(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000698
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】プリンタ装置、ログ収集プログラム及びログ収集方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G06F11/07 178
G06F11/07 140P
G06F11/07 157
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099549
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】春日 健
(72)【発明者】
【氏名】白神 実
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ20
5B042JJ29
5B042KK07
5B042MA08
5B042MA09
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】収集したログ情報の上書きを防止して、障害が発生した際のログ情報を確実に収集する。
【解決手段】プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、印刷データを受信する毎に、印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、印刷時間が所定の閾値を超えた場合に、プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
プロセッサを備える、プリンタ装置。
【請求項2】
前記過去の印刷時間に基づく値は、平均印刷時間と標準偏差と二乗平均平方根とのいずれかである、
請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、前記過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする、
請求項1又は2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
処理をコンピュータに実行させる、ログ収集プログラム。
【請求項5】
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
処理をコンピュータが実行する、ログ収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置、ログ収集プログラム及びログ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置においては、障害が発生した場合にその要因が解析できるように、内部処理のログを正常/異常に関わらず、内部メモリ内に記録している。
【0003】
ログを収集するためのメモリ領域(Dynamic Random Access Memory(DRAM)等の揮発性メモリの記録領域)は有限であるため、確保した一定領域の中でログを記録し、収集したログのデータ量が一定領域を超えた場合は古い記録に上書きして書き込まれる。これにより、障害要因の解析のために必要なログが消失してしまう可能性がある。
【0004】
そこで、ログ情報をプリンタ装置内部のメモリの固定領域で上書きすることなく、ネットワークを介して情報を送信することで、ログの消失を防止することできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-152562号公報
【特許文献2】特開2011-13847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、セキュリティ等の観点より、プリンタ装置の設置場所にコンピュータの持ち込みができない環境においては、ネットワークを介してログを送信できないおそれがある。
【0007】
1つの側面では、収集したログ情報の上書きを防止して、障害が発生した際のログ情報を確実に収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの側面では、プリンタ装置は、プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、プロセッサを備える。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、収集したログ情報の上書きを防止して、障害が発生した際のログ情報を確実に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態におけるプリンタ装置のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示したプリンタ装置のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図1に示したプリンタ装置のファームウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図4】
図1に示したプリンタ装置におけるログの記録処理を説明する図である。
【
図5】
図1に示したプリンタ装置における管理テーブルを例示する図である。
【
図6】
図1に示したプリンタ装置におけるソート後の管理テーブルを例示する図である。
【
図7】
図1に示したプリンタ装置におけるデータサイズ上書き後の管理テーブルを例示する図である。
【
図8】実施形態としてのプリンタ装置における受信データサイズ及び印刷時間の記録処理を説明するフローチャートである。
【
図9】実施形態としてのプリンタ装置における異常検知処理を説明するフローチャートである。
【
図10】実施形態としてのプリンタ装置における管理テーブルの更新処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔A〕実施形態
以下、図面を参照して一実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。以下、各図において同一の符号は同様の機能を有するため、その説明を省略する場合がある。
【0012】
〔A-1〕構成例
プリンタ装置では、印刷の設定内容によって、処理速度(別言すれば、印刷が開始されてから用紙が排出されるまでの時間)がある程度決まっている。特に印刷のデータサイズは、印刷に要する時間に大きく影響する。
【0013】
また、特定の業務において、同じ帳票の印刷を繰り返し行う場合もあり、同一のデータサイズで印刷が繰り返し行われる場合がある。
【0014】
そこで、本実施形態では、印刷される各種のファイル毎に異常検知のロジックを実装することで、メモリ容量の制約による収集したログの消失を防止する。
【0015】
正常時の印刷の受信データサイズ毎の平均印刷時間を予めプリンタ側に記憶させておき印刷データのファイルの種類によらずに実際に要した時間が平均印刷時間を超えた場合には、何らかの障害が生じたと判断される。そして、それまでに収集したログ情報がDRAM等の揮発性メモリからSolid State Drive(SSD)等の不揮発性メモリに退避させられる。
【0016】
つまり、本実施形態では、データサイズ毎の平均印刷時間を基準として保持することで、正常時にはメモリ容量の制約内でログの記録を行い、予測しない問題が発生した時にはログの待避を行う。
【0017】
また、印刷機構の部分の処理(例えばクリーニングやウォーミングアップ)が起こった場合には、平均印刷時間を超えてしまうため、それらの処理の発生有無も含めて印刷時間の判定が行われることで、退避させるログを適切に判断できる。
【0018】
図1は、実施形態におけるプリンタ装置100のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0019】
プリンタ装置100は、例えば、Central Processing Unit(CPU)10及びメモリ20を備える。CPU10は、読み書き部111,統計処理部112及び異常判定部113として機能する。メモリ20は、受信データサイズ毎に、過去の印刷時間の履歴と、平均/最大/最小の印刷時間と、印刷時間の標準偏差とが対応付けられた統計情報を管理テーブル201として記憶する。
【0020】
メモリ20は、例示的に、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)を含む記憶装置である。RAMは、例えばDynamic RAM(DRAM)であってよい。メモリ20のROMには、Basic Input/Output System(BIOS)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ20のソフトウェアプログラムは、CPU10に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ20のRAMは、一次記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0021】
CPU10は、例示的に、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ20に格納されたOperating System(OS)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。すなわち、CPU10は、
図1に示すように、読み書き部111,統計処理部112及び異常判定部113として機能してよい。
【0022】
なお、これらの読み書き部111,統計処理部112及び異常判定部113としての機能を実現するためのプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD(CD-ROM、CD-R、CD-RW等)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、HD DVD等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。そして、コンピュータ(本実施形態ではCPU10)は上述した記録媒体から図示しない読取装置を介してプログラムを読み取って内部記録装置または外部記録装置に転送し格納して用いてよい。また、プログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供してもよい。
【0023】
読み書き部111,統計処理部112及び異常判定部113としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態ではメモリ20)に格納されたプログラムがコンピュータ(本実施形態ではCPU10)によって実行されてよい。また、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行してもよい。
【0024】
読み書き部111は、
図2を用いて共に後述するDRAM21及びSSD30に対して、印刷処理のログの読み書きを行う。
【0025】
統計処理部112は、管理テーブル201に対する統計情報の記録及び更新を行う。
【0026】
異常判定部113は、印刷時間がデータサイズ毎の平均印刷時間を超えている場合に、印刷処理に異常が発生していると判断する。
【0027】
CPU10は、例示的に、プリンタ装置100全体の動作を制御する。プリンタ装置100全体の動作を制御するための装置は、CPU10に限定されず、例えば、MPUやDSP,ASIC,PLD,FPGAのいずれか1つであってもよい。また、プリンタ装置100全体の動作を制御するための装置は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD及びFPGAのうちの2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、MPUはMicro Processing Unitの略称であり、DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略称である。また、PLDはProgrammable Logic Deviceの略称であり、FPGAはField Programmable Gate Arrayの略称である。
【0028】
図2は、
図1に示したプリンタ装置100のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0029】
プリンタ装置100は、例えば、CPU10,DRAM21,SSD30及びInterface LAN Unit(INFL)40を備える。
【0030】
CPU10は、
図1を用いて説明した機能の他に、プリンタ装置100の印刷機構との間でデータ通信を行って印刷機構を作動させる機能を有すると共に、INFL40を介してLocal Area Network(LAN)との通信を行う機能を有する。
【0031】
DRAM21は、
図1に示したメモリ20の一部であってよく、ログの一時保存領域を含む揮発性メモリである。
【0032】
SSD30は、DRAM21からのログの待避領域を含む不揮発性メモリである。なお、プリンタ装置100には、SSD30の代わりに、Hard Disk Drive等の種々の不揮発性メモリが備えられてよい。また、DRAM21からのログの待避は、一時的に不図示のフラッシュメモリに対して行われ、フラッシュメモリからSSD30に対してログの待避が行われてもよい。
【0033】
INFL40は、LANインタフェースユニットと称されてもよく、LANとの間でBPPプロトコル通信制御処理を行う。
【0034】
図3は、
図1に示したプリンタ装置100のファームウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0035】
プリンタ装置100のCPU10は、例えば、Basic System Unit(BSU)11,IOサーバ12,Exception Manager(Excpmgr)13,Control Storage memory save unit(CSsave)14,Equipment Manager Unit(EMU)15,Host Interface Unit(HIU)16,Data Format Unit(DFU)17,Virtual Printer Unit(VPU)18及びTime Monitoring Unit(TMU)19として機能する。
【0036】
BSU11は、不図示のフラッシュメモリやElectrically Erasable Programmable Read-Only Memory(EEPROM)の管理を行う。
【0037】
IOサーバ12は、IOレジスタアクセス管理及び割り込むハンドラ登録処理を行う。
【0038】
Excpmgr13は、OS及びハードウェアからのエラー例外処理を行う。
【0039】
CSsave14は、システムダウン発生時の制御情報のセーブ処理を行う。
【0040】
EMU15は、セットアップやCEモード等の設定情報管理機能と、オペレーションパネル機能と、キー処理機能とを備える。
【0041】
HIU16は、INFL40との間のデータの送受信処理を行う。
【0042】
DFU17は、データ解析処理ユニットと称されてもよく、66XX/66XX-SIAデータ解析処理,69XXデータ解析処理及びFM/FNPデータ解析処理を行う。
【0043】
VPU18は、資源管理及び対印刷機構の印刷管理を行う。
【0044】
TMU19は、印刷指示の発行から印刷機構へのデータ転送までの時間監視を行う。
【0045】
図1に示した読み書き部111としての機能は、
図3及び
図4に示すEMU15,INFL40およびHIU16によって実現してよい。
図1に示した統計処理部112としての機能は、
図4に示すIOサーバ12,DFU17及びVPU18によって実現されてよい。
図1に示した異常判定部113としての機能は、
図4に示すExcpmgr13及びTMU19によって実現されてよい。
【0046】
図4は、
図1に示したプリンタ装置100におけるログの記録処理を説明する図である。
【0047】
図4に示すように、DRAM21は、リングバッファ形式になっており、先頭アドレスから順番にログが書き込まれていき、末尾アドレスまでログが書き込まれて記憶容量がいっぱいになると、再び先頭アドレスからログが上書きされる。
【0048】
符号A1に示すように、プリンタ装置100において印刷処理が実行されていない期間中に、揮発性メモリであるDRAM21に対してログの書き込みが行われる。
【0049】
そして、符号A2に示すように、プリンタ装置100における印刷処理が開始されると、DRAM21に対して印刷開始時のログの書き込みが行われる。
【0050】
ここで、符号A3に示すように、今回の印刷時間が平均印刷時間よりも長いという事象発生のトリガーが検知されると、その時点におけるDRAM21の記録内容が全て不揮発性メモリであるSSD30へコピーされる。
【0051】
一方、符号A4に示すように、DRAM21においては、ログの書き込みが継続される。
【0052】
図5は、
図1に示したプリンタ装置100における管理テーブル201を例示する図である。
【0053】
管理テーブル201には、例えば、データサイズと直近印刷時間と印刷時間履歴(1~5回前)と最大印刷時間(max)と最小印刷時間(min)と印刷時間変動(Δ=max-min)と合計印刷時間(Σ)と平均印刷時間と印刷履歴5回分の標準偏差とカレントσ(Cσ:直近印刷時間と平均印刷時間との差)とが対応付けられている。
【0054】
管理テーブル201には、データサイズ(KB)毎に例えばNo.1~10の10種のレコードが記録されている。同じ帳票の印刷処理でも記載内容によっては、数KBの差が発生する可能性があるため、同一のデータサイズとして判断する実データサイズに幅を持たせてよい。
図5に示す例では、データサイズ±2KB以内であれば同一データサイズとして、一種類のレコードに記録される。
【0055】
印刷時間履歴(1~5回前)においては、それぞれのデータサイズごとに最大5回までの印刷時間(秒)が記録されてよい。なお、データサイズの種類やデータサイズ毎の記録回数は、DRAM21のメモリ容量に応じて増減可能である。
【0056】
図5に示す例では、符号B1に示すように、NO.6のレコードにおいて、データサイズが1028KB(データサイズ幅が1026~1030KB)のデータについて、直近印刷時間が55秒であった。NO.6のレコードにおいて、1~5回前の印刷時間履歴はそれぞれ40秒,35秒,34秒,28秒,40秒であり、最大印刷時間は40秒で、最小印刷時間は28秒で、印刷時間変動Δは12で、合計印刷時間は177で、平均印刷時間は35秒で、標準偏差は4.5であった。また、符号B2に示すように直近印刷時間と平均印刷時間との差であるカレントσは20秒となった。
【0057】
カレントσが標準偏差に基づく値(例えば、正規分布化した場合の統計上の異常値として3σ)を超える場合に、印刷処理に関するログが揮発性メモリから不揮発性メモリへ待避されてよい。
【0058】
別言すれば、統計処理部112は、プリンタ装置100が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶させる。異常判定部113は、印刷データを受信する毎に、印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定する。読み書き部111は、印刷時間が所定の閾値を超えた場合に、プリンタ装置100の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する。
【0059】
過去の印刷時間に基づく値は、標準偏差に限られず、平均印刷時間又は二乗平均平方根であってもよい。
【0060】
図6は、
図1に示したプリンタ装置100におけるソート後の管理テーブル201を例示する図である。
【0061】
図6に示すソート後の管理テーブル201においては、
図5に示したNO.6のレコードにおける直近印刷時間55秒が登録される前の状態であり、
図5示した直近印刷時間及びカレントσの欄が省略されている。
【0062】
図6に示すソート後の管理テーブル201においては、標準偏差が大きい順にレコードがソートされている。
【0063】
11種類目のデータサイズのデータの印刷処理が実行された場合には、印刷時間変動Δの少ない(別言すれば、標準偏差が小さい)データサイズのレコードに11種類目のデータサイズのレコードが上書きされる。
図6に示す例では、11種類目のデータサイズのデータの印刷処理が実行された場合には、NO.10のデータサイズ245KB(データサイズ幅243~247KB)のレコードに11種類目のデータサイズのレコードが上書きされる。
【0064】
図7は、
図1に示したプリンタ装置100におけるデータサイズ上書き後の管理テーブル201を例示する図である。
【0065】
図7に示す例では、NO.10のレコードが、1回前の印刷時間履歴が15秒である11種類目のデータサイズ333KB(データサイズ幅331~335KB)で上書きされている。なお、上書きされたNO.10のレコードにおいて、まだ1回前の印刷時間履歴しか記録されていないため、最大印刷時間,最小印刷時間,合計印刷時間及び平均印刷時間はいずれも15秒となり、印刷時間変動Δは0秒となり、標準偏差は0.0となる。
【0066】
別言すれば、統計処理部112は、過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする。
【0067】
〔A-2〕動作例
実施形態としてのプリンタ装置100における受信データサイズ及び印刷時間の記録処理を、
図8に示すフローチャート(S1~S7)に従って説明する。
【0068】
読み書き部111は、データを受信して印刷する(ステップS1)。
【0069】
統計処理部112は、受信したデータサイズが、規定の受信したデータサイズになく、データサイズの種類の規定の最大数に達しているかを判定する(ステップS2)。
【0070】
受信したデータサイズが、規定の受信したデータサイズになく、データサイズの種類の規定の最大数に達している(ステップS2のYESルート参照)、統計処理部112は、印刷時間の変動が少ない受信データサイズ情報に、受信データサイズ及び印刷時間を上書きして記録する(ステップS3)。そして、処理はステップS7へ進む。
【0071】
一方、受信したデータサイズが、規定の受信したデータサイズにある場合には(ステップS2のNOルート参照)、統計処理部112は、受信したデータサイズ及び印刷時間を一時保存する(ステップS4)。
【0072】
統計処理部112は、受信データサイズ毎に、平均印刷時間及び平均印刷時間に対する標準偏差を算出する(ステップS5)。
【0073】
統計処理部112は、標準偏差が規定値以内であれば、受信したデータサイズに関する各情報を記録する(ステップS6)。
【0074】
統計処理部112は、標準偏差の大きい順に受信データサイズ毎のレコードをソートする(ステップS7)。そして、受信データサイズ及び印刷時間の記録処理は終了する。
【0075】
次に、実施形態としてのプリンタ装置100における異常検知処理を、
図9に示すフローチャート(S11~S14)に従って説明する。
【0076】
異常判定部113は、受信したデータサイズに係る印刷時間が標準偏差に基づいて印刷時間の許容内かを判定する(ステップS11)。
【0077】
受信したデータサイズに係る印刷時間が標準偏差に基づいて印刷時間の許容内でない場合には(ステップS11のNOルート参照)、処理はステップS14へ進む。
【0078】
一方、受信したデータサイズに係る印刷時間が標準偏差に基づいて印刷時間の許容内である場合には(ステップS11のYESルート参照)、異常判定部113は、印刷終了かを判定する(ステップS12)。
【0079】
印刷終了でない場合には(ステップS12のNOルート参照)、処理はステップS11へ戻る。
【0080】
一方、印刷終了である場合には(ステップS12のYESルート参照)、異常判定部113は、受信したデータサイズにより更新された偏差が規定値以上かを判定する(ステップS13)。
【0081】
受信したデータサイズにより更新された偏差が規定値未満である場合には(ステップS13のNOルート参照)、異常検知処理は終了する。
【0082】
一方、受信したデータサイズにより更新された偏差が規定値以上である場合には(ステップS13のYESルート参照)、読み書き部111は、印刷ログをDRAM21から別領域のSSD30に待避させる(ステップS14)。そして、異常検知処理は終了する。
【0083】
次に、実施形態としてのプリンタ装置100における管理テーブル201の更新処理を、
図10に示すフローチャート(ステップS21~S31)に従って説明する。
【0084】
統計処理部112は、印刷処理が開始されると、受信したデータサイズが管理テーブル201に記録したデータサイズに含まれるかを判定する(ステップS21)。
【0085】
受信したデータサイズが管理テーブル201に記録したデータサイズに含まれない場合には(ステップS21のNOルート参照)、統計処理部112は、印刷変動時間が少ないデータサイズの項目に受信したデータサイズの項目を上書きする(ステップS22)。そして、印刷処理は終了する。
【0086】
一方、受信したデータサイズが管理テーブル201に記録したデータサイズに含まれる場合には(ステップS21のYESルート参照)、統計処理部112は、用紙が排出されたかを判定する(ステップS23)。
【0087】
用紙が排出されてない場合には(ステップS23のNOルート参照)、統計処理部112は、トナーエンプティや紙詰まり等のエラーや警告が発生しているかを判定する(ステップS24)。
【0088】
エラーや警告が発生していない場合には(ステップS24のNOルート参照)、統計処理部112は、用紙の排出を待ち(ステップS25)、処理はステップS23へ戻る。
【0089】
一方、エラーや警告が発生している場合には(ステップS24のYESルート参照)、読み書き部111は、ログのエラー履歴に発生事象等の情報を記録する(ステップS26)。そして、印刷処理が終了して、管理テーブル201の更新処理も終了する。
【0090】
ステップS23において、用紙が排出された場合には(ステップS23のYESルート参照)、統計処理部112は、最近に受信したデータサイズの平均印刷時間に対する変動値(又は標準偏差)が閾値以上であるかを判定する(ステップS27)。
【0091】
最近に受信したデータサイズの平均印刷時間に対する変動値が閾値未満である場合には(ステップS27のNOルート参照)、統計処理部112は、受信したデータサイズ毎の印刷時間の平均値を計算して、管理テーブル201を更新する(ステップS28)。そして、印刷処理が終了して、管理テーブル201の更新処理も終了する。
【0092】
一方、最近に受信したデータサイズの平均印刷時間に対する変動値が閾値以上である場合には(ステップS27のYESルート参照)、統計処理部112は、ウォーミングアップやクリーニング等の印刷機構の処理が実行されたかを判定する(ステップS29)。
【0093】
印刷機構の処理が実行された場合には(ステップS29のYESルート参照)、統計処理部112は、印刷機構の処理時間を印刷時間から除外して算出した値を管理テーブル201に書き込み、印刷時間履歴から平均値を算出して管理テーブル201を更新する(ステップS30)。そして、印刷処理が終了して、管理テーブル201の更新処理も終了する。
【0094】
一方、印刷機構の処理が実行されていない場合には(ステップS29のNOルート参照)、異常判定部113は想定外の異常が発生したと判断して、読み書き部111は揮発性メモリのログを不揮発性メモリに保存する(ステップS31)。そして、印刷処理が終了して、管理テーブル201の更新処理も終了する。
【0095】
〔B〕効果
上述した実施形態におけるプリンタ装置100、ログ収集プログラム及びログ収集方法によれば、例えば以下の作用効果を奏することができる。
【0096】
統計処理部112は、プリンタ装置100が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶させる。異常判定部113は、印刷データを受信する毎に、印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定する。読み書き部111は、印刷時間が所定の閾値を超えた場合に、プリンタ装置100の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する。
【0097】
これにより、収集したログ情報の上書きを防止して、障害が発生した際のログ情報を確実に収集することができる。
【0098】
過去の印刷時間に基づく値は、平均印刷時間と標準偏差と二乗平均平方根とのいずれかである。これにより、印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定を効率的に行うことができる。
【0099】
統計処理部112は、過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする。これにより、管理テーブル201のデータサイズによって記憶領域を圧迫することを防止できる。
【0100】
〔C〕その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0101】
〔D〕付記
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0102】
(付記1)
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
プロセッサを備える、プリンタ装置。
【0103】
(付記2)
前記過去の印刷時間に基づく値は、平均印刷時間と標準偏差と二乗平均平方根とのいずれかである、
付記1に記載のプリンタ装置。
【0104】
(付記3)
前記プロセッサは、
前記過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、前記過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする、
付記1又は2に記載のプリンタ装置。
【0105】
(付記4)
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
処理をコンピュータに実行させる、ログ収集プログラム。
【0106】
(付記5)
前記過去の印刷時間に基づく値は、平均印刷時間と標準偏差と二乗平均平方根とのいずれかである、
付記4に記載のログ収集プログラム。
【0107】
(付記6)
前記過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、前記過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記4又は5に記載のログ収集プログラム。
【0108】
(付記7)
プリンタ装置が外部装置から受信した印刷データのサイズ毎に、印刷処理にかかった印刷時間を対応付けて記憶し、
前記印刷データを受信する毎に、当該印刷データのサイズから参照した過去の印刷時間に基づく値に対して、当該印刷データの印刷時間が所定の閾値を超えたかを判定し、
前記印刷時間が前記所定の閾値を超えた場合に、前記プリンタ装置の内部の処理状況を示すログ情報を揮発性記憶装置から不揮発性記憶装置へ転送する、
処理をコンピュータが実行する、ログ収集方法。
【0109】
(付記8)
前記過去の印刷時間に基づく値は、平均印刷時間と標準偏差と二乗平均平方根とのいずれかである、
付記7に記載のログ収集方法。
【0110】
(付記9)
前記過去の印刷時間に基づいた標準偏差、又は、前記過去の印刷時間に基づいた最大印刷時間と最小印刷時間との差が最小である印刷データのサイズについてのレコードを、新たに受信した印刷データのサイズについてのレコードによって上書きする、
処理を前記コンピュータが実行する、付記7又は8に記載のログ収集方法。
【符号の説明】
【0111】
100 :プリンタ装置
10 :CPU
111 :読み書き部
112 :統計処理部
113 :異常判定部
11 :BSU
13 :Excpmgr
14 :CSsave
15 :EMU
16 :HIU
17 :DFU
18 :VPU
19 :TMU
12 :IOサーバ
20 :メモリ
201 :管理テーブル
21 :DRAM
30 :SSD
40 :INFL