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特開2024-69750損傷図解析装置、損傷図解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069750
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】損傷図解析装置、損傷図解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240515BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240515BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06T7/00 610
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179951
(22)【出願日】2022-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀直
(72)【発明者】
【氏名】横田 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
5L096BA03
5L096FA02
5L096FA59
5L096FA64
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】損傷規模を容易により精度よく取得することができる損傷図解析装置、損傷図解析方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】損傷図解析装置としての情報処理装置(10)は、制御部(11)を備える。制御部(11)は、構造物の少なくとも構造線及び損傷線が記載された損傷図に係るデータを取得し、損傷図に係るデータに基づいて、損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより損傷図に含まれる損傷領域を抽出する。制御部(11)は、損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の少なくとも構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析装置であって、
損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出部と、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出部と、
を備えることを特徴とする損傷図解析装置。
【請求項2】
前記規模算出部は、
前記損傷図に含まれる前記構造物の構造に係る図上長さを取得する第1取得部と、
前記構造に係る実サイズの情報を取得する第2取得部と、
を有し、
取得した前記図上長さと前記実サイズとの比に基づいて、前記損傷規模を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の損傷図解析装置。
【請求項3】
前記損傷規模と補修費用との対応関係を取得する費用取得部と、
前記対応関係に基づいて、前記規模算出部が算出した前記損傷規模に応じた補修見積もり費用を取得する費用算出部と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の損傷図解析装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記損傷領域を損傷種別と対応付けて抽出し、
前記費用取得部は、前記損傷種別ごとに前記損傷規模と前記補修費用との対応関係を取得し、
前記費用算出部は、前記損傷種別及び前記損傷規模に応じた前記補修費用の合計を前記補修見積もり費用として取得する
ことを特徴とする請求項3記載の損傷図解析装置。
【請求項5】
前記第1取得部は、前記損傷図内で所定方向に最長の線分を特定して、当該最長の線分の長さを前記構造に係る図上長さとして取得することを特徴とする請求項2記載の損傷図解析装置。
【請求項6】
前記抽出部は、前記損傷図に係るデータを前記第1の学習済モデルに入力させて、前記損傷領域を抽出することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の損傷図解析装置。
【請求項7】
前記抽出部は、前記損傷図に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載を除去して前処理済画像を生成する前処理部を備え、
前記第1の学習済モデルは、前記前処理済画像の入力に対して前記損傷領域を出力する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の損傷図解析装置。
【請求項8】
前記前処理部は、前記損傷図に係るデータの入力に対して前記前処理済画像を出力する第2の学習済モデルを有することを特徴とする請求項7記載の損傷図解析装置。
【請求項9】
少なくとも構造物の構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析方法であって、
損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出ステップ、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出ステップ、
を含むことを特徴とする損傷図解析方法。
【請求項10】
コンピュータを
少なくとも構造物の構造線及び損傷線が記載された損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出手段、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、損傷図解析装置、損傷図解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路網の広がりに応じて多数の橋梁などの構造物が存在する。これらの構造物の多くは、国や地方自治体の管理下で、定期的に点検、補修作業が行われる。点検時には、予め定められた損傷図が作成される(非特許文献1)。この損傷図には、構造物の損傷状態が記録されている。損傷図には、損傷個所を撮影した写真だけでは見つけにくい、うきなどの損傷個所も記録されている。
【0003】
従来、この損傷図から作業担当者が損傷の種別や損傷領域のサイズなどを読み取って、概算工事費の算出などを行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「記録様式作成にあたっての参考資料(道路橋定期点検版)」、国土交通省道路局国道・技術課、平成31年2月、[令和4年11月8日検索]、インターネット<URL:htps://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo4_1-4.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の作業担当者の読み取りでは、補修費用の見積もりに係る概算額の算出に必要な損傷規模を読み取るのに多大な手間を要する一方で、当該損傷規模を必要な精度で得るのが難しいという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、損傷規模をより容易かつ精度よく取得することができる損傷図解析装置、損傷図解析方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
構造物の少なくとも構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析装置であって、
解析対象の損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出部と、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うと、損傷規模をより容易かつ精度よく取得することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】損傷図解析システムのシステム構成を示すブロック図である。
図2】損傷図の例を示す図である。
図3】損傷図の前処理済画像と、前処理済画像から抽出された損傷領域を示す損傷領域画像とを示す図である。
図4】機械学習モデルの学習手順について説明する図である。
図5】損傷解析処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】機械学習モデルの学習に係る他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の損傷図解析システム100のシステム構成を示すブロック図である。
【0011】
損傷図解析システム100は、本実施形態の損傷図解析装置としての情報処理装置1と、外部機器20とを含む。
情報処理装置1は、損傷図の解析に係る実処理を行うコンピュータである。情報処理装置1は、例えば、汎用のPC(Personal Computer)などであってもよい。
【0012】
外部機器20は、データベース装置21及び光学読取装置22などを含み得る。
光学読取装置22により読み取られる光学記録媒体又はデータベース装置21(本実施形態の記憶部)には、損傷図データ201及び費用データ202などが記憶されている。
【0013】
その他、損傷図解析システム100は、情報処理装置1に処理内容を送信して、処理結果を取得、表示する端末装置を情報処理装置1とは別個に含んでいてもよい。端末装置は、PCであってもよいし、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型端末装置であってもよい。
【0014】
情報処理装置1は、制御部11と、記憶部12と、入出力インターフェイス13(I/F)と、表示部14と、操作受付部15などを備える。
【0015】
制御部11は、情報処理装置1の全体動作を統括制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)などを有する。CPUは、演算処理を行って各種プログラムなどを実行する。RAMは、CPUに作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。CPUは、単一のプロセッサであってもよいし、並列に、又は用途などに応じて独立に動作する複数のプロセッサであってもよい。RAMは、DRAMなどであるが、これに限られない。
【0016】
記憶部12は、不揮発性メモリであり、プログラム121や設定データなどを記憶する。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリであるが、これに限られない。フラッシュメモリには、HDD(Hard Disk Drive)が含まれていてもよい。
【0017】
プログラム121には、前処理学習済モデル1211(第2の学習済モデル)と、領域抽出学習済モデル1212(第1の学習済モデル)とが含まれる。これらについては後述する。
【0018】
入出力インターフェイス13(I/F)は、外部機器20との間でデータなどのやり取りをするための接続用のインターフェイスである。入出力インターフェイス13は、接続端子131と、通信部132とを有する。接続端子131には、当該接続端子131(コネクタ)の形状に応じたケーブル(信号線)が接続可能であり、当該ケーブルを介して周辺機器などが情報処理装置1に接続され得る。接続端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus)などを含む。
【0019】
通信部132は、定められた通信規格による通信(ここでは無線通信)を制御する。通信規格には、例えば、無線LAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)などが含まれ得る。これらには、例えば、データベース装置21や光学読取装置22などがつながっている。
【0020】
データベース装置21には、損傷図データ201や費用データ202などが記憶されていてもよい。あるいは、これらは、光学読取可能な携帯記録媒体、すなわち、CD-ROM、DVDディスク、Blu-ray(登録商標)ディスクなどから読み取られて取得可能であってもよい。損傷図は、構造物の点検の実施に応じて随時追加され得る。費用データ202は、物価変動などに応じて随時(例えば毎年など)更新可能とされ得る。
【0021】
表示部14は、表示画面を有し、制御部11の制御に基づいて当該表示画面に文字、図形などを含む画像(映像)を表示することができる。表示画面は、特には限られないが、例えば液晶表示画面(LCD)である。また、表示部14は、報知動作用のLEDランプなどを備えていてもよい。
【0022】
操作受付部15は、外部からの入力操作を受け付けて受け付けた入力操作に応じた信号(操作信号)を制御部11へ出力する。操作受付部15は、特には限られないが、例えばキーボード及びポインティングデバイス(マウス、タッチパネル、タッチペンなど)の一部又は全部を含む。
なお、表示部14及び操作受付部15、あるいはこれらのいずれか一方やその更に一部は、接続端子131などを介して接続される周辺機器であってもよい。
【0023】
次に、本実施形態の損傷解析について説明する。
構造物の点検では、目視で、損傷個所の発見のための撮影画像を見て、及び必要に応じて打音検査を行うなどにより、損傷個所の検出が行われる。特定された損傷個所は、構造物の躯体を示す構造線とともに損傷線として損傷図に記載される。書き込みは手書きの場合もあり得る。本実施形態の情報処理装置1では、解析の対象とされるこの損傷図の画像データを読み込んで当該損傷図から損傷領域を認識し、損傷領域の大きさ(長さや面積)とその種別に応じた補修費用を算出する。損傷図が手描きの場合には、これが撮像(スキャン)されてデータ化されればよい。損傷図のデータは、情報処理装置1の外部のデータベース装置21などに損傷図201として記憶、保持されている。あるいは、損傷図のデータは、情報処理装置1の記憶部12に記憶されていてもよい。
【0024】
図2は、損傷図F1の例を示す図である。
この損傷図F1は、橋梁の桁Gを上から見た図である。ここでは、桁Gを示す構造線に対して各所に検出された損傷の範囲とその種別とが損傷線により示されている。損傷線には、輪郭線に囲まれた内部のハッチなどが含まれる。例えば、損傷種別がひびわれの場合には、損傷線は、端部を有する線で表される。損傷種別が剥離、鉄筋露出、うき、遊離石灰、漏水などの場合には、損傷線は、閉領域の輪郭線及び当該閉領域内のハッチにより表される。これら端部を有する線上及び閉領域で表される構造物の損傷個所が、損傷図上での損傷領域とされる。損傷個所のうち別途撮影データなどが添付されている部分には、引き出し線とともにその損傷種別、進行度や対策状況などが書き込まれた表示部分Q1~Q4(旗上げ)が付されている。また、損傷図F1の下方には、複数の損傷種別を識別するための凡例及び注釈などの記載部分C1が位置している。損傷図F1には、付帯記載として、これら表示部分Q1~Q4及び記載部分C1などに加えて、基準線や寸法線の表示も含まれ得る。なお、これらはカラー表示されていてもよいが、損傷図データ201では、予め白黒画像(グレースケール画像)などに変換されて保持されてもよい。
【0025】
情報処理装置1は、凡例に対応する情報を予め保持している。したがって、情報処理装置1は、表示部分Q1~Q4及び記載部分C1を利用せずに、損傷図F1の損傷領域から直接損傷種別を読み取ることができる。すなわち、これらの表示部分Q1~Q4及び記載部分C1は、解析に不要な部分であり、むしろ損傷領域を特定する精度を下げる場合もある。情報処理装置1は、これらを損傷領域の特定前に行う前処理で除去した前処理済画像を生成する。また、前処理では、基準線や寸法線なども可能な限り除去される。
【0026】
情報処理装置1は、この前処理を行った前処理済画像から更に損傷線を検出し、線状の損傷線の長さや、損傷線により囲まれた範囲の面積といった損傷領域の平面視サイズと、種別とを特定する。
【0027】
図3は、図2の損傷図の前処理済画像F2と、当該前処理済画像F2から抽出された損傷領域を示す損傷領域画像F3とを示す図である。
図3(a)に示す前処理済画像F2には、主に桁Gなどの構造線と損傷線とが含まれるが、若干これら以外のものが残っていてもよい。ここでは、前処理済画像F2には、寸法などの表示C2が残されている。図3(b)に示す損傷領域画像F3では、構造線や残っていた数値の表示C2などが除去されて、検出、抽出された損傷線Dのみが示されている。このように特定された損傷領域は、後述の処理とともに/代えて元の損傷図に重ねられてあるいは損傷領域画像F3が単独で、図示出力されてもよい。図示出力では、損傷種別や前回の点検からの経過状況などに応じて異なる色で損傷領域が示されてもよい。
【0028】
損傷領域の検出処理は、機械学習モデルを利用して行われる。前処理は、画像編集ソフトウェアなどを利用してユーザの入力操作により手作業で行われてもよい。あるいは、所定の画像解析ツールなどを利用してユーザの命令に応じた半自動処理で付帯記載の削除が行われてもよい。これらの場合には、前処理された画像データが損傷領域の検出処理への入力データとしてユーザにより指定されて、以降の処理に引き渡される。
一方で、前処理を行うための機械学習モデルが利用されて、ユーザの手を介さずに損傷図Fに対して前処理が行われてもよい。
【0029】
図4は、機械学習モデルの学習手順について説明する図である。
図4(a)に示す前処理に係る機械学習モデルの学習では、学習用の損傷図F1から担当者の手により付帯記載を除去した画像を正解データとして生成する。そして、損傷図F1を機械学習モデルに入力させ、出力された前処理結果と、正解データとを比較してその差分を機械学習モデルにフィードバックさせる。これにより、機械学習モデルが学習されて、解析用の損傷図の入力に対して前処理済画像F2を出力する前処理学習済モデル1211が得られる。
このように前処理が行われることで、図2中の表示部分Q1~Q4及び記載部分C1のような損傷領域の特定に不必要な部分が削除される。これにより、以降の損傷領域の検出に係る機械学習モデルの学習及び検出に係る精度を向上させることができる。
【0030】
なお、機械学習モデルなどを利用した前処理では、必ずしも全ての付帯記載が除去されていなくてもよい。この前処理は、あくまでもこの後に行われる領域検出をより容易かつ確実に行うためのものであり、厳密性は問われない。
【0031】
また、図4(b)に示す損傷領域の抽出に係る機械学習モデルの学習では、この機械学習モデルの学習に用いられる損傷図F1から損傷線を抽出した画像を正解データとして担当者の手により生成する。また、正解データには、更に各領域の損傷種別を示すアノテーション(クラス識別子)が付される。アノテーションの情報は、正解データの画像データファイルに統合されてもよいし、別個のデータファイルに保持されてもよい。
【0032】
一方で、損傷領域の抽出に係る機械学習モデルの学習用の損傷図F1に対する前処理により前処理済画像F2が得られると、当該前処理済画像F2が、前処理済画像F2から損傷領域を認識、出力するための機械学習モデルに入力される。機械学習モデルに入力された損傷領域の認識結果と正解データとが比較されて、その差分が機械学習モデルにフィードバックされることで、機械学習モデルが学習される。これにより、解析対象の前処理済画像F2の入力に対して損傷領域をその損傷種別と対応付けて出力する領域抽出学習済モデル1212が得られる。
【0033】
このように、学習される機械学習モデルは、線画及び文字記載などを含む画像データを認識して、不要な線や文字などを識別、除去することの可能なアルゴリズムを利用した教師有モデルである。このような機械学習モデルとしては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みネットワーク(FCN)などのディープラーニングに係る技術や、サポートベクターマシンなど、周知のものを含む種々のアルゴリズムが利用され得る。
【0034】
上記の前処理学習済モデル1211及び領域抽出学習済モデル1212は、プログラム121のメイン処理から呼び出し可能に記憶保持されて、前処理、及び損傷領域の抽出が行われる。抽出された損傷領域は、当該損傷領域内の画素数などにより、損傷図F1の画像データ上での平面視サイズ(長さ、面積)が特定される。
一方で、損傷図F1で示されている構造物(橋梁など)の実サイズは、当該構造物の他の情報から取得され得る。
【0035】
この実サイズと、損傷図内での構造物のサイズとの比をとることで、損傷図F1の縮尺が特定される。構造物のサイズは、例えば、損傷図内で最も長い水平線(所定方向に最長の線分)が当該構造物の長さに対応するもの(構造物の構造に係る図上長さ)と推定することができる。ここでいう水平線は、厳密に水平なものに限られない。数度程度、例えば、最大で5度~10度程度傾いていてもよい。また、手描きなどを考慮して、水平線が多少歪んでいてもよい。水平線の長さは、橋梁の場合、例えば、橋長や幅員に対応すると想定される。これらのうちいずれであるかなどは、損傷図F1の図番などに応じて特定されてもよい。なお、損傷図に構造線及び損傷線に加えて基準線などが残っていると、損傷図上の長さを過大評価することになる。したがって、前処理において基準線は適切に除去されるのが好ましい。また、損傷図に寸法線が描画されている場合には、この寸法線も残る場合があるが、寸法線は、構造の長さと同一の長さになり得るので、長さの誤認にはなりづらい。これらは、二点鎖線、破線や点線などで示されている場合には、これらを識別することで除去が可能である。前処理用の機械学習モデルが用いられる場合には、上記の線種に加えて矢印付きの直線なども構造線と区別するように前処理用の機械学習モデルが学習されればよい。
【0036】
この最長水平線の検出は、例えば、エッジ検出及び二値化された画像で連続的に記載部分(黒色部分)が水平方向に続く部分を特定することで行われてもよい。これに加えて又は代えて、画像がベクトル化されて、傾斜角が基準範囲内でかつ長さの最長のベクトルが特定されることで行われてもよい。この場合には、画素数を数えずとも両端の座標の差分により単純に長さが求められてもよい。検出された最長水平線が正確ではない場合には、ユーザが手作業により結果を修正することが可能であってもよい。例えば、最長水平線の検出結果として、表示部14により損傷図F1又は前処理済画像F2と重ねて検出された最長水平線の両端の位置が表示される。ユーザは、この表示を確認して両端の位置が正確ではないと判断した場合には、操作受付部15により両端の位置を修正する操作を行ってもよい。修正操作が受け付けられると、受け付けられた内容に従って、最長水平線の両端が変更設定される。ユーザが両端の位置を正確だと判断した場合には、ユーザは、操作受付部15により承認操作を行えばよい。
【0037】
実サイズの取得元は、対象の構造物(橋梁)の諸元情報データなどと対応付けられることで、自動で取得が可能であってもよい。この場合、損傷図データが諸元情報データを含むデータベースに組み込まれてもよい。あるいは、損傷図データを含むデータベースと、諸元情報データを含むデータベースとが別個に存在してもよい。この場合には、損傷図データの橋梁名称、位置情報、損傷図が上部工(上部構造)と下部工(下部構造)のいずれであるか、などをキーとして諸元情報データのデータベースにて検索が行われて適切なデータが抽出、取得されてもよい。
【0038】
このようにして縮尺が得られると、画像上における損傷領域のサイズが実際のサイズ(損傷規模)に変換され得る。構造物、特に橋梁などでは、橋梁の全長(橋長)や幅員が容易に取得できる特徴的な長さである。これと同時に、橋長や幅員は、平面図や側面図などで長さが特定されやすい。したがって、これら橋長や幅員の実サイズと図上での平面視サイズとがいずれも取得されて縮尺が特定されることにより、容易に構造物の構造、ひいては、損傷領域の損傷規模を特定することが可能となる。
【0039】
変換により得られた損傷領域の損傷規模及びその損傷種別に対応する補修費用が見積もられる。
補修費用の見積もりには、損傷種別ごとにサイズ当たりの補修費用(単位費用)の対応データ(損傷規模と補修費用との対応関係)が記憶された費用データ202が用意される。損傷種別に基づいてこの費用データ202が参照され、単位費用に損傷領域のサイズが乗じられて補修費用(補修見積もり費用)が見積もられる。ここでは、費用データ202は情報処理装置1の外部のデータベース装置21などに記憶、保持されているが、これに限られない。取得された費用データ202が情報処理装置1の記憶部12に記憶されて利用されてもよい。複数の損傷種別が検出されている場合には、損傷種別の各々について補修費用が算出されて、これらが合計されればよい。
【0040】
このように見積もられた補修費用が表示部14に表示されたり通信部132を介して外部の端末装置などに出力されたりすることで、ユーザが容易に補修の見積額を得ることができる。
【0041】
図5は、本実施形態の損傷図解析方法を含む損傷解析処理の制御部11による制御手順を示すフローチャートである。この損傷解析処理は、例えば、ユーザによる操作受付部15への所定の入力操作に応じて実行される。
【0042】
制御部11は、指定された橋梁の損傷図のデータを外部機器20などから取得する(ステップS11)。制御部11は、取得した損傷図に対して前処理を施して、付帯記載を適宜消去した前処理済画像F2を得る(ステップS12;前処理部としての機能)。前処理は、上記のように損傷図F1を前処理学習済モデル1211に入力することで行われてもよい。制御部11は、前処理済画像F2を領域抽出学習済モデル1212に入力して、当該領域抽出学習済モデル1212が出力した損傷領域の情報を取得することにより損傷図から損傷領域を抽出する。また、制御部11は、各損傷領域の種別を特定する(ステップS13;抽出部としての機能、抽出ステップ、抽出手段)。
【0043】
制御部11は、抽出された損傷領域の画像データ上でのサイズをピクセル数などにより取得する(ステップS14)。制御部11は、前処理済画像F2から最長の水平線を特定して、その図上の長さをピクセル数などにより特定する(ステップS15;第1取得部としての機能)。
【0044】
制御部11は、対象の橋梁の実サイズ情報を外部から取得する(ステップS16;第2取得部としての機能)。制御部11は、例えば、橋梁の名称、位置情報及び上部工/下部工などに基づいて、当該橋梁の長さ(橋長、幅員など)を取得する。制御部11は、橋梁の画像データ上のサイズと実サイズとの比率により損傷図の縮尺を設定する(ステップS17)。制御部11は、この縮尺(比)に基づいて、各損傷領域の実際の長さ又は面積を損傷規模として算出、特定する(ステップS18)。
ステップS14~S18の処理が、本実施形態の制御部11による規模算出部としての機能動作である。また、これらの処理は、本実施形態の損傷図解析方法における規模算出ステップ、及びプログラムの規模算出手段に対応する。
【0045】
制御部11は、損傷種別ごとに損傷規模をまとめて分類する(ステップS19)。制御部11は、費用データ202を参照して、損傷種別ごとに単位費用を取得する(ステップS20;費用取得部としての機能)。制御部11は、取得した単位費用と損傷規模とを乗じて損傷種別ごとの補修費用を算出する。制御部11は、全ての損傷種別の補修費用を加算して、合計の補修費用を見積額として取得する(ステップS21;費用算出部としての機能)。
【0046】
制御部11は、取得した見積額を適宜なフォーマットで出力対象(表示部14など)へ出力する。そして、制御部11は、損傷解析処理を終了する。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
図6は、機械学習モデルの学習に係る他の例を示す図である。
上記実施の形態では、損傷図から前処理済画像を生成し、当該前処理済画像から損傷領域を抽出する2段階での処理を行うものとして説明したが、これに限られない。損傷図から直接損傷領域を抽出するように機械学習モデルを学習させた学習済モデルを得てもよい。この学習に係る正解データは、図4(b)に示したものと同一であってよい。
【0048】
情報処理装置1は、領域抽出学習済モデル(第1の学習済モデル)のみを有し、損傷図の画像データを前処理なしに直接この領域抽出学習済モデルに入力させて、損傷領域を抽出することとしてもよい。この場合、図5の損傷解析処理において、ステップS12の処理は省略される。
【0049】
また、上記実施の形態で示した損傷図の前処理の方法は、適宜組み合わされて実行されてもよい。
【0050】
また、実サイズと図上長さとの比を求めるための基準となる部分(水平線)の実サイズの取得は、単純にユーザによる操作受付部15への数値の手入力により行われてもよい。あるいは、実サイズが記載されたデータの位置情報などを操作受付部15への入力操作により指定して、指定されたデータを、通信部132を介して実サイズを含むデータとして制御部11に取得させてもよい。
【0051】
また、基準となる部分は、水平線ではなく垂直線により取得されてもよい。この場合も、寸法線などの補助線が御認識されないように、適切に前処理で付帯記載が除去される必要がある。
【0052】
また、上記実施形態の領域抽出学習済モデル1212は、全ての損傷種別を識別して検出可能としたが、これに限られない。複数の領域抽出学習済モデルが一部の損傷種別ずつそれぞれ検出した結果が組み合わされて全ての損傷領域が検出されるのであってもよい。あるいは、抽出部(制御部11)は、損傷領域を単純に検出する領域抽出学習済モデルを有していてもよい。また、抽出部(制御部11)は、抽出された損傷領域のハッチ状態などを別途判別して損傷種別を識別する処理を行うのであってもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、損傷種別とサイズのみに依存して補修見積額を定めたが、これに限られない。例えば、補修しづらい箇所などで、通常の補修と同じ作業だけでの補修が困難である条件を満たす場合には、更に加算額が含まれたり、所定の係数が乗じられたりしてもよい。なお、このような補修見積額の決定は、情報処理装置1(損傷図解析システム100)内で自動処理により実行されるのではなくてもよい。ユーザによる入力操作を受けて加算されてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、補修費用がサイズに比例するものとして説明したが、サイズの増大に比して費用増が小さかったり大きかったりしてもよい。この場合には、例えば、補修費用のサイズに応じた算出式が記憶されていてもよい。あるいは、適宜な複数段階のサイズに応じた補修費用のテーブルデータを保持し、両隣に近接する段階のサイズ間で実サイズに応じて線形補完で補修費用が求められてもよい。
【0055】
また、補修見積額は、損傷種別ごとに複数の損傷領域を一度まとめて補修費用を算出しなくてもよい。全ての損傷領域について、各々損傷種別と損傷規模(実際のサイズ)とに応じて補修費用を算出して、これらを一度にまとめて合計してもよい。
【0056】
また、情報処理装置1(損傷図解析システム100)は、そもそも費用の算出までは行わなくてもよい。損傷種別及びその損傷規模の情報を出力し、ユーザが出力結果を受けて補修費用を算出するのであっても、ユーザの手間を大きく低減させることができる。
【0057】
また、情報処理装置1は、損傷領域が抽出された段階で、抽出結果を表示部14などに表示させて、ユーザの確認や修正を受けることが可能であってもよい。
【0058】
また、以上の説明では、本発明の損傷解析制御に係るプログラム121を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDD、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部12を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0059】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1は、少なくとも橋梁などの構造物の構造線及び損傷線が記載された損傷図F1を解析する損傷図解析装置であって、制御部11を備える。制御部11は、抽出部として、解析対象の損傷図F1に係るデータを取得し、損傷図F1に係るデータと、領域抽出学習済モデル1212とを用いて、損傷線で表された損傷領域を抽出する。制御部11は、規模算出部として、損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する。
このように、損傷図F1を元データとして損傷領域を抽出することで、損傷領域の見逃しや過小評価などが避けられる。また、損傷規模を算出するのに領域抽出学習済モデル1212を利用することで、容易により精度よく損傷規模を特定することができる。また、これに応じて、概算される補修費用の精度も向上する。これにより、構造物、特に国や自治体などが管理するものの担当者の手間を大きく低減させることができる。
【0060】
また、制御部11(規模算出部)は、第1取得部として、損傷図F1に含まれる構造物の構造に係る図上長さを取得する。制御部11(規模算出部)は、第2取得部として、上記構造に係る実サイズの情報を取得する。制御部11(規模算出部)は、取得した図上長さと実サイズとの比に基づいて、損傷規模を算出する。
一般的に、損傷図では、縮尺を一律に固定して表示がなされない。したがって、実物のサイズと図上長さとを比較して縮尺を特定することで、損傷図の損傷領域の図上サイズから当該損傷領域の実際の損傷規模をより適切に得ることができる。
【0061】
また、情報処理装置10の制御部11は、費用取得部として、損傷規模と補修費用との対応関係を外部、例えばデータベース装置21などから取得する。制御部11は、費用算出部として、この対応関係に基づいて、制御部11(規模算出部)が算出した損傷規模に応じた補修見積もり費用を取得する。
基準となる単位面積当たりの補修費用のデータが参照可能とされることで、損傷規模から容易に補修費用の概算を得ることができる。概算費用は厳密である必要はないが、大きく外れると予算請求や補修スケジュールに影響するので、効率よく見積もり精度が向上することで、担当者の手間が大いに低減される。
【0062】
また、制御部11(抽出部)は、損傷領域を損傷種別と対応付けて抽出する。制御部11(費用取得部)は、損傷種別ごとに損傷規模と補修費用との対応関係を取得する。制御部11(費用算出部)は、損傷種別及び損傷規模に応じた補修費用の合計を補修見積もり費用として取得する。
損傷の種別には上記のように種々のものがあり、種別に応じて補修に要する費用も異なる。損傷種別を併せて特定し、当該損傷種別に応じて補修費用を見積もることで、より効率よく担当者の手間を低減させることができる。
【0063】
また、制御部11(第1取得部)は、損傷図内で所定方向(例えば水平方向)に最長の線分を特定して、当該最長の線分の長さを構造に係る図上長さとして取得する。構造物、特に橋梁などでは、橋梁の全長(橋長)や幅員が容易に取得できる特徴的な長さである。同時に、これらは平面図や側面図などでも長さを特定しやすい。したがって、情報処理装置1は、これら容易に取得した長さの比から、容易に構造の実サイズ、ひいては損傷領域の損傷規模を特定することができる。
【0064】
また、制御部11(抽出部)は、損傷図F1を領域抽出学習済モデル1212に直接入力させて、損傷領域を抽出するのであってもよい。すなわち、担当者(ユーザ)は、特に他の処理を行わずに単純に損傷図F1を領域抽出学習済モデル1212に入力させるだけで補修費用の見積額を得ることができる。よって、この情報処理装置10は、極めて容易な処理で、担当者の手間を低減させることができる。
【0065】
あるいは、制御部11(抽出部)は、前処理部として、損傷図F1に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載(表示部分Q1~Q4及び記載部分C1など)を除去して前処理済画像F2を生成する。領域抽出学習済モデル1212は、前処理済画像F2の入力に対して損傷領域を出力する。
このように2段階の処理として、特に損傷領域の抽出に前処理済画像F2を用いることで、情報処理装置1は、より損傷領域の誤認(検出漏れ)の可能性を減らすことができる。すなわち、情報処理装置1(損傷図解析システム100)では、損傷に対する補修額の見積もりをより精度よく容易に行うことができる。
【0066】
また、制御部11(前処理部)は、損傷図に係るデータの入力に対して前処理済画像F2を出力する前処理学習済モデル1211を有する。上記のように、前処理済画像F2では、全ての余計な付帯記載が除去されていなくてもよい。このように、機械学習モデルの学習を、余計な付帯記載(表示部分Q1~Q4及び記載部分C1など)の除去と、損傷領域の検出とで分離することで、より精度よく機械学習モデルを学習させることができる。
【0067】
また、本実施形態の損傷図解析方法は、解析対象の損傷図F1に係るデータを取得し、当該損傷図F1に係るデータに基づいて、損傷線Dで表された損傷領域を出力する領域抽出学習済モデル1212により損傷図F1に含まれる損傷領域を抽出する抽出ステップ、損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出ステップ、を含む。
このように損傷図解析方法は、損傷図F1から損傷規模を算出するのに領域抽出学習済モデル1212を利用する。これにより、損傷図解析方法では、損傷領域の見逃しや過小評価などを避けつつ、容易により精度よく損傷規模を取得することができる。また、これに応じて補修費用の概算をより精度よく得ることができる。したがって、この損傷図解析方法によれば、構造物、特に国や自治体などが管理するものの担当者の手間を大きく低減させることができる。
【0068】
また、上記損傷図解析方法に係る損傷解析処理のプログラム121を情報処理装置1のコンピュータにインストールして実行することで、汎用コンピュータであっても容易に損傷規模を適切な精度で得ることができる。したがって、プログラム121は、ユーザである構造物の管理担当者などの手間を大きく低減させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
121 プログラム
1211 前処理学習済モデル
1212 領域抽出学習済モデル
13 入出力インターフェイス
131 接続端子
132 通信部
14 表示部
15 操作受付部
20 外部機器
21 データベース装置
22 光学読取装置
201 損傷図データ
202 費用データ
100 損傷図解析システム
D 損傷線
F1 損傷図
F2 前処理済画像
F3 損傷領域画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
構造物の少なくとも構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析装置であって、
解析対象の損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出部と、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出部と、
を備え
前記抽出部は、前記損傷図に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載を除去して前処理済画像を生成する前処理部を備え、
前記第1の学習済モデルは、前記前処理済画像の入力に対して前記損傷領域を出力する
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の少なくとも構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析装置であって、
損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出部と、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出部と、
を備え
前記抽出部は、前記損傷図に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載を除去して前処理済画像を生成する前処理部を備え、
前記第1の学習済モデルは、前記前処理済画像の入力に対して前記損傷領域を出力する
ことを特徴とする損傷図解析装置。
【請求項2】
前記付帯記載には、基準線、寸法線、及び旗上げに係る記載のうち少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1記載の損傷図解析装置。
【請求項3】
前記規模算出部は、
前記損傷図に含まれる前記構造物の構造に係る図上長さを取得する第1取得部と、
前記構造に係る実サイズの情報を取得する第2取得部と、
を有し、
取得した前記図上長さと前記実サイズとの比に基づいて、前記損傷規模を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の損傷図解析装置。
【請求項4】
前記損傷規模と補修費用との対応関係を取得する費用取得部と、
前記対応関係に基づいて、前記規模算出部が算出した前記損傷規模に応じた補修見積もり費用を取得する費用算出部と、
を備えることを特徴とする請求項記載の損傷図解析装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記損傷領域を損傷種別と対応付けて抽出し、
前記費用取得部は、前記損傷種別ごとに前記損傷規模と前記補修費用との対応関係を取得し、
前記費用算出部は、前記損傷種別及び前記損傷規模に応じた前記補修費用の合計を前記補修見積もり費用として取得する
ことを特徴とする請求項記載の損傷図解析装置。
【請求項6】
前記第1取得部は、前記損傷図内で所定方向に最長の線分を特定して、当該最長の線分の長さを前記構造に係る図上長さとして取得することを特徴とする請求項記載の損傷図解析装置。
【請求項7】
前記前処理部は、前記損傷図に係るデータの入力に対して前記前処理済画像を出力する第2の学習済モデルを有することを特徴とする請求項1記載の損傷図解析装置。
【請求項8】
少なくとも構造物の構造線及び損傷線が記載された損傷図を解析する損傷図解析方法であって、
損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出ステップ、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出ステップ、
を含み、
前記抽出ステップでは、前記損傷図に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載を除去して前処理済画像を生成し、
前記第1の学習済モデルは、前記前処理済画像の入力に対して前記損傷領域を出力する
ことを特徴とする損傷図解析方法。
【請求項9】
コンピュータを
少なくとも構造物の構造線及び損傷線が記載された損傷図に係るデータを取得し、当該損傷図に係るデータに基づいて、前記損傷線で表された損傷領域を出力する第1の学習済モデルにより前記損傷図に含まれる前記損傷領域を抽出する抽出手段、
前記損傷領域の長さ又は面積で表される損傷規模を算出する規模算出手段、
として機能させ
前記抽出手段は、前記損傷図に係るデータから複数の損傷種別を識別する凡例を含む付帯記載を除去して前処理済画像を生成し、
前記第1の学習済モデルは、前記前処理済画像の入力に対して前記損傷領域を出力する
ことを特徴とするプログラム。