特開 2024-69745 表示システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024069745

(43)【公開日】2024-05-22

(54)【発明の名称】表示システム

(51)【国際特許分類】

   B60K 35/00 20240101AFI20240515BHJP

   B60K 35/23 20240101ALI20240515BHJP

   B60W 30/16 20200101ALI20240515BHJP

   B60W 50/14 20200101ALI20240515BHJP

【ＦＩ】

B60K35/00 Z

B60K35/00 A

B60W30/16

B60W50/14

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022179939

(22)【出願日】2022-11-10

(71)【出願人】

【識別番号】000231512

【氏名又は名称】日本精機株式会社

(72)【発明者】

【氏名】秦 誠

(72)【発明者】

【氏名】佐原 祐介

(72)【発明者】

【氏名】舛屋 勇希

(72)【発明者】

【氏名】渡辺 翠

(72)【発明者】

【氏名】本間 華子

【テーマコード（参考）】

3D241

3D344

【Ｆターム（参考）】

3D241BA02

3D241BA60

3D241BB16

3D241BB37

3D241CE04

3D241DB20Z

3D241DC02Z

3D241DC37Z

3D344AA19

3D344AA21

3D344AA26

3D344AA27

3D344AA30

3D344AC25

3D344AD01

(57)【要約】

【課題】 情報伝達性に優れた表示システムを提供する。
【解決手段】 自車両１の設定値をユーザ４に視認させる画像である設定画像９９を表示する表示部８，９と、前記設定値を前記ユーザ４から受け付け、前記表示部８，９に表示される前記設定画像９９の状態を制御する制御部４０と、を備え、前記設定画像９９は、前記ユーザ４が前記自車両１から前方を見る視線４ａでの第１視線から見る見え方の第１画像Ｅ１と、前記第１視線の位置とは異なる位置の第２視線から見る見え方の第２画像Ｅ２と、を有し、前記制御部４０は、前記設定値を変更する際に、前記設定画像９９を前記第１画像Ｅ１から前記第２画像Ｅ２に切り替える。
【選択図】 図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

自車両の設定値をユーザに視認させる画像である設定画像を表示する表示部と、
前記設定値を前記ユーザから受け付け、前記表示部に表示される前記設定画像の状態を制御する制御部と、を備え、
前記設定画像は、前記ユーザが第１視線から見る見え方の第１画像と、前記第１視線の位置とは異なる位置の第２視線から見る見え方の第２画像と、を有し、
前記制御部は、前記設定値を変更する際に、前記設定画像を前記第１画像から前記第２画像に切り替えることを特徴とする表示システム。

【請求項2】

前記第２視線は、前記第１視線よりも上方に位置することを特徴とする請求項１に記載の表示システム。

【請求項3】

前記設定画像は、前記第１視線と前記第２視線の間の位置の第３視線から見る見え方の第３画像と、を有し、
前記制御部は、前記設定値を変更する際に、前記設定画像を前記第１画像から前記第３画像を経由して前記第２画像に切り替えることを特徴とする請求項１に記載の表示システム。

【請求項4】

前記第１視線は、前記ユーザが前記自車両から前方を見る視線であり、
前記表示部は、前記ユーザの前記第１視線に対して第１表示距離の位置で視認される第１表示部と、前記ユーザの前記視線に対して前記第１表示距離よりも大きい第２表示距離で視認される第２表示部と、を有し、
前記制御部は、前記設定画像を前記第２表示部から前記第１表示部に移動させることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれかに記載の表示システム。

【請求項5】

前記第１画像は前記第２表示部に表示され、前記第２画像は前記第１表示部に表示されることを特徴とする請求項４に記載の表示システム。

【請求項6】

前記制御部は、前記第３画像を前記第２表示部から前記第１表示部に移動させることを特徴とする請求項４に記載の表示システム。

【請求項7】

前記第１表示部は前記自車両の風防の透過部で前記画像を反射し前記ユーザに視認される第１虚像であり、前記第２表示部は前記風防の遮光部で前記画像を反射し前記ユーザに視認される第２虚像であることを特徴とする請求項４に記載の表示システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、車両用等の表示システムに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、アダプティブクルーズコントロール（以下適宜、ＡＣＣという）の機能を搭載した車両において、運転者等のユーザの入力操作により、ＡＣＣの設定値である自車両の車速や先行車両との距離等をメータディスプレイやヘッドアップディスプレイ等の表示装置に表示するものがある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１７－０４１１２６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

これら設定値の入力は、自車両の走行中に行われる場合があり、これに伴い、表示装置にはより一層、設定情報を視認性よく運転者に伝達することが求められている。

【0005】

本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、情報伝達性に優れた表示システムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の表示システム１０は、自車両１の設定値をユーザ４に視認させる画像である設定画像９９を表示する表示部８，９と、前記設定値を前記ユーザ４から受け付け、前記表示部８，９に表示される前記設定画像９９の状態を制御する制御部４０と、を備え、前記設定画像９９は、前記ユーザ４が前記自車両１から前方を見る視線４ａでの第１視線から見る見え方の第１画像Ｅ１と、前記第１視線の位置とは異なる位置の第２視線から見る見え方の第２画像Ｅ２と、を有し、前記制御部４０は、前記設定値を変更する際に、前記設定画像９９を前記第１画像Ｅ１から前記第２画像Ｅ２に切り替えることを特徴とする。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本開示の第１実施形態における表示システムのシステム構成例を示す図。

【図2】同上実施形態の２つの表示器による表示の一例を示す図。

【図3】同上実施形態のＡＣＣ設定画面を表示した図。

【図4】同上実施形態のＡＣＣ設定画面の視線を示した図。

【図5】同上実施形態のＡＣＣ設定画面の遷移状態を表示した図。

【図6】同上実施形態のＡＣＣ設定画面の遷移状態を表示した図。

【図7】同上実施形態のＡＣＣ設定画面の遷移状態を表示した図。

【図8】本開示の第２実施形態における表示システムのＡＣＣ設定画面を表示した図。

【図9】本開示の第３実施形態における表示システムのＡＣＣ設定画面を表示した図。

【発明を実施するための形態】

【0008】

本開示の表示システムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の表示システムは、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載される表示システムに適用することができる。本実施形態においては、本開示の表示システムが、車両に搭載され、車両から取得した各種情報等に基づいて所要の情報を表示する２つのヘッドアップディスプレイ（ＨＵＤ、Ｈｅａｄ Ｕｐ Ｄｉｓｐｌａｙ）を有する例を用いて説明する。

【0009】

以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図中における定義「Ｆｒ．」、「Ｒｅ．」、「Ｔｏ．」、「Ｂｏ．」、「Ｒ」、及び「Ｌ」に従う。尚、「前」は運転席に乗車した運転者（ユーザ）４の向く方向（自車両１の進行方向）を示す。

【0010】

（第１実施形態）
表示システム１０は、自車両１のインストルメントパネル２内に搭載される。表示システム１０は、上ＨＵＤ（第１表示器）２０と、下ＨＵＤ（第２表示器）３０と、主制御部（制御部）４０と、を有する。

【0011】

上ＨＵＤ２０は、ステアリングホイール５に対して前方に配置され、自車両１の運転者４の前方のウインドシールド（風防）３に形成される透過部に表示光Ｌ１を照射する。反射した表示光Ｌ１は、ウインドシールド３で運転者４側に反射されることにより、運転者４にウインドシールド３の前方で虚像（第１虚像）Ｖ１による画像を視認させる。上ＨＵＤ２０により表示される画像は、例えば図２の仮想的な上ＨＵＤ表示領域（第１表示部）８内に表示され、路面等の前方風景と重畳表示されて視認される。

【0012】

下ＨＵＤ３０は、上ＨＵＤ２０よりも更に前方（運転者４から離れる方向）に配置され、ウインドシールド３の透過部の外周に形成される遮光部３ａに表示光Ｌ２を照射する。遮光部３ａは、黒セラミックス等からなる黒色等の遮光色からなる部分である。遮光部３ａは、ウインドシールド３を自車両１に固定する接着剤の太陽光による劣化の防止や、接着剤の隠蔽、意匠性の向上等を目的に形成される。反射した表示光Ｌ２は、遮光部３ａで運転者４側に反射されることにより、運転者４にウインドシールド３の前方で虚像（第２虚像）Ｖ２による画像を視認させる。下ＨＵＤ３０により表示される画像は、例えば図２の仮想的な、上ＨＵＤ表示領域８とは異なる下ＨＵＤ表示領域（第２表示部）９内に表示され、遮光部３ａよりも前方で視認される。

【0013】

上ＨＵＤ２０は、運転者４の通常時（運転時）に想定される視線４ａに対して上下方向において距離（第１表示距離）ｄ１の位置で虚像Ｖ１による画像が視認されるように、画像を表示する。また、下ＨＵＤ３０は、運転者４の視線４ａに対して距離ｄ１よりも大きい距離（第２表示距離）ｄ２の位置で虚像Ｖ２による画像が視認されるように、画像を表示する。

【0014】

すなわち、運転者４は、表示光Ｌ１に係る画像に視線４ａをずらすための移動距離よりも、表示光Ｌ２に係る画像に視線４ａをずらすための移動距離の方が大きい。言い換えると、視線４ａの方向と虚像Ｖ１による画像を視認するための視線方向とが形成する角度θ１よりも、視線４ａの方向と虚像Ｖ２による画像を視認するための視線方向とが形成する角度θ２の方が、大きい。このため、運転者４は、下ＨＵＤ３０により表示される画像を、上ＨＵＤ２０により表示される画像よりも視線４ａから遠い位置であり、上ＨＵＤ２０により表示される画像の下方で視認する。

【0015】

また、本実施形態においては、上ＨＵＤ２０は、下ＨＵＤ３０が形成する虚像Ｖ２よりも前方に、虚像Ｖ１を形成する。すなわち、虚像Ｖ１による画像は、運転者４から前後方向において遠い位置で視認され、虚像Ｖ２による画像は、運転者４に前後方向において近い位置で視認される。

【0016】

上ＨＵＤ表示領域８及び下ＨＵＤ表示領域９としての表示面は、上下左右の４辺を有する面であって、例えば下辺８ａ、９ａ及び上辺８ｂ、９ｂは、左右方向に略平行な辺である。左辺８ｃ、９ｃ及び右辺８ｄ、９ｄは、上下方向に対して任意の角度に設定された面である。例えば、表示面は、左辺８ｃ、９ｃ及び右辺８ｄ、９ｄが、上下方向に沿う面（路面に垂直な面）、上下方向に対して所定角度傾斜した傾斜面（路面に対して傾斜した面）、又は前後方向に沿う面（路面に重畳される（略平行な）面）となるように形成される。

【0017】

また、表示面は、左辺８ｃ、９ｃ及び右辺８ｄ、９ｄが、視認者に近い側が上下方向に沿い、遠くなるにつれて前後方向に沿うような曲線となるように形成される面であってもよい。路面に垂直な面以外で形成される表示面は、表示面上での表示位置に応じて運転者４と虚像Ｖ1、Ｖ２の表示距離が異なり、奥行き感が表現された画像を表示し得る。例えば、表示面が、左辺８ｃ、９ｃ及び右辺８ｄ、９ｄが、上辺８ｂ、９ｂが下辺８ａ、９ａに対して前方に位置するように傾く面である場合、運転者４は、表示面に奥行きを認識し得る。

【0018】

尚、画像の表示距離等を算出するための運転者４の視線４ａに関する情報は、予め設定され主制御部４０等が保持していてもよいし、自車両１又は表示システム１０が運転者４の視線を検出するセンサを有する場合には、このセンサより検出してもよい。

【0019】

上ＨＵＤ２０は、表示器２１と、凹面鏡２２と、筐体２４と、上ＨＵＤ表示制御部２５と、を有する。

【0020】

表示器２１は、表示光Ｌ１を凹面鏡２２に向けて出射する。表示器２１は、例えばＴＦＴ（Ｔｈｉｎ Ｆｉｌｍ Ｔｒａｎｓｉｓｔｏｒ）型の液晶表示器や有機ＥＬ（Ｅｌｅｃｔｒｏ Ｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）表示器である。尚、表示器２１はプロジェクタ及び表示面を構成するスクリーンを有するものであってもよい。

【0021】

凹面鏡２２は、表示器２１が出射した表示光Ｌ１をウインドシールド３に向けて反射する。凹面鏡２２は、拡大鏡としての機能を有し、表示器２１に表示された画像を拡大してウインドシールド３側へ反射する。すなわち、運転者４は、表示器２１に表示された画像が拡大された画像を視認する。

【0022】

筐体２４は、筐体２４の内部に、凹面鏡２２や、表示器２１及び上ＨＵＤ表示制御部２５が実装された制御基板を支持する。

【0023】

上ＨＵＤ表示制御部２５は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）等を有しており、ＲＯＭに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。具体的には、上ＨＵＤ表示制御部２５は、主制御部４０の指示に基づいて、表示器２１を制御して所要の画像を表示する。

【0024】

下ＨＵＤ３０は、表示器３１と、筐体３４と、下ＨＵＤ表示制御部３５と、を有する。

【0025】

表示器３１は、表示光Ｌ２を筐体３４の上の遮光部３ａに直接出射する。表示器３１は、例えば、上ＨＵＤ２０と同様の構成を有する。これにより、運転者４は、表示器３１に表示され遮光部３ａで反射した画像を視認する。

【0026】

筐体３４は、筐体３４の内部に、表示器３１及び下ＨＵＤ表示制御部３５が実装された制御基板を支持する。

【0027】

下ＨＵＤ表示制御部３５は、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等を有しており、ＲＯＭに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。具体的には、下ＨＵＤ表示制御部３５は、主制御部４０の指示に基づいて、表示器３１を制御して所要の画像を表示する。

【0028】

主制御部４０は、特に、後述する自車両１の各部から取得する情報等に基づいて、上ＨＵＤ２０及び下ＨＵＤ３０を制御する。主制御部４０は、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等を有しており、ＲＯＭに書き込まれたプログラムに従って後述する所定の演算処理や表示制御処理を実行する。

【0029】

自車両１は、表示システム１０の他に、周辺情報取得部５１と、車外情報取得部５２と、カーナビゲーションシステム５３と、車両ＥＣＵ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｕｎｉｔ）５４と、受付部５５と、を有する。各部と主制御部４０とは、例えばＣＡＮ（Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｒ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）バス５０を介して接続されている。

【0030】

周辺情報取得部５１は、自車両１の周辺（外部）の情報を取得する。周辺情報取得部５１は、自車両１とワイヤレスネットワークとの通信、自車両１と他車両との通信、自車両１と歩行者との通信、自車両１と道路側のインフラとの通信を行う。例えば、周辺情報取得部５１は、ＷＡＮ（Ｗｉｄｅ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）に直接アクセスできる通信モジュール、ＷＡＮにアクセス可能な外部装置（モバイルルータ等）や公衆無線ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）のアクセスポイント等と通信するための通信モジュール等を備え、インターネット通信を行う。

【0031】

また、周辺情報取得部５１は、所定の無線通信規格に準拠した無線通信モジュールを備える。更に、周辺情報取得部５１は、道路側のインフラと無線通信する通信装置を有し、例えば、安全運転支援システム（ＤＳＳＳ、Ｄｒｉｖｉｎｇ Ｓａｆｅｔｙ Ｓｕｐｐｏｒｔ Ｓｙｓｔｅｍｓ）の基地局から、インフラストラクチャーとして配置された路側無線装置を介して、物体情報や交通情報を取得する。

【0032】

車外情報取得部５２は、自車両１の上下前後左右の自車両１の周囲である外部環境に存在する人や構造物、他の自車両１等の対象物の内容やそれらの位置を検出する。車外情報取得部５２は、例えば自車両１の周囲の風景を撮像するステレオカメラ、自車両１から対象物までの距離を測定するＬＩＤＡＲ（Ｌａｓｅｒ Ｉｍａｇｉｎｇ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ Ａｎｄ Ｒａｎｇｉｎｇ）等の測距センサ、自車両１の周囲に位置する対象物を検出するソナー、超音波センサ、ミリ波レーダ等である。

【0033】

カーナビゲーションシステム５３は、人工衛星等から受信したＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）信号に基づいて自車両１の位置を算出するＧＰＳコントローラを有する。カーナビゲーションシステム５３は、地図データを記憶する記憶部を有し、ＧＰＳコントローラからの位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図データを記憶部から読み出し、乗員により設定された目的地までの案内経路を決定する。カーナビゲーションシステム５３は、現在の自車両１の位置や決定した案内経路に関する情報を主制御部４０に出力する。

【0034】

また、カーナビゲーションシステム５３は、地図データを参照することにより、自車両１の前方の施設の名称・種類や、施設と自車両１との距離等を示す情報を主制御部４０に出力する。地図データでは、道路形状情報（車線、道路の幅員、車線数、交差点、カーブ、分岐路等）、制限速度等の道路標識や通行止めや片側交互通行、速度規制等の交通規制情報に関する交通情報、車線が複数存在する場合の各車線についての情報等の各種情報が位置データと対応付けられている。カーナビゲーションシステム５３は、これらの各種情報を主制御部４０に出力する。

【0035】

尚、カーナビゲーションシステム５３は、自車両１に搭載されたものに限られず、主制御部４０との間で有線又は無線により通信を行う、カーナビゲーション機能を有する携帯端末（例えば、スマートフォン、タブレットＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ））により実現されてもよい。

【0036】

車両ＥＣＵ５４は、自車両１に設けられた各種センサから車速やエンジン回転数等の自車両１の走行に必要な車両情報を取得し、自車両１の動作を制御する。車両ＥＣＵ５４は、車速や自車両１自体の警告情報（例えば燃料低下、エンジン油圧異常）等の所要の車両情報を、主制御部４０に出力する。

【0037】

受付部５５は、インストルメントパネル２やステアリングホイール５に配置され、運転者４に操作されるスイッチ類である。受付部５５は、自車両１の設定値を運転者４から受け付ける。運転者４は、受付部５５で自車両１のアダプティブクルーズコントロール（ＡＤＡＰＴＩＶＥ Ｃｒｕｉｓｅ Ｃｏｎｔｒｏｌ、以下適宜、ＡＣＣという）機能の設定値を設定する。

【0038】

ＡＣＣ機能は、運転者４が自車両１を運転しなくても、周辺情報取得部５１，車外情報取得部５２，カーナビゲーションシステム５３，車両ＥＣＵ５４，主制御部４０等によって、自車両１が自動で定速走行や前車追従走行（前方車両との車間距離を一定に保つ走行）をする運転支援機能である。ＡＣＣ機能の設定値としては、ＡＣＣ機能を使用する際の実行設定や、定速走行する際の車速を設定する車速設定や、前車追従走行する際の前方車両との車間距離を設定する距離設定等がある。

【0039】

次に、表示システム１０によるＡＣＣ機能の表示制御について詳細に説明する。

【0040】

図１、２に示すように、本実施形態における表示システム１０は、運転者４の視線４ａからの視線の移動量が小さい位置（近い位置）に画像を表示し運転者４に認知されやすい上ＨＵＤ２０と、上ＨＵＤ２０よりも視線４ａからの視線の移動量が大きい位置（遠い位置）に画像を表示し運転者４に相対的に認知されにくい下ＨＵＤ３０を有する。表示システム１０は、このような上ＨＵＤ２０及び下ＨＵＤ３０を連携させて、認知されやすい上ＨＵＤ２０にＡＣＣ機能の設定画面を表示し、運転者４に適切に情報を伝達することができる。

【0041】

図３に示すように、下ＨＵＤ表示領域９には、自車両１を示す自車両画像９１と、車両ＥＣＵ５４から取得した車速情報に係る車速画像９２と、車外情報取得部５２等から取得した自車両１の周辺車両に関する情報に係る画像と、自車両１が走行する走行レーンの区画線に関する情報を示す区画線画像９４と、が表示される。周辺車両に関する情報に係る画像は、例えば、自車両１の後方を走行する後方車両に関する情報に係る後方車両画像９５と、前方を走行する前方車両に関する情報に係る前方車両画像９６と、を含む情報であり、自車両画像９１と相対的な位置関係を示す。後方車両画像９５及び前方車両画像９６は、後方車両及び前方車両がある場合に表示される。

【0042】

また、下ＨＵＤ表示領域９には、現在走行中の自車両１に適用されている道路標識に関する情報に係る標識画像９７が所要のタイミングで表示されている。尚、本開示では、標識画像９７は、１００ｋｍ／ｈの速度制限の制限速度標識である。道路標識の内容は、追い越し禁止等の禁止事項を示す規制標識や、他の道路標識に関する情報であってもよい。下ＨＵＤ表示領域９には、複数の標識画像９７が表示されていてもよく、この場合、重要度の高い速度制限に関する標識画像９７が下ＨＵＤ表示領域９の中央側であって、運転者４に認知されやすい領域に表示されるのが好ましい。

【0043】

また、下ＨＵＤ表示領域９には、運転者４によりＡＣＣ機能が使用された場合、先述の定速走行に係る車速設定画像９８や、先述の前車追従走行に係る車間距離設定画像９９が表示される。車間距離設定画像９９は、複数個の矩形の意匠（セグメント）からなり、前方車両画像９６と自車両画像９１との間に並んで配置され、この意匠の数で自車両１と前方車両との距離を表示する。

【0044】

ここで、前方車両画像９６と車間距離設定画像９９と自車両画像９１とこれらに隣接する区画線画像９４とをまとめてＡＣＣ距離設定画像とする。尚、ＡＣＣ距離設定画像や車速設定画像９８は、運転者４が受付部５５を操作しＡＣＣ機能の実行設定をしている場合に表示され、実行設定をしている場合は非常時である。

【0045】

ここで、ＡＣＣ距離設定画像は、図４に示すように、運転者目線画像（第１画像）Ｅ１と、鳥瞰画像（第２画像）Ｅ２と、俯瞰画像（第３画像）Ｅ３と、を有する。運転者目線画像Ｅ１は、運転者４が自車両１から前方車両１００を見る視線である第１視線（図１の視線４ａと同様）から自車両１や前方車両１００を見た（路面に対し０から略１０度の角度から見た）見え方の画像である。運転者目線画像Ｅ１は、図３に示すＡＣＣ距離設定画像である。

【0046】

鳥瞰画像Ｅ２は、第１視線よりも上方に位置する仮想の第２視線から自車両１や前方車両１００を見た（略６０度から略９０度（真上）から見下ろす）見え方の画像である。鳥瞰画像Ｅ２は、図７に示すＡＣＣ距離設定画像である。俯瞰画像Ｅ３は、第１視線と第２視線の間の位置の視線での仮想の第３視線から自車両１や前方車両１００を見た（略１０から略６０度の角度から見下ろす）見え方の画像である。俯瞰画像Ｅ３は、図５，図６に示すＡＣＣ距離設定画像である。

【0047】

主制御部４０は、運転者４が受付部５５を操作し、ＡＣＣ機能の前車追従走行の車間距離に関する変更を検出した場合、図５乃至図７に示すように、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を下ＨＵＤ表示領域９から上ＨＵＤ表示領域８へ移動させる。

【0048】

このとき、主制御部４０は、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８の移動を運転者４により一層認知させるため、例えば、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を点滅して表示してもよいし、下ＨＵＤ表示制御部３５を制御し、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８以外の表示の明度を暗くしてもよい。

【0049】

最初に、図５に示すように、下ＨＵＤ表示制御部３５は、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を上ＨＵＤ表示領域８に向かって上下方向に直線的に移動させる。このとき、ＡＣＣ距離設定画像は、運転者目線画像Ｅ１から俯瞰画像Ｅ３に徐々に切り替わりながら移動する。ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８は、下ＨＵＤ表示領域９の上辺９ｂから見切れていく。

【0050】

次に、図６に示すように、上ＨＵＤ表示制御部２５は、上ＨＵＤ表示領域８の下辺８ａからＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を徐々に出現させる。このとき、ＡＣＣ距離設定画像は、下ＨＵＤ表示領域９と上ＨＵＤ表示領域８の両者に跨るように表示されることで、上ＨＵＤ２０及び下ＨＵＤ３０の表示の連動感を向上することができると共に、ＡＣＣ距離設定画像の移動を運転者４により一層認知させることができる。

【0051】

最後に、図７に示すように、下ＨＵＤ表示領域９からＡＣＣ距離設定画像が完全に消去されると同時に、上ＨＵＤ表示制御部２５は、上ＨＵＤ表示領域８において、ＡＣＣ距離設定画像を俯瞰画像Ｅ３から鳥瞰画像Ｅ２に切り替える。これにより、運転者４は車間距離の設定の視認性を向上することができる。また、ＡＣＣ距離設定画像を運転者目線画像Ｅ１から俯瞰画像Ｅ３を経由して鳥瞰画像Ｅ２に変更することにより、運転者４は画像の視線変更の認識性を向上することができる。

【0052】

その後、運転者４が受付部５５の操作を終了し所定時間が経過すると、主制御部４０は、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を、図７、図６、５、図３の順で上ＨＵＤ表示領域８から下ＨＵＤ表示領域９へ移動させる。この時も、ＡＣＣ距離設定画像は、俯瞰画像Ｅ３を経由して鳥瞰画像Ｅ２から画像を運転者目線画像Ｅ１に変更される。

【0053】

尚、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８は、上ＨＵＤ表示領域８と下ＨＵＤ表示領域９とで運転者４から見て同じ大きさに見えるようにするために、下ＨＵＤ表示領域９に実際に表示されるＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８のサイズは、上ＨＵＤ表示領域８に実際に表示されるＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８のサイズよりも大きく形成される。

【0054】

(第２実施形態)
本開示に係る表示システムの第２実施形態を図８に基づいて説説明する。前述した第１実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。

【0055】

第１実施形態では、主制御部４０は、ＡＣＣ距離設定画像を下ＨＵＤ表示領域９で運転者目線画像Ｅ１から俯瞰画像Ｅ３に変更して上ＨＵＤ表示領域８へ移動させていたが、本開示では、前車追従走行の車間距離に関する変更を検出した場合、ＡＣＣ距離設定画像を下ＨＵＤ表示領域９で運転者目線画像Ｅ１から俯瞰画像Ｅ３を経由して鳥瞰画像Ｅ２に変更した後、鳥瞰画像Ｅ２を上ＨＵＤ表示領域８へ移動させる。

【0056】

このように形成しても、運転者４は車間距離の設定の視認性を向上することができる。

【0057】

(第３実施形態)
本開示に係る表示システムの第３実施形態を図９に基づいて説説明する。前述した第１実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。

【0058】

本開示では、前車追従走行の車間距離に関する変更を検出した場合、ＡＣＣ距離設定画像を運転者目線画像Ｅ１が下ＨＵＤ表示領域９から上ＨＵＤ表示領域８へ移動した後、上ＨＵＤ表示領域８で運転者目線画像Ｅ１から俯瞰画像Ｅ３を経由して鳥瞰画像Ｅ２に変更する。

【0059】

このように形成しても、運転者４は車間距離の設定の視認性を向上することができる。

【0060】

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【0061】

例えば、第１表示器（上ＨＵＤ２０）及び第２表示器（下ＨＵＤ３０）が、共にＨＵＤである例を説明したが、一方又は双方がＴＦＴ型の液晶表示器や有機ＥＬ表示器等の表示パネルに表示した実像を視認させるものであってもよい。

【0062】

また、上ＨＵＤ２０及び下ＨＵＤ３０の投影部材がウインドシールド３である例を説明したが、これに代えて、又はこれと共に投影部材がコンバイナであってもよい。

【0063】

また、運転者目線画像Ｅ１から鳥瞰画像Ｅ２への変更においては、視線の角度を徐々に上昇させた画像を順次遷移させてもよい。この時の視線の角度の変化は、線形的に変更させても非線形的に変更させてもよい。例えば、視線の角度を非線形的に変更する場合、最初に変更度合いを大きくし、鳥瞰画像Ｅ２へ近づくにつれ変更度合いを小さくすると、斬新な演出を運転者４に与えることができる。

【0064】

また、ＡＣＣ距離設定画像として前方車両画像９６と車間距離設定画像９９と自車両画像９１とこれらに隣接する区画線画像９４とを設定していたが、これに限定せず任意に設定してもよい。例えば、自車両画像９１や区画線画像９４を含まなくてもよい。

【0065】

また、前車追従走行の車間距離に関する変更を検出した後、ＡＣＣ距離設定画像及び車速設定画像９８を下ＨＵＤ表示領域９から上ＨＵＤ表示領域８へ移動させたが、ＡＣＣ距離設定画像のみを移動させてもよい。

【0066】

また、鳥瞰画像Ｅ２や俯瞰画像Ｅ３は、運転者目線画像Ｅ１に対し上下方向の視線の位置が異なるものであったが、運転者目線画像Ｅ１に対し左右方向の視線の位置が異なるものであってもよい。例えば、主制御部４０は、運転者４が受付部５５を操作し、前車追従走行の車間距離に関する変更を検出した場合、ＡＣＣ距離設定画像を自車両１や前方車両１００を真横から見る見え方の画像に切り替えてもよい。

【符号の説明】

【0067】

１ 車両（自車両）
２ インストルメントパネル
３ ウインドシールド
３ａ 遮光部
４ 運転者（ユーザ）
４ａ 視線
５ ステアリングホイール
８ 上ＨＵＤ表示領域（第１表示部）
９ 下ＨＵＤ表示領域（第２表示部）
８ａ、９ａ 下辺
８ｂ、９ｂ 上辺
８ｃ、９ｃ 左辺
８ｄ、９ｄ 右辺
１０ 表示システム
２０ 上ＨＵＤ（第１表示器）
２１、３１ 表示器
２２ 凹面鏡
２４、３４ 筐体
２５ 上ＨＵＤ表示制御部
３０ 下ＨＵＤ（第２表示器）
３５ 下ＨＵＤ表示制御部
４０ 主制御部（制御部）
５０ ＣＡＮバス
５１ 周辺情報取得部
５２ 車外情報取得部
５３ カーナビゲーションシステム
５４ 車両ＥＣＵ
５５ 受付部
９１ 自車両画像
９２ 車速画像
９４ 区画線画像
９５ 後方車両画像
９６ 前方車両画像
９７ 標識画像（警告画像）
９８ 後方接近車両画像
９９ 車間距離設定画像
１００ 前方車両
Ｅ１ 運転者目線画像（第１画像）
Ｅ２ 鳥瞰画像（第２画像）
Ｅ３ 俯瞰画像（第３画像）
Ｌ１、Ｌ２ 表示光
Ｖ１ 虚像（第１虚像）
Ｖ２ 虚像（第２虚像）
ｄ１、ｄ２ 距離
θ１、θ２ 角度

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】