(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069711
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】薬液容器
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61J1/05 351A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052214
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2021537393の分割
【原出願日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2019145699
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 康幸
(72)【発明者】
【氏名】庄司 英生
(57)【要約】
【課題】
輸液の投与前に各収容室の輸液を混合することについて、使用者により十分に注意喚起を促せる薬液容器を提供すること。
【解決手段】
薬液を収容する少なくとも二つの収容室と、収容室間を仕切っており収容室に外部から圧力を加えることにより剥離可能な弱シール部と、掛吊穴が設けられており、収容室に向かって折りたたまれているフラップ部と、フラップ部を収容室に向かって折りたたんだ状態で収容室上に固定すると共に、掛吊穴を覆うシール部と、を備える薬液容器であって、シール部が、掛吊穴の少なくとも一部を覆うと共に薬液容器の使用時に当該シール部から切り離すことなく掛吊穴を開通可能であるように構成されている開通部を有する、薬液容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を収容する少なくとも二つの収容室と、
前記収容室間を仕切っており前記収容室に外部から圧力を加えることにより剥離可能な弱シール部と、
掛吊穴が設けられており、前記収容室に向かって折りたたまれているフラップ部と、
前記フラップ部を前記収容室に向かって折りたたんだ状態で前記収容室上に固定すると共に、前記掛吊穴を覆うシール部と、を備える薬液容器であって、
前記シール部が、前記掛吊穴の少なくとも一部を覆うと共に前記薬液容器の使用時に当該シール部から切り離すことなく前記掛吊穴を開通可能であるように構成されている開通部を有し、
前記シール部には、前記シール部を厚み方向に貫通する切断線を含む易開裂処理が、前記フラップ部の所定方向に延びる縁の少なくとも一部に沿って施されており、前記シール部は、前記切断線を境界として、前記収容室に接合された縁部と、前記掛吊穴を覆うカバー部とに切断可能であり、
前記切断線が、前記所定方向に交差する交差方向に延びる複数の部分を含むことにより、前記カバー部は、前記交差方向に突出する1つ又は複数の突片を有し、
前記突片は、根元部と、前記所定方向において前記根元部より幅の広い先端部とを含む、
薬液容器。
【請求項2】
前記突片の前記先端部の前記所定方向におけるいずれかの端部又は両方の端部に、フック部が形成されている、請求項1に記載の薬液容器。
【請求項3】
前記切断線と前記切断線の途中の複数箇所に設けられたアンカット部とによって、前記易開裂処理としての開裂ラインが形成されている、請求項1又は2に記載の薬液容器。
【請求項4】
前記易開裂処理としての開裂ラインの全域において、前記シール部を厚み方向に貫通する前記切断線が形成されている、請求項1又は2に記載の薬液容器。
【請求項5】
前記カバー部は、前記所定方向に並ぶように形成された複数の前記突片を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬液容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液容器及び輸液バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水及び電解質の補給、栄養の補給、血管の確保、病態の治療等を目的として輸液が広く用いられている。輸液は、輸液バッグに収容して用いられるが、輸液に含まれる薬剤には、あらかじめ混合すると経時的変化を起こしやすい不安定な薬剤が含まれていることがある。このような経時的変化としては、例えば、アミノ酸とブドウ糖とが反応し、褐変するメイラード反応等がある。
【0003】
輸液の使用前に上述の経時的変化を生じさせないよう、例えば、特許文献1に示されるように、あらかじめ混合すると経時的変化を起こしやすい薬剤同士を別々の収容室に分けて収容するための医療用複合容器が知られている。このような医療用複合容器は、2つ以上の収容室を備え、収容室同士は弱シール部により隔てられた構造を有している。弱シール部は、輸液が収容された収容室に圧力を加えることにより容易に剥離することができるため、使用直前に弱シール部を剥離して各収容室の輸液を混合することができる。特許文献1の医療用複合容器には、容器本体を吊り下げるための掛吊穴が設けられており、各収容室の輸液を混合した後、フック等で医療用複合容器を吊り下げて使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、上述の医療用複合容器を使用する際に、輸液の投与前に弱シール部を剥離し(つまり各収容室の輸液を混合し)忘れないよう、掛吊穴を塞ぐように貼付される開裂可能な開封確認用シールを備え、当該開封確認用シールに薬剤の混合を促す表示をしている。これにより、開封確認用シールをはがさなければ、掛吊穴を使用することができず、各収容室の輸液を混合することを忘れた場合であっても、医療用複合容器をフック等に吊り下げる際に使用者に注意喚起することができる。
【0006】
特許文献1の医療用複合容器は、使用者に注意喚起を促すことについて効果があるものの、注意喚起をより十分に行うための改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、輸液等の薬液の投与前に各収容室の薬液を混合することについて、使用者により十分に注意喚起を促せる薬液容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薬液容器は、薬液を収容する少なくとも二つの収容室と、収容室間を仕切っており収容室に外部から圧力を加えることにより剥離可能な弱シール部と、掛吊穴が設けられており、収容室に向かって折りたたまれているフラップ部と、フラップ部を収容室に向かって折りたたんだ状態で収容室上に固定すると共に、掛吊穴を覆うシール部と、を備える薬液容器であって、シール部が、掛吊穴の少なくとも一部を覆うと共に薬液容器の使用時に当該シール部から切り離すことなく掛吊穴を開通可能であるように構成されている開通部を有する。
【0009】
本発明の薬液容器では、シール部における開通部をめくる等しただけでは、依然としてフラップ部が第2の収容室上に固定されており、掛吊穴を使用して薬液容器を吊り下げることができない。そのため、医療器具等との接触、不作為等により、薬液の混合前に開通部を開通してしまった場合であっても、使用者は、掛吊穴を使用する前に薬液を混合していないことに気づくことができる。したがって、本発明によれば、輸液等の薬液の投与前に各収容室の薬液を混合することについて、使用者により十分に注意喚起を促すことができる。
【0010】
上記シール部に、フラップ部の縁の少なくとも一部に沿って易開裂処理が施されていると好ましい。この場合、シール部を易開裂処理に沿って容易に開裂させることができるため、フラップ部の固定を容易に解除できる。
【0011】
上記シール部が、収容室上でフラップ部の周縁を覆っていると好ましい。この場合、他の医療器具との接触、不作為によるシール部の開裂をより効果的に妨ぐことができる。
【0012】
上記フラップ部が、収容室から離れる方向に向かって幅が小さくなる形状を有すると好ましい。この場合、弱シール部を剥離すべく、収容室に圧力をかけた際に、フラップ部の先端部が収容室からの膨圧を受けやすく、シール部による固定を解除しやすい。
【0013】
上記開通部が掛吊穴の一部のみを覆うと好ましい。
【0014】
上記シール部が、開通部に、少なくとも2本の交差する切断線又は易開裂処理が施された線を有すると好ましい。この場合、開通部を開通することがより容易となる。
【0015】
上記フラップ部が容器本体の辺部から突出した形状を有しており、フラップ部の幅が、当該フラップ部に最も近い収容室の幅よりも小さいと好ましい。この場合、弱シール部を剥離すべく、収容室に圧力をかけた際に、フラップ部全体が収容室からの膨圧を受けやすく、シール部による固定をより解除しやすい。
【0016】
上記シール部には、シール部を厚み方向に貫通する切断線を含む易開裂処理が、フラップ部の所定方向に延びる縁の少なくとも一部に沿って施されており、シール部は、切断線を境界として、収容室に接合された縁部と、掛吊穴を覆うカバー部とに切断可能であり、切断線が、所定方向に交差する交差方向に延びる複数の部分を含むことにより、カバー部は、交差方向に突出する1つ又は複数の突片を有すると好ましい。この場合、カバー部の1つ又は複数の突片は、縁部の対応する1つ又は複数の凹状部に嵌合するが、切断線に沿ってカバー部が縁部から切り離されると同時に、突片が凹状部から離脱する。切断線に沿った切断は、大きな外力を必要とせず、例えば開裂部分に手をかけてカバー部を容易に切り離す(すなわちシール部を開裂して固定を解除する)ことができる。薬液容器の落下等によりカバー部の一部が誤って切断線に沿って切り離されてしまった場合でも、再び、突片は凹状部に嵌合する又は引っ掛かることができる。よって、カバー部が切り離されていないように見えるという効果が奏され得る。
【0017】
カバー部は、所定方向に並ぶように形成された複数の突片を有すると好ましい。この場合、カバー部の複数の突片は、縁部の対応する複数の凹状部に嵌合する。フラップ部の縁の所定の長さにわたって、上記したような、カバー部を容易に切り離すことのできる効果、又は、カバー部が切り離されていないように見える効果が奏され得る。
【0018】
本発明の輸液バッグは、薬液を収容する少なくとも二つの収容室と、収容室間を仕切っており収容室に外部から圧力を加えることにより剥離可能な弱シール部と、を有する容器本体、及び掛吊穴が設けられると共に、容器本体から突出するフラップ部を備え、フラップ部が輸液バッグの容器本体の辺部から突出しており、フラップ部の幅が、当該フラップ部に最も近い収容室の幅よりも小さい。このような輸液バッグを、例えば、シール部により、フラップ部を収容室に向かって折りたたんだ状態で収容室上に固定した薬液容器として使用した場合に、使用時にシール部による固定を解除しやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、輸液等の薬液の投与前に各収容室の薬液を混合することについて、使用者により十分に注意喚起を促せる薬液容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬液容器の上面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る輸液バッグの上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシール部の各種の具体例を表す上面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る輸液バッグの上面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る薬液容器の上面図である。
【
図6】
図6(a)は本発明の更に他の実施形態に係る薬液容器のフラップ部付近を示す上面図であり、
図6(b)は
図6(a)の一部拡大図である。
【
図7】
図7(a)は複数の突片が複数の凹状部に再び嵌合した状態を示す図であり、
図7(b)は開通部がめくり上げられた状態を示す図である。
【
図8】
図8は薬液容器のフラップ部が開かれ、輸液バッグとして使用される状態を示す図である。
【
図9】
図9(a)は更に他の実施形態の変形例に係る薬液容器のフラップ部付近を示す上面図であり、
図9(b)は
図9(a)の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬液容器1の上面図である。
図1に示す薬液容器1は、薬剤を収容する複数の収容室を有する容器本体34と、容器本体34に一端が接続されたポート20と、ポート20の他端(薬液取り出し口)を被覆するシール材28とを備えている。ポート20は筒状部22と口部24とから構成されている。
図1に示す容器本体34には、第1の収容室32a及び第2の収容室32b、並びに第1の収容室32a及び第2の収容室32bを仕切る弱シール部が設けられている。第1の収容室32a及び第2の収容室32bには、薬液が収容されている。弱シール部36は、薬液を各収容室に収容した状態で、いずれかの収容室に外部から圧力を加えることにより剥離可能なものであり、弱シール部36を剥離することにより、第1の収容室32a及び第2の収容室32bの間が連通され、各収容室の薬液を混合することができる。なお、
図1では、本実施形態の薬液容器1は、二つの収容室を有しているが、三つ以上の収容室を有していてもよい。また、ポート20の薬液取り出し口は、シール材28ではなく、スクリューキャップ等により閉じられていてもよい。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の薬液容器1は、シール部3を有する。シール部3は、フラップ部11を第2の収容室32bに向かって折りたたんだ状態で第2の収容室32b上に固定する。シール部3は、第2の収容室32b上でフラップ部11を覆っている、すなわち、少なくともフラップ部11と第2の収容室32bとが重なる部分を覆っていることが好ましく、
図1に示すようにフラップ部11と第2の収容室32bとが重なっていない部分も含めてフラップ部11を覆っていてもよい。なお、シール部3は、フラップ部11の先端部11bのみに貼付されていてもよく、フラップ部11の先端部11bの一部のみに貼付されていてもよい。
【0023】
ここで、
図2は、本発明の一実施形態に係る輸液バッグ2の上面図である。輸液バッグ2は、薬液容器1においてシール部3によりフラップ部11を固定する前の状態である。
図2に示すように、輸液バッグ2は、フラップ部11を有し、フラップ部11は、フラップ部の基端部11aで容器本体34の辺部に接続されている。フラップ部11には、例えば円形の掛吊穴9が設けられている。掛吊穴9は、例えば、フラップ部11の幅方向の中央部に設けられている。使用者は、患者に薬液を投与する際に掛吊穴9をハンガー、フック等に吊るして使用することができる。
図2に示す輸液バッグ2は、2枚のフィルムの周縁部を融着して収容室を有する袋状の輸液バッグとしたものであり、輸液バッグ2の周縁は、フィルムを融着した強シール部により構成されている。強シール部は、弱シール部36とは異なり、圧力等により剥離することがないよう強く結合している。
図2の輸液バッグ2では、強シール部の一部がフラップ部11を構成する。掛吊穴9は、2枚のフィルムを厚み方向に貫通する穴である。
【0024】
図1に示すようにシール部3は、掛吊穴9の少なくとも一部を覆う部分であって使用時に掛吊穴9を開通可能であるように構成された開通部7を有する。
図1では、開通部7は、掛吊穴9の両側に位置する2本のミシン目13(易開裂処理)に挟まれた領域である。開通部7は、フラップ部11に接着されていなくてもよいが、手作業で容易に開裂できるよう、弱く接着されていてもよい。シール部3は、開通部7以外の部分において、接着剤等によりフラップ部11及び第2の収容室32bに貼付されている。ミシン目13の一端は、フラップ部11の基端部11a側でシール部3の縁に達しており、基端部11a側の開通部7の端部を指でつまむことにより、2本のミシン目13を開裂しながら開通部7をめくり上げることができる。このようにして掛吊穴9を露出(開通)させることができる。一方、ミシン目13の他端は、ミシン目5には達することなくシール部3の範囲内で終止しており、閉曲線を描いていない。そのため、開通部7は、ミシン目13を開裂した後も連結部15でシール部3を構成する材料が本来持っている強度でシール部3に接続されている。これにより、開通部7をシール部3から切り離すことなく掛吊穴9を開通させることができる。
【0025】
シール部3には、使用者に薬液の混合を行ったか否か(つまり、弱シール部を開通したか否か)を確認するよう注意を喚起するため、例えば、「上室・下室・開通確認・未開封 使用不可」等の印字が施されていることが好ましい。医療現場では、一時に多くの薬液容器を使用するため、掛吊穴9を開通する際に開通部7がシール部3から切り離せるとごみの量が増え、また切り離された開通部7に由来する部分が散乱して処分に手間がかかる。本実施形態の薬液容器では、開通部7をシール部3から切り離すことなく掛吊穴9の開通が可能であるため、ごみの量が減り、処分が容易となる。
【0026】
図2に示されるように、フラップ部11は、台形状、円弧状等の、フラップ部11の基端部11aから先端部11bに向かって幅が小さくなる形状を有している。つまり、フラップ部11は、第2の収容室32bから離れる方向に向かって幅が小さくなる形状を有している。なお、フラップ部11の幅、及び容器本体34の幅とは、ポート20の薬液取り出し口と掛吊穴9とを結ぶ軸線に直交する方向の幅である。容器本体34の幅が軸線に沿って変化する場合、容器本体34の最大幅を容器本体の幅とすることができる。
【0027】
本実施形態の薬液容器1では、開通部7をめくっただけでは、フラップ部11が未だ第2の収容室32b上に固定されており、掛吊穴9を使用して薬液容器1を吊り下げることができない。そのため、第1の収容室32a及び第2の収容室32bに収容された薬液を混合することを忘れてしまった場合であっても、使用者は、掛吊穴9を使用する前に薬液を混合していないことに気づくことができる。
【0028】
シール部3は、第1の収容室32a又は第2の収容室32bに圧力をかけた際にシール部3によるフラップ部11の固定が解除される構成を有していることが好ましい。このような構成を有することにより、弱シール部36を剥離すると同時にフラップ部11の固定を解除することができるため、直ちに使用可能な状態とすることができる。このような構成としては、例えば、
図1に示されるミシン目5のように、シール部3に容易に開裂できる易開裂処理が施されていることが好ましい。
【0029】
易開裂処理は、フラップ部11の縁11cの少なくとも一部に沿って施されていればよい。その場合、易開裂処理を施した部分が開裂した際に(つまり、フラップ部11の固定の一部が解除された際に)、開裂部分に手をかけて手作業でシール部3を開裂することができるためフラップ部の固定を解除することができる。フラップ部11の縁11c全体に沿って、易開裂処理が施されていてもよい。その場合、容易にフラップ部の固定を解除できる。
【0030】
図3の(A)~(C)は、それぞれ本実施形態に係るシール部3の具体例を表す上面図である。
図3の(A)に示す例では、平行な2本のミシン目13が設けられており、平行な2本のミシン目13に挟まれた領域が開通部7である。
【0031】
図3の(A)において、平行な2本のミシン目13の間の距離は、掛吊穴9の直径以上の大きさであってもよいが、掛吊穴9の直径よりも小さくてもよい。平行な2本のミシン目13の間の距離が掛吊穴9の直径よりも小さい場合、開通部7は、掛吊穴9の一部のみを覆うことになる。また、平行な2本のミシン目13の少なくとも一方が掛吊穴9の外周と交差していてもよく、この場合も、開通部7は、掛吊穴9の一部のみを覆うことになる。
【0032】
図3の(B)に示す例では、U字形のミシン目13が設けられており、開通部7にU字のミシン目に囲まれた領域が開通部7である。この場合、ミシン目13のU字形状の先端部分に指をかけて開通部7をめくり上げることにより、掛吊穴を露出させることができる。掛吊穴9は、U字のミシン目13の内側にあってもよく、掛吊穴9の外周とU字のミシン目13とが交点(例えば2つの交点)を有していてもよい。この場合も、ミシン目13は、閉曲線を描いておらず、開通部7をめくり上げた後も開通部7は、連結部15でシール部3と接続されている。そのため、開通部7をシール部3から切り離さずに掛吊穴9を開通させることができる。なお、ミシン目13は、U字に代えてV字、コの字等の形状にすることもできる。
【0033】
図3の(C)に示す例では、シール部3の掛吊穴9を覆っている部分(つまり、開通部7)に開裂して穴をあけやすいよう十字形のミシン目13が施されている。この場合、ミシン目13を開裂することにより、掛吊穴9を開通することができる。
図3の(C)において、2本のミシン目13は、直交していなくてもよく、直線でなくてもよい。また、3本以上のミシン目13が一点で交差していてもよい。ミシン目13の交点は、掛吊穴9の内側にある。各ミシン目13は、掛吊穴9の外周と交わっていてもよいが、交わっていなくてもよい。
【0034】
シール部3を構成するシールの材質としては、特に制限されず、紙、合成紙、布、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムなどが挙げられ、これらを積層したものも使用できる。シール部3は、接着剤を介してフラップ部11及び第2の収容室32bに貼付されていてもよいが、熱シール等、熱によりフラップ部11及び第2の収容室に接着又は融着されているものであってもよく、面ファスナーによりフラップ部11及び第2の収容室32b上に固定されていてもよい。
【0035】
図4は、本実施形態の輸液バッグの他の実施形態を示す図である。
図4に示す実施形態では、フラップ部11は、容器本体34(例えば、
図4に示すように略矩形の形状を有している。)の辺部の中央領域から突出している。また、フラップ部11の幅D1は、フラップ部11に最も近い収容室(
図4では第2の収容室32b)の幅D2よりも小さい。なお、
図4では、フラップ部11の形状は、角を丸めた矩形状であるが、矩形状、台形状であってもよい。また、フラップ部の周縁は、円弧の一部のように丸みを有していてもよい。
【0036】
図4における二点鎖線は、フラップ部11と容器本体34との境界を表す仮想線である。立ち上がり点14は、当該境界線の端部であり、突出した形状のフラップ部11が容器本体の辺部から立ち上がり(突出し)始める箇所である。フラップ部11の幅D1は、二つの立ち上がり部間の距離である。D1は、D2よりも小さければ特に制限はないが、D1とD2との比(D1/D2)が0.96以下であると好ましく、0.93以下であるとより好ましく、0.9以下であると更に好ましく、0.88以下であると特に好ましい。また、D1は、掛吊穴の幅よりも大きければ特に制限はないが、D1/D2が0.2以上であると好ましく、0.3以上であるとより好ましく、0.4以上であると更に好ましく、0.5以上であると特に好ましい。このようなフラップ部11を有する本実施形態の輸液バッグ2は、上記シール部3と組み合わせた場合に、より効率的に開封できるものである。また、フラップ部11の高さ(ポート20の薬液取り出し口と掛吊穴9とを結ぶ軸線方向のフラップ部11の周縁と上記仮想線との最大距離)についても、特に制限はないが、フラップ部11に最も近い収容室(
図4では第2の収容室32b)の高さ(ポート20の薬液取り出し口と掛吊穴9とを結ぶ軸線方向の収容室の幅(最大幅であってよい))の0.1~0.6倍であると好ましく、0.2~0.5倍であるとより好ましい。
【0037】
フラップ部11が、ポート20の薬液取り出し口と掛吊穴9とを結ぶ軸線と平行な一対の側辺を有する場合、この一対の側辺間の距離をD3とすると、D2に対するD3の比率(D3/D2)は、0.96以下であると好ましく、0.93以下であるとより好ましく、0.9以下であると更に好ましく、0.88以下であると特に好ましい。このような形状としては、矩形等が挙げられる。D3は、掛吊穴の幅よりも大きければ特に制限はないが、D3/D2が0.2以上であると好ましく、0.3以上であるとより好ましく、0.4以上であると更に好ましく、0.5以上であると特に好ましい。
【0038】
図5は、本実施形態の薬液容器の一実施形態を示す図である。
図5に示す実施形態では、
図4に示す輸液バッグ2のフラップ部11を第2の収容室32bに向かって折りたたんで、シール部3を設けてフラップ部11を第2の収容室32b上に固定している。ここで、
図4に示す輸液バッグ2のフラップ部11は、第2の収容室32bの幅よりも狭い幅を有するため、第1及び第2の収容室の薬液を混合すべく、第1の収容室32aに圧力を加えた場合、第2の収容室32b側に生じる膨圧をフラップ部11全体で受けやすい。そのため、膨圧によるシール部3の固定を解除しやすい。特に、シール部3が収容部上でフラップ部11の略全体を覆っている場合、第2の収容室32bの周縁の領域には、膨圧が生じにくく、また、シール部3と容器本体との間に隙間が生じやすいため、シール部3に膨圧を伝えにくい部分が生じる場合がある。そのため、例えば、フラップ部11に沿って易開裂処理が施されている場合であっても一部が開裂しにくい場合がある。しかしながら、
図5の薬液容器では、フラップ部11の幅D1が第2の収容室32bの幅D2よりも小さいため、フラップ部11の周縁に沿って易開裂処理部分を施した場合に、易開裂処理部分が第2の収容室32bの周縁の領域と重ならず、易開裂処理を施した部分全体に膨圧が伝わりやすい。そのため、シール部3によるフラップ部11の固定をより容易に解除できる。言い換えれば、フラップ部11の幅D1が第2の収容室32bの幅D2よりも小さい輸液バッグは、シール部3を設けてフラップ部11を第2の収容室32bに固定した場合に、膨圧により当該固定をより容易に解除できるものである。また、フラップ部11の側辺間の距離D3がフラップ部11に最も近い収容室(
図4では第2の収容室32b)の幅D2よりも小さいことにより上記したのと同様の効果(フラップ部11の容易な解除)が奏される。
【0039】
第1の収容室32a及び第2の収容室32bに収容される薬液としては、特に制限はなく、一般に輸液として用いられるものが挙げられ、例えば、静脈投与用栄養輸液であってよい。薬液が静脈投与用栄養輸液の場合、第1の収容室32aに糖液、第2の収容室32bにアミノ酸液が収容されていてよい。なお、静脈投与用栄養輸液としては、中心静脈投与用栄養輸液や末梢静脈投与用栄養輸液などの輸液や、灌流液、透析液、保存液であってもよい。
【0040】
糖液に含まれる糖としては、還元糖が挙げられ、ブドウ糖が好ましい。糖液には、糖以外に電解質、pH調整剤、ビタミンB1、B6、B12等の水溶性ビタミンが含まれていてもよく、界面活性剤と共にビタミンA、D、E等の脂溶性ビタミンが含まれていてもよい。糖液の組成、pH等は、患者の病態などに応じて適宜変更することができる。
【0041】
アミノ酸液に含まれるは、アミノ酸としては、アミノ酸自体であってもよいが、N-アセチル誘導体等のアミノ酸の誘導体であってもよい。アミノ酸液には、アミノ酸以外に電解質、pH調整剤、ビタミンC等の水溶性ビタミンが含まれていてもよい。糖液の組成、pH等は、患者の病態などに応じて適宜変更することができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ミシン目以外の易開封処理としては、非貫通の切込み線等が挙げられ、
図1又は5におけるフラップ部11の縁11cに沿ったミシン目5の一部又は全部を当該切込み線で置き換えてもよい。なお、非貫通の切込みとはシール部を厚み方向に貫通していない深さ(シール部の厚みより小さい深さ)まで施された切込みである。また、開通部に施されたミシン目5の一部又は全部を非貫通の切込み線で置き換えてもよい。
また、
図3の(A)~(C)におけるミシン目13(開通部に形成された易開裂処理)は、シール部3を厚み方向に貫通する切断線に置き換えられてもよい。ミシン目13を切断線に置き換えた場合、より容易に掛吊穴を開通できる。また、シール部3が収容室とは異なる領域(例えば強シール部上)でフラップ部の周縁を覆っていてもよい。掛吊穴9の形状及び大きさは、フックの形状、薬液の量等に応じて、適宜に変更されてもよい。
【0043】
また、本実施形態の薬液容器1は、第1の収容室32a及び第2の収容室32b以外に、副室を有していてもよい。副室には、例えば、界面活性剤及び脂溶性ビタミンを含む薬液、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ヨウ素等の微量元素を含む薬液などが収容されていてよい。副室と収容室、又は副室同士の間には弱シール部が設けられていてよい。
【0044】
図6及び
図7を参照して、本発明の更に他の実施形態について説明する。上記実施形態では、フラップ部11の縁11cに沿って施されたミシン目5(
図1及び
図5参照)は、直線状であった。ミシン目5は、台形状又は矩形状のフラップ部11に沿って、台形状又は矩形状を呈していた。
図6(a)に示されるように、本実施形態では、フラップ部11の縁11cに沿って、易開裂処理としての開裂ラインLが形成されている。開裂ラインLは、所定方向に延びる縁11cの全体に沿って形成されている。なお、易開裂処理は、縁11cの全体ではなく、縁11cの一部のみ(例えば中央のみ等)に施されてもよい。開裂ラインLは、縁11cに沿った直線状ではなく、縁11cに対して蛇行している。「蛇行」とは、波形状、カーブ形状、又は凹凸形状等を含む、直線状以外のあらゆる形状を含む概念である。易開裂処理としてのミシン目5が、切断線40を含む開裂ラインLに変更された点と、開通部(易開裂処理)の構成が異なる点を除き、
図6(a)に示される例は、
図5に示された例と同じ構成を有する。
【0045】
開裂ラインLは、縁11cの全て又は大部分に対して、縁11cよりも弱シール部36側(すなわちポート20側)に位置している。開裂ラインLは、シール部3を厚み方向に貫通する切断線40と、切断線40の途中の複数個所に設けられたアンカット部44(
図6(b)参照)とを含む。切断線40は、開裂ラインLのほとんど全ての部分(アンカット部44を除く全部)を構成しており、フラップ部11の縁11cに対して蛇行している。アンカット部44は、僅かな長さにわたって、シール部3に切れ目が形成されない部分である。
【0046】
図6(a)に示されるように、シール部3は、切断線40を境界として、第2の収容室32bに接着等により接合された門形状(C字状)の縁部3aと、掛吊穴9を含むフラップ部11の大部分を覆うカバー部3bとに切断可能である。カバー部3bと縁部3aとは、凹凸嵌合している。例えば、カバー部3bの表面に、上述した注意を喚起するための印字が施されている。カバー部3bは、フラップ部11に対して、例えば、部分的に接着されていてもよい。カバー部3bの中央に、フラップ部11の掛吊穴9が配置されており、掛吊穴9に対して、易開裂処理としての第1切れ目8a及び第2切れ目8bが形成されている。カバー部3bは、開裂ラインL(切断線40)の周囲の帯状の領域と、掛吊穴9(第1切れ目8a及び第2切れ目8b)の周囲の領域とにおいては、フラップ部11に接着されない又は接着剤の接着力が弱められている。すなわち、カバー部3bとフラップ部11との間には、縁部3aに対するカバー部3bの開裂に関わる領域、及び、掛吊穴9の開通に関わる領域において、非接着領域が形成されている。そのため、カバー部3bと縁部3aとは、凹凸嵌合部において互いに自由に又はほぼ自由に動くことができる。
【0047】
図6(b)に示されるように、切断線40は、複数種類の突片50を形成している。切断線40は、フラップ部11の縁11cが延びる所定方向(図示左右方向)に延びる横部分42と、所定方向に直交する直交方向(図示上下方向)に延びる複数の縦部分41とを含む。この構成により、シール部3のカバー部3bは、直交方向に突出する複数の突片50を有している。カバー部3bは、所定方向に並ぶように形成された複数の突片50を有する。縁部3aには、複数の突片50に対応して、突片50と同一の形状の複数の凹状部55が形成されている。アンカット部44は、複数の突片50のうちの一部の突片50において、例えば横部分42(キノコ形状の頂部)に形成されてもよい。なお、本実施形態では、縦部分41は直交方向に延びる部分であるが、切断線40が、所定方向に90度以外の角度(鋭角)で交差する部分を有してもよい。
【0048】
突片50のそれぞれは、概ね、キノコ形状を有する。突片50は、所定方向における幅の狭い根元部51と、根元部51に連続する幅の広い先端部52とを含む。突片50は、複数種類の固有の形状を有してもよい。例えば、突片50の先端部52の左右いずれか又は両方の端部に、フック部53が形成されてもよい。開裂ラインLは、フラップ部11の隅部に対応する位置に、波状部46を有してもよい。波状部46は、波形状の2重の切断線40の途中におけるややずれて対向する位置に、一対のアンカット部44を含むことで、開裂時に(一時的に)細長い連結部分が形成される構造を持つ。
【0049】
図6(a)に示されるように、易開裂処理としての第1切れ目8a及び第2切れ目8bは、カバー部3bを厚み方向に貫通している。第1切れ目8a及び第2切れ目8bは、いずれも掛吊穴9の外側に配置される(掛吊穴9に重なっておらず、掛吊穴9を覆わない)。円弧状の第1切れ目8aは、掛吊穴9の下側(輸液バッグ2の使用状態では上側)に形成される。また、一対のJ字状の第2切れ目8bが第1切れ目8aの左右に形成される。一対の第2切れ目8bは、開通部7がめくれ上がる際に、開通部7の開裂形状が不要に大きくなってしまうことを防止する、開裂案内部である(
図7(b)参照)。開通部7、第1切れ目8a及び第2切れ目8bによって、掛吊穴9が好適に露出させられる。
【0050】
薬液容器1の使用者は、開通部7をめくり上げることで、掛吊穴9を露出(開通)させることができる。掛吊穴9を露出させても、
図7(b)に示されるように、開通部7はシール部3から切り離されず、シール部3に繋がって残っている。また、開通部7をめくっただけでは、フラップ部11が未だ第2の収容室32b上に固定されており、掛吊穴9を使用して薬液容器1を吊り下げることができない。そのため、第1の収容室32a及び第2の収容室32bに収容された薬液を混合することを忘れてしまった場合であっても、使用者は、掛吊穴9を使用する前に薬液を混合していないことに気づくことができる。使用者は、第1及び第2の収容室32a,32bの薬液を混合すべく、第1の収容室32aに圧力を加え、第2の収容室32b側に膨圧を生じさせてフラップ部11全体に膨圧を伝える。この際、必要に応じて、開裂部分に手をかけてもよいが、手を使わなくても、膨圧により突片50と凹状部55の嵌合を開放し、シール部3の固定を解除することができる。フラップ部11が立ち上がり、使用者は、掛吊穴9をハンガー、フック等に吊るして使用することができる(
図8参照)。
【0051】
本実施形態の開裂ラインLを備えた構造によれば、カバー部3b複数の突片50は、縁部3aの対応する複数の凹状部55に嵌合するが、切断線40に沿ってカバー部3bが縁部3aから切り離されると同時に、突片50が凹状部55から離脱する。切断線40に沿った切断は、大きな外力を必要とせず、例えば開裂部分に手をかけてカバー部3bを容易に切り離すことができる。すなわち、シール部3を開裂して固定を解除することができる。この作業は、例えば力の弱い者等がシール部3を開裂しようとする場合であっても、容易に行うことができる。また、薬液容器1の落下等によりカバー部3bの一部が誤って切断線40に沿って切り離されてしまった場合でも、再び、突片50は凹状部55に嵌合する又は引っ掛かることができる(
図7(a)参照)。突片50の先端部52に、フック部53が形成されていると、フック部53が凹状部55と食い込むことにより、突片50が凹状部55により引っ掛かりやすくなる。よって、カバー部3bが切り離されていないように見えるという効果が奏され得る。或いは、別の効果として、薬液容器1の落下等が生じた場合でも、落下後、突片50の先端部52が凹状部55に引っ掛かることにより大きな開きを抑止するという効果が奏され得る。突片50の先端部52に、フック部53が形成されていると、フック部53が凹状部55に食い込んで開きをより効果的に抑止することができる。
【0052】
カバー部3bの複数の突片50は、縁部3aの対応する複数の凹状部55に嵌合する。フラップ部11の縁11cの所定の長さにわたって、上記したような、カバー部3bを容易に切り離すことのできる効果、カバー部3bが切り離されていないように見える効果、及び、大きな開きを抑止するという効果が奏され得る。
【0053】
図9を参照して、上記した実施形態の変形例について説明する。
図9(a)に示される開裂ラインLも、所定方向に並ぶように形成された複数(例えば2つ)のキノコ形状の突片50Aと、所定方向に並ぶように形成された複数の山形状の突片50Bと、波状部46と、波状部46に形成された複数のアンカット部44とを含んでいる。この変形例が上記した実施形態と異なる点は、開裂ラインLの一部が、フラップ部11の縁11cを横断している点である。例えば、複数の山形状の突片50Bを含む開裂ラインLの一部領域が、縁11cが延びる所定方向に対して多少の角度を有する方向に傾斜して延びており、縁11cの中央に向かうにつれて、カバー部3bすなわち掛吊穴9に近接している。複数のキノコ形状の突片50Aは、カバー部3b側に位置している。なお、掛吊穴9の周囲において、一対の第2切れ目8bは省略されている。
【0054】
このような開裂ラインLを備えた構造によっても、上記した実施形態と同様の作用・効果が奏される。また、開裂ラインL(切断線40)とフラップ部11がオーバーラップしている領域(オーバーラップ領域R)を有することで、カバー部3bがフラップ部11を介して受ける圧力が低減されている。この構造は、落下等による、オーバーラップ領域Rにおけるミシン切れ(アンカット部44の破断)を広がりにくくしている。なお、アンカット部44が波状部46にのみ形成される場合には、波状部46のうち、フラップ部11にオーバーラップしている領域において上記作用効果が奏される。
【0055】
開裂ラインLが蛇行する形状の薬液容器は、上記した実施形態に限られない。例えば、
図10(a)に示されるように、矩形の根元部51と矩形の先端部52とが組み合わせられた突片50Cが採用されてもよい。
図10(b)に示されるように、矩形の根元部51と円形(又は楕円形)の先端部52とが組み合わせられた突片50Dが採用されてもよい。
図10(c)に示されるように、根元部51から先端部52にかけて線形に広がるテーパ形状を有する突片50Eが採用されてもよい。突片として、上記した各種形態に限られず、その他の種々の変形態様が採用されてもよい。キノコ形状の突片、山形状又は波形状の突片等が、適宜に組み合わせられてもよい。突片を備えない直線状のミシン目が、複数の突片の間に組み込まれてもよい。
【0056】
シール部のカバー部に、1つのみの突片が形成されてもよい。その場合、縁部には、対応する1つのみの凹状部が形成される。易開裂処理において、アンカット部が省略されてもよい。その場合、開裂ラインの全域において、シール部を厚み方向に貫通する切断線が形成される。
【0057】
なお、上記した実施形態では、カバー部3bから一つ又は複数の突片50が突出し、縁部3aに形成された一つ又は複数の凹状部55に突片50がそれぞれ嵌合すると記載したが、逆であるようにも理解できる。すなわち、縁部3aから一つ又は複数の突片50が突出し、カバー部3bに形成された一つ又は複数の凹状部55に縁部3aの突片50がそれぞれ嵌合しているとも理解できる。例えば、
図6(a)に示すように、縁部3aは交差方向に突出する1つ又は複数の突片60を有していてもよい。この場合、カバー部3bには、1つ又は複数の突片60に対応して、突片60と同一の形状の複数の凹状部65が形成されている。
図6(a)では、突片60は、キノコ形状を有し、所定方向における幅の狭い根元部61と、根元部61に連続する幅の広い先端部62とを含む。突片60は、複数種類の固有の形状を有してもよい。例えば、突片60の先端部62の左右いずれか又は両方の端部に、フック部63が形成されてもよい。縁部3aに形成された突片60は、凹状部65に嵌合又は引っ掛かることができ、突片50と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…薬液容器、2…輸液バッグ、3…シール部、5…ミシン目、7…開通部、9…掛吊穴、11…フラップ部、13…ミシン目、14…立ち上がり点、20…ポート、22…筒状部、24…口部、28…シール材、32a…第1の収容室、32b…第2の収容室、34…容器本体、36…弱シール部、40…切断線、44…アンカット部、50,50A,50B,50C,50D,50E,60…突片、51…根元部、52…先端部、55,65…凹状部、R…オーバーラップ領域、L…開裂ライン(易開裂処理)。