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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069729
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】表示装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240515BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240515BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240515BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240515BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240515BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240515BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 641C
G09G3/20 680G
G09G3/20 622A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041680
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 駿
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直史
【テーマコード(参考)】
2H193
3K107
5C006
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZA19
2H193ZD11
2H193ZD21
2H193ZF21
2H193ZF44
2H193ZR07
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC33
3K107CC35
3K107CC43
3K107EE04
3K107HH05
5C006AA22
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF38
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD07
5C080DD09
5C080FF11
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK20
5C380AB06
5C380AB34
5C380AC13
5C380BA39
5C380CC03
5C380CC07
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC39
5C380CD013
5C380CD014
5C380CD023
5C380CD024
5C380CD033
5C380CF66
(57)【要約】
【課題】画素サイズの縮小化と表示品質の向上とを両立させる。
【解決手段】表示装置は、第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を備える、表示装置。
【請求項2】
前記パルス生成部は、前記表示素子の表示タイミングに同期した前記パルス信号を前記第2ノードに供給する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記パルス生成部は、前記表示素子の表示期間の少なくとも一部を含む第1期間と、前記第1期間が開始される前の第2期間とでは、前記パルス信号の電圧レベルを切り換える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記パルス生成部は、前記第1期間では、前記第2期間よりも、前記パルス信号の電圧レベルを低くする、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1トランジスタを有し、前記表示素子の表示を制御する画素回路を備え、
前記画素回路は、前記第1ノードを初期化電圧に設定する第1状態と、前記第1トランジスタの閾値電圧を補正する第2状態と、前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第3状態と、前記表示素子を階調に応じた輝度で発光させる第4状態と、を有し、
前記パルス生成部は、前記第3状態内又は前記第4状態内に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げて、前記第4状態が終了するタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き上げる、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第3状態内に前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第2トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3状態内に前記第2トランジスタがオンするタイミング以降に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2トランジスタは、信号線と前記第1トランジスタのゲートとの間に接続され、
前記信号線は、前記第1状態内にはオフセット電圧を供給し、前記第3状態内に階調に応じた電圧を供給する、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に、前記第1トランジスタとともにカスコード接続される第3トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3トランジスタが前記第3状態内にオンするタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き下げる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのソースとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのドレインと前記第1ノードとの間に接続される、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのドレインとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのソースと前記第1ノードとの間に接続される、請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記パルス信号は、前記第3状態内又は前記第4状態内に電圧レベルの引き下げるまでは、前記表示素子が発光しない電圧レベルに設定される、請求項5に記載の表示装置。
【請求項12】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素は、前記表示素子を有し、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の全画素の前記表示素子に同一タイミングの前記パルス信号を供給する導電パターンを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、ベタの前記導電パターンである、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群のそれぞれごとに、前記パルス信号のタイミングを制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群に対応する複数の導電パターンを有する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記走査線駆動部は、前記パルス生成部を内蔵する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記パルス生成部は、前記走査線駆動部とは別個に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示素子は、電流駆動型の自発光素子である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示素子は、有機EL素子又は液晶素子である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項20】
表示装置と、
前記表示装置で表示される映像信号を生成する映像信号生成部と、を備え、
前記表示装置は、
第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートグラスやヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)は、3D、AR(Augmented Reality)、VR(Virtual Reality)、MR(Mixed Reality)、SR(Substitutional Reality)等の画像を手軽に表示できることから、今後ますます普及することが期待されている。
【0003】
スマートグラスやHMDは、マイクロディスプレイを内蔵している。マイクロディスプレイは、数mm角の表示デバイスであり、液晶素子や有機EL素子を用いて構成されている(特許文献1参照)。
【0004】
高精細の画素情報をマイクロディスプレイで表示するには、画素サイズを小さくして画素数を増やす必要がある。画素サイズを小さくするには、画素回路内のトランジスタの数を減らすのが望ましい。代表的な画素回路は、4つのトランジスタを有する。表示素子として有機EL素子(以下、OLED:Organic Light Emitting Devise)を用いた場合、OLEDの発光期間以外は、OLEDのアノード電圧を初期化電圧にまで下げる必要があり、OLEDのアノード電圧を初期化電圧に設定する制御を行うトランジスタを画素回路内に設けるのが一般的である。このトランジスタは、本来的にはOLEDの発光に用いられるものではないため、省略することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-53239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したトランジスタを省略してしまうと、OLEDの発光期間より前に行われるドライブトランジスタの閾値電圧の補正期間や、信号線電圧をドライブトランジスタのゲートに供給する書込期間の最中に、OLEDが発光するおそれがある。OLEDの発光期間よりも前にOLEDが発光してしまうと、黒浮きが生じるなどの表示品質が低下してしまう。
【0007】
そこで、本開示では、画素サイズの縮小化と表示品質の向上とを両立させることができる表示装置及び電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を備える、表示装置が提供される。
【0009】
前記パルス生成部は、前記表示素子の表示タイミングに同期した前記パルス信号を前記第2ノードに供給してもよい。
【0010】
前記パルス生成部は、前記表示素子の表示期間の少なくとも一部を含む第1期間と、前記第1期間が開始される前の第2期間とでは、前記パルス信号の電圧レベルを切り換えてもよい。
【0011】
前記パルス生成部は、前記第1期間では、前記第2期間よりも、前記パルス信号の電圧レベルを低くしてもよい。
【0012】
前記第1トランジスタを有し、前記表示素子の表示を制御する画素回路を備え、
前記画素回路は、前記第1ノードを初期化電圧に設定する第1状態と、前記第1トランジスタの閾値電圧を補正する第2状態と、前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第3状態と、前記表示素子を階調に応じた輝度で発光させる第4状態と、を有し、
前記パルス生成部は、前記第3状態内又は前記第4状態内に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げて、前記第4状態が終了するタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き上げてもよい。
【0013】
前記第3状態内に前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第2トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3状態内に前記第2トランジスタがオンするタイミング以降に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げてもよい。
【0014】
前記第2トランジスタは、信号線と前記第1トランジスタのゲートとの間に接続され、
前記信号線は、前記第1状態内にはオフセット電圧を供給し、前記第3状態内に階調に応じた電圧を供給してもよい。
【0015】
基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に、前記第1トランジスタとともにカスコード接続される第3トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3トランジスタが前記第3状態内にオンするタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き下げてもよい。
【0016】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのソースとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのドレインと前記第1ノードとの間に接続されてもよい。
【0017】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのドレインとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのソースと前記第1ノードとの間に接続されてもよい。
【0018】
前記パルス信号は、前記第3状態内又は前記第4状態内に電圧レベルの引き下げるまでは、前記表示素子が発光しない電圧レベルに設定されてもよい。
【0019】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素は、前記表示素子を有し、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の全画素の前記表示素子に同一タイミングの前記パルス信号を供給する導電パターンを有してもよい。
【0020】
前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、ベタの前記導電パターンであってもよい。
【0021】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群のそれぞれごとに、前記パルス信号のタイミングを制御してもよい。
【0022】
前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群に対応する複数の導電パターンを有してもよい。
【0023】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記走査線駆動部は、前記パルス生成部を内蔵してもよい。
【0024】
互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記パルス生成部は、前記走査線駆動部とは別個に配置されてもよい。
【0025】
前記表示素子は、電流駆動型の自発光素子であってもよい。
【0026】
前記表示素子は、有機EL素子又は液晶素子であってもよい。
【0027】
本開示の他の一態様によれば、表示装置と、
前記表示装置で表示される映像信号を生成する映像信号生成部と、を備え、
前記表示装置は、
第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を有する、電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本開示の一実施形態による表示装置の概略構成を示すブロック図。
図1B図1Aの表示装置の一変形例のブロック図。
図2】画素回路の内部構成の一例を示す回路図。
図3図2の画素回路の動作タイミング図。
図4A図2の画素回路の一変形例を示す回路図。
図4B図2の画素回路の他の変形例を示す回路図。
図5】一比較例による画素回路の回路図。
図6図4の画素回路の動作タイミング図。
図7図4の画素回路からAZトランジスタを省略した画素回路の回路図。
図8図6の画素回路の動作タイミング図。
図9図2の画素回路の第1変形例による画素回路の回路図。
図10】画素回路の第2変形例の回路図。
図11図9の画素回路の動作タイミング図。
図12】画素回路の第3変形例の回路図。
図13図11の画素回路の動作タイミング図。
図14】パルス生成部から出力されるパルス信号のレイアウトパターンの一例を示す模式的な平面図。
図15図13のA-A線方向の断面図。
図16】OLEDのカソード電圧をライン制御できるレイアウトパターンの一例を示す模式的な平面図。
図17図15のA-A線方向の断面図。
図18A】乗物の後方から前方にかけての乗物の内部の様子を示す図。
図18B】乗物の斜め後方から斜め前方にかけての乗物の内部の様子を示す図。
図19A】電子機器の第2適用例であるデジタルカメラの正面図。
図19B】デジタルカメラの背面図。
図20A】電子機器の第3適用例であるHMDの外観図。
図20B】スマートグラスの外観図。
図21】電子機器の第4適用例であるTVの外観図。
図22】電子機器の第5適用例であるスマートフォンの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、表示装置及び電子機器の実施形態について説明する。以下では、表示装置及び電子機器の主要な構成部分を中心に説明するが、表示装置及び電子機器には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0030】
図1Aは本開示の一実施形態による表示装置1の概略構成を示すブロック図である。図1Aの表示装置1は、例えばアクティブマトリックス方式のマイクロディスプレイである。図1Aの表示装置1は、画素アレイ部2と、走査線駆動部3と、信号線駆動部4と、映像信号処理部5と、タイミング生成部6と、パルス生成部7とを備えている。
【0031】
画素アレイ部2は、行方向及び列方向に複数個ずつ配置された画素8を有する。各画素8は、複数のサブ画素8aを有する。複数のサブ画素8aは、例えば、赤青緑の3つのサブ画素8aを含む。複数のサブ画素8aは、赤青緑以外の色(例えば白色)のサブ画素8aを含んでいてもよい。本明細書では、サブ画素8aを総称して画素8と呼ぶ場合もある。
【0032】
画素8内の各サブ画素8aは、後述するように、表示素子と画素回路を有する。表示素子は、第1ノードn1と第2ノードn2の間に接続されている。表示素子は、例えばOLEDである。なお、表示素子は、液晶素子でもよいし、OLED以外の自発光素子でもよい。後述するように、第1ノードn1は例えばドライブトランジスタのドレインに繋がり、第2ノードn2にはパルス信号が供給される。
【0033】
画素アレイ部2は、行方向の画素群ごとに配置される複数の走査線WSLと、列方向の画素群ごとに配置される複数の信号線SIGとを有する。これら走査線WSLと信号線SIGの各交点付近に画素8が設けられている。本明細書では、行方向を水平ライン方向と呼び、列方向を垂直ライン方向と呼ぶことがある。
【0034】
走査線駆動部3は、複数の走査線WSLを順繰りに駆動する。信号線駆動部4は、走査線WSLが各水平ラインを駆動するタイミングに同期させて、水平ライン方向の複数の信号線SIGを同タイミングで駆動する。信号線SIGの駆動とは、各信号線SIGに対応する階調信号を供給することを意味する。
【0035】
映像信号処理部5は、外部(例えばプロセッサなど)から供給される映像信号に対して所定の信号処理を行って、階調信号を生成する。所定の信号処理は、例えば、ガンマ補正やオーバードライブ補正などの処理である。
【0036】
タイミング生成部6は、外部から供給される同期信号に基づいて、走査線駆動部3と信号線駆動部4に対してタイミング制御信号を供給し、走査線駆動部3と信号線駆動部4を同期して動作させる。
【0037】
パルス生成部7は、表示素子の第2ノードn2にパルス信号を供給する。表示素子がOLEDの場合、パルス生成部7はOLEDのカソードにパルス信号を供給する。パルス信号は、第1電圧レベルと、第1電圧レベルより低い第2電圧レベルとを周期的に繰り返す信号である。パルス信号をOLEDのカソードに供給することにより、OLEDのアノード-カソード間電圧をパルス信号に同期して変化させることができる。OLEDは、アノード-カソード間電圧が所定の閾値電圧を超えると、OLEDに流れる電流に応じた輝度で発光する。パルス生成部7は、OLEDのカソードにパルス信号を供給することにより、OLEDの発光を制御する。
【0038】
このように、パルス生成部7は、表示素子の表示タイミングに同期したパルス信号を第2ノードn2に供給する。より具体的には、パルス生成部7は、表示素子の表示期間の少なくとも一部を含む第1期間と、第1期間が開始される前の第2期間とでは、パルス信号の電圧レベルを切り換える。例えば、パルス生成部7は、第1期間では、第2期間よりも、パルス信号の電圧レベルを低くする。
【0039】
図1Aでは、パルス生成部7が走査線駆動部3とは別個に設けられているが、図1Bに示す表示装置1の一変形例に示すように、走査線駆動部3にパルス生成部7を内蔵してもよい。なお、図1A及び図1Bの表示装置1において、水平方向の両側に走査線駆動部3が配置されていてもよい。
【0040】
図1A及び図1Bの画素アレイ部2内の画素数には特に制限はない。画素数が多い高精細の表示装置1では、走査線駆動部3が水平ライン方向の両端側に配置される場合がありうる。また、水平ライン方向の複数の信号線SIGをいくつかに分けて駆動するために、複数の信号線駆動部4を設ける場合もありうる。また、パルス生成部7の配置場所も任意である。
【0041】
図2は画素回路11の内部構成の一例を示す回路図である。図2は、表示素子としてOLED12を用いた場合のOLED12の発光を制御する画素回路11の一例を示している。図2の画素回路11は、3Tr2Cと呼ばれる3つのトランジスタQ1~Q3と、2つのキャパシタ(第1キャパシタCsと第2キャパシタCsub)とを有する。本明細書では、画素回路11内の3つのトランジスタQ1~Q3を、ドライブトランジスタ(第1トランジスタ)Q1、サンプリングトランジスタ(第2トランジスタ)Q2、ドライブスキャントランジスタ(第3トランジスタ)Q3と呼ぶ。ドライブトランジスタQ1を略してDrvトランジスタQ1、サンプリングトランジスタQ2をWSトランジスタQ2、ドライブスキャントランジスタQ3をDSトランジスタQ3と呼ぶこともある。
【0042】
図2の画素回路11では、DrvトランジスタQ1、WSトランジスタQ2、及びDSトランジスタQ3をP型MOSトランジスタで構成する例を示しているが、後述するように、N型MOSトランジスタで構成することも可能である。
【0043】
DSトランジスタQ3とDrvトランジスタQ1は、電源電圧ノードVCCPとOLED12のアノードとの間にカスコード接続されている。WSトランジスタQ2は、信号線SIGとDrvトランジスタQ1のゲートとの間に接続されている。図2では、WSトランジスタQ2のゲートに入力される信号をWS信号と呼び、DSトランジスタQ3のゲートに入力される信号をDS信号と呼ぶ。信号線SIGには、階調信号とオフセット信号とがタイミングをずらして供給される。
【0044】
DrvトランジスタQ1のゲートとソースとの間には第1キャパシタCsが接続されている。また、DSトランジスタQ3のソースとドレインとの間には第2キャパシタCsubが接続されている。すなわち、第1キャパシタCsと第2キャパシタCsubは、電源電圧ノードVCCPとDrvトランジスタQ1のゲートとの間に直列に接続されている。第1キャパシタCsは画素容量、第2キャパシタCsubは補助容量と呼ばれることもある。
【0045】
OLED12のカソードには、パルス生成部7から出力されたパルス信号が供給される。これにより、OLED12のアノード-カソード間の電圧は、パルス信号に同期して変動する。
【0046】
図3図2の画素回路11の動作タイミング図である。以下、図3を用いて、図2の画素回路11の動作を説明する。
【0047】
図3に示すように、画素回路11は、OLED12を発光するにあたって、初期化期間(第1状態)と、Vth補正期間(第2状態)と、書込期間(第3状態)と、発光期間(第4状態)と、消光期間(第5状態)とを順繰りに遷移する。
【0048】
まず、初期化期間では、OLED12のアノードを初期化電圧に設定する。図3は、時刻t1~t5を初期化期間としている。時刻t1では、WSトランジスタQ2とDSトランジスタQ3はオフ状態である。この時点では、DrvトランジスタQ1もオフ状態であり、OLED12のアノード電圧はほぼ0Vである。
【0049】
時刻t2でDS信号がローになると、DSトランジスタQ3がオンし、DrvトランジスタQ1のソース電圧が上昇する。その後、時刻t3でWS信号がローになると、WSトランジスタQ2がオンし、信号線SIG上のオフセット信号がWSトランジスタQ2を介してDrvトランジスタQ1のゲートに供給される。これにより、DrvトランジスタQ1のドレイン電圧、すなわちOLED12のアノード電圧が徐々に上昇するとともに、DSトランジスタQ3のソース-ドレイン間を流れる電流に応じた電荷が第1キャパシタCsに蓄積される。
【0050】
時刻t4でWSトランジスタQ2はオフするが、第1キャパシタCsの蓄積電荷は保持されるため、DrvトランジスタQ1のソース-ドレイン間に電流が流れて、OLED12のアノード電圧は徐々に上昇する。図3には、DrvトランジスタQ1のソース電圧波形とゲート電圧波形が図示されているが、時刻t3以降は、DrvトランジスタQ1のソースとドレイン間には、第1キャパシタCsの蓄積電荷に応じた電位差が生じる。
【0051】
時刻t5で、DSトランジスタQ3がオフすると、第1キャパシタCsの蓄積電荷は徐々に放電し、最終的に第1キャパシタCsの両端電圧がDrvトランジスタQ1の閾値電圧に一致した時点で安定化し、それまでの間、OLED12のアノード電圧は徐々に上昇する。時刻t5~t6がDrvトランジスタQ1の閾値電圧を補正するVth補正期間である。
【0052】
時刻t6で、WSトランジスタQ2がオンし、信号線SIG上の信号がWSトランジスタQ2を通ってDrvトランジスタQ1のゲートに供給される。信号線SIG上の信号は、時刻t6~t7の間に、オフセット信号から階調信号に切り替わる。よって、時刻t7で、WSトランジスタQ2がオフした時点では、DrvトランジスタQ1のゲート電圧は、階調信号に応じた電圧レベルになる。時刻t6~t8は、DrvトランジスタQ1のゲートを階調信号に応じた電圧に設定する書込期間である。
【0053】
時刻t8で、DSトランジスタQ3がオンし、電源電圧ノードVCCPからDSトランジスタQ3を通ってDrvトランジスタQ1のソースに電流を流せる状態になる。DrvトランジスタQ1は、階調信号に応じた電流をOLED12のアノードに供給する。
【0054】
時刻t9で、OLED12のカソードに供給されるパルス信号がハイからローに遷移する。これにより、OLED12のアノード-カソード間の電圧が急上昇して、OLED12は発光を開始する。時刻t8~t10が発光期間である。
【0055】
時刻t10になると、DSトランジスタQ3がオフし、DrvトランジスタQ1はOLED12のアノードに電流を流さなくなるため、発光が停止される。また、OLED12のカソードに供給されるパルス信号も、時刻t10でローからハイに変化する。これにより、OLED12のアノード-カソード間の電圧が低下し、OLED12は発光を停止する。時刻t10~t11の間は、DSトランジスタQ3からDrvトランジスタQ1に電流が流れなくなるため、DrvトランジスタQ1のソース-ドレイン間電圧も低くなって、OLED12のアノード電圧は急激に減少し、OLED12は消灯する。
【0056】
図3の動作タイミング図では、時刻t9までは、パルス信号をハイ電位(第1電圧レベル)に設定している。パルス信号がハイ電位の間は、OLED12のアノード-カソード間の電圧がOLED12の閾値を超えないようにしているため、OLED12の発光を抑制できる。
【0057】
このように、例えば、パルス生成部7は、書込期間内又は発光期間内にパルス信号の電圧レベルを引き下げて、発光期間が終了するタイミングに合わせてパルス信号の電圧レベルを引き上げる。
【0058】
図3の動作タイミング図では、発光期間内の時刻t9でパルス信号をハイからローに遷移させているが、パルス信号の論理が遷移するタイミングは必ずしも図3に示したものに限定されない。
【0059】
本発明者は、パルス信号がハイ(第1電圧レベル)からロー(第2電圧レベル)に遷移するタイミングを複数通りに変化させて、発光期間前にOLED12が発光するか否かを調べた。その結果、WSトランジスタQ2がオンになる時刻t6~t7の期間以降に、パルス信号をハイからローに遷移させると、発光期間前にOLED12の発光を抑制できることがわかった。よって、パルス生成部7は、書込期間内のWSトランジスタQ2がオフからオンに遷移した時刻以降にパルス信号がハイからローに遷移するようにパルス信号のタイミングを制御するのが望ましい。
【0060】
図3の破線円に示したように、OLED12が発光から消灯する際にパルス信号がロー電位からハイ電位になったタイミングで、OLED12のアノード電圧が一時的に高くなり、消光期間での黒電流が増加することが懸念される。この対策として、例えば、図4Aに示す画素回路11r1、又は図4Bに示す画素回路11r2が考えられる。
【0061】
図4Aの画素回路11r1、又は図4Bに示す画素回路11r2は、図2の画素回路11にキャパシタC1を追加したものであるが、キャパシタC1の接続先がそれぞれ異なっている。
【0062】
図4Aの画素回路11r1では、OLED12のアノードと電源電圧ノードVCCPとの間にキャパシタC1が接続されている。パルス信号がロー電位からハイ電位になると、OLED12のアノード電位が高くなろうとするが、OLED12のアノードにはキャパシタC1の一端が接続され、キャパシタC1の他端は電位が安定な電源電圧ノードVCCPに接続されているため、OLED12のアノード電位の上昇を抑制することができる。
【0063】
また、図4Bの画素回路11r2では、OLED12のアノードとDrvトランジスタQ1のゲートとの間にキャパシタC1が接続されている。パルス信号がロー電位からハイ電位になると、OLED12のアノード電位が高くなろうとするが、OLED12のアノードにはキャパシタC1の一端が接続され、キャパシタC1の他端はDrvトランジスタQ1のゲートに接続されている。DrvトランジスタQ1のゲートには、キャパシタCsとキャパシタCsubを介して電源電圧ノードVCCPが接続されているため、図4Aと同様にOLED12のアノード電圧の上昇を抑制することができる。
【0064】
図5は一比較例による画素回路11zの回路図である。図5の画素回路11zは、図2の画素回路11と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0065】
図5の画素回路11zは、図2の画素回路11に加えて、AZトランジスタQ4を有する。AZトランジスタQ4は、OLED12のアノードと接地電圧ノードVSSPの間に接続されている。AZトランジスタQ4のゲートにはAZ信号が供給される。AZトランジスタQ4がP型MOSトランジスタの場合、AZ信号がローのときに、DrvトランジスタQ1のソース-ドレイン間電流が、AZトランジスタQ4を通過して接地電圧ノードVSSPに流れる。よって、AZトランジスタQ4がオンの期間は、OLED12のアノード電圧の上昇が抑制され、OLED12に電流が流れなくなる。図5の画素回路11zでは、OLED12のカソードを所定電圧(例えば接地電圧)に固定しており、図2のようなパルス信号は供給されない。
【0066】
図6図5の画素回路11zの動作タイミング図である。図6では、図3に合わせた期間t1~t11での動作を示しており、以下では、図3と異なる動作を中心に説明する。
【0067】
図5の画素回路11zは、Vth補正期間の途中(時刻t5a)までは、AZトランジスタQ4がオン状態である。これにより、図3では、時刻t3以降、OLED12のアノード電圧が徐々に上昇したが、図6では、時刻t3以降、書込期間が終わるまで(時刻t8まで)、OLED12のアノード電圧は接地電圧VSSPを維持される。
【0068】
より詳細には、AZトランジスタQ4は、Vth補正期間中の時刻t5aから、書込期間中の時刻t6aまでオフし、その後、時刻t6a~t7aの間はオンする。これにより、書込期間が終了する時刻t8までは、OLED12のアノード電圧は接地電圧VSSPを維持される。図5の画素回路11zでは、OLED12のカソードを所定電圧に固定しているが、発光期間になるまでは、アノード電圧が接地電圧VSSPを維持するため、OLED12のアノード-カソード間電圧も低いままであり、OLED12の発光を抑制できる。
【0069】
時刻t7a以降、発光期間が終わるまで(時刻t10まで)は、AZトランジスタQ4はオフする。よって、発光期間内の時刻t8にDSトランジスタQ3がオンすると、階調信号に応じた電流がOLED12に流れて、OLED12のアノード-カソード間電圧も上昇することから、OLED12は発光する。
【0070】
図5の画素回路11zは、発光期間になるまでは、DrvトランジスタQ1のソース-ドレイン間電流をAZトランジスタQ4から接地電圧ノードVSSPに逃がすため、OLED12のアノード電圧の上昇が抑制され、OLED12は発光しない。ところが、図5の画素回路11zは、4つのトランジスタQ1~Q4を備えているため、画素回路11のサイズを削減するのが困難であり、表示装置1の高精細化の妨げになる。
【0071】
図7図5の画素回路11zからAZトランジスタQ4を省略した画素回路11yの回路図である。図8図7の画素回路11yの動作タイミング図である。図7の画素回路11yでは、時刻t3以降、DrvトランジスタQ1にソース-ドレイン電流が流れ始めると、OLED12のアノード電圧が徐々に高くなるとともに、OLED12のアノードにも電流が流れる。これにより、Vth補正期間の途中で、OLED12が発光してしまう。本来の発光期間よりも前にOLED12が発光してしまうと、黒浮きが生じるなどして表示品質が低下してしまう。
【0072】
このように、単にAZトランジスタQ4を省略しただけでは、Vth補正期間や書込期間内にOLED12のアノード電圧が上昇してしまうため、発光期間の開始前にOLED12が発光するおそれがあり、好ましくない。そこで、本実施形態による画素回路11では、図2に示したように、OLED12のカソードにパルス信号を供給して、パルス信号により、OLED12のアノード電圧を制御することで、発光期間の開始前にOLED12が発光しないようにする。パルス信号は、書込期間内又は発光期間内に電圧レベルの引き下げるまでは、OLED12が発光しない電圧レベルに設定される。
【0073】
本実施形態による画素回路11は、必ずしも図2に示した回路構成に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
【0074】
図2の画素回路11は、P型MOSトランジスタからなる3つのトランジスタQ1~Q3を有するが、N型MOSトランジスタで構成してもよい。図9図2の画素回路11内のトランジスタQ1~Q3をN型MOSトランジスタQ1a、Q2a、Q3aで構成した第1変形例による画素回路11aの回路図である。図9の画素回路11aは、導電型が異なるものの、図2の画素回路11と同様の動作を行う。
【0075】
図10は画素回路11の第2変形例の回路図である。図10の画素回路11bは、2Tr2Cの構成であり、図2のDSトランジスタQ3が省略されており、図2の画素回路11よりも回路面積を削減できる。図10の画素回路11bは、DrvトランジスタQ1aとWSトランジスタQ2aをN型MOSトランジスタにする例を示しているが、P型MOSトランジスタで構成してもよい。
【0076】
図10のDrvトランジスタQ1aのドレインにはDS信号が供給される。DrvトランジスタQ1aのソースは、OLED12のアノードに接続されている。OLED12のカソードには、パルス生成部7からのパルス信号が供給される。WSトランジスタQ2a及び第1キャパシタCsの接続は、図2の画素回路11と同様である。
【0077】
図11図10の画素回路11bの動作タイミング図である。時刻t1の時点で、第1キャパシタCsには、所定の電荷が蓄積されており、DrvトランジスタQ1aのゲート-ソース間は、第1キャパシタCsの蓄積電荷に応じた電圧に設定されている。
【0078】
時刻t1で、DS信号がViniまで下がると、DrvトランジスタQ1aのソース電圧はViniまで低下し、それに応じて、DrvトランジスタQ1aのゲート電圧も低下する。
【0079】
その後、時刻t2でWSトランジスタQ2aがオンし、信号線SIG上のオフセット電圧VofsがWSトランジスタQ2aを通ってDrvトランジスタQ1aのゲートに供給される。このとき、DrvトランジスタQ1aのソース電圧は、オフセット電圧Vofsよりも十分に低い電圧Viniであり、DrvトランジスタQ1aのゲート-ソース間電圧Vgsは、Vofs-Viniである。時刻t1~t3は初期化期間である。
【0080】
その後、時刻t3で、DS信号がVCCPに上昇する。これにより、DrvトランジスタQ1aのソース電圧が上昇し始める。やがて、DrvトランジスタQ1aのゲート-ソース間電圧が、DrvトランジスタQ1aの閾値電圧Vthに等しくなった時点で、DrvトランジスタQ1aのソース電圧は安定化する。時刻t3~t4はVth補正期間である。
【0081】
OLED12のカソードにはパルス信号が供給されており、パルス信号は、時刻t5付近までは、ハイ電位に設定される。これにより、Vth補正期間内にOLED12が発光するおそれがなくなる。
【0082】
その後、時刻t5で、再びWSトランジスタQ2aがオンする。このとき、信号線SIGには階調信号が供給されているため、階調信号がWSトランジスタQ2aを介してDrvトランジスタQ1aのゲートに供給される。これにより、DrvトランジスタQ1aのゲートは階調信号に応じた電圧になり、DrvトランジスタQ1aのドレイン-ソース間に電流が流れて、この電流は、OLED12の等価容量に流れ、OLED12のアノード電圧が上昇する。時刻t5~t6は、書込期間である。
【0083】
時刻t6になると、WSトランジスタQ2aがオフする。これにより、DrvトランジスタQ1aのゲートはフローティング状態になるが、DrvトランジスタQ1aのゲート-ソース間電圧は、第1キャパシタCsの蓄積電荷に応じた電圧値であり、DrvトランジスタQ1aのドレイン-ソース間に電流が流れる。この電流は、OLED12のアノードに流れてOLED12が発光を開始する。時刻t6~t7が発光期間である。
【0084】
OLED12のカソードに供給されるパルス信号は、WSトランジスタQ2aがオンになる時刻t5以降にハイ電位からロー電位に遷移する。図11では、時刻t7でパルス信号がロー電位に遷移する例を示している。パルス信号をロー電位に遷移させるタイミングを制御することにより、発光期間よりも前にOLED12が発光するおそれがなくなる。
【0085】
図12は画素回路11の第3変形例の回路図である。図12の画素回路11cは、図2の画素回路11とは、DrvトランジスタQ1とDSトランジスタQ3の接続順序が逆になっている。図12の画素回路11cは、4Tr1Cの回路構成を有する。図12の画素回路11c内の各トランジスタは、P型MOSトランジスタであるが、N型MOSトランジスタで構成することも可能である。
【0086】
図12の画素回路11cは、電源電圧ノードVCCPとOLED12のアノードとの間にカスコード接続されたDrvトランジスタQ1とDSトランジスタQ3を有する。信号線SIGとDrvトランジスタQ1のゲートとの間には、WSトランジスタQ2が接続されている。DrvトランジスタQ1のゲートとドレインとの間には、トランジスタQ5が接続されている。トランジスタQ5のゲートには、AZ2信号が供給される。DrvトランジスタQ1のゲートと電源電圧ノードVCCPの間には、第1キャパシタCsが接続されている。
【0087】
図13図12の画素回路11cの動作タイミング図である。時刻t1~t2は初期化期間である。初期化期間では、WSトランジスタQ2とDSトランジスタQ3はいずれもオフする。時刻t2~t4はVth補正期間である。時刻t2でWSトランジスタQ2がオンする。その後、時刻t3でトランジスタQ5がオンする。これにより、DrvトランジスタQ1のゲートとドレインが接続されて、ダイオード接続になる。これにより、電源電圧ノードから、DrvトランジスタQ1のソース-ドレイン間、トランジスタQ5のドレイン-ソース間、及びWSトランジスタQ2のドレイン-ソース間を通って、信号線SIGに電流が流れる。この電流により、DrvトランジスタQ1のゲート電圧は上昇するが、ゲート電圧がVCCP-Vthに近づくにつれて、上述した経路での電流が流れにくくなり、結局、DrvトランジスタQ1のゲート電圧はVCCP-Vthで飽和する。これにより、第1キャパシタCsは、DrvトランジスタQ1の閾値電圧Vthの電荷を保持する。
【0088】
時刻t4~t5は書込期間である。時刻t4でトランジスタQ5はオフするため、DrvトランジスタQ1のダイオード接続が解除される。この時点では、WSトランジスタQ2はオン状態であるため、信号線SIGからの階調信号はWSトランジスタQ2を介してDrvトランジスタQ1のゲートに供給される。
【0089】
その後、時刻t6になると、DSトランジスタQ3がオンして、OLED12に電流が流れて、OLED12が発光する。
【0090】
図12の画素回路11cにおいても、OLED12のカソードにはパルス生成部7からのパルス信号が供給される。このパルス信号をWS信号がオンになる期間以降にハイ電位からロー電位に引き下げることで、書込期間以降にOLED12を発光させることができる。
【0091】
パルス生成部7で生成されたパルス信号は、画素アレイ部2内の全画素8のOLED12のカソードに共通したタイミングで供給されてもよい。この場合、パルス信号にノイズが重畳されないようにするのが望ましい。
【0092】
図14はパルス生成部7から出力されるパルス信号のレイアウトパターン13の一例を示す模式的な平面図である。本実施形態による表示装置1は、ガラス基板等のベース基板上に複数の層を積層することにより形成され、図14の例では、表示装置1を構成する複数の層のうち、一層をパルス信号用のベタパターン13にする例を示している。このベタパターン13は、OLED12のカソード電極層を兼ねている。図14は、別の層に配置される画素アレイ部2の外周縁を破線で図示している。また、図2の表示装置1は、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)14に接続される例を示している。
【0093】
図15図14のA-A線方向の断面図である。図15は、表示装置1のカソード電極層21よりも下側の断面構造を示している。図15に示すように、複数のOLED12のカソード電極層21はベタパターン13で形成されている。このカソード電極層21は、パルス生成部7の出力ノードと電気的に接続されている。OLED12は、図15に示すように、上から下に向かって、カソード電極層21、有機EL層22、アノード電極層23の順に積層されている。アノード電極層23は画素8(サブ画素8a)ごとに分離して配置されているのに対して、カソード電極は一体化されており、平面図では図14のようなベタパターン13になる。また、アノード電極層23の下方には、複数の配線層24がコンタクト25を介して積層されている。複数の配線層24の積層数は任意である。また、最下層の配線層24の下方には、画素回路11内の各トランジスタQ1やQ2などが形成されている。
【0094】
このように、カソード電極層21をベタパターン13にすることで、ノイズの影響を受けにくくなり、表示品質の向上が図れる。
【0095】
パルス生成部7は、画素アレイ部2内の各画素8ラインごとに、OLED12のカソード電圧を個別に制御してもよい。これにより、OLED12のカソード電圧のライン制御が可能となる。
【0096】
図16はOLED12のカソード電圧をライン制御できるレイアウト(配線)パターン13aの一例を示す模式的な平面図である。図示のように、OLED12のカソード電圧をライン制御するための複数の配線パターン13aが配置されている。各配線パターン13aは、対応する画素8ライン上の各OLED12のカソードに電気的に接続されている。パルス生成部7は、これらの複数の配線パターン13aに供給されるパルス信号のタイミングを個別に制御可能である。
【0097】
図17図16のA-A線方向の断面図である。図16に示すように、カソード電極層21は、画素8ラインごとに、物理的に分離して配置される。
【0098】
このように、本実施形態では、OLED12のカソードにパルス信号を供給し、パルス信号によりOLED12のアノード-カソード間の電圧を制御するため、発光期間が開始される前にOLED12が発光する不具合を防止できる。これにより、表示品質を向上できる。
【0099】
本実施形態によれば、OLED12のカソード電圧をパルス信号により制御することで、OLED12のアノード-カソード間電圧を制御できるため、DrvトランジスタQ1からOLED12のアノードに流れる電流を迂回させるためのトランジスタを設ける必要がなくなり、画素回路11を構成するトランジスタの数を削減できる。従って、画素回路11の回路サイズを削減でき、その分、画素アレイ部2内の画素数を増やせることから、表示装置1の高精細化が可能になる。
【0100】
また、本実施形態による画素回路11は、既存の回路構成の画素回路11の一部変更だけで実現できるため、設計変更が容易であり、実装上の問題も起きない。
【0101】
(本開示による表示装置1及び電子機器50の適用例)
(第1適用例)
本開示による表示装置1は種々の電子機器に搭載可能である。図18A及び図18Bは本開示による表示装置1を備えた電子機器50の第1適用例である乗物100の内部の構成を示す図である。図18Aは乗物100の後方から前方にかけての乗物100の内部の様子を示す図、図18Bは乗物100の斜め後方から斜め前方にかけての乗物100の内部の様子を示す図である。
【0102】
図18A及び図18Bの乗物100は、センターディスプレイ101と、コンソールディスプレイ102と、ヘッドアップディスプレイ103と、デジタルリアミラー104と、ステアリングホイールディスプレイ105と、リアエンタテイメントディスプレイ106とを有する。
【0103】
センターディスプレイ101は、ダッシュボード107上の運転席108及び助手席109に対向する場所に配置されている。図18では、運転席108側から助手席109側まで延びる横長形状のセンターディスプレイ101の例を示すが、センターディスプレイ101の画面サイズや配置場所は任意である。センターディスプレイ101には、種々のセンサで検知された情報を表示可能である。具体的な一例として、センターディスプレイ101には、イメージセンサで撮影した撮影画像、ToFセンサで計測された乗物前方や側方の障害物までの距離画像、赤外線センサで検出された乗客の体温などを表示可能である。センターディスプレイ101は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。
【0104】
安全関連情報は、居眠り検知、よそ見検知、同乗している子供のいたずら検知、シートベルト装着有無、乗員の置き去り検知などの情報であり、例えばセンターディスプレイ101の裏面側に重ねて配置されたセンサにて検知される情報である。操作関連情報は、センサを用いて乗員の操作に関するジェスチャを検知する。検知されるジェスチャは、乗物100内の種々の設備の操作を含んでいてもよい。例えば、空調設備、ナビゲーション装置、AV装置、照明装置等の操作を検知する。ライフログは、乗員全員のライフログを含む。例えば、ライフログは、乗車中の各乗員の行動記録を含む。ライフログを取得及び保存することで、事故時に乗員がどのような状態であったかを確認できる。健康関連情報は、温度センサを用いて乗員の体温を検知し、検知した体温に基づいて乗員の健康状態を推測する。あるいは、イメージセンサを用いて乗員の顔を撮像し、撮像した顔の表情から乗員の健康状態を推測してもよい。さらに、乗員に対して自動音声で会話を行って、乗員の回答内容に基づいて乗員の健康状態を推測してもよい。認証/識別関連情報は、センサを用いて顔認証を行うキーレスエントリ機能や、顔識別でシート高さや位置の自動調整機能などを含む。エンタテイメント関連情報は、センサを用いて乗員によるAV装置の操作情報を検出する機能や、センサで乗員の顔を認識して、乗員に適したコンテンツをAV装置にて提供する機能などを含む。
【0105】
コンソールディスプレイ102は、例えばライフログ情報の表示に用いることができる。コンソールディスプレイ102は、運転席108と助手席109の間のセンターコンソール110のシフトレバー111の近くに配置されている。コンソールディスプレイ102にも、種々のセンサで検知された情報を表示可能である。また、コンソールディスプレイ102には、イメージセンサで撮像された車両周辺の画像を表示してもよいし、車両周辺の障害物までの距離画像を表示してもよい。
【0106】
ヘッドアップディスプレイ103は、運転席108の前方のフロントガラス112の奥に仮想的に表示される。ヘッドアップディスプレイ103は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。ヘッドアップディスプレイ103は、運転席108の正面に仮想的に配置されることが多いため、乗物100の速度や燃料(バッテリ)残量などの乗物100の操作に直接関連する情報を表示するのに適している。
【0107】
デジタルリアミラー104は、乗物100の後方を表示できるだけでなく、後部座席の乗員の様子も表示できるため、デジタルリアミラー104の裏面側に重ねてセンサを配置することで、例えばライフログ情報の表示に用いることができる。
【0108】
ステアリングホイールディスプレイ105は、乗物100のハンドル113の中心付近に配置されている。ステアリングホイールディスプレイ105は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。特に、ステアリングホイールディスプレイ105は、運転者の手の近くにあるため、運転者の体温等のライフログ情報を表示したり、AV装置や空調設備等の操作に関する情報などを表示するのに適している。
【0109】
リアエンタテイメントディスプレイ106は、運転席108や助手席109の背面側に取り付けられており、後部座席の乗員が視聴するためのものである。リアエンタテイメントディスプレイ106は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。特に、リアエンタテイメントディスプレイ106は、後部座席の乗員の目の前にあるため、後部座席の乗員に関連する情報が表示される。例えば、AV装置や空調設備の操作に関する情報を表示したり、後部座席の乗員の体温等を温度センサで計測した結果を表示してもよい。
【0110】
センサから対象物に光を照射し、対象物からの反射光を受光することで、周囲に存在する物体までの距離を計測することができる。光学的な距離計測の手法には、大きく分けて、受動型と能動型がある。受動型は、センサから物体に光を投光せずに、物体からの光を受光して距離計測を行うものである。受動型には、レンズ焦点法、ステレオ法、及び単眼視法などがある。能動型は、物体に光を投光して、物体からの反射光をセンサで受光して距離計測を行うものである。能動型には、光レーダ方式、アクティブステレオ方式、照度差ステレオ法、モアレトポグラフィ法、干渉法などがある。本開示による表示装置1は、これらのどの方式の距離計測にも適用可能である。本開示による表示装置1の裏面側に重ねて配置されるセンサを用いることで、上述した受動型又は能動型の距離計測を行うことができる。
【0111】
(第2適用例)
本開示による表示装置1は、乗物で用いられる種々のディスプレイに適用されるだけでなく、種々の電子機器50に搭載されるディスプレイにも適用可能である。
【0112】
図19Aは電子機器50の第2適用例であるデジタルカメラ120の正面図、図19Bはデジタルカメラ120の背面図である。図19A及び図19Bのデジタルカメラ120は、レンズ121を交換可能な一眼レフカメラの例を示しているが、レンズ121を交換できないカメラにも適用可能である。
【0113】
図19A及び図19Bのカメラは、撮影者がカメラボディ122のグリップ123を把持した状態で電子ビューファインダ124を覗いて構図を決めて、焦点調節を行った状態でシャッタ125を押すと、カメラ内のメモリに撮影データが保存される。カメラの背面側には、図19Bに示すように、撮影データ等やライブ画像等を表示するモニタ画面126と、電子ビューファインダ124とが設けられている。また、カメラの上面には、シャッタ速度や露出値などの設定情報を表示するサブ画面が設けられる場合もある。
【0114】
カメラに用いられるモニタ画面126、電子ビューファインダ124、サブ画面等に表示される情報量も増える傾向にあり、本開示による高解像度の表示装置1を適用することで、カメラの使い勝手をよくすることができる。
【0115】
(第3適用例)
本開示による表示装置1は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと呼ぶ)にも適用可能である。HMDは、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)、又はSR(Substitutional Reality)等に利用されることができる。
【0116】
図20Aは電子機器50の第3適用例であるHMD130の外観図である。図20AのHMD130は、人間の目を覆うように装着するための装着部材131を有する。この装着部材131は例えば人間の耳に引っ掛けて固定される。HMD130の内側には表示装置132が設けられており、HMD130の装着者はこの表示装置132にて立体映像等を視認できる。HMD130は例えば無線通信機能と加速度センサなどを備えており、装着者の姿勢やジェスチャなどに応じて、表示装置132に表示される立体映像等を切り換えることができる。図1A又は図1Bに示す表示装置1を図20Aの表示装置132に適用可能である。
【0117】
また、HMD130にカメラを設けて、装着者の周囲の画像を撮影し、カメラの撮影画像とコンピュータで生成した画像とを合成した画像を表示装置132で表示してもよい。例えば、HMD130の装着者が視認する表示装置132の裏面側に重ねてカメラを配置して、このカメラで装着者の目の周辺を撮影し、その撮影画像をHMD130の外表面に設けた別のディスプレイに表示することで、装着者の周囲にいる人間は、装着者の顔の表情や目の動きをリアルタイムに把握可能となる。
【0118】
なお、HMD130には種々のタイプが考えられる。例えば、図20Bのように、本開示による表示装置1は、メガネ134に種々の情報を映し出すスマートグラス130aにも適用可能である。図20Bのスマートグラス130aは、本体部135と、アーム部136と、鏡筒部137とを有する。本体部135はアーム部136に接続されている。本体部135は、メガネ134に着脱可能とされている。本体部135は、スマートグラス130aの動作を制御するための制御基板や表示部を内蔵している。本体部135と鏡筒は、アーム部136を介して互いに連結されている。鏡筒部137は、本体部135からアーム部136を介して出射される画像光を、メガネ134のレンズ138側に出射する。この画像光は、レンズ138を通して人間の目に入る。図20Bのスマートグラス130aの装着者は、通常のメガネと同様に、周囲の状況だけでなく、鏡筒部137から出射された種々の情報を合わせて視認できる。
【0119】
(第4適用例)
本開示による表示装置1は、テレビジョン装置(以下、TV)にも適用可能である。最近のTVは、小型化の観点及び意匠デザイン性の観点から、額縁をできるだけ小さくする傾向にある。このため、視聴者を撮影するカメラをTVに設ける場合には、TVの表示パネルの裏面側に重ねて配置するのが望ましい。
【0120】
図21は電子機器50の第4適用例であるTV140の外観図である。図21のTV140は、額縁が極小化されており、正面側のほぼ全域が表示エリアとなっている。TV140には視聴者を撮影するためのカメラ等のセンサ141が内蔵されている。図21のセンサ141は、表示パネル内の一部(例えば破線箇所)の裏側に配置してもよいし、表示パネルの額縁に配置してもよい。また、センサ141は、イメージセンサ141モジュールでもよいし、顔認証用のセンサ141や距離計測用のセンサ141、温度センサ141など、種々のセンサ141が適用可能であり、複数種類のセンサ141をTV140の表示パネルの裏面側、又は表示パネルの額縁に配置してもよい。
【0121】
上述したように、本開示の表示装置1によれば、高解像度かつ優れた表示品質のTV140を実現できる。
【0122】
(第5適用例)
本開示による表示装置1は、スマートフォンや携帯電話にも適用可能である。図22は電子機器50の第5適用例であるスマートフォン150の外観図である。図22の例では、電子機器50の外形サイズの近くまで表示面151が広がっており、表示面151の周囲にあるベゼル152の幅を数mm以下にしている。通常、ベゼル152には、フロントカメラが搭載されることが多いが、図22では、破線で示すように、表示面内の少なくとも一部の画素を透過タイプにすることで、表示面151の例えば略中央部の裏面側にフロントカメラとして機能するイメージセンサモジュール153を配置することができる。このように、フロントカメラを表示面151の裏面側に設けることで、ベゼル152にフロントカメラを配置する必要がなくなり、ベゼル152の幅を狭めることができる。
【0123】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を備える、表示装置。
(2)前記パルス生成部は、前記表示素子の表示タイミングに同期した前記パルス信号を前記第2ノードに供給する、(1)に記載の表示装置。
(3)前記パルス生成部は、前記表示素子の表示期間の少なくとも一部を含む第1期間と、前記第1期間が開始される前の第2期間とでは、前記パルス信号の電圧レベルを切り換える、(1)又は(2)に記載の表示装置。
(4)前記パルス生成部は、前記第1期間では、前記第2期間よりも、前記パルス信号の電圧レベルを低くする、(3)に記載の表示装置。
(5)前記第1トランジスタを有し、前記表示素子の表示を制御する画素回路を備え、
前記画素回路は、前記第1ノードを初期化電圧に設定する第1状態と、前記第1トランジスタの閾値電圧を補正する第2状態と、前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第3状態と、前記表示素子を階調に応じた輝度で発光させる第4状態と、を有し、
前記パルス生成部は、前記第3状態内又は前記第4状態内に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げて、前記第4状態が終了するタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き上げる、(4)に記載の表示装置。
(6)前記第3状態内に前記第1トランジスタのゲートに階調に応じた電圧を供給する第2トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3状態内に前記第2トランジスタがオンするタイミング以降に前記パルス信号の電圧レベルを引き下げる、(5)に記載の表示装置。
(7)前記第2トランジスタは、信号線と前記第1トランジスタのゲートとの間に接続され、
前記信号線は、前記第1状態内にはオフセット電圧を供給し、前記第3状態内に階調に応じた電圧を供給する、(6)に記載の表示装置。
(8)基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に、前記第1トランジスタとともにカスコード接続される第3トランジスタを備え、
前記パルス生成部は、前記第3トランジスタが前記第3状態内にオンするタイミングに合わせて前記パルス信号の電圧レベルを引き下げる、(5)に記載の表示装置。
(9)前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのソースとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのドレインと前記第1ノードとの間に接続される、(8)に記載の表示装置。
(10)前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されるキャパシタを備え、
前記第3トランジスタは、前記基準電圧ノードと前記第1トランジスタのドレインとの間に接続され、
前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタのソースと前記第1ノードとの間に接続される、(8)に記載の表示装置。
(11)前記パルス信号は、前記第3状態内又は前記第4状態内に電圧レベルの引き下げるまでは、前記表示素子が発光しない電圧レベルに設定される、(5)乃至(10)のいずれか一項に記載の表示装置。
(12)互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素は、前記表示素子を有し、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の全画素の前記表示素子に同一タイミングの前記パルス信号を供給する導電パターンを有する、(1)乃至(11)のいずれか一項に記載の表示装置。
(13)前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、ベタの前記導電パターンである、(12)に記載の表示装置。
(14)互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部を備え、
前記パルス生成部は、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群のそれぞれごとに、前記パルス信号のタイミングを制御する、(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の表示装置。
(15)前記表示素子は、積層された複数の層を有し、
前記複数の層のうち一つは、前記画素アレイ部内の前記第1方向の複数の画素群に対応する複数の導電パターンを有する、(14)に記載の表示装置。
(16)互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記走査線駆動部は、前記パルス生成部を内蔵する、(1)乃至(11)のいずれか一項に記載の表示装置。
(17)互いに交差する第1方向及び第2方向に複数個ずつ配置される画素を有する画素アレイ部と、
前記第1方向の複数の画素群に対応して配置される複数の走査線と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動部と、を備え、
前記パルス生成部は、前記走査線駆動部とは別個に配置される、(1)乃至(11)のいずれか一項に記載の表示装置。
(18)前記表示素子は、電流駆動型の自発光素子である、(1)乃至(17)のいずれか一項に記載の表示装置。
(19)前記表示素子は、有機EL素子又は液晶素子である、(1)乃至(17)のいずれか一項に記載の表示装置。
(20)表示装置と、
前記表示装置で表示される映像信号を生成する映像信号生成部と、を備え、
前記表示装置は、
第1ノード及び第2ノードの間に接続される表示素子と、
階調に応じた電流を前記第1ノードに供給する制御を行う第1トランジスタと、
前記第2ノードにパルス信号を供給するパルス生成部と、を有する、電子機器。
【0124】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 表示装置、2 画素アレイ部、3 走査線駆動部、4 信号線駆動部、5 映像信号処理部、6 タイミング生成部、7 パルス生成部、8 画素、8a サブ画素、11、11a、11b、11c、11y、11z 画素回路、13 ベタパターン、13a 配線パターン、21 カソード電極層、22 有機EL層、23 アノード電極層、24 配線層、25 コンタクト、50 電子機器、100 乗物、101 センターディスプレイ、102 コンソールディスプレイ、103 ヘッドアップディスプレイ、104 デジタルリアミラー、105 ステアリングホイールディスプレイ、106 リアエンタテイメントディスプレイ、107 ダッシュボード、108 運転席、109 助手席、110 センターコンソール、111 シフトレバー、112 フロントガラス、113 ハンドル、120 デジタルカメラ、121 レンズ、122 カメラボディ、123 グリップ、124 電子ビューファインダ、125 シャッタ、126 モニタ画面、130 スマートグラス、131 装着部材、132 表示装置、134 メガネ、135 本体部、136 アーム部、137 鏡筒部、138 レンズ、140 TV、141 センサ、150 スマートフォン、151 表示面、152 ベゼル、153 イメージセンサモジュール
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22