(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069514
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F16K37/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041803
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2020211568の分割
【原出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】塚原 尚起
(72)【発明者】
【氏名】松浦 圭吾
(57)【要約】
【課題】流路内の各種情報を取得することが可能な管理システムを提供する。
【解決手段】弁箱130に形成された流路131aと前記弁箱130の外部とを連通すると共に、弁軸方向に開口するように形成される開口部131bと、前記開口部131bと連通するように接続され、前記開口部131bから前記弁軸方向に延設される筒状の連通部170と、を具備した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱に形成された流路と前記弁箱の外部とを連通すると共に、弁軸方向に開口するように形成される開口部、
前記開口部と連通するように接続され、前記開口部から前記弁軸方向に延設される筒状の連通部、
及び、前記連通部に外部機器を取り付け可能なアタッチメントを有するバルブと、
前記外部機器により取得された情報を送信可能な送信部と、
前記送信部からの情報の処理を行う処理部と、
を具備し、
前記アタッチメントは、前記アタッチメントの中空部分を閉塞可能なバルブ機構を具備する、
管理システム。
【請求項2】
前記処理部により処理された情報を表示可能な携帯型端末をさらに具備する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記連通部は、上方に設置されたバルブボックスに露出するように配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉するためのバルブを具備する管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管等の管路(流路)内の情報を取得する方法として、水質監視装置や流量計等の専用機器を流路の中途部に設置して恒久的に情報を取得する方法や、既存の消火栓等を介して各種センサを一時的に流路内に導入して情報を取得する方法がある。
【0003】
しかしながら、前者の方法では、設置費用が比較的高く、また専用の設置スペースが必要になる場合もあるため、管路網の情報を広範囲に取得することは困難である。また後者の方法では、限られた期間と場所での情報の取得は可能であるものの、管路網の情報を広範囲かつ恒久的に取得することは困難である。
【0004】
ここで、水道管等の管路には、流体の流路を開閉するバルブが適宜設けられる。例えば、一般的なバルブとしては、特許文献1に記載のようなバルブが知られている。このようなバルブは管路網において多数設置されているため、このバルブを用いて流路内の情報を取得することができれば、管路網の情報を広範囲かつ恒久的に取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、流路内の各種情報を取得することが可能な管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、弁箱に形成された流路と前記弁箱の外部とを連通すると共に、弁軸方向に開口するように形成される開口部、前記開口部と連通するように接続され、前記開口部から前記弁軸方向に延設される筒状の連通部、及び、前記連通部に外部機器を取り付け可能なアタッチメントを有するバルブと、前記外部機器により取得された情報を送信可能な送信部と、前記送信部からの情報の処理を行う処理部と、を具備し、前記アタッチメントは、前記アタッチメントの中空部分を閉塞可能なバルブ機構を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記処理部により処理された情報を表示可能な携帯型端末をさらに具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記連通部は、上方に設置されたバルブボックスに露出するように配置されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、連通部を介して流路内の各種情報を取得することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】外部機器としてファイバースコープを用いた例を示したバルブ装置の断面模式図。
【
図7】第二実施形態に係るバルブ装置の断面模式図。
【
図8】第三実施形態に係るバルブ装置の断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
【0014】
以下では、
図1及び
図2を参照して本発明の一実施形態に係るバルブ装置100を用いた管理システム1について説明する。
【0015】
管理システム1は、後述するバルブ装置100を用いて流路内の流体の管理を行うものである。より詳細には、管理システム1は、上下水道施設に設けられ、送配水施設Pから供給され、水道管P1(流路)内を流通する水の管理を行う。例えば、管理システム1は、水道管P1内の情報(例えば、水圧等)を取得して確認することができる。管理システム1は、バルブ装置100、通信部10、携帯型端末20、サーバ30及び管理者端末40を具備する。
【0016】
バルブ装置100は、水道管P1内の水の流通を制御するためのものである。またバルブ装置100は、後述するように、水道管P1内の情報を取得することができる。バルブ装置100の構成については後述する。
【0017】
通信部10は、バルブ装置100と他の機器(本実施形態では、サーバ30)との間で情報のやり取りを行うための機器である。通信部10は、例えば携帯電話回線を介してサーバ30と情報のやり取りを行うことができる。通信部10は、電源11に接続される。電源11からの電力は、通信部10を介して後述する圧力センサSへと供給することができる。
【0018】
携帯型端末20は、水道管P1に関する作業(例えば、メンテナンス作業等)を行う作業者A1が所持する端末である。携帯型端末20は、作業者A1が携帯可能な機器(例えば、スマートフォンやタブレット端末等)によって構成される。携帯型端末20は、サーバ30で処理された情報(通信部10を介して受信したバルブ装置100の情報)を閲覧することで、バルブ装置100が取得した水道管P1内の情報を得ることができる。
【0019】
サーバ30は、他の機器からの要求に応じて適宜処理を行うものである。サーバ30は、例えばクラウドサーバ(厳密には、クラウドサーバ内に仮想的に構築されたサーバ)によって構成される。サーバ30は、通信部10を介してバルブ装置100からの信号を受信することで、当該バルブ装置100が取得した水道管P1内の情報を得ることができる。また、サーバ30は、当該水道管P1内の情報に対して処理を行うことができる。なお、サーバ30の処理については後述する。
【0020】
管理者端末40は、水道管P1の管理を行う管理者A2が使用する端末である。管理者端末40は、演算装置(例えば、CPU等)、記憶装置(例えば、HDD等)及び入出力装置(例えば、マウス、キーボード及びディスプレイ等)を具備する。管理者端末40は、ネットワーク回線を介してサーバ30と接続される。管理者端末40は、サーバ30に信号を送信することで、サーバ30から所定の情報(例えば、水道管P1内の情報や当該情報をサーバ30で処理した結果等)を取得することができる。
【0021】
以下では、
図2から
図5を参照して本発明の第一実施形態に係るバルブ装置100の構成について説明する。
【0022】
図1に示すバルブ装置100は、水道管P1内の水の流通を制御する部分である。バルブ装置100は、地中に設置されたバルブボックスB1の下方において、水道管P1に設けられる。バルブ装置100は、バルブボックスB1に設けられた通信部10と接続され、水道管P1内の情報を通信部10(ひいては、サーバ30等)へ送信することができる。
【0023】
図2から
図4までに示すように、バルブ装置100は、弁体150によって流路を仕切ることで閉塞する仕切り弁(例えばソフトシール仕切弁)によって構成される。バルブ装置100は、弁箱130、弁蓋140、弁体150、弁棒160、連通部170、止水部180及びアタッチメント190を具備する。
【0024】
図3及び
図4に示す弁箱130は、流路を形成するものである。弁箱130は、中空の箱状に形成される。弁箱130は、管路部131及び弁体収容部132を具備する。
【0025】
管路部131は、流体が流通する部分である。管路部131は、前後に延びる略円筒状に形成される。管路部131には、流路131a及び開口部131bが形成される。
【0026】
流路131aは、管路部131を前後に貫通するように形成される中空部分である。水道管P1を流通する水は、流路131a内を前後に流通することができる。
【0027】
図3から
図5に示す開口部131bは、流路131aと弁箱130の外部とを連通する貫通孔である。開口部131bは、弁箱130の上部において、後述する弁体収容部132を挟んで前後一対形成される。開口部131bは、上下方向に延びるように形成される。開口部131bは、後述する弁棒160(弁軸)が弁箱130から突出する方向と同じ方向(鉛直上方)に開口するように形成される。
【0028】
図3及び
図4に示す弁体収容部132は、後述する弁体150を収容可能な部分である。弁体収容部132は、弁箱130の前後略中央部に形成される。弁体収容部132は、管路部131の上部から上方に突出するように形成される。弁体収容部132は、内部に弁体150が収容可能となるように中空状に形成される。弁体収容部132には、鍔部132aが形成される。
【0029】
図3から
図5に示す鍔部132aは、弁体収容部132の上端部に前後一対形成される部分である。鍔部132aは、弁体収容部132に一体的に形成される。鍔部132aは、弁体収容部132から前後にそれぞれ延びるように形成される。鍔部132aは、板面を上下に向けた板状に形成される。鍔部132aは、管路部131に形成された開口部131bの上方まで延びるように形成される。鍔部132aには、当該鍔部132aを上下に貫通する貫通孔132bが形成される。貫通孔132bは、管路部131に形成された開口部131bと同一軸線上に形成される。
【0030】
図3及び
図4に示す弁蓋140は、弁箱130の弁体収容部132を上方から閉塞するものである。弁蓋140は、弁体収容部132の上部に固定される。弁蓋140は、ブッシュ141を具備する。
【0031】
ブッシュ141は、後述する弁棒160を回動可能に支持する部分である。ブッシュ141は、弁蓋140の上部に設けられる。
【0032】
弁体150は、流路131aを開閉する部材である。弁体150は、弁箱130に収容される。弁体150は、流路131aを閉塞することができるように、流路131aの断面形状と概ね同様の外形を有するように形成される。弁体150は、後述する弁棒160によって上下に移動可能に支持される。弁体150は、流路131aを横断するように下降することで、流路131aを閉塞することができる。また弁体150は、流路131aから退避するように上方(弁体収容部132)に上昇することで、流路131aを開放することができる。
【0033】
弁棒160は、弁体150を上下に移動可能に支持するものである。弁棒160は、軸線方向(弁軸方向)を上下方向に向けた略円柱状に形成される。弁棒160は、弁蓋140のブッシュ141に回動可能となるように挿通される。弁棒160の上部は、弁蓋140の上部から突出するように配置される。弁棒160の下部は、弁体収容部132内に位置するように配置される。弁棒160の下部には、雄ねじ部161が形成される。雄ねじ部161は、弁体150に形成された雌ねじ部(不図示)と歯合される。これによって、弁棒160を回動させることで、弁体150を上下に移動させることができる。
【0034】
図3から
図5に示す連通部170は、弁箱130に形成された開口部131bと連通されるものである。なお、以下で説明する連通部170、止水部180及びアタッチメント190等は、
図3に示すように、弁棒160を挟んで前後一対設けられるものであるが、以下では便宜上、弁棒160の後方に配置された連通部170等に着目して説明を行う。
連通部170は、筒状部171及び鍔部172を具備する。
【0035】
筒状部171は、軸線方向を上下に向けた略円筒状に形成される部分である。筒状部171の外径は、弁箱130に形成された開口部131bに挿入することができるように、開口部131bの内径よりも小さく形成される。
【0036】
鍔部172は、筒状部171の上端部に形成される板状の部分である。鍔部172は、板面を上下に向けて形成される。鍔部172は、筒状部171から左右に延びるように形成される。
【0037】
このように形成された連通部170は、弁体収容部132に形成された鍔部132aの貫通孔132bに上方から挿通され、筒状部171の下端部が弁箱130の開口部131bに挿入される。これによって、連通部170(筒状部171)が開口部131bと連通するように接続される。
【0038】
また、連通部170の鍔部172は、鍔部132aの上面に当接されると共に、ボルト172a(
図5参照)によって鍔部132aに固定される。このように、連通部170は鍔部132aに固定されているため、流路131a内の水圧が連通部170を押し上げるように作用した場合であっても、開口部131bから抜け出すのを防止することができる。
【0039】
止水部180は、開口部131bと連通部170との接続部分を止水するものである。止水部180は、シール部材181及び保持部182を具備する。
【0040】
シール部材181は、流体の漏れを防止するためのものである。シール部材181は、V字状の断面を有するVパッキン181aを上下に複数積層したものを、オスアダプタ181b及びメスアダプタ181cによって上下から挟み込んで形成される。シール部材181は、連通部170の筒状部171が挿通可能となるように、略円環状(円筒状)に形成される。シール部材181は、筒状部171が挿通された状態で、開口部131bの内側に配置される。このようにシール部材181は、開口部131bの内周面と、筒状部171の外周面と、の隙間を埋めるように配置される。これによって、流路131a内の水が、開口部131bから漏れ出すのを防止することができる。
【0041】
保持部182は、シール部材181を開口部131b内に保持するものである。保持部182は、筒状部182a及び鍔部182bを具備する。
【0042】
筒状部182aは、軸線方向を上下に向けた略円筒状に形成される部分である。筒状部182aの外径は、弁箱130に形成された開口部131bに挿入することができるように、開口部131bの内径よりも小さく形成される。筒状部182aの内径は、連通部170の筒状部171が挿通可能となるように、筒状部171の外径よりも大きく形成される。
【0043】
鍔部182bは、筒状部182aの上端部に形成される板状の部分である。鍔部182bは、板面を上下に向けて形成される。鍔部182bは、筒状部182aから左右に延びるように形成される。
【0044】
このように形成された保持部182の筒状部182aは、シール部材181の上方から開口部131bに挿入される。この状態で、鍔部182bがボルト182c(
図5参照)によって弁箱130(管路部131)に固定される。このように保持部182が固定されることで、シール部材181が開口部131b内に保持される。また、ボルト182cを締め付けて筒状部182aをシール部材181に向けて押し込むことで、シール部材181による止水機能の回復を図ることができる。
【0045】
アタッチメント190は、連通部170に対して外部機器を取り付けるための部材である。アタッチメント190の本体部191は、中空筒状に形成される。本体部191の下端部は、連通部170(筒状部171)の上端部にねじ接合等により固定される。これによって本体部191は、連通部170からさらに上方に突出するように配置される。また本体部191は、連通部170を介して弁箱130の流路131aと連通される。本体部191は、外部機器が容易に着脱可能となるように、適宜の形状及び着脱構造を有している。
【0046】
図5には、外部機器の一例として、流路131a内の圧力を検出するための圧力センサSがアタッチメント190に取り付けられた例を示している。また
図5には、外部機器が接続されていない場合に流路131aからの水の流出を防止できるように、中空部分を閉塞可能なバルブ機構192(ボール弁)を有するアタッチメント190を例示している。具体的には、バルブ機構192は、弁体192a及び操作レバー192bを具備する。
【0047】
弁体192aは、球体状に形成されると共に、中心を通る貫通孔が形成されている。弁体192aは、本体部191の内部に回転可能となるように配置されている。操作レバー192bは、外部からの操作によって弁体192aを回転させることができるように、弁体192aと連結された状態で本体部191の側部に設けられている。
【0048】
例えば、アタッチメント190に圧力センサSが接続されない場合(外部機器を用いない場合)、操作レバー192bを操作して弁体192aを回転させ、本体部191の中空部分を閉塞することで、流路131aからの水の流出を防止することができる。一方、アタッチメント190に圧力センサSが接続される場合には、操作レバー192bを操作して弁体192aを回転させ、本体部191の中空部分を開放(連通)することで、流路131aと圧力センサSとが連通され、流路131a内の圧力を検出することができる。
【0049】
以上のように構成されたバルブ装置100は、
図2に示すように、バルブボックスB1の下方に埋設され、弁箱130の両端部が水道管P1と接続される。また、バルブ装置100のうち、弁箱130よりも上側に位置する部分(弁棒160の上部やアタッチメント190)は、バルブボックスB1内に露出するように配置される。
【0050】
このようにバルブ装置100が配置されることによって、バルブボックスB1内の弁棒160を適宜の操作具を用いて回動させて、弁体150を昇降させ、流路131aを開閉することができる。
【0051】
また
図3、
図4等に示すように、流路131aに連通されたアタッチメント190に圧力センサSを接続することによって、流路131a内の圧力(水圧)を検出することができる。特に本実施形態では、連通部170等を弁棒160(弁体150)の前後に一対設けたことによって、弁体150の前後の圧力を検出することができる。また、アタッチメント190を介して圧力センサS等の外部機器を接続することができるため、流路131a内を断水することなく(不断水で)外部機器の着脱を行うことができる。圧力センサSは、流路131a内の圧力の測定結果を通信部10(
図2参照)へ送信する。通信部10は、この測定結果をサーバ30(
図1参照)に送信する。
【0052】
このように、本実施形態においては、水道管P1内の圧力を取得する機能をバルブ装置100に付与することができ、バルブ装置100の高機能化を図ることができる。これによって、別途圧力計等の専用機器を設ける必要がなく、設備の簡素化を図ることができる。また、一般的にバルブ装置100は管路網に多数設置されるため、管路網の情報を広範囲かつ恒久的に取得することができる。
【0053】
なお、本実施形態では外部機器として圧力センサSを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば外部機器として、流路131a内の情報を取得することができる各種機器を用いることができる。具体的には、圧力センサSに代えて、水道管P1を流通する水の振動(ひいては、水道管P1の振動)を取得するもの(振動センサ)、水道管P1内の音を取得するもの(マイク)、水道管P1を流通する水の濁度を取得するもの(濁度センサ)等を用いることも可能である。
【0054】
また、外部機器はアタッチメント190に接続するだけでなく、アタッチメント190、連通部170等を介して流路131a内に挿入することも可能である。例えばファイバースコープFを流路131a内に挿入し、流路131a内の水の流通の様子を確認することや、流路131aの内部を点検することも可能である。
【0055】
図6には、外部機器としてファイバースコープFを用いた例を示している。また
図6には、ファイバースコープFが取り付けられた場合に流路131aからの水の流出を防止できるように、止水機構193を有するアタッチメント190を例示している。止水機構193は、バルブ機構192よりも上方(アタッチメント190の上端側)に形成される。具体的には、止水機構193は、弾性部材193a及び蓋部材193bを具備する。
【0056】
弾性部材193aは、例えばゴム等の弾性体により形成されたものである。弾性部材193aは、円柱状に形成されている。蓋部材193bは、本体部191との間で弾性部材193aを保持するものである。蓋部材193bの下端部と本体部191の上端部とは、ねじ接合により固定される。弾性部材193a及び蓋部材193bの中心には、ファイバースコープFを挿通することができる程度の径を有する貫通孔が形成されている。
【0057】
例えば、ファイバースコープFを用いない場合、操作レバー192bを操作して弁体192aを回転させ、本体部191の中空部分を閉塞することで、流路131aからの水の流出を防止することができる。一方、ファイバースコープFを流路131a内に挿入する場合には、操作レバー192bを操作して弁体192aを回転させ、本体部191の中空部分を開放(連通)する。この状態で、止水機構193の貫通孔からファイバースコープFを挿入することで、当該ファイバースコープFをアタッチメント190を介して流路131a内に挿入することができる。この際、蓋部材193bを本体部191に対して締め付けることで、蓋部材193bと本体部191との間で弾性部材193aが押し潰されるように弾性変形して隙間を埋め、流路131a内の水が外部へと漏れ出すのを防止することができる。
【0058】
以下では、
図1及び
図2を参照してサーバ30の処理について説明する。
【0059】
上述の如く、サーバ30には、通信部10を介して外部機器による測定結果(例えば、圧力センサSから圧力の測定結果)が送信される。この際、サーバ30には、バルブ装置100を一意に特定する情報(例えば、所定のID等)及び測定日時が測定結果と関連付けて送信される。サーバ30は、こうして送信された情報を適宜記憶する。具体的には、例えば、サーバ30は、予め構築された所定のデータベースに圧力センサSの測定結果を登録する。
【0060】
サーバ30は、こうして記憶された圧力センサSの測定結果に対して適宜処理を行う。具体的には、例えば、サーバ30は、管理者端末40等からの要求に応じて、データベースからデータを抽出して画面(例えば、html(HyperText Markup Language)ドキュメント等で作成された画面)を生成し、生成した画面を管理者端末40等から閲覧可能とする。
【0061】
より具体的には、サーバ30は、管理者端末40からの要求に応じて、水道管P1に接続された各バルブ装置100の圧力センサSで測定された圧力を表示する画面を生成する。管理者端末40において当該画面を表示することで、管理者A2は、複数の場所における圧力を確認することができる。管理者A2は、当該確認結果に基づいて、送配水施設Pのポンプ運転の最適化を図ることができる。また、管理者A2は、圧力の異常の有無に基づいて、水道管P1において大規模な漏水が発生しているか否かを判断することもできる。
【0062】
また、サーバ30は、管理者端末40からの要求に応じて、地図情報にバルブ装置100の位置情報(例えば、緯度及び経度)及び圧力の測定結果を重畳させた画面を作成する。管理者端末40において当該画面を表示することで、管理者A2は、圧力と位置情報との関係を確認可能となる。これにより、管理者A2は、漏水場所及び漏水に対する対策(例えば、どのバルブ装置100で流路を閉じるのか等)を速やかに判断することができる。
【0063】
また、サーバ30は、携帯型端末20からの要求に応じて、所定のバルブ装置100で測定した圧力を表示する画面を生成する。携帯型端末20において当該画面を表示することで、作業者A1は、圧力の測定結果に基づいてバルブ装置100を開閉動作させるか否かを判断することができる。
【0064】
以上の如く、本実施形態に係るバルブ装置100(バルブ)は、弁箱130に形成された流路131aと前記弁箱130の外部とを連通すると共に、弁軸方向に開口するように形成される開口部131bと、前記開口部131bと連通するように接続され、前記開口部131bから前記弁軸方向に延設される筒状の連通部170と、を具備するものである。
【0065】
このように構成することにより、連通部170を介して流路131a内の情報を容易に取得することができる。
例えば、流路131a内の情報を取得可能な外部機器(圧力センサS等の各種センサ)を連通部170に取り付けることができる。また、連通部170を介して流路131a内に外部機器(例えば、ファイバースコープF)を挿入することができる。これによって、流路131a内の情報を容易に取得することができる。特に、連通部170がバルブボックスB1等に露出するように設けることで、容易に外部機器を取り付けることができる。
このようにバルブ装置100を用いて流路131a内の情報を取得することで、水道管P1等の管路網の情報を広範囲かつ恒久的に取得することができる。
【0066】
また、バルブ装置100は、前記開口部131bと前記連通部170との接続部分を止水する止水部180をさらに具備するものである。
【0067】
このように構成することにより、開口部131bと連通部170との接続部分からの漏水を防止することができる。
【0068】
また、バルブ装置100は、前記連通部170の抜け出しを防止する鍔部132a(保持部)をさらに具備するものである。
【0069】
このように構成することにより、流路131a内の水圧による連通部170の抜け出しを防止することができる。
【0070】
また、前記鍔部132a(保持部)は、前記弁箱130のうち、前記流路131aから退避した弁体150が収容される弁体収容部132に一体に形成されるものである。
【0071】
このように構成することにより、弁体収容部132を利用して、連通部170の抜け出しを防止することができる。これによって、構造の簡素化を図ることができる。
【0072】
また、バルブ装置100は、前記連通部170に外部機器を取り付け可能なアタッチメント190をさらに具備するものである。
【0073】
このように構成することにより、バルブ装置100に対して外部機器を容易に着脱することができる。これにより、例えば流路131a内の各種情報を取得可能な機器(各種センサ)を取り付けることで、不断水でも容易に流路131a内の情報を取得することができる。
【0074】
以下では、
図7を用いて、第二実施形態に係るバルブ装置200の構成について説明する。
【0075】
第二実施形態に係るバルブ装置200が第一実施形態に係るバルブ装置100(
図5参照)と異なる点は、連通部170とアタッチメント190との間に設けられたベローズ210を具備する点である。以下では主にこの相違点(ベローズ210)について説明し、第一実施形態と同様の構成については説明を適宜省略する。
【0076】
上述のように第二実施形態に係るバルブ装置200は、連通部170とアタッチメント190との間に設けられたベローズ210を具備している。ベローズ210は、蛇腹状に形成された筒状の部材である。ベローズ210は、蛇腹状に形成されたことにより可撓性を有している。これによってベローズ210は、伸縮、屈曲、芯ずれ(上下の両端部の中心位置がずれる)等の変形が可能となっている。
図7には一例として、ベローズ210の上部が右方に屈曲する様子を図示している。
【0077】
ベローズ210の下端部は、連通部170(筒状部171)の上端部にねじ接合等により固定される。ベローズ210の上端部は、アタッチメント190の下端部にねじ接合等により固定される。このように、ベローズ210は、連通部170とアタッチメント190とを連結するように設けられる。
【0078】
このように可撓性を有するベローズ210を連通部170とアタッチメント190との間に介在させることによって、連通部170に対してアタッチメント190を変位させることが可能である。従って、アタッチメント190や、アタッチメント190に取り付けられた外部機器(圧力センサS等)に外力が作用した場合、ベローズ210を変形(屈曲等)させて、連通部170や止水部180等に加わる負荷を軽減することができる。これによって、連通部170等の破損や、水漏れの発生を防止することができる。たとえば、地震等の揺れによって外部機器がバルブボックスB1の内壁に衝突した場合であっても、ベローズ210が可撓性を有するため、アタッチメント190、連通部170、止水部180等に大きな負荷が加わるのを防止することができる。
【0079】
以下では、
図8を用いて、第三実施形態に係るバルブ装置300の構成について説明する。
【0080】
第三実施形態に係るバルブ装置300が第二実施形態に係るバルブ装置200(
図7参照)と異なる点は、ベローズ210に代えて、ボールジョイント310を具備する点である。以下では主にこの相違点(ボールジョイント310)について説明し、第二実施形態と同様の構成については説明を適宜省略する。
【0081】
上述のように第三実施形態に係るバルブ装置300は、連通部170とアタッチメント190との間に設けられたボールジョイント310を具備している。ボールジョイント310は、球面に沿う任意の方向に屈曲可能に形成された継手部材である。
図8には一例として、ボールジョイント310の上部が右方に屈曲する様子を図示している。
【0082】
ボールジョイント310の下端部は、連通部170(筒状部171)の上端部にねじ接合等により固定される。ボールジョイント310の上端部は、アタッチメント190の下端部にねじ接合等により固定される。このように、ボールジョイント310は、連通部170とアタッチメント190とを連結するように設けられる。
【0083】
このように屈曲可能なボールジョイント310を連通部170とアタッチメント190との間に介在させることによって、連通部170に対してアタッチメント190を変位させることが可能である。従って、ベローズ210を設けた場合(
図7参照)と同様、アタッチメント190や、アタッチメント190に取り付けられた外部機器(圧力センサS等)に外力が作用した場合、ボールジョイント310を屈曲させて、連通部170や止水部180等に加わる負荷を軽減することができる。これによって、連通部170等の破損や、水漏れの発生を防止することができる。
【0084】
以上の如く、第二実施形態及び第三実施形態に係るバルブ装置200及びバルブ装置300は、前記連通部170と前記アタッチメント190とを接続し、前記連通部170に対する前記アタッチメント190の変位を許容する許容部(ベローズ210、ボールジョイント310)をさらに具備するものである。
【0085】
このように構成することにより、アタッチメント190に加わる負荷が連通部170に作用するのを抑制することができる。これによって、地震等による連通部170等の破損を防止することができる。
【0086】
なお、本実施形態に係るバルブ装置100は、本発明に係るバルブの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る圧力センサSは、本発明に係る外部機器の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る鍔部132aは、本発明に係る保持部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るベローズ210及びボールジョイント310は、本発明に係る許容部の実施の一形態である。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0088】
例えば、上記実施形態では、連通部170の抜け出しを防止するために、連通部170を弁体収容部132の鍔部132a(例えば、
図5参照)に固定した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば連通部170を、管路部131に固定することも可能である。またこの場合、止水部180の保持部182と連通部170を一体的に形成し、保持部182を管路部131に固定することで、連通部170の抜け出しとシール部材181の保持を一括して行うことも可能である。このように構成することで、部品点数の削減や構造の簡素化を図ることができる。
【0089】
また、上記実施形態では、連通部170が固定される鍔部132aが、弁箱130(弁体収容部132)に一体的に形成された例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば鍔部132aを弁箱130(弁体収容部132)とは別部材により形成することも可能である。すなわち、鍔部132aを弁箱130(弁体収容部132)に対して着脱可能な構成とすることも可能である。
【0090】
また上記実施形態で示した止水部180の具体的な構成は一例であり、部品の種類や部品点数は任意に変更することができる。
【0091】
また上記実施形態では、連通部170にアタッチメント190が取り付けられた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、必ずしもアタッチメント190を用いる必要はない。この場合、連通部170に直接(又は、必要に応じて適宜の取り付け部材を用いて)外部機器を接続することが可能である。
【0092】
また上記実施形態では、連通部170に対するアタッチメント190の変位を許容する部材として、ベローズ210(
図7参照)及びボールジョイント310(
図8参照)を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の構成を採用することが可能である。例えば、可撓性を有する素材(ゴム等)で形成されたホースを用いて連通部170とアタッチメント190を接続することも可能である。
【0093】
また上記実施形態では、バルブ機構192(
図5参照)や止水機構193(
図6)を有するアタッチメント190を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の構成を採用することが可能である。例えば、上記実施形態ではバルブ機構192としてボール弁を例示したが、その他種々の機構(ゲートバルブ等)を用いることも可能である。またアタッチメント190としては、不断水で外部機器の着脱を行うことができるものが好ましいが、必ずしもバルブ機構192や止水機構193を備えるものでなくてもよい。
【0094】
また、管理システム1(バルブ装置100)は、上下水道設備に設けられるものとしたが、バルブ装置100の適用対象は上下水道設備に限定されるものではなく、種々の設備に適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、通信部10は携帯電話回線を介してサーバ30と情報をやり取りする構成を例示したが、通信部10の通信経路はこれに限るものではない。例えば、災害等の発生により携帯電話回線が使用できなくなった場合等に備えて、別途の通信手段(無線通信等)を介して通信部10と外部との通信を可能としてもよい。これによって、例えばデータロガーと通信部10とを直接通信させて、サーバ30等を介することなく流路内の情報を直接取得することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 バルブ装置(バルブ)
130 弁箱
131 管路部
131a 流路
131b 開口部
132 弁体収容部
132a 鍔部
150 弁体
160 弁棒
170 連通部
180 止水部
190 アタッチメント
210 ベローズ
310 ボールジョイント