IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェン−プローブ・インコーポレーテッドの特許一覧

特開2024-69535フラップエンドヌクレアーゼを含む乾燥組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069535
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】フラップエンドヌクレアーゼを含む乾燥組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/16 20060101AFI20240514BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALN20240514BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALN20240514BHJP
【FI】
C12N9/16 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/68
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042157
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2021171542の分割
【原出願日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】62/508,975
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/508,990
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/540,478
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】トニー ルー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ジョスト
(57)【要約】
【課題】フラップエンドヌクレアーゼを含む乾燥組成物の提供。
【解決手段】フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、および有機緩衝液を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる水溶液の組成物が開示され、水溶液は5mM以下の無機塩濃度を有し、組成物はグリセロールを実質的に含まない。本発明は、特に核酸に基づくアッセイにおいて、例えば、増幅に基づかないアッセイ、または増幅に基づくアッセイと組み合わせた増幅に基づかないアッセイに使用される場合に、凍結乾燥組成物の改善を提供しようとするものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月19日出願の62/508,975、2017年5月19日出願の62/508,990、2017年8月2日出願の62/540,478の各仮特許出願の利益を主張し、各々が参照により全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
核酸に基づくアッセイを行うための市販のキットは、多くの場合、酵素、ヌクレオチド、界面活性剤、緩衝液、プライマー、プローブ、ならびにMnCl、MgCl、NaCl、およびKClを含む無機塩等の試薬を含む(Innis et al,(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Ch.1,Optimizations of PCRs)。
【0003】
核酸に基づくアッセイは、「核酸増幅に基づくアッセイ」、すなわち、核酸標的配列を増幅するための1つ以上のステップを用いるアッセイであり得る。核酸に基づくアッセイに使用される様々な増幅方法が当該技術分野で知られている。代替として、核酸に基づくアッセイは、「核酸増幅に基づかないアッセイ」、すなわち、核酸標的配列を増幅するためのいずれのステップにも依存しないアッセイであり得る。例示的な核酸増幅に基づかないアッセイは、「切断に基づくアッセイ」であり、これは、標的核酸への重複オリゴヌクレオチドの特異的ハイブリダイゼーションによって形成される線形二重鎖切断構造の、フラップエンドヌクレアーゼによる特異的切断に依存するアッセイである。これらのアッセイでは、インベーダーオリゴヌクレオチド(「インベーダープローブ」とも称される)が、アッセイ反応温度で標的核酸に安定してアニーリングするように設計される。標的ハイブリダイズ配列と、インベーダーオリゴヌクレオチドを覆う非標的ハイブリダイズフラップ領域とを含むシグナルプローブオリゴヌクレオチドは、ほぼアッセイ温度の融解温度である融解温度で設計される。結果として、シグナルプローブは、反応条件で標的核酸をアニーリングする/標的核酸から解離する状態にある。シグナルプローブがフラップエンドヌクレアーゼの存在下で標的核酸にアニーリングされると、非標的ハイブリダイズフラップ領域は、フラップエンドヌクレアーゼによってオーバーラップ依存的に切断されて切断産物を放出する。次いで、切断されたフラップ領域は、シグナル伝達部分および消光部分を含むヘアピン構成のプローブ(しばしば「FRETプローブ」と称される)とアニーリングして、切断されたフラップ部分の一部とFRETプローブの一部との間に、シグナル伝達部分または消光部分の一方に結合するオーバーラップを形成する。フラップエンドヌクレアーゼの存在下で、FRETプローブはオーバーラップ依存的に切断され、シグナル伝達部分または消光部分の一方をFRETプローブから放出し、それによって検出可能なシグナルが発生する。これらのアッセイでは、インベーダープローブに比べて過剰なシグナルプローブおよびFRETプローブが使用されるため、これらはしばしばシグナル増幅アッセイと称される。切断に基づくアッセイの原理は当該技術分野で周知であり、例示的なアッセイは、例えば、Lyamichevら(Nat.Biotechnol.17:292-296,1999)、RyanらMol.Diagn.4:135-144,1999)、Allawiら(J.Clin.Microbiol.44:3443-3447,2006)、Browらに対する米国特許第5,846,717号および同第6,706,471号、ならびにDahlbergらに対する米国特許第5,614,402号に記載されている。切断に基づくアッセイは、例えば、市販のInvader(登録商標)アッセイ(Hologic,Inc.,Marlborough,MA)を含む。
【0004】
状況によっては、同じ反応において「増幅に基づくアッセイ」(例:PCR)および「増幅に基づかないアッセイ」(Cleavase(登録商標)酵素を使用するアッセイ)を実行することが望ましい場合がある。Cleavase(登録商標)酵素は、一本鎖と二本鎖のデオキシリボ核の接合部で切断する熱安定性の構造特異的エンドヌクレアーゼである。
【0005】
マグネシウムイオンは、ポリメラーゼおよび他の酵素の活性を高めると報告されている。塩化カリウムは、核酸のハイブリダイゼーションを促進すると報告されている。いくつかの無機塩は、熱、カオトロピック剤への曝露、および凍結乾燥を含む様々なストレス条件下でタンパク質を保護すると報告されている(Liu et al(2007)FEBS Letters.581:1047;Kanaya et al(1996)J.Biol.Chem.271:32729;Innis et al,(1990)PCR
Protocols:A Guide to Methods and Applications,Ch.1,Optimizations of PCRs;Menendez et al(1998)J.Biol.Chem.273:167;Janeway et al(1993)Biochemistry.32:1601,Fox et
al(1971)J.Biol.Chem.246:5739,Chang et al(2002)J.Biol.Chem.277:277:4663,Rutter et al(1958)J.Biol.Chem.233:374,Huszar et al(1981)J.Virol.37:580-588,Wang(2000)Int.J.Pharmaceutics.203:1-60)。塩はまた、「増幅に基づくアッセイ」および「増幅に基づかないアッセイ」といったアッセイにおいても使用される。例として、Invader(登録商標)アッセイを実行するための典型的な反応条件は、酵素ストック中の塩化カリウムおよび反応緩衝液中の塩化マグネシウムを含む。
【0006】
しかしながら、凍結乾燥物質の安定性は、凍結乾燥ケーキ中に存在するあらゆる塩の吸湿性によって影響を受ける。凍結乾燥物質の吸湿性は、凍結乾燥物質を包装するのに利用可能な時間に影響を与え、凍結乾燥物質を保存および出荷できる期間および条件に影響を与える。凍結乾燥物質の望ましくない再水和は、凍結乾燥された成分の活性に悪影響を及ぼす。凍結乾燥物質の望ましくない再水和による悪影響を最小限に抑えるために、通常、そのような物質の長期保存は冷蔵によって行われる。
本発明は、特に核酸に基づくアッセイにおいて、例えば、増幅に基づかないアッセイ、または増幅に基づくアッセイと組み合わせた増幅に基づかないアッセイに使用される場合に、凍結乾燥組成物の改善を提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Innis et al,(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Ch.1,Optimizations of PCRs
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、および有機緩衝液を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる、水溶液の組成物であって、水溶液は6mM以下の無機塩濃度を有し、組成物はグリセロールを実質的に含まない、組成物が開示される。
【0009】
好適には、水溶液は、分子アッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0010】
好適には、水溶液は、核酸に基づくアッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0011】
好適には、フラップエンドヌクレアーゼはCleavase(登録商標)酵素である。
【0012】
好適には、組成物は、少なくとも1つのポリメラーゼをさらに含む。
【0013】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、水溶液中約0.10U/μl~約0.25U/μlの濃度で水溶液中に存在するポリメラーゼを含む。
【0014】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、0.11U/ul、0.12U/ul、0.14U/ul、0.146U/ul、0.1687U/ul、0.2U/ul、および0.022U/ulから選択される濃度で水溶液中に存在するポリメラーゼを含む。
【0015】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、ホットスタートポリメラーゼであるポリメラーゼを含む。
【0016】
好適には、ホットスタートポリメラーゼは、ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を特異的に遮断する抗体によって結合された組換えTaq DNAポリメラーゼである。
【0017】
好適には、ホットスタートポリメラーゼは、化学修飾された組換えTaq DNAポリメラーゼであり、化学修飾は、ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を阻害する。
【0018】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、好適には、約0.1U/ul~約4.0U/ulの濃度で、水溶液中に存在する逆転写酵素を含む。
【0019】
好適には、逆転写酵素はAMV逆転写酵素である。
【0020】
好適には、逆転写酵素はMMLV逆転写酵素である。
【0021】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、インベーダープローブを含む。
【0022】
好適には、インベーダープローブの配列は、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である。
【0023】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、シグナル伝達プローブを含む。
【0024】
好適には、シグナル伝達プローブの配列は、標的核酸配列に部分的に相補的である。
【0025】
好適には、シグナル伝達プローブの配列は、フラップ領域を含む。
【0026】
好適には、フラップ領域は、インベーダープローブと少なくとも部分的に重複する。
【0027】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、FRETプローブを含む。
【0028】
好適には、FRETプローブの配列は、シグナル伝達プローブのフラップ領域に部分的に相補的である。
【0029】
好適には、FRETプローブは、それに共有結合した標識を含む。
【0030】
好適には、標識は蛍光分子である。
【0031】
好適には、標識はFRETプローブの5’末端に位置する。
【0032】
好適には、FRETプローブは、蛍光分子を消光できる近接範囲内で、該プローブに共有結合し、かつ蛍光分子からの蛍光を少なくとも部分的に消光することができる、消光分子を含む。
【0033】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、標的捕捉プローブを含む。
【0034】
好適には、標的捕捉プローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸に特異的または非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する。
【0035】
好適には、標的捕捉プローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸に非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する。
【0036】
好適には、標的捕捉プローブの非特異的標的ハイブリダイズ部分は、ランダムに配置されたKヌクレオチドまたはランダムに配置されたRヌクレオチドを含む(IUPAB-IUB曖昧性コード)。
【0037】
好適には、水溶液は、多重分子アッセイを行うための2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む。
【0038】
好適には、増量剤はトレハロースである。
【0039】
好適には、増量剤は、約0.2M~約0.5M、好適には約0.36Mの濃度で存在する。
【0040】
好適には、水溶液は、6mM以下の無機塩濃度を含む。好適には、水溶液は、約6mM~約0.5mMの無機塩濃度を含む。
【0041】
好適には、無機塩は、約0.373μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。
【0042】
好適には、無機塩は塩化ナトリウムであり、好適には、塩化ナトリウムは、約0.35μg/ul~約0.029μg/ul、好適には約0.32μg/ulの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。
【0043】
好適には、無機塩は塩化カリウムであり、好適には、塩化カリウムは、約0.373ug/ulの塩化カリウム~約0.019ug/ulの塩化カリウム、好適には約0.03ug/ulの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。
【0044】
好適には、水溶液は、約0.135ug/ulのナトリウムイオン~約0.006μg/μlのナトリウムイオン、好適には約0.127ug/ulを含む。
【0045】
好適には、水溶液は、約0.196ug/ulのカリウムイオン~約0.010ug/ulのカリウムイオン、好適には約0.016ug/ulのカリウムイオンを含む。
【0046】
好適には、水溶液は、約0.355ug/ulの塩化物イオン~約0.009ug/ulの塩化物イオン、好適には約0.337ug/ulを含む。
【0047】
好適には、水溶液は4mM以下の無機塩濃度を含む。
【0048】
好適には、水溶液は、約0.298μg/μl~約0.234μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む。
【0049】
好適には、水溶液は、約0.284μg/μl~約0.071μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む。
【0050】
好適には、水溶液は3mM以下の無機塩濃度を含む。
【0051】
好適には、水溶液は、約0.224μg/μl~約0.175μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む。
【0052】
好適には、水溶液は、約0.213μg/μl~約0.053μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む。
【0053】
好適には、水溶液は2mM以下の無機塩濃度を含む。
【0054】
好適には、水溶液は、約0.149μg/μl~約0.117μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む。
【0055】
好適には、水溶液は、約0.142μg/μl~約0.036μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む。
【0056】
好適には、水溶液は1mM以下の無機塩濃度を含む。
【0057】
好適には、水溶液は、約0.075μg/μl~約0.058μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む。
【0058】
好適には、水溶液は、約0.071μg/μl~約0.018μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む。
【0059】
好適には、水溶液は、500μM以下の無機塩濃度を含む。
【0060】
好適には、水溶液は、約0.037μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む。
【0061】
好適には、水溶液は、約0.036μg/μl~約0.009μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む。
【0062】
好適には、水溶液の無機塩濃度は、1mM未満の塩化ナトリウムである。
【0063】
好適には、水溶液は塩化ナトリウムを含まない。
【0064】
好適には、水溶液は1mM未満のマグネシウムイオンを含む。
【0065】
好適には、水溶液は0.1mM未満のマグネシウムイオンを含む。
【0066】
好適には、水溶液は、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む。
【0067】
好適には、dNTPは、水溶液中0.1mM~0.5mM、好適には約0.28mM~約0.46mMの濃度のdATPを含む。
【0068】
好適には、dATPは、水溶液中0.3mM~0.4mM、例えば、0.375mMの濃度である。
【0069】
好適には、dNTPは、水溶液中0.1mM~0.4mMの濃度のdGTPを含む。
【0070】
好適には、dGTPは、水溶液中0.3mM~0.4mM、好適には0.29~0.46mM、例えば0.375mMの濃度である。
【0071】
好適には、dNTPは、水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.29~0.46mMの濃度のdCTPを含む。
【0072】
好適には、dCTPは、水溶液中0.3mM~0.4mM、例えば、0.375mMの濃度である。
【0073】
好適には、dNTPは、水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.2~0.37mM、例えば0.284mMの濃度のdTTPを含む。
【0074】
好適には、dNTPは、水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.125~0.234mM、例えば0.182mMの濃度のdUTPを含む。
【0075】
好適には、フラップエンドヌクレアーゼは、約0.010μg/μl~約0.050ug/ul、好適には約0.12ug/ul~0.047ug/ulで水溶液中に存在する。
【0076】
好適には、フラップエンドヌクレアーゼは、約0.030μg/μl~約0.04μg/μlで水溶液中に存在し、好適には、フラップエンドヌクレアーゼは、約0.030μg/μl~約0.035μg/μlで水溶液中に存在する。
【0077】
好適には、有機緩衝液は、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液である。
【0078】
好適には、MOPS緩衝液は、水溶液中10~20mMの濃度で、好適には、水溶液中12.5mM~20mMの濃度で存在する。
【0079】
好適には、有機緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である。
【0080】
好適には、トリス緩衝液は、水溶液中40mM~60mMの濃度で、好適には、水溶液中50mMの濃度で存在する。
【0081】
好適には、組成物は球状タンパク質を含む。
【0082】
好適には、球状タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)である。
【0083】
好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)は、非アセチル化BSA、好適には、超高純度非アセチル化BSAである。
【0084】
好適には、球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在する。
【0085】
好適には、組成物は、Cleavase(登録商標)酵素、トレハロース、MOPS緩衝液、dNTP、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0086】
好適には、組成物は、約0.030μg/μlで水溶液中に存在するCleavase(登録商標)酵素、約0.3Mの濃度で存在するトレハロース、約12.5mMの濃度のMOPS緩衝液、各々約0.3mMの濃度のdNTP(任意選択的に、dATP、dGTP、およびdCTPは約0.375mMであり、dTTPは約0.284mMであり、dUTPは約0.182mMである)、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0087】
好適には、組成物は、Cleavase(登録商標)酵素、トレハロース、トリス緩衝液、dNTP、ウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0088】
好適には、組成物は、約0.030μg/μlで水溶液中に存在するCleavase(登録商標)酵素、約0.3Mの濃度で存在するトレハロース、約50mMの濃度のトリス緩衝液、各々約0.3mMの濃度のdNTP(任意選択的に、dATP、dGTP、およびdCTPは約0.375mMであり、dTTPは約0.284mMであり、dUTPは約0.182mMである)、約0.5μg/μlのウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0089】
好適には、組成物は、Cleavase(登録商標)、トレハロース、MOPS緩衝液、dNTP、ウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0090】
好適には、組成物は、約0.035μg/μlで水溶液中に存在するCleavase(登録商標)、約0.36Mの濃度で存在するトレハロース、約15mMの濃度のMOPS緩衝液、各々約0.38mMの濃度のdNTP、約0.5μg/μlのウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0091】
好適には、組成物は、例えば0.1~0.5μg/mlの濃度のα-シクロデキストリンを含む。
【0092】
本開示による組成物の乾燥形態もまた開示される。例として、24ulの本明細書に記載の水溶液を乾燥させて、約0.003g~約0.004g、約0.0032g~約0.0037g~0.0033g、0.0034g、0.0035g、または0.0036gの範囲内の質量を有する乾燥組成物を提供する。単一のバルク水溶液のアリコートから作製された複数の乾燥組成物は、各乾燥組成物の質量に変動があることを理解されたい。例として、バルク水溶液の2つ以上の24ulアリコートをそれぞれ乾燥させて、約0.003g~約0.004gの範囲内の質量を有する乾燥組成物を別々に提供する。したがって、複数の乾燥ペレットの各々の平均重量は、約0.003g~約0.004g、約0.0032g~約0.0037g、0.0033g、0.0034g、0.0035g、または0.0036gの範囲内である。水溶液中の成分の濃度を変更すると、乾燥組成物の質量が変化する。例えば、特定の反応に用いられる酵素活性を最適化するように酵素の濃度を変更すると、乾燥組成物の質量が変化し得る。同様に、使用される成分の種類の変更により、乾燥組成物の質量を変化させることができる。例えば、異なるフラップエンドヌクレアーゼを使用すると、所望の酵素活性レベルを提供するように濃度を変更する必要があり得る。様々な成分のうちの1つ以上の濃度および/または種類を変更することは、本開示の範囲内であると理解され、したがって、結果として生じる乾燥組成物の質量の変化は、同様に本開示の範囲内であると理解されたい。
【0093】
フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、および有機緩衝液を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる乾燥組成物も開示され、1つ以上の無機塩は、乾燥組成物の全質量の0.350%以下の質量で乾燥組成物中に存在し、乾燥組成物はグリセロールを実質的に含まない。
【0094】
乾燥組成物は、再構成後の核酸に基づくアッセイに有用である。驚くべきことに、乾燥組成物は、湿潤環境への長期曝露後にロバストな結果をもたらす。組成物の乾燥形態は、湿潤環境への曝露後の核酸に基づくアッセイにおいて有用であり、湿潤環境の絶対湿度レベルは、最大3時間の期間、好ましくは、90分~180分の期間、好ましくは約90分間、好ましくは約180分間、空気1立方メートル当たり2.3グラムを超える水である。驚くべきことに、乾燥組成物は、予備乾燥した水溶液の長期インキュベーション時間後、ロバストな結果をもたらす。
【0095】
好適には、1つ以上の無機塩は、乾燥組成物の全質量の約0.311%~約0.024%の質量で乾燥組成物中に存在する。
【0096】
好適には、1つ以上の無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化ナトリウムと塩化カリウムの両方からなる群から選択される。
【0097】
好適には、乾燥組成物は、分子アッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0098】
好適には、乾燥組成物は、核酸に基づくアッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0099】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチド、好適には少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドを含む。
【0100】
好適には、プローブオリゴヌクレオチド(複数可)は、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である。
【0101】
好適には、フラップエンドヌクレアーゼはCleavase(登録商標)酵素である。
【0102】
好適には、乾燥組成物は、フラップエンドヌクレアーゼによって認識され得る三次元構造を形成するように標的核酸にアニーリングすることができる少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0103】
好適には、乾燥組成物は、少なくとも1つのポリメラーゼをさらに含む。
【0104】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、水溶液中約0.10U/μl~約0.2U/μlの濃度で水溶液中に存在するポリメラーゼを含む。
【0105】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、約0.1U/ul~約0.25U/ulから選択される濃度で水溶液中に存在するポリメラーゼを含む。
【0106】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、ホットスタートポリメラーゼであるポリメラーゼを含む。
【0107】
好適には、ホットスタートポリメラーゼは、ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を特異的に遮断する抗体によって結合された組換えTaq DNAポリメラーゼである。
【0108】
好適には、ホットスタートポリメラーゼは、化学修飾された組換えTaq DNAポリメラーゼであり、化学修飾は、ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を阻害する。
【0109】
好適には、少なくとも1つのポリメラーゼは、好適には、約0.1U/μl~約0.6U/μlの濃度で、水溶液中に存在する逆転写酵素を含む。
【0110】
好適には、逆転写酵素はAMV逆転写酵素である。
【0111】
好適には、逆転写酵素はMMLV逆転写酵素である。
【0112】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、検出プローブを含む。
【0113】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、検出プローブを含む。
【0114】
好適には、検出プローブの配列は、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である。
【0115】
好適には、検出プローブは、それに共有結合した標識を含む。
【0116】
好適には、標識は、蛍光分子または化学発光分子である。
【0117】
好適には、標識は、検出プローブおよび内部消光分子の5’末端に位置する。
【0118】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、インベーダープローブを含む。
【0119】
好適には、インベーダープローブの配列は、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である。
【0120】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、シグナル伝達プローブを含む。
【0121】
好適には、シグナル伝達プローブの配列は、標的核酸配列に部分的に相補的である。
【0122】
好適には、シグナル伝達プローブの配列は、フラップ領域を含む。
【0123】
好適には、フラップ領域は、インベーダープローブと少なくとも部分的に重複する。
【0124】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、FRETプローブを含む。
【0125】
好適には、FRETプローブの配列は、シグナル伝達プローブのフラップ領域に部分的に相補的である。
【0126】
好適には、FRETプローブは、それに共有結合した標識を含む。
【0127】
好適には、標識は蛍光分子である。
【0128】
好適には、標識はFRETプローブの5’末端に位置する。好適には、FRETプローブは、蛍光分子を消光できる近接範囲内で、該プローブに共有結合し、かつ蛍光分子からの蛍光を少なくとも部分的に消光することができる、消光分子を含む。
【0129】
好適には、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、標的捕捉プローブを含む。
【0130】
好適には、標的捕捉プローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸に特異的または非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する。
【0131】
好適には、標的捕捉プローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸に非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する。
【0132】
好適には、標的捕捉プローブの非特異的標的ハイブリダイズ部分は、ランダムに配置されたKヌクレオチドまたはランダムに配置されたRヌクレオチドを含む。
【0133】
好適には、組成物は、多重分子アッセイを行うためのオリゴヌクレオチドを含む。
【0134】
好適には、増量剤はトレハロースである。
【0135】
好適には、乾燥組成物は、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む。
【0136】
好適には、有機緩衝液は、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液である。
【0137】
好適には、有機緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である。
【0138】
好適には、乾燥組成物は球状タンパク質を含む。
【0139】
好適には、球状タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)である。
【0140】
好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)は、非アセチル化BSA、好適には、超高純度非アセチル化BSAである。
【0141】
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される混合物を形成する方法もまた開示され、該方法は、再構成溶液と本明細書に記載の乾燥組成物とを組み合わせることを含み、再構成溶液は、少なくとも1つの無機塩を含む。
【0142】
好適には、再構成溶液は、1mM未満の無機塩濃度を含む。
【0143】
好適には、再構成溶液は、マグネシウムイオンを含む。
【0144】
好適には、再構成溶液は、約5mM~約15mM、好適には、9mM~10mMまたは9~12mM、任意選択的に11.25mMの濃度のMgClを含む。
【0145】
好適には、再構成溶液は、約0.012%w/v~約0.020%w/vの濃度のメチルパラベン、約0.006%w/v~約0.010%w/vの濃度のプロピルパラベン、約0.20%v/v~約0.30%v/vの濃度の無水エタノール、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0146】
好適には、再構成溶液中のメチルパラベンの濃度は0.016%w/vである。
【0147】
好適には、再構成溶液中のプロピルパラベンの濃度は0.008%w/vである。
【0148】
好適には、無水エタノールの濃度は、約0.26%v/vで再構成溶液中に存在する。
【0149】
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される乾燥組成物を調製するための方法もまた開示され、該方法は、(i)本開示の水溶液を凍結させ、それによって水溶液の凍結形態を形成するステップと、(ii)ステップ(i)からの凍結形態を凍結乾燥条件に曝露し、それによって乾燥組成物を形成するステップと、を含む。
【0150】
好適には、乾燥組成物は湿潤環境に曝露され、湿潤環境の絶対湿度レベルは、30℃で空気1立方メートル当たり2.3グラムを超える水である。
【0151】
好適には、乾燥組成物は、最大3時間まで湿潤環境に曝露される。
【0152】
好適には、この方法は、乾燥組成物を密封容器に保存するステップを含む。
【0153】
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される乾燥組成物を調製するための方法もまた開示され、該方法は、脱水、乾燥、凍結乾燥、および噴霧乾燥からなる群から選択される乾燥方法を用いて、本開示に記載の水溶液を乾燥させるステップと、それによって乾燥組成物を形成するステップと、を含む
【0154】
好適には、乾燥方法は凍結乾燥であり、乾燥組成物は凍結乾燥組成物である。
【0155】
好適には、この方法は、乾燥組成物を密封容器に保存するステップをさらに含む。
【0156】
核酸に基づくアッセイを行う際に使用されるキットもまた開示され、該キットは、本明細書に記載の乾燥組成物を含む第1の容器と、約3.8mM~約14.4mM、好適には、約9.4mMまたは約11.25の濃度のMgClを含む再構成溶液を含む第2の容器と、を含む。
【0157】
好適には、第1の容器は、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートである。
【0158】
好適には、1つ以上のウェルの各々は、0.311%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0159】
好適には、第1および第2の容器は、第2の容器から第1の容器への再構成溶液の自動移送に適合したデバイス内に組み込まれる。
【0160】
好適には、1つ以上のウェルの各々は、各ウェルに乾燥単一単位用量ペレットを形成するように乾燥させた水溶液の各マイクロリットルに対して約0.000125g~約0.000667gの重量の乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0161】
好適には、1つ以上のウェルの各々は、約0.003g~約0.004g、約0.0032g~約0.0037g、0.0033g、0.0034g、0.0035g、または0.0036gの範囲内の重量を各々有する乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0162】
有機緩衝液、増量剤、塩化物イオン、およびキレート剤を含む水溶液を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる、透析組成物も開示される。
【0163】
好適には、増量剤はトレハロースである。
【0164】
好適には、増量剤は、約100mM~300mM、好適には200mMの濃度で存在する。
【0165】
好適には、有機緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である。
【0166】
好適には、トリス緩衝液は、水溶液中10mM~30mMの濃度で、好適には、水溶液中20mMの濃度で存在する。好適には、pHは約8.0である。
【0167】
好適には、塩化物イオンはKClである。
【0168】
好適には、KClは、約40~60mM、好適には50mMの濃度で存在する。
【0169】
好適には、キレート剤はEDTAである。
【0170】
好適には、EDTAは、0.05~0.2mM、好適には0.1mMの濃度で水溶液中に存在する。
【0171】
好適には、組成物は、フラップエンドヌクレアーゼ、好適には、Cleavase(登録商標)酵素を含む。
【0172】
グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を調製するための方法もまた開示され、該方法は、(i)フラップエンドヌクレアーゼおよびグリセロールを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる水溶液を提供することと、(ii)水溶液を本明細書に記載の透析組成物に透析することと、(iii)グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を取得することと、を含む。
【0173】
好適には、ステップ(i)の水溶液は、約0.0~約0.5%(w/v)のグリセロール、好適には約0.35%(w/v)のグリセロール、より好適には0.2%(w/v)未満のグリセロールを含む。
【0174】
乾燥フラップエンドヌクレアーゼ含有組成物を調製するための本明細書に記載の乾燥組成物の使用もまた開示される。
【0175】
核酸に基づくアッセイを行うための再構成溶液と組み合わせた本明細書に記載の乾燥組成物の使用もまた開示される。
【0176】
グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を調製するための本明細書に記載の透析組成物の使用もまた開示される。
【0177】
定義
「約」という用語は、組成物の活性または安定性にいかなる有意な影響も及ぼさない組成物の成分の量におけるごくわずかな変動を示す。
【0178】
「増量剤」は、乾燥および保存中にタンパク質および他の試薬の沈殿のためのマトリックスを提供する。(Carpenter et al(2002)Rational design of stable lyophilized protein formulations.Kluwer Academic/Plenum,New York,pp.109-133)。増量剤は、生成物の「ケーキ」または他の構造を形成するために使用することができ、乾燥中にバイアルからタンパク質が失われるのを防ぎ、タンパク質の安定性を高める。
【0179】
「キレート剤」は、酵素活性に必要なMg2+またはMn2+等の二価イオンを隔離する薬剤である。
【0180】
「凍結乾燥」、「凍結乾燥された」、および「フリーズドライされた」という用語は、乾燥される材料が、最初に凍結され、次いで、真空環境において昇華によって氷または凍結溶媒が除去されるプロセスを指す。「凍結乾燥物」は、凍結乾燥された物質を指す。
【0181】
核酸ハイブリダイゼーションに関する「ストリンジェント」という用語(「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」を含む)は、特定のオリゴヌクレオチドが試験試料中に存在する他の核酸よりも標的核酸とハイブリダイズできる条件を指す。これらの条件は、オリゴヌクレオチドのGC含量および長さ、ハイブリダイゼーション温度、ハイブリダイゼーション試薬または溶液の組成、および求められるハイブリダイゼーション特異性の程度を含む要因に応じて変化し得ることを理解されたい。プローブ、オリゴヌクレオチド、標的捕捉ヌクレオチド、遮断薬、および他のヌクレオチドに関する適切なハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野において周知であり、配列組成に基づいて予測され得るか、または日常的な試験方法を用いることによって決定することができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)、§§1.90-1.91、7.37-7.57、9.47-9.51および11.47-11.57、特に§§9.50-9.51、11.12-11.13、11.45-11.47および11.55-11.57)。
【0182】
「切断構造」という用語は、2つの核酸が各々第3の核酸上の単一の核酸塩基位置でハイブリダイズするように構成される核酸塩基を含む構成を形成するように、いくつかの核酸の相互作用によって形成される構造を指し、最初の2つの核酸の間にオーバーラップが形成され、結果として得られる非ハイブリダイズフラップ領域(例えば、切断構造)がフラップエンドヌクレアーゼによって切断可能である。切断構造は、二次構造に関係なく核酸分子を切断するホスホジエステラーゼ等の薬剤による非特異的切断のための基質である核酸分子とは対照的に、フラップエンドヌクレアーゼによる特異的切断のための基質である(すなわち、二重構造の形成は必要ではない)。切断構造に関する考察、およびフラップエンドヌクレアーゼ検出アッセイの他の態様については、米国特許第5,846,717号を参照されたい。
【0183】
「フラップエンドヌクレアーゼ」は、本明細書で使用される場合、核酸の別の鎖によって置換された鎖の一方に一本鎖5’オーバーハングまたはフラップを含む(すなわち、隣接する第1および第2のプローブが標的にハイブリダイズする重複ヌクレオチドが存在するように)二重鎖を有する核酸構造に対して、構造特異的5’エンドヌクレアーゼとして作用する核酸分解酵素のクラスを指す。フラップエンドヌクレアーゼはまた、「5’エンドヌクレアーゼ」、または略して「FEN」という頭文字で称され得る。FENは、一本鎖および二本鎖核酸の接合部でホスホジエステル結合の加水分解切断を触媒し、オーバーハングまたはフラップを放出する。FENは、Ceska and Savers(Trends Biochem.Sci.23:331-336,1998)およびLiu et al.(Annu.Rev.Biochem.73:589-615,2004)によって検討されている。
【0184】
「オーバーラップ領域」または「フラップ領域」は、標的にハイブリダイズし、第2のプローブオリゴヌクレオチド(例えば、インベーダープローブ)によって重複される第1のプローブオリゴヌクレオチド(例えば、シグナルプローブ)の単数または複数の塩基からなる。第2のプローブオリゴヌクレオチドの3’末端の塩基は、オーバーラップ領域の末端を決定し、標的にハイブリダイズしてもまたはしなくてもよい。
【0185】
切断に基づくアッセイに関する「第1のプローブオリゴヌクレオチド」は、標的核酸と相互作用して、第1のプローブオリゴヌクレオチド(例えば、インベーダープローブ)の上流の領域とハイブリダイズする「第2のプローブオリゴヌクレオチド」の存在下で切断構造を形成するオリゴヌクレオチド(例えば、シグナルプローブ)を指す。標的核酸にアニーリングされると、第1のプローブオリゴヌクレオチドおよび標的は切断構造を形成し、フラップエンドヌクレアーゼによる切断が第1のプローブオリゴヌクレオチド内で生じ得る。標的核酸に沿った第1のプローブオリゴヌクレオチドの上流の重複する第2のプローブオリゴヌクレオチドの存在下で、第1のプローブオリゴヌクレオチド内の切断部位は、最後の重複塩基の後に生じる(切断は、第1のプローブの標的ハイブリダイズ塩基を有する第2のプローブの少なくとも1つの重複塩基に依存する)。標的核酸内の標的配列にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ領域に加えて、第1のプローブオリゴヌクレオチドは、5’末端に非標的ハイブリダイズ領域(「フラップ領域」とも称される)を含む。第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドが標的核酸にアニーリングされると、フラップエンドヌクレアーゼによる部位特異的切断が生じ、フラップ領域と、第一プローブオリゴヌクレオチドのオーバーラップ領域とを含む切断産物が生成される。
【0186】
切断に基づくアッセイに関する「第2のプローブオリゴヌクレオチド」は、標的核酸にアニーリングされると、下流の第1のプローブオリゴヌクレオチド内の標的ハイブリダイズ配列の5’末端と重複するその3’末端に配列を含むオリゴヌクレオチドを指す。典型的には、これらの領域は、相補的な標的核酸に沿った同じセグメントへのハイブリダイゼーションについて競合する。第2のプローブは、場合によっては、プライマーだけでなくインベーダープローブとしても使用することができる。第2のプローブオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは、標的核酸中のヌクレオチドと塩基対を形成してもまたはしなくてもよい。いくつかの変形例において、3’末端ヌクレオチドのみが、第1のプローブオリゴヌクレオチドの標的ハイブリダイズ配列の5’末端と重複する。切断された第2のプローブオリゴヌクレオチドは、二次反応に関与することができ、Cleavase(登録商標)酵素によって認識される重複構造の形成をもたらす蛍光共鳴エネルギー移動カセット(例えば、FRETプローブまたはFRETカセット)に対するプローブとして作用する。FRETカセットが切断されると、蛍光シグナルを生成するFRETカセットの消光剤からフルオロフォアが放出される。
【0187】
本明細書で使用される場合、「FRETカセット」という用語は、フルオロフォア部分と、フルオロフォアを消光する近傍の消光剤部分とを含むヘアピンオリゴヌクレオチドを指す。切断産物とFRETカセットとのハイブリダイゼーションにより、フラップエンドヌクレアーゼの二次基質が生成される。この基質が形成されると、5’フルオロフォア含有塩基がカセットから切断され、それによって蛍光シグナルが生成される。
【0188】
「増幅オリゴマー」は、テンプレート依存性複製を支持することができるプライマーまたはプロモータープライマーである。増幅オリゴマー対は、テンプレートの対向鎖のテンプレート依存性複製を支持するそのようなオリゴマーの対である。多重増幅は、複数の増幅オリゴマー対で同時に行われる増幅である。
【0189】
「検出プローブ」は、増幅産物または初期標的核酸にハイブリダイズして、増幅産物の存在または量を明らかにすることができるオリゴヌクレオチドである。そのような検出プローブは、しばしば、蛍光または他の検出可能なシグナルを生じる分子を組み込んでおり、その場合、それらは検出可能に標識されたプローブと称される。
【0190】
「プライマープローブセット」は、テンプレート核酸から増幅産物を生成するように構成されたプライマーと検出プローブとの組み合わせである。
【0191】
「再構成時間」は、乾燥製剤を溶液で再水和して、肉眼では粒子または濁りのない溶液をもたらすのに必要な時間である。
【0192】
「相対蛍光単位(RFU)」は、消光されていないフルオロフォアの尺度である。核酸ベースの増幅反応において、生成物の存在は、いくつかのサイクル時間(Ct)にRFUを測定することによって決定される。
【0193】
「Ct」は、リアルタイムPCRにおいて対数期に到達するのに必要であったサイクル数を指す。Ctは、試料中の分析物の量に逆相関する。
【0194】
「陽性」は、アッセイ反応結果に言及する場合、複数の試料を含む試験において指数閾値を超えた試料の割合を指す。例えば、複数の試料が12個の試料であり、閾値を超えた試料の数が6であると決定された場合、陽性は「50%」である。
【0195】
「単一単位用量」または「SUD」は、単一試料に対してアッセイを行うために使用される反応混合物の体積を指す。単一単位用量は、液体形態または乾燥形態であり得る。例として、単一単位用量は、単一容器内の単一試料の検出に有用な試薬を含む乾燥ペレットであり得る。
【0196】
「LOD」は、分析物の検出限界である。LOD+1は、ユーザーが検出したLOD+1対数である。換言すると、LOD+1はLODである分析物の数の10倍である。
【0197】
dTTPおよびdUTPを含むとして開示された組成物は、示された濃度でdTTPまたはdUTPまたは両方を含むことができる。同様に、組成物がdTTPまたはdUTPを含むとして開示される場合、その開示は、示された濃度でdTTPおよびdUTPの両方を含む組成物を代替的に含むと理解されるべきである。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、および有機緩衝液を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる、水溶液の組成物であって、前記水溶液が5mM以下の無機塩濃度を有し、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、組成物。
(項目2)
前記水溶液が、分子アッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記水溶液が、核酸に基づくアッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目1または項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、プローブオリゴヌクレオチド、好適には少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドを含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記プローブオリゴヌクレオチド(複数可)が、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記フラップエンドヌクレアーゼがCleavase(登録商標)酵素である、項目1~5のいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記フラップエンドヌクレアーゼによって認識され得る三次元構造を形成するように標的核酸にアニーリングすることができる、少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドを含む、項目2~6のいずれかに記載の組成物。
(項目8)
少なくとも1つのポリメラーゼをさらに含む、項目1~7に記載の組成物。
(項目9)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、前記水溶液中約0.10U/μl~約0.2U/μlの濃度で前記水溶液中に存在するポリメラーゼを含む、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、0.14U/μl、0.146U/μl、および0.1686U/μlから選択される濃度で前記水溶液中に存在するポリメラーゼを含む、項目8または項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、ホットスタートポリメラーゼであるポリメラーゼを含む、項目8~10のいずれかに記載の組成物。
(項目12)
前記ホットスタートポリメラーゼが、組換えTaq DNAポリメラーゼであり、好適には、前記ポリメラーゼが、前記ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を特異的に遮断する抗体によって結合される、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記ホットスタートポリメラーゼが、化学修飾された組換えTaq DNAポリメラーゼであり、前記化学修飾が、前記ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を阻害する、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、好適には、約0.1U/μl~約4.0U/μlの濃度で、前記水溶液中に存在する逆転写酵素を含む、項目8~13のいずれかに記載の組成物。
(項目15)
前記逆転写酵素がAMV逆転写酵素である、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記逆転写酵素がMMLV逆転写酵素である、項目14に記載の組成物。
(項目17)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、インベーダープローブを含む、項目2~16のいずれかに記載の組成物。
(項目18)
前記インベーダープローブの配列が、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である、項目17に記載の組成物。
(項目19)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、シグナル伝達プローブを含む、項目2~18のいずれかに記載の組成物。
(項目20)
前記シグナル伝達プローブの配列が、標的核酸配列に部分的に相補的である、項目19に記載の組成物。
(項目21)
前記シグナル伝達プローブの前記配列が、フラップ領域を含む、項目19または項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記フラップ領域が、インベーダープローブと少なくとも部分的に重複する、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、FRETプローブを含む、項目2~22のいずれかに記載の組成物。
(項目24)
前記FRETプローブの配列が、シグナル伝達プローブの前記フラップ領域に部分的に相補的である、項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記FRETプローブが、それに共有結合した標識を含む、項目23または項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記標識が蛍光分子である、項目25に記載の組成物。
(項目27)
前記標識が前記FRETプローブの5’末端に位置する、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記FRETプローブが、前記蛍光分子を消光する近接範囲内で、該プローブに共有結合し、かつ前記蛍光分子からの蛍光を少なくとも部分的に消光することができる、消光分子を含む、項目23~27のいずれかに記載の組成物。
(項目29)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、標的捕捉プローブを含む、項目2~28のいずれかに記載の組成物。
(項目30)
前記標的捕捉プローブが、ストリンジェントな条件下で標的核酸に特異的または非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する、項目29に記載の組成物。
(項目31)
前記水溶液が、多重分子アッセイを行うための2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、項目2~30のいずれか一項に記載の組成物。
(項目32)
前記増量剤がトレハロースである、項目1~31のいずれかに記載の組成物。
(項目33)
前記増量剤が、約0.2M~約0.5M、好適には約0.36Mまたは約0.47Mの濃度で存在する、項目1~32のいずれかに記載の組成物。
(項目34)
前記無機塩が、約0.373μg/μl~約0.029μg/μl1マイクロリットル当たりの質量で存在する、項目1~33のいずれかに記載の組成物。
(項目35)
前記無機塩が塩化ナトリウムであり、好適には、前記塩化ナトリウムが、約0.292μg/μl~約0.35μg/μl、好適には約0.32ug/ulの1マイクロリットル当たりの質量で存在する、項目1~34のいずれかに記載の組成物。
(項目36)
前記無機塩が塩化カリウムであり、好適には、前記塩化カリウムが、約0.373μg/μlの塩化カリウム~約0.019μg/μlの塩化カリウム、好適には約0.03ug/ulの1マイクロリットル当たりの質量で存在する、項目1~34のいずれかに記載の組成物。
(項目37)
前記水溶液が、約0.135μg/μlのナトリウムイオン~約0.006μg/μlのナトリウムイオン、好適には約0.127ug/ulを含む、項目1~36のいずれかに記載の組成物。
(項目38)
前記水溶液が、約0.196μg/μlのカリウムイオン~約0.010μg/μlのカリウムイオン、好適には約0.016ug/ulのカリウムイオンを含む、項目1~37のいずれかに記載の組成物。
(項目39)
前記水溶液が、約0.355μg/μlの塩化物イオン~約0.009μg/μlの塩化物イオン、好適には約0.337ug/ulを含む、項目1~38のいずれかに記載の組成物。
(項目40)
前記水溶液が4mM以下の無機塩濃度を含む、項目1~39のいずれかに記載の組成物。
(項目41)
前記水溶液が、約0.298μg/μl~約0.234μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む、項目40に記載の組成物。
(項目42)
前記水溶液が、約0.284μg/μl~約0.071μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む、項目40または41に記載の組成物。
(項目43)
前記水溶液が、3mM以下の無機塩濃度を含む、項目1~42のいずれかに記載の組成物。
(項目44)
前記水溶液が、約0.224μg/μl~約0.175μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む、項目43に記載の組成物。
(項目45)
前記水溶液が、約0.213μg/μl~約0.053μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む、項目43または項目44に記載の組成物。
(項目46)
前記水溶液が、2mM以下の無機塩濃度を含む、項目1~45のいずれかに記載の組成物。
(項目47)
前記水溶液が、約0.149μg/μl~約0.117μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む、項目46に記載の組成物。
(項目48)
前記水溶液が、約0.142μg/μl~約0.036μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む、項目46または47に記載の組成物。
(項目49)
前記水溶液が、1mM以下の無機塩濃度を含む、項目1~48のいずれか一項に記載の組成物。
(項目50)
前記水溶液が、約0.075μg/μl~約0.058μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む、項目49に記載の組成物。
(項目51)
前記水溶液が、約0.071μg/μl~約0.018μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む、項目49または50に記載の組成物。
(項目52)
前記水溶液が、500μM以下の無機塩濃度を含む、項目1~51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目53)
前記水溶液が、約0.037μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の無機塩を含む、項目52に記載の組成物。
(項目54)
前記水溶液が、約0.036μg/μl~約0.009μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量の塩化物イオンを含む、項目52または53に記載の組成物。
(項目55)
前記水溶液の前記無機塩濃度が、1mM未満の塩化ナトリウムである、項目1~54のいずれかに記載の組成物。
(項目56)
前記水溶液が塩化ナトリウムを含まない、項目1~55のいずれかに記載の組成物。
(項目57)
前記水溶液が1mM未満のマグネシウムイオンを含む、項目1~56のいずれかに記載の組成物。
(項目58)
前記水溶液が、0.1mM未満のマグネシウムイオンを含む、項目1~57のいずれかに記載の組成物。
(項目59)
前記水溶液が、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む、項目1~58のいずれかに記載の組成物。
(項目60)
前記dNTPが、前記水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.29~0.46mMの濃度のdATPを含む、項目59に記載の組成物。
(項目61)
dATPが、前記水溶液中0.3mM~0.4mM、例えば、0375mMの濃度である、項目59または60に記載の組成物。
(項目62)
前記dNTPが、前記水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.29~0.46mMの濃度のdGTPを含む、項目1~61のいずれかに記載の組成物。
(項目63)
前記dGTPが、前記水溶液中0.3mM~0.4mM、例えば0.375mMの濃度である、項目62に記載の組成物。
(項目64)
前記dNTPが、前記水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.29~0.46mMの濃度のdCTPを含む、項目1~63のいずれかに記載の組成物。
(項目65)
前記dCTPが、前記水溶液中0.3mM~0.4mM、例えば、0.375mMの濃度である、項目64に記載の組成物。
(項目66)
前記dNTPが、前記水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.2~0.37mM、例えば0.284mMの濃度のdTTPを含む、項目1~65のいずれかに記載の組成物。
(項目67)
前記dTTPが、前記水溶液中0.3mM~0.4mMの濃度である、項目66に記載の組成物。
(項目68)
前記dNTPが、前記水溶液中0.1mM~0.4mM、好適には0.125~0.234mM、例えば0.182mMの濃度のdUTPを含む、項目1~67のいずれかに記載の組成物。
(項目69)
前記dUTPが、前記水溶液中0.3mM~0.4mMの濃度である、項目68に記載の組成物。
(項目70)
前記フラップエンドヌクレアーゼが、約0.020μg/μl~約0.040μg/μlで前記水溶液中に存在する、項目1~69のいずれかに記載の組成物。
(項目71)
前記フラップエンドヌクレアーゼが、約0.030μg/μl~約0.04μg/μlで前記水溶液中に存在し、好適には、前記フラップエンドヌクレアーゼが、約0.030μg/μl~約0.035μg/μlで前記水溶液中に存在する、項目70に記載の組成物。
(項目72)
前記有機緩衝液が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液である、項目1~71のいずれかに記載の組成物。
(項目73)
前記MOPS緩衝液が、前記水溶液中10~20mMの濃度で、好適には、前記水溶液中12.5mM~15mMの濃度で存在する、項目72に記載の組成物。
(項目74)
前記有機緩衝液が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である、項目1~71のいずれかに記載の組成物。
(項目75)
前記トリス緩衝液が、前記水溶液中40mM~60mMの濃度で、好適にが、前記水溶液中50mMの濃度で存在する、項目74に記載の組成物。
(項目76)
前記組成物が、球状タンパク質を含む、項目1~75のいずれかに記載の組成物。
(項目77)
前記球状タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)である、項目76に記載の組成物。
(項目78)
前記ウシ血清アルブミン(BSA)が、非アセチル化BSA、好適には、超高純度非アセチル化BSAである、項目77に記載の組成物。
(項目79)
前記球状タンパク質が、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在する、項目76~78のいずれかに記載の組成物。
(項目80)
Cleavase(登録商標)酵素、トレハロース、MOPS緩衝液、dNTP、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目1~79のいずれかに記載の組成物。
(項目81)
約0.030μg/μlで前記水溶液中に存在するCleavase(登録商標)、約0.3Mの濃度で存在するトレハロース、約12.5mMの濃度のMOPS緩衝液、各々約0.3mMの濃度のdNTP、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目80に記載の組成物。
(項目82)
Cleavase(登録商標)酵素、トレハロース、トリス緩衝液、dNTP、ウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目1~81のいずれかに記載の組成物。
(項目83)
約0.030μg/μlで前記水溶液中に存在するCleavase(登録商標)酵素、約0.3Mの濃度で存在するトレハロース、約50mMの濃度のトリス緩衝液、各々約0.3mMの濃度のdNTP、約0.5μg/μlのウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目82に記載の組成物。
(項目84)
Cleavase(登録商標)酵素、トレハロース、MOPS緩衝液、dNTP、ウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目1~83のいずれかに記載の組成物。
(項目85)
約0.035μg/μlで前記水溶液中に存在するCleavase(登録商標)酵素、約0.36Mの濃度で存在するトレハロース、約15mMの濃度のMOPS緩衝液、各々約0.38mMの濃度のdNTP、約0.5μg/μlのウシ血清アルブミン、5mM以下の無機塩濃度を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり、前記組成物がグリセロールを実質的に含まない、項目84に記載の組成物。
(項目86)
例えば、0.1~0.5μg/mlのα-シクロデキストリンをさらに含む、項目1~85のいずれかに記載の組成物。
(項目87)
項目1~85のいずれかに記載の組成物の、乾燥形態。
(項目88)
フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、および有機緩衝液を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる乾燥組成物であって、1つ以上の無機塩が、前記乾燥組成物の全質量の0.350%以下の質量で前記乾燥組成物中に存在し、前記乾燥組成物がグリセロールを実質的に含まない、乾燥組成物。
(項目89)
前記1つ以上の無機塩が、前記乾燥組成物の全質量の約0.311%~約0.024%の質量で前記乾燥組成物中に存在する、項目88に記載の乾燥組成物。
(項目90)
前記1つ以上の無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化ナトリウムと塩化カリウムの両方からなる群から選択される、項目88または89に記載の乾燥組成物。(項目91)
分子アッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目88~90のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目92)
核酸に基づくアッセイを行うのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目88~91のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目93)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、プローブオリゴヌクレオチド、好適には少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドを含む、項目91または92に記載の乾燥組成物。
(項目94)
前記プローブオリゴヌクレオチド(複数可)が、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である、項目93に記載の乾燥組成物。
(項目95)
前記フラップエンドヌクレアーゼがCleavase(登録商標)酵素である、項目88~94のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目96)
前記フラップエンドヌクレアーゼによって認識され得る三次元構造を形成するように標的核酸にアニーリングすることができる少なくとも2つのプローブオリゴヌクレオチドを含む、項目95に記載の乾燥組成物。
(項目97)
少なくとも1つのポリメラーゼをさらに含む、項目88~96のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目98)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、前記水溶液中約0.10U/μl~約0.2U/μlの濃度で前記水溶液中に存在するポリメラーゼを含む、項目97に記載の乾燥組成物。
(項目99)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、0.14U/μl、0.146U/μl、および0.1686U/μlから選択される濃度で前記水溶液中に存在するポリメラーゼを含む、項目97に記載の乾燥組成物。
(項目100)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、ホットスタートポリメラーゼであるポリメラーゼを含む、項目97~99のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目101)
前記ホットスタートポリメラーゼが、組換えTaq DNAポリメラーゼであり、好適には、前記ポリメラーゼが、前記ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を特異的に遮断する抗体によって結合される、項目100に記載の乾燥組成物
(項目102)
前記ホットスタートポリメラーゼが、化学修飾された組換えTaq DNAポリメラーゼであり、前記化学修飾が、前記ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を阻害する、項目101に記載の乾燥組成物。
(項目103)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、好適には、約0.1U/μl~約0.6U/μlの濃度で、前記水溶液中に存在する逆転写酵素を含む、項目97~102のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目104)
前記逆転写酵素がAMV逆転写酵素である、項目103に記載の乾燥組成物。
(項目105)
前記逆転写酵素がMMLV逆転写酵素である、項目103に記載の乾燥組成物。
(項目106)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、インベーダープローブを含む、項目92~105のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目107)
前記インベーダープローブの配列が、標的核酸配列に部分的または完全に相補的である、項目106に記載の乾燥組成物。
(項目108)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、シグナル伝達プローブを含む、項目91~107のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目109)
前記シグナル伝達プローブの配列が、標的核酸配列に部分的に相補的である、項目108に記載の乾燥組成物。
(項目110)
前記シグナル伝達プローブの前記配列が、フラップ領域を含む、項目108または項目109に記載の乾燥組成物。
(項目111)
前記フラップ領域が、インベーダープローブと少なくとも部分的に重複する、項目110に記載の乾燥組成物。
(項目112)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、FRETプローブを含む、項目91~111のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目113)
前記FRETプローブの配列が、シグナル伝達プローブの前記フラップ領域に部分的に相補的である、項目112に記載の乾燥組成物。
(項目114)
前記FRETプローブが、それに共有結合した標識を含む、項目112または項目113に記載の乾燥組成物。
(項目115)
前記標識が蛍光分子である、項目114に記載の乾燥組成物。
(項目116)
前記標識が前記FRETプローブの5’末端に位置する、項目115に記載の乾燥組成物。
(項目117)
前記FRETプローブが、前記蛍光分子を消光する近接範囲内で、該プローブに共有結合し、かつ前記蛍光分子からの蛍光を少なくとも部分的に消光することができる、消光分子を含む、項目112~116のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目118)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、標的捕捉プローブを含む、項目91~117のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目119)
前記標的捕捉プローブが、ストリンジェントな条件下で標的核酸に特異的または非特異的にハイブリダイズする標的ハイブリダイズ部分を有する、項目118に記載の乾燥組成物。
(項目120)
前記水溶液が、多重分子アッセイを行うためのオリゴヌクレオチドを含む、項目91~119のいずれか一項に記載の乾燥組成物。
(項目121)
前記増量剤がトレハロースである、項目91~120のいずれかに記載の乾燥組成物。(項目122)
前記組成物が、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む、項目91~121のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目123)
前記有機緩衝液が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液である、項目91~122のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目124)
前記有機緩衝液が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である、項目91~122のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目125)
前記乾燥組成物が、球状タンパク質を含む、項目91~124のいずれかに記載の乾燥組成物。
(項目126)
前記球状タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)である、項目125に記載の乾燥組成物。
(項目127)
前記ウシ血清アルブミン(BSA)が、非アセチル化BSA、好適には、超高純度非アセチル化BSAである、項目126に記載の乾燥組成物。
(項目128)
前記乾燥組成物の質量が、約0.003g~約0.004g、もしくは約0.0032g~約0.0037g、もしくは0.0033g、もしくは0.0034g、もしくは0.0035g、もしくは0.0036gである、または前記乾燥組成物を形成するように乾燥させた水溶液1マイクロリットル当たり約0.000125g~約0.000667gである、項目87~127のいずれか一項に記載の乾燥組成物。
(項目129)
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される混合物を形成する方法であって、再構成溶液と項目87~128のいずれか一項に記載の乾燥組成物とを組み合わせることを含み、前記再構成溶液が、少なくとも1つの無機塩を含む、方法。
(項目130)
前記再構成溶液が、1mM未満の無機塩濃度を含む、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記再構成溶液が、マグネシウムイオンを含む、項目129または130に記載の方法。
(項目132)
前記再構成溶液が、約5mM~約15mM、好適には9mM~12、例えば、11.25mMの濃度のMgClを含む、項目131に記載の方法。
(項目133)
前記再構成溶液が、約0.012%w/v~約0.020%w/vの濃度のメチルパラベン、約0.006%w/v~約0.010%w/vの濃度のプロピルパラベン、約0.20%v/v~約0.30%v/vの濃度の無水エタノール、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目129~132のいずれか一項に記載の方法。
(項目134)
前記再構成溶液中の前記メチルパラベンの前記濃度が0.016%w/vである、項目133に記載の方法。
(項目135)
前記再構成溶液中の前記プロピルパラベンの前記濃度が0.008%w/vである、項目133または項目134に記載の方法。
(項目136)
前記無水エタノールの前記濃度が、約0.26%v/vで前記再構成溶液中に存在する、項目133~135のいずれかに記載の方法。
(項目137)
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される乾燥組成物を調製するための方法であって、(i)項目1~78のいずれか一項に記載の水溶液を凍結させ、それによって前記水溶液の凍結形態を形成するステップと、(ii)ステップ(i)からの前記凍結形態を凍結乾燥条件に曝露し、それによって乾燥組成物を形成するステップと、を含む、方法。
(項目138)
前記乾燥組成物が湿潤環境に曝露され、前記湿潤環境の絶対湿度レベルが、30℃で空気1立方メートル当たり2.3グラムを超える水である、項目137に記載の方法。
(項目139)
前記乾燥組成物が、最大3時間まで前記湿潤環境に曝露される、項目138に記載の方法。
(項目140)
前記乾燥組成物を密封容器に保存するステップをさらに含む、項目137~139のいずれかに記載の方法。
(項目141)
前記乾燥組成物の質量が、約0.003g~約0.004g、もしくは約0.0032g~約0.0037g、もしくは0.0033g、もしくは0.0034g、もしくは0.0035g、もしくは0.0036gである、または前記乾燥組成物を形成するように乾燥させた水溶液1マイクロリットル当たり約0.000125g~約0.000667gである、項目137~140のいずれか一項に記載の方法。
(項目142)
核酸に基づくアッセイを行う際に使用される乾燥組成物を調製するための方法であって、脱水、乾燥、凍結乾燥、および噴霧乾燥からなる群から選択される乾燥方法を用いて、項目1~85のいずれか一項に記載の水溶液を乾燥させるステップと、それによって乾燥組成物を形成するステップと、を含む、方法。
(項目143)
乾燥方法が凍結乾燥であり、前記乾燥組成物が凍結乾燥組成物である、項目142に記載の方法。
(項目144)
前記乾燥組成物を密封容器に保存するステップをさらに含む、項目142または143に記載の方法。
(項目145)
核酸に基づくアッセイを行う際に使用されるキットであって、項目86~127のいずれか一項に記載の乾燥組成物を含む第1の容器と、約3.8mM~約4.4mMの濃度のMgClを含む再構成溶液を含む第2の容器と、を含む、キット。
(項目146)
前記第1の容器が、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートである、項目145に記載のキット。
(項目147)
前記1つ以上のウェルの各々が、0.311%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む、項目145に記載のキット。
(項目148)
前記第1および第2の容器が、前記第2の容器から前記第1の容器への前記再構成溶液の自動移送に適合したデバイス内に組み込まれる、項目145~147のいずれか一項に記載のキット。
(項目149)
有機緩衝液、増量剤、塩化物イオン、およびキレート剤を含む水溶液を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、透析組成物。
(項目150)
前記増量剤がトレハロースである、項目149に記載の透析組成物。
(項目151)
前記増量剤が、約100mM~300mM、好適には200mMの濃度で存在する、項目149または項目150に記載の透析組成物。
(項目152)
前記有機緩衝液が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である、項目149~151のいずれかに記載の透析組成物。
(項目153)
前記トリス緩衝液が、前記水溶液中10mM~30mMの濃度で、好適には、前記水溶液中50mMの濃度で存在する、項目152に記載の透析組成物。
(項目154)
前記塩化物イオンがKClである、項目149~153のいずれかに記載の透析組成物。
(項目155)
前記KClが、約40~60mM、好適には50mMの濃度で存在する、項目154に記載の透析組成物。
(項目156)
前記キレート剤がEDTAである、項目151~155のいずれかに記載の透析組成物。
(項目157)
前記EDTAが、0.05~0.2mM、好適には0.1mMの濃度で前記水溶液中に存在する、項目156に記載の透析組成物。
(項目158)
フラップエンドヌクレアーゼ、好適には、Cleavase(登録商標)酵素をさらに含む、項目149~157のいずれかに記載の透析組成物。
(項目159)
グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を調製するための方法であって、(i)フラップエンドヌクレアーゼおよびグリセロールを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる水溶液を提供することと、(ii)前記水溶液を項目149~158のいずれかに記載の透析組成物に透析すること、(iii)グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を取得することと、を含む、方法。
(項目160)
ステップ(i)の前記水溶液が、約0.3~約0.5%(w/v)のグリセロール、好適には、約0.35%(w/v)のグリセロールを含む、項目159に記載の方法。
(項目161)
乾燥フラップエンドヌクレアーゼ含有組成物を調製するための、項目1~86のいずれかに記載の水性組成物の使用。
(項目162)
核酸に基づくアッセイを行うための再構成溶液と組み合わせた、項目1~86のいずれかに記載の水性組成物の使用。
(項目163)
グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を調製するための、項目149~158のいずれかに記載の透析組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0198】
I.概説
本開示は、核酸に基づくアッセイを行うための従来の凍結乾燥キットの不安定性が無機塩の存在に起因するという知見に少なくとも一部基づいている。これらの塩は、乾燥前、乾燥中、および乾燥後に、望ましくないハイブリダイゼーション産物または他の副産物を生じ得る。これらの塩はまた、乾燥組成物が水を吸収するように該組成物を吸湿性にするため、湿気に対する限定された曝露、冷蔵もしくは超低温冷凍による保存および/または乾燥剤の存在下での保存を必要とする。水および塩の存在は、そのようなキットの酵素成分の活性を早期に喪失させ、またそのようなキット内の核酸の互いへのハイブリダイゼーションを促進し得る。本開示は、無機塩を本質的に含まないバルク試薬から核酸に基づくアッセイを実施するための試薬を乾燥させることにより、これらの問題を克服した。そのような塩は、乾燥組成物の再構成時に供給される。核酸に基づくアッセイに使用される酵素の安定性には無機塩が必要であるという予想に反して、無機塩を本質的に含まないように乾燥させた反応混合物は、再構成時に活性を完全または実質的に保持しながら、氷点より高い温度で長期間保存できることがわかっている。
【0199】
II.バルク試薬および乾燥ペレット
本開示によるバルク試薬(凍結乾燥前混合物、溶液、水溶液または組成物と称されることもある)は、典型的には、フラップエンドヌクレアーゼ、増量剤、有機緩衝液を含む。バルク試薬は、1つ以上の核酸および/またはdNTPを含んでもまたは含まなくてもよい。バルク試薬は、キレート剤およびRNase阻害剤を含んでもよい。
【0200】
そのようなバルク試薬は、無機塩を本質的に含まず、無機塩の濃度は、個々におよび集合的に、5mM未満、好ましくは1mM未満であることを意味する。好ましくは、Mg2+の濃度は、1mM未満、0.5mM未満、0.1mM未満、または0.05mM未満である。好ましくは、Na+の濃度は、1mM未満、0.5mM未満、0.1mM未満、または0.05mM未満である。好ましくは、K+の濃度は、1mM未満、0.5mM未満、0.1mM未満、または0.05mM未満である。好ましくは、Cl-の濃度は、1mM未満、0.5mM未満、0.1mM未満、または0.05mM未満である。
【0201】
そのようなバルク試薬は、グリセロールを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、グリセロールが、酵素調製物に一般的に使用される量で存在しないことを意味する。好適には、グリセロールは、5%(w/v)未満、4%(w/v)未満、3%(w/v)未満、2%(w/v)未満、1%(w/v)未満、0.5%(w/v)未満、0.1%(w/v)未満、または0.01%(w/v)未満の量で存在する。好適には、グリセロールは、当該技術分野で既知の従来の方法を用いて検出できない量で存在する。例えば、Abcam(Cambridge、UK)Glycerol Assay Kitを使用して、グリセロールを酵素的に酸化し、プローブと反応して色および蛍光を生成する生成物を生成することにより、遊離グリセロール濃度を測定することができる。このキットは、様々な試料において50pmol~10nmolのグリセロールを検出することができる。好適には、グリセロールは50pmol未満の濃度で存在する。
【0202】
反応混合物に組み込まれるヌクレオチドは、典型的にはdNTPとして提供される。dNTPの例示的な濃度は、0.1~0.4mMのdATP、好適には、0.3~0.4mMのdATP、好適には、0.29~0.46mMのdATP;0.1~0.4mMのdGTP、好適には、0.3~0.4mMのdGTP、好適には、0.29~0.4mMのdGTP;0.1~0.4mMのdCTP、好適には、0.3~0.4mMのdCTP、好適には、0.29~0.4mMのdCTP;0.1~0.4mMのdTTP、好適には、0.2~0.3mMのdATP;および0.1~0.4mMのdUTP、好適には、好適には、0.125~0.234mMのdUTPである。1.5×凍結乾燥混合物または最終反応物(すなわち、1.5×体積で再構成した後)における例示的な濃度は以下の通りである。
【0203】
【化1】
【0204】
そのような混合物は、フラップエンドヌクレアーゼを使用するあらゆる種類の反応に合わせてカスタマイズすることができる。そのような混合物は、フラップエンドヌクレアーゼおよびポリメラーゼを使用するあらゆる種類の反応に合わせてカスタマイズすることができる。
【0205】
フラップエンドヌクレアーゼは、市販されているか、またはユーザーによって調製されてもよい。フラップエンドヌクレアーゼは、5’ヌクレアーゼ活性のみを有する酵素に限定されない。例えば、フラップエンドヌクレアーゼは、5’ヌクレアーゼ活性を有する天然のDNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、E.coli DNAポリメラーゼI)、または合成活性を欠くことにより5’ヌクレアーゼ活性を有する修飾DNAポリメラーゼ(例えば、Cleavase(登録商標)酵素)であり得る。
【0206】
そのような混合物は、ポリメラーゼ酵素および他の成分の選択によって、PCR、RT-PCR、および転写媒介増幅を含む異なる種類の増幅に合わせてカスタマイズすることができる。
【0207】
DNAポリメラーゼ酵素は、市販されているか、またはユーザーによって調製されてもよい。ポリメラーゼ酵素の一例は、Qiagenから市販されているTaqポリメラーゼ(Germantown,MD、カタログ番号201203))である。Taqポリメラーゼの別の例は、GoTaq(登録商標)G2 Flexi DNA Polymerase(Promega、Madison,WI、カタログ番号M7801)として市販されている。市販の他のDNAポリメラーゼとして、限定されないが、Tth DNAポリメラーゼ(例えば、Sigma-Aldrich、St.Louis,MO、カタログ番号11480022001)、およびPhusion(登録商標)High-Fidelity DNA Polymerase(NEB、Ipswich,MA、カタログ番号M0530S)等のキメラDNAポリメラーゼが挙げられる。ホットスタートDNAポリメラーゼ酵素も、同様に市販されている。例えば、Taqポリメラーゼは、GoTaq(登録商標)Hot Start Polymerase(Promega、カタログ番号M5001)として市販されている。GoTaq(登録商標)Hot Start Polymeraseは、Taqポリメラーゼがポリメラーゼ活性を遮断する抗体に結合した抗体媒介性ホットスタート酵素である。遮断抗体は高熱を使用して変性されるため、PCR反応の初期加熱ステップの間に抗体が変性され、ポリメラーゼ活性が回復される。様々な抗体が、ホットスタート法、例えば、TAQSTART抗体(Clontech Laboratories、Mountain View,CA、カタログ番号R028A)とともに使用され得る。同様に、化学的に媒介されるホットスタートポリメラーゼを含む他のホットスタートポリメラーゼ酵素が利用可能である。同等のポリメラーゼおよび抗体は、様々な商業的供給元から入手可能であり、また代替として、ユーザーによって調製されてもよい。
【0208】
逆転写酵素は、市販されているか、またはユーザーによって調製されてもよい。市販の逆転写酵素の例として、限定されないが、MMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素およびSuperScript(登録商標)III Reverse Transcriptase(例えば、ThermoFisher Scientific、Carlsbad,CA、カタログ番号28025-013および18080-044)、MMLV RT(Sigma-Aldrich、カタログ番号M1302)、AMV Reverse Transcriptase(NEB、Ipswich,MA、カタログ番号M0277S)、ならびにGoScript(商標)逆転写酵素(Promega、カタログ番号A50003)が挙げられる。GoScript逆転写酵素は、逆転写酵素と、定量的PCR増幅用に最適化された一本鎖cDNAの合成のための一連の試薬とを含む。同等の逆転写酵素および試薬は、様々な商業的供給元から入手可能であり、また代替として、ユーザーによって調製されてもよい。
【0209】
単一単位用量中のフラップエンドヌクレアーゼの例示的な濃度は、約0.01μg/μl~約1.0μg/μl、好適には、約0.01μg/μl~約0.8μg/μl、または約0.01μg/μl~約0.6μg/μl、または約0.01μg/μl~約0.4μg/μl、または約0.01μg/μl~約0.2μg/μl、または約0.01μg/μl~約0.1μg/μlである。より好適には、単一単位用量中のフラップエンドヌクレアーゼの濃度は、約0.02μg/μl~約0.04μg/μlである。より好適には、単一単位用量中のフラップエンドヌクレアーゼの濃度は、約0.030μg/μl~約0.04μg/μl、より好適には、約0.030μg/μl~約0.035μg/μlである。好適には、フラップエンドヌクレアーゼは、約0.010μg/μl~約0.050ug/ul、好適には約0.012ug/ul~0.047ug/ulで水溶液中に存在する。
【0210】
単一単位用量中のDNAポリメラーゼ酵素の例示的な濃度は、0.1~0.2U/μl(その中の全ての整数および分数を含む)である。例えば、0.14U/μl、0.146U/μl、および0.1687U/μlである。
【0211】
DNAポリメラーゼの1単位は、74℃で30分間に10ナノモルのdNTPの酸不溶性物質への取り込みを触媒するのに必要な酵素の量として定義される。単一単位用量中の逆転写酵素の例示的な濃度は-1.0U/μl(その中の全ての整数および分数を含む)である。逆転写酵素の1単位は、37°Cで10分間に1nmolのデオキシヌクレオチドの酸沈殿性物質への転移を触媒するのに必要な酵素の量として定義される。
【0212】
好ましい有機緩衝液はMOPSまたはTrisである。
【0213】
好適には、MOPS緩衝液は、水溶液中約10mM~約20mMの濃度で、好適には、水溶液中約12.5mM~約15mMの濃度で存在する。
【0214】
好適には、トリス緩衝液は、水溶液中約5mM~約60mMの濃度で、好適には水溶液中約40mM~60mMの濃度で、好適には水溶液中約50mMの濃度で、好適には水溶液中約10mMの濃度で存在する。
【0215】
バルク試薬に組み込むことができる代替の有機緩衝液は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、CHES、ヒスチジン、ならびにHEPES、MES、トリシン、およびグリシンアミド等のGoodの緩衝液だけでなく、緩衝液の組み合わせを含む。他の有機緩衝液として、コハク酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩等が挙げられる。好ましい緩衝液は、約6.0~約10.0または約7.0~約9.0のpH範囲、好適には、約7.5または8.0または8.5のpHで効果的である。
【0216】
好ましい増量剤はトレハロースである。企図される他の増量剤として、ラフィノース、スクロース、マンニトール、トレハロースおよびマンニトール、スクロースおよびマンニトール、スクロースおよびグリシン、ならびにヒドロキシエチルデンプンが挙げられる。Cleland et al(2001)J.Pharm.Sci.90:310;Meyer et al(2009)Eur.J.Pharm.Sci.38:29;Webb et al(2003)J.Pharm.Sci.92:715;Garzon Rodrigues et al(2004)J.Pharm.Sci.93:684;Qiu et al(2012)Int.J.Pharmaceuticals.437:51);Van Dijk-Wolthuis et al(1997)Polymerを参照されたい。38:6235 6242.ヒドロキシエチルデンプンは、ヘタスターチ、ヘキサスターチ、ペンタスターチ、およびテトラスターチとして分類される(例えば、ChowのWO2014/099198を参照のこと)。増量剤は、好ましくは、約0.2M~約0.5M、好適には約0.2M~約0.4M、好適には約0.3M~約0.4M、好適には約0.47M、好適には約0.36Mの濃度で存在する。
【0217】
バルク試薬は、プローブオリゴマー、増幅オリゴマー、捕捉プローブ、陽性対照テンプレート、および陰性対照テンプレート等の1つ以上の核酸を含んでもよい。バルク試薬は、1つ以上のプローブオリゴヌクレオチドを含む増幅に基づかないアッセイを行うための1つ以上の核酸を含んでもよい。バルク試薬は、1つ以上のプローブオリゴヌクレオチドおよび/または1つ以上の増幅オリゴマーおよび/または1つ以上の増幅オリゴマー対および/または複数の増幅オリゴマー対を含む、増幅に基づかないアッセイおよび増幅に基づくアッセイを行うための1つ以上の核酸を含んでもよい。
【0218】
バルク試薬の任意選択的な追加成分として、RNase阻害剤、界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、表面活性剤、プライマー、プローブ、テンプレート、ポリマー、生体高分子、オリゴ糖、多糖、ポリグルコース、アミロース、キレート剤、メチルパラベン、およびプロピルパラベンが挙げられる。メチルパラベンの例示的な濃度は、0.01~0.024重量%、例えば、約0.016%、または代替として、約0.010%、約0.014%、約0.016%、約0.020%、約0.024%、およびこれらの値を境界とする任意の範囲である。プロピルパラベンの例示的な濃度範囲は、0.002~0.016%または0.008%、または代替として、約0.002%、約0.004%、約0.006%、約0.008%、約0.010%、約0.012%、約0.014%、約0.016%、またはこれらの値を境界とする任意の範囲である。1単位は、5ngのリボヌクレアーゼAの活性を50%阻害するために必要なRNasin(登録商標)Ribonuclease
Inhibitorの量として定義される。活性は、リボヌクレアーゼAによるシチジン2´,3´環状一リン酸の加水分解の阻害によって測定される。
【0219】
キレート剤は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、EDDS(エチレンジアミン-N、N’-二コハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、およびDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)のうちの1つ以上を含む。キレート剤の例示的な濃度は1.0mM~2.5mMである。一実施形態において、EDTAの使用が好ましい。好適には、EDTAは、約0.05~約0.2mM、好適には約0.1mMの濃度で存在する。
【0220】
RNase阻害剤タンパク質は天然であり、組換え体は、1:1の比率でRNaseに非共有結合することによりRNase Aファミリーおよびヒト胎盤RNaseを阻害する50kDaのタンパク質である(Promega Corp.、Madison,WI)。Botella-Estrada et al(2001)Cancer Gene
Ther.8:278;Polakowski et al(1992)EXS.61:428を参照されたい。RNase阻害剤の例示的な濃度は、約0.04U/μl~約0.4U/μlである。
【0221】
バルク試薬は、低濃度の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、多くの商業的供給業者(例えば、Geno Technology,Inc.,St.Louis,MO)から入手可能なイオン性(陽イオン性または陰イオン性)、非イオン性、および両性イオン性界面活性剤を含む。例として、限定されないが、ラウリル硫酸リチウム、塩酸アンプロリウム、塩化ベンザルコニウム、コリンp-トルエンスルホン酸塩、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸、臭化エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、luviquat(商標)、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、N、N’、N’-ポリオキシエチレン(10)-N-獣脂-1,3-ジアミノプロパン液、臭化オキシフェノニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、トリカプリリルメチルアンモニウムクロリド、アミドスルホベタイン-16、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド、Nonidet P-40(登録商標)、Tween-20(登録商標)、Tween-80(登録商標)、Brij-35(登録商標)、TritonX-100(登録商標)が挙げられる。
【0222】
バルク試薬の例示的な体積として約1uL、約5uL、約10uL、約20uL、約24uL、約50uL、約100uL、約200uL、約300uL、約400uL、約500uL、約600uL、約700uL、約800uL、約900uL、約1,000uL(1mL)、約2mL、約5mL、約10mL、約20mL、約50mL等が挙げられる。再構成された組成物は、バルク試薬と同じ体積、より小さな体積、またはより大きな体積で形成することができる。より小さな体積は、バルク試薬と比較して、約90%、約80%、約60%、約40%、約20%、約10%、または約5%であり得る。より大きな体積は、バルク試薬の体積の約120%、140%、160%、180%、200%(2倍)、約4倍、約6倍、約8倍、約10倍、約20倍であり得る、
【0223】
分析される試料は、再構成の前、再構成と同時、または再構成の後に、バルク試薬に添加することができる。好ましい実施形態において、再構成後の乾燥組成物全体が試料と組み合わせるために使用され、ここで再構成溶液/試料の相対体積は、例えば約9.9/0.1、9.8/0.2、9.5/0.5、9/1、8/2、7/3、6/4、5/5等であり得る。
【0224】
別途指定のない限り、バルク試薬中の試薬の濃度は、0.0%(試薬を含まない)、0.001%、0.004%、0.008%、0.0012%、0.0016%、0.0020%、0.0030%、0.0040%、0.0050%、0.0060%、0.0080%、0.01%、0.02%、0.04%、0.06%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.8%、1%、2%、3%、4%、5%等であり得る。また、「約」上記濃度、上記濃度を下回る、上記濃度を上回る、上記濃度のいずれか2つを含む範囲にある試薬も提供される。
【0225】
例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には約0.3mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.03μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼを有する。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液を含む。
【0226】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には約0.375mMのdATP、dGTP、dCTPの各々、および約0.182mMのdUTPまたは約0.284mMのdTTP、0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.03μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.146U/μlポリメラーゼを有する。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液を含む。
【0227】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には約0.375mMのdATP、dGTP、dCTPの各々、および約0.182mMのdUTPまたは約0.284mMのdTTP、0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.035μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.146U/μlのポリメラーゼ、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロース、ならびに好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液を有する。
【0228】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には約0.375mMのdATP、dGTP、dCTPの各々、および約0.182mMのdUTPまたは約0.284mMのdTTP、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.03μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼを有する。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSAを含む。球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在し得る。いくつかの組成物は、好適にはpH約8.5の緩衝液、好適にはトリス緩衝液を含む。
【0229】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には約0.375mMのdATP、dGTP、dCTPの各々、および約0.182mMのdUTPまたは約0.284mMのdTTP、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.03μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.146U/μlのポリメラーゼを有する。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSAを含む。球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在し得る。いくつかの組成物は、好適にはpH約8.5の緩衝液、好適にはトリス緩衝液を含む。
【0230】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には0.3mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.03μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.146U/μlポリメラーゼ、約0.2M~約0.4M、好適には約0.3Mの増量剤、好適にはトレハロース、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSA(前記球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在する)、ならびに好適にはpH約8.5の緩衝液、好適にはトリス緩衝液を有する。
【0231】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には0.375mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.035μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼを有する。いくつかの組成物において、フラップエンドヌクレアーゼはCleavase(登録商標)酵素である。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.36Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSAを含む。球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在し得る。いくつかの組成物は、好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液を含む。
【0232】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には0.375mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.035μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.167U/μlのポリメラーゼを有する。いくつかの組成物は、約0.2M~約0.4M、好適には約0.36Mの増量剤、好適にはトレハロースを含む。いくつかの組成物は、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSAを含む。球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在し得る。いくつかの組成物は、好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液を含む。
【0233】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には0.375mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.035μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.167U/μlのポリメラーゼ、約0.2M~約0.4M、好適には約0.36Mの増量剤、好適にはトレハロース、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSA(前記球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.50μg/μlの量で存在する)、ならびに好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液(15mM MOPS緩衝液等)を有する。
【0234】
別の例示的なバルク試薬組成物は、グリセロールを実質的に含まず、5mM以下の無機塩濃度を有し、0.1~0.4mM、好適には0.375mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdUTPまたはdTTPの各々、ならびに0.02μg/μl~0.40ug/μLのフラップエンドヌクレアーゼ、好適には約0.035μg/μlのフラップエンドヌクレアーゼ、ならびに0.1U/μl~0.2U/μl、好適には0.169U/μlのポリメラーゼ、約0.2M~約0.4M、好適には約0.36Mの増量剤、好適にはトレハロース、球状タンパク質、好適には、ウシ血清アルブミン(BSA)、より好適には、超高純度非アセチル化BSA(前記球状タンパク質は、0.40~0.60μg/μl、好適には0.51μg/μlの量で存在する)、好適にはpH約7.5の緩衝液、好適にはMOPS緩衝液(15mM MOPS緩衝液等)、ならびにキレート剤、約0.05~0.2mM、好適には約0.15mMの濃度の好適にはEDTAを有する。
【0235】
バルク試薬組成物の形成後、該組成物は乾燥前に有意な期間室温で放置されてもよい。この期間は、乾燥ステップが開始される前の最大8時間、または代替として、乾燥ステップが開始される前の最大1時間、最大2時間、最大4時間、最大6時間、最大10時間、最大12時間、最大14時間前であり得る。バルク試薬に塩が含まれると、このインキュベーション期間中に望ましくないハイブリダイゼーション産物および他の副産物が生じる。そのような望ましくないハイブリダイゼーションおよび副産物は、無機塩を本質的に含まないバルク試薬組成物を形成することによって低減または排除される。
【0236】
バルク試薬中の無機塩の存在は、以下の望ましくない特性のうちの1つ以上をもたらし得る。核酸が一緒にハイブリダイズする可能性があり、カリウム、ナトリウム、マンガン、マグネシウム、および/または塩化物等の無機塩の存在によってハイブリダイゼーションが刺激される。また、マンガンおよびマグネシウム等の無機塩の存在下では、望ましくない酵素活性が発生し得る。塩の存在下での核酸ハイブリダイゼーションおよび酵素活性の結果として、望ましくない副産物が形成し始める可能性がある。さらに、無機塩は吸湿性があり、乾燥ペレットに水分を引き込む。乾燥ペレットの再水和は、貯蔵安定性、酵素安定性を低下させ、追加の偽副産物の形成を許容する。
【0237】
乾燥ペレットは、1つの単一単位用量(SUD)、または任意選択的に2つ以上のSUDを提供するように試薬を含むことができる。単一単位用量は、単一試料のみに対して核酸に基づくアッセイを行うために必要な一連の試薬である。単一単位用量は、液体試薬または乾燥ペレットを指し得る。本明細書で言及されるように、単一単位用量は、単一試料に対して核酸に基づくアッセイを行うために必要な全ての試薬を含む必要がないことに注目すべきである。単一単位用量には、核酸に基づくアッセイ反応を行うために必要な試薬が不足している場合がある。同様に、単一単位用量は、核酸に基づくアッセイ反応を行うには不十分な量の試薬を含む場合がある。ほんの一例として、乾燥単一単位用量ペレットは、核酸に基づくアッセイを行うのに十分な単位のフラップエンドヌクレアーゼを含み得るが、マグネシウムを含まなくてもよい。そのような例において、マグネシウムは、例えば再構成溶液によって、乾燥単一単位用量ペレットに添加することができる。また、ほんの一例として、乾燥単一単位用量は、核酸に基づくアッセイを行うには不十分な量のdNTPを含む場合がある。そのような例において、dNTPの残りは、例えば再構成溶液によって、乾燥単一単位用量ペレットに添加することができる。これらの例は非限定的であるため、本開示を十分に把握している当業者は、様々な組成のSUDおよび乾燥ペレットSUDを容易に生成するであろう。
【0238】
好ましい実施形態において、バルク試薬は、5mM以下の無機塩含有量、より好ましくは4mM以下の無機塩含有量、より好ましくは3mM以下の無機塩含有量、より好ましくは2mM以下の無機塩含有量、より好ましくは1mM以下の無機塩含有量、またはより好ましくは500uM以下の無機塩含有量を含む。したがって、バルク試薬中の無機塩の好ましい濃度範囲は、約5mM~0mMの無機塩含有量(その中の全ての整数および分数を含む)である。核酸に基づくアッセイ反応混合物のための一般的な無機塩は、いくつか例を挙げると、ナトリウム、カリウム、マンガン、マグネシウム、および塩化物のうちの1つ以上を含む。
【0239】
一態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.373μg/μl以下、または0.332μg/μl以下、または0.292μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.292μg/μl以下、0.146μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.115μg/μl以下、0.057μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.373μg/μl以下、0.186μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.196μg/μl以下、0.098μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は5mM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.355μg/μl以下、0.178μg/μl以下、0.089μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、5mM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.311%以下、0.277%以下、または0.244%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.311%以下、0.277%以下、または0.244%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.311%以下、0.277%以下、または0.244%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0240】
一態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.298μg/μl以下、または0.266μg/μl以下、または0.234μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.234μg/μl以下、0.117μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.092μg/μl以下、0.046μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.298μg/μl以下、0.149μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.156μg/μl以下、0.078μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は4mM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.284μg/μl以下、0.142μg/μl以下、0.071μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、4mM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.249%以下、0.222%以下、または0.195%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.249%以下、0.222%以下、または0.195%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.249%以下、0.222%以下、または0.195%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0241】
一態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.224μg/μl以下、または0.199μg/μl以下、または0.175μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.175μg/μl以下、0.088μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.069μg/μl以下、0.034μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.224μg/μl以下、0.112μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.117μg/μl以下、0.059μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は3mM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.213μg/μl以下、0.107μg/μl以下、0.053μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、3mM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.186%以下、0.166%以下、または0.146%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.186%以下、0.166%以下、または0.146%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.186%以下、0.166%以下、または0.146%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0242】
一態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.149μg/μl以下、または0.133μg/μl以下、または0.117μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.117μg/μl以下、0.058μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.046μg/μl以下、0.023μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.149μg/μl以下、0.075μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.078μg/μl以下、0.039μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は2mM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.142μg/μl以下、0.071μg/μl以下、0.036μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、2mM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.124%以下、0.111%以下、または0.097%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.124%以下、0.111%以下、または0.097%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.124%以下、0.111%以下、または0.097%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位ペレットを含む。
【0243】
一態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.075μg/μl以下、または0.066μg/μl以下、または0.058μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.058μg/μl以下、0.029μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.023μg/μl以下、0.011μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.075μg/μl以下、0.037μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.039μg/μl以下、0.020μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は1mM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.071μg/μl以下、0.036μg/μl以下、0.018μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、1mM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.062%以下、0.055%以下、または0.049%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.062%以下、0.055%以下、または0.049%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.062%以下、0.055%以下、または0.049%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0244】
一態様において、バルク試薬は500uM以下の無機塩を含み、無機塩は、0.037μg/μl以下、または0.033μg/μl以下、または0.029μg/μl以下の1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は500uM以下の無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.029μg/μl以下、0.015μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は、500uM以下の無機塩を含み、ナトリウムは、0.011μg/μl以下、0.006μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は500uM以下の無機塩を含み、塩化カリウムは、0.037μg/μl以下、0.019μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は500uM以下の無機塩を含み、カリウムは、0.020μg/μl以下、0.010μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は500uM以下の無機塩を含み、塩化物は、0.036μg/μl以下、0.018μg/μl以下、0.009μg/μl以下、または0.0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、500uM以下の無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.031%以下、0.028%以下、または0.024%以下である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが0.031%以下、0.028%以下、または0.024%以下である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供される。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、0.031%以下、0.028%以下、または0.024%以下のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含む。
【0245】
一態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、無機塩は、約0.373μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、塩化ナトリウムは、0.292μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、ナトリウムは、0.115μg/μl~約0.006μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、塩化カリウムは、約0.373μg/μl~約0.019μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、カリウムは、0.196μg/μl~約0.010μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、塩化物は、0.355μg/μl~約0.009μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、無機塩は約0.373μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在し、塩化ナトリウムは約0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、バルク試薬は約5mM~約500uMの無機塩を含み、無機塩は約0.373μg/μl~約0.029μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在し、塩化カリウムは約0μg/μlの1マイクロリットル当たりの質量で存在する。さらなる態様において、乾燥ペレットは、5mM~500uMの無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは約0.311%~0.024%である。さらなる態様において、乾燥ペレットは、5mM~500uMの無機塩を含む液体バルク試薬を乾燥させることから作製され、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは約0.311%~0.024%であり、ペレットの質量に対する塩化ナトリウムの質量パーセントは約0%であるか、またはペレットの質量に対する塩化カリウムの質量パーセントは約0%である。さらなる態様において、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントが約0.311%~0.024%である乾燥単一単位用量ペレットを含む容器が提供され、ペレットの質量に対する塩化ナトリウムの質量パーセントは約0%であるか、またはペレットの質量に対する塩化カリウムの質量パーセントは約0%である。さらなる態様において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供され、1つ以上のウェルの各々は、約0.311%~0.024%のペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントを含む乾燥単一単位用量ペレットを含み、ペレットの質量に対する塩化ナトリウムの質量パーセントは約0%であるか、ペレットの質量に対する塩化カリウムの質量パーセントは約0%である。
【0246】
一実施形態において、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートが提供される。一態様において、1つ以上のウェルは、低水蒸気透過率、熱伝導性、光透過性、低い自家蛍光、またはそれらの組み合わせを含む材料から構築された壁を含む。一態様において、1つ以上のウェルは、円錐形の壁を含む。一態様において、ウェルは、核酸に基づくアッセイ反応を行うために、デバイスの熱伝導管受容領域に適合するように構成された壁を含む。一態様において、マルチウェルプレートの1つ以上のウェルは、ウェルのチャンバーにアクセスするための開口部を含む。一態様において、1つ以上のウェルは各々、関連するウェルの開口部を密封するキャップを含む。一態様において、1つ以上のウェルの各々の開口部は、低水蒸気透過性箔であるキャップで密封される。一態様において、1つ以上のウェルの各々の開口部は、低水蒸気透過性エラストマー物質であるキャップで密封される。一態様において、マルチウェルプレートは、本明細書に記載の1つ以上のウェルを含み、ウェルのチャンバーは、フラップエンドヌクレアーゼおよび無機塩を含む乾燥単一単位用量ペレットを含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは約0.311%~0.024%である。
【0247】
III.乾燥用機器および乾燥方法
バルク試薬は、標準的な方法および機器を使用して凍結乾燥することができる。凍結乾燥機は、例えば、GEA Process Engineering(Columbia,MD)から入手可能である。契約凍結乾燥サービスは、例えば、Biopharma Technology Ltd.(Winchester,Hampshire,Great Britain)およびBioPharma Solutions Sterile Contract Manufacturing(Baxter Healthcare Corp、Deerfield,IL)によって提供される。凍結乾燥のガイダンスは、例えば、L.Rey,J.C.May(eds.)(2010)Freeze Drying/Lyophilization of Pharmaceuticals and Biological Products,3rd.ed.Informa Healthcare,NYもしくはMethods in Enzymology,Vol.22,Pages33-39,Academic Press,New York(1971)、またはFreeze-Drying,E.W.Flosdorf,Rheinhold,New York(1949)から入手可能である。任意選択的に、凍結乾燥中に酸素含有量を低減することができる(Phillips et al(2001)Biologics.19:219)。
【0248】
様々な容物が乾燥に適している。容物が部分真空下で密封および保存される場合、該容物は外圧に耐えることができなければならない。容物は、外部から内部への適切な熱伝達を可能にする材料で作製されるべきである。容物のサイズは、オーバーフローを回避するために、乾燥される溶液が全容積の20%以下を占めるようであると好ましい。
【0249】
試料は、別々の容器または多検体用容器で乾燥させることができる。多検体用容器は、少なくとも2つの検体が同時ではあるが別々に保存および操作され得るようにそれらを含むことができる連続した容器を意味する。多検体用レセプタクルの標準フォーマットは、6、24、96、384または1536個のウェルを含む。96ウェルフォーマットの例における各ウェルの容積は約300~400マイクロリットルであり、作業容積は約75~200マイクロリットルである。容積は、一般的に、典型的には各ウェルにつき1nL~10mLの範囲で、ウェルの数に反比例して変動するが、他のサイズもまた企図される。例示的なウェルは、特に、平底、丸底、またはV字底を有することができる。本明細書で使用される場合、容器はウェルとも称される。本明細書で使用される場合、多検体用容器はマルチウェルプレートとも称される。加えて、ウェルはさらに反応ウェルと称されることもある。反応ウェルという用語は、反応ウェル内でいずれかの反応が実際に起こることを必要としない。むしろ、この用語は、試薬を含み、その中で反応が起こり得ない、その中で部分的な反応が起こり得る、またはその中で完全な反応が起こり得る、容器またはウェルを指すために使用される。
【0250】
本明細書のいくつかの実施形態において、マルチウェルプレートは、水溶液から乾燥組成物を形成するために凍結乾燥を経ることができる。凍結乾燥は、入れ子状デバイスにおいて行われ得る(同時係属米国特許出願第62/200,370号を参照のこと)。入れ子は、密封された凍結乾燥チャンバーの外から操作可能な機構によって閉鎖することができる通気口を備えたカートリッジ用の容物である。マルチウェルプレートを含む入れ子は、1つ以上の通気口が開放位置にある状態で凍結乾燥チャンバー内に配置される。次いで、チャンバーが密封され、入れ子内の空間を含むチャンバー全体に凍結乾燥雰囲気が適用される。次いで、1つ以上の通気口が閉鎖され、それによって入れ子が密封される。凍結乾燥チャンバーのシールが後に解放され、マルチウェルプレートを含む入れ子が取り出される。次いで、入れ子を再配置し、操作者がその中に配置された凍結乾燥組成物を使用する、またはさらなる保存もしくは販売のために凍結乾燥検体を含むマルチウェルプレートを再密封する準備ができるまで、マルチウェルプレートをその中に配置して保存することができる。次いで、マルチウェルプレートのウェルを密封して、周囲空気から水分が侵入するのを実質的に防ぐことができる。密封されたマルチウェルプレート内への少量の水分の侵入は、乾燥剤の入ったパウチ内に密封したマルチウェルプレートを保存することによって防止することができる。同様に、別々の容器に凍結乾燥を行うこともでき、入れ子で凍結乾燥を行うことができる。
【0251】
他の乾燥方法は、噴霧乾燥、流動床乾燥、除湿機、および真空下、低温で濾過ケーキを乾燥させて自由流動性の乾燥生成物にするバッチ式接触乾燥を含む(NP Cheremisinoff(2000)Handbook of Chemical Processing Equipment、Butterworth Heinemann,Boston,MA)。除湿機は、Bry Air,Inc.(Sunbury,Ohio)およびDST Seibu Giken(Wyomissing,PA)から入手可能である。回転乾燥機、円錐乾燥機、および棚乾燥機が利用可能である(McGill AirPressure LLC、Columbus,Ohio)。一実施形態において、真空乾燥機は、材料を減圧に曝露することによって水分を除去し、気化によって失われた熱を補うのにちょうど十分な熱が用いられる。乾燥剤は、シリカゲル乾燥剤、アルミノケイ酸塩および合成ゼオライト等の分子ふるい乾燥剤、ならびにベントナイト乾燥剤を含む。
【0252】
反応混合物は、使用のためにそれらが再構成される容器と同じ容器内で乾燥させることが好ましい。
【0253】
凍結乾燥または別様に乾燥した製剤は、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.02重量%未満、0.01重量%未満等の低含水量を有する。
【0254】
IV.保存
凍結乾燥または別様に乾燥した組成物は、使用前に保存される。保存期間は、乾燥組成物が周囲空気に曝露されて室温で保存される期間を含み得る。そのような期間は、最大3時間、または代替として、最大1.0時間、最大1.5時間、最大2.0時間、最大2.5時間、または1分~180分、もしくは1分~100分、もしくは1分~60分、もしくは1分~30分、もしくは1分~20分、もしくは1分~10分180等の任意の時間の範囲であり得る。そのような保存中の絶対湿度は、30°Cで1立方メートルの空気当たり少なくとも2.3gの水、または代替として、30°Cで1立方メートルの空気当たり1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0グラムを超える水である。
【0255】
保存は、乾燥組成物が密封され、シール外部の周囲空気との接触を実質的に防止するより長い期間も含み得る。この保存期間は、長期間、例えば、少なくとも1週間、少なくとも1か月、少なくとも6か月、少なくとも1年、または少なくとも2年であり得る。1か月~2年までの期間が例示的である。
【0256】
長期保存のため、または長期もしくは短期安定性試験のための保存温度の範囲は、例えば、0~2℃、0~4℃、2~4℃、2~6℃、20℃、25°C、30°C、40°C、50°C、60°C、および液体窒素下-4~-2°C、-6~-2°C、-8~-2°C、-10~-2°C、-20°C、-40°C、-60°C、-80°C等の0℃を下回る温度を含む。好ましくは、保存は氷点より高く、約4~8℃の範囲内である。加速劣化試験は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃で、例えば、1時間、2時間、4時間、24時間、2日、4日、8日、1か月等の期間実施することができる。保存のため、または代替として、安定性試験のための条件は、氷点を上回る温度から氷点を下回る温度まで変動する条件等の、温度が変動する条件であり得る。
【0257】
無機塩が本質的に存在しないことにより、乾燥前のバルク試薬の保存中、密封前の乾燥組成物の短期保存中、および密封後の長期保存中の酵素活性の喪失および副産物の形成を低減する。好ましくは、全ての保存後の酵素活性は、保存を開始する直前の値の少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、および保存を開始する前の値の、または代替として、最適条件下で保存された比較試料の値に対する、これらのパーセンテージを境界とする範囲である。
【0258】
V.再構成
好ましい再構成溶液は、水中に約3.0~約12.0mMのMgCl、および約0~約80mMのKClを提供する。再構成溶液はまた、他の成分の中でも、約0.012~約0.020%(w/v)のメチルパラベン、約0.006~約0.010%(w/v)のプロピルパラベン、および/または約0.25~約0.35%(v/v)の無水エタノールも含むことができる。
【0259】
再構成時間は、乾燥組成物の意図する用途に適した水溶液を乾燥組成物と接触させた後、1秒未満、2秒未満、5秒未満、10秒未満、15秒未満、20秒未満、50秒未満、または60秒(1分)であってもよく、振盪、タッピング、ボルテックス、揺動、ピペットチップからの吸い上げおよび吸い出し、または柔軟性バイアルの折り畳みもしくは圧搾のいずれかによって任意選択的に接触を促進する。例示的な再構成時間は2~10秒である。再構成時間は、冷蔵庫温度(約4℃)、約23℃の周囲温度溶液、または約37℃の温溶液のいずれかの再構成溶液で測定することができる。典型的には、乾燥組成物は冷蔵庫から取り出されるため、再構成溶液の添加前は冷たい。これらの手順のいずれについても、環境(部屋)は、典型的には周囲温度または約23℃である。物質が再構成されたと判断される時間は、例えば、物質が完全に可溶化したと判断される時間であり得る。完全な可溶化は目視検査によって決定することができ、例えば、濁りの欠如またはシュリーレンパターンの欠如が完全な可溶化の尺度である。代替として、完全な可溶化は、光散乱を測定する機械等の光学機器によって決定することができる。
【0260】
VI.組成物の安定性
組成物の安定性は、典型的には、乾燥生成物の再構成後に、活性(すなわち、検出の速度または収率)または組成物中で生じた副産物の形成を決定することにより評価される。安定性の欠如は、乾燥前または乾燥後のいずれかの保存中の活性の喪失または副産物の形成から起こり得る。活性または副産物の形成は、絶対的または相対的な尺度であり得る。相対的である場合、比較のためのベースラインは、乾燥および再構成前のバルク試薬混合物、または定義された方法で試験されるものとは異なる対照再構成混合物であり得る(Mg2+または他の塩の存在)。活性は、リアルタイムの切断もしくは増幅の割合、または切断もしくは増幅産物の最終収量、またはヒット率によって評価することができる。副産物は、ゲル電気泳動、ゲルスキャナー、アガロースゲル、キャピラリー電気泳動等のうちの1つ以上によってアッセイすることができる。
【0261】
再構成された増幅混合物の活性(再構成物の異なる体積に起因する任意の差異について必要に応じて補正される)は、乾燥前のバルク試薬の75、80、85、90、もしくは95%以内であるか、または乾燥前のバルク試薬の活性と実験誤差内では区別できないことが好ましい。再構成された増幅混合物内に存在する副産物(再構成物の異なる体積に起因する任意の差異について必要に応じて補正される)は、乾燥前のバルク試薬中に存在する元の化合物の20、15、10、5、4、3、2、もしくは1重量%未満であるか、またはその平均モル数である。副産物が検出限界を下回る場合がある。
【0262】
VII.キット
上記の乾燥組成物は、キットにおいて提供され得る。そのようなキットは、試験管等の容器内に乾燥組成物を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上のウェルを含むマルチウェルプレートを含む。いくつかのキットは、別々の容器で供給される複数の乾燥組成物を含む。いくつかのキットは、マルチウォールマルチウェルプレートの1つ以上の密封されたウェル部材に複数の乾燥組成物を含む1つ以上のマルチウェルプレートを含む。
【0263】
いくつかのキットはまた、乾燥組成物とは別の容器に再構成溶液を含む。再構成溶液は、個々の乾燥組成物容器にアリコートを分注するためにバルクで提供され得るか、または乾燥組成物を含む単一の容器と各々組み合わせるために1つ以上の単位投与量の形態で提供され得る。
【0264】
任意選択的に、乾燥組成物を含む容器および再構成溶液を含む容器は、脆性材料によって分離することができる。脆性材料は、アルミ箔、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンであり得る。バリアは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の層を含むことができ、各層は同じ組成を有するか、または各層はPVC層に接触した箔層等の異なる組成を有する。フィルムは、例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI)またはArkema,Inc.(King of Prussia,PA)から調達することができる。脆性材料に穿孔することにより、再構成溶液を凍結乾燥組成物と接触させることができる。
【0265】
キットは、サーモサイクラーまたはインキュベーターに適合するように設計することができるため、酵素反応がキットのコンパートメント内で直接起こり、組成物を異なる反応容器またはそのような容器を保持する容物に移す必要が回避される。
【0266】
キットは、例えば、ポート、ホース、セプタムに穴を開けるシリンジによって、ユーザーから供給される試薬のキット内の容器への導入に適合させることができるか(US2014/0121515およびUS2014/0276356を参照)、または代替として、核酸テンプレート等のユーザーから供給される試薬をユーザーから供給される容物の中で本開示の試薬と混合することができる。キットのコンパートメントのうちの1つ以上は、空の状態で供給され、混合チャンバーとして使用され得る。
【0267】
VIII.フラップエンドヌクレアーゼの透析
本開示で使用されるいくつかの酵素は、グリセロールを含む緩衝液中で製造される。グリセロール含量は、凍結乾燥を妨げ得るしたがって、グリセロールを含まない緩衝液に酵素を透析することにより、グリセロールを含まない酵素溶液を含み、かつ無機塩を実質的に含まない溶液を調製する必要がある。この透析は、グリセロールを実質的に除去し、それを緩衝液と置き換えるために使用することができる。次いで、無機塩を実質的に含まない、グリセロールを含まない凍結乾燥製剤を調製するために透析された酵素を使用することができる。したがって、本明細書には、有機緩衝液、増量剤、塩化物イオン、およびキレート剤を含む水溶液を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる透析組成物も開示される。増量剤はトレハロースであり得る。増量剤は、約100mM~300mM、好適には200mMの濃度で存在し得る。有機緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液であり得る。トリス緩衝液は、10mM~30mMの濃度で、好適には50mMの濃度で存在し得る。塩化物イオンはKClである。塩化物イオンは、約40~60mM、好適には50mMの濃度で存在し得る。キレート剤はEDTAであり得る。キレート剤は、0.05~0.2mM、好適には0.1mMの濃度で水溶液中に存在し得る。透析組成物は、フラップエンドヌクレアーゼを含むことができる。
【0268】
例示的な透析組成物は、トリス緩衝液(pH8.0)、トレハロース、KClおよびEDTAを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる水溶液である。
【0269】
別の例示的な透析組成物は、約20mMのトリス緩衝液(pH8.0)、約200mMのトレハロース、約50mMのKCl、および約0.1mMのEDTAを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる水溶液である。
【0270】
また、グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を得るために、フラップエンドヌクレアーゼおよびグリセロールが透析される、グリセロールを実質的に含まないフラップエンドヌクレアーゼ組成物を調製するための方法も開示される。好適には、グリセロールは、約0~約0.35%(w/v)のグリセロール、好適には、約0~約0.2%(w/v)のグリセロール、好適には、約0.1%(w/v)のグリセロール、好適には、約0.01%(w/v)のグリセロールの量で存在する。
【実施例0271】
実施例1.バルク試薬
【0272】
実施例1~3は、バルク試薬を作製すること、単一単位用量(SUD)体積のバルク試薬を乾燥させて容器内にSUD乾燥ペレットを得ること、ならびに乾燥ペレットを再構成してSUD増幅および検出混合物を得ることを示す。表1および表2は、例示的な乾燥用バルク試薬の成分を開示している。2つの表はまた、例示的な単一単位用量濃度も開示している。マスターミックス1は、0.4mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdTTPの各々、0.8mMのdUTP、BSAを含み、無機塩を実質的に含まない2Xマスターミックスであった。表1のTaqポリメラーゼは、陽イオン性界面活性剤を含む、グリセロールを含まないトリス緩衝液中に存在していた。2Xマスターミックス2は、0.4mMのdATP、dGTP、dCTP、0.8mMのdUTP、トリスおよび非アセチル化BSAを含む独自の緩衝液中の0.74U/uLのGoTaq(登録商標)MDx Hot Start Polymerase(グリセロール不含)、0.48Mのトレハロースである。50X GoScript RT Mixは以下の通りである:表2の20U/μLGoScript(登録商標)、8単位/μLのRNasin(登録商標)Plus RNase Inhibitor、表1の10U/μlのGoScript(登録商標)、8単位/μLのRNasin TM Plus。
【0273】
GoScript(登録商標)RT Customは、160U/uLのGoScript RTの濃縮溶液であり、グリセロールを含まず、RNase阻害剤を含まない。含まれ得る安定剤:脱アミド化抑制剤、酸化防止剤、界面活性剤、および表面活性剤、例えば、ポリエトキシル化ソルビタンの脂肪酸エステル等の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、およびポロキサマー188。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0274】
表1~3のバルク増幅試薬の各々における10Xオリゴヌクレオチド混合物は、以下の実施例で増幅および検出反応を行うための一群のプライマーおよびプローブを含んでいた。当業者は、増幅反応用のプライマー/プローブミックスの調製方法を理解するであろう(例えば、Innis,Michael A.et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press(1990)を参照)。以下の実施例では、プライマーおよびプローブは、約8uM~約12uMの濃度でバルク試薬中に存在していた。
【0275】
実施例2凍結乾燥
この実施例では、凍結乾燥機を使用してバルク反応混合物を乾燥させた。実施例1に概説される24マイクロリットルのバルク増幅試薬を容器に添加し、次いで、凍結乾燥チャンバーに装填した。本明細書の実施例の場合、24ulは、単一試料に対して増幅および検出反応を行うために使用されるバルク試薬の量を表す(単一単位用量またはSUDとも称される)。この実施例では、マルチウェルプレート(特に12ウェルプレート)を、凍結乾燥反応と、マルチウェルプレートのウェル内に存在する凍結乾燥(乾燥)ペレットの保存の両方に使用した。12ウェルプレートの12個のウェルの各々に、バルク反応混合物の24ulアリコートを入れた。凍結乾燥サイクルを開始した(約36時間実行)。凍結乾燥サイクル後、12ウェルプレートを回収し、12ウェルプレートの個々の容器が密封される場所に移した。容器は、容器開口部を覆う金属箔で密封した。金属箔は低水蒸気透過性箔であった。次いで、密封された12ウェルプレートを乾燥剤とともに袋に入れた。
【0276】
実施例3再構成溶液
この実施例は、1つの再構成溶液について説明する。再構成溶液の目的は、再構成されたペレットを使用して試料に対する核酸ベースの検出反応を行うために、調製において乾燥ペレットを再水和することである。実施例2からの12ウェルプレートの12ウェルの各々に、ウェル上の箔カバーに事前に穿孔し、次いで再構成溶液をウェルに分注することにより24ulの再構成溶液を分注した。表4は、これらの実施例で使用される再構成溶液を開示しており、バルク再構成溶液濃度および最終アッセイ濃度の両方を提供する。乾燥ペレットの再構成後、試料からの標的核酸をウェルに添加し、PCR増幅および検出反応を行った。
【表4】
【0277】
実施例4乾燥バルク試薬に対する無機塩の悪影響
この実施例は、バルク試薬中の無機塩の存在が乾燥ペレットに与える悪影響について説明する。実施例1および表5に概ねしたがって、2つのバルク試薬混合物を調製した。表5のバルク試薬Aとバルク試薬Bとの違いは、反応混合物中のMgClの存在または非存在であった。
【表5】
【0278】
液体バルク試薬AおよびBの各々を氷上で調製した。次いで、バルク試薬AおよびBを、各々別々にいくつかのマルチウェルプレートのウェルにアリコートした(具体的には、この場合12ウェルプレートを使用した)。バルク試薬Aの12アリコートまたはバルク試薬Bの12アリコートのいずれかを含むこれらの12ウェルプレートを、次いで、4つの異なるインキュベーション条件に分けた:(1)氷上で90分間のインキュベーション、(2)室温で90分間のインキュベーション、(3)氷上で180分間のインキュベーション、または(4)室温で180分間のインキュベーション。したがって、各バルク試薬混合物の一部を室温で180分間インキュベートし、他の部分を氷上で180分間インキュベートした。同様に、各バルク試薬混合物の一部を室温で90分間インキュベートし、他の部分を氷上で90分間インキュベートした。全ての場合において、反応混合物への核酸成分の添加(最終成分として添加)がインキュベーション時間の開始を意味していた。
【0279】
インキュベーション時間の後、実質的に乾燥した組成物が得られるまで、12ウェルプレートにアリコートしたバルク試薬を凍結乾燥した。12ウェルプレートのウェルに得られた乾燥組成物の各々は、試料中のA型インフルエンザ、B型インフルエンザ、および呼吸器合胞体ウイルスBのうちの1つ以上を同定するための三重増幅および検出反応の乾燥単一単位用量を表していた。
【0280】
乾燥組成物を、65mMのKCl、それぞれ0.02%w/vおよび0.01%w/vのメチルおよびプロピルパラベン、ならびに0.33%v/vの無水エチルアルコールを含む再構成溶液で再構成した。バルク試薬Aから作製された乾燥組成物の再構成溶液も2.5mMのMgClを含んでいた。
【0281】
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、および呼吸器合胞体ウイルスB陽性試料の3つ全てを、それらのLoDの3倍で再構成反応混合物と組み合わせ、再構成された混合物の全ての成分がバルク試薬濃度の約80%になるようにした。これらの陽性試料は、陰性血漿中で抽出したウイルスを輸送媒体と組み合わせ、(RSVB試料の連続希釈が10倍異なっていたことを除いて)所望の濃度まで連続希釈したものである。表6に示すように、プライマーおよびプローブミックスは、単一の分子反応にもかかわらず、別々の蛍光チャネルにおいて3つのウイルス標的、すなわち、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、および呼吸器合胞体ウイルスBの各々を特異的に検出するように設計された。
【0282】
リアルタイムPCR互換性サーマルサイクラー(ABI 7500FAST、Applied Biosystems、Carlsbad,CA)を使用して試料をアッセイした。結果を表6に示す。表中の陽性パーセント値は、閾値を超えたRFU値を有する試料の数を、試験した12個の試料のパーセンテージとして表している。ウイルスの量(アッセイ当たりのウイルス粒子)は、陽性対照と比較して少なくとも95%陽性をもたらすのに十分な量であった。
【表6】
【0283】
これらの結果は、バルク試薬(MgClおよびKClを含まない凍結乾燥前溶液)が室温で少なくとも180分間安定であることを示している。バルク試薬Aからの乾燥SUDペレットは、再構成して試料と組み合わせると、バルク試薬Bからの乾燥SUDペレットよりもロバストな増幅および検出反応をもたらした。バルク試薬Bは、室温でまたはさらには氷上で90分間という短時間インキュベートし、次いで乾燥し、再構成して増幅反応混合物を生成すると、同じ条件下のバルク試薬Aと比較して比較的低いシグナルおよび多数の小さな副産物を伴う増幅反応をもたらした。無機塩をほとんどまたはまったく含まないバルク試薬は、乾燥させて、ポリメラーゼ酵素成分、dNTP、および核酸を含む増幅反応のための成分を含む乾燥組成物を生成するのに有用である。
【0284】
実施例5塩を含むまたは含まない乾燥ペレットの安定性
この実施例は、塩を含む単一単位用量の乾燥ペレットと、塩を含まない単一単位用量の乾燥ペレット(6mM未満の無機塩)の安定性を比較する。単一単位用量ペレットは、上記の表5に概説されるように、バルク試薬を乾燥させることによって作製した。合成直後に、バルク試薬Aとバルク試薬Bを各々別々のマルチウェル反応プレート(12ウェル)にアリコートし、凍結乾燥機を使用して乾燥させた。凍結乾燥後、乾燥ペレットを含むマルチウェルプレートを相対湿度約5%の窒素ガス環境に配置し、ウェル開口部を箔で覆うことによりマルチウェルプレートを密封した。乾燥剤を含むアルミニウムのパウチに密封されたプレートを入れ、次いでパウチを密封した。マルチウェルプレート中に乾燥ペレットを含む密封パウチを4℃で8日間保存した。
【0285】
8日後に、パウチに入ったマルチウェルプレートを以下の3つの条件のうちの1つに移した:条件1.バルク試薬Aからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットと、バルク試薬Bからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットをパウチから取り出し、相対湿度70%の15℃の環境に配置した。条件2.バルク試薬Aからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットと、バルク試薬Bからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットをパウチから取り出し、相対湿度15%の45℃の環境に配置した(加速安定性)。条件3.バルク試薬Aからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットと、バルク試薬Bからの乾燥ペレットを含むパウチに入ったマルチウェルプレートの1つのサブセットを4°Cに配置した(マルチウェルプレートは、乾燥剤とともにパウチの中にあり、したがって湿度は0パーセントであった)。プレートをこれらの条件でさらに30日間放置した。
【0286】
インキュベーション終了時に、各条件からの乾燥ペレットを、100mMのKClおよび最終濃度2.5mMに十分なMgClを含む再構成溶液を使用して再構成した。リアルタイムPCRサーマルサイクラー(ABI PRISM 7000、Applied Biosystems、Carlsbad,CA)を使用して、再構成反応混合物をA型インフルエンザ標的の増幅および検出について試験した。端的に述べると、A型インフルエンザ標的を、陰性プール中で同等の液体対照とともにLOD10^0(+/-1log)で抽出した。結果を表7に示す。
【表7】
【0287】
これらの結果は、2.5mM未満の無機塩を含む単一の増幅反応乾燥ペレットが、2.5mM以上の無機塩を含む単一の増幅反応乾燥ペレットと比較して、いくつかの異なる温度および湿度条件で保存した後により高いRFU値を有することを示している。
【0288】
実施例6バルク試薬を含むCleavase(登録商標)酵素の凍結乾燥
フラップエンドヌクレアーゼCleavase(登録商標)を含むバルク試薬を、0.35%の最終グリセロール濃度を含むように作製した。このバルク試薬をアリコートし、上記に概説したように凍結乾燥した。データは、このレベルのグリセロール含量が、「メルトバック」と称されるものを引き起こすことによってSUDペレットの凍結乾燥を妨げることを示した(データは提示されていない)。メルトバックは、凍結乾燥生成物の崩壊を一般的に指す。メルトバックは、典型的には、一次乾燥段階中にある物質の存在から生じ、該物質はロバストな凍結乾燥組成物の形成に有害である。グリセロールはそのような物質の1つである。したがって、20kDa MWCO Slyde-A-Lyzerカセットシステム(ThermoFisher P/N番号66005)を使用してCleavase(登録商標)酵素(50%グリセロール緩衝液に保存)をグリセロールを含まない緩衝液に透析することにより、グリセロールを含まないCleavase(登録商標)を含み、無機塩を実質的に含まない溶液を調製した。透析緩衝液の組成を表8に列挙する。
【表8】
【0289】
この緩衝液中にCleavase(登録商標)酵素を透析することによりグリセロールを除去し、表8に示す緩衝液と置き換えた。次いで、透析されたCleavase(登録商標)酵素を使用して、無機塩を実質的に含まないグリセロールを含まないバルク試薬を調製した(表9)。次いで、バルク試薬をいくつかのSUDとしてマルチウェルプレートのウェルにアリコートし、凍結乾燥した。全てのSUDペレットは、メルトバックの兆候を示すことなく凍結乾燥された。
【表9】
【0290】
PCR増幅および黄色ブドウ球菌(「S.aureus」)の切断に基づくアッセイ検出のためのオリゴヌクレオチドを含む乾燥組成物を再構成溶液で再水和し(9.375mMのMgCl、0.02%(w/v)のメチルパラベン、0.01%(w/v)のプロピルパラベン、0.33%(v/v)を含むストック再構成溶液を、水を使用して1リットルの総体積にした)、複数の反応マスターミックスを生成した。S.aureus標的DNA(陽性)またはヌクレアーゼを含まない水(陰性)を別々の再構成されたマスターミックスに添加し、シリコーンオイルを付けた。増幅および検出アッセイは、Panther Fusionサーモサイクラーを使用して行った。対照として凍結乾燥製剤と並行して、非凍結乾燥バルク試薬を試験した。
【0291】
以下の表10の結果は、この試験において増幅および検出システムが、3つ全てのチャネルで陽性としてS.aureus陽性試料を、また3つ全てのチャネルで陰性として陰性試料を正常に増幅および検出できたこと、ならびに湿潤混合物対照と比較して匹敵する値を有していたことを示している。
【表10】
【0292】
実施例7Cleavase(登録商標)凍結乾燥前製剤バージョン3
超高純度非アセチル化BSA、およびMOPS緩衝液からトリス緩衝液への緩衝液変更を含む、S.aureus凍結乾燥前製剤の変更版を作製した(表11)。
【表11】
【0293】
Promega X991Xは、2Xマスターミックスとして配合され、1:1で希釈すると、25ulの反応混合物中に0.24Mトレハロース、0.2mM dNTP(0.4mM dUTP)、および9.25U GoTaq、ならびに非アセチル化BSAおよびトリスを含む反応混合物が得られるこの製剤から合計25個のカートリッジを調製し、凍結乾燥することに成功した。
【0294】
増幅および検出反応物を調製し、上記実施例6で概説したように行った。MgClの濃度を増加させて再構成反応混合物中に12.5mMのMgClをもたらしたことを除いて、実施例6に記載されるものと類似した再構成溶液を使用して凍結乾燥ペレットを再構成した。対照として、いくつかの非凍結乾燥反応混合物を調製して試験した。これらの反応で使用したS.aureus標的核酸は、100コピー/mLおよび1,000コピー/mL(この標的のアッセイLoDの約3倍)のS.aureus gDNAであった。12.5mM MgClの存在下で、トリス緩衝反応物は、S.aureus陽性試料にCtの遅延、RFUの減少、およびT勾配値の減少を示した。さらに、トリス緩衝液製剤を使用した陰性試料は、反応混合物中のMgCl濃度に関係なく、10mM MOPS緩衝液製剤を使用した陰性試料と比較して高いバックグラウンド生成を示した。したがって、これらの結果に基づいて、MOPS緩衝液は、バルク製剤における使用に利点を提供し、最終カートリッジ製剤において最大約15mMの濃度で使用することができる。
【0295】
表11に示した製剤をさらに変化させて試験した。製剤の変形例は、11%トレハロースを様々なトレハロース/糖/ポリマーの組み合わせで置き換えた一連のバルク試薬として調製した。これらのバルク試薬製剤は、以下の試薬の組み合わせを含んでおり、上記のように凍結乾燥および試験を行った。
a)3%トレハロース/1%10kDaポリビニルプロピレン
b)3%トレハロース/2%10kDaポリビニルプロピレン
c)3%トレハロース/3%10kDaポリビニルプロピレン
d)3%トレハロース/1%29kDaポリビニルプロピレン
e)3%トレハロース/2%29kDaポリビニルプロピレン
f)3%トレハロース/3%29kDaポリビニルプロピレン
g)3%トレハロース/1%55kDaポリビニルプロピレン
h)3%トレハロース/2%55kDaポリビニルプロピレン
i)3%トレハロース/3%55kDaポリビニルプロピレン
j)3%トレハロース/1%スクロース
k)3%トレハロース/2%スクロース
l)3%トレハロース/3%スクロース
m)11%トレハロース(対照)
【0296】
条件i)および対照条件m)を除いて、全ての組み合わせが十分に凍結乾燥され、いずれの初期崩壊も示さなかった。また、t=0での機能試験では、a)~m)の組み合わせのいずれにもCtの有意な遅延はなかったことが示された。しかしながら、37℃/95%RHで加速安定性条件に置かれたとき、対照条件を除く全ての組み合わせが4日後に崩壊を示した。11%トレハロースを用いた対照カートリッジは、14~16日まで37°C/95%RHで崩壊を示さなかった。したがって、11%を含むバルク試薬製剤は、凍結乾燥ペレットを使用前に長期保存するのに適している。
【0297】
実施例8Cleavase(登録商標)凍結乾燥前製剤バージョン4
試料投入量を変更することが望ましい。より少ない試料体積は、患者試料に対する複数の試験に対応するのに有用である。210ul~420ulの試料投入量を試験した。より少ない試料吸引量で感度を維持するために、PCR反応で使用される溶出液量を5ulから10ulに増加した。溶出液試料の過剰な5ulによって、反応混合物中の試薬の濃度が変化する。バルク試薬の試薬濃度は、異なる溶出液量を構成するように調節した(表13を参照)。
【0298】
420ul/5ulと210ul/10ulの条件を比較することにより、両方の条件で性能が同等であることがわかった(表12)。
【表12-1】
【表12-2】
【0299】
30ulの合計反応混合物量(例えば、20ulのマスターミックス+10ulの溶出液)を提供するために、溶出液の量を5ulから10ulに増加することによりSUDペレットの濃度を「1.5X」に変化させた。表13は、体積の変化を反映しており、トリス緩衝液が10mM MOPS緩衝液、pH7.5で置き換えられている。
【表13】
【0300】
このバージョン4の製剤は、PCR反応の試料溶出液量が2倍になることに対応できるようにさらに濃縮された試薬を有する(5μl→10μl)。製剤の濃度の変化に伴い、製剤のロバストネスを確保するために、新しい保持時間試験を行った。0日目に、上記表13に従って液体S.aureus反応混合物を調製し、3つのアリコートに分けた。最初のアリコートを直ちに凍結乾燥し、混合物の第2のアリコートを2~8℃で2日間保存した後凍結乾燥し、最後のアリコートを2~8℃で4日間保存した後凍結乾燥した。得られたカートリッジを密封し、ベースラインで試験(データは図示せず)すると同時に、30℃/95%相対湿度(RH)で4週間の加速安定性条件にも供した。試験は、LoD(1,000CFU/mL)を0.5log上回るMRSA細胞株を使用して、条件ごとに10反復で実行した。結果は、この製剤がLoDを0.5log上回るMRSAを検出することができることを示し、凍結乾燥前の0~4日間の保持時間、および凍結乾燥後の30℃/95%RHで最大30日間の加速安定性でロバストネスを実証した。
【0301】
実施例9
【0302】
捕捉された核酸を洗浄するために使用され得るSDS等の物質の阻害効果に対抗するために、凍結乾燥される組成物にα-シクロデキストリンを添加することができる。SDSの一部は、核酸溶液中に残存し、その後、核酸増幅および検出反応中に残存する。最初に、表13と同様の模擬鼻液(SNF)中1,000CFU/mLのS.aureus細胞(GP1822)を使用して、以下の違いを伴う4つのバージョンの製剤を調製した:(1)0ug/ulシクロデキストリン、(2)0.1ug/ulシクロデキストリン、(3)0.25ug/ulシクロデキストリン、または(4)0.5ug/ulシクロデキストリン。検体は、Panther Fusion Instrument(P182)で処理した。30%洗浄緩衝液を溶出緩衝液にスパイクした(すなわち、正常なWBキャリーオーバー+30%)。次いで、ペレットをMRSA標的核酸の増幅および検出のための試験反応に使用した。これらの増幅反応にはSDSを添加しなかった。この実験は、混合物へのシクロデキストリンの添加がペレットを用いて行われた核酸反応に影響を与えたかどうかを決定する。表14の条件1~4に見られるように、ct値は各試験条件で実質的に同一であり、少なくとも0.5ug/ulのシクロデキストリンを含むペレットの性能に悪影響がないことを示唆している。
【0303】
最初の実験後、表13と同様の4つのバージョンの製剤を再度調製し、(1)0ug/ulシクロデキストリン、(2)0.1ug/ulシクロデキストリン、(3)0.25ug/ulシクロデキストリン、または(4)0.5ug/ulシクロデキストリンのうちの1つを含めた。得られたペレットを、次いで、MRSA標的核酸の増幅および検出のための試験反応に使用した。この一連の増幅反応では、30%v/vの最終濃度になるまでSDSを反応混合物に加えた。増幅および検出反応を行った。表14の条件5~8に見られるように、SDSは核酸反応に対して阻害効果を有する(条件5)。0.1ug/ulシクロデキストリンはSDSの阻害をほぼ完全に中和し(条件6)、0.25ug/ulおよび0.5ug/ulはSDSの阻害を完全に中和した(条件7および8)。
【0304】
【表14】
【0305】
模擬鼻液(SNF)中1,000 CFU/mLのS.aureus細胞(GP1822)を使用して、さらなるデータセットを試験した。検体は、Panther Fusion Instrument(P368)で処理した。30%洗浄緩衝液を溶出緩衝液にスパイクした(すなわち、正常なWBキャリーオーバー+30%)。
【表15】
【0306】
表は、SDSの中和には最大5.0ug/mlのより高い濃度のシクロデキストリンが効果的であることを示している。
【0307】
したがって、表13のような製剤にはシクロデキストリン、例えば0.1~5ug/ulのシクロデキストリン、または0.1~0.5のシクロデキストリンを補充することができる。
【0308】
上記から、特定の実施形態が例示のために本明細書に記載されているが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が行われ得ることを理解されたい。したがって、本発明は明示的な開示によって限定されない。文脈からそうでないことが明らかでない限り、任意の実施形態、特徴、態様、またはステップは、いずれか他のものと組み合わせて使用することができる。文脈からそうでないことが明らかでない限り、列挙される構成要素を含むと言われる任意の組成物は、それらの構成要素からなるか、またはそれらから本質的になる。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照により全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。