(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069575
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】心理分析装置、心理分析方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240514BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043184
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2020018710の分割
【原出願日】2020-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】王 宙飛
(57)【要約】
【課題】 質問者の心理状態を正確に把握することができる心理分析装置を提供する。
【解決手段】 本発明の心理分析装置10は、テキストデータ取得手段11、入力特徴取得手段12、及び心理状態分析手段13を含み、テキストデータ取得手段11は、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得し、入力特徴取得手段12は、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得し、心理状態分析手段13は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキストデータ取得手段、入力特徴取得手段、及び心理状態分析手段を含み、
前記テキストデータ取得手段は、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得し、
前記入力特徴取得手段は、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得し、
前記心理状態分析手段は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析し、
前記心理状態分析手段は、自然言語処理及び感情度合いの判定により、前記心理状態をスコア化することで分析し、
前記感情度合いは、感情極性対応表を用いて判定され、前記取得した入力特徴データに基づき、前記感情極性対応表に記載されている感情度合いを補正する、心理分析装置。
【請求項2】
さらに、質問者特定手段、機械学習手段、及び補正手段を含み、
前記質問者特定手段は、前記問合せテキストデータを入力した質問者を特定し、
前記機械学習手段は、機械学習により、問合せ履歴データベースを参照して前記特定した質問者の特徴を学習し、
前記問合せ履歴データベースは、過去情報として、前記質問者の前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを格納してあり、
前記補正手段は、前記学習した質問者の特徴を用いて前記分析した心理状態を補正する、請求項1記載の心理分析装置。
【請求項3】
前記機械学習手段は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データを格納した前記問合せ履歴データベースを参照して、前記質問者の特徴を学習する、請求項2記載の心理分析装置。
【請求項4】
テキストデータ取得工程、入力特徴取得工程、及び心理状態分析工程を含み、
前記テキストデータ取得工程は、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得し、
前記入力特徴取得工程は、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得し、
前記心理状態分析工程は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析し、
前記心理状態分析工程は、自然言語処理及び感情度合いの判定により、前記心理状態をスコア化することで分析し、
前記感情度合いは、感情極性対応表を用いて判定され、前記取得した入力特徴データに基づき、前記感情極性対応表に記載されている感情度合いが補正され、
前記各工程がコンピュータにより実行される、心理分析方法。
【請求項5】
さらに、質問者特定工程、機械学習工程、及び補正工程を含み、
前記質問者特定工程は、前記問合せテキストデータを入力した質問者を特定し、
前記機械学習工程は、機械学習により、問合せ履歴データベースを参照して前記特定した質問者の特徴を学習し、
前記問合せ履歴データベースは、過去情報として、前記質問者の前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを格納してあり、
前記補正工程は、前記学習した質問者の特徴を用いて前記分析した心理状態を補正する、請求項4記載の心理分析方法。
【請求項6】
前記機械学習工程は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データを格納した前記問合せ履歴データベースを参照して、前記質問者の特徴を学習する、請求項5記載の心理分析方法。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心理分析装置、心理分析方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自然言語処理技術を用いて、問合せ内容が入力されたテキストデータから前記テキストデータを入力した質問者の心理状態(例えば、感情等)を分析する技術が報告されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来は、問合せ内容が確定したテキストデータに対して、自然言語処理技術を用いていた。しかしながら、前記テキストデータは、社会通念やビジネスマナー等に配慮して入力(記載)されていることが多い。そのため、前記テキストデータから質問者の心理状態を正確に把握することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、質問者の心理状態を正確に把握可能な心理分析装置、心理分析方法、プログラム、及び記録媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の心理分析装置は、
テキストデータ取得手段、入力特徴取得手段、及び心理状態分析手段を含み、
前記テキストデータ取得手段は、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得し、
前記入力特徴取得手段は、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得し、
前記心理状態分析手段は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析する、装置である。
【0007】
本発明の心理分析方法は、
テキストデータ取得工程、入力特徴取得工程、及び心理状態分析工程を含み、
前記テキストデータ取得工程は、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得し、
前記入力特徴取得工程は、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得し、
前記心理状態分析工程は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析する、方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、質問者の心理状態を正確に把握することができる。これにより、前記質問者に対し適切な対応をすることが可能になり、顧客満足度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1の装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態2の装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の心理分析装置は、例えば、さらに、質問者特定手段、機械学習手段、及び補正手段を含み、
前記質問者特定手段は、前記問合せテキストデータを入力した質問者を特定し、
前記機械学習手段は、機械学習により、問合せ履歴データベースを参照して前記特定した質問者の特徴を学習し、
前記問合せ履歴データベースは、過去情報として、前記質問者の前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを格納してあり、
前記補正手段は、前記学習した質問者の特徴を用いて前記分析した心理状態を補正する、という態様であってもよい。
【0011】
本発明の心理分析装置において、例えば、前記機械学習手段は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データを格納した前記問合せ履歴データベースを参照して、前記質問者の特徴を学習する、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の心理分析方法は、例えば、さらに、質問者特定工程、機械学習工程、及び補正工程を含み、
前記質問者特定工程は、前記問合せテキストデータを入力した質問者を特定し、
前記機械学習工程は、機械学習により、問合せ履歴データベースを参照して前記特定した質問者の特徴を学習し、
前記問合せ履歴データベースは、過去情報として、前記質問者の前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを格納してあり、
前記補正工程は、前記学習した質問者の特徴を用いて前記分析した心理状態を補正する、という態様であってもよい。
【0013】
本発明の心理分析方法において、例えば、前記機械学習工程は、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データを格納した前記問合せ履歴データベースを参照して、前記質問者の特徴を学習する、という態様であってもよい。
【0014】
本発明のプログラムは、本発明の心理分析方法をコンピュータ上で実行可能なプログラムである。
【0015】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0016】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0017】
本発明において、「心理」とは、例えば、感情、情動、悪意、善意等を含む、ある対象に対する態度や価値づけ、心の動きを意味する。
【0018】
本発明の適応分野は、特に制限されず、例えば、デパート、商店、売店などの商業施設、図書館などの公共施設、病院などの医療施設、老人ホームなどの介護施設等がある。なお、本発明において、「質問者」とは、例えば、各施設の利用者(患者、顧客等ともいう)を示す。
【0019】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の心理分析装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本装置10は、テキストデータ取得手段11、入力特徴取得手段12、及び心理状態分析手段13を含む。
【0020】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等があげられる。無線通信としては、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0021】
図2に、本装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央演算装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置106、通信デバイス107等を有する。本装置10のハードウエア構成の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0022】
中央演算装置(中央処理装置)101は、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央演算装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算装置101が、テキストデータ取得手段11、入力特徴取得手段12、及び心理状態分析手段13として機能する。
【0023】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部データベース、プリンター等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、前記通信回線網に接続でき、前記通信回線網を介して、外部装置と接続することもできる。
【0024】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央演算装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央演算装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0025】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。
【0026】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、管理者からのアクセス情報及びログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。
【0027】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、表示装置106を有する。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。表示装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0028】
つぎに、本実施形態の心理分析方法の一例を、
図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の心理分析方法は、例えば、
図1の心理分析装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の心理分析方法は、
図1の心理分析装置10の使用には限定されない。
【0029】
まず、テキストデータ取得手段11により、入力経過情報を含む問合せテキストデータを取得する(S1)。前記問合せテキストデータは、例えば、質問者からの問合せ内容が記録されたテキストデータである。前記入力経過情報とは、例えば、前記問合せテキストデータの入力開始時点から入力完了時点までに、入力した文字の削除、訂正、挿入等の履歴である。
【0030】
つぎに、入力特徴取得手段12により、前記問合せテキストデータの入力特徴データを取得する(S2)。前記入力特徴データは、例えば、入力スピード(タイピングスピード)、キーを入力する力強さ、入力した文字の訂正頻度等がある。前記工程(S2)は、前記工程(S1)と並行して処理してもよいし、前記工程(S1)の前に処理してもよい。本装置10は、例えば、前記入力特徴データに対する閾値を予め設定していてもよい。前記閾値は、特に制限されず、ユーザが任意に設定してもよいし、複数の質問者から集めた入力特徴データによって算出された平均値等でもよい。これにより、本装置10は、例えば、後述の心理状態分析手段13において、前記取得した入力特徴データに対し、前記閾値と比較して、早いか遅いか、力強いか否か、訂正頻度が高いか否か等の比較が可能である。
【0031】
前記入力特徴データは、例えば、前記問合せテキストデータにおける文字や文章と紐づけられていてもよい。この場合、例えば、後述の心理状態分析手段13により、前記質問者がどの単語、文章等に重きをおいているかが分かる。
【0032】
テキストデータ取得手段11及び入力特徴取得手段12は、例えば、前記質問者の端末から送信される前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを受信することで、取得してもよい。この場合は、例えば、前記質問者の端末が、前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを記録する。また、テキストデータ取得手段11及び入力特徴取得手段12は、例えば、本装置10の入力装置105を用いることで、前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを取得してもよい。
【0033】
そして、心理状態分析手段13により、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データから、質問者の心理状態を分析し(S3)、終了する(END)。心理状態分析手段13は、例えば、自然言語処理(natural language processing;NLP)及び感情度合いの判定により、前記心理状態をスコア化することで、分析可能である。前記感情度合いの判定は、例えば、感情極性対応表を用いて判定を行う。前記感情極性対応表は、単語と、前記単語が表現する心理(感情)の度合い(スコア)とを紐づけた表であり、特に制限されず、任意に設定してもよいし、一般に公開されている表を用いてもよい。前記自然言語処理及び前記感情度合いの判定は、特に制限されず、例えば、公知技術を用いることができる。具体的には、例えば、心理状態分析手段13は、前記取得した問合せテキストデータに対し、前記自然言語処理及び前記感情度合いの判定を実施する。そして、心理状態分析手段13は、例えば、前記取得した入力特徴データに基づき、前記感情極性対応表に記載されている感情度合いを補正する。具体的には、例えば、前記感情極性対応表において、ポジティブ感情の「素晴らしい」という単語の感情度合いが「+0.9」とすると、入力スピードが早い場合や力強い場合は、「素晴らしい」の感情度合いを「+0.9+α」とする。一方で、ネガティブ感情の「悪い」という単語の感情度合いが「-0.9」とすると、入力スピードが早い場合や力強い場合は、例えば、「素晴らしい」の感情度合いを「-0.9―α」とする。
【0034】
本実施形態の心理分析装置10によれば、入力が完了した問合せテキストデータだけではなく、前記入力経過情報と前記入力特徴データとを加えた分析を行うことで、質問者の心理状態を正確に把握することができる。このため、本装置10によれば、例えば、前記質問者に対して、適切な対応を行うことができ、顧客満足度の向上につながる。
【0035】
[実施形態2]
図4は、本実施形態の心理分析装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態において、心理分析装置10が、さらに、質問者特定手段14、機械学習手段15、及び補正手段16を含み、通信回線網30を介して、問合せ履歴データベース20と接続可能である点を除き、前記実施形態1の心理分析装置10と同様である。本実施形態の心理分析装置1におけるハードウエア構成は、中央演算装置101が、さらに、質問者特定手段14、機械学習手段15、及び補正手段16を含む点を除き、
図2に示す前記実施形態1の心理分析装置10と同様である。特に示さない限り、本実施形態は、前記実施形態1の記載を援用できる。
【0036】
つぎに、本実施形態の心理分析方法の一例を、
図5のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の心理分析方法は、例えば、
図4の心理分析装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の心理分析方法は、
図4の心理分析装置10の使用には限定されない。
【0037】
まず、
図5に示す工程(S1)~工程(S3)は、
図3に示す前記工程(S1)~前記工程(S3)と同様に処理する。
【0038】
つぎに、質問者特定手段14により、前記問合せテキストデータを入力した質問者を特定する(S4)。具体的には、例えば、前記質問者が前記問合せテキストデータを入力する際に、氏名、生年月日、性別、住所、識別情報等を入力したり、顔認証、指紋認証等の生体認証を行うことにより、予め記憶した質問者に関する情報(マスター情報)と照合することで、前記質問者を特定可能である。一方で、前記質問者を特定できなかった場合は、例えば、後述の問合せ履歴データベース20に、前記質問者に関する情報(マスター情報)を新たに記憶してもよい。
【0039】
つぎに、機械学習手段15により、機械学習を実行して、問合せ履歴データベース20を参照して、前記特定した質問者の特徴を学習する(S5)。前記機械学習の技法は、特に制限されず、例えば、相関ルール学習、ニューラルネットワーク等を用いることができる。問合せ履歴データベース20は、過去情報として、前記質問者の前記問合せテキストデータ及び前記入力特徴データを格納してあるデータベースである。前記特定した質問者の特徴とは、例えば、キー入力習慣(例えば、タイプミスしやすい単語等)、言葉遣い、問合せ頻度、文章の長さ、入力スピード(タイピングスピード)、前記問合せテキストデータの入力開始時から入力完了時までにかかる時間等である。本装置10は、例えば、機械学習手段15によって前記学習した質問者の特徴を学習データとして記憶してもよい。機械学習手段15は、例えば、前記取得した問合せテキストデータ及び入力特徴データを格納した問合せ履歴データベース20を参照して、前記質問者の特徴を学習(再学習)してもよい。
【0040】
そして、補正手段16により、前記学習した質問者の特徴を用いて前記分析した心理状態を補正し(S6)、終了する(END)。具体的には、例えば、前記取得した入力特徴データが、前記閾値よりも高い場合であっても、前記過去情報と比較して、有意な差がない場合は、前記分析した心理状態を補正しない。一方で、前記取得した入力特徴データが、前記過去情報と比較して、有意な差がある場合は、前記分析した心理状態を補正する。前記補正は、例えば、前述と同様である。これにより、本装置10は、例えば、特定の質問者の過去情報を考慮した補正を行うことができる。
【0041】
具体的に、前記質問者の心理状態を補正する一例について説明する。一つ目の例として、例えば、問合せ頻度が高い質問者による問合せは、感情的に問題がないとして、補正手段16による前記補正を行わない。一方で、問合せ頻度が低い質問者による問合せは、例えば、心理的に問題があるとして、補正手段16により、前記分析した心理状態を「怒り」や「不満」の心理状態に補正する(「怒り」や「不満」のスコアを上げるともいう)。
【0042】
二つ目の例として、例えば、テキストデータ取得手段11により取得した本処理における前記問合せテキストデータにおける文章が、問合せ履歴データベースに格納されている過去の問合せテキストデータにおける文章と比較して、有意に長文である場合があげられる。この場合は、例えば、心理的に問題があるとして、補正手段16により、前記分析した心理状態を「怒り」や「不満」の心理状態に補正する(「怒り」や「不満」のスコアを上げるともいう)。
【0043】
三つ目の例として、例えば、入力特徴取得手段12により取得した入力スピード(タイピングスピード)が、問合せ履歴データベースに格納されている過去の入力スピード(タイイングスピード)と比較して、有意に早い場合があげられる。この場合は、例えば、心理的に問題があるとして、補正手段16により、前記分析した心理状態を「怒り」や「不満」の心理状態に補正する(「怒り」や「不満」のスコアを上げるともいう)。
【0044】
本実施形態の心理分析装置10によれば、前記補正を行うため、質問者の心理状態をより正確に把握することができる。また、本実施形態の心理分析装置10によれば、前記質問者の特徴を用いることで、前記分析に対して、質問者毎に適した補正をすることが可能になる。さらに、本実施形態の心理分析装置10によれば、質問者を特定したり、過去情報を参照するため、例えば、質問者が他人を装って、同様の問合せを多数行う等の情報操作の悪意も把握することができる。
【0045】
[実施形態3]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態の方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。
【0046】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、例えば、質問者の心理状態を正確に把握することができる。このため、本発明は、例えば、ビジネスマナー等を考慮して作成されたテキストデータ、すなわち、前記テキストデータに質問者の心理状態(感情等)が隠れている場合に、特に有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 心理分析装置
11 テキストデータ取得手段
12 入力特徴取得手段
13 心理状態分析手段
14 質問者特定手段
15 機械学習手段
16 補正手段
20 問合せ履歴データベース
30 通信回線網
101 中央演算装置
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 表示装置
107 通信デバイス