(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069612
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】植木鉢
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20240514BHJP
【FI】
A01G9/02 101W
A01G9/02 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024044222
(22)【出願日】2024-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】521184357
【氏名又は名称】近 則雄
(72)【発明者】
【氏名】近 則雄
(57)【要約】
【課題】太陽光が直接鉢に当たり鉢本体が熱くなることを防ぐことにより、土壌に植えた植物を暑さから守ることを可能にした植木鉢を提供する。
【解決手段】合成樹脂性の植木鉢1であって、植木鉢1は略相似形状をした外側に配置される外鉢3と外鉢3に内挿され植物が植えられる内鉢2からなる二重鉢であり、外鉢3の内側面と内鉢2の外側面との間の隙間S1が所定の間隔で全面にわたり保持形成され、さらに内鉢2の外側面、外鉢3外側面及び外鉢3の内側面の少なくとも一つの面には熱移動を妨げるための遮熱シート5が略全面にわたり貼り付けあるいは巻き付けられており、また植木鉢1と土壌に太陽光が直接当たらないように、外鉢3に設けた支柱に傘ホルダーと遮光機能を有する日よけ傘を傾け自在に取付け可能としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の植木鉢であって、前記植木鉢は略相似形状をした外側に配置される外鉢と前記外鉢に内挿され植物が植えられる内鉢とからなり、前記外鉢の内側面と前記内鉢の外側面との間の隙間が所定の間隔で全面にわたり保持形成され、さらに前記内鉢の外側面、前記外鉢の外側面及び前記外鉢の内側面の少なくとも一つの面には熱移動を妨げるための遮熱シートが略全面にわたり貼り付けあるいは巻き付けられていることを特徴とする植木鉢。
【請求項2】
前記外鉢の内側面と前記内鉢の外側面との間の隙間は10mm~30mmであることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
【請求項3】
前記外鉢の内側底面と前記内鉢の外側底面との間の隙間は10mm~60mmとし、また前記外鉢の外側最底面と前記内鉢の外側最底面との距離は20mm~100mmであることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
【請求項4】
前記内鉢の外側面には内部の温度確認を行うための温度計が取り付けられ、また前記外鉢の側面には前記温度計を目視するためののぞき窓が設けられ、さらに前記外鉢の側面には少なくとも1以上の通気口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の植木鉢において、植木鉢全体を太陽光から覆うため、前記外鉢の外側には先端部に遮光機能を有する日よけ傘を取り付けるための伸縮自在の支柱が略鉛直方向に取り外し自在に取り付けられ、また前記支柱の先端部には前記日よけ傘を姿勢変更自在とするための傘ホルダーが取り付けられていることを特徴とする植木鉢。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光が直接鉢に当たり鉢本体が熱くなることを防ぐことにより土壌に植えた植物を暑さから守ることを可能にした植木鉢に関し、特に温度抑止機能を備えた二重鉢方式の植木鉢に関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示した特許文献1又は特許文献2の二重鉢は植物栽培用に関し、根の成長を助長するものや受け皿と鉢を一体化したものであり、鉢自体の温度上昇を抑えるために考えたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-253054号公報
【特許文献2】実開平02-134842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植木鉢に太陽光があたることで、鉢全体が熱くなりこれが土壌に伝わることで植物の根が弱り成長に大きな障害となっていた。この鉢から伝播する熱を抑える目的で、従来から一回り大きい鉢の中に入れて熱が土壌に伝わるのを防いでいたが、外鉢と内鉢間の空気が暖められることによりその熱が内鉢外面に伝播することは避けられないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の植木鉢は、太陽光から鉢が受ける熱を直接土壌に伝えることを抑えることを解決しようした二重鉢方式の植木鉢である。外鉢と内鉢の空間に空気層を設けるとともに遮熱効果を高めるために外鉢の外側面か内側面または内鉢の外側面のどちらかに熱移動を妨げる遮熱シートを貼り付けあるい巻きつけることで太陽光の熱及び外鉢と内鉢の空間部の熱くなった輻射熱を反射させ、内鉢の外側面への熱伝播を抑制した二重鉢方式の植木鉢を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の植木鉢は、外鉢と内鉢を一体化しかつその空間部に熱移動を妨げる遮熱シートを貼り付けあるいは巻きつけることで内鉢に熱を伝播させないようにした二重鉢方式の植木鉢である。また上記により鉢と土壌の温度上昇は抑止出来るが、植物も同様に太陽光に晒されるため熱くなることは避けられない環境下にある。この暑さから植物を守るために、外鉢に取付けた着脱可能な伸縮自在の支柱に傘ホルダーと遮熱機能を有する日よけ傘を取り付けることで、植物のみならず鉢も覆うことが出来るためこのダブル効果により暑い夏に太陽の日差しを気にしながら慌てて重たい鉢を日陰に移動させたりすだれを張って影を作るための作業も不要になることで作業者の作業軽減化も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る植木鉢で、左側の約1/3を破断線で切り取って内部を内部を表示した正面図である。
【
図3】本発明に係る植木鉢で、
図1のA-A線断面図である。
【
図4】本発明に係る植木鉢で、外鉢に支柱と日よけ傘を取付けた全景図を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る植木鉢の実施の形態について
図1~
図4に基づいて説明する。
1は、合成樹脂製の植木鉢であって、略相似形をした外側に配置される外鉢3と外鉢3に内挿され植物が植えられる内鉢2からなっている。この外鉢3と内鉢2の間の隙間には、
図1の左側の1/3を破断線で示したように隙間S1が所定の間隔で全面にわたり形成されており、さらに内鉢2の外側面には熱移動を妨げる遮熱シート5が略全面にわたり貼り付けられており、この熱移動を妨げる遮熱シート5により外鉢3の外面が太陽光で熱くなった熱により、隙間S1内の暖められた空気による輻射熱を反射させ内鉢2の外面から土壌に伝播するのを抑止している。なお、本実施例の場合、遮熱シート5は内鉢2の外側面に貼り付けているが、請求項1に記載のようにこの遮熱シート5は内鉢2の外側面、外鉢3の外側面及び外鉢3の内側面の少なくとも一つの面に貼り付ければよいので、例えば遮熱効果をさらに増大させるため内鉢2の外側面と外鉢3の外側面にそれぞれ遮熱シート5を貼り付けてもよい。
【0009】
また、請求項2に記載のように、外鉢3の内側面と内鉢2の外側面のS1間に10mm~30mmの隙間を設けることで、このS1間が空気層となって直接内鉢2の外側面に熱が伝わらないようにしているが、これだけで十分な遮熱効果がないため、このS1間に熱移動を妨げる遮熱シート5を取りつけることでさらに輻射熱を反射させ、その熱い空気を外鉢の通気口から外部に放出する機能を付加している。
【0010】
実際にこの遮熱効果をデータで比較する。表1は、外気温12.2℃で同形状の2つの鉢に遮熱シート5としてアルミ箔遮熱シートを巻いたものと巻かないものを、1,200Wヒーターに同時間あてて両鉢の外側面と内側面の温度及び外側面から内側面へ熱が伝播した温度差を比較したものである。
【0011】
【0012】
表1のアルミ箔遮熱シートを巻いたものと巻かないものを赤外線サーモメーターで温度測定した結果からも大きな効果が証明されている。結果としてアルミ箔遮熱シートを巻かないものは外側面54.7℃、内側面63.6℃で、巻いたものは外側面25.9℃、内側面16.4℃でその差は外側面で28.8℃、また内側面では47.2℃と大きな差があった。つまり、アルミ箔遮熱シートが熱を反射して内側面に伝播させていないことが立証されている。
【0013】
請求項3に記載のように、外鉢3の内側底面と内鉢2の外側底面との間の隙間H1は10mm~60mmとし、また外鉢3の外側最底部と内鉢2の外側最底部の距離H2は20mm~100mmとしているが、この外鉢3と内鉢2の鉢底の隙間H1,H2を多くもたせることで地面から土壌までの嵩上げができることで外鉢3の底部から多くの空気を流入させることができ、内部の熱くなった空気を外部に循環よく通気口4から放出させることで植物の根を暑さから守れるばかりでなく、土壌の水分量の調整にも役立ち植物の生育にも大きな効果がある。
【0014】
また、請求項4に記載のように内鉢2の外側面には内部の温度確認をする温度計6が取付けられかつ、外鉢3の側面には温度計6を目視するためののぞき窓7が設けられている。
図1に示すように、外鉢3の外周の1箇所に鉢の高さの1/2より上の部分に温度計6を目視出来るのぞき窓7が設けられかつ、内鉢2にもこののぞき窓7と同等位置に温度計6が取付けられ、内鉢2の温度計6が外鉢3の外部から見れるようになっている。この温度計6により内部の空気層の温度と内鉢2の外側面の温度が同時に分かるため、土壌の温度を想定した植物管理つまり根の状態の把握や土壌の乾燥状態に応じた水やり間隔など生育の参考に役立ちさらに、外鉢3の外面に設けた上記1ヶ所ののぞき窓7からも内部の熱い空気の放出ができることで、より内鉢2の土壌の冷却効果を良くしている。また、温度計6の位置とのぞき窓7を合わせるために、内鉢2に切り欠き2aを設けている。
【0015】
外鉢3の側面には、少なくとも1以上の通気口4が設けられている。この通気口4は
図1に示すように、外鉢3の下側最低部から4/5あたりの外側面にルーバーを取付けている。これにより、外鉢3の内側面と内鉢2の外側面の間の熱くなった空気を効率よく外鉢3の外部に放出させることを可能にしている。
【0016】
さらに請求項5に記載のように、外鉢3の外側先端部に遮光機能を有する日よけ傘10を取付けるための伸縮自在の支柱8が取付けられている。
図4はその全景を示した図である。支注8を外鉢3に取付けかつ、
図3は外鉢3に抜き差し可能な支柱8を取付けるための穴の位置を1ヶ所を示し、支柱8は太陽の高さに応じて内鉢2の土壌と植物全体を覆う遮光機能を有する日よけ傘10を高さ調整できるよう、略鉛直方向に伸縮自在に伸び縮みできる機能をもたせている。この支柱8の材質は、強度を有するものであれば鋼製以外の樹脂性などのものでもかまわない。
【0017】
また、支柱8の先端部には遮光機能を有する日よけ傘10を取付けられるように、姿勢変更自在の傘ホルダー9が取付けられている。
図4はその全景を示した図であり、太陽の向きにまたは前側、後側に傾け固定できる傘ホルダー9に取りつけることで可能にしている。さらにこの傘ホルダー9には遮光機能を有する日よけ傘10を左右方向にも傾け固定できるように手で簡単に回せるつまみを設けているので、太陽がいかなる方向に来ても直ぐにその位置に遮光機能を有する日よけ傘10を簡単に調整できる。なお、傘ホルダー9への日よけ傘10の取付けまたは、取外しは蝶ナットを手で回すだけで簡単に着脱できる。
【0018】
なお
図4の全景図で示した植木鉢1は、外鉢3から内鉢2及び土壌への温度抑止のものであるが、植栽した植物に綺麗な花が咲いたときに急に雨が降り出した場合には、遮光機能を有する日よけ傘10から雨傘に交換することで大切な花を雨から守ることもできる。
【符号の説明】
【0019】
1 植木鉢
2 内鉢
2a 切り欠き(位置合わせ用)
3 外鉢
3a 穴部(支柱差し込み用)
4 通気口(ルーバー)
5 遮光シート
6 温度計
7 のぞき窓
8 支柱
9 傘ホルダー
10 日よけ傘
S1 隙間(外鉢内側面と内鉢外側面)
H1 鉢底距離(外鉢の内側底面と内鉢の外側底面)
H2 鉢最底距離(外鉢の外側最底面と内鉢の外側最底面)