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  • 特開-人工毛髪用繊維および頭飾品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069549
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】人工毛髪用繊維および頭飾品
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/48 20060101AFI20240514BHJP
   D01D 5/253 20060101ALI20240514BHJP
   A41G 3/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
D01F6/48 B
D01D5/253
A41G3/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042422
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2020558353の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2018224036
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】堀端 篤
(72)【発明者】
【氏名】武井 淳
(57)【要約】
【課題】良好な触感と、ぎらつきが抑制された外観とをバランス良く呈する人工毛髪用繊維を提供する。
【解決手段】本発明のある態様は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成された人工毛髪用繊維である。当該人工毛髪用繊維は、下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、70℃における損失正接tanδの値X1が0.06以上0.12以下であり、90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有する。(動的粘弾性測定条件)昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、40本の人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成された人工毛髪用繊維であって、
下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、
70℃における損失正接tanδの値X1が0.06以上0.12以下であり、
90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有する人工毛髪用繊維。
(動的粘弾性測定条件)
昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、40本の当該人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
【請求項2】
前記動的粘弾性測定で得られる60℃における損失正接tanδの値X2が0.05以上0.10以下である請求項1に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項3】
前記人工毛髪用繊維の断面が多角形、メガネ形、Y字形からなる群より選ばれる形状を有する請求項1または2に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項4】
前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂と架橋ポリ塩化ビニル系樹脂とを含み、
前記非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対する前記架橋ポリ塩化ビニル系樹脂の含有量が2質量部以上15質量部以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項5】
前記非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度が450以上1700以下である請求項4に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項6】
前記架橋ポリ塩化ビニル系樹脂において、テトラヒドロフランに溶解する成分の粘度平均重合度が500以上2300以下である請求項4または5に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の人工毛髪用繊維を用いた頭飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工毛髪用繊維および頭飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル系繊維は、優れた強度、伸度などを有しており、頭飾品を構成する人工毛髪用繊維として多く使用されている。
特許文献1には、塩化ビニル系樹脂と粘度平均分子量を規定した架橋ポリ塩化ビニル系樹脂との樹脂組成物からなり、かつ、断面形状が円、放物線、又は楕円を組み合わせてなる形状である人工毛髪用のポリ塩化ビニル系繊維が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/093009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工毛髪用繊維に求められる特性として、指で触ったときの触感の良さと、光の反射によるぎらつきにより視覚的に不快に感じさせないような外観の良さがある。本発明者らが、人工毛髪用繊維の触感と外観について検討したところ、指で触ったときの触感を良好にすると、ぎらつきが強くなり外観上好ましくないものとなることが明らかになった。すなわち、本発明者らの検討によれば、人工毛髪用繊維において、触感の良さと外観の良さにはトレードオフの関係があり、これらの特性をバランス良く向上させることは困難であることが明らかになった。
そこで、本発明は、良好な触感と、ぎらつきが抑制された外観とをバランス良く呈する人工毛髪用繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成された人工毛髪用繊維であって、下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、70℃における損失正接tanδの値X1が0.06以上0.12以下であり、90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有する人工毛髪用繊維が提供される。
(動的粘弾性測定条件)
昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、40本の人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
【0006】
また、本発明によれば、上述した人工毛髪用繊維を用いた頭飾品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な触感と、ぎらつきが抑制された外観とをバランス良く呈する人工毛髪用繊維に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0009】
図1図1(a)は、人工毛髪用繊維の断面形状がメガネ形の場合の概略断面図である。図1(b)は、人工毛髪用繊維の断面形状がY字形の場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(人工毛髪用繊維)
実施形態に係る人工毛髪用繊維は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成される。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂(A)(以下、単にポリ塩化ビニル系樹脂(A)とよぶ)および架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)を含むことが好ましい。
【0012】
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)は、特に限定されず、従来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、または従来公知の各種のコポリマー樹脂を用いることができる。該コポリマー樹脂としては、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル-プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル-アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル-アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル-エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル-プロピレンコポリマー樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル-アクリロニトリルコポリマー樹脂などが代表的に例示される。好ましいポリ塩化ビニル系樹脂(A)は、塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、塩化ビニル-エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー樹脂などが挙げられる。該コポリマー樹脂において、コモノマーの含有量は特に限定されず、繊維への成型加工性、繊維の特性などに応じて決めることができる。
【0013】
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度の下限は450以上が好ましく、500以上がより好ましく、550以上がさらに好ましい。また、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度の上限は1700以下が好ましく、1650以下がより好ましく、1600以下がさらに好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度を450以上とすることで、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の絡み合いを増やし、強度を高めることができる。また、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度を1700以下とすることにより、適度なゲル化が生じることで、繊維が切れにくくなり、生産性の向上を図ることができる。ポリ塩化ビニル系樹脂(A)として、ポリ塩化ビニルのホモポリマー樹脂を使用する場合、成型加工性と繊維特性を達成する点で、粘度平均重合度が650以上1450以下の範囲内であることが好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂(A)として、コポリマーを使用する場合は、コモノマーの含有量にも依存するが、粘度平均重合度が1000以上1700以下の範囲内であることが好ましい。
なお、粘度平均重合度は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)200mgをニトロベンゼン50mLに溶解させ、得られるポリマー溶液を30℃の恒温槽中、ウベローデ型粘度計を用いて比粘度を測定し、JIS-K6721により算出したものである。
【0014】
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)は、乳化重合、塊状重合または懸濁重合などによって製造することができる。繊維の初期着色性などを勘案して、懸濁重合によって製造した重合体が好ましい。
【0015】
(架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B))
架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)は、水性媒体中で塩化ビニルを懸濁重合、ミクロ懸濁重合あるいは乳化重合する際に多官能性モノマーを添加して重合することにより容易に得られる。この際、使用される多官能性モノマーとしては、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA変性ジアクリレートなどのジアクリレート化合物が特に好ましい。
架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)は、架橋構造を有し、テトラヒドロフラン(THF)に不溶な塩化ビニルを主成分とするゲル分と、テトラヒドロフランに可溶なポリ塩化ビニル成分と、の混合物である。
【0016】
架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)は、テトラヒドロフランに溶解する成分の粘度平均重合度の下限は、500以上が好ましく、550以上がより好ましく、600以上がさらに好ましい。また、当該粘度平均重合度の上限は、2300以下が好ましく、2200以下がより好ましく、2100以下がさらに好ましい。
テトラヒドロフランに溶解する成分の粘度平均重合度を500以上とすることにより、得られる人工毛髪用繊維の編み込み性を十分なものとすることができる。一方、当該粘度平均重合度を2300以下とすることにより、紡糸時に糸切れが発生することを抑制することができる。
【0017】
なお、架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)のテトラヒドロフランに溶解する成分の粘度平均重合度は次のように測定される。
架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)1gをテトラヒドロフラン60mLに添加し約24時間静置する。その後、超音波洗浄機を用いて架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)を十分に溶解させる。つぎに、得られたテトラヒドロフラン溶液を超遠心分離機(3万rpmで1時間)にかけ、テトラヒドロフラン溶液中の不溶分を分離し、上澄みのテトラヒドロフラン溶媒を採取する。その後、テトラヒドロフラン溶媒を揮発させ、残った樹脂成分について、上述のポリ塩化ビニル系樹脂(A)と同様な方法で粘度平均重合度を測定する。
【0018】
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対する架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の含有量の下限は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対する架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の含有量の上限は、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
【0019】
架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の含有量の下限を上記範囲とすることにより、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきを抑制し、触感を向上させることができる。また、架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の含有量の上限を上記範囲とすることにより、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきを抑制し、触感を向上させることができることに加え、紡糸性を十分なものとすることができる。
【0020】
(動的粘弾性測定により得られる指標)
本実施形態の人工毛髪用繊維は、下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、70℃における損失正接tanδの値X1の下限は0.060以上であり、0.065以上が好ましく、0.70以上がより好ましい。X1の上限は、0.120以下であり、0.115以下が好ましく、0.110以下がより好ましい。
さらに、本実施形態の人工毛髪用繊維は、下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、90℃以上110℃以下の温度範囲に損失正接tanδのピークを有する。
損失正接tanδが90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有しつつ、70℃における損失正接tanδの値X1を上記範囲とすることにより、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきを抑制し、触感を向上させることができる。
(動的粘弾性測定条件)
昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、25℃以上170℃以下の範囲で、40本の人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
【0021】
また、本実施形態の人工毛髪用繊維は、上記条件で動的粘弾性測定を行ったとき、60℃における損失正接tanδの値X2の下限は、0.050以上が好ましく、0.055以上がより好ましく、0.060以上がさらに好ましい。X2の上限は、0.100以下が好ましく、0.095以下がより好ましく、0.090以下がさらに好ましい。
60℃における損失正接tanδの値X2を上記範囲とすることにより、人工毛髪用繊維の特性を安定させ、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきをより一層抑制し、触感をより一層向上させることができる。
【0022】
また、本実施形態の人工毛髪用繊維は、上述した動的粘弾性測定で得られる損失正接tanδが50℃以上80℃未満の範囲にサブピークを有することが好ましい。これによれば、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきをより一層抑制し、触感をより一層向上させることができる。
【0023】
(添加剤)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤を含有してよい。
【0024】
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、非イオン性(ノニオン系)、カチオン系、アニオン系、両性系のものを使用することができる。帯電防止剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)および架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の総計100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部以下が好ましい。帯電防止剤の含有量を0.01質量部以上とすることで、静電気の発生を防ぐことができる。その結果、静電気の発生により生じ易くなる、糸が纏まり難くなり、巻き取られる過程で絡まりやすくなって糸切れが発生するという問題を防ぐことができる。また、帯電防止剤の含有量を1質量部以下にすることで、経済的に有利にすることができる。
【0025】
(熱安定剤)
熱安定剤としては、従来公知のものが使用できる。中でも、Ca-Zn系熱安定剤、ハイドロタルサイト系熱安定剤、錫系熱安定剤、ゼオライト系熱安定剤、エポキシ系熱安定剤およびβ-ジケトン系熱安定剤から選択される1種又は2種以上を使用することが望ましい。熱安定剤は、成形時の熱分解、ロングラン性、フィラメントの色調を改良するために使用するもので、特に好ましくは、成形加工性、糸特性のバランスが優れている、Ca-Zn系熱安定剤とハイドロタルサイト系熱安定剤との併用が好ましい。
【0026】
Ca-Zn系熱安定剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどがある。ハイドロタルサイト系熱安定剤としては、たとえば、協和化学工業株式会社製のアルカマイザーなどがある。錫系熱安定剤としては、ジメチルスズメルカプト、ジメチルスズメルカプタイド、ジブチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカプトポリマー、ジオクチルスズメルカプトアセテートなどのメルカプト錫系熱安定剤、ジメチルスズマレエート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマーなどのマレエート錫系熱安定剤、ジメチルスズラウレート、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレートなどのラウレート錫系熱安定剤がある。エポキシ系熱安定剤としては、たとえば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などがある。β-ジケトン系熱安定剤としては、たとえば、ステアロイルベンゾイルメタン(SBM)、ジベンゾイルメタン(DBM)などがある。
【0027】
ハイドロタルサイト系熱安定剤は、具体的にはハイドロタルサイト化合物であり、たとえば、マグネシウムおよび/またはアルカリ金属とアルミニウムあるいは亜鉛とからなる複合塩化合物、マグネシウムおよびアルミニウムからなる複合塩化合物などがある。さらに、結晶水を脱水したものであってもよい。また、ハイドロタルサイト化合物は、天然物であっても合成品であってもよく、合成品の合成方法は、従来公知の方法でよい。
【0028】
熱安定剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)および架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の総計100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましい。熱安定剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、樹脂組成物が熱劣化して黄変することを防ぐことができる。また、熱安定剤の含有量を5.0質量部以下とすることで、経済的に有利にすることができる。
【0029】
(滑剤)
滑剤としては、従来公知のものを用いることができるが、特に金属石鹸系滑剤、ポリエチレン系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、エステル系滑剤からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。滑剤は、加工機の金属面との摩擦や樹脂間の摩擦を減少させ、流動性を良くし、加工性を改良させることができる。
【0030】
金属石鹸系滑剤としては、たとえば、Na、Mg、Al、Ca、Baなどのステアレート、ラウレート、パルミテート、オレエートなどの金属石鹸が例示される。高級脂肪酸系滑剤としては、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、またはこれらの混合物などが例示される。高級アルコール系滑剤としては、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどが例示される。エステル系滑剤としては、アルコールと脂肪酸からなるエステル系滑剤やペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと高級脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはこれらの混合物などのペンタエリスリトール系滑剤やモンタン酸とステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコールとのエステル類のモンタン酸ワックス系滑剤が例示される。
【0031】
滑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)および架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の総計100質量部に対して、0.2質量部以上5.0質量部以下が好ましい。滑剤の含有量を0.2質量部以上にすることで、流動性が悪くなることを防いで加工性が悪化することを抑制できる。また、滑剤の含有量を5.0質量部以下にすることで、加工機の金属面との摩擦が少なくなることを防いで、安定的に樹脂を押し出すことができる。
【0032】
本実施形態においては、目的に応じて、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物に使用される他の公知の配合剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で添加できる。該配合剤の例としては、加工助剤、可塑剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、難燃剤、顔料、初期着色改善剤、導電性付与剤、香料等がある。
【0033】
(人工毛髪用繊維の断面形状)
人工毛髪用繊維は、長さ方向にわたってほぼ一様な断面形状を有していることが好ましい。人工毛髪用繊維の断面は、得られる人工毛髪用繊維のぎらつきをより一層抑制し、触感をより一層向上させる観点から、多角形、メガネ形、Y字形、および星形からなる群より選ばれる形状を有することが好ましい。また、表面積を低減して光の反射を抑制し、より効果的にぎらつきを抑制する観点から、多角形、メガネ形、およびY字形からなる群より選ばれる形状を有することがより好ましい。
多角形としては、五角形、および八角形が好ましい。
図1(a)は、人工毛髪用繊維10の断面形状がメガネ形の場合の概略断面図である。図1(b)は、人工毛髪用繊維10の断面形状がY字形の場合の概略断面図である。図1(a)に示すように、人工毛髪用繊維10の断面形状がメガネ形の場合には、2つの円形状または楕円形状の領域1、2と、領域1と領域2とを結ぶ連結領域3を有する。図1(b)に示すように、Y字形の断面形状は、中心Cから3方向に突出した突出部21、突出部22および突出部23を有する。突出部21の突出方向の長さL1(中心Cから突出部21の先端までの長さ)、突出部22の突出方向の長さL2(中心Cから突出部22の先端までの長さ)、突出部23の突出方向の長さL3(中心Cから突出部23の先端までの長さ)は同等でもよいが、いずれか1つ突出部の長さが他の2つの突出部の長さより長くてもよい。また、3つの突出部の長さが互いに異なっていてもよい。
なお、複数の人工毛髪用繊維が束になった人工毛髪用繊維束では、上述した断面形状のうち2種類以上の断面形状の人工毛髪用繊維が含まれていてもよい。長さL1、長さL2および長さL3は、紡糸性の点で、50μm以上90μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0034】
(人工毛髪用繊維の製造方法)
人工毛髪用繊維は、好ましくは全ての原料を混ぜ、一度ペレットコンパウンドにしてから公知の溶融紡糸により製造される。
【0035】
(混合およびペレットの作製)
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)、架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)に、適宜、帯電防止剤、熱安定剤および滑剤、並びに他の配合剤を所定の割合で混合し、従来公知の混合機で攪拌混合した後、押出機でペレットコンパウンド(ペレット状の樹脂組成物)にする。たとえば、従来公知の混合機として、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダーなどを使用して混合して得られるパウダーコンパウンド(粉状の樹脂組成物)を溶融混合してペレットコンパウンドを得る。
【0036】
パウダーコンパウンドの製造方法は、ホットブレンドでもコールドブレンドでもよく、製造条件として通常の条件を使用できる。好ましくは、組成物中の揮発分を減少するために、ブレンド時のカット温度を105℃以上155℃以下まで上げたホットブレンドを使用するのがよい。
【0037】
ペレットコンパウンドの製造は、通常の塩化ビニル系ペレットコンパウンドの製造方法と同様の方法とすることができる。たとえば、単軸押出し機、異方向2軸押出し機、コニカル2軸押出し機、同方向2軸押出し機、コニーダー、プラネタリーギアー押出し機、ロール混練り機などの混練り機を使用してペレットコンパウンドとすることができる。ペレットコンパウンドを製造する際の条件は、特に限定はされないが、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の熱劣化を防ぐため樹脂温度が185℃以下になるように設定することが好ましい。またペレットコンパウンド中に少量混入しうるスクリューの金属片や保護手袋についている繊維を取り除くため、スクリューの先端付近にメッシュを設置することもできる。ペレットの製造にはコールドカット法を採用できる。コールドカットの際に混入し得る切り粉(ペレット製造時に生じる微粉)などを除去する手段を採用してもよい。また、長時間使用しているとカッターが刃こぼれをおこし、切り粉が発生しやすくなるため、適宜交換することが好ましい。
【0038】
(紡糸)
上記のようにして得られたペレットを、三方に突起のあるノズルを用いて、シリンダー温度150℃以上190℃以下、ノズル温度180±15℃の範囲で、紡糸性の良い条件で樹脂を押出し、溶融紡糸する。ノズルの断面形状は、得られる人工毛髪用繊維の断面が所望の形状になるように設定される。
【0039】
ノズルから溶融紡糸された未延伸の糸(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の繊維)は、加熱円筒(加熱円筒温度250℃)に導入されて瞬間的に熱処理され、ノズル直下約4.5mの位置に設置した引取機にて巻き取られる。該ストランドは、未延伸糸のままである。この巻き取りの際、該未延伸糸の繊度が175デニール以上185デニール以下になるように引取速度を調節する。
【0040】
なお、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を未延伸の糸にする際には、従来公知の押出し機を使用できる。たとえば単軸押出し機、異方向2軸押出し機、コニカル2軸押出し機などを使用できるが、特に好ましくは、口径が直径35mm以上85mm以下の単軸押出し機または口径が35mmφ以上50mmφ以下のコニカル押出し機を使用するのがよい。口径が過大であると、押出し量が多くなり、またノズル圧力が過大になり、樹脂の温度が高くなり劣化しやすくなる場合がある。
【0041】
(延伸および熱処理)
次に、該未延伸糸を延伸機(たとえば、空気雰囲気下105℃)で3倍に延伸後、熱処理機(たとえば、空気雰囲気下120℃)を用いて、たとえば0.75倍になるように熱処理を施し(繊維全長が処理前の75%の長さに収縮するまで熱収縮させて)、繊度が58デニール以上62デニール以下になるようにし、人工毛髪用繊維を作製する。
【0042】
(ギア加工)
人工毛髪用繊維は、必要に応じて、ギア加工されていてもよい。ギア加工とは、2つの噛み合う高温のギアの間に繊維束を通すことによって捲縮を施す方法であり、使用するギアの材質、ギアの波の形、ギアの端数などは特に限定されない。繊維材質、繊度、ギア間の圧力条件等によってクリンプの波形状は変化しうるが、本実施形態においては、ギア波形の溝の深さ、ギアの表面温度、加工速度によってクリンプの波形状をコントロールできる。これらの加工条件に特に制限はないが、好ましくは、ギア波形の溝の深さは0.2mm以上6mm以下、より好ましくは0.5mm以上5mm以下、ギアの表面温度は30℃以上100℃以下、より好ましくは40℃以上80℃以下、加工速度は0.5m/分以上10m/分以下、より好ましくは1.0m/分以上8.0m/分以下である。
【0043】
ギア加工する際の繊維束の総繊度は、特に限定はないが、10万デシテックス以上200万デシテックス以下、より好ましくは50万デシテックス以上150万デシテックス以下である。繊維束の総繊度を、10万デシテックス以上とすることにより、ギア加工の生産性を高め、さらにギア-クリンプ加工をする際に糸切れが生じることを抑制することができる。一方、繊維束の総繊度を、200万デシテックス以下とすることにより、より均一な波形状を得ることができる。
【0044】
以上説明した実施形態に係る人工毛髪用繊維は、良好な触感と、ぎらつきが抑えられた外観とをバランスよく発揮することができる。
【0045】
本実施形態においては、人工毛髪用繊維に含まれる各成分の種類や配合割合、およびポリ塩化ビニル系樹脂(A)および架橋ポリ塩化ビニル系樹脂(B)の調製方法を適切に調整することにより、上述のパラメータを満たす人工毛髪用繊維を得ることができる。また、人工毛髪用繊維の断面形状を上述した形状の中から選択することにより、上述のパラメータを満たすことができる。
【0046】
(頭飾品)
実施形態に係る人工毛髪用繊維は頭飾品に用いることができる。頭飾品としては、ウィッグ、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアーが挙げられる。実施形態に係る人工毛髪用繊維から得られる頭飾品は、人毛に近い効果を発揮する。
【0047】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0048】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
表1に各実施例および各比較例の人工毛髪用繊維の作製に用いた成分および配合量を示す。
表1に示した成分の詳細は以下のとおりである。
・塩化ビニル樹脂:塩化ビニルの単独重合物、粘度平均重合度500(大洋塩ビ株式会社製、TH-1000)
粘度平均重合度は、塩化ビニル200mgをニトロベンゼン50mLに溶解させ、このポリマー溶液を30℃の恒温槽中、ウベローデ型粘度計を用いて比粘度を測定し、JIS-K6721により算出した。
・架橋ポリ塩化ビニル樹脂:部分架橋ポリ塩化ビニル樹脂、THF可溶分粘度平均重合度1600(信越化学株式会社製、GR-1300T)
テトラヒドロフラン(THF)可溶分の粘度平均重合度は、次のように測定した。架橋ポリ塩化ビニル樹脂1gをテトラヒドロフラン60mLに添加し約24時間静置した。その後、超音波洗浄機を用いて樹脂を溶解させた。THF溶液中の不溶分を、超遠心分離機(3万rpm×1時間)を用いて分離し、上澄みのTHF溶媒を採取した。その後、THF溶媒を揮発させ、上記ポリ塩化ビニル系樹脂(A)と同様の方法で粘度平均重合度を測定した。
・帯電防止剤:日油株式会社製、ニューエレガンASK
・熱安定剤:日産化学工業株式会社製、CP-410A
・滑剤:理研ビタミン株式会社製、EW-100
【0050】
(実施例1)
表1に示す成分および配合量にしたがう塩化ビニル系樹脂組成物をリボンブレンダーで混合し、シリンダー温度130℃以上170℃以下の範囲において、直径40mmの押出機を使用し、溶融混練を行い、ペレットを作製した。
メガネ形の孔を有し、孔数が120個のノズルを用いて、シリンダー温度140℃以上190℃以下、ノズル温度180±15℃の範囲において、押出し量10kg/時間で直径30mmの押出機で上記ペレットを溶融紡糸した。
その後、ノズル直下に設けた加熱円筒(200℃以上300℃以下の雰囲気)で約0.5秒以上1.5秒以下熱処理し、150デシテックスの繊維とした。次に、前記溶融紡糸した繊維を100℃の空気雰囲気下で300%に延伸する工程、そして、前記延伸した繊維に120℃の空気雰囲気下で繊維全長が処理前の75%の長さに収縮するまで熱収縮する工程を順次経て、67デシテックスの実施例1の人工毛髪用繊維を得た。
【0051】
(実施例2、3および6、比較例1、2)
表1に示す成分および配合量の塩化ビニル系樹脂組成物を用いることを除いて、実施例1と同様な手順で実施例2、3および6、比較例1、2の人工毛髪用繊維を作製した。
【0052】
(実施例4)
表1に示す成分および配合量の塩化ビニル系樹脂組成物を用い、五角形の孔を有する押出機を用いて溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な手順で実施例4の人工毛髪用繊維を作製した。
【0053】
(実施例5)
表1に示す成分および配合量の塩化ビニル系樹脂組成物を用い、Y字形の孔を有する押出機を用いて溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な手順で実施例5の人工毛髪用繊維を作製した。
【0054】
(実施例7)
表1に示す成分および配合量の塩化ビニル系樹脂組成物を用い、星形の孔を有する押出機を用いて溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な手順で実施例7の人工毛髪用繊維を作製した。
【0055】
(断面形状観察)
得られた人工毛髪用繊維の断面を、キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ、VHX-500を用いて観察し、人工毛髪用繊維の断面形状を分類した。各人工毛髪用繊維の断面形状の観察結果を表1に示す。
【0056】
(動的粘弾性測定条件)
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、DMS6100を用い、昇温速度4℃/min、周波数1Hz、チャック間距離を3mmとし、40本の人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで25℃以上170℃以下の範囲における損失正接tanδを測定し、60℃および70℃における損失正接tanδの値を求めるとともに、90℃以上110℃以下の範囲における損失正接tanδのピークの有無を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0057】
(触感)
約20000本の人工毛髪用繊維の束を優しく把持したときの柔らかさ・しなやかさ・適度な弾性(触感)と、人工毛髪用繊維の束に指を通したときの指通りの良さ(滑らかさ)について評価した。具体的には、人工毛髪用繊維処理技術者5名が、次の評価基準に従い評価し、判定を行った。
・評価基準
手触りが非常に滑らかで触感が特に良いと評価した技術者が9割以上を「○」、滑らかさがやや劣るが触感が良いと評価した技術者が7割以上9割未満を「△」、滑らかさがなく触感が良くないと評価した技術者が7割未満を「×」とした。評価結果を表1に示す。
【0058】
(ぎらつき)
約20000本の人工毛髪用繊維の束に、光(太陽光)を当て、光の反射によって生じる輝点から受ける過度のぎらぎら感について評価した。人工毛髪用繊維処理技術者5名が、次の評価基準に従い評価し、判定した。
・評価基準
ぎらつきがなく、自然な艶感があり、外観が特に良好であると評価した技術者が9割以上を「○」、ぎらつきがある程度生じているが外観上気にならない程度であると評価した技術者が7割以上9割未満ものを「△」、ぎらつきがきつく、不自然な感じがあり、視覚的に不快さを感じさせる程であると評価した技術者が7割未満を「×」とした。ぎらつきについての評価結果を表1に示す。
【表1】
【0059】
表1に示すように、実施例1~7の人工毛髪用繊維は、良好な触感を発揮するとともに、ぎらつきが抑えられた良好な外観を呈することが確認された。この中でも、実施例1、4および5の人工毛髪用繊維は、触感、ぎらつき共に、特に良好な結果が得られた。
これに対して、比較例1では、ぎらつきが良好でなく、比較例2では、触感が不良であった。
【0060】
この出願は、2018年11月29日に出願された日本出願特願2018-224036号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成された人工毛髪用繊維であって、
下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、
70℃における損失正接tanδの値X1が0.06以上0.12以下であり、
90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有する人工毛髪用繊維。
(動的粘弾性測定条件)
昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、40本の当該人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. ポリ塩化ビニル系樹脂組成物により形成された人工毛髪用繊維であって、
下記条件での動的粘弾性測定を行ったとき、
70℃における損失正接tanδの値X1が0.06以上0.12以下であり、
90℃以上110℃以下の温度範囲にピークを有する人工毛髪用繊維。
(動的粘弾性測定条件)
昇温速度4℃/min、周波数1Hzとし、40本の当該人工毛髪用繊維を並べた束を挟んで測定する。
2. 前記動的粘弾性測定で得られる60℃における損失正接tanδの値X2が0.05以上0.10以下である1.に記載の人工毛髪用繊維。
3. 前記人工毛髪用繊維の断面が多角形、メガネ形、Y字形からなる群より選ばれる形状を有する1.または2.に記載の人工毛髪用繊維。
4. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂と架橋ポリ塩化ビニル系樹脂とを含み、
前記非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対する前記架橋ポリ塩化ビニル系樹脂の含有量が2質量部以上15質量部以下である1.乃至3.のいずれか1つに記載の人工毛髪用繊維。
5. 前記非架橋のポリ塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度が450以上1700以下である4.に記載の人工毛髪用繊維。
6. 前記架橋ポリ塩化ビニル系樹脂において、テトラヒドロフランに溶解する成分の粘度平均重合度が500以上2300以下である4.または5.に記載の人工毛髪用繊維。
7. 1.乃至6.のいずれか1つに記載の人工毛髪用繊維を用いた頭飾品。