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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069835
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/10 20060101AFI20240515BHJP
   B61D 17/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B61D17/10
B61D17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180070
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】室田 満秋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤
(57)【要約】
【課題】ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、車室内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両を提供する。
【解決手段】車両内に引き通す車両内配線2と、車両間を渡すジャンパ線3が着脱可能に連結された車間渡りコネクタ31から延設された渡り延長線32と、を接続する端子台4を有するツナギ箱5を、台枠6のレール方向端部近傍に備えた鉄道車両10である。台枠は、車内側の面板61と車外側の面板62と両面板を繋ぐ繋ぎ板63とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成され、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、端子台を収容する収容空間5Sを備えている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に引き通す車両内配線と、車両間を渡すジャンパ線が着脱可能に連結された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線と、を接続する端子台を有するツナギ箱を、台枠のレール方向端部近傍に備えた鉄道車両であって、
前記台枠は、車内側の面板と車外側の面板と両面板を繋ぐ繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、
前記ツナギ箱は、前記両面板の内のいずれか一方の面板と前記繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、前記端子台を収容する収容空間を備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
車両内に引き通す車両内配線と、車両間を渡すジャンパ線が着脱可能に連結された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線と、を接続する端子台を有するツナギ箱を、台枠のレール方向端部近傍に備えた鉄道車両であって、
前記台枠は、車内側の面板と、車外側の面板と、両面板を繋ぐ繋ぎ板と、両面板の間に配置された中面板と、前記中面板と前記車内側の面板又は前記車外側の面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、
前記ツナギ箱は、前記両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と前記中面板とを繋ぐ前記中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、前記端子台を収容する収容空間を備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された鉄道車両において、
前記車両内配線は、前記ツナギ箱と連通する前記台枠の中空部を介して引き通されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された鉄道車両において、
前記渡り延長線は、前記車外側の面板に形成された貫通孔から前記台枠の中空部内に挿入され、当該中空部内を引き通して前記ツナギ箱の端子台に接続されていること、
前記貫通孔には、前記渡り延長線に密着するシール部材が装着されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載された鉄道車両において、
前記車両内配線は、前記車外側の面板に形成した取出し孔から床下側へ取出し、前記車外側の面板に装着した電線樋を経由して床下機器に配線されること、
前記取出し孔には、前記車両内配線に密着するシール部材が装着されていることを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、より詳しくは、車両内に引き通す車両内配線と車両間を渡すジャンパ線が連結可能に形成された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線とを接続する端子台を内蔵するツナギ箱を有する鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両には、例えば、車輪を駆動する駆動装置、側扉を開閉するドア開閉装置、室内の照明を行う照明装置、室内の空調を行う空調装置、行先表示などを行う情報装置等、様々な装置を備えている。これらの各種装置を作動させる制御配線や、低電圧配線、情報配線等の車両内配線は、台枠の長手方向(レール方向)の端部に備えられた車間渡りコネクタに着脱可能に連結された多芯のジャンパ線と、車間渡りコネクタから延設された渡り延長線とを介して、隣接する車両に接続されている。そして、渡り延長線と各車両内に引き通す車両内配線とを接続する端子台を有するツナギ箱が、車端部近傍に設置されている。
【0003】
近年の鉄道車両では、安全性の向上や各種サービスの向上等に対応する必要から、車両内配線は、種類や数量が益々増加する傾向にあり、ツナギ箱での配線接続に必要なスペースも大きくなっている。しかしながら、ツナギ箱のスペース拡大は、ツナギ箱の周囲に配置させる床下機器や台車との関係で制約され、困難なことが多い。そのため、ツナギ箱に対するスペース確保が、大きな課題となっている。
【0004】
この点、例えば、特許文献1には、車両の床面に配設された床下機器点検用のトラップドアと床下機器(モータ)との間において、車両の台枠にツナギ箱を取付け、しかも床下機器(モータ)に対する床面上よりの点検に際し該点検を容易にすべくツナギ箱を移動可能に形成した車両床下配線のツナギ箱装置を有する鉄道車両が開示されている。
【0005】
具体的には、上記特許文献1の鉄道車両100では、図8に示すように、電車駆動用のモータ101を床上面より点検し得るように、モータ101の上方部位において台枠102の左右中梁103R、103L間に開口された床開口部104が形成され、床開口部104には、トラップドア105が着脱自在に嵌着されている。また、モータ101のリード線106と車体配線とを分離可能に接続するためのツナギ箱107が、床開口部104の下方で、左右の中梁103R、103L間に配設されたツナギ箱支え108に、左右方向(枕木方向)へ移動可能に緊締されている。この場合、ツナギ箱107を移動させることによってモータ101の点検も容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57-122449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された鉄道車両100では、以下のような問題があった。すなわち、電車駆動用のモータ101を床上面より点検し得るように、ツナギ箱107が、台枠102に開口された床開口部104の下方で、左右の中梁103R、103L間に配設されたツナギ箱支え108に、左右方向(枕木方向)へ移動可能に緊締されているので、モータ101や台車との位置関係において、ツナギ箱107の支持構造と移動空間が必要となり、その分だけツナギ箱107の収容空間をスペース拡大させることが困難であった。
【0008】
また、床開口部104には、トラップドア105が着脱自在に嵌着された構造であるので、床開口部104をトラップドア105によって気密状態で密閉することが容易ではなかった。そのため、例えば、トンネル内を高速で通過する際には、車室内の気密性を保持できず、乗客に気圧差の違和感が生じ得るという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、車室内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両は、以下の構成を備えている。
(1)車両内に引き通す車両内配線と、車両間を渡すジャンパ線が着脱可能に連結された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線と、を接続する端子台を有するツナギ箱を、台枠のレール方向端部近傍に備えた鉄道車両であって、
前記台枠は、車内側の面板と車外側の面板と両面板を繋ぐ繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、
前記ツナギ箱は、前記両面板の内のいずれか一方の面板と前記繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、前記端子台を収容する収容空間を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、台枠は、車内側の面板と車外側の面板と両面板を繋ぐ繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、端子台を収容する収容空間を備えているので、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、車室内の気密性を簡単に保持できる。
【0012】
すなわち、台枠は、車内側の面板と車外側の面板と両面板を繋ぐ繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成されている。また、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、端子台を収容する収容空間を備えている。そのため、ダブルスキン形材で形成された台枠の内部に、必要な数量の端子台を収容できる収容空間を備えたツナギ箱を簡単に形成することができる。
【0013】
また、台枠の内部にツナギ箱を形成するので、ツナギ箱が台枠の外部に突出せず、ツナギ箱の収容空間を拡張する場合でも、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0014】
また、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板によって、床下側の外気と床上側の車室内における内気との流通を遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両がトンネル内を高速で通過する際でも、車室内の気密性を保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのを回避できる。
【0015】
よって、本発明によれば、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、車室内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両を提供することができる。
【0016】
(2)車両内に引き通す車両内配線と、車両間を渡すジャンパ線が着脱可能に連結された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線と、を接続する端子台を有するツナギ箱を、台枠のレール方向端部近傍に備えた鉄道車両であって、
前記台枠は、車内側の面板と、車外側の面板と、両面板を繋ぐ繋ぎ板と、両面板の間に配置された中面板と、前記中面板と前記車内側の面板又は前記車外側の面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、
前記ツナギ箱は、前記両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と前記中面板とを繋ぐ前記中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、前記端子台を収容する収容空間を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、台枠は、車内側の面板と、車外側の面板と、両面板を繋ぐ繋ぎ板と、両面板の間に配置された中面板と、中面板と車内側の面板又は車外側の面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と中面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、端子台を収容する収容空間を備えているので、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、台枠の強度を高めつつ、車室内の気密性を簡単に保持できる。
【0018】
すなわち、台枠は、車内側の面板と、車外側の面板と、両面板を繋ぐ繋ぎ板と、両面板の間に配置された中面板と、中面板と車内側の面板又は車外側の面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材で形成され、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と中面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成され、端子台を収容する収容空間を備えているので、ダブルスキン形材で形成された台枠の内部に、必要な数量の端子台を収容できる収容空間を備えたツナギ箱を簡単に形成することができる。
【0019】
また、台枠の内部にツナギ箱を形成するので、ツナギ箱が台枠の外部に突出せず、ツナギ箱の収容空間を拡張する場合でも、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0020】
また、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と中面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成されるので、ツナギ箱の底面側において、切り欠かれていない他方の面板と中面板とが上下で2重構造となり、ツナギ箱を形成した箇所における台枠の強度と遮音性を高めることができる。そのため、ツナギ箱を内蔵する台枠の強度を高め、車室内の静粛性を高めることができる。
【0021】
また、ツナギ箱は、両面板の内のいずれか一方の面板と当該面板と中面板とを繋ぐ中繋ぎ板とを部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板と中面板とによって、床下側の外気と床上側の車室内における内気との流通をより一層確実に遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両がトンネル内を高速で通過する際でも、車室内の気密性を保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのをより一層回避できる。
【0022】
よって、本発明によれば、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、台枠の強度と車室内の静粛性を高めつつ、車室内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両を提供することができる。
【0023】
(3)(1)又は(2)に記載された鉄道車両において、
前記車両内配線は、前記ツナギ箱と連通する前記台枠の中空部を介して引き通されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、車両内配線は、ツナギ箱と連通する台枠の中空部を介して引き通されているので、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車と干渉することなく、簡単に配線することができる。また、台枠の床下側に配置する車両内配線を低減できるので、飛び石等による車両内配線の傷付きを低減できる。また、台枠に対して床下側に貫通する不要な配線孔の形成を回避でき、床上側の車室内の気密性をより一層簡単に保持できる。
【0025】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記渡り延長線は、前記車外側の面板に形成された貫通孔から前記台枠の中空部内に挿入され、当該中空部内を引き通して前記ツナギ箱の端子台に接続されていること、
前記貫通孔には、前記渡り延長線に密着するシール部材が装着されていることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、渡り延長線は、車外側の面板に形成された貫通孔から台枠の中空部内に挿入され、当該中空部内を引き通してツナギ箱の端子台に接続されているので、台枠の外部に露出する渡り延長線を短縮して、飛び石等による渡り延長線の傷付きを低減できる。また、貫通孔には、渡り延長線に密着するシール部材が装着されているので、シール部材によって貫通孔と渡り延長線との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室内における内気との流通を遮断させ、車室内における気密性を簡単に保持することができる。そのため、渡り延長線の飛び石等による傷付きを低減しつつ、車室内における気密性を簡単に保持することができる。
【0027】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記車両内配線は、前記車外側の面板に形成した取出し孔から床下側へ取出し、前記車外側の面板に装着した電線樋を経由して床下機器に配線されること、
前記取出し孔には、前記車両内配線に密着するシール部材が装着されていることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、車両内配線は、車外側の面板に形成した取出し孔から床下側へ取出し、車外側の面板に装着した電線樋を経由して床下機器に配線されるので、台枠の外部に露出する車両内配線を短縮して、飛び石等による車両内配線の傷付きを低減できる。また、取出し孔には、車両内配線に密着するシール部材が装着されているので、シール部材によって取出し孔と車両内配線との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室内における内気との流通を遮断させ、床上側の車室内における気密性を簡単に保持することができる。そのため、飛び石等による車両内配線の傷付きを低減しつつ、車室内における気密性を確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ツナギ箱の周囲に配置される床下機器や台車との位置関係を変更することなく、ツナギ箱の収容空間におけるスペース拡大が容易であると共に、車室内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両の概略側面図である。
図2図1に示す鉄道車両の台車を外した状態の台枠を車両下方から見た概略底面図である。
図3図2に示す鉄道車両の斜め下方から見た要部斜視図である。
図4図3に示すA-A断面図である。
図5図3に示すB-B断面図である。
図6図1に示す鉄道車両における第1変形例の枕木方向視の要部断面図である。
図7図1に示す鉄道車両における第2変形例のレール方向視の要部断面図である。
図8】特許文献1に記載された鉄道車両の要部斜視図であって、(A)はツナギ箱を正規の位置に配置した状態の要部斜視図を示し、(B)はツナギ箱を正規の位置から枕木方向へ移動した状態の要部斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<本鉄道車両の構成>
次に、本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本鉄道車両の構成と作用効果について、図1図5を用いて説明する。また、本鉄道車両の変形例について、図6図7を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両の概略側面図を示す。図2に、図1に示す鉄道車両の台車を外した状態の台枠を車両下方から見た概略底面図を示す。図3に、図2に示す鉄道車両の斜め下方から見た要部斜視図を示す。図4に、図3に示すA-A断面図を示す。図5に、図3に示すB-B断面図を示す。図6に、図1に示す鉄道車両における第1変形例の枕木方向視の要部断面図(図3のA-A断面に相当)を示す。図7に、図1に示す鉄道車両における第2変形例のレール方向視の要部断面図を示す。
【0032】
図1図5に示すように、本鉄道車両10は、車両内に引き通す車両内配線2と、車両間を渡すジャンパ線3が着脱可能に連結された車間渡りコネクタ31から延設された渡り延長線32と、を接続する端子台4を有するツナギ箱5を、台枠6のレール方向端部6R近傍に備えた鉄道車両10である。
【0033】
ここで、本鉄道車両10には、レール上を走行する台車7と、台車7に支持される台枠6と、台枠6の枕木方向両端部に起立する側構体GKと、台枠6のレール方向両端部に起立する妻構体TKと、側構体GKと妻構体TKとの上端部に接続される屋根構体YKとを備えている。
【0034】
また、台枠6の車両前端下部と車両後端下部には、車間渡りコネクタ31が装着され、台枠6の車両中間下部には、床下機器1a、1b(車両機器1とも言う)が装着されている。隣接する車両の車間渡りコネクタ31には、複数の配線を同芯状に被覆したジャンパ線3が連結されている。ジャンパ線3は、車間渡りコネクタ31から延設された渡り延長線32を介してツナギ箱5の端子台4に接続されている。また、床下機器1a、1bは、車両内配線2(22、23、24)を介してツナギ箱5の端子台4に接続されている。また、台枠6の上端部には、乗客を収容する車室SSの床面を構成する床板YPが、台枠6に対して所定の隙間を有して設置されている。車両内配線2には、各種車両機器1に対する制御指令線、情報送信線、低電圧線等が該当する。
【0035】
また、側構体GKには、側窓GMと、ドア開閉装置1cを有する乗客用の側扉GT1と、乗員用の側扉GT2と、行先表示装置1d等を備えている。また、屋根構体YKには、空調装置1eや照明装置(図示省略)を備えている。なお、空調装置1eは、床下に備えている場合もある。上記開閉装置1c、行先表示装置1d、空調装置1e等(車両機器1とも言う)は、車両内配線25を介してツナギ箱5の端子台4に接続されている。
【0036】
また、台枠6は、車内側の面板61と車外側の面板62と両面板61、62を繋ぐ繋ぎ板63とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形 材DSKで形成されている。ダブルスキン形材DSKは、例えばアルミ合金製の押し出し形材であり、複数のダブルスキン形材DSKを車両幅方向に接続して台枠6を形成している。なお、図3図5では、繋ぎ板63は、平行に配置された車内側の面板61と車外側の面板62とを傾斜状に連結するように形成されているが、必ずしも、車内側の面板61と車外側の面板62とを傾斜状に連結している必要はなく、垂直状に連結しても良いし、それらを組み合わせても良い。
【0037】
また、ツナギ箱5は、両面板61、62の内のいずれか一方の面板と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5Sを備えている。ここでは、ツナギ箱5は、両面板61、62の内の車外側の面板62と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成されている。具体的には、押し出し成形されたダブルスキン形材DSKに対して、一方の面板(車外側の面板62)と繋ぎ板63とを所要の範囲で、機械加工にて切削することによって、ツナギ箱5の収容空間5Sが形成されている。なお、ツナギ箱5には、収容空間5Sの外周を囲う縦壁板を設けていないが、必要に応じてツナギ箱5の開口部に沿って縦壁板を溶接しても良い。この場合、車室SS内の気密性や静粛性をより一層高めることができる。
【0038】
そして、切削されていない他方の面板(車内側の面板61)には、複数の端子台4を装着する。端子台4には、それぞれ必要な配線を接続する。前述のドア開閉装置1c、行先表示装置1d、空調装置1e等への車両内配線25は、切削されていない他方の面板(車内側の面板61)に形成した貫通孔611を通し、妻構体TK又は側構体GKと内装パネルNPとの隙間を引き通して配線されている。上記貫通孔611は、車両内配線25に密着するグロメットゴム等のシール部材612によって密封されている。なお、切り欠かれた車外側の面板62の開口部には、異物等の侵入を防止する蓋体623が開閉可能に装着されている。
【0039】
以上の結果、ダブルスキン形材DSKで形成された台枠6の内部に、必要な数量の端子台4を収容する収容空間5Sを備えたツナギ箱5を簡単に形成することができる。また、台枠6の内部にツナギ箱5を形成するので、ツナギ箱5が台枠6の外部に突出せず、ツナギ箱5の収容空間5Sを拡張する場合でも、ツナギ箱5の周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱5の収容空間5Sにおけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0040】
また、ツナギ箱5は、両面板61、62の内のいずれか一方の面板(ここでは、車外側の面板62)と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板(ここでは、車内側の面板61)によって、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両10がトンネル内を高速で通過する際でも、車室SS内の気密性を保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのを回避できる。
【0041】
よって、本鉄道車両10によれば、ツナギ箱5の周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5の収容空間5Sにおけるスペース拡大が容易であると共に、車室SS内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両10を提供することができる。
【0042】
また、本鉄道車両10においては、車両内配線2(21、22、23、24)は、ツナギ箱5と連通する台枠6の中空部6Tを介して引き通されていることが好ましい。例えば、車両間で共通する車両内配線21は、車両前端側のツナギ箱5から車両後端側のツナギ箱5まで、レール方向に貫通する共通の中空部6Tを介して引き通されていることが好ましい。特に、台枠6の台車7に支持されている範囲(台枠枕バリに対応する範囲)では、車両内配線2がツナギ箱5と連通する台枠6の中空部6Tを介して引き通されていることが好ましい。
【0043】
この場合、台枠6の中空部6Tは、面板61、62と繋ぎ板63によって囲まれ、レール方向に貫通している。そのため、車両内配線2は、ツナギ箱5の周囲に配置される床下機器1a、1b等の車両機器1や台車7と干渉することなく、簡単に配線することができる。また、台枠6の床下側に配置する車両内配線2を廃止又は低減できるので、飛び石等による車両内配線2の傷付きを減少させることができる。また、台枠6に対して床下側に貫通する不要な配線孔の形成を回避でき、床上側の車室SS内の気密性をより一層簡単に保持できる。
【0044】
また、本鉄道車両10においては、渡り延長線32は、車外側の面板62に形成された貫通孔621から台枠6の中空部6T内に挿入され、当該中空部6T内を引き通してツナギ箱5の端子台4に接続され、貫通孔621には、渡り延長線32に密着するシール部材622が装着されていることが好ましい。なお、シール部材622は、貫通孔621に嵌合する嵌合溝が形成されたグロメットゴム等が好ましい。
【0045】
この場合、渡り延長線32は、車外側の面板62に形成された貫通孔621から台枠6の中空部6T内に挿入され、当該中空部6T内を引き通してツナギ箱5の端子台4に接続されているので、台枠6の外部に露出する渡り延長線32を短縮できる。そのため、飛び石等による渡り延長線32の傷付きを低減できる。
【0046】
また、貫通孔621には、渡り延長線32に密着するシール部材622が装着されているので、シール部材622によって貫通孔621と渡り延長線32との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を遮断させることができる。そのため、車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。その結果、渡り延長線32の飛び石等による傷付きを低減しつつ、車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。
【0047】
また、本鉄道車両10においては、車両内配線22は、車外側の面板62に形成した取出し孔625から床下側へ取出し、車外側の面板62に装着した電線樋64を経由して床下機器1aに配線され、取出し孔625には、車両内配線22に密着するシール部材624が装着されていることが好ましい。なお、電線樋64は、略U字状断面に形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、円弧状断面等に形成しても良い。
【0048】
この場合、車両内配線22は、車外側の面板62に形成した取出し孔625から床下側へ取出し、車外側の面板62に装着した電線樋64を経由して床下機器1aに配線されているので、台枠6の外部に露出する車両内配線22を短縮して、飛び石等による車両内配線22の傷付きを低減できる。
【0049】
また、取出し孔625には、車両内配線22に密着するシール部材624が装着されているので、シール部材624によって取出し孔625と車両内配線22との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を遮断させ、床上側の車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。そのため、飛び石等による車両内配線22の傷付きを低減しつつ、車室SS内における気密性を確実に保持することができる。
【0050】
(変形例1)
次に、変形例1の鉄道車両10Bとして、図1図5図6に示すように、ツナギ箱5Bは、車内側の面板61Bと繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成されても良い。端子台4は、車外側の面板62Bに装着されている。この場合も、本鉄道車両10と同様に、ツナギ箱5Bの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5Bの収容空間5SBにおけるスペース拡大が容易であると共に、車室SS内の気密性を簡単に保持できる。
【0051】
また、変形例1の鉄道車両10Bにおいても、車両内配線2は、ツナギ箱5Bと連通する台枠6Bの中空部6Tを介して引き通されていることが好ましい。また、渡り延長線32は、車外側の面板62Bに形成された貫通孔621から台枠6Bの中空部6T内に挿入され、当該中空部6T内を引き通してツナギ箱5Bの端子台4に接続され、貫通孔621には、渡り延長線32に密着するシール部材622が装着されていることが好ましい。なお、シール部材622は、貫通孔621に嵌合する嵌合溝が形成されたグロメットゴム等が好ましい。
【0052】
さらに、図5に示すように、車両内配線22は、車外側の面板62Bに形成した取出し孔625から床下側へ取出し、車外側の面板62Bに装着した電線樋64を経由して床下機器1aに配線され、取出し孔625には、車両内配線22に密着するシール部材624が装着されていることが好ましい。ここで、図6に示すように、切り欠かれた車内側の面板61Bの開口部には、異物の侵入等を防止する蓋体613が開閉可能に装着されているが、この蓋体613は、床板YPによってツナギ箱5Bへの異物の侵入等を防止可能であれば、必ずしも装着する必要はない。
【0053】
(変形例2)
また、変形例2の鉄道車両10Cとして、図1図7に示すように、台枠6Cは、車内側の面板61Cと、車外側の面板62Cと、両面板61C、62Cを繋ぐ繋ぎ板63と、両面板61C、62Cの間に配置された中面板64Cと、中面板64Cと車内側の面板61C又は車外側の面板62Cとを繋ぐ中繋ぎ板631C、632C、633C、634Cとを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成されている。また、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(ここでは、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5SCを備えている。ここでは、中面板64Cは、ツナギ箱5Cの左右幅と略同一の左右幅でレール方向に延設されているが、ツナギ箱5Cの左右幅より大きく形成した左右幅でレール方向に延設しても良い。
【0054】
この場合も、本鉄道車両10と同様に、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大が容易であると共に、車室SS内の気密性を簡単に保持できる。
【0055】
すなわち、台枠6Cは、車内側の面板61Cと、車外側の面板62Cと、両面板61C、62Cを繋ぐ繋ぎ板63と、両面板61C、62Cの間に配置された中面板64Cと、中面板64Cと車内側の面板61C又は車外側の面板62Cとを繋ぐ中繋ぎ板631C、632C、633C、634Cとを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成され、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(ここでは、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5SCを備えているので、ダブルスキン形材DSKで形成された台枠6Cの内部に、必要な数量の端子台4を収容できる収容空間5SCを備えたツナギ箱5Cを簡単に形成することができる。
【0056】
また、台枠6Cの内部にツナギ箱5Cを形成するので、ツナギ箱5Cが台枠6Cの外部に突出せず、ツナギ箱5Cの収容空間5SCを拡張する場合でも、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0057】
また、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(ここでは、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成されるので、ツナギ箱5Cの底面側において、切り欠かれていない他方の面板(ここでは、車内側の面板61C)と中面板64Cとが上下で2重構造となり、ツナギ箱5Cを形成した箇所における台枠6Cの強度と遮音性を高めることができる。そのため、ツナギ箱5Cを内蔵する台枠6Cの強度を高めつつ、車室SS内の静粛性を高めることができる。
【0058】
また、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(ここでは、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板(ここでは、車内側の面板61C)と中面板64Cとによって、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通をより一層遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両10Cがトンネル内を高速で通過する際でも、車室SS内の気密性を保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのをより一層回避できる。
【0059】
よって、変形例2の鉄道車両10Cによれば、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大が容易であると共に、台枠6Cの強度と車室SS内の静粛性を高めつつ、車室SS内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両10Cを提供することができる。
【0060】
なお、変形例2の鉄道車両10Cにおいても、車両内配線2は、ツナギ箱5Cと連通する台枠6Cの中空部6Tを介して引き通されていることが好ましい。また、渡り延長線32は、車外側の面板62Cに形成された貫通孔621から台枠6Cの中空部6T内に挿入され、当該中空部6T内を引き通してツナギ箱5Cの端子台4に接続され、貫通孔621には、渡り延長線32に密着するシール部材622が装着されていることが好ましい。なお、シール部材622は、貫通孔621に嵌合する嵌合溝が形成されたグロメットゴム等が好ましい。
【0061】
さらに、車両内配線22は、車外側の面板62Cに形成した取出し孔625から床下側へ取出し、車外側の面板62Cに装着した電線樋64を経由して床下機器1aに配線され、取出し孔625には、車両内配線22に密着するシール部材624が装着されていることが好ましい(図5参考)。
【0062】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両10、10Bによれば、台枠6、6Bは、車内側の面板61、61Bと車外側の面板62、62Bと両面板61、62、61B、62Bを繋ぐ繋ぎ板63とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成され、ツナギ箱5、5Bは、両面板61、62、61B、62Bの内のいずれか一方の面板と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5S、5SBを備えているので、ツナギ箱5、5Bの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5、5Bの収容空間5S、5SBにおけるスペース拡大が容易であると共に、車室SS内の気密性を簡単に保持できる。
【0063】
すなわち、台枠6、6Bは、車内側の面板61、61Bと車外側の面板62、62Bと両面板61、62、61B、62Bを繋ぐ繋ぎ板63とを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成されている。また、ツナギ箱5、5Bは、両面板61、62、61B、62Bの内のいずれか一方の面板と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5S、5SBを備えている。そのため、ダブルスキン形材DSKで形成された台枠6、6Bの内部に、必要な数量の端子台4を収容できる収容空間5S、5SBを備えたツナギ箱5、5Bを簡単に形成することができる。
【0064】
また、台枠6、6Bの内部にツナギ箱5、5Bを形成するので、ツナギ箱5、5Bが台枠6、6Bの外部に突出せず、ツナギ箱5、5Bの収容空間5S、5SBを拡張する場合でも、ツナギ箱5、5Bの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱5、5Bの収容空間5S、5SBにおけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0065】
また、ツナギ箱5、5Bは、両面板61、62、61B、62Bの内のいずれか一方の面板と繋ぎ板63とを部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板によって、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を簡単に遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両10、10Bがトンネル内を高速で通過する際でも、車室SS内の気密性を簡単に保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのを回避できる。
【0066】
よって、本実施形態によれば、ツナギ箱5、5Bの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5、5Bの収容空間5S、5SBにおけるスペース拡大が容易であると共に、車室SS内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両10、10Bを提供することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、台枠6Cは、車内側の面板61Cと、車外側の面板62Cと、両面板61C、62Cを繋ぐ繋ぎ板63と、両面板61C、62Cの間に配置された中面板64Cと、中面板64Cと車内側の面板61C又は車外側の面板62Cとを繋ぐ中繋ぎ板631C、632C、633C、634Cとを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成され、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(例えば、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5SCを備えているので、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大が容易であると共に、台枠6Cの強度と車室SS内の静粛性を高めつつ、車室SS内の気密性を簡単に保持できる。
【0068】
すなわち、台枠6Cは、車内側の面板61Cと、車外側の面板62Cと、両面板61C、62Cを繋ぐ繋ぎ板63と、両面板61C、62Cの間に配置された中面板64Cと、中面板64Cと車内側の面板61C又は車外側の面板62Cとを繋ぐ中繋ぎ板631C、632C、633C、634Cとを有し、レール方向に押し出し成形されたダブルスキン形材DSKで形成され、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(例えば、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成され、端子台4を収容する収容空間5SCを備えているので、ダブルスキン形材DSKで形成された台枠6Cの内部に、必要な数量の端子台4を収容できる収容空間5SCを備えたツナギ箱5Cを簡単に形成することができる。
【0069】
また、台枠6Cの内部にツナギ箱5Cを形成するので、ツナギ箱5Cが台枠6Cの外部に突出せず、ツナギ箱5Cの収容空間5SCを拡張する場合でも、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更する必要がない。そのため、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大を簡単に行うことができる。
【0070】
また、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(例えば、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成されるので、ツナギ箱5Cの底面側において、切り欠かれていない他方の面板(例えば、車内側の面板61C)と中面板64Cとが上下で2重構造となり、ツナギ箱5Cを形成した箇所における台枠6Cの強度と遮音性を高めることができる。そのため、ツナギ箱5Cを内蔵する台枠6Cの強度と車室SS内の静粛性を高めることができる。
【0071】
また、ツナギ箱5Cは、両面板61C、62Cの内のいずれか一方の面板(例えば、車外側の面板62C)と、当該面板62Cと中面板64Cとを繋ぐ中繋ぎ板634Cとを、部分的に切り欠いて形成されているので、切り欠かれていない他方の面板(例えば、車内側の面板61C)と中面板64Cとによって、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通をより一層遮断させることができる。そのため、例えば、本鉄道車両10Cがトンネル内を高速で通過する際でも、車室SS内の気密性を保持でき、乗客に気圧差の違和感が生じるのをより一層回避できる。
【0072】
よって、本実施形態によれば、ツナギ箱5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7との位置関係を変更することなく、ツナギ箱5Cの収容空間5SCにおけるスペース拡大が容易であると共に、台枠6Cの強度と車室SS内の静粛性を高めつつ、車室SS内の気密性を簡単に保持できる鉄道車両10Cを提供することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、車両内配線2は、ツナギ箱5、5B、5Cと連通する台枠6、6B、6Cの中空部6Tを介して引き通されているので、ツナギ箱5、5B、5Cの周囲に配置される床下機器1a、1bや台車7と干渉することなく、簡単に配線することができる。また、台枠6、6B、6Cの床下側に配置する車両内配線2を低減できるので、飛び石等による車両内配線2の傷付きを低減できる。また、台枠6、6B、6Cに対して床下側に貫通する不要な配線孔の形成を回避でき、床上側の車室SS内の気密性をより一層簡単に保持できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、渡り延長線32は、車外側の面板62、62B、62Cに形成された貫通孔621から台枠6、6B、6Cの中空部6T内に挿入され、当該中空部6T内を引き通してツナギ箱5、5B、5Cの端子台4に接続されているので、台枠6、6B、6Cの外部に露出する渡り延長線32を短縮して、飛び石等による渡り延長線32の傷付きを低減できる。また、貫通孔621には、渡り延長線32に密着するシール部材622が装着されているので、シール部材622によって貫通孔621と渡り延長線32との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を遮断させ、車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。そのため、渡り延長線32の飛び石等による傷付きを低減しつつ、車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、車両内配線22は、車外側の面板62、62B、62Cに形成した取出し孔625から床下側へ取出し、車外側の面板62、62B、62Cに装着した電線樋64を経由して床下機器1aに配線されるので、台枠6、62B、62Cの外部に露出する車両内配線22を短縮して、飛び石等による車両内配線22の傷付きを低減できる。また、取出し孔625には、車両内配線22に密着するシール部材624が装着されているので、シール部材624によって取出し孔625と車両内配線22との隙間を密封して、床下側の外気と床上側の車室SS内における内気との流通を遮断させ、床上側の車室SS内における気密性を簡単に保持することができる。そのため、飛び石等による車両内配線22の傷付きを低減しつつ、車室SS内における気密性を確実に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、車両内に引き通す車両内配線と、車両間を渡すジャンパ線が着脱可能に形成された車間渡りコネクタから延設された渡り延長線と、を接続する端子台を有するツナギ箱を、台枠内に内蔵した鉄道車両として利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b 床下機器
2、21、22、23、24 車両内配線
3 ジャンパ線
4 端子台
5、5B、5C ツナギ箱
5S、5SB、5SC 収容空間
6、6B、6C 台枠
6R レール方向端部
6T 中空部
10、10B、10C 鉄道車両
31 車間渡りコネクタ
32 渡り延長線
61、61B、61C 車内側の面板
62、62B、62C 車外側の面板
63 繋ぎ板
64 電線樋
64C 中面板
621 貫通孔
622、624 シール部材
625 取出し孔
631C、632C、633C、634C 中繋ぎ板
DSK ダブルスキン形材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8