(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069683
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】染毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20240514BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/10
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/19
A61K8/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047812
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2019221204の分割
【原出願日】2019-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】土井 南美
(57)【要約】
【課題】塗布時の使用性が良く、塗布時ののびや毛髪へのなじみに優れ、洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態が良く、毛髪の染まりも満足のいく染毛剤組成物を提供することができる。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤組成物と、酸化剤を含有する第2剤組成物とを少なくとも備え、用時に混合して用いられる染毛剤組成物であって、前記第1剤組成物には(A)カチオン性界面活性剤、(B)シリコーン油、(C)炭化水素油を含有し、前記第2剤組成物には(D)アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤組成物と、酸化剤を含有する第2剤組成物とを少なくとも備え、用時に混合して用いられる染毛剤組成物であって、
前記第1剤組成物には
(A)カチオン性界面活性剤、
(B)シリコーン油、
(C)炭化水素油
を含有し、
前記第2剤組成物には
(D)アニオン性界面活性剤
を含有することを特徴とする染毛剤組成物。
【請求項2】
前記(B)成分および前記(C)成分の含有量の質量比(C)/(B)が0.7~2であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤組成物としては、複数の剤を混合して用いることにより効果を発揮するものが知られている。例えば、酸化染料とアルカリ剤を含有する第1剤組成物と、酸化剤を含有する第2剤組成物とから構成される染毛剤組成物が知られている。アルカリ剤は、酸化剤の働きを活性化させて毛髪中のメラニン色素の分解を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪内部への染料の浸透性を向上させる。酸化剤は、メラニン色素の分解だけでなく、酸化染料の発色にも関与している。
【0003】
一般的によく知られている染毛剤組成物の種類としては、クリーム状の第1剤組成物と第2剤組成物のそれぞれ同量をトレー状の容器に吐出して混合して用いる取り置きが可能なクリームタイプのもの、乳液状または液状の第2剤組成物が充填されているボトルにクリーム状の第1剤組成物の全量を加え振とうすることにより混合しブラシ型ノズルを用いて染毛する乳液タイプのもの、液化ガスなどの噴射剤を用いエアゾールを利用した気泡の形成により泡状に吐出された第1剤組成物と第2剤組成物を混合して用いるエアゾールタイプの泡タイプのもの、液状の第2剤組成物が充填されたポンプフォーマーやスクイズフォーマーなどのノンエアゾールフォーマー容器に液状の第1剤組成物の全量を加え空気を取り込んだ気泡を形成し用いるノンエアゾールタイプの泡タイプのものなどがある。
【0004】
クリームタイプの染毛剤組成物は、取り置きが可能であり、根元の気になる部分だけをその都度染めることができるが、刷毛を使用するものが多いため、毛髪の内側まで上手に塗り込むことができずムラになってしまうことがある。乳液タイプのものは、ブラシ型ノズルを用いて塗布するものが多いため、染毛剤組成物にある程度の柔らかさを付与する必要があり、毛髪へのなじみは良いものの、垂れ落ちや飛び散りに注意が必要となる。泡タイプのものは、シャンプーをするように手で揉み込む方法をとるため初心者でも簡単に染毛することができるが、染毛剤組成物が嵩高く、一度に手に取る量が実質的には少なくなるため、染め上がりがムラになりやすく満足できないことがある。
【0005】
いずれのタイプの場合も染毛時の使用性に特化しているものが多く、染毛後の洗い流し時の指通りや、仕上がり後の毛髪の状態に懸念が残るものがある。そのため近年では、塗布時の使用性が良く、塗布時ののびや毛髪へのなじみに優れ、洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態が良く、毛髪の染まりも満足のいく染毛剤組成物が求められている。
【0006】
例えば手を用いて塗布を行う染毛剤組成物として、特定のノニオン性界面活性剤を組み合わせることで、毛髪に塗布する際に垂れ落ちない粘度を付与するもの(特許文献1および特許文献2)や、良質な泡を形成するものが検討されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-181032号公報
【特許文献2】特開2013-93855号公報
【特許文献3】特開2012-31072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、手を用いて塗布する際に垂れ落ちない粘度を付与したり、良質な泡を形成したりするには、染毛剤組成物に多量の界面活性剤を配合する必要があった。界面活性剤を多量に配合することで、毛髪への脱脂力が強くなりすぎてしまい、染毛剤組成物の洗い流し時の指通りが悪くなり、仕上がり後の毛髪にパサつきなどの不満が残るという課題があった。そのため、満足のいく使用性や高い染毛力を保持しつつ、洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態を良好に保つことは非常に困難であり、いまだ改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記問題を解決するため鋭意検討した結果、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と、酸化剤を含有する第2剤組成物とを少なくとも備え、用時に混合して用いられる染毛剤組成物であって、前記第1剤組成物には(A)カチオン性界面活性剤、(B)シリコーン油、(C)炭化水素油を含有し、前記第2剤組成物には(D)アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、塗布時の使用性が良く、塗布時ののびや毛髪へのなじみに優れ、洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態が良く、毛髪の染まりも満足のいく染毛剤組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0012】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物には(A)カチオン性界面活性剤を含有する。これにより、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが良くなり、毛髪をムラなく染めることができる。
【0013】
本発明に用いる前記(A)カチオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、
塩化ベへニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが良くなる観点から、塩化ベへニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0014】
本発明に用いる前記(A)カチオン性界面活性剤の染毛剤組成物における含有量は、好ましくは0.3~1.6%、より好ましくは0.4~1.2%がよい。前記(A)カチオン性界面活性剤の含有量が0.3%未満または1.6%を超える場合、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが悪くなり、毛髪の染まりがムラになる恐れがある。
【0015】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物には(B)シリコーン油を含有する。
【0016】
本発明に用いる前記(B)シリコーン油としては特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛後の洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態の観点から、メチルポリシロキサンが好ましい。
【0017】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物には(C)炭化水素油を含有する。
【0018】
本発明に用いる前記(C)炭化水素油としては特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛後の洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態の観点から、流動パラフィンが好ましい。
【0019】
本発明に用いる前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油は併用することにより、従来の一般的な技術では成しえないほどの良好な、染毛後の洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態を得ることができる。
【0020】
本発明に用いる前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油の染毛剤組成物における総量は、好ましくは0.33~3%、より好ましくは0.73~2.33%がよい。前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油の総量が0.33%未満または3%を超える場合、染毛後の洗い流し時の指通りが悪くなり、仕上がり後の毛髪にパサつきやべたつきを感じる恐れがある。
【0021】
本発明に用いる前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油の含有量の質量比(C)/(B)は特に限定されないが、染毛後の洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態の観点から、好ましくは0.7~2、より好ましくは1.2~1.8の範囲がよい。前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油の含有量の質量比(C)/(B)が0.7未満または2を超える場合、染毛後の洗い流し時の指通りが悪くなり、仕上がり後の毛髪にパサつきやべたつきを感じる恐れがある。
【0022】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物には酸化染料を含有する。これにより、毛髪を染めることできる。
【0023】
本発明に用いる前記酸化染料とは、染料中間体やカップラー等の酸化染毛剤に用いられる染料を意味する。
【0024】
本発明に用いる前記酸化染料としては特に限定されないが、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、レゾルシン、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトールおよびそれらの塩類等が挙げられ、その他「医薬部外品原料規格2006 統合版」(2013年11月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの染料は1種または2種以上を含有することができる。
【0025】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物にはアルカリ剤を含有する。これにより、毛髪の脱色および染毛効果を高めることができる。
【0026】
本発明に用いる前記アルカリ剤としては特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、アルギニン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、脱色および染毛効果の観点から、モノエタノールアミンおよびアンモニア水が好ましい。
【0027】
本発明に用いる前記アルカリ剤の染毛剤組成物における含有量は、好ましくは0.1~3.33%がよい。前記アルカリ剤の含有量が0.1%未満の場合、充分な脱色および染毛効果を得られない恐れがある。また、3.33%を超える場合、毛髪へのダメージが著しくなる恐れがある。
【0028】
本発明による染毛剤組成物の第2剤組成物には(D)アニオン性界面活性剤を含有する。これにより、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが良くなり、毛髪をムラなく染めることができる。
【0029】
本発明に用いる前記(D)アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、
セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、N-ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、N-アシル-L-グルタミン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが良くなる観点から、セチル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0030】
本発明に用いる前記(D)アニオン性界面活性剤の染毛剤組成物における含有量は、好ましくは0.2~0.6%、より好ましくは0.24~0.56%がよい。前記(D)アニオン性界面活性剤の含有量が0.2%未満または0.6%を超える場合、塗布時の使用性やのび、毛髪へのなじみが悪くなり、毛髪の染まりがムラになる恐れがある。
【0031】
本発明による染毛剤組成物の第2剤組成物には酸化剤を含有する。これにより、毛髪に含まれるメラニン色素を分解し、毛髪を脱色することができる。
【0032】
本発明に用いる前記酸化剤としては特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、臭素酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、脱色力の観点から、過酸化水素が好ましい。
【0033】
本発明に用いる前記酸化剤の染毛剤組成物における含有量は、好ましくは2~4%がよい。前記酸化剤の含有量が2%未満の場合、充分な脱色力を得られない恐れがある。また、4%を超える場合、毛髪へのダメージが著しくなる恐れがある。
【0034】
本発明に用いる前記(A)カチオン性界面活性剤および前記(D)アニオン性界面活性剤は、同一の剤に配合すると凝集等が起こり、経時的に不安定になる恐れがある。そのため、別々の組成物に配合し、用時に混合して増粘させることが好ましい。
【0035】
本発明による染毛剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分の他に通常化粧品、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分を配合することができる。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、HC染料、高級アルコール、高級脂肪酸等の油剤、ノニオン性界面活性剤、低級アルコール、保湿剤、多価アルコール等の溶剤、水溶性高分子、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤、薬効成分、たんぱく誘導体、加水分解たんぱく、アミノ酸類、安定化剤、香料、動植物油、ビタミン類、植物抽出液、無機塩等を用いることができ、これらは目的に応じて1種または2種以上を含有することができる。
【0036】
本発明による第1剤組成物および第2剤組成物はポリ容器、チューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器等の各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0037】
本発明による染毛剤組成物は、毛髪の脱色および染毛効果の観点から、第1剤組成物と第2剤組成物とを好ましくは1:1~1:3、より好ましくは1:2の比率で用時混合して用いるとよい。
【0038】
本発明による染毛剤組成物は、塗布時の使用性の観点から、25℃の条件下で粘度が5,000~30,000mPa・sであることが好ましい。
【0039】
本発明において粘度は、常法にて調製し、得られた染毛剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ヘリカルスタンド付きB型粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用いて、M4号ローターにて1分間、回転速度12rpm、25℃の条件下で測定する。
【0040】
本発明による染毛剤組成物は、脱色および染毛効果の観点から、20℃の条件下でpHが9~11であることが好ましい。
【0041】
本発明においてpHは、常法にて調製し、得られた染毛剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71:堀場製作所製)にて20℃の条件下で測定する。
【0042】
本発明による染毛剤組成物は、塗布時ののびや毛髪へのなじみの観点から、刷毛やコーム、ブラシ型ノズル等は使用せず、手を用いて塗布することが好ましい。
【0043】
本発明による染毛剤組成物の剤型は、クリーム状または乳液状であることが好ましい。
【0044】
本発明による染毛剤組成物は、毛髪上で手を用いて揉み込む動作を行っても、泡状にならないことが好ましい。
【実施例0045】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0046】
本明細書に示す評価試験において、染毛剤組成物に含まれる成分および、その含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製し、得られた第1剤組成物と第2剤組成物を1:2の比率で用時混合することで得られた染毛剤組成物を用いて評価試験を行った。
【0047】
本明細書に示す発明において、「塗布時の使用性」、「塗布時ののび」、「毛髪へのなじみ」、「洗い流し時の指通り」、「仕上がり後の毛髪の状態」および「毛髪の染まり」について評価した。
【0048】
本明細書に示す評価試験において、「塗布時の使用性」、「塗布時ののび」、「毛髪へのなじみ」、「洗い流し時の指通り」、「仕上がり後の毛髪の状態」および「毛髪の染まり」は、得られた染毛剤組成物の100gを毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪に塗布し、20分間放置した後、40℃のぬるま湯ですすぎ、シャンプーでよく洗浄し、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーで乾燥するという工程を専門のパネラーで行い、それぞれを比較評価した。
【0049】
「塗布時の使用性」の評価基準
◎:手から垂れ落ちることはなく、手を用いて塗布するのにとても充分な硬さがある
〇:手から垂れ落ちることはなく、手を用いて塗布するのに充分な硬さがある
△:手から垂れ落ちることがあり、手を用いて塗布するのに充分な硬さがない
×:手から垂れ落ち、手を用いて塗布することが困難
【0050】
「塗布時ののび」の評価基準
◎:毛髪の内側にしっかり塗り込むことができる
〇:毛髪の内側に塗り込むことができる
△:毛髪の内側に部分的にしか塗り込むことができない
×:毛髪の内側に塗り込むことができない
【0051】
「毛髪へのなじみ」の評価基準
◎:毛髪の内側にしっかり浸透している
〇:毛髪の内側に浸透している
△:毛髪の内側に部分的にしか浸透していない
×:毛髪の内側に浸透していない
【0052】
「洗い流し時の指通り」の評価基準
◎:指通りがとても良い
〇:指通りが良い
△:指通りがやや悪い
×:指通りが悪い
【0053】
「仕上がり後の毛髪の状態」の評価基準
◎:毛髪がとてもしっとりまたはさらさらしている
〇:毛髪がしっとりまたはさらさらしている
△:毛髪にややパサつきまたはべたつきがある
×:毛髪にパサつきまたはべたつきがある
【0054】
「毛髪の染まり」の評価基準
◎:色ムラがなく、毛髪の内側までしっかり染まっている
〇:色ムラがなく、毛髪の内側まで染まっている
△:色ムラがあり、毛髪の内側が部分的にしか染まっていない
×:色ムラがあり、毛髪の内側が染まっていない
【0055】
第1評価試験
第1評価試験では、(A)カチオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えた染毛剤組成物に関して評価した。表1に染毛剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0056】
【0057】
実施例1~6において、前記(A)カチオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0058】
第2評価試験
第2評価試験では、(B)シリコーン油および(C)炭化水素油の種類および含有量、含有量の質量比を様々に代えた染毛剤組成物に関して評価した。表2に染毛剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0059】
【0060】
実施例7~15において、前記(B)シリコーン油および前記(C)炭化水素油の種類および含有量、含有量の質量比を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0061】
第3評価試験
第3評価試験では、(D)アニオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えた染毛剤組成物に関して評価した。表3に染毛剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0062】
【0063】
実施例16~21において、前記(D)アニオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0064】
以下に当該組成物の処方例を挙げる。以下の処方例により得られた第1剤組成物と第2剤組成物を1:2の比率で用時混合することで得られた染毛剤組成物は、「塗布時の使用性」、「塗布時ののび」、「毛髪へのなじみ」、「洗い流し時の指通り」、「仕上がり後の毛髪の状態」および「毛髪の染まり」に関して良好な結果が得られた。
【0065】
(実施例22)
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
(A)塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.40
(B)メチルポリシロキサン 2.00
(C)流動パラフィン 3.00
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.30
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 0.50
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.20
パラアミノフェノール 0.20
レゾルシン 0.20
セタノール 4.00
ステアリルアルコール 2.00
エタノール 0.60
アルモンド油 0.01
ブドウ種子油 0.01
香料 0.80
濃グリセリン 4.00
L-アスコルビン酸 0.50
亜硫酸ナトリウム 0.50
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.20
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.00
モノエタノールアミン液(80%) 7.00
アンモニア水(28%) 3.57
混合果実抽出液 0.01
加水分解シルク液 0.01
精製水 63.99
合計 100.00
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
(D)セチル硫酸ナトリウム 0.60
過酸化水素水(35%) 16.60
セタノール 1.30
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.14
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
精製水 71.16
合計 100.00
【0066】
(実施例23)
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
(A)塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.40
(B)メチルポリシロキサン 2.00
(C)流動パラフィン 3.00
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.30
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 0.50
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.20
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.24
トルエン-2,5-ジアミン 1.48
パラアミノフェノール 0.08
レゾルシン 0.32
5-アミノオルトクレゾール 0.02
セタノール 4.00
ステアリルアルコール 2.00
エタノール 0.60
アルモンド油 0.01
ブドウ種子油 0.01
香料 0.80
濃グリセリン 4.00
L-アスコルビン酸 0.50
亜硫酸ナトリウム 0.50
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.20
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.00
モノエタノールアミン液(80%) 0.50
混合果実抽出液 0.01
加水分解シルク液 0.01
精製水 72.32
合計 100.00
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
(D)セチル硫酸ナトリウム 0.60
過酸化水素水(35%) 16.60
セタノール 1.30
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.14
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
精製水 71.16
合計 100.00
本発明は、塗布時の使用性が良く、塗布時ののびや毛髪へのなじみに優れ、洗い流し時の指通りや仕上がり後の毛髪の状態が良く、毛髪の染まりも満足のいく染毛剤組成物を提供することができる。