(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069695
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】空調衣服の服本体及び空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240514BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048989
(22)【出願日】2024-03-26
(62)【分割の表示】P 2020077911の分割
【原出願日】2020-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(71)【出願人】
【識別番号】591098455
【氏名又は名称】株式会社自重堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】寺中 秀子
(57)【要約】
【課題】空調衣服の服本体の用途を拡大する。
【解決手段】着用者の身体の少なくとも一部を覆う本体部11と、本体部11に着脱自在に形成された第1着脱部12と、を備え、第1着脱部12に、ファン2を取り付けるためのファン取付孔121が形成されている。また、第1着脱部12と重なるようにして本体部11に着脱自在に形成された第2着脱部13を備え、第2着脱部13は、本体部11に取り付けられた状態で、ファン取付孔121を覆うように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体の少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部に着脱自在に形成された第1着脱部と、
を備え、
前記第1着脱部に、空気導入手段を取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴とする空調衣服の服本体。
【請求項2】
前記第1着脱部と重なるようにして前記本体部に着脱自在に形成された第2着脱部を備えることを特徴とする請求項1に記載の空調衣服の服本体。
【請求項3】
前記第2着脱部は、前記本体部に取り付けられた状態で、前記第1着脱部に形成された前記取付孔を覆うことができるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の空調衣服の服本体。
【請求項4】
前記本体部は、
前記第1着脱部を着脱自在に取り付けるための第1取付手段と、
前記第2着脱部を着脱自在に取り付けるための第2取付手段と、
を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の空調衣服の服本体。
【請求項5】
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、いずれも線ファスナーのエレメントを含むことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服の服本体。
【請求項6】
前記第1着脱部及び前記第2着脱部は、略同一の形状に形成され、
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、同一の構成を有する取付手段であることを特徴とする請求項4又は5に記載の空調衣服の服本体。
【請求項7】
前記本体部は、一端部が凹状となる凹状部を備え、
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、前記凹状部に沿って配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体。
【請求項8】
前記本体部は少なくとも着用者の胴上部を覆うように形成され、
前記凹状部は、前記本体部下端部の着用者の背面側を含む位置に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の空調衣服の服本体。
【請求項9】
前記凹状部は、前記本体部下端部の着用者の背面側から着用者の前面側に至る位置に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の空調衣服の服本体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調衣服の服本体及び空調衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却する空調衣服が実用化され、急速に普及しつつある。空調衣服は、通気性の低い素材で形成された服本体と、服本体の後側の下方に取り付けられた2つのファンと、2つのファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置と2つのファンとを電気的に接続するための電源ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれ、取り込まれた空気の圧力により服本体と着用者の身体との間に空気流通路が自動的に形成される。取り込まれた空気は、形成された空気流通路を着用者の身体又は下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、服本体と着用者の身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような空調衣服は、冷却機能を必要としない場合においては、その服本体を、空調衣服としての冷却機能を利用せずに、他の用途(例えば、防寒目的の通常の上衣や、レインコート等としての用途)のために使用することが考えられる。
しかし、空調衣服の服本体は、通常、着用者の腰部付近等の目立つ位置に、ファンを取り付けるための取付孔を有することから、外見や保温性等の機能の面で、空調衣服以外の用途には適しなかった。
【0006】
本発明の課題は、空調衣服の服本体の用途を拡大することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、空調衣服の服本体において、
着用者の身体の少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部に着脱自在に形成された第1着脱部と、
を備え、
前記第1着脱部に、空気導入手段を取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空調衣服の服本体において、
前記第1着脱部と重なるようにして前記本体部に着脱自在に形成された第2着脱部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空調衣服の服本体において、
前記第2着脱部は、前記本体部に取り付けられた状態で、前記第1着脱部に形成された前記取付孔を覆うことができるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の空調衣服の服本体において、
前記本体部は、
前記第1着脱部を着脱自在に取り付けるための第1取付手段と、
前記第2着脱部を着脱自在に取り付けるための第2取付手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空調衣服の服本体において、
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、いずれも線ファスナーのエレメントを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の空調衣服の服本体において、
前記第1着脱部及び前記第2着脱部は、略同一の形状に形成され、
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、同一の構成を有する取付手段であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体において、
前記本体部は、一端部が凹状となる凹状部を備え、
前記第1取付手段及び前記第2取付手段は、前記凹状部に沿って配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の空調衣服の服本体において、
前記本体部は少なくとも着用者の胴上部を覆うように形成され、
前記凹状部は、前記本体部下端部の着用者の背面側を含む位置に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の空調衣服の服本体において、
前記凹状部は、前記本体部下端部の着用者の背面側から着用者の前面側に至る位置に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、空調衣服において、
請求項1から9のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、空調衣服の服本体の用途を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る空調衣服の開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図2】実施形態に係る空調衣服の開閉手段を閉じた状態における正面図である。
【
図3】実施形態に係る空調衣服の開閉手段を閉じた状態における背面図である。
【
図4】実施形態に係る空調衣服の服本体の本体部の開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図5】実施形態に係る空調衣服の服本体の本体部の開閉手段を閉じた状態における底面図である。
【
図6】実施形態に係る空調衣服の服本体の第1着脱部を示す図である。なお、本体部に取り付けられた状態において外側(着用者の身体から遠い側)に向く面から見た状態を図示している。
【
図7】実施形態に係る空調衣服の服本体の第2着脱部を示す図である。なお、本体部に取り付けられた状態において外側(着用者の身体から遠い側)に向く面から見た状態を図示している。
【
図8】実施形態に係る空調衣服の、開閉手段を閉じ、第2着脱部を外した状態における背面図である。
【
図9】実施形態に係る空調衣服の服本体の、開閉手段を開き、第1着脱部を外した状態における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、
図1から
図9に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
また、以下においては、着用者が空調衣服100を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後、着用者の上方向を上、着用者の下方向を下、着用者の右手方向を右、着用者の左手方向を左と定めて説明する。なお、開閉手段111を開いた状態においては、
図1、
図4及び
図9に示すように、服本体1の内面側(着用時に着用者の身体に向く側)が向く方向を前、その反対方向を後と定めて説明する。
【0020】
[第1 実施形態の構成]
実施形態に係る空調衣服100は、
図1に示すように、服本体1と、服本体1内部に空気を導入するファン2と、ファン2に電力を供給する電源部3と、電源部3とファン2とを接続する接続ケーブル4、を備え、ファン2によって服本体1内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させた後に、服本体1の襟部及び袖部に形成された空気排出部112から排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0021】
[1 服本体]
服本体1は、
図1から
図3に示すように、通気性のない又はファン2による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、着用者の胴部及び腕部を覆う形状に形成されている。
図1から
図3においては、服本体1をブルゾン型の上衣の形状に形成しているが、服本体1の形状はこれに限られず、例えば、着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。
【0022】
服本体1は、
図1から
図9に示すように、服本体1の本体をなす本体部11と、本体部11に対し着脱自在に形成された第1着脱部12と、本体部11に対し着脱自在に形成された第2着脱部13と、を備える。
【0023】
[(1) 本体部]
本体部11は、
図1から
図5及び
図8から
図9に示すように、着用者の胴上部及び腕部を覆うように形成された服本体1の本体をなす部分であり、開閉手段111と、空気排出部112と、電源部保持手段113と、凹状部114と、第1線ファスナー115と、第2線ファスナー116と、第1スナップボタン117と、ケーブル保持手段118と、を備える。
【0024】
[a 開閉手段]
開閉手段111は、服本体1を前開きとし、空調衣服100を着用する際に、服本体1の前部を開閉するための手段であり、
図1、
図2、
図4、
図5及び
図9に示すように、本体部11の前身頃を左右方向中央部で左右に分割すると共に、その両側に例えば線ファスナー等を備えて、当該分割部分を着脱自在とすることにより形成されている。
【0025】
[b 空気排出部]
空気排出部112は、ファン2によって後述の第1着脱部12に形成されたファン取付孔121から服本体1と着用者の身体との間の空間内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部であり、
図1から
図5及び
図8から
図9に示すように、着用者の首と本体部11の襟部の端部との間の開口部と、着用者の腕と本体部11の袖部の端部との間の開口部と、に形成される。
【0026】
[c 電源部保持手段]
電源部保持手段113は、電源部3を、接続ケーブル4を通じてファン2へと電力を供給可能な位置において保持するための手段であり、例えば、
図1、
図4及び
図9に示すように、服本体1の内面側に備えられた電源部3を収納可能なポケットを用いることができる。
図1、
図4及び
図9においては、電源部保持手段113が、服本体1の内面側に備えられたポケットである場合について図示したが、電源部保持手段113の具体的な構成は、電源部3を、接続ケーブル4を通じてファン2へと電力を供給可能な位置において保持することができるものであればよく、これに限られない。
【0027】
[d 凹状部]
凹状部114は、本体部11下端部に形成された上方へと凹状となる部分であり、
図2から
図5及び
図8に示すように、本体部11下端部の着用者の背面側から着用者の前面側へと至る位置に、開閉手段111の近傍を除いて形成されている。なお、凹状部114は、図に示される略台形状に限定されるものではなく、例えば半円状や長方形の形状であってもよい。
【0028】
[e 第1線ファスナー]
第1線ファスナー115は、第1着脱部12を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図1、
図4、
図5及び
図9に示すように、本体部11の凹状部114の近傍に、凹状部114に沿って配置されている。
【0029】
第1線ファスナー115は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、後述の第1着脱部12に備えられた第3線ファスナー122のエレメント(務歯)と噛み合うことで、第1着脱部12を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能となる。すなわち、第1線ファスナー115が、本発明における第1取付手段として機能することとなる。
【0030】
なお、スライダー等の線ファスナーの開閉部品については、
図4及び
図5においては、第1線ファスナー115は備えず、第1着脱部12の第3線ファスナー122が備える場合につき図示しているが、第1線ファスナー115が備えるようにしてもよい。
【0031】
[f 第2線ファスナー]
第2線ファスナー116は、第2着脱部13を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図5に示すように、本体部11の凹状部114の近傍に、凹状部114に沿って配置されている。
【0032】
なお、第2線ファスナー116は、第1線ファスナー115よりも外側(着用者の身体から遠い側)に、
図1、
図4及び
図9に示すような開閉手段111を開いた状態における正面図において第1線ファスナー115と重なる位置に配置されている。
【0033】
第2線ファスナー116は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、後述の第2着脱部13に備えられた第4線ファスナー131のエレメント(務歯)と噛み合うことで、第2着脱部13を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能となる。すなわち、第2線ファスナー116が、本発明における第2取付手段として機能することとなる。
【0034】
なお、スライダー等の線ファスナーの開閉部品については、
図5においては、第2線ファスナー116は備えず、第2着脱部13の第4線ファスナー131が備える場合につき図示しているが、第2線ファスナー116が備えるようにしてもよい。
また、第2線ファスナー116は、第1線ファスナー115と、エレメント(務歯)等が共通する同一の構成を有する線ファスナーであることが好ましい。
【0035】
[g 第1スナップボタン]
第1スナップボタン117は、第1着脱部12又は第2着脱部13を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図4及び
図5に示すように、凹状部114の左右両端部の近傍の2か所に、係合部が内側(着用者の身体側)に向くようにして配置されている。
【0036】
第1スナップボタン117は、後述の第1着脱部12に備えられた第2スナップボタン123又は後述の第2着脱部13に備えられた第3スナップボタン132のいずれかと係合させることで、第1着脱部12又は第2着脱部13の左右の端部を、本体部11に対して着脱自在に取り付けることができる。
【0037】
なお、第1スナップボタン117は、第1着脱部12に備えられた第2スナップボタン123又は第2着脱部13に備えられた第3スナップボタン132のいずれかと係合させることができるように構成されているところ、本体部11に第1着脱部12のみを取り付けて使用する場合には、第1スナップボタン117は、第1着脱部12に備えられた第2スナップボタン123に係合させて用いることとなり、本体部11に第2着脱部13のみを取り付けて使用する場合には、第1スナップボタン117は、第2着脱部13に備えられた第3スナップボタン132に係合させて用いることとなる。
また、本体部11に第1着脱部12及び第2着脱部13の両者を取り付けて使用する場合には、第1スナップボタン117は、外側(着用者の身体から遠い側)に位置する第2着脱部13に備えられた第3スナップボタン132に係合させて用いることとなる。
【0038】
したがって、第1スナップボタン117は、第1着脱部12に備えられた第2スナップボタン123に係合させて用いる場合には、第1線ファスナー115と共に本発明における第1取付手段として機能することとなり、第2着脱部13に備えられた第3スナップボタン132に係合させて用いる場合には、第2線ファスナー116と共に本発明における第2取付手段として機能することとなる。
【0039】
[h ケーブル保持手段]
ケーブル保持手段118は、
図1、
図4及び
図9に示すように、接続ケーブル4を、服本体1の内面側に保持するための手段であり、例えば、一般的なベルト通しのように、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより、接続ケーブル4を挿通可能な開口部を有するリング状に形成され、当該開口部に接続ケーブル4を挿通させることによって、これを保持することができるように構成されている。
【0040】
[(2) 第1着脱部]
第1着脱部12は、
図1、
図6及び
図8に示すように、本体部11に対して着脱自在に形成されたシート状の部材であり、本体部11の凹状部114の形状に対応して略台形状に形成され、ファン取付孔121と、第3線ファスナー122と、第2スナップボタン123と、を備える。
【0041】
[a ファン取付孔]
ファン取付孔121は、空調衣服100の着用時において、服本体1と着用者の身体との間の空間と、服本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部であり、
図1、
図6及び
図8に示すように、第1着脱部12の、本体部11に取り付けられた状態において着用者の腰の左右に対応する位置となる部分に形成されている。
【0042】
ファン取付孔121の直径は、後述のファン2の直径と略同一に形成され、ファン取付孔121を挿通するようにしてファン2を取り付けることで、ファン取付孔121を介して、外部の空気を服本体1と着用者の身体との間の空間に取り込むことができる。
ファン取付孔121の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、第1着脱部12を構成するシート状部材のファン取付孔121周囲の部分を折り返して縫合する等の方法で、補強されていることが好ましい。
【0043】
[b 第3線ファスナー]
第3線ファスナー122は、第1着脱部12を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図1及び
図6に示すように、第1着脱部12の上端部及び左右の端部に沿って配置されている。
【0044】
第3線ファスナー122は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、本体部11に備えられた第1線ファスナー115のエレメント(務歯)と噛み合うことで、第1着脱部12を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能となる。なお、スライダー等の線ファスナーの開閉部品については、
図6においては第3線ファスナー122が備える場合につき図示しているが、本体部11の第1線ファスナー115が備えるようにしてもよい。
【0045】
[c 第2スナップボタン]
第2スナップボタン123は、第1着脱部12の左右両端部を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図6に示すように、第1着脱部12の左右両端部の近傍の2か所に、本体部11に取り付けられる状態において係合部が外側(着用者の身体から遠い側、
図6においては後方)に向くようにして配置されている。
【0046】
第2スナップボタン123は、本体部11に備えられた第1スナップボタン117と係合させることで、第1着脱部12の左右の端部を、本体部11に対して着脱自在に取り付けることができる。なお、第3線ファスナー122のみによっても、第1着脱部12を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能であるものの、さらに第2スナップボタン123を左右両端部の近傍に備えることによって、これを第1スナップボタン117と係合させた場合、第1着脱部12が本体部11から意図せずして外れてしまうおそれを低減できる。
【0047】
[(3) 第2着脱部]
第2着脱部13は、
図2、
図3、
図7及び
図9に示すように、本体部11に対して着脱自在に形成されたシート状の部材であり、本体部11の凹状部114の形状に対応して、第1着脱部12と略同一の形状の略台形状に形成され、第4線ファスナー131と、第3スナップボタン132と、を備える。
【0048】
[a 第4線ファスナー]
第4線ファスナー131は、第2着脱部13を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図7及び
図9に示すように、第2着脱部13の上端部及び左右の端部に沿って配置されている。
【0049】
第4線ファスナー131は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、本体部11に備えられた第2線ファスナー116のエレメント(務歯)と噛み合うことで、第2着脱部13を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能となる。なお、スライダー等の線ファスナーの開閉部品については、
図7においては第4線ファスナー131が備える場合につき図示しているが、本体部11の第2線ファスナー116が備えるようにしてもよい。
【0050】
[b 第3スナップボタン]
第3スナップボタン132は、第2着脱部13の左右両端部を本体部11に着脱自在に取り付けるための手段であり、
図7に示すように、第2着脱部13の左右両端部の近傍の2か所に、本体部11に取り付けられる状態において係合部が外側(着用者の身体から遠い側、
図7においては後方)に向くようにして配置されている。
【0051】
第3スナップボタン132は、本体部11に備えられた第1スナップボタン117と係合させることで、第2着脱部13の左右の端部を、本体部11に対して着脱自在に取り付けることができる。なお、第4線ファスナー131のみによっても、第2着脱部13を本体部11に対して着脱自在に取り付けることが可能であるものの、さらに第2スナップボタン123を左右両端部の近傍に備えることによって、これを第1スナップボタン117と係合させた場合、第2着脱部13が本体部11から意図せずして外れてしまうおそれを低減できる。
【0052】
[2 ファン]
ファン2は、
図1及び
図8に示すように、第1着脱部12のファン取付孔121を挿通するようにして服本体1に取り付けられ、ファン取付孔121を通して、服本体1と着用者の身体との間の空間に空気を導入するためのものである。ファン2には、電源部3より、接続ケーブル4を通じて必要な電力が供給される。
ファン2は、ファン取付孔121を挿通するようにして服本体1に取り付けられ、服本体1と着用者の身体との間の空間へと空気を導入できるものであればよく、その具体的な構成は任意である。
【0053】
[3 電源部]
電源部3は、ファン2に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、
図1に示すように、接続ケーブル4を通じてファン2と接続される。また、電源部3は、ファン2に供給する電力のオン/オフを切り替えるスイッチを備える。
電源部3は、ファン2に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0054】
[4 接続ケーブル]
接続ケーブル4は、
図1に示すように、電源部3とファン2とを接続するケーブルであり、接続ケーブル4を通じて、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力が供給される。
接続ケーブル4は、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力を供給できるものであればよく、その具体的な構成は任意である。
【0055】
[第2 実施形態の効果]
本実施形態に係る空調衣服100によれば、服本体1が、本体部11と、本体部11に対して着脱自在に形成された第1着脱部12と、を備え、ファン2を取り付けるためのファン取付孔121は、第1着脱部12に形成されていることから、服本体1を、空調衣服以外の用途に使用する場合には、ファン取付孔121が備えられた第1着脱部12を取り外すことが可能となる。
【0056】
これによって、服本体1を本体部11のみで使用し、又は本体部11に第1着脱部12に代えて他の部材を取り付けて使用することが可能となることから、空調衣服の服本体の用途を拡大することがきる。
【0057】
なお、ファン取付孔121の周囲は、通常、ファン2が落下し難いように補強がなされ、服本体1の他の部分よりも固く形成されていることから、ファン取付孔121が存在すると、例えば服本体1を他の衣服の下に着用する内衣として使用する際等には、このようなファン取付孔121周囲の部分が着心地を悪化させる可能性がある。この点、ファン取付孔121周囲の部分を取り外せればこのようなおそれはなくなることから、本体部11のみで使用する場合においても、空調衣服の服本体につき、例えば他の衣服の下に着用する内衣等としての用途を拡大することができるということとなる。
【0058】
また、本実施形態に係る空調衣服100によれば、第1着脱部12と重なるようにして本体部11に着脱自在に形成された第2着脱部13を備えることで、第2着脱部13の着脱によって、例えば、ファン取付孔121が第2着脱部13によって覆われた状態と、ファン取付孔121が第2着脱部13によって覆われていない状態と、を切り替えることができる。したがって、第1着脱部12を着脱せずとも、空調衣服の服本体を空調衣服以外の用途に使用し易くなる。
また、
図9に示すように、本体部11に対し、第1着脱部12を取り付けることなく、第2着脱部13のみを取り付ければ、下端部付近が第1着脱部12と第2着脱部13によって2重となることもなくなり、より通常の上衣に近い構成とすることができる。
【0059】
また、このような第2着脱部13を備えることによって、第1着脱部12のファン取付孔121にファン2が取り付けられた状態のままで、ファン2を第2着脱部13によって覆うことも可能となる。
これによって、第2着脱部13の着脱によって、
図3に示すようなファン2が覆われた状態と、
図8に示すようなファン2が露出した状態とを容易に切り替えられることから、例えば、ファン2内部や服本体1内部への埃や水滴の進入を防ぐため、空調衣服として使用しない際にはファン2を第2着脱部13によって覆い、空調衣服として使用する際のみファン2を露出させるといった使い方をすることが容易となる。
【0060】
また、本実施形態に係る空調衣服100によれば、本体部11が、第1着脱部12を着脱自在に取り付けるための第1取付手段としての第1線ファスナー115と、第2着脱部13を着脱自在に取り付けるための第2取付手段としての第2線ファスナー116と、を別に備えることで、例えば、第1着脱部12及び第2着脱部13を単一の取付手段に択一的に取り付ける場合と比較して、これらの切り替えが容易となると共に、例えば寒冷期に保温性を高めたい場合に第1着脱部12及び第2着脱部13を同時を取り付けるといった形で、空調衣服の服本体の用途をさらに拡大することができる。
【0061】
また、上記においては、第1着脱部12が、第1取付手段としての第1線ファスナー115に取り付けられ、第2着脱部13が、第2取付手段としての第2線ファスナー116に取り付けられる場合につき説明したが、第1着脱部12及び第2着脱部13は、略同一の形状の略台形状に形成され、また、第1取付手段及び第2取付手段が共に線ファスナーを含むことから、第1線ファスナー115と第2線ファスナー116とがエレメント(務歯)等が共通する同一の構成を有する線ファスナーであれば、第1着脱部12と第2着脱部13とを入れ替えて、第1着脱部12の第3線ファスナー122を第2線ファスナー116に取り付け、第2着脱部13の第4線ファスナー131を第1線ファスナー115に取り付けることも可能となる。
これによって、さらに空調衣服の服本体の用途を拡大することが可能となる。
【0062】
なお、上記のように入れ替えて取り付けることを可能とするため、第1線ファスナー115と第2線ファスナー116とが、エレメント(務歯)等が共通する同一の構成を有する線ファスナーであることが好ましいものの、通常はファン取付孔121を有する第1着脱部12を内側に取り付け、第2着脱部13を外側に取り付けるべきものであることから、このような通常の取付位置を間違えることを防止するため、あえて第1線ファスナー115と第2線ファスナー116とを、例えば、エレメント(務歯)が異なるようにする、一方のみがスライダー等の開閉部品を有するようにするといった形で、異なる構成としてもよい。
【0063】
また、本実施形態に係る空調衣服100によれば、服本体1の本体部11が、下端部に、上方へと凹状となるように形成された凹状部114を備え、凹状部114に沿って第1着脱部12を取り付けるための第1取付手段としての第1線ファスナー115と、第2着脱部13を取り付けるための第2取付手段としての第2線ファスナー116と、が配置されている。これによって、第1着脱部12及び第2着脱部13が服本体1の下端部に位置することから、本体部11との接続を要する部分を短くすることができ、第1着脱部12及び第2着脱部13の本体部11に対する着脱が容易となる。
【0064】
また、凹状部114が、服本体1の本体部11の下端部の着用者の背面側から着用者の前面側に至る位置に形成されていることで、第1着脱部12及び第2着脱部13の本体部11に対する取付部分を、空調衣服100の着用者が視認することが可能となる。これによって、着用者が空調衣服100を着用した状態においても、第1着脱部12及び第2着脱部13の本体部11に対する着脱を行い易くなる。
また、凹状部114が、本体部11の下端部の着用者の背面側から着用者の前面側に至る範囲に亘って形成されていることで、第1着脱部12及び第2着脱部13の面積を広くとることも可能となる。
【0065】
[第3 変形例]
上記においては、第1着脱部12を取り付けるための第1取付手段として、第1線ファスナー115(及び第1スナップボタン117)を用い、第2着脱部13を取り付けるための第2取付手段として、第2線ファスナー116(及び第1スナップボタン117)を用いる場合につき説明したが、第1取付手段は第1着脱部12を着脱自在に本体部11に取り付けることができるものであればよく、また、第2取付手段は第2着脱部13を着脱自在に本体部11に取り付けることができるものであればよく、いずれもこのような構成には限られない。さらに、外側(着用者の身体から遠い側)に向く面から見た状態で、第1線ファスナー115及び第2線ファスナー116を凹状部で覆うように構成すると、第1線ファスナー115及び第2線ファスナー116が外側より見えない構成となるため、着用した際の見栄えも良好となる。
【0066】
例えば、第1スナップボタン117を備えることなく、第1取付手段としての第1線ファスナー115及び第2取付手段としの第2線ファスナー116のみを備えるようにしてもよいし、第1線ファスナー115及び第2線ファスナー116に加えて、又は第1線ファスナー115及び第2線ファスナー116に代えて、面ファスナーやボタン等を用いることも可能である。
ただし、空調衣服として使用する際の空気漏れの抑制、着脱の容易性、及び装着時の強度等の観点から、線ファスナーを用いることが最も好ましい。
【0067】
また、上記においては、第1着脱部12として、ファン取付孔121、第3線ファスナー122及び第2スナップボタン123のみを備えるシート状部材を用い、第2着脱部13として、第4線ファスナー131及び第3スナップボタン132のみを備えるシート状部材を用いる場合につき説明したが、第1着脱部12及び/又は第2着脱部13はさらなる構成を備え、これらの装着によって、服本体1に、さらなる機能を付加できるようにしてもよい。例えば、第1着脱部12及び/又は第2着脱部13に面状ヒータ等の暖め手段を設けて、ファンを駆動する電源を利用すれば暖房用の衣服としても使用できる。この場合、第1着脱部12、第2着脱部13のそれぞれ個別の使用であっても、第1着脱部12、及び第2着脱部13の併用使用であっても良い。また、電源もファンを駆動するための電源部3を必ずしも利用することなく、暖め用の電源を別個に用意しても良い。
【符号の説明】
【0068】
100 空調衣服
1 服本体
11 本体部
114 凹状部
115 第1線ファスナー(第1取付手段)
116 第2線ファスナー(第2取付手段)
117 第1スナップボタン(第1取付手段、第2取付手段)
12 第1着脱部
121 ファン取付孔(取付孔)
122 第3線ファスナー
123 第2スナップボタン
13 第2着脱部
131 第4線ファスナー
132 第3スナップボタン
2 ファン(空気導入手段)
3 電源部(電源手段)
4 接続ケーブル(電源手段)