を用いて実施されたが、塩化オキサリルの添加は、30~35℃で実施された。次いで、得られた溶液を40℃で2.5時間加熱し、およそ1%のステージ1生成物が残存して完了した。溶液を維持するために添加を熱時で実施することは高い反応速度を確実にし、はるかに短い反応時間(2.5時間対一晩)で改善されたレベルの完了を与えた。生成物は、約15分後の温度で、なお沈殿することが見られ、反応プロファイルに対する悪影響はHPLCによって観察されなかった。
【0292】
中間体2Aの安定性は既知でなかったので、中間体を単離し、分解(加水分解)の危険を冒すよりむしろ、ステージ2まで材料をテレスコーピングすることを試みた。反応プロファイルは複雑であり、複数の成分が低いレベルで存在する。TBMEを添加し、沈殿物を収集した。しかしながら、HPLC/NMRによって、これも複雑な混合物であることが見出された。
【0293】
不良な反応プロファイルの故に、過剰な塩化オキサリルを含まないようにする精製を可能にするために、中間体2Aを単離することが必要であると思われた。反応が反復され、ろ過によって黄色の沈殿が収集され、TBMEで洗浄して、過剰な塩化オキサリルを除去した(80%収率)。NMR分析は、生成物が十分な純度(NMRによれば約95%)であることが確認された。しかしながら、窒素下で保存したにも関わらず、続く数日間にいくらかの分解が認められ、アセテート基の脱保護を含む部分的な加水分解を与えた。
【0294】
単離に際しての中間体酸塩化物の加水分解の可能性を検査し、低減するために、テレスコーピング手法のさらなる研究を実施した。反応混合物を沈降させることによって、TBME液体は、容易にデカンテーションを行うことができ、次いで、同様の様式で、TBMEのさらなる一部を用いて、残存する固体が洗浄されることを見出した。これにより、水分への曝露を最小に抑えながら、過剰な塩化オキサリルを含まないように、中間体2Aを精製することが可能となった。
【0295】
THF/TBME混合物中に中間体が一部溶解するために、いくらか反応収率が失われ
得るように感じられた。これは、デカンテーション液体にヘプタンを添加すると、さらなる固体の沈殿が与えられたことによって確認された。この溶解性を制約するために、デカンテーションの前に、ヘプタン(8容量)の添加を行った。TBMEで固体を洗浄するよりむしろ、ヘプタンも洗浄のために使用され(3×6容量)、これは、中間体の高純度を維持しながら、収率を最大にした。この方法論は、首尾よく大規模化され、好ましい過程である。
工程ii-ジメチルアミンとの反応
【0296】
文献(Synthesis,1999,6,935-938;D.E.Nichols)は、HNMe2気体がこの転換に有効であることを示唆した。しかしながら、大規模処理を単純化するために、これは、さらなる過剰な塩基を加えた固体HNMe2.HCl又はTHF中のHNMe2の溶液のいずれかに置換された。JNPは、過剰な塩基(ピリジン)の存在下でHNMe2を使用する。
【0297】
一連の試験反応を介してジメチルアミンとの反応を最適化するために、最初に単離された中間体2Aを使用した(表11参照)。
【0298】
【0299】
Et2O中での類似の反応(#3)、Me2NH.HCl及び水性K2CO3を用いた二相性反応(#2)、及びTHF中の過剰な2M Me2NHを用いた反応(#4)とともに、文献によって提供されたピリジンを用いる条件(#1)を試した。全ての事例において、HPLCによる主要成分は所望の生成物であり、水性塩基及び過剰なMe2NHを使用する条件は、ピリジンを用いる条件より、一般にはるかにきれいであった。全ての事例において、著しい加水分解生成物が見られたが、これは、HPLC分析のための試料の作製の間にクエンチされた未反応の中間体2Aの結果であると考えられた。反応は、水の添加によって後処理され、次いで、真空中で有機溶媒を除去して、固体を沈殿させた。
【0300】
過剰なアミンとの反応は、はるかに改善された不純物プロファイルを示し、より高い収率(72%対63%)と純度(98%対90%)になった。このアプローチは、反応の水含量を制限し、したがって、加水分解が発生する機会を最小限に抑えた。単離された固体中にピリジンが存在しないために、精製がより容易であることも予想された。これらの理由のために、塩基として過剰なHNMe2を用いる条件を規模拡大のために選択した。
【0301】
Et2O中の反応は、きれいな(#4)プロファイルを与えた。しかしながら、大規模な処理を容易にするために、TBMEなどのより揮発性が低い溶媒に切り替えることが有利であることが明らかとなった。これは、この酸塩化物をこの反応へテレスコーピングす
ることを容易にするであろう。これらの理由のために、THF中の過剰な2M Me2NHを用いて、TBME中で反応を実施することが選択された。
【0302】
水の添加は、存在して極めて濃厚な混合物と遅いろ過をもたらしたHNMe2.HCl塩を可溶化することによって後処理を補助するであろうと考えられた。これが試された。しかしながら、TBME及びTHF中の反応に水を添加すると、不良な回収率が得られ、液体の分析は、さらなる不純物と大規模なアセテート脱保護(フェノール生成物)を示した。したがって、精製のさらなる開発が必要であった。
精製の開発
【0303】
加水分解生成物及び観察されたその他の不純物を除去する精製戦略を開発することが望ましかった。単離された材料の塩含量(HNMe2.HClと仮定)を低下させるために、結晶化に水を含めることも望ましかった。この目的のために、一連の15の溶媒及び溶媒混合物をスクリーニングした(100mg規模、10容量溶媒、60℃までの加熱サイクリング)。
【0304】
【0305】
*濃厚な懸濁液であり、固体がガラスバイアルに付着したので、回収率は代表的なものでない。
【0306】
スクリーニングされた溶媒から、アセトン/水は、室温で溶解度がほとんど観察されない再結晶を与えた。これは水性の系であったので、固体からMe2NH.HClをパージすることに役立つという利点を有していた。
【0307】
アセトン/水再結晶を大規模化した。さらなる水(4容量)の添加前の温度で溶液が得られ(5容量アセトン、1容量水)、混合物を室温に冷却して、結晶化を与えた(62%
回収率、99%超のHPLC純度)。続いて、この過程は、回収を助けるためにより多くの水を添加してさらに大規模化された(合計5容量のアセトン、10容量の水、78%回収率)。
【0308】
この過程をさらに大規模化し(30g)、再結晶手法を通じて粗製固体が採取された。生成物の純度は高かったが、収率の低下が存在した(56%収率、NMRアッセイによれば99%、HPLCによれば99.4%)。
【0309】
回収率を改善するために、添加される水の量を10容量から15容量までさらに増加した。これは、99%より高く生成物純度を維持し、小規模では、より高い回収率を与えた(90%回収率、以前に観察された56~70%)。しかしながら、この修正された手法の大規模化は、再び、低い回収率(58%の収率)を与えた。したがって、再結晶を大規模化するときに遭遇する問題に起因して、実施された当初のスラリースクリーニングに基づいて(上表12)、別の精製手段を探索した。
【0310】
大規模なステージ2反応から単離された材料を用いて、精製戦略の再開発が行われた。反応は、予想されたとおりに進行し、オーブン乾燥後に粗生成物を与えた(NMRアッセイによれば70%、79%活性物質収率)。著しい塩成分(HNMe2.HClと推定された)を除去するために、室温にて、一部を水でスラリー化した。乾燥後、これは75%の回収率(NMRアッセイによれば95%)を与え、これが塩含量を低下させる有効な手段であることを示した。HPLC純度は、およそ93%で変化しないままであった。次いで、固体の化学的純度を増加させるための方法を探索した。
【0311】
最初のスクリーニングから、EtOH:H2O、IPA及びアセトン:H2Oはいずれも、優れた回収率で高純度の生成物を与えるように見受けられたので、さらなる研究のために、これらの溶媒系を選択した。投入純度は92.7%であり、主な不純物は1.4%、1.0%及び0.8%のレベルであった。
【0312】
【0313】
*反応は、当初、5容量の1:1のIPA:H2O中で実行された。しかしながら、濃厚すぎて撹拌できなくなったので、さらに2容量のIPAを添加した。
【0314】
** 混合物は濃厚であり、存在する固体が極めて微細であったため、いくつかの固体がフィルターを通り抜けて、ろ過を困難にした。
【0315】
これらの試験の結果は、これらの系、特にIPAをベースとする系から良好な回収が可能であることを示唆した。EtOH:H2Oは、IPA単独より、若干優れた不純物プロファイルを与えたが、回収率はそれほどよくなかった(79対90%)。IPAによる不純物プロファイルは、水の存在によって大幅に強化されたが(98.7%対およそ97.5%)、これは、より低い回収率をもたらした(79対90%)。このことは、この化合物に対して一定レベルの水溶解度を示唆した。高い純度とおよそ90%の回収率を与えるバランスを見出すことができるかどうかを明らかにするために、減少した水容量を用いて、IPA及びEtOH:水中での最終試験を行った。この系は収率を改善したが、ろ過は遅く、したがって、さらなる溶媒混合物も評価された。
【0316】
【0317】
5容量EtOH/水スラリーは極めて濃厚であり、容易に取り扱えなかった。全ての試験から、固体の純度は同等であったので(わずかな変動は、ろ過及び洗浄の質によるものと思われる)、100%IPA条件が高い回収率を与え、得られる懸濁液が容易に取り扱われたため、100%IPA条件を大規模化した。
【0318】
好ましいスラリーの最初の規模拡大は、96.4%のHPLC純度(1.2%、0.7%、0.4%の不純物レベル)を与えた(92%回収率)。液体分析は、それらが主な不純物の全てに富んでいることを示した-HPLCによって72%(8.6%、3.8%、3.4%)。これは、高い回収率を与える適切な精製法と考えられたので、不純物の追跡と除去が下流で達成されることを確実にするために(ステージ3で99%超、0.5%を超える単一の不純物なし)、以下のステージでは、この材料の使用を試験した。
【0319】
無機物を除去するために残存する粗製のステージ2材料(70%アッセイ)を水でスラリー化し、次いで、改善された純度の材料を与えるために(NMRアッセイによって97%、ステージ2に対して76%収率、HPLCによって96.8%、1.1%、0.8%、0.4%で不純物)IPA中でスラリー化すると、スラリーは拡大可能であることが明らかとなった。
GMP原料合成
【0320】
GMPキャンペーンを提供するために、大規模な、ステージ2反応を実施した。反応は予想通りに進行して粗生成物を与え、これを水でスラリー化し、ろ過して、HPLCによれば93%純粋であったステージ2を与えた。これは、8容量のIPA中にさらにスラリー化され、ろ過されて、ステージ2生成物を与えた(HPLCによれば93.7%、92%アッセイ、66%活性物質収率)。得られた純度は、開発キャンペーンの間に観察されたものより低かったので、使用試験を実施し、得られた高純度ステージ3がその後の処理に適していることを確認した(GMP原料)。
【0321】
同一の条件下で、第二のバッチが実行されて、粗生成物を得、これは、水スラリー化後に、HPLCによれば90%純粋であった。この材料は、続いて、水スラリー化され、IPAスラリー化によって精製されて、384gのステージ2生成物を与えた(HPLCによれば93.0%、NMRアッセイによれば91%、60%活性物質収率)。
【0322】
GMP合成を再度供給するために、第三のバッチを実行した。水、次いで、IPAスラリー化によって、粗生成物が首尾よく精製されて、以前のバッチと比較したときに、増加した純度を有する(HPLCによれば97.3%、96%NMRアッセイ)ステージ2(79%収率)を与えた。
【0323】
実験
【0324】
容器にN2下でステージ1(1当量制限試薬)を加えた後、THF(ステージ1添加量に関して1容量)及びTBME(ステージ1添加量に関して6容量)を加えた。次いで、塩化オキサリルを容器に滴下により添加し(1.5当量)、発熱させて、当初、温度を35~40℃に上昇させ、次いで、35~40℃に維持するために、必要に応じて冷却を施した。添加直後に、反応物は40℃まで加熱され、2~6時間撹拌された。反応物の試料を採取し、完了に関して分析し、次いで、室温まで冷却し、ヘプタン(ステージ1添加量に関して8容量)を添加すると、さらなる固体の沈殿が生じた。反応物を10分間撹拌し、次いで、固体を沈降させた。デカンテーションによって、溶媒の大半を固体から除去し、次いで、固体をヘプタン(ステージ1添加量に関して6容量×2)で2回洗浄し、各洗浄後に同様にしてデカンテーションを行った。次いで、固体の試料を採取し、分析した。容器にTBMEを加えて(ステージ1添加量に関して4容量)、黄色のスラリーを得、ドライスアイス/アセトン浴を用いて、これを-20℃に冷却した。温度を-20℃~-10℃に維持しながら、およそ15分にわたって、THF中のMe2NHの2M溶液(2当量)を容器に滴下により添加した。反応混合物を室温までゆっくり加温し、一晩撹拌した。必要であれば、この時点で、さらなるMe2NHを添加することができる。反応物の試料を採取し、完了に関して分析した。反応物をろ過し、ヘプタン(ステージ1添加量に関して2容量×2)で洗浄し、単離された固体を真空下で、60℃で乾燥させた。2~18時間、粗製のステージ2を水(ステージ1添加量に関して8容量)の中でスラリー化し、次いで、ろ過し、水(ステージ1添加量に関して2容量)で洗浄した。真空下で、60℃で固体を乾燥させて、2%w/w未満の水(カールフィッシャー滴定(KF)によって測定された)を含む粗製のステージ2を得た。2~18時間、粗製のステージ2をIPA(10容量)中でスラリー化し、次いで、ろ過し、IPA(粗製のステージ2の質量に関して1容量)で洗浄し、真空下で、60℃でオーブン乾燥させた。
【0325】
JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
工程1
i)第一に、ジエチルエーテルに代わるTHF/TBME溶媒系の使用は、揮発性及び可燃性がより低かった。
ii)第二に、塩化オキサリルの添加が上昇した温度で行われ、40℃まで加熱され、
改善された溶解度がもたらされて、沈殿中にステージ1生成物が捕捉されるのを抑制した。これは、高い反応速度、改善されたレベルの完了及びより短い反応時間も与えた。
iii)第三に、過剰な塩化オキサリルを含まないようにする精製を可能にするために、中間体2Aが単離された。
iv)第四に、中間体2Aの沈殿を助けるために、ヘプタンが添加された。
工程2
v)アミンが過剰に使用されることを確実にすることによって、最小限の水が存在し、それ故、加水分解が低減するために、大幅に改善された純度と収率が得られた。
vi)最後に、水及びIPAスラリーの使用は、良好な純度のステージ2生成物を与えた。
[実施例4]
ステージ3
【0326】
精製されたステージ2材料(HPLCによれば99%超)及び提供された反応条件を用いて、最初のステージ3試験的反応を実施した。ステージ2投入材料は、THF中にほとんど不溶性であることが見出されたので、ステージ2の溶液をLiAlH4に添加するよりむしろ、逆添加を実施した。THF中の1M溶液として、4当量のLiAlH4を使用し、20~25℃で、およそ2時間にわたって添加を行った。この時点で、10%生成物が観察され、数個の中間体種が存在していた。還流しながらおよそ7時間、反応物を加熱して、93%の生成物転化を与えた(HPLCによる)。反応を後処理して、粗製のステージ3生成物を与えた(HPLCによればおよそ90%、NMRによればおよそ90%、およそ87%の補正された収率)。
【0327】
試験的反応が実施され、使用されるLiAlH4添加量が首尾よく低減された(3当量対4当量)。これは、生成されるLi及びAl塩の量を低減することによって後処理に役立つことが期待された。還流しながら長時間加熱した後(10~18時間)、反応中間体は大部分が消費され(2~3%残存)、HPLCによると、およそ95%が生成物であった。
後処理の開発
【0328】
第一の試験的反応は、ロッシェル塩を用いて首尾よく後処理されたが、使用された容量は極めて多く(およそ100容量)、この手法は、規模拡大のための実行可能な過程にならないであろう。必要とされる容量を試み、低減するために、及びLi/Al塩の除去を補助するために、様々な代替的後処理手法を調べた。
【0329】
EtOAc、次いでロッシェル塩を用いて、低減された容量のクエンチを試みた。フラスコの底に沈降した、濃厚なペーストとして灰色の固体が存在した。ろ過は失敗したが、液体はデカンテーションをすることができ、生成物を抽出するために、THF/EtOAc中に固体を再度スラリー化した。次いで、水性の後処理を実施し、濃縮によって生成物を単離した。これは、良好な収率(純度に対して補正せずに94%)で、良好な純度(NMRによれば90~95%)の生成物を与えた。しかしながら、この過程は、直ちには大規模化に適していなかった。
【0330】
結合剤として作用するための無水Na2SO4の存在下で、EtOAc、次いで飽和Na2SO4の添加によって、反応をクエンチした。反応は、容易にろ過することができる顆粒状の固体を与えた。次いで、水性の後処理を実施し、濃縮によって生成物を単離した。良好な収率が得られたが(純度に対して補正せずにおよそ94%)、生成物は、NMRによれば、より高いレベルの主たる不純物を含有していた(10%対通常観察される2~4%)。
【0331】
0℃の20%AcOHで、反応をクエンチし、ろ過できないゲルの形成を生じた。この反応は断念された。
【0332】
EtOAc、次いで、20%クエン酸で反応をクエンチして、ろ過によって分離することができた固体を得た。液体を濃縮して、生成物を得た。この手法は、わずかに低い収率であったが(純度に対して補正せずにおよそ77%)、生成物は極めて高い純度(>95%)であった。
【0333】
EtOAc、次いで水(THF中の1gのLiAlH4当たり3mL)の添加によって、さらなる反応をクエンチした。容易にろ過できないゲルが形成され、この反応は断念された。
【0334】
最後に、反応は、フィーザー法によってクエンチされた。水(1gのLiAlH4当たり1mL)、次いで15%NaOH(1gのLiAlH4当たり1mL)、最後に水(1gのLiAlH4当たり3mL)の添加を行った。これは、反応混合物からろ過できる固体を与えた。次いで、液体を分配し、真空中で濃縮した(87%収率、NMRによれば90~95%)。
【0335】
これらの実験は、下表15に要約されている。
【0336】
【0337】
クエン酸及びNaOHによるクエンチはいずれも、反応混合物から容易にろ過することができ、最小の溶媒容量を必要とする固体を与えた。NaOHを用いる条件はより高い収率(およそ10%)であったが、この手法から得られた生成物はより低い純度であり、次のステージで使用する前にさらなる精製を要する可能性があろう。クエン酸でのより低い収率は、生成物であるクエン酸塩のいくらかの沈殿によるものである可能性があった。これは、精製効果を有しており、濃縮の直後にきれいな生成物が得られた。これらの条件を大規模化のために選択し、クエン酸添加量のさらなる最適化は、この過程から高い収率できれいな生成物を単離することを可能にすることが期待された。
【0338】
回収を試み、回収を最大化するために、わずかに低下したクエン酸添加量を用いて反応を繰り返した。この反応は、57%の収率で生成物を与え、THF中でのろ過ケーキの再スラリー化によって、さらに20%の収率が得られた(HPLCによれば両試料97.7%)。
【0339】
この反応は大規模化された。しかしながら、以前に反応物が濃厚になることが見られたEtOAcクエンチの間に、反応物はフラスコ中でガム状になり、混合を制約する濃厚な塊を形成した。クエン酸の添加は、その後、通常のスラリー/ゲルをもたらしたが、これは、実行可能な過程に該当しなかった。この反応を後処理して、ろ過ケーキをTHF中に再度スラリー化して回収率を最大化し、76%活性物質収率、HPLCによる95.0%を与えた。
【0340】
よりよいクエンチを開発し、EtOAcで見られたガム状物質の形成を避けるために、反応を反復した。アセトンの添加によって、一部をクエンチし、これは、容易に撹拌される懸濁液/エマルジョンをもたらし、濃厚化の兆候はなかった。次いで、クエン酸処理を実施して、ろ過可能な混合物を得た。このクエンチは、反応の残部に対して首尾よく実施され、後処理されて、良好な収率で粗生成物を得た(71%アッセイ、82%補正された収率、HPLCによれば98.0%)。
【0341】
クエンチ後に、反応混合物は、一般にpH8/9であることが見出された。後処理最適化過程の一部として、異なるpHを調べた。後処理のために反応物を分割し、半分は(クエンチ後にpH11/12を得るために)わずかに低下したクエン酸添加量を受け、残りの半分は、さらなるクエン酸の添加によってpH7にした。pH11反応を後処理して、85%NMRアッセイ(73%収率)の材料を得、pH7反応は60%NMRアッセイ(62%収率)を与えた。クエンチ後に正しいpHを得ることが、70%超の収率を与えるために決定的であることがこの結果から明瞭であった。クエン酸添加量をほんのわずか低下させることによって(なお、およそ2容量の20%クエン酸)、収率のおよそ8%の増加が得られた。この情報を入手して、混合物が強塩基性を保つことを確実にするために、クエンチの間、将来の反応のpHをモニターした。
精製の開発
【0342】
加熱サイクルを60℃にして、10容量の溶媒中にスラリー化された粗サイロシン生成物の100mg部分を用いて、精製スクリーニングを実施した。週末にわたって、スラリーを室温に冷却し、次いで、ろ過によって一切の固体を収集した。酸/塩基後処理を実施することを目的として、酸及び塩基に対する安定性も試験した。スクリーニングの結果が、下表16に記されている。
【0343】
【0344】
3つの強調される不純物の第一は、LiAlH4添加が完了したときに、およそ70%において観察される最も安定な反応中間体(生成物への転化のために還流を必要とする)に一致した。第三の不純物は投入物中には存在せず、スラリー化手順の間に生成されるようであった。スラリーとして残存した溶媒のうち、iPrOAcが最高の純度を与えた。いくつかの再結晶が見出されたが、MeCNが結晶化の間に不純物を除去する可能性を有し、開発の間に改善できる可能性を有する回収率を有していた。いくらかの分解が酸及び塩基の両方で観察され、KOH試料は急速に黒変した。
【0345】
2つの最も有望な溶媒(MeCN及びiPrOAc)を用いて、粗ステージ3材料の精製の規模を拡大した。回収率を改善するために、溶媒容量を最小限まで低下させた。これらの試行の結果は、下表17に記されている。
【0346】
【0347】
5容量のMeCNから再結晶が得られ、3容量のiPrOAc中で熱スラリー化が達成
された(いずれも75℃で)。低下した容量にかかわらず、MeCNからの回収率は同じく不良であったが、生成物は極めて高純度であった(NMRによれば>>95%)。iPrOAcからの回収率はより良好であり、NMRによって分析すると、生成物純度が大きく増加していた(およそ95%)。
【0348】
iPrOAcスラリーからの材料のHPLC及びNMR純度は高かったが、低いアッセイ値(NMRアッセイによって85%)が観察された。材料のアッセイ値を改善するために、及び色(これまでに得られた全ての材料は、強く紫、緑又は茶色であった)を除去するために、シリカパッドによる精製を調べた。
【0349】
粗サイロシン(71%アッセイ、HPLCによれば98.0%)を4当量のシリカに通して、THFで溶出した。わずかに改善されたHPLC純度(98.4%)及びアッセイ値(およそ82%アッセイ)を有する、80%回収率の灰白色の固体が得られた。これは、生成物のアッセイ値を増加させる有効な手段であることが判明し、したがって、反応後処理の一部として含められた。
【0350】
次いで、化学的純度(投入純度98.4%)を維持しながら、回収率を試み、改善するために、シリカ処理された投入物(100mg/スラリー)を用いて、一連のiPrOAc/逆溶媒スラリー(表18)を実施した。
【0351】
【0352】
全ての純度値は同等であったので、得られた最高の回収率に基づいて、規模拡大のために2つの溶媒系を選択した。回収率をよりよく評価するために、2つの好ましいスラリー(逆溶媒として、TBME及びトルエン)の規模を拡大した(スラリー当たり1.0g)。
【0353】
【0354】
およそ80%の回収率で99%超のHPLC純度の材料を与え、シリカパッドと組み合
わされたこれらの選択肢はいずれも、サイロシン生成物に対する有効な精製の手段を提供するように見受けられる。スラリー化の間に、さらなる色が液体中に移動し、白色固体としてサイロシンが得られた。全ての不純物は、0.5%未満に効果的に除去された。無毒なICHクラス3溶媒を使用したので、規模拡大のために、iPrOAc:TBMEスラリーを選択した。
規模拡大
【0355】
開発されたステージ3条件の規模が拡大され、反応が進行して、還流しながら一晩後に、HPLCによれば2.9%の反応中間体が存在する94.4%生成物の完了が得られた(この過程で典型的)。シリカパッド後に、NMRアッセイによれば83%純度、66%活性物質収率、HPLCによれば97.0%でサイロシンが得られた。この材料は、iPrOAc/TBME中でのスラリー化によってさらに精製されて、62%の収率で、NMRアッセイによれば100%、HPLCによれば99.7%の材料が得られた。
【0356】
この反応から得られる粗収率が予想より低かったので(66%対およそ75%)、さらなる材料を試み、回収するために、ろ過ケーキとシリカパッドを再び試験した。しかしながら、これは成功しなかった。
【0357】
予想より低い収率は、後処理中の生成物の分解によるものであったかもしれないが、事前のストレス試験は、使用された条件下でこの材料が安定であることを示した。さらにこれを調べるために、反応が反復された。後処理の間に生成物の分解が起こらなかったことを確認するために、シリカパッドの前に粗生成物を単離し、さらなるストレス試験試料を採取した。
【0358】
反応は予想通りに進行して、完了し(93.7%生成物、2.9%中間体)、濃縮されて、粗材料を与えた(77%NMRアッセイ、66%活性物質収率)。THF/MeOH中にろ過ケーキを再度スラリー化したが、著しいサイロシンは単離されなかった。アルミニウム塩に配位された一切の生成物を試み、置き換えるために、さらなるクエン酸を添加して、(pH8から)pHを4にし、ケーキをTHF中に再度スラリー化したが、再度、著しいサイロシンは単離されなかった。反応から物質収支は得られず、66%の活性物質収率は以前に得られたものとよく合致していた。シリカパッド及びiPrOAc/TBME中でのスラリー化によって、このバッチを精製して、62%収率の高純度材料を得た(HPLCによれば99.8%)。
【0359】
使用された溶媒容量は相対的に大きく、アルミニウム及びリチウム種の除去のためにシリカパッドが必要とされるにも関わらず、この過程は、必要とされる規模になお極めて適していた。
【0360】
ステージ3反応は、処理のためにさらに大規模化された。反応は予想通りに進行して、18時間後に完了した(およそ91%生成物、およそ3%反応中間体が残存)。シリカパッド及びスラリー化による後処理は、57%収率の高純度サイロシンを与えた(HPLCによれば99%超、99%NMRアッセイ、0.35%w/w水 カールフィッシャー)。
【0361】
実験
【0362】
ステージ2(1当量制限試薬)、続いてTHF(ステージ2添加量に関して5容量)を容器に加えた。混合物を0℃に冷却し、温度を0~20℃に維持しながら、30~45分にわたって、LiAlH4(3当量)の1M THF溶液を滴下により添加した。添加後に、30分間、10~20℃で反応物を撹拌し、次いで、加熱還流させ、およそ16時間
撹拌した。反応物の試料を採取し、完了について分析し、0℃まで冷却し、0~30℃のアセトン(9.3当量)、続いて0~30℃の20%クエン酸水溶液(ステージ2添加量に関して1.9容量)を滴下により添加することによってクエンチした。pH>11に保たれることを確実にするために添加のpHをモニターし、必要であれば、添加を早期に停止した。得られた懸濁液を1時間撹拌し、ろ過し、Li及びAl塩を除去するためにTHF(ステージ2添加量に関して2容量)で洗浄した。およそ1時間、THF(ステージ2添加量に関して12.5容量)中にろ過ケーキをスラリー化し、ろ過し、THF(ステージ2添加量に関して5容量)で洗浄して、Li及びAl塩から生成物を回収した。併せた有機物をMgSO4で乾燥させ、ろ過した。およそ10容量が残存するまで(ステージ2添加量に関して)、真空中でろ液を蒸発させ、シリカパッド(ステージ2添加量に関して3当量)にこの溶液を適用した。THFでシリカパッドを溶出し、生成物画分を合わせ、乾燥状態になるまで真空中で蒸発させた。2~18時間、粗製のステージ3(サイロシン)を1:1のiPrOAc:TBME(工程18の塊に関して5容量)中にスラリー化し、ろ過し、TBME(工程18の塊に関して2.5容量)で洗浄し、40℃、真空中で乾燥させて純粋なサイロシンを単離した。
【0363】
JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
i)第一に、出願人は、溶媒としてTHFを使用するが、アセトンを用いて到達(reaching)をクエンチした。これは、濃厚化なしに懸濁液/エマルジョンをもたらす。
ii)第二に、出願人は、塩基性pH、典型的には約11を維持しながら、クエン酸でクエンチした。pH調整によって、高収率が得られることが確実にされた。
iii)第三に、残存するLi/Al塩を除去するためのシリカパッドによる精製後における、THFでの溶出、iPrOAc:TBMEでのスラリー化は、次いで乾燥された高度に精製された生成物を与える。
[実施例5]
ステージ4
【0364】
2.58gの試料を処理するために、最初に、文献条件を使用して、HPLCによって分析したときに、中間体4Aへのおよそ88%転化を得た。アミノプロピルシリカの添加及びCeliteを通したろ過によって、生成物を精製した。得られた緑の油状物(5.5g)をDCM中にスラリー化すると、ベンジル転移及び双性イオン性のステージ4(4.1g、70%収率、NMRによればおよそ95%)の沈殿が得られた。
工程i
【0365】
このステージでの最初の開発は、より取り扱いやすく、理想的には、合成中にさらなるリチウムを導入しないnBuLiの代替物を見出すことに焦点を当てた。以下の塩基:LitBuO、KtBuO、NaH、NaHMDS及びNaNH2を含む別の条件の初期スクリーニングを行った。反応の全てが生成物を与え、NaHMDSはnBuLiと同じように良好に機能した。反応物の全てが、極めて濃厚となり、ゲル化が観察され、効率的な撹拌のために、オーバーヘッド撹拌が推奨された。
【0366】
最初のスクリーニングは、NaHMDSがnBuLiの適切な代替物であることを示唆した(生成物/中間体4Aへ81%転化)。これらの条件は、nBuLiを用いた参照反応と並行して、1.5gまで規模拡大された。両事例で、オーバーヘッド撹拌を使用した。
【0367】
【表20】
表中で使用された略号:St 3=ステージ3、Int 4A=中間体4A、St 4=ステージ4
【0368】
両事例で得られた反応プロファイルは、ステージ3を消費するNaHMDS反応と極めて類似していた。両反応物は、白色の沈殿を除去するためにCeliteでろ過され、濃縮された。NMRによれば、(nBuLiを用いた例で特に)過剰なベンジルプロトンが両事例に存在し、単離された収率は100%より大きかった。NaHMDS条件は、好ましい反応プロファイルを与え、成功したことが判明し、さらなる規模拡大のために選択された。しかしながら、後処理及び精製の開発が必要であった。
工程ii
【0369】
HPLCデータは、NaHMDSを用いた上記試行から単離された材料及びnBuLiが転位して、濃縮すると、双性イオン性ステージ4を与えることを示した。ベンジルリン酸副生成物及びその他の不純物をこの材料から除去する精製が、多数の溶媒中でのスラリー化によって試みられた。
【0370】
【表21】
表中で使用された略号:St 4=ステージ4
【0371】
*ろ過不良
【0372】
いくつかの溶媒から白色の固体が得られたが、DCM及びTBMEから得られた固体は、週末に保存したときに、薄い紫色のガム状物質に変化した。IPA及びアセトンから得られた白色の固体は、保存時に自由流動する白色の固体のままであり、これらの固体の安定性はより高い可能性があること、及びより容易な取り扱いを可能にすることを示唆している。
【0373】
IPA及びアセトン中のスラリーを1gに規模拡大した。しかしながら、溶媒を添加すると直ちに、ガム状化が認められた。激しい撹拌によって、ガム状物質がゆっくり分散され、最終的に結晶化の兆候を示し、一晩の撹拌後に白色スラリーを形成した。しかしなが
ら、この過程は規模拡大に適していなかった。固体は、IPAを用いて良好な収率で単離され、最高の純度を与えた。
【0374】
THFは反応溶媒でもあるという利点があったので、THFも調べた。しかしながら、これを試すと、再び、当初のガム形成が観察された(およそ80%収率、HPLCによればおよそ92%で単離された)。ガム状物質形成を試み、回避し、より制御された結晶化を与えるために、まず、低容量のDMSO(2容量)中に粗ステージ4を可溶化した。次いで、THFをこれ(10容量)に添加し、溶液を週末にわたって撹拌した。これは、生成物の沈殿をゆっくり与え、この沈殿はろ過によって収集され、THFで洗浄されて、96%HPLC純度(NMRによれば95%超)でステージ4(86%収率)を与えた。
【0375】
THF結晶化は成功し、40℃での反応液(THF/EtOAc)の濃縮に際して、双性イオン性ステージ4への完全な転化が起こることが以前に認められたので、溶媒の変更を回避することができ、生成物は、40℃で反応混合物を撹拌することによって直接結晶化され得ることが期待された。
【0376】
両反応を用いて、2つの4gのNaHMDS反応が実施され、中間体4Aへのおよそ80%の転化で完了に達した。一方の反応物はEtOAc、他方はTHFで希釈され、ホスフェート副生成物を除去するために、いずれもろ過された。ホスフェート不純物レベルをさらに低下させるために、ブライン洗浄を実施し、有機物を乾燥し、10容量まで濃縮した。40℃で一晩、これらの溶液を撹拌して、ステージ4への転化及び沈殿をもたらした(およそ1%ステージ3、およそ0.2%中間体4A、およそ82%ステージ4)。ろ過によって固体を集めると、EtOAc/THFから8.03g(88%収率)、THFから5.65g(62%収率)が得られた。EtOAc/THFから得られた茶色/灰色の固体は、THFから得られた白色固体(HPLCによれば97%、88%アッセイ)と比較すると、より純度が低かった(HPLCによればおよそ90%、78%アッセイ)。THF反応からの水層の分析は、生成物が存在することを示し、最終のTHFろ液にさらなる喪失が生じた。
【0377】
THFから得られたより高い純度に起因して、回収率を最適化するためにこの溶媒をさらに調べた。水層への生成物の喪失に起因して、塩水洗浄は省略し、最終的なろ過工程の間での喪失を最小限に抑えるために、反応後に反応混合物をさらに濃縮した。反応混合物の一部を8容量及び6容量に濃縮して、この新しい手法を75g規模で試した。ろ過すると、2つの部分間で収率に差は認められず、140.4gの総収率であった(NMRアッセイによれば90%、74%活性物質収率、HPLCによれば90%)。
不純物の追跡
【0378】
単離された生成物中に3つの主な不純物が観察され、これらの種の2つの正体がMSデータに基づいて提唱された。
【0379】
脱ベンジル化された不純物(HPLCによれば、典型的にはおよそ2~5%)は、以下の水素付加の間にシロシビンを与えることが示され、したがって、より高いレベルで許容され得る。単離されたステージ4中の主な観察された不純物(HPLCによれば、典型的にはおよそ5~8%)は、無水物不純物であった。これは、その後の水素付加を通じて追跡され、脱ベンジル化から生じる極めて可溶性のピロホスホレート不純物として、水からの再結晶によって容易に除去されることが示された。他の主要な観察された不純物(LCMSによって観察されたm/z295.2)は、反応温度を制約することによって(-50℃未満)、2%未満に制御されることが見出され、水素付加後にはシロシビン中に観察されなかった。
【0380】
上で産生された140gバッチの不純物プロファイルは、90.0%のステージ4、6.4%の無水物不純物、0.2%のN-脱ベンジル化された不純物及び1.2%のm/z295.2不純物を示した。
GMP合成
【0381】
確立された手法を用いて、第一の大規模ステージ3バッチ(544g投入)を完了して、213.5gを得た(53%収率、HPLCにより99%)。第二のバッチ(628.2g投入)も首尾よく処理されて、295.2gを与えた(66%収率、HPLCによれば99%)。
【0382】
このステージでの収率のいくらかの変動が、3つの大規模バッチにわたって認められた(57%、53%及び66%)。これは、おそらく、後処理及びクエンチ手法の軽微な差の結果である。
【0383】
実験
【0384】
容器にステージ3、続いてTHF(ステージ3添加量に関して15容量)を加え、ドライアイス/アセトン浴を用いて、-50℃以下に冷却した。-45℃以下、目標-50℃未満の温度を維持しながら、THF中の1M NaHMDS溶液(1.13当量)を加えた。-60~-50℃で、反応物を30分間撹拌した。反応温度を-30℃未満に維持しながら、テトラベンジルピロホスフェート(2.26当量)を一度に、続いてさらなるTHF(20容量)を反応物に加えた。0℃まで、1.5~2時間にわたって反応物を加温し、完了の確認のために試料を採取した。THF(8容量)で洗浄しながら、ホスフェート塩を除去するために反応物をろ過した。6~8容量が残存するまで、ろ液を濃縮し、40℃で一晩撹拌して、中間体4Aをステージ4生成物へ転化した。完了の確認のために反応物の試料を採取し、次いでろ過し、THF(2容量)で固体を洗浄した。真空オーブン中において、40℃で、ステージ4生成物を乾燥させた。
【0385】
JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
工程i
i)第一に、脱プロトン化を補助するために、ヘキサメチルジシラザンナトリウムを導入した。これは、より取り扱いやすく、反応中にさらなるリチウムを導入せず、ブチルリチウムに対する有効な代替物であることが判明した。
ii)第二に、反応物をTHFで希釈することによって、はるかに高純度の中間体4Aが得られた。
iii)第三に、反応温度を-50℃未満に制御することによって、LCMSによって観察された望ましくないmz295.2は、2%未満のレベルに制御された。
工程ii
iv)第四に、ステージ4A不純物、特にN-脱ベンジル化されたステージ4(表7)及び無水物ステージ4(表7)のレベルをモニタリングすることによって、純粋な生成物を再現可能に生産することができる。
v)中間体ステージ4Aのステージ4への転化は、反応溶媒中で実行することができ、時間がかかる溶媒交換の必要性が回避される。
vi)最後に、得られた固体はTHFで洗浄され、オーブン乾燥されてステージ4を得る。
[実施例6]
ステージ5
【0386】
このステージの開発中に触媒中毒が認められ、不完全な水素付加を抑制するために必要とされる場合には、過程中に活性炭処理(charcolation)工程を含めること
ができる。しかしながら、活性炭処理が型どおりに必要とされるわけではない。
【0387】
水素を3時間散布した後、典型的な反応は高レベルの完了を示した(90%超の生成物、3~5%の出発材料が残存)。溶解性を補助するために少量の水が添加され、さらに1時間水素を散布した後、ステージ4の消費が達成された。
【0388】
成功した反応が、ろ過、続いてメタノールを除去するための蒸発によって後処理され、水中の濃厚な懸濁液として生成物が残存した。エタノールを添加し、固体をろ過して、69%収率でシロシビンを得た。1H NMRは、生成物の同一性を確認したが、微量の関連不純物が存在することを示した。LCMS分析は、95.2%の純度を示し、主要な不純物(4.1%)がピロリン酸不純物として同定された。(表7)ステージ4での無水物不純物に由来。この不純物は、最終生成物の再結晶(ステージ6)の間に効果的にパージされることが後に示された。
【0389】
HPLCによれば88.0%純粋であり、7.3%のN-脱ベンジル化ステージ4(生成物に転化された)を含有し、無水物不純物を含まない最終THF後処理から得られるステージ4材料を用いて、次いで、さらなる反応を実施した。再度、完了が認められ、前述のように反応を後処理して、46%収率でシロシビンを得た。低収率は、触媒ろ過工程中の生成物の沈殿に起因するものと考えられた。1H NMRは、生成物の同一性を確認し、HPLCは98.9%の純度を示した。
【0390】
使用される水容量を最適化し、ろ過工程中の生成物喪失を最小限に抑えるために、反応条件のさらなる開発を実施した。反応後、40℃に加熱しながら、10容量の水の添加によって溶液が得られた。これにより、フィルター上での生成物喪失を生じることなく、ろ過によって触媒を除去することが可能になった。
【0391】
反応及び後処理中に、加水分解によっていくらかのステージ3が生成され、およそ1~2.5%のレベルが本過程の典型であるように見受けられた。生成物の最終再結晶の間に、ステージ3レベルの低下が実証された。
規模拡大
【0392】
大規模ステージ4バッチ(非GMP)を単一バッチ(148gの活性物質の投入物)として処理した。88%生成物及び加水分解に起因する0.9%ステージ3とともに、ステージ4の消費が達成された。無水物不純物(6.4%)は、対応するピロリン酸不純物(5.2%)に完全に転化された。
【0393】
大規模水素付加体がろ過及び濃縮されて、水含量を低下させるためにエタノールから揮散後に109gの粗生成物を得た(NMRアッセイによればおよそ71%、86%収率)。
実験
【0394】
10%Pd/C(およそ50%水湿潤、タイプ87L、0.1×ステージ4添加量)をN2下で、続いて、メタノール(ステージ4に関して20容量)及びステージ4を容器に加えた。N2をH2で置き換え、H2(大気圧)下で、1~2時間、反応物を撹拌した。完了の確認のために反応物の試料を採取し、次いで、25℃未満の温度を維持しながら、水を添加した(ステージ4に関して10容量)。さらに1~2時間、H2下(大気圧)で、混合物を撹拌した。反応物の試料を採取し、完了に関して確認した。
【0395】
反応が不完全であった場合には、H2を再度加え、完了が観察されるまで、さらに1~12時間、反応を継続した。次いで、反応物をN2下に置き、40℃まで加温し、15~
45分間維持した。触媒を除去するためにセライトを通して反応物をろ過し、メタノール(ステージ4添加量に関して13.3容量)及び水(ステージ4添加量に関して6.7容量)で洗浄した。ろ液を真空中で濃縮し、固体が得られるまで水を除去するためにエタノールと共沸させた。JNPからの差及び利点は、以下のように要約することができる:
【0396】
主に、反応は、相対保持時間(RRT)を用いて、HPLCによって、中間物のレベルに関してモニターされ、中間体が0.2%未満で存在することで完了が制御される。最終的な再結晶で制御できることを確認するために、ステージ5ピロリン酸不純物も注意深くモニターする。
【0397】
最後のステージ6過程は、実施例1に記載されているとおりである。
[実施例7]
試験方法論及びプロトコール
【0398】
純度などを試験するために、以下の方法論/プロトコールを利用した。
7.1 NMR
【0399】
400MHz分光計を用いて、D2O中のシロシビンの1H及び13C NMRスペクトルが得られた。化学シフトは、1H NMRでは、D2O(□=4.75ppm)に対するppmで、13C NMRスペクトルでは、参照として添加されたMeOH(□=49.5ppm)に対するppmで報告されている。シロシビンに対する文献値がJNPに報告されている。NMRによるシロシビンの分析は、構造と合致し、文献中に報告されているものと合致し、イオン化可能な基の近くにあるプロトンに対する化学シフトのわずかな変動のみを有するデータを与えたが、化合物の双性イオン的性質がこの材料をpHの小さな変化に対して極めて敏感にするので、この変動は予測される。
【0400】
1H NMR及び
13C NMRデータは以下に要約されており、スペクトルは
図10及び
図11に示されている。
【0401】
1H NMRデータ(400MHz, D2O): 2.79 (s, 3H), 3.18 (t, J=7.4Hz, 2H), 3.31 (t, J=7.4Hz, 2H), 6.97 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.10 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.19 (d, 8.2Hz, 1H).
【0402】
13C NMRデータ(400MHz,D2O(+微量のMeOH):22.3(1 x CH2)、43.4(2 x CH3)、59.6(1 x xCH2)、108.4(1 x CH)、108.6(1 x C)、109.5(1 x CH)、119.1(d,3JP-H=6.7Hz,1 x C)、123.3(1 x CH2)、124.8(1 x CH)、139.3(1 x C)、146.3(d,2JP-H=6.7Hz,1 x C)
7.2 FT-IR
【0403】
UATR Twoアクセサリを備えたPerkin Elmer Spectrum Two(商標)Spectrometerでデータを収集した。FT-IR分光法によるシロシビン(バッチ:AR755)の分析は、提唱された構造と合致するスペクトル(
図12)を与えた。3244cm
-1の幅広いピークは、アミン塩に典型的である。ピークの残りはフィンガープリント領域中にあり、したがって、個別に帰属させることはできない。
7.3.質量分析
【0404】
シロシビン(AR755)の質量スペクトルは、Bruker Esquire 3000 plus Ion Trap Mass Spectrometerで得られ、構造と合致していた。質量スペクトル(
図13)は、シロシビンの(M+H)
+及び(2M
+H)
+に対応する主ピークをm/z=284.8及び568.1に示した。これは、この分子イオンが、シロシビンの分子式(C
12H
17N
2O
4P)に対応するm/z284を有することを示唆した(
図14)。
7.4 強熱残分
【0405】
強熱残分法は、1つの調整を行って薬局方の方法にしたがう。るつぼが500℃に加熱されたときに、一貫しない結果が得られた。これは、生成されるホスフェート残基の低い揮発性によるものであると考えられる。したがって、シロシビンに対しては、温度は800℃に増加され、一貫した正確な結果が得られた。
7.5 HPLC-アッセイ及び純度測定
【0406】
シロシビンのアッセイ、化学的純度及び不純物を定量するために使用されたHPLC法はグラジエントHPLC-UV法であり、条件は表22に要約されている。定量のために、外部標準が使用される。およそ1mg/mLのシロシビンを精製水:MeOH(95:5)中に溶解した。完全に溶解するために超音波処理する。
【0407】
HPLCによる純度は、面積%に基づいて計算され、既知の保持時間標準に対して相関付けられる。
【0408】
HPLCによるアッセイは、既知の純度及び組成の標準に対する重量%に基づいて、無水物ベースで計算される。
【0409】
【0410】
残存溶媒を定量するためのHRGC法はヘッドスペース法であり、下表23に記載されている。
【0411】
【0412】
以下の溶媒及び試薬のレベルが測定される:メタノール、エタノール、THF及びトルエン。
7.7 DSCによる融点
【0413】
DSCデータは、PerkinElmer Pyris 6000 DSC(又は類似のもの)で収集された。認証されたインジウムを用いて、エネルギー及び温度較正のために装置を検証した。ピンホールを開けたアルミニウムサンプルパン中に、試料を秤量した(典型的には、0.5~3.0mg)。アルミニウムパンカバーを用いて、パンを圧着した。20mL/分で乾燥窒素をパージしながら、20℃/分で、30~300℃までパンを加熱した。融点手法の間に、シロシビン多形A又はA’の各バッチは、2つの吸熱事象後者を示した。吸熱事象の第一は、多形A又はA’の多形Bへの固体-固体遷移に起因し、吸熱事象の第二は多形Bの融解に起因した。
7.8 XRPDによる多形
【0414】
シロシビンの固体状態形態は、XRPDによって決定される。XRPDディフラクトグラムは、Cu Kα放射線(45kV、40mA)、θ-θ角度計、集束ミラー、発散スリット(1/2インチ)、入射及び発散ビームの両方にソーラースリット(4mm)を用いて、周囲条件下で、回折計(PANalytical X’Pert PRO又は同等物など)で収集した。データ収集範囲は、0.2°s
-1の連続スキャン速度で、3~35°2θであった。得られたディフラクトグラムは、一致していることを確実にするために、多形A又はA’の参照ディフラクトグラムのものと比較される(それぞれ、
図7a又は7b)。
7.9 熱重量分析(TGA)
【0415】
TGAデータは、PerkinElmer Pyris 1 TGA(又は類似のもの)で収集された。機器は、認証された分銅並びに認証されたAlumel及びPerkalloyを用いて、温度に関して較正された。アルミニウムるつぼ中に、所定量の試料(典型的には、およそ5mg)を載せて、20℃/分で、周囲温度から400℃まで加熱した。20mL/分での窒素パージを試料に対して維持した。
7.10 乾燥時減量
【0416】
正確に秤量された1g分量を用いて、一定重量まで70℃で真空下で乾燥して、試料の乾燥時減量を2つ組で測定する。
【0417】
計算:
【数1】
式中:
W
INITIAL = 乾燥前の皿及び試料の当初重量(g)
W
FINAL = 皿及び乾燥された試料の最終重量(g)
W
SAMPLE = 試料の重量(g)
[実施例8]
強制分解試験
【0418】
分析法選択性を評価するための試料を提供するために、溶液中及び固体状態で、シロシビン薬物物質に様々な条件下でストレスを与えた。
【0419】
ICH Q1A(R2)の要件に基づいて、シロシビンに対して強制分解試験を実施した。ストレス条件下での試験は、シロシビンの起こり得る分解経路及び固有の安定性に関する情報を与えた。使用された最適化された分析法は、シロシビンへの特異性を実証した。この分析法は、適切であることが示され、この方法を用いて、生成物の同一性、純度及び効力に対する変化を検出することができる。使用されたこの方法は、特異性に関してICH Q2(R1)(分析手法の検証)に合致し、生じ得る不純物及び分解生成物からの妨害がないことも示された。したがって、HPLC法は、シロシビンの純度及び関連する不純物を測定するのに適切であると考えられる。
【0420】
シロシビンの対照試料は、研究期間(非光安定性試料に対しては、研究期間は7日であった)にわたって、溶液中で安定であった。溶液中で加熱されると、シロシビンはゆっくり分解し、主な不純物としてサイロシンを生成した。シロシビンは、室温で、酸条件下においても安定であった。しかしながら、60℃では、遅い着実な分解が観察され、主な不純物としてサイロシンを生成した。シロシビンは、塩基の存在下では、室温でわずかに不安定であり、研究期間にわたって、多様な不純物へゆっくり分解した。過酸化物条件下では、極めて低レベルの不純物のみが形成され、全体の純度はおよそ0.5%低下した。固体状態では、遅い化学的分解が認められ(150℃で3日)、不純物として主にサイロシン(ステージ3)を生成した。シロシビンは、固体として及び溶液中にあるときの両方で、光安定性条件下において安定であった。
安定性試験
【0421】
表24に示されているように、2つのバッチのシロシビンを用いて、安定性研究に着手した。
【0422】
【0423】
試料は、食品等級のポリエチレン(polythene)袋中に二重に袋詰めされ、外側ポリエチレン容器中に密封され、2~8℃、25℃/60%RH及び45℃/75%RHで保存され、水分の取り込みを防ぐために、内側ポリエチレン袋の間には乾燥剤の袋が含められる。外観、水含量、純度及びアッセイの試験を実施した。
【0424】
2つの試験のプロトコールは、表25及び表26に示されている。
バッチGM764Bに対する1ヶ月及び3ヶ月安定性データは、下表27及び表28に詳述されている。GMPバッチ170231に対する1、3、6、9及び12ヶ月安定性データは、それぞれ、以下の表29、表30、表31、表32及び表33に与えられている。
【0425】
【0426】
【0427】
【0428】
【0429】
【0430】
【0431】
【0432】
【0433】
【0434】
ICH安定性試験の最初の12ヶ月にわたって、低温(2~8℃)、周囲(25℃/60%RH)及び加速された(40℃/75%RH)条件下で、シロシビンは化学的に安定
であることが判明した。外観には変化が存在せず、HPLC分析も一貫性を保った。当初の影響のため、次いで、試験で用いた乾燥剤の袋の劣化のために、水含量は全ての試料で変動した。
[実施例9]-水和物Aを形成するための実験
【0435】
シロシビン(200mg)、続いて、脱イオン水(4ml)を結晶化チューブに加えた。25℃で2時間、混合物を平衡化した後に、固体を真空ろ過によって単離した。材料を2つの等しい部分に分けた。XRPD及びDSC(それぞれ、
図7d及び
図8dと合致するディフラクトグラム及びサーモグラム)による水和物A、ロットGK2を与えるために、一方の部分はさらなる乾燥に供されなかった。
[実施例10]-多形Bを形成するための実験
【0436】
丸底フラスコにシロシビン多形A(250mg)を加え、油浴を用いて173℃まで加熱し、5分間、この温度に維持した。固体を周囲温度まで冷却し、単離して、93%の回収率でロットGK3を得た。XRPD及びDSCによる分析(それぞれ、
図7c及び
図8cと合致するディフラクトグラム及びサーモグラム)は、ロットGK3が多形Bであることを明らかにした。
[実施例11]-固体状態検査
【0437】
多数の多形検査を完了した。見出された固体形態の要約が、
図17に示されている。見出された形態の大半は、溶媒摂動に由来するものであった。いくつかの事例では、化学量論的溶媒和物が単離され、その他の事例では、非化学量論的溶媒和物が単離された。
多形Aのスラリー
【0438】
固体形態の修飾への主要な経路として、及び25~50℃で、多様な24の溶媒中での材料の溶解度を視覚的に評価するために、溶媒によって媒介されたシロシビンパターンAの平衡化を実施した。
【0439】
室温で、シロシビンパターンA(40mg)を管の中に加え、1.2mlの総容量(30容量)まで、表34に列記されている溶媒を0.4ml(10容量)の分割量で添加して、観察を書き留めた。混合物は、絶えず撹拌した。熱サイクルは、以下のように実施した。50℃18時間、2時間にわたって20℃まで冷却、4時間熟成、50℃まで4時間加熱、2時間にわたって20℃まで冷却、18時間熟成。24時間にわたる反復50℃-20℃サイクルを実施し、以下を適用した。
50℃への加熱後に単離、固体が十分であった場合=A系列
20℃への冷却後に単離、固体が十分であった場合=B系列
真空中において、50℃で24時間、全ての単離された固体を乾燥し、XRPDによって分析した。観察が、表34に与えられている。
【0440】
30容量、50℃で試験された溶媒及び溶媒混合物中で、APIは、大部分不溶性であり、懸濁度が高い懸濁液(heavy suspensions)が得られた。水は、50℃で、シロシビンを可溶化した。
【0441】
【0442】
結果:
【0443】
図(
図18及び
図19)では、「25C」は、25℃での固体の単離を表し、「50C」は、50℃での固体の単離を表す。例えば、GM832-20_50_A9は、50℃で単離されたGM832エントリー20(MeCN)を表す。
【0444】
50℃スラリー
【0445】
エントリー1、2、3、4、5、7、8、10、11、13、14、15、16、22、23、24:XRPDディフラクトグラムは広く多形Aと合致したが、18°2θに変動する強度の追加のピークを有する。
【0446】
エントリー6、9、12、20:単離された固体に対して得られたXRPDディフラクトグラムは、広く合致しており(
図18参照)、いくつかの試料に対しては、10°2θ及び13.2°2θに追加のピークが観察された。このXRPDディフラクトグラムは、パターンCと表記された。溶媒(CH
3NO
2、TBME、iPrOAc及びCH
3CN)間に、化学種相関は存在しない。
【0447】
エントリー17:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンDと表記された。
【0448】
エントリー18:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンEと表記された。
【0449】
エントリー19:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンFと表記された。
【0450】
25℃スラリー:
【0451】
エントリー1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、14、15、16、20、21、22:XRPDディフラクトグラムは全て、多形Aに対して得られたものと似ている。
【0452】
エントリー6、12、24:単離された固体に対して得られたXRPDディフラクトグラムは、広くパターンCと合致していた(
図18参照)。
【0453】
エントリー23:XRPD分析は、水和物Aが形成されたことを示した。
【0454】
エントリー17:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンDと表記された。
【0455】
エントリー18:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンEと表記された。
【0456】
エントリー19:得られたXRPDディフラクトグラムは、複数の回折ピークを有していた(
図19)。XRPDディフラクトグラムは、パターンFと表記された。
【0457】
結果の分析:
【0458】
25℃で単離された固体に対するXRPDディフラクトグラムは、50℃で単離された固体に対して得られたXRPDディフラクトグラムと広く同一である。
【0459】
パターンD、E及びFは、アルコール(MeOH、EtOH及びIPA)に由来した。開発の間に、エタノール溶媒和物が以前に単離されたことを考慮して、溶媒和された状態が想定された。エタノール溶媒和物に対するXRPDディフラクトグラムは同一でないが、正確な溶媒レベルの変動が格子内における変動する秩序状態をもたらし得ることに鑑みれば、これらのXRPDディフラクトグラム間での比較は、これらのより顕著な相変動が溶媒同伴によって引き起こされるという強力な仮説を与える。
【0460】
XRPDパターンD、E及びF(
図19)は全て、水和物に対するXRPDディフラクトグラム(
図7d)と類似していない。
【0461】
MeOH、EtOH及びIPAに由来した2つの温度で単離された固体(パターンD、E及びF-
図19)に対して得られたXRPDディフラクトグラムの直接的な比較は、一致するディフラクトグラムを示す。2つのMeOHディフラクトグラムは類似しているのに対して、EtOH及びIPAは直接比較可能である。
【0462】
単離された固体に対して、DSC分析を行い、十分な試料が入手可能な場合にはTGA
も行った。パターンD、E及びFをもたらした固体は全て、およそ170~180℃での吸熱を特徴として備えているが、その他は明瞭な熱的プロファイルを呈した。MeOHスラリーから単離された固体に対するTGA分析は、およそ25~190℃までに1つの長い質量喪失を示した(3.1%)。化学量論的メタノール溶媒和物は、10.3%重量の溶媒を必要とするであろう。EtOHスラリーから単離された固体のTGA分析は、2つの明瞭な質量喪失段階を示した。100℃より前に起こった第一の質量喪失(0.3%重量)は、水によるものであり、第二のより大きな喪失(11.5%重量)は溶媒によるものであると考えられる。化学量論的エタノール溶媒和物は、13.9%重量の溶媒を必要とする。IPAスラリーから単離された固体のTGA分析は、2つの明瞭な質量喪失段階を特徴として備えていた。100℃より前の第一の質量喪失(0.4%重量)は水によるものと考えられ、第二のより大きな質量喪失(13.9%重量)は残存溶媒によるものであると考えられる。化学量論的IPA溶媒和は、17.5%重量の溶媒を必要とする。
【0463】
非晶質シロシビンのスラリー
【0464】
非晶質材料を生成するために、シロシビンの少量試料(0.5g)を水(0.5L、1000容量)の中に溶解し、仕上げろ過し、凍結乾燥した。シロシビンは、灰白色の繊維状材料(ロットMC1368A;412mg、82%、XRPD非晶質)として回収された。
【0465】
非晶質APIの溶解性を視覚的に評価するために、及び形態の修飾を誘導するために、一連のスラリー熟成を以下のように行った。
シロシビン(15mg)を管に加えた。次いで、周囲温度で溶媒を添加し(20℃、0.3ml、20容量)、懸濁液を撹拌した。観察を行った。1時間の撹拌後、試料を45℃に18時間加熱し、観察を行った。試料を50℃に8時間加熱し、観察を行った。試料を25℃で72時間撹拌し、単離前に、最終の熱サイクルに供した。観察が、表35に示されている。
【表35】
【0466】
結果
【0467】
大半の溶媒は、半結晶性であると考えられる固体を戻した(主に非晶質であり、およそ18°2θに顕著な反射を有する)。
【0468】
MeCN中での平衡化からは、真正の非晶質が戻された。
【0469】
多形Bは、クロロブタン、ニトロメタン及びIPAから戻された(
図20及び22)。
【0470】
上に論述された多形Aスラリー実験においてMeOHから単離されたパターンDは、EtOH平衡化から戻されたのに対して、本研究におけるMeOHは半結晶性固体を戻した。
【0471】
パターンAに類似する固体は、水、THF:水及びIPA:水(4:1)から回収された。
【0472】
パターンDに類似する固体は、EtOH:水(4:1)から回収され、EtOH単独からのパターンDの単離という知見を裏付けた。
【0473】
パターンEに類似する固体は、クロロホルムから回収された。
【0474】
調査した溶媒からは、非晶質シロシビンの長期平衡化及び熱的熟成後に、真の多形A又はA’は単離されなかった。
[実施例12]-調合物の開発。
【0475】
下表36に記載されているような調合を用いて、最初の一連の実験を実施した。目的は、大規模調合のための適切な単一増量剤又は組み合わせ増量剤を同定することであった。
【表36】
【0476】
主要な生理化学的特性-物質の流動性、混和均一性及び含量均一性の観点での結果が、下表37に記載されている。
【表37】
【0477】
バッチ(APL-117-6085-03)は、分析された異なる試料にわたって優れた混和均一性(最高、中間及び最低)並びに極めて優れた含量均一性を示したが、その流動性特性(カーの指数に基づく)は上限に近づき、調合物はより高い薬物搭載量(drug loads)を収容しないと予測された。
【0478】
この理由のために、多数の代替的調合物が試された。目的は、粉末流動性を改善すること並びに優れた混和均一性及び含量均一性を達成することを目的として、他の増量剤の組み合わせを検討することであった。
【0479】
バッチ3(APL-117-6085-03)と比較して少ないCompactcel
MABを含有し、より大量の流動促進剤を含有する調合物も試した。
【0480】
これらのさらなる調合物は、下表38に記載されている。
【表38】
【0481】
これらのバッチに対する結果は、下表39に示されている。
【表39】
【0482】
APL-117-6085-05は優れた混和均一性を達成することができず、含量均一性基準も充足できなかった。
【0483】
APL-117-6085-06及びAPL-117-6085-07はいずれも、改善された粉末流動性を示したが、両調合物に対する混和均一性はAPL-117-6085-03より劣っていた。
【0484】
その結果、出願人は改変された添加剤、より具体的には、異なる粒径を有する珪化され
た増量剤に注目した。これらの調合物は、下表40に記載されている。
【表40】
【0485】
Prosolvは珪化された微結晶セルロースであり、粒径が結果に影響を及ぼすかどうかを決定するために2つの変異形を選択した。標準的な微結晶セルロース(典型的なサイズ範囲は、ふるい分けに応じて、80~350ミクロンである)と比較して、Prosolvはより微細な粒径分布を有し、増加した表面積を与える。増大した表面積は、調合物中の改善された含量均一性及び安定性とともに、優れた流動性及び増加した圧密(compaction)を与え得ると仮定された。Prosolv50及びProsolv90の比率は、より微細な粒子とより粗い粒子の両方にわたる粒径分布を生成するためのものであった。
【0486】
これらの結果は、下表41に記載されている。
【表41】
【0487】
混和均一性の一貫性(誤差を考慮して95%超)と同様に、含量均一性の主要なパラメータ(90%超、実際には94%超)及びAV(10未満、実際には7未満)が優れていることを認めることができる。
【0488】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンであって、
a.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク[19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる];
c.
図7a若しくは7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8a若しくは
図8bに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象
の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項2)
210~215℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象によってさらに特徴付けられる、上記項1に記載の、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。(項3)
a.11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク[19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる];
c.
図7aに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8aに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象
の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる、上記項1又は2に記載の、多形Aの形態の結晶性シロシビン。
(項4)
17.5°2θ±0.1°2θにおけるピークが、14.5°2θ±0.1°2θにおけるピークと比べて、少なくとも5%の相対強度を有する、上記項3に記載の、多形Aの形態の結晶性シロシビン。
(項5)
a.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク[ただし、17.5°2θ±0.1°2θにおけるピークが非存在又は実質的に非存在である];
b.11.5、12.0及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク[ただし、17.5°2θ±0.1°2θにおけるピークが非存在又は実質的に非存在であり、19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる];
c.
図7bに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8bに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象
の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる、上記項1又は2に記載の、多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項6)
17.5°2θ±0.1°2θにおけるいずれのピークも、14.5°2θ±0.1°2θにおけるピークと比べて、5%未満の相対強度を有する、上記項5に記載の多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項7)
ii)0.5%w/w未満の水含量又は
iii)25℃などの周囲温度~200℃でのTGAサーモグラムにおける0.5%w/w未満の損失
のいずれかを有することによってさらに特徴付けられる、上記項1から6のいずれかに記載の、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項8)
HPLCによれば97%より大きい化学的純度を有し、並びに
31P NMRによって測定されるリン酸及びHPLCによって測定されるサイロシンを含めた、1%より大きい単一の不純物を有さない、先行する上記項のいずれかに記載の、多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項9)
前記結晶性シロシビンが白色ないし灰白色の固体である、先行する上記項のいずれかに記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項10)
図10~
図13のいずれか1つ又はそれより多くと合致するスペクトルを含む、先行する上記項のいずれかに記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項11)
表9の点6~13の、1又はそれを超える品質特性の受容基準を含む、先行する上記項のいずれかに記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項12)
少なくとも100gを含む、上記項1~4又は7~11に記載の結晶性シロシビン多形Aのバッチ。
(項13)
先行する上記項のいずれかに記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンを含む薬学的調合物。
(項14)
経口剤形である上記項13に記載の薬学的調合物。
(項15)
前記多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビンが0.01mg/kg~1mg/kgの用量を与える量で存在する、上記項13又は14に記載の薬学的調合物。
(項16)
1又はそれを超える添加剤を含む、上記項13~15のいずれかに記載の薬学的調合物。(項17)
前記1又はそれを超える添加剤が微結晶セルロース又はデンプンを含む、上記項16に記載の薬学的調合物。
(項18)
前記1又はそれを超える添加剤が珪化された微結晶セルロースを含む、上記項16に記載の薬学的調合物。
(項19)
医薬において使用するための、上記項1~11に記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項20)
中枢神経障害を処置することにおいて使用するための、上記項1~11に記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項21)
薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための、上記項1~11に記載の多形A又は多形A’の形態の結晶性シロシビン。
(項22)
多型Aの形態のシロシビン(12)の大規模製造のための方法であって、前記方法が、上記項1~4又は7~11のいずれかに記載の結晶性シロシビン多形Aを生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビン(12)を水結晶化工程に供することを含むことを
特徴とする、方法。
(項23)
医薬において使用するための、多形A(12A)の形態の結晶性シロシビン。
(項24)
薬物抵抗性うつ病を処置することにおいて使用するための、多形A(12A)の形態の結晶性シロシビン。
(項25)
薬物抵抗性うつ病を処置することを必要とする対象に、有効用量の多形A(12A)の形態の結晶性シロシビンを投与することを含む、薬物抵抗性うつ病を処置する方法。
(項26)
a.11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク;
b.11.5、12.0、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPDディフラクトグラム中のピーク[19.7、20.4、22.2、24.3若しくは25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークによってさらに特徴付けられる];
c.
図7aに実質的に図示されているXRPDディフラクトグラム;又は
d.
図8aに実質的に図示されている、205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象
の1つ又はそれより多くによって特徴付けられる、結晶を生産するために、制御された乾燥とともに、シロシビン(12)を水結晶化工程に供することを含むことを特徴とする、多形A(12A)の形態のシロシビン(12)の大規模製造のための方法。
(項27)
前記シロシビンが、約10~20容量の水中で再結晶され、少なくとも70℃の温度に撹拌しながら加熱され、仕上げろ過され、約70℃の温度でシードされ、2時間を超える期間にわたって約5℃に冷却される、上記項26に記載の方法。