(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069692
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】チーズ含有食品の物性改良剤および物性改良方法
(51)【国際特許分類】
A23C 19/093 20060101AFI20240514BHJP
A23C 19/076 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A23C19/093
A23C19/076
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048827
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2020531292の分割
【原出願日】2019-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2018135230
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519127797
【氏名又は名称】三菱商事ライフサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松山 勇介
(57)【要約】
【課題】 溶融時に適度な曳糸性または粘性を有し、かつ食感の良好なチーズ含有食品を提供する。
【解決手段】 チーズ含有食品に、カードランおよび加工デンプンを、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように含有させる。必要に応じ、さらに溶融塩を、チーズ含有食品中0.2~3重量%となるように含有させてもよい。カードランおよびカードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する組成物は、チーズ含有食品の改良剤として好適に用い得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードランおよびカードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良剤。
【請求項2】
チーズ含有食品に、請求項1記載の改良剤を、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。
【請求項3】
チーズ含有食品に、カードランおよび加工デンプンを、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように含有させる、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。
【請求項4】
さらに、溶融塩を、チーズ含有食品中0.2~3重量%となるように含有させる、請求項2または3記載のチーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。
【請求項5】
チーズ含有食品に、請求項1記載の改良剤を、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する工程を有する、チーズ含有食品の製造方法。
【請求項6】
チーズ含有食品に、カードランおよび加工デンプンを、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する工程を有する、溶融時の曳糸性または粘性の改良されたチーズ含有食品の製造方法。
【請求項7】
さらに溶融塩を、チーズ含有食品中0.2~3重量%となるように配合する工程を有する、請求項5または6記載のチーズ含有食品の製造方法。
【請求項8】
0.1~2.5重量%のカードランおよび該カードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する、溶融時の曳糸性または粘性の改良されたチーズ含有食品。
【請求項9】
さらに溶融塩を0.2~3重量%含有する、請求項8記載のチーズ含有食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーズ含有食品、ならびにチーズ含有食品の物性、特に溶融時の曳糸性または粘性の改良剤および改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピザのトッピングやピザまんの中具には、チーズ、特にナチュラルチーズが用いられることが多い。しかし、これらナチュラルチーズを使用した食品も、他の加工食品と同様に、流通や保存のため、過加熱となることが通常である加熱殺菌処理や、解凍されることが前提となる冷凍処理が施されることが多く、また、保温状態が維持されることもある。このような過加熱、冷解凍、保温等に晒されたナチュラルチーズは、元来の、加熱することで溶融する性質(溶融性)や、糸のように伸びる性質(曳糸性)が減少し、ゲルのような食感となって食味性が落ちてしまう。
【0003】
上記課題を解決したチーズが、ナチュラルチーズを粉砕し、必要に応じて溶融塩や乳化剤を添加して加熱溶融し、乳化させて製造するプロセスチーズである。しかし、プロセスチーズにおいても、溶融性を高くしすぎると、溶融した際の曳糸性が低下してしまうため、溶融した際の適度な粘度と曳糸性のバランスをうまくとることは難しいとされる。
【0004】
曳糸性を向上させたチーズ類としては、例えば、ナチュラルチーズと、溶融塩と、特定の乳濃縮物を含有するプロセスチーズ(特許文献1参照)、特定量の、タピオカ加工澱粉と高脂肪ナチュラルチーズを含有し、乳脂肪と乳タンパク質の比率が特定の比率にあるチーズ類(特許文献2参照)、特定量の、タピオカ加工澱粉とチーズを含有し、乳脂肪/乳タンパク質の比率が特定の比率以下にあるチーズ類(特許文献3参照)、特定量の、ナチュラルチーズ、酸化デンプンおよび溶融塩を含有するプロセスチーズ(特許文献4参照)、デンプンとしてタピオカまたは馬鈴薯由来のヒドロキシプロピルデンプンを配合したチーズ(特許文献5)等、種々の報告がなされている。
【0005】
これら曳糸性を向上させたチーズ類の多くには、曳糸性の向上のために加工デンプンが用いられている。しかし、加工デンプンは、使用量によっては、「ぬめり」が出るなど食感に悪影響が及ぶ恐れがある。
【0006】
曳糸性と溶融性の両方を改善する目的で、特定量の、溶融塩、ガム類およびショ糖脂肪酸エステルを含有させたプロセスチーズも知られている(特許文献6参照)。ここでのガム類としては、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム等があげられている。
【0007】
ガム類以外の多糖類としてカードランをチーズ類に含有させることも報告されている(特許文献7参照)。しかし、当該技術は、溶融性や曳糸性の改善を目的とするものではなく、むしろ、カードランが加熱により不可逆性のゲルを形成することを利用して、チーズに耐熱保形性を与えることを目的としたものである。
【0008】
なお、チーズ含量が51重量%以上として規定されるチーズフードや、チーズ含量が51%未満であっても、チーズを含有する食品には、プロセスチーズと同様に、加工デンプン等による食感の悪化は避けつつ、適度な曳糸性または粘度を付与するという課題は存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5732539号公報
【特許文献2】特許第6162395号公報
【特許文献3】特許第6162394号公報
【0010】
【特許文献4】特許第5835908号公報
【特許文献5】特開2014-108055号公報
【特許文献6】特許第4994586号公報
【特許文献7】特許第2908522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、溶融時に適度な曳糸性または粘性を有し、かつ食感の良好なチーズ含有食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の(1)~(9)を提供する。(1)カードランおよびカードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良剤。(2)チーズ含有食品に、上記(1)の改良剤を、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。
【0013】
(3)チーズ含有食品に、カードランおよび加工デンプンを、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように含有させる、チーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。(4)さらに、溶融塩を、チーズ含有食品中0.2~3重量%となるように含有させる、上記(2)または(3)のチーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良方法。
【0014】
(5)チーズ含有食品に、上記(1)の改良剤を、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する工程を有する、チーズ含有食品の製造方法。(6)チーズ含有食品に、カードランおよび加工デンプンを、カードランが0.1~2.5重量%および加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量となるように配合する工程を有する、溶融時の曳糸性または粘性の改良されたチーズ含有食品の製造方法。
【0015】
(7)さらに溶融塩を、チーズ含有食品中0.2~3重量%となるように配合する工程を有する、上記(5)または(6)のチーズ含有食品の製造方法。(8)0.1~2.5重量%のカードランおよび該カードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する、溶融時の曳糸性または粘性の改良されたチーズ含有食品。(9)さらに溶融塩を0.2~3重量%含有する、上記(8)のチーズ含有食品。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、溶融時に適度な曳糸性または粘性を有し、かつ食感の良好なチーズ含有食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のチーズ含有食品の溶融時の曳糸性または粘性の改良剤(以下、単に本発明の改良剤ともいう。)は、カードラン、およびカードランに対して3~6倍重量の加工デンプンを含有する組成物である。本発明の改良剤を、チーズを含有する食品(チーズ含有食品)に、最終的にカードランが0.1~2.5重量%、加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量、および必要に応じて溶融塩が0.2~3重量%となるように配合することで、適度な曳糸性または粘性はありながらも食感低下の少ないチーズ含有食品とすることができる(以下、本発明の改良効果ともいう)。
【0018】
チーズ含有食品としては、例えば、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズを粉砕し、混合し、必要に応じて溶融塩や乳化剤を添加し、加熱溶融し、乳化して製造され、かつチーズ分の含有量が51重量%以上であるチーズフードがあげられる。また、チーズ分の含有量が51重量%未満であっても、チーズ含有量が10重量%以上、好ましくは20重量%以上であれば、本発明におけるチーズ含有食品に含まれる。このようなチーズ含有食品としては、チーズフォンデュ、カルボナーラソース、アリゴソース等が例示される。
【0019】
本発明に用いられるナチュラルチーズとしては特に限定はないが、曳糸性の得やすさから、軟質チーズに分類されるモッツアレラチーズ、カテージチーズ、クリームチーズ、クワルクチーズ、カマンベールチーズ、ブリーチーズ、リンブルガーチーズ、ハントチーズ等が好ましくあげられる。半硬質チーズに分類される、ゴルゴンゾラチーズ、ブルーチーズ等も用いてよい。
【0020】
本発明に用いられるカードランは、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属等の微生物が産生する、β-1,3-グルコシド結合を主体とする加熱凝固性多糖類の総称である。カードランは、上記微生物より得てもよいが、市販のものを好適に用いることができる。市販のカードランは、平均粒子径が100μm以上のものを用いてもよいが、平均粒子径が100μm以下のものを用いてもよい。平均粒子径が100μm以下のカードランとしては、例えば、カードラン微粉砕品である「カードランNS」(三菱商事ライフサイエンス社製。平均粒子径は30μm以下。)があげられる。本発明において、カードランはチーズ含有食品に最終的に0.1~2.5重量%となるように用いられれば良く、好ましくは0.5~2.0重量%、より好ましくは1.0~1.5重量%となるように用いられてよい。
【0021】
本発明に用いられる加工デンプンは、バレイショ、コーン、タピオカ等に由来するデンプンを化学的に変性させた加工デンプンであればいずれのものでもよい。具体的には、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムなどがあげられ、これらを1種又2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンや、分子構造内に架橋構造を有する架橋デンプンである、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化架橋デンプンがあげられる。加工デンプンは市販されており、容易に入手できる。カードランに対する加工デンプンの量は、加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量で用いれば良いが、3~4倍重量であると好ましい。
【0022】
本発明の改良剤は、含有するカードランと加工デンプンとの比率が上記数値範囲にある組成物であれば、本発明の物性改良効果の妨げとならない限り、他にリン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、カリウム塩等の溶融塩、グルコース、砂糖等の甘味料、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デンプン(加工デンプンを除く)等の多糖類、各種調味料、各種香辛料等を含有してもよい。多糖類を含む場合は、本発明の改良剤中0.1~10重量%であってよい。
【0023】
本発明の改良剤の形態は、粉体、粒体、粉粒体等の固体状、および溶液等の液状のいずれであってもよい。 本発明の改良剤中のカードランおよび加工デンプンの含有量は、両者の含有比率以外特に制限はないが、カードランは、本発明の改良剤中1~25重量%含まれていることが望ましい。
【0024】
本発明の改良剤をチーズに含有させるにあたり、該チーズが、カードラン、加工デンプンや溶融塩を含有している場合は、これらの含有量が上記範囲となるように、本発明の改良剤、カードラン、加工デンプン、溶融塩の配合量を調整する。
【0025】
本発明のチーズ含有食品中がチーズフードである場合は、ナチュラルチーズの含有量として51重量%以上であればよく、上限は99.4重量%であるが、通常、51~80重量%、好ましくは55~70重量%である。したがって、本発明の一態様として、ナチュラルチーズを原料とするチーズフードにおいて、チーズ100重量部に対し、カードランの含有量を0.1~4.9重量部、好ましくは1~4.5重量部とし、かつ加工デンプンの含有量をカードランの3~6倍重量とするチーズ含有食品の製造方法またはチーズ含有食品の物性改良方法があげられる。
【0026】
また、本発明の改良剤を用いずに、チーズ含有食品中の含有量として、カードランが0.1~2.5重量%、加工デンプンがカードランに対して3~6倍重量、および必要に応じて溶融塩が0.2~3重量%となるように、カードランや加工デンプン、および必要に応じて溶融塩を、それぞれ、該チーズ含有食品のいずれかの製造工程で配合して含有させるチーズ含有食品の製造方法またはチーズ含有食品の物性改良方法も、本発明の一態様としてあげられる。本発明の改良剤の使用の有無にかかわらず、チーズ含有飲食品中にカードランおよび加工デンプンをさせた場合、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、さらに好ましくは80℃以上となるように加熱すると、チーズ含有食品の口当たりがよくなり、好ましい。以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例0027】
実施例1 チーズ含有食品の改良剤の調製と物性評価
表1記載の各原料を同表に記載の量(重量部)秤量し、ジューサーミキサーで1分間撹拌して、溶液状のチーズ含有食品の改良剤(比較区1~7ならびに実施区1および2)を調製した。ここで、加工デンプンAとしては、タピオカ由来のヒドロキシプロピルデンプンを用い、加工デンプンBとしては、ワキシーコーン由来の架橋デンプン(アセチル化アジピン酸架橋デンプン)を用い、カードランとしては、カードランの微粉砕品(平均粒子径30μm以下)である「カードランNS」(三菱商事ライフサイエンス社製)を用い、デキストリンとしては、DE8~9.5のデキストリンを用いた。
【0028】
つぎに、各改良剤を撹拌後80℃となるまで湯煎にて加熱し、加熱後、それぞれ5℃、20℃および70℃となるように調温し、それぞれの温度における粘度を、B型粘度計を用いて測定した。各試験区の各温度における粘度(単位:Pa・s)を表2に示す。
【0029】
【0030】
【0031】
表2に示すとおり、カードランを含有する試験区(比較区3)の改良剤の粘度はいずれの温度においても低かった。
【0032】
また、これらの改良剤の溶液の口当たりについて、5名のパネラーで官能試験を行った。試験は、比較区1~5と実施区1の群(第1群)、ならびに比較区6および7と実施区2の群(第2群)の2つの群について行い、口当たりのよいものから順位を付けた。第3表および第4表中の「口当たりの順位」は、各順位について、選択者の多い試験区を示したものである。なお、比較区3の改良剤は、口当たりはよいが、粘性が明らかに低かったため、官能評価対象から除外した。
【0033】
【0034】
表3に示すとおり、各改良剤溶液の口当たりは、実施区1、比較区1、比較区4、比較区5、比較区2の順に悪化した。実施区1の次に口当たりのよかった比較区1(タピオカ由来のヒドロキシプロピルデンプンを3.2重量%含有)の溶液でも、適度な曳糸性または粘性と口当たりのよさを両立させるという本発明の課題解決には不十分であると思われた。
【0035】
【0036】
また、表4に示したとおり、口当たりは実施区2、比較区6、比較区7の順に悪化した。表3での結果と同様に、実施区1の次に口当たりのよかった加工デンプンB(ワキシーコーン由来のアセチル化アジピン酸架橋デンプン)を使用した比較区6の溶液でも、適度な曳糸性または粘性と口当たりのよさを両立させるという本発明の課題解決には不十分であると思われた。
【0037】
実施例2 各改良剤のチーズ含有食品への使用
表5記載の原料を混合し、湯煎によりモッツァレラチーズを溶解させた後、85℃まで昇温させてチーズ含有食品としてのチーズソースを調製し、容器に充填した。容器ごと、スチームコンベクションオーブンに入れ、蒸気温度90℃で30分間加熱し、放冷後、冷凍した。なお、表中の原料表記は実施例1に準じる。
【0038】
冷凍したチーズソースを15g秤量し、ゼリーカップに入れた後、600wの電子レンジで30秒間加熱して解凍した。レオメーターの台に固定した2mm規格のL字型六角レンチの短辺(16mm)を、ゼリーカップ中の溶融したチーズ含有食品の中央部の底に着くように下げ、1cm/秒の速度で引き上げた。伸びたチーズソースが切れた時点で台の移動を停止し、台の移動距離を、チーズソースの曳糸距離として測定した。測定結果を表6に示す。
【0039】
また、チーズソースの食感について、5名のパネラーにより官能評価した。各試験区について、最も多かったコメントを表6に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
表6に示すとおり、カードランと加工デンプンを併用した試験区(実施区3)のチーズソースは、口当たりもよく、曳糸性も高いものであった。これに対して、カードランと加工デンプンとの併用を行わなかった比較区8および9のチーズソースは、いずれも、曳糸性は低くはなかったが、ぬめりが感じられ、さらに口腔内での付着性が感じられたり(比較区8)、加工デンプンの量の多さに起因すると思われる葛餅様の食感が認められたり(比較区9)するものであった。