IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タリス クリニカル エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特開-薬剤相互作用チェックツール 図1
  • 特開-薬剤相互作用チェックツール 図2
  • 特開-薬剤相互作用チェックツール 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069605
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】薬剤相互作用チェックツール
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240514BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043919
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2021510310の分割
【原出願日】2019-07-03
(31)【優先権主張番号】62/693,764
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520240937
【氏名又は名称】タリス クリニカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】TALIS CLINICAL LLC
【住所又は居所原語表記】650 Mondial Rd.,Streetsboro, Ohio 44241 USA
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】コリスター,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マグダラ,ビショイ
(72)【発明者】
【氏名】サラチーノ,ジュセッペ
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レカムワサム,ハリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】バルドウェル,アンドリュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】投薬指示又はCPOE(Computerized Physician Order Entry)システムなしで使用する薬物相互作用チェックツールを提供する。
【解決手段】医療情報技術システムから、患者のアレルギー、患者が現在服用している薬剤、患者因子及び併存疾患等の患者に関する情報を有するメッセージを受信するインターフェースサブシステムは、分散型薬局ステーションから、取り出された薬剤、臨床医及び患者に関する情報を有するメッセージをさらに受信し、患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤又は現在使用している薬剤、患者因子及び併存疾患、取り出した薬剤並びに臨床医の身元等の受信したデータを保存するデータレポジトリサブシステムと、医療過誤又は副作用のリスクを特定した場合、警告を生成するガイダンスエンジンサブシステム及び1つ又は複数の装置/システムに警告を配信する通知サブシステムと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療情報技術システムから、患者のアレルギー、患者が現在服用している薬剤、患者に投与または処方されている薬剤、患者因子および併存疾患などの患者に関する情報を有するメッセージを受信するためのインターフェースサブシステムであって、前記インターフェースサブシステムは、分散型薬局システムから、取り出した薬剤、投薬を取り出した臨床医、および投薬が意図されている患者に関する情報を有するメッセージをさらに受信し、
患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤、または現在使用されている薬剤、患者因子および併存疾患、患者のために取り出された薬剤、および薬剤を取り出した臨床医の身元などの受信したデータを保存するデータレポジトリサブシステムと、
薬物相互作用データベースへのアクセスと、
前記患者の薬物相互作用チェックを実行し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合、警告を生成するガイダンスエンジンサブシステムと、
臨床医のモバイル装置、臨床医のウェアラブル装置、ダッシュボード画面、ポイントオブケアサブシステム、ページングシステム、メッセージングシステムなどの1つまたは複数の装置/システムに前記警告を配信する通知サブシステムと、
を含む投薬指示のない薬剤相互作用チェックツール。
【請求項2】
ポイントオブケアサブシステムが、前記患者とスキャンが行われた場所との間の関連付けのために本発明によって使用される前記患者のリストバンドのバーコードスキャンを受け入れるために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガイダンスエンジンサブシステムは、承認された臨床医がグラフィカルユーザインターフェースを介して、薬剤が取り出された患者、薬剤を取り出した臨床医、および患者に関連する場所に関する、デバイスデータを含む収集されたすべての利用可能なデータを活用して、薬物相互作用データベースの単純な相互作用を超えて、より詳細な規則を追加することを可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
薬物相互作用をチェックするための方法であって、
患者に関する情報を受信、保存、処理するためのシステムコアを提供し、
前記システムコアによって、電子健康記録又は個人健康記録データベースを含む医療情報技術システムから患者情報を取得、処理し、
前記システムコアによって、薬剤調剤トランザクションの受信、処理し、
前記システムコアによって、受信した情報および患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤、または現在使用されている薬剤、患者因子および併存疾患、ならびに薬剤を取り出した臨床医の身元に関する保存された情報に基づき分散化薬局ステーションから調剤された薬剤の詳細を確認し、
前記システムコアによって、患者の薬物相互作用に関するガイダンスを決定し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合に警告を生成し、
前記システムコアによって、前記システムコアの通信モジュールを介して、調剤された薬剤の投与によって特定されたリスクに関する情報を提供し、
スマートウォッチ、ダッシュボード画面、ページングシステム、ポイントオブケア装置サブシステム、および/またはメッセージングシステムを含む臨床医のモバイル装置、臨床医のウェアラブル装置などの1つまたは複数の装置/システムに警告の通知を実行する、ことを含む方法。
【請求項5】
システムコアに方法を実行させるための機械可読命令を含む非一過性機械可読記録媒体であって、前記方法は、
前記システムコアによって、電子健康記録又は個人健康記録データベースのような医療
情報技術システムから患者情報を取得、処理し、
前記システムコアによって、薬剤調剤トランザクションの受信、処理し、
前記システムコアによって、受信した情報および患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤、または現在使用されている薬剤、患者因子および併存疾患、ならびに薬剤を取り出した臨床医の身元に関する保存された情報に基づき分散化薬局ステーションから調剤された薬剤の詳細を確認し、
前記システムコアによって、患者の薬物相互作用に関するガイダンスを決定し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合に警告を生成し、
前記システムコアによって、前記システムコアの通信モジュールを介して、調剤された薬剤の投与によって特定されたリスクに関する情報を提供し、
スマートウォッチ、ダッシュボード画面、ページングシステム、ポイントオブケア装置サブシステム、および/またはメッセージングシステムを含む臨床医のモバイル装置、臨床医のウェアラブル装置などの1つまたは複数の装置/システムに警告の通知を実行する、ことを含む記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療過誤報告・予防調整協議会では、医療過誤(ME)を「医療従事者、患者または消費者の制御下にある間に、医薬品の不適切な使用または患者への危害を引き起こす、またもたらす可能性のあるあらゆる予防可能な現象」と定義しており、そのため、医薬品の取り扱い過程のどの段階でも間違いによりMEが発生する可能性があり、医薬品有害事象(ADE)は「医薬品に関連した医療行為に起因する傷害」と定義している。
【0002】
ADEはしばしばMEの結果であるが、すべてのADEがMEと関連しているわけではない。ADEはさらに、予防可能対予防不可能、改善可能対非改善可能、および潜在的対実際を含むカテゴリーに分けることができる。
【0003】
MEはADEよりも有意に高頻度に発生する。いずれも、重大な患者の罹病率、死亡率および費用と関連している。例えば、米国では、病院患者が1日に1MEを経験し、1/20の病院患者がADEを経験すると推定されている。MEはまた、年間7,000人の死亡の一因となると推定されており、医療システムに年間210億ドルの費用がかかる。
【0004】
MEを最小化するための重要なステップは投薬前に、患者、既知の患者アレルギー、患者が現在服用または処方している他の投薬、および患者の併存疾患および/または禁忌に対して、投薬のチェックを行うことである。
【0005】
技術は、患者の重症度が高く、複雑なワークフローをもたらし、臨床医の燃え尽き症候群を増大させる時代において、MEおよびADEを軽減する重要な機会を提供する。電子投薬の指示は、各処方された投薬について基本的な安全性チェックを実行する1つの機会を提示する。典型的には、医師がCPOE(またはComputerized Physician Order Entry)システムを使用して投薬指示を作成する。CPOEシステムは、患者のアレルギー、他の処方/投与された薬剤、および医師が処方しようとする薬剤に対する禁忌を示す可能性のある患者の併存疾患/因子のいくつかを利用できる。CPOEシステムはこのチェックを自動的に行い、医師が注文に電子署名する前に結果をレビューする機会を提供する。これらの結果を検討した後、医師はオーダーを削除し、別の薬剤を処方するか、有益性と危険性を比較検討し、当初の意図した薬剤を進めるかを決定することができる。
【0006】
CPOEは、ほとんどの処置設定(例えば、手術室、心臓カテーテル検査室など)における投薬のような、ある種の臨床ワークフローでは除外される。ここで、CPOEシステムは、複雑な臨床ワークフローに追いつくことができないと考えられる。医師および/または高度な診療提供者が直ちに存在することも、CPOEを使用する必要性を軽減するものと解釈される。しかし、最近の研究では、大規模な教育病院の手術室で1/20の投薬がMEと関連しており、1/2の患者が手術を受けていることが示された。時間が重要であると考えられるあらゆる臨床状況(ICU、PACU、救急治療室、床など)での患者の緊急事態も、CPOEの使用を妨げることが多い。口頭でのオーダーおよび臨床医の疲労の蔓延は、CPOEの有効性をさらに低下させる可能性がある。
【0007】
バーコード投薬管理(BCMA)システムは、ME/ADEを軽減する第2の機会を提示する。しかし、近年のLeapfrog/Castlight Health調査では、電子健康記録との統合が不十分であり、意思決定支援ツールがないため、回答したすべての病院の約2/3がBCMA使用に関するLeapfrog National Standardを満たしていなかった。
【0008】
CPOE(Computerized Physician Order Entry)およびBCMA(Bar Code Medication Administration)システムなどの技術は複数の病院ワークフローで有用であることが証明されているが、これらの技術はより複雑な臨床ワークフロー(例えば、手術室または患者緊急時)で不足している。
【0009】
MEを最小限に抑えるために、CPOEおよびBCMAの両方によって提供される安全性は、現在の複雑な臨床ワークフローのニーズを満たすように増強されなければならない。その核心では、ソリューションが効果的であるためには時間が重要である場合、薬物投与プロセスに追いつくのに十分な速さでなければならない。また、迷惑な警告および認知過負荷を最小限に抑え、既存のデータサイロにわたって機能、臨床ワークフローにシームレスに統合する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、投薬指示またはCPOEなしで使用するための薬物相互作用チェックツールに関する。薬物相互作用チェックツールは、医療情報技術システムから患者のアレルギー、患者が現在服用している他の薬剤、患者に投与または処方されている他の薬剤、患者因子および併存疾患などの患者に関する情報を有するメッセージを受信するためのインターフェースサブシステムであって、インターフェースサブシステムは、分散型薬局システムから、取り出した薬剤、投薬を取り出した臨床医、および投薬が意図されている患者に関する情報を有するメッセージをさらに受信し、患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤、または現在使用されている薬剤、患者因子および併存疾患、患者のために取り出された薬剤、および薬剤を取り出した臨床医の身元などの受信したデータを保存するデータレポジトリサブシステムと、薬物相互作用データベースへのアクセスと、患者の薬物相互作用チェックを実行し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合、警告を生成するガイダンスエンジンサブシステムと、臨床医のモバイル装置(例えば、スマートウォッチ)、臨床医のウェアラブル装置、ダッシュボード画面、ポイントオブケアサブシステム、ページングシステム、メッセージングシステムなどの1つまたは複数の装置/システムに警告を配信する通知サブシステムと、を含む。
【0011】
本発明の上記および他の特徴および利点は添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより、本発明が関係する当業者に明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明およびそれが相互作用する他のシステムの全体図である。
図2図2は、本発明のサブシステム間および本発明のサブシステムと本発明の外部の他のシステムとの間の相互作用を示す本発明のサブシステムの図である。
図3図3は、臨床医エンドユーザと本発明/他のシステムとの間の対話のシーケンス、ならびに実施例1に記載の本発明と本発明の外部の他のシステムとの間の相互作用のシーケンスを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、複雑な臨床ワークフローのニーズを満たすために、CPOEおよびBCMAなどのシステムによって満たされないギャップを埋める。患者の重症度が高く、複雑なワークフローをもたらし、臨床医の燃え尽き症候群を増大させる時代において、ME(医療過誤)およびADE(医薬品有害事象)を軽減する重要な機会を提供する。
【0014】
本発明は、薬物投与プロセス(または方法)およびツール(またはシステム)に関し、
これは、特に、投薬指示なしに投与される薬物に適用可能である。本発明のシステムおよび方法は場所に関係なく特定された患者に有効であり、任意の分散された薬局ステーションをサポートすることができる。ユーザー相互作用(例えば、通知アラート)はタブレット、スマートフォン、及び/又はスマート時計等を含むが、これらに限定されないウェアラブル装置を含む任意の数のモバイル装置を介してもよい。
【0015】
図1に示すように、本発明の方法は、投与を目的とする薬物を可能な限り早期に特定し、アレルギー、他の薬剤、禁忌および/または併存疾患、および他の患者要因に対して迅速にチェックし、医師が薬剤を投与する機会を得る前に、臨床医のパーソナルモバイル装置およびウェアラブル、および/または正しい患者がいる可能性のある他の適切なPOC(ポイントオブケア)サブシステムに送信される(臨床決定サポート)通知によって、可能な限り早く臨床医に通知し、通知をサポートするためにダッシュボードにガイダンスを送信することを含む。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明は患者のアレルギー、患者が現在服用している薬剤、患者に投与または処方されている他の薬物、患者の要因、および併存疾患などの患者に関する情報を有する医療情報技術システム001からのメッセージを受信するために、2019年1月2日に出願された同時係属中の米国特許出願第16/238,187号に記載されているようなインターフェースサブシステム010を含み、参照によりその開示は本明細書に組み込まれる。このインターフェースサブシステム010はまた、取り出された薬剤、薬剤を取り出した臨床医、および薬剤が意図される患者に関する情報を有するメッセージを分散型薬局ステーション003から受信する。データレポジトリサブシステム011は、患者アレルギー、他の薬剤、患者のために取り出された薬剤、および薬剤を取り出した臨床医のIDなどの受信データを保存する。薬剤相互作用データベース004へアクセスし、ガイダンスエンジンサブシステム012は、患者の薬剤相互作用チェックを実行し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合に警告を生成する。通知サブシステム012は、臨床医のモバイル装置(例えば、スマートフォン、タブレットなど)、臨床医のウェバルブ装置(例えば、スマートウォッチなど)、ダッシュボード画面、ページングシステム、メッセージングシステム、ポイントオブケアサブシステム006などの1つまたは複数の装置/システム005、006、007、008に警告を配信する。
【0017】
本発明のシステムおよび方法では、本発明のシステムがアレルギー、他の薬物療法、患者因子、および併存疾患などの患者情報を、電子健康記録(EHR)または個人健康記録(PHR)システムなどの医療情報技術システム001から受信する。さらに、臨床医は、本発明のポイントオブケアサブシステム006を使用して、患者のリストバンドのバーコードスキャンをキャプチャすることができる。本発明のポイントオブケアサブシステム006は固定位置(例えば、手術室5)で予め構成されているので、本発明は、患者をその場所に関連付けることができる。臨床医は、分散型薬局ステーション003にログインすることによって、自分自身を特定する。臨床医は、薬剤の投与が意図されている患者と、取り出された特定の薬剤を特定する。臨床医は、分散型薬局ステーション003から1つまたは複数の薬剤を取り出す。本発明のシステムは、各取り出された薬物に対するトランザクションを受け取る。システムは、薬物相互作用データベース004を使用して、以下のチェックを自動的に実行する。
a)医療情報技術システムから受け取った患者のアレルギーに対して、取り出された薬剤(およびその薬剤クラス)をチェックすることによる薬剤とアレルギーの相互作用。
b)取り出された薬剤(およびその薬剤クラス)を、医療情報技術システムから受け取った通りに患者が現在服用している薬剤、患者が投与または処方されている他の薬剤(および薬効分類)と照合することによる薬剤間の相互作用。
c)取り出された薬剤(およびその薬剤クラス)と、医療情報技術システムから受け取った患者因子(妊娠など)および併存疾患とをチェックすることによる薬剤と患者の相
互作用。
【0018】
このプロセスは分散型薬局ステーションから得た薬剤に対する副作用のいかなるリスクも、直ちに薬剤を取り出した臨床医に通知し、臨床医が物理的にどこにいても可能な限り速やかに臨床医に直接メッセージを送るものである。その速度を達成するために、本発明は通知/警告を臨床医のモバイル装置および/またはウェアラブル装置(例えば、スマートウォッチ)に送る。
【0019】
プロセスは、ポイントオブケア006に通知を送ることができる。ポイントオブケアに配置された表示装置は、ポイントオブケアのすべての人に、分散型薬局ステーション003から得られた薬剤に対する医療過誤または副作用の危険性を警告することができる。プロセスは、監督する医師に通知を送ることができる。プロセスは、分散型薬局ステーション003から得られた薬剤に対する医療過誤または副作用の危険性が特定されたことを示す通知をダッシュボード画面007に送ることができる。患者のリストバンドのバーコードがスキャンされ、患者とポイントオブケアの場所が関連付けられると、ダッシュボード007は薬剤が取り出された患者の場所を表示する。
【0020】
以下は、投薬指示のない薬物相互作用チェックツールの例である。それらは麻酔科医の文脈で記載されるが、それらは投薬指示なしに薬剤を取り出す権限を有する任意の臨床医に適用され得る。
【実施例0021】
手術を受けた患者にはセファロスポリンアレルギーがある。本発明のシステムは、病院内の医療情報技術システムから患者情報を受信する。セファロスポリンアレルギーの患者の病歴は、本発明によって受け取られ、保存される。
手術中、麻酔科医は患者と一緒に手術室にいる。患者は手術のこの段階で抗生物質を必要とする。
【0022】
麻酔科医は手術室内の分散型薬局ステーション003に戻り、システム内で自分自身を特定する。麻酔科医は、投薬の対象となる患者を特定する。麻酔科医は抗生物質セファゾリンを取り出すことを選択する。分散型薬局ステーション003は、セファゾリン薬を調剤する。分散型薬局システム003は、以下の詳細を含むメッセージを本発明のシステムコア002に送信する:
-トランザクションのタイムスタンプ
-薬剤を取り出した臨床医の身元
-薬が取り出された患者の身元
-患者のために取り出した薬(この例ではセファゾリン)
【0023】
この種の臨床ワークフローにおいて、分散型薬局システム003からこのようなメッセージを受け取ることは、麻酔科医がセファゾリン抗生物質を投与しようとすることを本発明が知る最も初期の機会である。分散型薬局システム003からメッセージを受信すると、本発明を起動して、以前に受信した患者情報に対する一連の薬剤チェックを実行する。
【0024】
薬剤対アレルギーチェックを実施した場合、薬剤相互作用データベース004により、患者のセファロスポリンアレルギーとの既知の相互作用によるセファゾリン投与時の副作用リスクが特定される。本発明のシステムコア002、すなわち薬物相互作用チェックツールは警告を生成し、そして直ちに麻酔科医に、取り出されたセファゾリン抗生物質と患者の記録されたセファロスポリンアレルギーとの薬物対アレルギー相互作用による副作用の危険性を通知する。麻酔科医のスマートウォッチまたはスマートフォンに通知が送られ、薬剤を投与する前に警告通知を見る確率を最大にする。通知を受け取ると、麻酔科医は
、教育と知識に基づいて、別の抗生物質を選ぶか、リスクとベネフィットを比較検討し、当初の計画どおりにセファゾリンの投与を進めるかを決める。
【実施例0025】
さらなる例として、手術を受ける患者は、悪性高熱症の病歴を有する。本発明のシステムコア002は、病院内の医療情報技術システム001から患者情報を受信する。悪性高体温症の患者の病歴は、本発明のシステムによって受け取られ、保存される。
【0026】
患者が手術室に入ると、認定された登録看護師麻酔士は患者リストバンドをバーコードスキャンして、本発明のポイントオブケアサブシステム006に入れる。本発明のシステムコア002は、患者リストバンドがスキャンされたポイントオブケアサブシステム006の予め特定された位置に患者を関連付ける。
【0027】
手術中、麻酔科医は患者と一緒に手術室にいるのではなく、認定された登録看護師麻酔士が物理的に各ポイントオブケアにいる複数の手術室を監督している。
【0028】
麻酔科医は手術室の外側の廊下にある分散型薬局ステーション003を使用して、システム内で自分を特定し、投薬が意図されている患者を特定し、筋弛緩薬サクシニルコリンを取り出すことを選択する。分散型薬局ステーション003は、サクシニルコリン薬剤を調剤する。分散型薬局システムは、以下の詳細を含むメッセージを本発明のシステムに送信する:
-トランザクションのタイムスタンプ
-薬剤を取り出した臨床医の身元
-薬が取り出された患者の身元
-患者のために取り出した薬(この例ではサクシニルコリン)
【0029】
分散型薬局システム003からこのようなメッセージを受信すると、本発明のシステムコア002が起動されて、以前に受信した患者情報に対する一連の薬剤チェックを実行する。薬剤対疾患チェックを実施すると、悪性高熱症の既往のある患者に、薬剤相互作用データベース004に従ってサクシニルコリンを投与した場合の副作用リスクが特定される。
【0030】
本発明は警告を生成し、取り出されたサクシニルコリン筋弛緩剤と患者の記録された悪性高熱症の病歴との間の薬物対疾患の相互作用による副作用のリスクを麻酔科医に直ちに通知する。薬剤を投与する前に警告通知を見る確率を最大にするために、麻酔科のスマートウォッチに通知が送信される。さらに、本発明のシステムコアは手術室内の認証された登録看護麻酔士の医療現場の装置/システムおよびモバイル装置に通知を送信して、副作用の危険性を通知し、手術室制御デスクに配置されたダッシュボード007画面に通知警告を送信して、患者の手術室における薬物対疾患副作用の危険性を他の医療提供者に通知する。
【0031】
通知を受け取ると、麻酔科医は、知識と経験に基づいて、どのように進めるかを医学的に決定する。本発明はEHR又はPHR 001などの健康情報システムから得られた患者の詳細に対して、分散型薬局システムから取り出された薬物を検討する方法を提供し、薬物相互作用データベース004を利用して、アレルギー、他の薬物、再投与、疾患、及び患者因子に関連する既知のリスクを照会し、この比較に基づいて迅速な臨床意思決定支援の推奨事項を提供する。本発明はグローバルネットワーク内の任意の数のソースから受信されたデータを評価するためのメカニズムと、それらの現在の場所、および適切なポイントオブケアにかかわらず必要な情報を適切な個人(単数または複数)に、伝達するためのメカニズムとを提供する。
【0032】
図3に示すに、本発明のシステムは、レビューアがサブシステム間の関係および順序、ならびに本発明の外部の実施者およびサブシステムとの相互作用、ならびに上述のような分析および通知のためにどのように活用されるかを見て理解することを可能にする。図3は、分析および通知をタイムリーに実行する際の本発明の価値、および時間に敏感な状況での送達の前に薬物相互作用の問題を管理する際のその重要性示している。
【0033】
本発明の前述の実施形態は、例示および説明の目的で提示されている。これらの説明および実施形態は網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではなく、明らかに、上記の開示に照らして多くの修正および変形が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を最もよく説明するために選択され、説明され、それによって、他の当業者が本発明をその様々な実施形態において、および企図される特定の使用に適した種々変更を伴って、最もよく利用することを可能にした。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療情報技術システムから、患者のアレルギー、患者が現在服用している薬剤、患者に投与または処方されている薬剤、患者因子および併存疾患などの患者に関する情報を有するメッセージを受信するためのインターフェースサブシステムであって、前記インターフェースサブシステムは、分散型薬局システムから、取り出した薬剤、投薬を取り出した臨床医、および投薬が意図されている患者に関する情報を有するメッセージをさらに受信し、
患者のアレルギー、投与された薬剤、処方された薬剤、または現在使用されている薬剤、患者因子および併存疾患、患者のために取り出された薬剤、および薬剤を取り出した臨床医の身元などの受信したデータを保存するデータレポジトリサブシステムと、
薬物相互作用データベースへのアクセスと、
前記患者の薬物相互作用チェックを実行し、医療過誤または副作用のリスクが特定された場合、警告を生成するガイダンスエンジンサブシステムと、
臨床医のモバイル装置、臨床医のウェアラブル装置、ダッシュボード画面、ポイントオブケアサブシステム、ページングシステム、メッセージングシステムなどの1つまたは複数の装置/システムに前記警告を配信する通知サブシステムと、
を含む投薬指示のない薬剤相互作用チェックツール。
【外国語明細書】