(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069595
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7034 20060101AFI20240514BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240514BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240514BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K31/7034
A61K31/192
A61K31/122
A61K31/704
A61P17/14
A61K8/60
A61K8/368
A61K8/35
A61Q7/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043643
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2021500792の分割
【原出願日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0079534
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0126283
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ヨン・シン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ファ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ヨン・イ
(57)【要約】
【課題】本発明は、毛髪の新規成長または成長促進を誘導する成分を含む毛髪成長促進のための脱毛防止及び発毛促進用の組成物に関する。本発明の脱毛防止及び毛髪成長促進用の組成物は、毛髪の成長周期のうち休止期から成長期へ移行する周期を短縮させることで毛髪の成長を促進し、退行期への転換を遅らせて、脱毛防止及び毛髪成長促進の効果が優秀である。また、本発明の組成物は、人体に安全であり、副作用がなく、毛乳頭細胞の増殖を促進して毛髪の弾力性を増加させる効果が優秀である。
【解決手段】ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその塩、水和物または溶媒和物を有効成分として含む、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスシンを有効成分として含む、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項2】
前記有効成分の含量が、組成物の総重量に対して0.001~10 重量%である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項3】
ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその塩、水和物または溶媒和物を有効成分として含む、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項4】
前記化合物が二種以上である、請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項5】
前記一種以上の化合物が、(i)クリソファノール、及び(ii)レイン、ラポンチシン及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドより選択された一種以上の化合物である、請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項6】
前記一種以上の化合物が、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドを含む、請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項7】
前記有効成分の含量が、組成物の総重量に対して0.00001~50重量%である、請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、毛乳頭細胞の増殖を促進する、請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、毛髪の弾力性を増加させる、請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、医薬組成物である、請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、医薬外品用の組成物である、請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、化粧料組成物である、請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項13】
請求項1または請求項3に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を含む、毛髪または頭皮用の製品。
【請求項14】
前記製品が、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、 頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択される、請求項13に記載の毛髪または頭皮用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪成長促進のための組成物に関し、より詳しくは、毛髪の新規成長または成長促進を誘導する成分を含む毛髪成長促進のための脱毛防止及び発毛促進用の組成物に関する。
【0002】
本出願は、2018年7月9日出願の韓国特許出願第10-2018-0079534号及び2018年10月22日出願の韓国特許出願第10-2018-0126283号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、美容に対する関心がますます高まるにつれ、毛髪も重要な部分を占めている。毛髪は、皮膚の表面で産生され、細く角化した構造である。これは、外部衝撃に対するクッションの役割と共に、直射日光、寒冷、摩擦、危険などの外部刺激から人体を保護し、身体に有害なヒ素、水銀、亜鉛などの重金属を体外へ排出するように機能し、現代には、装飾のような美容的な面においても強調されている。しかし、食生活の変化や内外的ストレスの増加などの多様な原因によって脱毛を訴える人が増加しつつある。
【0004】
人の毛髪は、約10万~15万個であり、各々の毛髪は相異なる成長周期を有する。毛髪成長周期は3段階で構成され、毛髪が最も活発に成長する成長期(anagen stage)、毛髪の退化が始まる退行期(catagen stage)及び毛髪の成長が止まるか、または休息に入る休止期(telogen stage)に分類される。
【0005】
このような毛髪成長周期の調節において、毛嚢を構成する毛乳頭細胞及び毛嚢幹細胞を含む外毛根鞘細胞(outer root sheath cell)の活性と、これらの細胞で生産される多様なサイトカイン(cytokine)及び成長因子が重要な役割を果たすと知られている。例えば、DKK-1(Dickkopf-1)は、毛嚢成長の阻害と死滅に重要な役割を果たす(J Invest.Dermatol,2008:128(2))。一方、周期的な毛髪成長のために、毛嚢の再生及び幹細胞の活性化が行われなければならず、これは、Wnt/β-カテニンの生成及び活性化によって行われると知られている(Nature 2007:447(7142))。
【0006】
通常、脱毛症(Alopecia)とは、このような周期において、成長期の毛髪の割合が少なくなり、退行期または休止期の毛髪が多くなって、非正常に毛髪の脱落数が多くなることを称する。正常な人は成長期の毛髪が多い一方、脱毛症の人は、休止期の毛髪が多くて肉眼で見える脱毛現象が現わすようになる。脱毛症の人の特徴は、毛髪の小型化にある。脱毛が進むほど、成長期の期間が短くなって退行期及び休止期への移行が促進され、その後、毛乳頭の体積が小さくなって毛嚢がますます小型化する。したがって、脱毛の治療のためには、休止期状態の毛嚢を成長期へ速く戻すようにし、短くなった成長期を延ばすことが重要である。
【0007】
脱毛の原因には、男性ホルモン作用過剰説、皮脂分泌過剰説、血液循環不良説、過酸化物、細菌などによる頭皮機能低下説、遺伝的な要因、老化、ストレスなどが論議されてきたが、現在まで脱毛の明確な原因は明らかになっていない状態である。
【0008】
毛嚢の成長と脱落には男性ホルモンが非常に重要に作用しており、男性ホルモンによって毛嚢で調節される因子のうちTGF-βは、男性ホルモンによる毛嚢成長阻害と、毛嚢周期のうち退行期への誘導に重要な役割を果たす(Tsuji Y,Denda S,Soma T,Raftery L,Momoi T,Hibino T,A potential suppressor of TGF-beta delays catagen progression in hair follicles,J Investig Dermatol Symp Proc,2003:8(1):65-68)。即ち、男性ホルモンによって毛嚢の毛乳頭細胞で発現され、毛嚢の基質細胞と外毛根鞘角質細胞のアポトーシスを起こして成長期の毛嚢を退行期に誘導することで、TGF-βの量が増加すれば、毛髪基質細胞(hair matrix cell)と外毛根鞘細胞のアポトーシスを誘導し、これによって、休止期の毛嚢が増加して成長期の毛嚢が退行期の毛嚢に変わるようになり、よく抜け、細くて短い毛髪が生成される(リ・ヨンジュ、リ・ジュヨン、男性のアンドロゲン性脱毛者の臨床的診断と管理、韓国美容学会誌、2007:13(2):799-810)。したがって、TGF-βは、毛嚢成長を抑制すると知られている。
【0009】
エスシン(escin)は、マロニエ抽出物に多量含有されているサポニン系の物質であり、抗炎作用をし、血管収縮剤または血管保護剤として主に使用される。しかし、本発明の前には、エスシンの脱毛防止改善、発毛促進効果については知られていない。
【0010】
現在まで開発された脱毛症の治療または予防用の製剤としては、血行促進、毛根機能強化、頭皮保湿及び男性ホルモンの抑制のための女性ホルモンを主成分とした製剤やミノキシジル(minoxidil)、フィナステリド(Finasteride)、トリコサッカライド(trichosaccharide)を含む製剤などがある。代表的な塗布用の脱毛治療剤であるミノキシジル(2,4-diamino-6-piperidinopyrimidine-3-oxide)は、頭皮への血流量を増加させ、経口用の脱毛治療剤であるフィナステリドは、5α-reductaseの活性を阻害して活性型男性ホルモンであるDHTの生成を減少させる機能をする。しかし、前記製剤は、副作用または使用上の注意事項によって使用に多くの制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を含む毛髪または頭皮用製品を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、従来の脱毛治療剤の副作用及び使用上の注意事項などの問題点を改善し、脱毛防止/養毛剤の発毛促進効果が微々たるなどの短所なく、人体に安全であり、かつ毛髪成長及び発毛促進に効果的に作用する組成物の開発のために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
具体的に、本発明の発明者は、エスシンが毛乳頭細胞においてWnt/β-カテニン信号伝達係の活性を促進させ、毛乳頭細胞の増殖を促進させ、さらに、β-カテニンの発現量を増加させることを確認した。即ち、エスシンが毛乳頭細胞のWnt/β-カテニン信号伝達を増幅させることで、毛髪の生理周期を退行期から活性期へ移行するのに重要な役割を果たすことをインビトロ(in-vitro)実験によって確認した。また、本発明の発明者は、エスシンを含む脱毛治療用の組成物を脱毛症患者に処理したとき、毛髪の太さ、密集度及び弾力性を改善するのに著しく優秀な効果を奏することを確認した。さらに、市販製品であるミノキシジルとの比較実験結果、本発明のエスシンを含む脱毛治療用の組成物は、脱毛防止及び発毛効果がミノキシジルに類似であるか、またはミノキシジルよりも優秀であることを確認した。
【0015】
本発明は、エスシンを有効成分として含む脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を提供する。
【0016】
一実施例において、本発明の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物の有効成分として含まれるエスシンの含量は、組成物の総重量に対して0.001~10重量%、望ましくは0.01~5重量%、より望ましくは0.1~2重量%であり得る。本発明において、前記エスシンが組成物の総重量に対して0.001~10重量%である場合には、インビトロ(in-vitro)または臨床的に脱毛防止及び毛髪成長促進に優秀な効果を示した。前記エスシンが0.001重量%未満である場合には、毛髪成長促進の効果が微々であり、10重量%を超過する場合には、製剤の安定性が阻害されるという問題点と皮膚刺激が発生し得る。より望ましくは、前記エスシンの含量は、組成物の総重量に対して0.5~2重量%であり得、最も望ましくは、1~2重量%であり得る。本発明においては、エスシンが前記含量範囲であるとき、発毛促進及び脱毛防止効能が著しく優秀であることを実験によって確認した。
【0017】
本発明のエスシンは、前記組成物または剤形に脱毛防止制または毛髪成長促進剤として含まれ得る。
【0018】
また、本発明の一観点では、ラポンチシン(Rhaponticin)、レイン(Rhein)、クリソファノール(Chrysophanol)及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシド(Physicon-8-O-d-glucopyranoside)からなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその塩、水和物または溶媒和物を有効成分として含む、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を提供する。
【0019】
ラポンチシンは、スチルベノイドグルコシド化合物であって、糖尿病及びアルツハイマー病に対する治療的な潜在力を有すると知られており、下記の化学式で表される。
【0020】
【0021】
レイン(Rhein)は、カス酸とも知られており、アントラキノン系化合物であって、抗菌及び抗生特性を有するものと知られており、下記の化学式で表される。
【0022】
【0023】
クリソファノール(Chrysophanol)は、菌類から分離された天然のアントラキノン系化合物であって、下記の化学式で表される。
【0024】
【0025】
フィジコン-8-O-d-グルコピラノシド(Physicon-8-O-d-glucopyranoside)は天然アントラキノン誘導体であって、下記の化学式で表される。
【0026】
【0027】
一実施例で、本発明の有効成分は、前記化合物より選択された一種以上、望ましくは、二種以上を含み得、二種以上が組み合わせられて使用される場合、脱毛防止及び毛髪成長促進に係わってシナジー効果を示す。
【0028】
一実施例で、本発明の有効成分は二種以上の化合物を含み得、前記二種以上の化合物は、(i)クリソファノール及び(ii)ラポンチシン、レイン及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドより選択されたいずれか一つの組合せであり得る。
【0029】
他の具現例において、前記二種以上の化合物は、(i)ラポンチシン及び(ii)アントラキノン誘導体化合物(レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシド)より選択されたいずれか一つの組合せであり得る。
【0030】
さらに他の具現例において、前記二種以上の化合物は、ラポンチシンとレイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの4種との化合物の組合せであり得る。
【0031】
また、本発明の組成物において、有効成分として用いられるものは、前記化合物自体のみならず、その塩、水和物または溶媒和物であり得る。
【0032】
前記塩は、ハイドロクロライド、ハイドロブロマイドまたはハイドロヨーダイドのような無機酸、アセテート、アジペート、アルジネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ビサルフェート、スルファメート、サルフェート、ナフチルレート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、2-ヒドロキシエタンスルフェート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、トシレートまたはウンデカノエートのような有機酸を用いて形成され得る。
【0033】
水和物とは、前記化合物に水が加えられるか、または分子の構成物質として水が入った物質を称し、溶媒和物とは、溶質の分子やイオンと溶媒の分子やイオンの間に生じた高次の化合物を意味する。前記水和物または溶媒和物は、前述した酸を用いて製造され得る。
【0034】
本発明の組成物は、前記一種以上の化合物、またはその塩、溶媒和物または水和物の有効量を含むことで、毛乳頭細胞の増殖を促進するか、及び/または毛髪の弾力性を増加させる効果を奏する。
【0035】
前記有効量とは、脱毛の予防、改善及び治療に十分な量を意味する。これは、疾患の症状程度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路及び治療期間などによって適切に変化し得る。
【0036】
具体的に、本発明の組成物において、前記有効量は0.00001~50重量%であり得る。具体的に、本発明は、ラポンチシンを0.00001~50重量%、望ましくは0.0001~0.1重量%、またはレインを0.00001~50重量%、望ましくは0.0001~0.1重量%、またはクリソファノールを0.00001~50重量%、望ましくは0.0001~0.01重量%、またはフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドを0.00001~50重量%、望ましくは0.0001~0.1重量%を含み得る。
【0037】
これは、ラポンチシン(Rhaponticin)、レイン(Rhein)、クリソファノール(Chrysophanol)及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシド(Physicon-8-O-d-glucopyranoside)の構成物質が0.00001重量%未満であれば、毛髪の成長促進効果が微々であり、50重量%超過の濃度では、製剤の安定性が低下して望ましくないためである。
【0038】
一実施例において、本発明の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物は、医薬組成物、医薬外品用の組成物または化粧料組成物として使用可能である。本発明の組成物は、通常皮膚に適用可能な如何なる形態にも剤形化できるが、望ましくは、皮膚外用剤の形態に剤形化できる。本発明の組成物は、例えば、液状、クリーム状、ペースト状または固状など、皮膚に適用可能な剤形に製造できる。
【0039】
本発明の一様態として、前記組成物は、脱毛の予防または治療のための医薬組成物であり得る。この場合、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物は、前述した一種以上の化合物、その塩、水和物または溶媒和物の有効量と共に、一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含み得る。
【0040】
また、前記「薬学的に許容される」というのは、生理学的に許容され、ヒトに投与されるとき、通常、胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれに類似の反応を起こさない組成物を意味する。
【0041】
前記担体、賦形剤及び希釈剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油を挙げることができる。また、充填剤、抗凝集剤、滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含み得る。
【0042】
本発明の他の様態として、前記組成物は、医薬外品用の組成物であり得る。この場合、本発明の有効成分をそのまま添加するか、または他の医薬外品成分と共に使用でき、通常の方法によって適切に使用することができる。このような他の成分は、医薬外品の剤形または使用目的などによって任意に選定して配合できる。例えば、増粘剤、安定化剤、可溶化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤及び担体などを含み得る。
【0043】
本発明のさらに他の様態として、前記組成物は、脱毛防止、改善または毛髪成長促進のための化粧料組成物であり得る。
【0044】
本発明の剤形が液状である場合には、担体成分として、溶媒、可溶化剤または乳濁化剤などが使われ得、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルなどが使われ得る。
【0045】
本発明の剤形が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、でん粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使われ得る。
【0046】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーなどが用いられ得る。特に、スプレー剤形である場合には、追加的に、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどのような推進体を含み得る。
【0047】
本発明の組成物に含まれる成分は、前記有効成分の外に皮膚に適用可能な外用剤に通常使用される成分を含み得る。例えば、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、キレート剤、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、香料、増粘剤、研磨剤、甘味剤、pH調製剤、結合剤、気泡剤、溶解化剤、ビタミン及び顔料などからなる群より選択される一つ以上の添加剤をさらに含み得る。
【0048】
なお、本発明は、前記脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を含む毛髪または頭皮用製品を提供する。前記毛髪または頭皮用製品は、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択されるいずれか一つであり得るが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の一実施例においては、前記脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物をヘアトニックまたはヘアローションの剤形に製造した(実施例1~13)。
【0050】
本発明の毛髪成長促進用の組成物は、望ましくは、皮膚に直接塗布するか、または散布するなどの経皮投与の方法で使われ得る。
【0051】
本発明において使用される用語、「投与」は、任意の適切な方法で本発明の組成物を導入することを意味する。本発明の組成物の投与経路は、目的とする組職に到達可能であれば、任意の一般的な経路によっても投与可能である。望ましくは、経皮投与可能であり、その中でも局所塗布が最も望ましい。本発明の組成物の適用回数は、処方、必要または所望に応じて決定可能である。
【0052】
本発明の組成物の使用量は、年齢、病変の程度などの個人差や剤形によって適切に調節でき、通常、1日1回ないし数回、適量を頭皮に塗布し、一週間~数ヶ月間使用することが望ましい。本発明の実施例では、脱毛治療用の組成物を週五回ずつ6ヶ月間使用し、その結果、優秀な毛髪成長促進の効果が示されたことを確認した(実験例4及び8)。
【発明の効果】
【0053】
本発明の脱毛防止及び毛髪成長促進用の組成物は、毛髪の成長周期のうち休止期から成長期へ移行する周期を短縮させることで毛髪の成長を促進し、退行期への転換を遅らせて、脱毛防止及び毛髪成長促進の効果が優秀である。
【0054】
また、本発明の組成物は、人体に安全であり、副作用ないながらも、脱毛防止及び毛髪成長促進の効果が優秀である。また、本発明の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物は、毛乳頭細胞増殖を促進して毛髪弾力性を増加させるのに非常に優秀な作用をする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】毛乳頭細胞において、エスシンのWnt/β-カテニンプロモーターの活性度の増幅効果を分析した結果を示す。
【
図2】毛乳頭細胞において、エスシンによるβ-カテニンの発現量の増加を確認した実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は他の多様な形態に変更可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0057】
製造例1:脱毛治療/発毛用の組成物1(ヘアトニック)
下記の表1に示した処方によって通常の方法でエスシンを含む実施例及び比較例のヘアトニックを製造した。
【0058】
【0059】
製造例2:脱毛治療/発毛用の組成物2(ヘアローション)
下記の表2に示した処方によって通常の方法でエスシンを含むヘアローションを製造した(実施例7)。
【0060】
【0061】
実験例1:毛乳頭細胞活性信号(Wnt/β-カテニン)調節効果
一般的に、毛乳頭で活性化するWnt/β-カテニン信号は、毛髪の成長周期のうち退行期から活性期へ移行されるとき、即ち、毛髪が育ち始めるときから毛髪生長が起こる活性期にかけて起こる。また、休止期及び退行期には、Wnt/β-カテニン信号が弱くなるか又はなくなり、毛嚢が退化して毛髪が抜ける現状が起こる。本実験例においては、エスシンがWnt/β-カテニン信号増幅に如何に寄与するかを確認した。
【0062】
Wnt/β-カテニン信号を増幅させる陽性対照群としてWnt3aタンパク質を使用し、陰性対照群としてDMSOを使用した。培養96-ウェルプレートに、約3×104のWntレポーターHEK293A細胞を各ウェルにシーディング(seeding)した後、エスシンを各々5μg/ml、10μg/ml、20μg/mlの濃度で処理した。その後、Promega社のルシフェラーゼ分析キット(Luciferase assay kit)(E1960)を用いて、製造社の実験方法にしたがってレポーター分析を行った。luminometer Victor(PerkinElmer,Waltham,Massachusetts,USA)を用いて、Wnt/β-カテニンプローモーター活性度を測定し、分析結果を
図1に示した。
【0063】
実験結果を見れば、エスシンは、非処理群である陰性対照群に比べてWnt/β-カテニン信号を11倍ほど増幅させた。エスシンを含む実験群は、濃度依存的な様相を示さなかったが、20μg/mlの濃度辺りで反復的に確かな効果を確認した。特に、エスシンは、Wnt/β-カテニンの直接的な水溶体に結合する陽性対照群であるWnt3aタンパク質よりも優れた効能を示すことが確認された。したがって、エスシンは、毛嚢幹細胞の毛髪成長促進信号であるWnt/β-カテニン信号伝達系の活性を非常に促進させることで、著しく優秀な発毛促進効果を奏することを確認することができる。
【0064】
実験例2:毛乳頭細胞増殖促進効果
ヒト来由毛乳頭細胞(dermal papilla cells,DPCs)は、プロモセル社から購入した。前記DPCsを、プロモセル社で勧めるFollicle Dermal Papilla Cell Growth Medium及びsupplement mixを用いて、37℃及び5%のCO2条件下で培養した。培養したDPCs 3,000cells/wellを96-ウェルプレートに分注した後、0.1%血清条件で24時間培養した。 その後、培養した細胞に無血清DMEMに1:1000で希釈したDMSO(vehicle)を対照群にし、エスシンを各々0.2、0.5、1,2及び5μg/mlずつ一日間処理してインキュベートした。インキュベートした後、CCK方法を用いて細胞の増殖程度を評価した。CCK-8を培養液に1:10で処理して1時間インキュベートした。1時間後、各ウェルの吸光度(absorbance)を450nmで測定した。全ての実験は3回ずつ繰り返して吸光度値の平均を計算した。その結果は、対照群を100にし、それに対する処理群のパーセントで表した。実験結果、エスシンを処理した場合、DPCs増殖効果を奏し、毛乳頭細胞の増殖効果が優秀であることを確認した。
【0065】
【0066】
実験例3:毛乳頭細胞β-カテニンの発現増加
Wnt信号が抑制される休止期及び退行期の毛乳頭細胞においては、β-カテニンがGSK-3βによって分解される。しかし、Wnt信号が増幅する活性期の毛乳頭細胞においてはGSK-3βの活性が抑制されるため、β-カテニンが分解されずβ-カテニンの発現量が増加する。ヒト毛乳頭細胞を約500,000cell/wellで6個のウェルプレートに分注した後、エスシンを各々、0.2、0.5、1、2及び5μg/mlずつ一日間処理してインキュベートした。インキュベートした後、M-PER溶解バッファーを用いて細胞を溶解し、同量の細胞溶解物をSDS-PAGEゲルにロードした。SDS-PAGEゲルにロードされた細胞溶解物をニトロセルロース膜に移した後、抗β-カテニン抗体をニトロセルロース膜に付けてタンパク質を検出した。GAPDHは、タンパク質の量を補正するcontrolとして使用された。エスシンによって増加したβ-カテニンの量を確認して、その結果を
図2に示した。
【0067】
実験結果、非処理群に比べてエスシンを処理した群で非常に有意味にβ-カテニンの量が増加したことを確認することができ、これは、毛乳頭細胞のWnt/β-カテニン信号が増加したことを意味する。
【0068】
実験例4:脱毛治療/発毛用の組成物1(ヘアトニック)の発毛効果確認
毛髪の数が正常の場合に比べて著しく少ないか、または脱毛症状のある毛髪の弱い男女総105人を対象にして、本発明の脱毛治療/発毛用の組成物1(ヘアトニック)の発毛効果を実験した。前記男女総105人を15人ずつ7個群に分けて比較例1及び実施例1~6のものを使用し、週5回ずつ6ヶ月間毛髪及び頭皮に使用した。使用後の毛髪の太さ、密集度、弾力性及び全体的な評価項目に対して改善の程度または損傷程度を各々5段階に分けて評価した(改善程度:+5、+4、+3、+2、+1、改善なし:0、損傷程度:-1、-2、-3、-4、-5)。前記評価は、使用開始後6ヶ月経過した後の使用者の問診結果の平均値として判定し、その結果を表4に示した。
【0069】
【0070】
前記結果から分かるように、エスシンを含む実施例1~6で高い脱毛防止及び毛髪成長の効果があることを確認した。これによって、エスシンを有効成分として含む本発明の脱毛防止及び毛髪成長促進用の組成物が脱毛治療に非常に効果的に使用可能であることを立証した。
【0071】
実験例5:脱毛治療/発毛用の組成物1(ヘアトニック)の発毛効果確認
毛髪の数が正常の場合に比べて顕著に少ないか、または脱毛症状のある毛髪の弱い男女総105人を対象にして本発明の脱毛治療/発毛用の組成物1(ヘアトニック)の発毛効果を実験した。前記男女総105人を15人ずつ7個群に分けて比較例1及び実施例1~6を使用し、週5回ずつ6ヶ月間毛髪及び頭皮に使用した。使用後の臨床写真撮影による研究者の評価とフォトトリコグラムによる評価を行った。臨床写真による研究者の評価は、塗布してから2、4、6ヶ月後の比較例と実施例に対して、「Good」、「Slight」、「no change」の3項目に対して評価を行った(Good:50%~75%好転、Slight:25%~50%好転、no change:変化なし)。フォトトリコトグラムによる単位面積当たりの毛髪の数と毛髪の平均厚さに対する評価は、塗布してから4、6ヶ月後に比較例及び実施例に対して測定を行い、その結果を表5に示した。
【0072】
【0073】
前記結果から分かるように、エスシンを含む実施例1~6で脱毛防止及び毛髪成長の効果が高く示されることを確認した。これによって、エスシンを有効成分として含む本発明の脱毛防止及び毛髪成長促進用の組成物が脱毛治療に非常に効果的に使用可能であることを立証した。
【0074】
前記ヘアトニックまたはヘアローションのような剤形の例は、本発明の毛髪成長促進用の組成物の例示であるだけで、本発明の組成物の範囲がこれらの剤形に限定されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0075】
製造例3:脱毛治療用の組成物3(ヘアトニック)
ラポンチシン(Rhaponticin)、レイン(Rhein)、クリソファノール(Chrysophanol)及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシド(Physicon-8-O-d-glucopyranoside) のうち一種以上を下記の表6に示した処方に従って通常の方法でヘアトニックを製造した。
【0076】
【0077】
製造例4:脱毛治療用の組成物4(ヘアローション)
ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドのうち一種以上を下記の表7に示した処方に従って通常の方法でヘアローションを製造した(実施例13)。
【0078】
【0079】
実験例6:毛乳頭細胞増殖促進効果
ヒト来由毛乳頭細胞(dermal papilla cells,DPCs)は、プロモセル社から購入した。前記DPCsを5%ウシ胎児血清(FBS;Gibco,NY,USA)、ペニシリン 100unit/mL及びストレプトマイシン 100μg/mLが含まれたDMEM(Hyclone Inc,UT,USA)で、37℃及び5%のCO2条件下で培養した。培養した DPCs 3,000cells/wellを96-ウェルプレートに分注した後、0.1%血清条件で24時間培養した。その後、培養した細胞に、無血清 DMEMに1:1000で希釈したDMSO(vehicle)を対照群にし、ミノキシジル 2μg/mlを陽性対照群にし、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドを各々10μg/mlずつ、そして表8のように単一物質を組み合わせた試料を一日間処理してインキュベートした。インキュベートした後、CCK方法を用いて細胞の増殖程度を評価した。CCK-8を培養液に1:10で処理し、1時間インキュベートした。1時間後、各ウェルの吸光度(absorbance)を450nmで測定した。全ての実験は、3回ずつ繰り返して吸光度値の平均を求めた。その結果は、対照群を100にし、それに対する処理群のパーセントとして表された。
【0080】
その結果、DPCs増殖促進効果が、ラポンチシン、レイン、クリソファノール、フィジコン-8-O-d-グルコピラノシドを処理した場合に優秀な効果を奏することを確認した(表8)。
【0081】
【0082】
実験例7:毛乳頭細胞活性信号調節効果
一般的に毛乳頭から分泌されるVEGF、IGF-1、FGFなどは、毛髪の成長期を誘導し、Versicanは毛髪成長期のマーカーとして知られており、DKK-1は毛髪退行期のマーカーとして知られている。したがって、本発明のラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの物質が毛乳頭細胞において成長期促進信号と退行期誘導信号に及ぶ影響を調査した。
【0083】
培養6-ウェルプレートに毛乳頭細胞1×105を各ウェルにシード(seed)した後、本発明のラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの物質を各々10μg/mlずつ、そして表10のように単一物質を組み合わせた試料を処理した後、リアルタイムPCR技法を用いて、VEGF、versican及びDKK-1の発現量を下記の表9のTaqman(登録商標)プローブ(Thermo Fisher,Massachusetts,USA)を用いて調査し、その結果を表10に示した。
【0084】
【0085】
その結果、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの物質は、毛髪成長期誘導成長因子であるVEGFと成長期マーカーであるVersicanの発現を増加させ、毛髪の退行期誘導因子であるDKK-1の発現を減少させた(表10)。
【0086】
【0087】
以上のように、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの物質が、優秀な毛髪成長誘導及び脱毛抑制効果を奏することを確認し、本発明による脱毛防止及び毛髪成長促進用の組成物を多様な剤形に製造した。以下にその剤形例を具体的に説明する。但し、これらの剤形例は、本発明の毛髪成長促進用の組成物の例示であるだけ、本発明の組成物の範囲がこれらの剤形のみに限定されないことは、当業界における通常の知識を持つ者にとって自明である。
【0088】
実験例8:脱毛治療用の組成物3(ヘアトニック)の発毛効果確認試験
前記製造例3で製造した本発明の脱毛治療用の組成物3(ヘアトニック)を毛髪の数が正常である場合に比べて顕著に少ないか、または脱毛症状を示して毛髪の弱い男女総40人を対象にして10人ずつ4群に分けて、比較例2及び3と、実施例8~12を週5回ずつ6ヶ月間毛髪及び頭皮に使用した。使用後、毛髪の太さ、密集度、弾力性及び全体的な評価項目に対して改善程度(非常に好転;+3、好転;+2、少し好転;+1、変化なし;0、少し悪化;-1、悪化;-2、非常に悪化;-3)を、6ヶ月経過後に使用者の問診によって平均値として判定し、その結果を表11に示した。
【0089】
【0090】
結果から分かるように、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドの物質を活用した実施例において高い脱毛防止及び毛髪成長効果を奏し、本発明を脱毛治療に非常に効果的に使用することができることが立証された。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその塩、水和物または溶媒和物を有効成分として含む、脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項2】
前記化合物が二種以上である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項3】
前記一種以上の化合物が、(i)クリソファノール、及び(ii)レイン、ラポンチシン及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドより選択された一種以上の化合物である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項4】
前記一種以上の化合物が、ラポンチシン、レイン、クリソファノール及びフィジコン-8-O-d-グルコピラノシドを含む、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項5】
前記有効成分の含量が、組成物の総重量に対して0.00001~50重量%である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、毛乳頭細胞の増殖を促進する、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、毛髪の弾力性を増加させる、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、医薬組成物である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、医薬外品用の組成物である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、化粧料組成物である、請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の脱毛防止または毛髪成長促進用の組成物を含む、毛髪または頭皮用の製品。
【請求項12】
前記製品が、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択される、請求項11に記載の毛髪または頭皮用製品。
【外国語明細書】