(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069831
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】車両用ピラーガラスモール構造
(51)【国際特許分類】
B60J 1/10 20060101AFI20240515BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B60J1/10 C
B62D25/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180062
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB54
3D203CA07
3D203CB07
3D203CB26
3D203DA37
3D203DA66
3D203DA70
(57)【要約】
【課題】乗員の視野をより広く確保できる車両用ピラーガラスモール構造を提供する。
【解決手段】車両用フロントピラー101は、車両100のウインドシールド112の側縁に接合された前側フロントピラー102を備える。前側フロントピラー102は、所定の後側フロントピラー104の前方にピラーガラス106を隔てて配置されている。ピラーガラスモール150はピラーガラス106を覆っている。前側フロントピラー102は、アウタパネル120およびインナパネル130を含み、アウタパネル120およびインナパネル130の断面の各々の後側の脚部120C、130Cは、ピラーガラスモール150の後端150Aと乗員の目152とを結ぶ視線154に交差しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドシールドの側縁に接合された前側フロントピラーであって、所定の後側フロントピラーの前方にピラーガラスを隔てて配置された前側フロントピラーと、
前記ピラーガラスを覆うピラーガラスモールとを備えた車両用ピラーガラスモール構造において、
前記前側フロントピラーは、車外側に面している第1辺と該第1辺の対辺であり開放している第2辺とを含む四辺形の断面を各々有するアウタパネルおよびインナパネルを含み、
前記アウタパネルおよびインナパネルの断面の各々の後側の脚部は、前記ピラーガラスモールの後端と乗員の目とを結ぶ視線に交差しないことを特徴とする車両用ピラーガラスモール構造。
【請求項2】
前記ピラーガラスモールは、前記ピラーガラスをその前端面から外側にわたって覆っていて、
前記アウタパネルの断面の第1辺は、前記ピラーガラスに直接接合されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーガラスモール構造。
【請求項3】
前記ピラーガラスモールは、前記アウタパネルの断面の第1辺よりも後方に張り出していないことを特徴とする請求項2に記載の車両用ピラーガラスモール構造。
【請求項4】
当該車両用フロントピラーは、前記ウインドシールドを覆うウインドシールドモールをさらに備え、
前記ウインドシールドモールは、前記ウインドシールドの内側、端面および外側を連続して覆っていて、
前記アウタパネルおよびインナパネルの両者の断面の前側の脚部は、前記ウインドシールドの内側に沿って延びていて、
前記ウインドシールドモールは、前記ウインドシールドを、前記両者の断面の前側の脚部を超えない位置までしか覆っていないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用ピラーガラスモール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ピラーガラスモール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には車両用ピラー構造が開示されている。この構造によれば、車両のフロントピラーの一部を構成する第1柱を細くすることで、運転者はより広い視界を確保することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1のピラーは、車両の乗員の視野を確保する観点から、依然として改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、乗員の視野をより広く確保できる車両用ピラーガラスモール構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車両のウインドシールドの側縁に接合された前側フロントピラーであって、所定の後側フロントピラーの前方にピラーガラスを隔てて配置された前側フロントピラーと、ピラーガラスを覆うピラーガラスモールとを備えた車両用ピラーガラスモール構造において、前側フロントピラーは、車外側に面している第1辺と第1辺の対辺であり開放している第2辺とを含む四辺形の断面を各々有するアウタパネルおよびインナパネルを含み、アウタパネルおよびインナパネルの断面の各々の後側の脚部は、ピラーガラスモールの後端と乗員の目とを結ぶ視線に交差しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員の視野をより広く確保できる車両用ピラーガラスモール構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による車両用フロントピラーの実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図1のフロントピラーを車両の右側から見た側面図である。
【
図3】
図2のフロントピラーのA-A断面図である。
【
図6】
図5の本実施例における乗員の視野と比較例における乗員の視野とを比較する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態は、車両のウインドシールドの側縁に接合された前側フロントピラーであって、所定の後側フロントピラーの前方にピラーガラスを隔てて配置された前側フロントピラーと、ピラーガラスを覆うピラーガラスモールとを備えた車両用ピラーガラスモール構造において、前側フロントピラーは、車外側に面している第1辺と第1辺の対辺であり開放している第2辺とを含む四辺形の断面を各々有するアウタパネルおよびインナパネルを含み、アウタパネルおよびインナパネルの断面の各々の後側の脚部は、ピラーガラスモールの後端と乗員の目とを結ぶ視線に交差しないことを特徴とする。
【0010】
前側フロントピラーを構成するアウタパネルおよびインナパネルの断面の後側の脚部の形状を上記のように所定の視線と交差しないように延ばすことで、乗員の視野が狭まることを防止している。
【0011】
上記ピラーガラスモールは、ピラーガラスをその前端面から外側にわたって覆っていて、アウタパネルの断面の第1辺は、ピラーガラスに直接接合されているとよい。
【0012】
上記の構成によれば、ピラーガラスモールはピラーガラスの前端面から外側だけに存在し、ピラーガラスの内側には存在しない。このようにピラーガラスモールの厚みを最小限にすることで、乗員の視界を狭めることを防止している。
【0013】
上記ピラーガラスモールは、アウタパネルの断面の第1辺よりも後方に張り出さないようにするとよい。
【0014】
このように、ピラーガラスモールを必要以上に後方に張り出さないようにすることで、ピラーガラスの外側を覆うピラーガラスモールを必要最小限の範囲に設ければ、乗員の視野が狭まるのを防止することができる。
【0015】
当該車両用フロントピラーは、ウインドシールドを覆うウインドシールドモールをさらに備え、ウインドシールドモールは、ウインドシールドの内側、端面および外側を連続して覆っていて、アウタパネルおよびインナパネルの両者の断面の前側の脚部は、ウインドシールドの内側に沿って延びていて、ウインドシールドモールは、ウインドシールドを、アウタパネルおよびインナパネルの両者の断面の前側の脚部を超えない位置までしか覆っていないようにするとよい。
【0016】
このようにウインドシールドモールを必要以上に車幅方向内側に張り出させないようにすれば、ウインドシールドモールの大きさを最小限にし、乗員の視野が狭まるのを防止することができる。
【実施例0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本発明による車両用フロントピラーの実施例を示す斜視図である。
図1その他のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で示す。
【0019】
図1に示すように、車両100の右側のフロントピラー101は、ルーフ108とフェンダパネル110との間に差し渡された前側フロントピラー102と、ルーフ108とサイドドアパネル114との間に差し渡された後側フロントピラー104と、ピラーガラス106とで構成されている。なお車両100の左側のフロントピラーは、右側のフロントピラー101と左右対称の構造を有することから、説明は省略する。
【0020】
図2は
図1のフロントピラー101を車両100の右側から見た側面図であり、
図3は
図2のフロントピラー101のA-A断面図である。
図2に示すように、ピラーガラス106は前側フロントピラー102と後側フロントピラー104との間に固定配置されている。すなわち
図3に示すように、前側フロントピラー102は、後側フロントピラー104の前方にピラーガラス106を隔てて配置されている。
図3に示すように、前側フロントピラー102は、ピラーガラス106の前端だけでなく、ウインドシールド(フロントガラス)112の側縁にも接合されている。
【0021】
(前側フロントピラー)
図4は
図3の前側フロントピラー102の拡大図である。前側フロントピラー102は、略台形状の断面を有するアウタパネル120およびインナパネル130を含む。前側フロントピラー102はまた、アウタパネル120およびインナパネル130の車内側にあってこれらパネル120、130を収納するピラートリム131を含む。ピラートリム131の内部には、緩衝材133も配置されている。
【0022】
略台形状の断面を有するアウタパネル120およびインナパネル130は、形状や姿勢を変更する自由度が高い。本実施例では、
図4に示すように、アウタパネル120およびインナパネル130の略台形状の断面は、いずれも、第1辺である上底120A、130Aが車幅方向外側、すなわち
図4の車両右側に面している。アウタパネル120の上底120Aはピラーガラス106に平行になっていて、ピラーガラス106に接着剤135によって接合されている。
【0023】
一方、アウタパネル120およびインナパネル130のうち、上底120A、130Aの対辺に相当する第2辺である下底140は、車内側すなわち車幅方向内側(車両左側)に向かって開放している。この下底140はアウタパネル120およびインナパネル130の略台形状の断面に共通のものであるため、共通の符号140によって指示している。
【0024】
なお本実施例ではアウタパネル120およびインナパネル130はいずれも略台形状の断面を有するが、任意の四辺形であってもよく、略台形状に限定されない。
【0025】
またアウタパネル120およびインナパネル130の略台形状の断面は、それぞれ、次のような形状を有する。すなわち前側の脚部120B、130Bが上底120A、130Bから前方かつ車幅方向内側に延び、後側の脚部120C、130Cが上底120A、130Bから後方かつ車幅方向内側に延びている。後側の脚部120C、130Cは、緩衝材133に挿し込まれている。アウタパネル120の前側の脚部120Bは、ウインドシールド112に平行になっていて、ウインドシールド112に接着剤137によって接合されている。
【0026】
インナパネル130はアウタパネル120の車内側に接合されている。すなわち、2つの前側の脚部120B、130Bは互いに平行であり、脚部120Bの車内側に脚部130Bが接合されている。また2つの後側の脚部120C、130Cも互いに平行であり、脚部120Cの車内側に脚部130Cが接合されている。2つの上底120A、130Aもほぼ平行であるが、互いに離間している。
【0027】
(前側フロントピラーの閉断面)
上述のようにインナパネル130をアウタパネル120の車内側に接合することで、インナパネル130とアウタパネル120との間に閉断面134を形成しているのが、この前側フロントピラー102の特徴である。閉断面134は、2つの上底120A、130Aと、アウタパネル120の前側および後側の脚部120B、120Cとで囲まれている。
【0028】
このように本実施例によれば、フロントピラー101を構成する
図4の前側フロントピラー102は、アウタパネル120およびインナパネル130によって、閉断面134も含む二重の略台形状の断面を有する。したがって前側フロントピラー102は、その断面積が小さくとも、より高い剛性を有する。これにより、車両100に対する側突などの衝突や車両100の横転などによる衝撃が加わっても、フロントピラー101、とりわけ前側フロントピラー102の変形をより十全に防止することができる。
【0029】
また、下底140が開放した略台形状の断面を有するインナパネル130の内部には、ハーネス等(図示省略)を配線することができる。これにより省スペース化を図ることができるし、ハーネス等を衝撃から保護することもできる。
【0030】
なお、本実施例では2つの前側の脚部120B、130Bと、2つの後側の脚部120C、130Cは、それぞれ、互いに平行で接合されているが、閉断面134を形成しさえすれば、互いに平行である必要はない。また上底120A、130Aも、互いに平行でなくてもよい。
【0031】
実際、
図4に示すように、上底120A、130Aは、互いに平行ではなく、後方にゆくほど間隔が広くなっている。またアウタパネル120およびインナパネル130の略台形状の断面に共通の下底140は、下底140からそれぞれの上底120A、130Aまでの距離よりも長い。
【0032】
上底同士が平行である場合に比較すると、本実施例のように互いに平行でない上底120A、130Aのほうが、フロントピラー101の前側フロントピラー102の剛性は向上する。また下底が下底から上底までの距離よりも短い場合に比較すると、本実施例のようにそれが長いほうが、フロントピラー101の前側フロントピラー102の剛性は向上する。
【0033】
(前側フロントピラーの後側の脚部)
図4に示すように、フロントピラー101は、ピラーガラス106を覆うピラーガラスモール150をさらに備える。ピラーガラスモール150は例えば樹脂製としてよい。このピラーガラスモール150を介して、前側フロントピラー102とピラーガラス106は接合されている。
【0034】
図5は
図4の前側フロントピラー102を示す図である。
図5に示すように、アウタパネル120およびインナパネル130の略台形状の断面の各々の後側の脚部120C、130Cは、乗員の目152(
図6)とピラーガラスモール150の後端150Aとを結ぶ視線154に交差していない。すなわち脚部120C、130Cは視線154を遮っていない。
【0035】
このように後側の脚部120C、130Cを視線154と交差させないように延ばすことで、乗員の視野が狭まることを防止している。なお、ピラートリム131が視線154を遮ってしまう可能性もあるが、ピラートリム131が収納している後側の脚部120C、130Cが視線154と交差しないようになっていることから、ピラートリム131も視線154を遮らない構成にすることが可能になっている。
【0036】
なお視線154は変動しうるものである。すなわち、乗員の体格によって乗員の目152(
図6)の位置は上下に変動するし、そのような乗員の目152が前側フロントピラー102のどの高さ位置を見るかによって、視線154のパターンは無数に存在する。乗員の目152がいかなる高さにあり、前側フロントピラー102のどの高さを見た場合であっても(
図3のA-A断面だけでなくどの高さで前側フロントピラー102を切断した断面においても)、後側の脚部120C、130Cが視線154と交差しないことが望ましい。
【0037】
(ウインドシールドモール)
再び
図4を参照する。フロントピラー101は、ウインドシールド112を覆うウインドシールドモール160をさらに備える。ウインドシールドモール160は例えば樹脂製としてよい。
【0038】
図4に示すように、ウインドシールドモール160は、ウインドシールド112の内側112A、端面112Bおよび外側112Cを連続して覆っている。アウタパネル120およびインナパネル130の両者の略台形状の断面の前側の脚部120B、130Bは、ウインドシールド112の内側112Aに沿って延びている。アウタパネル120の前側の脚部120Bは、ウインドシールド112の内側112Aに接着剤137によって接合されている。
【0039】
図5に示すように、ウインドシールドモール160の特徴は、ウインドシールド112を、アウタパネル120およびインナパネル130の両者の前側の脚部120B、130Bを超えない位置までしか覆っていないことである。
【0040】
このようにウインドシールドモール160を必要以上に車幅方向内側に張り出させないことで、ウインドシールドモール160の大きさを最小限にし、乗員の視野が狭まるのを防止している。
図5に示す視線164は、乗員の目152(
図6)から前側フロントピラー102の車幅方向内側に延ばした接線である。上述のようにウインドシールドモール160が必要以上に車幅方向内側に張り出していないため、ウインドシールドモール160は、この視線164を遮らず、乗員の視界は損なわれない。
【0041】
(ピラーガラスモール)
再び
図4を参照する。ピラーガラスモール150は、ピラーガラス106をその前端面106Aから外側106Bにわたって覆っていて、アウタパネル120の略台形状の断面の上底120Aは、ピラーガラス106に直接接合されている。
【0042】
すなわちピラーガラスモール150は、ピラーガラス106の前端面106Aから外側106Bだけに存在し、ピラーガラス106の内側106Cには存在しない。このように前側フロントピラー102は、ピラーガラスモール150の厚みを最小限にすることでも、乗員の視界の狭小化を防止している。仮にピラーガラスモール150がピラーガラス106の内側106Cにも存在したら、前側フロントピラー102の断面積はより大きくなり、その分だけ、乗員の視野を狭めてしまうことになるからである。
【0043】
また
図5に示すように、ピラーガラスモール150は、アウタパネル120の上底120Aよりも後方には張り出していない。
【0044】
このように、ピラーガラスモール150は、必要以上に後方に張り出していない。すなわち、ピラーガラス106の外側106Bを覆うピラーガラスモール150を必要最小限の範囲に設けることで、乗員の視野が狭まるのを防止している。
【0045】
図6は
図5の本実施例における乗員の視野と比較例における乗員の視野とを比較する模式図である。
図6(a)は
図5の前側フロントピラー102を備える本実施例のフロントピラー101の乗員の視野を示している。
図6(b)は比較例であるフロントピラー170の視野を示している。
図6(c)は
図6(a)(b)における乗員の視野を比較した図である。なお
図6(a)~(c)において、
図6(a)の本実施例と共通の要素である、例えばピラーガラス106、ウインドシールド112、乗員の目152は、同一の符号で示している。
【0046】
図6(a)に示すように、本実施例では、前側フロントピラー102によって、
図5にも示した外側・内側の視線154、164の間の乗員の視界が損なわれている。一方、
図6(b)に示す比較例であるフロントピラー170は、前側フロントピラー172および後側フロントピラー174を有する。
図6(b)に示すように、比較例では、前側フロントピラー172によって、外側・内側の視線176、178の間の乗員の視界が損なわれている。
【0047】
しかし
図6(b)の比較例における前側フロントピラー172は、略M字状の断面を有する2枚のパネルを組み合わせたものであり、本実施例における前側フロントピラー102のように乗員の視界を狭めないための工夫は施されていない。そのため、
図6(c)に示すように、本実施例・比較例とも、内側の視線164、178はほとんど一致しているものの、外側の視線154、176を比較すると、視線154よりも視線176のほうがより外側に張り出している。すなわち
図6(b)の比較例における前側フロントピラー172のほうが、より乗員の視界を狭めていることが見て取れる。
【0048】
本実施例は、2本のピラーを含むフロントピラーを有する車両、すなわち、ピラーガラス106を前後から挟む前側フロントピラー102と後側フロントピラー104とで構成されるフロントピラー101を採用した車両100に本発明を適用したものである。ただし本発明は、例えば単一のフロントピラーしか有しない車両のフロントピラーに対して適用してもよいし、フロントピラー以外のセンターピラーやリアピラーに適用してもよい。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。