(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069821
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】刺入深度識別マークとマーカー押印付きストッパー型使い捨て鍼管
(51)【国際特許分類】
A61H 39/08 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A61H39/08 H
A61H39/08 R
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180048
(22)【出願日】2022-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】520125243
【氏名又は名称】平岡 光一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 光一
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101DA01
4C101DA16
4C101DC01
4C101EB11
(57)【要約】
【課題】 鍼灸鍼治療に用いる長さ識別マークとマーカー押印付きストッパー型使い捨て鍼管を提供する。
【解決手段】 鍼灸鍼療法に用いられる上下組み合わせ式鍼管であって、単体の筒状で既存鍼の鍼柄より大きな内径を有する上部鍼管1と、上部鍼管1を上方に被嵌させ軸方向中間部に係止鍔3を有する下部鍼管2とから構成されている。
下部鍼管2の長さは通常多く用いられる鍼(6センチ)の全長から刺入分を差し引いて決定されるとともに内部を先細りのテーパー形状4に形成し、その先端にマーカー用の押印突起5を設け、係止鍔3は上部鍼管1の外径より大きな径に形設され、さらに係止鍔3は刺入深度確認用のためそれぞれ異なる形状に形成されている。
既存の鍼体の鍼柄より細い下部鍼管2上端がストッパーになり、それ以上鍼は刺入しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍼灸鍼療法に用いられる上下組み合わせ式鍼管であって、単体の筒状で既存鍼の鍼柄より大きな内径を有する上部鍼管と、該上部鍼管を上方に被嵌させ軸方向中間部に係止鍔を有する下部鍼管とからなり、該下部鍼管の長さは通常多く用いられる鍼の全長から刺入分を差し引いて決定されるとともに内部を先細りのテーパー形状に形成し、その先端にマーカー用の押印突起を設け、前記係止鍔は前記上部鍼管の外径より大きな径に形設され、さらに前記係止鍔は刺入深度確認用のためそれぞれ異なる形状に形成されていることを特徴とする、刺入深度識別マークとマーカー押印付きストッパー型使い捨て鍼管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鍼灸鍼療法に用いられる、刺入深度識別マークとマーカー押印付きストッパー型使い捨て鍼管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鍼灸鍼療法に用いられる鍼管は色々開発されており、その形状も単体の物や2~3に分割するもの、鍼柄ごと鍼管に入れて切皮後に鍼管の途中の切れ目から分断し、さらに鍼を刺入するものなど様々な形態がある。
【0003】
従来の鍼管は主に鍼の折れ曲がりや折鍼事故と感染症保護対策が目的であるが、感染症対策は患者側に立ったものであり、施術者の指が鍼に直接触れないようにするのが主目的である。
また、従来の鍼管は抜鍼の際に患者の体液が鍼管に付着し、その鍼管を使いまわすために衛生管理上の問題があった。
上記の問題を解決する鍼管の発明としては、特開2008-43817公報(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は鍼体1と鍼管3がセットになった発明であり、鍼管3の上部に移動可能な鍼体保持詰め物4を介して鍼体1を押し下げ、鍼管3上端のストッパー5が鍼柄2を止める発明であり、主目的は患者と施術者、及び廃棄業務など第三者の感染予防にある。
【0006】
そのため鍼先が鍼管内に収納されていることから、鍼管の長さよりも長い鍼を使用する必要があり、患者の体内への刺入は施術者の勘に頼ることになり、ストッパー効果は半減する。
【0007】
また、現在では衛生志向の高まりから廉価な使い捨て鍼が主流になっており、それに対応する鍼管が求められていた。
本発明は、従来型鍼管の持つ欠点に鑑み、上記の課題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鍼灸鍼療法に用いられる上下組み合わせ式鍼管であって、単体の筒状で既存鍼の鍼柄より大きな内径を有する上部鍼管1と、上部鍼管1を上方に被嵌させ軸方向中間部に係止鍔3を有する下部鍼管2とから構成されている。
下部鍼管2の長さは通常多く用いられる鍼(6センチ)の全長から刺入分を差し引いて決定されるとともに内部を先細りのテーパー形状4に形成し、その先端にマーカー用の押印突起5を設け、係止鍔3は上部鍼管1の外径より大きな径に形設され、さらに係止鍔3は刺入深度確認用のためそれぞれ異なる形状に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下に述べる効果を有する。
1、 下部鍼管2がストッパーとなり、必要深度以上の刺入を防げる。
2、下部鍼管2先端の押印突起5でマーカーでき、消毒液でマーカーが消えることはない。
3、下部鍼管2は使い捨てで、鍼と一緒に廃棄するので感染予防対策が完全である。
4、下部鍼管2内部の先細りテーパー形状4で簡単に鍼を中央に導くことができる。
5、現在主流の使い捨て鍼に対応でき、従来の鍼も使えるため鍼通電治療にも使用できる。
6、鍔3の異なる形状で盲人の施術者にも触感で識別できる。
7、被施術者にも鍼の刺入深度が分かる。
8、上記の構成により、衛生面と鍼の折れ曲がりや折鍼事故を解消する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
鍼灸鍼療法に用いられる上下組み合わせ式鍼管であって、単体の筒状で既存鍼の鍼柄より大きな内径を有する上部鍼管1と、上部鍼管1を上部に被嵌させ軸方向中間部に係止鍔3を有する下部鍼管2とから構成されている。
下部鍼管2の長さは通常多く用いられる鍼(6センチ)の全長から刺入分を差し引いて決定されるとともに内部を先細りのテーパー形状4に形成し、その先端にマーカー用の押印突起5を設け、係止鍔3は上部鍼管1の外径より大きな径に形設され、さらに係止鍔3は刺入深度確認用のためそれぞれ異なる形状に形成されている。
【0012】
本発明は以上の構成から、下部鍼管2の全長は使用する鍼の刺入深度から決定され、また下部鍼管2の上端が鍼柄より細いためストッパーになり鍼はそれ以上刺入せず、体動による自動刺入を防ぎ事故防止にもつながる。
【0013】
中間部に設けた係止鍔3は、上部鍼管1の下端を係止すると同時に鍼の刺入長さの確認用も兼ねるため、係止鍔3はそれぞれ異なる形状に形設されている。(例えば、2センチ刺しは丸形、3センチ刺しは楕円形、4センチ刺しは外周にギザギザの付いた丸形等)。
係止鍔3の形状により盲人の施術者も触覚で判別でき、さらに健常者の施術者や患者には治療中の複数本の鍼の刺入深度を目視で確認できるというメリットがある。
【0014】
また、従来は施術部位に水性ペンで印(マーカー)をしているが、その後の消毒で消えることもあり、マーカー用の水性ペンは使いまわすので不衛生という問題もあった。
本発明では水性ペンに替わるものとして、下部鍼管2の下部先端に押印突起を設け、皮膚の施術部位に押し付けることにより、皮膚のフレア現象で赤くなるのでマーカーの代用としている。
【実施例0015】
図1は、本発明の一実施例の分割斜視図である。
以下に実施例について、各図を参照にして本発明の作用及び動作を説明する。
上部鍼管1は単体の筒状であり、下部鍼管2の上部に被嵌させ、上部鍼管1の下端は係止鍔3により係止される。
上部鍼管1に鍼を挿入する。
【0016】
図2は、本発明の組み合わせ断面図である。
下部鍼管2に被嵌した上部鍼管1は係止鍔3により係止され、下部鍼管2の内部は先細りのテーパー形状4に形成されており、先端にはマーカー用の押印突起5が設けられている。
下部鍼管2の長さは最も多く用いられる鍼(6センチ)の全長から刺入深度を考慮して決定する。
【0017】
上部鍼管1に挿入された鍼はテーパー形状4に沿って中央に導かれ鍼はほぼ中央に位置する。
上部鍼管1を取り除いた後、施術者は下部鍼管2の下部を押手でつまみ、刺手で鍼柄の頭を刺手で軽く叩いて切皮し鍼柄を左右に回しながら下部鍼管2の上端に達するまで刺入する。
抜鍼の際は下部鍼管2の下部を押手でつまみ、刺手で鍼柄を左右に回しながら鍼を抜き取り施術完了となり、使用した鍼と下部鍼管2はそのまま廃棄する。
【0018】
図3は、本発明の一実施例の下部鍼管断面図である。
上部鍼管1に挿入した鍼はテーパー形状4に沿って中心部に導かれて皮膚面に達する。
上部鍼管1を装着したまま鍼柄の頭を軽く叩いて切皮し上部鍼管1を取り除いた後、鍼柄を保持しながら下部鍼管2の上端に接するまで刺入する。
下部鍼管2の全長は使用する鍼の刺入深度に合わせており、筋肉の蠕動・体動等によりそれ以上刺入することは無い。
【0019】
図4は、本発明の鍼通電治療の施術時の収まり図である。
長めの鍼を使用して患部の離れた位置の2か所に刺入し、下部鍼管2の上端より突出した鍼に通電クリップを挟み込むため、直接患者の皮膚に触れることはなく衛生的である。
本発明の上下組み合わせ式鍼管は、施術者と患者双方の衛生面・安全面を考慮して使い捨てを前提としており、鍼は設定以上の深度以上は刺入しないストッパー付なので気胸事故などを防ぎ、さらに従来の鍼通電治療にも使えることから産業上の利用可能性が高い。
下部鍼管2の中間部に設けた係止鍔3は、上部鍼管1の下端を係止すると同時にセットの鍼の刺入長さの確認用も兼ねるため、係止鍔3はそれぞれ異なる形状に形設されている。(例えば、2センチ刺しは丸形、3センチ刺しは楕円形、4センチ刺しは外周にギザギザの付いた丸形等)。
係止鍔3の形状により盲人の施術者も触覚で判別でき、さらに健常者の施術者や患者には治療中の複数本の鍼の刺入深度を目視で確認できるというメリットがある。