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  • 特開-2重シールドティグ溶接方法 図1
  • 特開-2重シールドティグ溶接方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069806
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】2重シールドティグ溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/167 20060101AFI20240515BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20240515BHJP
   B23K 9/16 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
B23K9/167 A
B23K9/29 B
B23K9/16 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180021
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】下新原 春菜
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB07
4E001LB02
4E001LH04
4E001LH06
4E001NA01
(57)【要約】
【課題】2重シールドティグ溶接方法において、種々の溶接条件においてインナーガス及びアウターガスの流量を適正化して安定した溶接を行うこと。
【解決手段】インナーガス7を噴出させるインナーノズル4及びアウターガス9を噴出させるアウターノズル5を備えた溶接トーチWTを使用し、溶接電流Iwを通電して溶接する2重シールドティグ溶接方法において、溶接電流の設定値Irに応じてインナーガスの流量Fi及びアウターガスの流量Foを設定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーガスを噴出させるインナーノズル及びアウターガスを噴出させるアウターノズルを備えた溶接トーチを使用し、溶接電流を通電して溶接する2重シールドティグ溶接方法において、
前記溶接電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする2重シールドティグ溶接方法。
【請求項2】
前記溶接電流を初期電流、本電流及びクレータ電流へと経時的に切り換えて通電するクレータ溶接モードを備え、
前記初期電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記本電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記クレータ電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2重シールドティグ溶接方法。
【請求項3】
前記溶接電流をピーク電流及びベース電流に周期的に切り換えて通電するパルス溶接モードを備え、
前記ピーク電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記ベース電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2重シールドティグ溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2重シールドティグ溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インナーガスを噴出させるインナーノズル及びアウターガスを噴出させるアウターノズルを備えた溶接トーチを使用して溶接する2重シールドティグ溶接方法が慣用されている(例えば、特許文献1参照)。インナーガス及びアウターガスとしては、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-15048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2重シールドティグ溶接方法において、インナーガス及びアウターガスの流量が適正でないと、溶接状態が不安定になったりシールド不良を起こしたりする場合がある。
【0005】
そこで、本発明では、種々の溶接条件においてインナーガス及びアウターガスの流量を適正化して安定した溶接を可能とする2重シールドティグ溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
インナーガスを噴出させるインナーノズル及びアウターガスを噴出させるアウターノズルを備えた溶接トーチを使用し、溶接電流を通電して溶接する2重シールドティグ溶接方法において、
前記溶接電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする2重シールドティグ溶接方法である。
【0007】
請求項2の発明は、
前記溶接電流を初期電流、本電流及びクレータ電流へと経時的に切り換えて通電するクレータ溶接モードを備え、
前記初期電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記本電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記クレータ電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2重シールドティグ溶接方法である。
【0008】
請求項3の発明は、
前記溶接電流をピーク電流及びベース電流に周期的に切り換えて通電するパルス溶接モードを備え、
前記ピーク電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定し、
前記ベース電流の値に応じて前記インナーガス及び前記アウターガスの流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2重シールドティグ溶接方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る2重シールドティグ溶接方法によれば、種々の溶接条件においてインナーガス及びアウターガスの流量を適正化することができるので、安定した溶接が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る2重シールドティグ溶接方法を実施するための溶接装置のブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る2重シールドティグ溶接方法を示す溶接電流Iwの波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る2重シールドティグ溶接方法を実施するための溶接装置のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
【0013】
溶接トーチWTは、主に電極1、それを取り囲むインナーノズル4及びそれを取り囲むアウターノズル5を備えている。電極1には、タングステン電極等が使用される。例えば、インナーノズル4の内径は5mm、であり、アウターノズル5の内径は13mmである。
【0014】
起動スイッチONは、オン状態になるとHighレベルとなり、オフ状態になるとLowレベルになる起動信号Onを出力する。この起動スイッチONは、溶接トーチWTに設けられたトーチスイッチである。また、ロボット制御装置から起動信号Onが出力される場合もある。
【0015】
溶接モード設定回路MSは、溶接電源PSのフロントパネルに設けられたスイッチ等であり、通常溶接モードが選択されると溶接モード信号Ms=1を出力し、クレータ溶接モードが選択されると溶接モード信号Ms=2を出力し、パルス溶接モードが選択されると溶接モード信号Ms=3を出力する。
【0016】
電流設定回路IRは、上記の溶接モード信号Ms及び上記の起動信号Onを入力として、以下の1)~3)のいずれかの処理を行い、電流設定信号Irを出力する。
1)溶接モード信号Ms=1(通常溶接モード)のとき
予め定めた通常電流値となる電流設定信号Irを出力する。
2)溶接モード信号Ms=2(クレータ溶接モード)のとき
起動信号OnがHighレベルになると予め定めた初期電流値となり、その後に起動信号OnがLowレベルになると予め定めた本電流値となり、その後に起動信号Onが再びHighレベルになると予め定めたクレータ電流値となる電流設定信号Irを出力する。
3)溶接モード信号Ms=3(パルス溶接モード)のとき
予め定めたピーク電流値と予め定めたベース電流値とを予め定めた周期で繰り返す電流設定信号Irを出力する。
【0017】
インナーガス流量設定回路FIRは、上記の溶接モード信号Ms及び上記の電流設定信号Irを入力として、以下の1)~3)のいずれかの処理を行い、インナーガス流量設定信号Firを出力する。以下の通常溶接インナーガス流量設定関数、クレータ溶接インナーガス流量設定関数及びパルス溶接インナーガス流量設定関数については、後述する。
1)溶接モード信号Ms=1(通常溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めた通常溶接インナーガス流量設定関数に入力して算出された値をインナーガス流量設定信号Firとして出力する。
2)溶接モード信号Ms=2(クレータ溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めたクレータ溶接インナーガス流量設定関数に入力して算出された値をインナーガス流量設定信号Firとして出力する。
3)溶接モード信号Ms=3(パルス溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めたパルス溶接インナーガス流量設定関数に入力して算出された値をインナーガス流量設定信号Firとして出力する。
【0018】
インナーガス流量調整器CIは、慣用されているマスフローコントローラであり、上記のインナーガス流量設定信号Firを入力として、溶接中はインナーガスボンベ6からのインナーガス7の流量Fiをインナーガス流量設定信号Firによって定まる値に調整して噴出する。
【0019】
アウターガス流量設定回路FORは、上記の溶接モード信号Ms及び上記の電流設定信号Irを入力として、以下の1)~3)のいずれかの処理を行い、アウターガス流量設定信号Forを出力する。以下の通常溶接アウターガス流量設定関数、クレータ溶接アウターガス流量設定関数及びパルス溶接アウターガス流量設定関数については、後述する。
1)溶接モード信号Ms=1(通常溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めた通常溶接アウターガス流量設定関数に入力して算出された値をアウターガス流量設定信号Forとして出力する。
2)溶接モード信号Ms=2(クレータ溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めたクレータ溶接アウターガス流量設定関数に入力して算出された値をアウターガス流量設定信号Forとして出力する。
3)溶接モード信号Ms=3(パルス溶接モード)のとき
電流設定信号Irを予め定めたパルス溶接アウターガス流量設定関数に入力して算出された値をアウターガス流量設定信号Forとして出力する。
【0020】
アウターガス流量調整器COは、慣用されているマスフローコントローラであり、上記のアウターガス流量設定信号Forを入力として、溶接中はアウターガスボンベ8からのアウターガス9の流量Foをアウターガス流量設定信号Forによって定まる値に調整して噴出する。
【0021】
インナーノズル4の内側の通路をインナーガス7が流れる。また、インナーノズル4の外側とアウターノズル5の内側の通路をアウターガス9が流れる。インナーガス7及びアウターガス9にはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが使用される。アーク3は、電極1が負極となり、母材2が正極となって発生する。
【0022】
溶接電源PSは、上記の溶接モード信号Ms、上記の起動信号On及び上記の電流設定信号Irを入力として、1)~3)のいずれかの処理を行い、溶接電流Iwを出力する。
1)溶接モード信号Ms=1(通常溶接モード)のとき
起動信号OnがHighレベルになると、電極1と母材2との間に高周波高電圧を印加し、アーク3が発生すると電流設定信号Irによって設定された通常電流値の溶接電流Iwの出力を開始し、起動信号OnがLowレベルになると溶接電流Iwの出力を停止する。
2)溶接モード信号Ms=2(クレータ溶接モード)のとき
起動信号OnがHighレベルとなると、電極1と母材2との間に高周波高電圧を印加し、アーク3が発生すると電流設定信号Irによって設定された初期電流値の溶接電流Iwの出力を開始し、その後に起動信号OnがLowレベルになると電流設定信号Irによって設定された本電流値の溶接電流Iwを出力し、その後に起動信号Onが再びHighレベルになると電流設定信号Irによって設定されたクレータ電流の溶接電流Iwを出力し、その後に起動信号OnがLowレベルになると溶接電流Iwの出力を停止する。
3)溶接モード信号Ms=3(パルス溶接モード)のとき
起動信号OnがHighレベルになると、電極1と母材2との間に高周波高電圧を印加し、アーク3が発生すると電流設定信号Irによって設定されたピーク電流及びベース電流から形成される溶接電流Iwの出力を開始し、起動信号OnがLowレベルになると溶接電流Iwの出力を停止する。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態に係る2重シールドティグ溶接方法を示す溶接電流Iwの波形図である。同図(A)は通常溶接モードの場合であり、同図(B)はクレータ溶接モードの場合であり、同図(C)はパルス溶接モードの場合である。以下、同図を参照して溶接中の動作について説明する。
【0024】
(1)通常溶接モードのときの動作説明
同図(A)に示すように、時刻t1において図1の起動スイッチONがオン状態になると、アーク3が発生して溶接電流Iwの通電が開始する。時刻t2において、起動スイッチONがオフ状態になると、アーク3が消弧して溶接電流Iwの通電が停止する。溶接電流Iwの値は、図1の電流設定信号Irの通常電流値によって設定される。
【0025】
インナーガス流量(l/min)は、図1のインナーガス流量設定信号Firによって設定される。インナーガス流量設定信号Firは、電流設定信号Irを入力とする予め定めた通常溶接インナーガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
Fir=(Ir-50)/25+3 (11式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
アウターガス流量(l/min)は、図1のアウターガス流量設定信号Forによって設定される。アウターガス流量設定信号Forは、電流設定信号Irを入力とする予め定めた通常溶接アウターガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
For=(Ir-50)/25+6.5 (12式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
上記の関数によってFir及びForは以下のようになる。
Ir=75のときFir=4、For=7.5
Ir=100のときFir=5、For=8.5
Ir=150のときFir=7、For=10.5
【0026】
上述した本実施の形態によれば、溶接電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定している。これにより、溶接電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量が適正化されるので、安定した溶接を行うことができる。
【0027】
(2)クレータ溶接モードのときの動作説明
ティグ溶接においては、溶接作業時に、初期電流、本電流、クレータ電流を経時的に切り換えて溶接するクレータ溶接モードが使用される。初期電流は、溶接開始部に安定した溶融池を形成するための期間である。本電流は、健全な溶接ビードを形成するための期間である。クレータ電流は、溶接終了部の溶け落ちを防止し、充分な溶融金属を形成するための期間である。初期電流及びクレータ電流は本電流よりも小さな値に設定される場合が多い。初期電流は、母材の継手形状によっては本電流よりも大きな値に設定される場合もある。
【0028】
同図(B)に示すように、時刻t1において図1の起動スイッチONがオン状態になると、アーク3が発生して初期電流の通電が開始する。時刻t11において、起動スイッチONがオフ状態になると、本電流の通電に切り換わる。時刻t12において、起動スイッチONが再びオン状態になると、クレータ電流の通電に切り換わる。時刻t2において、起動スイッチONが再びオフ状態になると、アーク3が消弧してクレータ電流の通電が停止する。初期電流、本電流及びクレータ電流のそれぞれの値は、図1の電流設定信号Irによって設定される。
【0029】
インナーガス流量(l/min)は、図1のインナーガス流量設定信号Firによって設定される。インナーガス流量設定信号Firは、電流設定信号Irを入力とする予め定めたクレータ溶接インナーガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
Fir=(Ir-50)/25+2.5(21式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
アウターガス流量(l/min)は、図1のアウターガス流量設定信号Forによって設定される。アウターガス流量設定信号Forは、電流設定信号Irを入力とする予め定めたクレータ溶接アウターガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
For=(Ir-50)/25+6 (22式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
上記の関数によってFir及びForは以下のようになる。
初期電流Ir=75のときFir=3.5、For=7
クレータ電流Ir=100のときFir=4.5、For=8
本電流Ir=150のときFir=6.5、For=10
【0030】
上述した本実施の形態によれば、初期電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定し、本電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定し、クレータ電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定する。クレータ溶接モードのときに、通常溶接モード及びパルス溶接モードのときと同じ関数でも良いが、異なる関数によってインナーガス及びアウターガスの流量を設定することが望ましい。これは、溶接モードによってビードの形成状態が異なるために、適正なガス流量も異なるためである。この結果、クレータ溶接において、安定した溶接を行うことができる。
【0031】
(3)パルス溶接モードのときの動作説明
ティグ溶接においては、ピーク電流及びベース電流を周期的に繰り返して溶接するパルス溶接モードが使用される。ピーク電流は溶融池に(大きな入熱を付与し、ベース電流は溶融池を冷却する。パルス溶接モードでは、ピーク電流、ベース電流及び周期を変化させることによって母材への入熱を制御することができる。
【0032】
同図(C)に示すように、時刻t1において図1の起動スイッチONがオン状態になると、アーク3が発生して、ピーク電流及びベース電流から形成される溶接電流Iwが通電する。時刻t2において、起動スイッチONがオフ状態になると、アーク3が消弧して溶接電流Iwの通電が停止する。ピーク電流及びベース電流のそれぞれの値は、図1の電流設定信号Irによって設定される。
【0033】
インナーガス流量(l/min)は、図1のインナーガス流量設定信号Firによって設定される。インナーガス流量設定信号Firは、電流設定信号Irを入力とする予め定めたパルス溶接インナーガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
Fir=(Ir-50)/25+2(31式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
アウターガス流量(l/min)は、図1のアウターガス流量設定信号Forによって設定される。アウターガス流量設定信号Forは、電流設定信号Irを入力とする予め定めたパルス溶接アウターガス流量設定関数によって設定される。関数の例を以下にしめす。
For=(Ir-50)/25+5.5 (32式)
但し、75≦Ir≦150の範囲である。Ir<75はIr=75と同一値であり、Ir>150のときはIr=150と同一値である。
上記の関数によってFir及びForは以下のようになる。
ベース電流Ir=75のときFir=3、For=6.5
ピーク電流Ir=150のときFir=6、For=9.5
【0034】
上述した本実施の形態によれば、ピーク電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定し、ベース電流の値に応じてインナーガス及びアウターガスの流量を設定する。パルス溶接モードのときに、通常溶接モード及びクレータ溶接モードのときと同じ関数でも良いが、異なる関数によってインナーガス及びアウターガスの流量を設定することが望ましい。これは、溶接モードによってビードの形成状態が異なるために、適正なガス流量も異なるためである。この結果、パルス溶接において、安定した溶接を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 電極
2 母材
3 アーク
4 インナーノズル
5 アウターノズル
6 インナーガスボンベ
7 インナーガス
8 アウターガスボンベ
9 アウターガス
CI インナーガス流量調整器
CO アウターガス流量調整器
Fi インナーガス流量
FIR インナーガス流量設定回路
Fir インナーガス流量設定信号
Fo アウターガス流量
FOR アウターガス流量設定回路
For アウターガス流量設定信号
IR 電流設定回路
Ir 電流設定信号
Iw 溶接電流
MS 溶接モード設定回路
Ms 溶接モード信号
ON 起動スイッチ
On 起動信号
PS 溶接電源
WT 溶接トーチ
図1
図2