(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069828
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】キャニスタ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
F02M25/08 311A
F02M25/08 311C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180059
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】永作 友一
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA40
3G144GA11
3G144GA12
(57)【要約】
【課題】配置の自由度を確保し、部品コストの低減を図る上で有利なキャニスタを提供する。
【解決手段】コネクタ18は大気ポート28を覆うように大気ポート28に取り付けられ、コネクタ18には、大気開放管の端部に設けられたクイックコネクタが着脱可能に取り付けられるコネクタポート30が設けられている。コネクタ18が大気ポート28に取り付けられた状態で、コネクタ18は、第1筒部36および第2筒部38の半径方向外側に位置する大径筒部46と、大径筒部46と同軸上で大径筒部46から突出する小径筒部48と、大径筒部46の先端と小径筒部48の基端とを接続する環板部50とを備えている。嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、第2筒部38の外面とコネクタ18の内面1802との間に空間部56が確保される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャニスタケースから突出され被嵌合部が形成された第1筒部と、前記第1筒部から突出され前記第1筒部よりも小径の第2筒部とを含む大気ポートが設けられ、
コネクタポートを有するコネクタは、前記被嵌合部に嵌合される嵌合部を備え、
前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した状態で、前記第2筒部の外面と前記コネクタの内面との間に空間部が確保される、
ことを特徴とするキャニスタ。
【請求項2】
前記キャニスタケースは活性炭を収容しており、
前記活性炭の端部は前記第1筒部に収容され、
前記活性炭の端部が前記第1筒部に収容された状態で前記活性炭の端部の外周面と前記第1筒部の内周面との間をシールする第1シール部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のキャニスタ。
【請求項3】
前記活性炭の端部が前記第1筒部の内部における端面に当接された状態で、前記活性炭は前記キャニスタケースに保持されている、
ことを特徴とする請求項2記載のキャニスタ。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記第1筒部の外周面に設けられ前記第1筒部の周方向に延在する凹部で形成され、
前記第1シール部は、前記凹部に対して前記第1筒部の軸心方向に変位した箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載のキャニスタ。
【請求項5】
前記コネクタが前記第1筒部に嵌合した状態で、前記コネクタの内面は前記第1筒部の外周面の半径方向外側に位置する内周面を有し、
前記コネクタの内周面と前記第1筒部の外周面との間をシールする第2シール部が、前記第1シール部に対して前記第1筒部の軸心方向に変位した箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項4記載のキャニスタ。
【請求項6】
前記第1筒部の先端と前記第2筒部の基端とは環状板部で接続され、
前記第2シール部は、前記コネクタの内周面と前記環状板部の外周面との間をシールする、
ことを特徴とする請求項5記載のキャニスタ。
【請求項7】
前記コネクタが前記第1筒部に嵌合した状態で、前記コネクタポートの軸心方向と前記第2筒部の軸心方向とは異なっている、
ことを特徴とする請求項1記載のキャニスタ。
【請求項8】
前記コネクタポートの軸心方向は、上方を向いている、
ことを特徴とする請求項7記載のキャニスタ。
【請求項9】
前記コネクタが前記第1筒部に嵌合した状態で、前記コネクタポートと前記第2筒部とを接続する前記空間部の部分に防塵防水用のフィルタが設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のキャニスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャニスタに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を駆動源とする車両には、燃料タンク内の燃料から蒸発する燃料蒸発ガスを燃料吸着材により吸着することで大気中への燃料蒸発ガスの放出を防止し、大気汚染の抑制を図るキャニスタが設けられている。
キャニスタには、キャニスタ内に外気を導入する大気ポートが設けられ、燃料吸着材に吸着された燃料を大気ポートから導入された外気と共にエンジンに供給して燃焼させる構成となっている。
大気ポートには、大気開放管の一端が接続部として接続され、大気開放管の他端は大気側に開放された大気開放口となっている。
大気開放管の接続部の形状は、車種に応じて様々であり、例えば、大気開放管の一端をそのまま接続部として使用するもの、あるいは、大気開放管の一端に設けた大気開放管側のクイックコネクタを接続部として使用するものなどがある。
この場合、キャニスタの大気ポートを大気開放管の接続部の仕様に合わせていちいち設計し直すことはコスト面から不利となる。
そのため、現状では、以下のように対応している。
すなわち、大気ポートを筒部として形成しておく。
大気開放管の接続部が大気開放管の一端で構成されている場合は、大気開放管の接続部を筒部に直接接続する。
大気開放管の接続部が大気開放管側クイックコネクタで構成されている場合には、中間ホースとキャニスタ側のクイックコネクタと、ブラケットを用意する。
そして、大気ポートに中間ホースの一端を接続し、中間ホースの他端にキャニスタ側のクイックコネクタを接続し、このキャニスタ側のクイックコネクタに大気開放管側のクイックコネクタを接続する。そして、中間ホースをブラケットを用いて車体に固定し中間ホースの姿勢を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、中間ホースを配置するための余分なスペースをキャニスタの周囲に確保しなくてはならないためキャニスタの配置の自由度を確保する上で不利となり、また、複数の部品が必要となり部品コストがかかる不利がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、キャニスタの配置の自由度を確保し、部品コストの低減を図る上で有利なキャニスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、キャニスタケースから突出され被嵌合部が形成された第1筒部と、前記第1筒部から突出され前記第1筒部よりも小径の第2筒部とを含む大気ポートが設けられ、コネクタポートを有するコネクタは、前記被嵌合部に嵌合される嵌合部を備え、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した状態で、前記第2筒部の外面と前記コネクタの内面との間に空間部が確保されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、コネクタを用いることなく大気開放管を直接第2筒部に接続することができると共に、大気ポートにコネクタを取り付けると共に、大気開放管の端部に設けられた大気開放管側のコネクタを、コネクタポートに接続することができる。
したがって、従来のように中間ホースを配置するための無駄なスペースをキャニスタの周囲に確保する必要がなくキャニスタの配置の自由度を確保する上で有利となり、また、従来のように複数の部品を設ける場合に比較してコネクタ単体を設ければ足りるため部品コストを低減する上で有利となる。
また、嵌合部が被嵌合部に嵌合した状態で、第2筒部の外面とコネクタの内面との間に空間部が確保されるので、大気ポートから漏出した燃料蒸発ガスを空間部に一時的に貯留することができる。そのため、燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止する上で有利となり、大気汚染の抑制を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態のキャニスタの断面図である。
【
図2】(A)は第2の実施の形態のキャニスタの断面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、図面において、矢印UPは車両の上方を示す。
図1に示すように、キャニスタ10は、燃料吸着材と、燃料吸着材を収容するキャニスタケース16と、キャニスタケース16に取り付けられるコネクタ18とを備えている。
キャニスタケース16は、合成樹脂製で平面視矩形を呈し、上壁1602、下壁1604と、それら上壁1602、下壁1604を接続する4つの側壁1606を有し、
図1では、4つの側壁1606のうちの1つが描かれている。
キャニスタケース16の内部は、隔壁1610により下方の主室20と上方の副室22とに仕切られ、隔壁1610に設けられた不図示の開口を介して主室20と副室22とは連通している。
燃料吸着材は、主室20と副室22の双方に収容されている。
詳細には、主室20には、例えば粒状の活性炭12からなる燃料吸着材が充填されている。
副室22には、ハニカム構造を呈する活性炭14からなる燃料吸着材が、一対の側壁1606を介して収容されている。
【0009】
キャニスタケース16には、タンクポート(ベーパーポート)24と、パージポート26と、大気ポート28と、コネクタポート30とが設けられている。
タンクポート24とパージポート26は、主室20を仕切る側壁1606に設けられ、パージポート26はタンクポート24の上方に設けられている。
それらタンクポート24とパージポート26が設けられる側壁1606の内面には板状の防水防塵用の主室フィルタ32が設けられ、主室フィルタ32は、タンクポート24の内部とパージポート26の内部を含む側壁1606の内面全域を覆っている。
タンクポート24は、主室20に連通し、不図示の燃料タンクに接続されたベーパー管の端部が接続される箇所である。
パージポート26は、主室20に連通し、不図示のエンジンの吸気管に接続されたパージ管の端部が接続される箇所である。
【0010】
大気ポート28は、副室22を仕切る側壁1606に設けられ、副室22に連通している。
大気ポート28は不図示の大気開放管の一端が接続される箇所であり、大気開放管の他方の端部は大気に開放された大気開放口となっており、大気開放口には不図示の防塵防水用のフィルタが設けられている。
詳細に説明すると、大気ポート28は、側壁1606から突出された第1筒部36と、第1筒部36の先端の環状板部40に接続され環状板部40から側壁1606から離れる方向に突出し第1筒部36よりも小径の第2筒部38とを含んで構成されている。
第2筒部38は、大気開放管の端部が接続される箇所であり、大気開放管を介して第2筒部38は大気に開放される。
第1筒部36の基部には被嵌合部42が設けられている。被嵌合部42は、第1筒部36の外周面に設けられ第1筒部36の周方向に延在する凹部で形成されている。
【0011】
環状板部40の内面に板状の防水防塵用の副室フィルタ34が設けられ、副室フィルタ34は第2筒部38の内部を含む環状板部40の内面全域を覆っている。
ハニカム構造を呈する活性炭14からなる円柱状の燃料吸着材の端部は、第1筒部36の内部に挿入され、副室フィルタ34を介して第1筒部38の内部における端面に当接されて収容され、言い換えると環状板部40の内面に当接されて収容され、活性炭14の外周面1402と第1筒部36の内周面3602Bとの間には、それらの間をシールする第1シール部44が設けられている。
第1シール部44は、被嵌合部42を構成する凹部に対して第1筒部36の軸心方向に変位した箇所に設けられている。
【0012】
コネクタ18は大気ポート28を覆うように大気ポート28に取り付けられ、コネクタ18には、大気開放管の端部に設けられたクイックコネクタが着脱可能に取り付けられるコネクタポート30が設けられている。
コネクタ18は合成樹脂製で、コネクタ18が大気ポート28に取り付けられた状態で、コネクタ18は、第1筒部36および第2筒部38の半径方向外側に位置する大径筒部46と、大径筒部46と同軸上で大径筒部46から突出する小径筒部48と、大径筒部46の先端と小径筒部48の基端とを接続する環板部50とを備えている。
大径筒部46の基端には、大径筒部46の半径方向内側に突出する環状の凸部からなる嵌合部52が設けられ、嵌合部52は被嵌合部42に係脱可能に設けられている。
嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、コネクタ18の内面1802は、第1筒部36の外周面3602Aの半径方向外側に位置する内周面1802Aと、環板部50および第2筒部38の先部に対向する内端面1802Bとを有している。
嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、コネクタ18の内面1802と第1筒部36の外周面3602Aとの間をシールする第2シール部54が設けられ、本実施の形態では、大径筒部46の内周面1802Aと第1筒部36の外周面3602Aとの間をシールする第2シール部54が設けられている。
第2シール部54は、第1シール部44に対して第1筒部36の軸心方向に変位した箇所に設けられている。
小径筒部48は、大気開放管に設けられたクイックコネクタが着脱できる形状で構成され、小径筒部48には鍔部4802が設けられ、この小径筒部48によりコネクタポート30が構成されている。第1の実施の形態では、コネクタポート30と大気ポート28は同軸上に設けられている。
【0013】
本実施の形態では、第2シール部54は、コネクタ18の内面1802と環状板部40の外周面4002Aとの間をシールしている。
嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、第2筒部38の外面とコネクタ18の内面1802との間に空間部56が確保される。
詳細には、第2筒部38の外周面3802Aとコネクタ18の大径筒部46の内周面1802Aとの間に空間56Aが確保されると共に、第2筒部38の先端面3802Bとコネクタ18の環板部50の内面5002との間に空間56Aに連通する空間56Bが確保される。
【0014】
次に本実施の形態のキャニスタ10の使用方法と動作について説明する。
前述したように、タンクポート24は、ベーパー管の端部が接続され、ベーパー管を介して不図示の燃料タンクに接続される。また、パージポート26は、パージ管の端部が接続され、パージ管を介して不図示のエンジンの吸気管に接続される。
そして、大気ポート28は、大気開放管に接続され、大気開放管を介して大気に開放される。
具体的に説明すると、大気開放管としては、いわゆるホース単体を用いる場合と、ホース単体の端部にクイックコネクタが設けられたクイックコネクタ付きホースを用いる場合とがある。
大気開放管としてホース単体を用いる場合は、大気ポート28にコネクタ18を設けることなく、大気開放管の端部を大気ポート28の第2筒部38に直接接続することで、大気ポート28が大気開放管を介して大気に開放される。
また、大気開放管としてクイックコネクタ付きホースを用いる場合は、大気ポート28にコネクタ18を設けると共に、コネクタポート30にクイックコネクタ付きホースの端部に設けられたクイックコネクタを接続することで、大気ポート28が大気開放管を介して大気に開放される。
【0015】
燃料タンク内の燃料から蒸発する燃料蒸発ガスは、タンクポート24を介して主室20および副室22に収容された燃料吸着材により吸着されることで、大気中への燃料蒸発ガスの放出が防止される。
また、燃料吸着材に吸着された燃料は、燃料吸着材から脱離したのち、大気開放管を介して大気ポート28から導入された外気と共に、パージポート26に接続されたパージ管を介してエンジンに供給されエンジンで燃焼される。
【0016】
本実施の形態によれば、大気開放管としてホース単体を用いる場合にはコネクタ18を用いることなく大気開放管を直接第2筒部38に接続し、大気開放管としてクイックコネクタ付きホースを用いる場合には、大気ポート28にコネクタ18を取り付けると共に、大気開放管のクイックコネクタをコネクタ18のコネクタポート30に接続する。
そのため、大気開放管としてホース単体およびクイックコネクタ付きホースの双方を使用することができることは無論のこと、クイックコネクタ付きホースを用いる場合に、コネクタ18のみを設ければよく、従来のように中間ホース、中間ホースに接続したクイックコネクタ、ブラケットといった複数の部品を設ける必要がない。
したがって、従来のように中間ホースを配置するための無駄なスペースをキャニスタ10の周囲に確保する必要がなくキャニスタ10の配置の自由度を確保する上で有利となり、また、従来のように複数の部品を設ける場合に比較してコネクタ18単体を設ければ足りるため部品コストを低減する上で有利となる。
また、嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、第2筒部38の外面とコネクタ18の内面1802との間に空間部56が確保されるので、大気ポート28から漏出した燃料蒸発ガスを空間部56に一時的に貯留することができる。そのため、燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止する上で有利となり、大気汚染の抑制を図る上で有利となる。
【0017】
また、本実施の形態によれば、活性炭14の端部は第1筒部36に収容され、活性炭14の端部が第1筒部36に収容された状態で活性炭14の端部の外周面1402と第1筒部36の内周面3602Bとの間をシールする第1シール部44が設けられている。そのため、第1シール部44によって活性炭14の端部を第1筒部36で確実に保持する上で有利となる。
また、第1筒部36を利用して活性炭14の端部を収容するため、活性炭14を収容するスペースを大きく確保できることから、活性炭14の体積を増加させることができ、キャニスタ10によってより多くの燃料蒸発ガスを吸着する上で有利となる。そのため、燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止する上で有利となり、大気汚染の抑制を図る上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態によれば、活性炭14の端部が第1筒部36の内部における端面に当接された状態で、活性炭14はキャニスタケース16に保持されている。そのため、活性炭14の端部を第1筒部36で確実に保持する上でより有利となる。
【0019】
また、本実施の形態によれば、嵌合部52は、第1筒部36の外周面3602Aに設けられ第1筒部36の周方向に延在する凹部で形成され、第1シール部44は、凹部に対して第1筒部36の軸心方向に変位した箇所に設けられている。
そのため、第1シール部44が第1筒部36のうち肉厚が薄い凹部の箇所に設けられている場合に比較して、第1シール部44は肉厚が確保された箇所に設けられるため、第1シール部44から加わる押圧力に対する第1筒部36の強度を確保でき大気ポート28の耐久性を確保する上で有利となる。
【0020】
また、本実施の形態によれば、コネクタ18が第1筒部36に嵌合した状態で、コネクタ18の内面1802と第1筒部36の外周面3602Aとの間をシールする第2シール部54が、第1シール部44に対して第1筒部36の軸心方向に変位した箇所に設けられている。
そのため、第1シール部44と第2シール部54とが同一箇所に設けられる場合に比較して第1シール部44と第2シール部54から第1筒部36に加わる押圧力を軽減することができることから、第1筒部36の強度を確保でき大気ポート28の耐久性を確保する上でより有利となる。
【0021】
また、本実施の形態によれば、第1筒部36の先端と第2筒部38の基端とを接続する環状板部40が設けられ、第2シール部54は、環状板部40の外周面4002Aに設けられている。
そのため、第2シール部54から第1筒部36に加わる押圧力を環状板部40によって受けることができるため、第1筒部36の強度を確保する上でより有利となり、大気ポート28の耐久性を確保する上でより一層有利となる。
【0022】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について
図2を参照して説明する。
第2の実施の形態は、コネクタ18Aの形状が第1の実施の形態と異なっており、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
【0023】
第1の実施の形態では、コネクタポート30と大気ポート28は同軸上に設けられていたのに対し、第2の実施の形態では、
図2(A)、(B)に示すように、コネクタ18Aが第1筒部36に嵌合した状態で、コネクタポート30の軸心方向と第2筒部38(大気ポート28)の軸心方向とは異なっている。
本実施の形態では、第2筒部38の軸心方向は水平方向に延在し、コネクタポート30の軸心方向は鉛直上方に延在し、第2筒部38の軸心方向とコネクタポート30の軸心方向が直交している。
コネクタ18Aは、大気ポート28に取り付けられた状態で、第1筒部36および第2筒部38の半径方向外側に位置する大径筒部46と、環状板部40および第2筒部38の先部に対向し大径筒部46の先端を接続する円形の端面部58と、大径筒部46の外周面から突設され鍔部4802が設けられた小径筒部48とを備えている。
第1の実施の形態と同様に小径筒部48によりコネクタポート30が構成されている。
嵌合部52が被嵌合部42に嵌合した状態で、コネクタ18Aの内面1802は第1筒部36の外周面3602Aの半径方向外側に位置する内周面1802Aと、環状板部40および第2筒部38の先部に対向する円形の内端面1802Cとを有している。
【0024】
なお、コネクタポート30の軸心方向を意図した方向に保持するためには、大気ポート28の軸心を中心とするコネクタ18Aの回転を規制する必要がある。
そのため、被嵌合部42を構成する凹部の底部および嵌合部52を形成する凸部の先部の一方に凸形状、他方に凹形状を設けそれら凸形状と凹形状とが嵌合することにより、コネクタ18Aの回転を規制してもよい。あるいは、被嵌合部42を構成する凹部と嵌合部52を形成する凸部とを接着剤によって接着することにより、コネクタ18Aの回転を規制してもよい。このようなコネクタ18Aの回転を規制する構造として従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0025】
また、コネクタ18Aが第1筒部36に嵌合した状態で、コネクタポート30と第2筒部38とを接続するコネクタ18A内の空間部56の部分に防塵防水用のフィルタ60が設けられている。
本実施の形態では、フィルタ60は環板状を呈し、第2筒部38はフィルタ60の中心孔6002に挿入され、フィルタ60は環状板部40と内端面1802Cとに接触すると共に第2筒部38の外周面3802Aと大径筒部46の内周面1802Aとに接触して配置されている。
【0026】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、コネクタポート30の軸心方向と第2筒部38の軸心方向とは異なっているので、キャニスタ10の周囲の構造物のレイアウトによってコネクタポート30に接続された大気開放管の引き回しに制約がある場合であっても、コネクタポート30に接続された大気開放管の引き回しの自由度を確保する上で有利となる。
【0027】
また、第2の実施の形態によれば、コネクタポート30の軸心方向が上方を向いているので、大気ポート28から漏出して第2筒部38の外面とコネクタ18Aの内面1802との間の空間部56に貯留された燃料蒸気ガスは、空気より比重が重いため空間部56に留まりやすい。
したがって、燃料蒸気ガスは、コネクタポート30から大気開放管に排出されにくく、燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止する上で有利となり、大気汚染の抑制を図る上で有利となる。
なお、コネクタポート30の軸心方向は少なくとも水平面よりも上方に傾斜した向きが好ましいが、第2の実施の形態のようにコネクタポート30の軸心方向が鉛直上方を向いていると、燃料蒸気ガスのコネクタポート30から大気開放管への排出を抑制する上でより有利となる。
【0028】
また、第2の実施の形態によれば、コネクタ18Aが第1筒部36に嵌合した状態で、コネクタポート30と第2筒部38とを接続する空間部56を利用して防塵防水用のフィルタ60が設けられているので、大気開放管の大気開放口に装着される防塵防水用のフィルタを省略することができ、大気開放管の設置スペースのコンパクト化を図る上で有利となる。
なお、第1の実施の形態においても空間部56にフィルタ60を設けてもよく、上記と同様の効果が奏されることは無論である。
【符号の説明】
【0029】
10 キャニスタ
12 活性炭(燃料吸着材)
14 活性炭(燃料吸着材)
1402 外周面
16 キャニスタケース
1602 上壁
1604 下壁
1606 側壁
1610 隔壁
18、18A コネクタ
1802 内面
1802A 内周面
1802B 内端面
1802C 内端面
20 主室
22 副室
24 タンクポート
26 パージポート
28 大気ポート
2802 外面
30 コネクタポート
32 主室フィルタ
34 副室フィルタ
36 第1筒部
3602A 外周面
3602B 内周面
38 第2筒部
3802A 外周面
3802B 先端面
40 環状板部
4002A 外周面
42 被係合部(凹部)
44 第1シール部
46 大径筒部
48 小径筒部
4802 鍔部
50 環板部
5002 内面
52 嵌合部(凸部)
54 第2シール部
56 空間部
56A、56B 空間
58 端面部
60 フィルタ
6002 中心孔