(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069824
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】育苗用ポット
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20240515BHJP
【FI】
A01G9/02 603
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180052
(22)【出願日】2022-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】510140906
【氏名又は名称】株式会社環緑
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】中山 賀央
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327RC26
2B327SA23
2B327SB01
(57)【要約】
【課題】 大きさを変更することができる製造性、作業性の良い育苗用ポットを提供すること。
【解決手段】 開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の辺6の中間位置までの長さをL1としたとき、中間位置には、長さL1を拡張可能な1つ以上の可変部7を有し、ポット本体4は、長さL1が拡張されていない第一状態と、長さL1が拡張されるとともに、第一状態の辺6の中間位置に、第一状態の多角形の頂部5以外に追加される追加頂部5aが形成された第二状態と、をとることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面が多角形に形成された筒状の周面部(1)と、
周面部(1)の下端側を閉塞する底部(2)と、
周面部(1)の上端側が開口された開口端部(3)と、を具備し、
周面部(1)と底部(2)と開口端部(3)が同一の材料から一体的に形成されたポット本体(4)を有する育苗用ポットにおいて、
開口端部(3)におけるポット本体(4)の中心(O)から開口端部(3)の周縁の多角形の辺(6)の中間位置までの長さを(L1)としたとき、
前記中間位置には、長さ(L1)を拡張可能な1つ以上の可変部(7)を有し、
前記ポット本体(4)は、
前記長さ(L1)が拡張されていない第一状態と、
前記長さ(L1)が拡張されるとともに、前記第一状態の辺(6)の中間位置に、第一状態の多角形の頂部(5)以外に追加される追加頂部(5a)が形成された第二状態と、をとることができる育苗用ポット。
【請求項2】
請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、
開口端部(3)におけるポット本体(4)の中心(O)から開口端部(3)の周縁の多角形の頂部(5)までの長さを(L2)としたとき、
第二状態における前記頂部(5)までの長さ(L2)と、前記中間位置までの拡張された長さ(L1)とが略一致する育苗用ポット。
【請求項3】
請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、
第一状態における開口端部(3)の周縁の多角形の各辺(6)には、ポット本体(4)と同一の材料から一体的に形成された剛性部(8)が形成されており、
その剛性部(8)の一部に、剛性部(8)の剛性を部分的に弱めて前記長さ(L1)を拡張可能な可変部(7)が形成されることを特徴とする育苗用ポット。
【請求項4】
請求項3に記載の育苗用ポットにおいて、
第一状態における剛性部(8)の長さ(L3)と、多角形の辺(6)の長さ(L4)とが略一致する育苗用ポット。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、
前記剛性部(8)として、前記周面部(1)の内側に、前記開口端部(3)の上縁(9)から前記底部(2)側へ折返された折返し部(10)が形成されており、
その折返し部(10)の端部(11)に一体的に舌片部(12)が形成され、その舌片部(12)の先端は自由端(13)となっており、
舌片部(12)には、その自由端(13)から前記折返し部(10)の端部(11)へ延びる1以上の切取り線(15)またはスリット(14)が形成され、
第一状態の可変部(7)が、前記切取り線(15)またはスリット(14)と前記折返し部(10)の端部(11)の付根に形成されることを特徴とする育苗用ポット。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、
前記剛性部(8)として、前記開口端部(3)の上縁(9)から前記周面部(1)の内側または外側に、前記底部(2)側へ折返された折返し部(10)が形成され、
折返し部(10)の先端は、自由端(10a)となっており、その自由端(10a)から前記上縁(9)へ延びる1以上の切取り線(15)またはスリット(14)が形成され、
第一状態の可変部(7)が、前記切取り線(15)またはスリット(14)と上縁(9)の付根に形成されることを特徴とする育苗用ポット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果樹などの樹木や花、野菜等の育苗用ポットに関し、ポット本体の大きさを変化させることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の育苗用ポットは、底部と周面部と蓋部とが一体に形成されているものである。
この公報の蓋部は複数の舌片部からなり、その舌片部がクロスして重なり合うことにより、育苗ポットの上部を覆う。また、舌片部は、クロスして重なっている部分を容易に外すことができるため、作業性の優れた育苗用ポットを提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の育苗用ポットは、苗の大きさに応じて、育苗用ポットの大きさを変更させる必要があり、育苗用ポットを数種類の大きさの異なる型ごとに複数作成しておく必要があった。そのため、育苗用ポットの製造コストがかかると共に、その管理に手間がかかる欠点があった。
そこで本発明は、上記欠点を解決する育苗用ポットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、平面が多角形に形成された筒状の周面部1と、
周面部1の下端側を閉塞する底部2と、
周面部1の上端側が開口された開口端部3と、を具備し、
周面部1と底部2と開口端部3が同一の材料から一体的に形成されたポット本体4を有する育苗用ポットにおいて、
開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の辺6の中間位置までの長さをL1としたとき、
前記中間位置には、長さL1を拡張可能な1つ以上の可変部7を有し、
前記ポット本体4は、
前記長さL1が拡張されていない第一状態と、
前記長さL1が拡張されるとともに、前記第一状態の辺6の中間位置に、第一状態の多角形の頂部5以外に追加される追加頂部5aが形成された第二状態と、をとることができる育苗用ポットである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、
開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の頂部5までの長さをL2としたとき、
第二状態における前記頂部5までの長さL2と、前記中間位置までの拡張された長さL1とが略一致する育苗用ポットである。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、
第一状態における開口端部3の周縁の多角形の各辺6には、ポット本体4と同一の材料から一体的に形成された剛性部8が形成されており、
その剛性部8の一部に、剛性部8の剛性を部分的に弱めて前記長さL1を拡張可能な可変部7が形成されることを特徴とする育苗用ポットである。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の育苗用ポットにおいて、
第一状態における剛性部8の長さL3と、多角形の辺6の長さL4とが略一致する育苗用ポットである。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、
前記剛性部8として、前記周面部1の内側に、前記開口端部3の上縁9から前記底部2側へ折返された折返し部10が形成されており、
その折返し部10の端部11に一体的に舌片部12が形成され、その舌片部12の先端は自由端13となっており、
舌片部12には、その自由端13から前記折返し部10の端部11へ延びる1以上の切取り線15またはスリット14が形成され、
第一状態の可変部7が、前記切取り線15またはスリット14と前記折返し部10の端部11の付根に形成されることを特徴とする育苗用ポットである。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、
前記剛性部8として、前記開口端部3の上縁9から前記周面部1の内側または外側に、前記底部2側へ折返された折返し部10が形成され、
折返し部10の先端は、自由端10aとなっており、その自由端10aから前記上縁9へ延びる1以上の切取り線15またはスリット14が形成され、
第一状態の可変部7が、前記切取り線15またはスリット14と上縁9の付根に形成されることを特徴とする育苗用ポットである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の辺6の中間位置までの長さをL1としたとき、前記中間位置には、長さL1を拡張可能な1つ以上の可変部7を有し、前記ポット本体4は、前記長さL1が拡張されていない第一状態と、前記長さL1が拡張されるとともに、前記第一状態の辺6の中間位置に、第一状態の多角形の頂部5以外に追加される追加頂部5aが形成された第二状態と、をとることができるものである。
この構成により、ポット本体4の開口端部3の大きさを、第一状態より大きな第二状態に自由に変えることができる。つまり、培土18を入れるポット本体4の容積を自由に変更することができる。それ故、1つの型の育苗用ポットで、ある程度の大きさの苗にも応じることができ、製造コストが低減できる。それと共に、製造すべき育苗用ポットの型の種類が減少するため、その管理が容易となる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の頂部5までの長さをL2としたとき、第二状態における前記頂部5までの長さL2と、前記中間位置までの拡張された長さL1とが略一致するものである。
この構成により、第二状態における各頂部5及び各追加頂部5aの中心Oからの長さが略一致するため、第二状態においても体裁のよい育苗用ポットを提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の育苗用ポットにおいて、第一状態における開口端部3の周縁の多角形の各辺6には、ポット本体4と同一の材料から一体的に形成された剛性部8が形成されており、その剛性部8の一部に、剛性部8の剛性を部分的に弱めて前記長さL1を拡張可能な可変部7が形成されるものである。
この構成により、開口端部3の周縁の多角形の各辺6の剛性を高め、通常使用のポット本体4の第一状態を保持するとともに、必要に応じてその剛性を可変部7により部分的に弱め、第一状態より容積の大きい第二状態へ変更でき、残っている剛性部8によって第二状態の各辺6の形状も十分に保持することができるものとなる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の育苗用ポットにおいて、第一状態における剛性部8の長さL3と、多角形の辺6の長さL4とが略一致するものである。
この構成により、剛性部8の辺6の延びる方向への長さL3が、第一状態における多角形の辺6の長さL4と略一致することで、第一状態の開口端部3の形状を十分に保持することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、 剛性部8として、折返し部10が形成されており、その折返し部10の端部11に一体的に舌片部12が形成され、その舌片部12の先端は自由端13となっているもので、その舌片部12には、その自由端13から前記折返し部10の端部11へ延びる1以上の切取り線15またはスリット14が形成され、第一状態の可変部7が、その切取り線15またはスリット14と前記折返し部10の端部11の付根に形成されているものである。
この構成により、舌片部12が形成された育苗用ポットにおいて、簡易な構造で、第一状態の開口端部3から第二状態への形状変更を行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の育苗用ポットにおいて、 剛性部8として、折返し部10が形成されており、折返し部10の先端が自由端10aとなっており、その自由端10aから上縁9へ延びる1以上の切取り線15またはスリット14が形成され、第一状態の可変部7が、前記切取り線15またはスリット14と上縁9の付根に形成されているものである。
この構成により、舌片部12が形成されていない育苗用ポットにおいても、簡易な構造で、第一状態の開口端部3から第二状態への形状変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の育苗用ポットの第1の実施例の第一状態の形状を示し、(A)は斜視図、(B)はその使用状態を示す斜視図。
【
図2】同第1の実施例の育苗用ポットを示し、(A)はその展開図、(B)は舌片部12の折り曲げ工程を示し、(C)は組立てられたポット本体4の斜視図。
【
図3】同第1の実施例の第一状態を示し、(A)はその平面図、(B)は斜視図、(C)は底面図。
【
図4】同第1の実施例の第二状態を示し、(A)はその平面図、(B)は斜視図、(C)は底面図。
【
図5】本発明の育苗用ポットの第2の実施例を示し、(A)はその第一状態の平面図、(B)はその第二状態を示す平面図。
【
図6】本発明の育苗用ポットの第3の実施例を示し、(A)はその展開図、(B)は折返し部10の折り曲げ工程を示し、(C)は組立てられたポット本体4の斜視図。
【
図7】同第3の実施例を示し、(A)はその第一状態の平面図を示し、(B)はその第二状態を示す平面図。
【
図8】本発明の育苗用ポットの他の実施例を示し、(A)はその第一状態の平面図を示し、(B)はその第二状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、本発明の各実施の形態に共通する構成について、説明する。
本発明の育苗用ポットのポット本体4は、その構成要素として、少なくとも平面視で多角形に形成された筒状の周面部1と、周面部1の下端側を閉塞する底部2と、周面部1の上端側が開口された開口端部3とを備えている。
周面部1と底部2と開口端部3は、同一の材料から一体的に形成されている。
その材料は、柔軟性を有するものが好適であり、その一例として、遮光性を有する不織布が使用できる。材料は、不織布に限らず、紙等の加工が比較的容易な材料であれば、代用できる。
【0019】
このポット本体4は、開口端部3の周縁の多角形の辺6の中間位置に、1つ以上の可変部7を有する。この可変部7は、開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の辺6の中間位置までの長さをL1(以降、長さL1と省略する。)としたとき、その長さL1を必要に応じて拡張することができる。
そして、ポット本体4は、長さL1が拡張されていない第一状態と、長さL1が拡張される第一状態の辺6の中間位置に、第一状態の多角形の頂部5以外に追加される追加頂部5aが形成された第二状態と、をとることができるようになっている。
開口端部3における長さL1が拡張された第二状態をとる時、開口端部3が第一状態より大きくなり、それに伴い、ポット本体4の内部空間の容積を第一状態より大きくすることができる。
この構成の発明の効果は、前述の通りである。
【0020】
上記構成について補足すると、第二状態では、第二状態の追加頂部5aの形成に伴い、
図4(B)に示す如く、ポット本体4の全体の高さHに対して、開口端部3からポット本体4の中間位置までの高さH1までの周面部1に、追加頂部5aの形状が反映される周面拡張部1aが形成される。
これにより、第二状態ではポット本体4の全体の容量が第一状態より大きくなる。
【0021】
この育苗用ポットについて、第一状態の開口端部3の多角形の形状の保持と、第一状態から頂部が追加された第二状態へ形状変更したときの第二状態の開口端部3の多角形の形状の保持の両者を兼ねる構成として、次のようにすることができる。
第一状態における開口端部3の周縁の多角形の各辺6に、剛性部8が形成されている状態とする。この剛性部8は、ポット本体4と同一の材料であり、ポット本体4に一体的に形成されている。
この剛性部8の一部に、可変部7が形成されている。この可変部7を有することにより、剛性部8の可変部7の近傍の剛性を部分的に弱めて長さL1を拡張可能にし、第二状態への形状変更が容易となっている。
下記の各実施例では、剛性部8は、本発明における実施例1、実施例2、実施例3の折返し部10に相当し、剛性部8に連続する部材は、本発明における実施例1、実施例2の舌片部12が相当する。
【0022】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
【実施例0023】
(育苗用ポットの第一状態)
図1(A)、
図1(B)及び
図3(A)~
図3(C)は、第1の実施例の第一状態の形状を示す。
図2(A)~
図2(C)は、同実施例の展開状態と、その製造工程を示す。
この育苗用ポットは、
図1(A)に示す如く、平面視で方形に形成された筒状の周面部1が形成されており、その下端側が底部2で閉塞されている。周面部1の上端側は、開口された開口端部3となっている。
周面部1の内側には、開口端部3の上縁9から底部2側へ折返された剛性部8となる折返し部10が形成されており、その折返し部10の端部11に一体的に舌片部12が形成されている。その舌片部12の先端は、自由端13となっている。
【0024】
この育苗用ポットは、
図2(A)の展開図に示す如く、育苗用ポットの底部2、周面部1、折返し部10、及び舌片部12は、一枚の型から一体的に構成されている。
育苗用ポットの展開状態においては、周面部1が扇状に形成されている。周面部1の各面の下方には、底部2を形成する底用舌片2aが形成されている。そして、周面部1の各面の上方には、蓋を形成する舌片部12が折返し部10を介して形成されている。
この例では、第一状態における折返し部10(剛性部8)の長さL3(以降、長さL3と省略する。)と、第一状態における開口端部3の多角形の辺6の長さL4(以降、長さL4と省略する。)とは略一致し、第一状態における剛性部8の長さL3が多角形の辺6の長さL4より若干短く形成されている。ただし、第一状態における剛性部8の長さL3が多角形の辺6の長さL4と一致していてもよい。
なお、第一状態の舌片部12の幅の最長部は折返し部10の端部11に存在し、舌片部12の最長部の幅L5は長さL3と同一となる。具体的には、
図1(A)、
図2(A)のように、舌片部12は、折返し部10の端部11から半円状に形成されている。
この例では、舌片部12の先端は先割れした欠切部16となっている。
【0025】
本育苗用ポットは、
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)の順で形成される。
周面部1は、その左右の両端に位置する接続しろ17を重ね合わせて接合することで、
図2(B)のように、方形の筒状となる。各底用舌片2aが、
図2(C)の如く、互いに重なり合い接合されて、底部2が形成されている。
周面部1の上部に形成された折返し部10は、
図2(B)に記載の如く、周面部1の内側に底部2側に向けて畳まれる。次に、
図2(C)に記載の如く、折返し部10の端部11の位置から、舌片部12の先端がポット本体4の上方に向けて折り畳まれる。
各折返し部10は、周面部1の内面に接合されている。また、各舌片部12は、それぞれの折返し部10に仮固定される。
【0026】
本実施例では、舌片部12の自由端13(切欠部16の窪み位置)から折返し部10の端部11へ延びるスリット14が形成されている。
スリット14は第一状態の形状を保持する観点から、
図1~
図3の各図に記載の通り、舌片部12の自由端13から折返し部10の端部11の手前まで形成している状態が好ましい。そして、
図1(A)に示す如く、折返し部10の端部11とスリット14の延長線上の付根に、可変部7を有する。
この形状が、第1の実施例の育苗用ポットの第一状態となる。
この状態では、
図3(A)に示す如く、長さL1は拡張されておらず、開口端部3におけるポット本体4の中心Oから開口端部3の周縁の多角形の頂部5までの長さL2(以降、長さL2と省略する。)よりも短い。
また、この状態では、底部2の平面形状も、開口端部3の平面形状も方形である。
【0027】
この育苗用ポットは、
図1(B)に示す如く、ポット本体4の内部に培土18を入れると共に、そこに苗19を植えて使用する。
次いで、ポット本体4を第一状態のまま使用する時は、培土18の表面を覆うように、
図1(B)に示す如く、仮固定された各舌片部12を引き戻して、隣接する舌片部12の一部をクロスしながら順に重ね合わせて、培土18を覆う蓋を形成する。
【0028】
(育苗用ポットの第二状態)
苗の状態によっては、上記育苗用ポットの第一状態の容積では足りない場合がある。
本発明の育苗用ポットは、使用状況に合わせて、第一状態よりも大きい容積を持つ第二状態に変形できる。
図4(A)~
図4(C)は、その育苗用ポットの第二状態を示している。
第二状態では、長さL1が拡張されるとともに、第一状態の可変部7の位置に追加頂部5aが形成されている。
図4(A)に示す如く、この状態の長さL1は長さL2と略一致する状態となる。この略一致とは、中間位置までの拡張された長さL1が頂部5までの長さL2とが完全に一致する状態だけでなく、中間位置までの拡張された長さL1が頂部5までの長さL2より若干短い状態や、若干長い状態を含む表現である。
第1の実施例の第二状態では、底部2の平面形状は方形であるが、開口端部3の平面形状は八角形である。
前述のように、長さL1が拡張されることにより、第二状態ではポット本体4の全体の容量が第一状態より大きくなる。
【0029】
第一状態から第二状態にする場合、第一状態の舌片部12の自由端13から折返し部10の端部11の手前まで形成されたスリット14を、はさみ等により、折返し部10の端部11の可変部7の位置まで切れ込みを延長する。これにより、可変部7のある位置で、舌片部12および折返し部10の剛性が弱まり、可変部7の位置に第二状態の追加頂部5aが形成される。
この時、折返し部10は、開口端部3の追加頂部5aの位置で剛性を失うが、その他の部分の剛性は残っているため、第二状態の開口端部3の形状を十分保持できる。
この第1の実施例では、第一状態では4枚の舌片部12を有し、第二状態では延長されたスリット14により、8枚の分割された分割舌片部12aが形成されている。そして、各分割舌片部12aの一部をクロスして重ね合わせて、
図4(A)の状態とする。