(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069840
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20240515BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240515BHJP
G06T 7/41 20170101ALI20240515BHJP
G06V 10/54 20220101ALI20240515BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240515BHJP
C08C 19/20 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G01N23/04
G06T7/00 610A
G06T7/41
G06V10/54
C08L21/00
C08C19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180079
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】長尾 知彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 克典
【テーマコード(参考)】
2G001
4J002
4J100
5L096
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA11
2G001CA03
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001LA05
2G001RA01
4J002AC061
4J002DA046
4J002FD146
4J002GT00
4J100AS03P
4J100CA01
4J100CA31
4J100HA53
4J100HB09
4J100HE17
4J100JA00
5L096BA03
5L096DA02
5L096EA04
5L096FA33
5L096FA46
5L096FA59
5L096FA64
(57)【要約】
【課題】実際の架橋ゴムの網目構造をより忠実に把握して網目構造の実際の不均一性を的確に定量化する架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システムを提供する。
【解決手段】透過型電子顕微鏡2により膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片20の画像データ30を取得して、画像データ30における網目構造のそれぞれの網目に相当する領域39が特定されるデータ処理を演算装置3により行って、それぞれの領域39が表示される領域画像データ38を取得し、この領域画像データ38でのそれぞれの領域39の大きさを算出し、算出したそれぞれの前記領域の大きさから算出される指標に基づいて網目構造の不均一性を定量化する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを透過型電子顕微鏡により取得し、取得した前記画像データを用いる架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法において、
前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されるデータ処理を演算装置により行って、それぞれの前記領域が表示される領域画像データを取得し、この領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出し、算出したそれぞれの前記領域の大きさから算出される指標に基づいて前記網目構造の不均一性を定量化する架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
【請求項2】
前記指標としてそれぞれの前記領域の大きさの分散状態を表す分散指標を用いる請求項1に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
【請求項3】
前記指標としてそれぞれの前記領域の大きさの代表値を用いる請求項1または2に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
【請求項4】
前記画像データをデータ処理することにより、前記画像データにおける前記網目構造を構成する分子鎖が特定されて表示される線画像データを取得し、取得した前記線画像データ以外の部分を領域群として特定し、その領域群を多数の前記領域に分割して、前記領域画像データを取得する請求項1に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
【請求項5】
前記領域の大きさとして、前記領域の面積、円相当径、体積、および、球相当径のいずれかを用いる請求項1に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
【請求項6】
膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを取得する透過型電子顕微鏡と、この透過型電子顕微鏡が取得した前記画像データを用いて架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化する演算装置とを備える架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システムにおいて、
前記演算装置は、前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されて表示される領域画像データを取得するデータ処理と、前記領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出するデータ処理と、算出したそれぞれの前記大きさから算出される指標に基づいて前記網目構造の不均一性を定量化するデータ処理とを行う構成である架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システムに関し、より詳しくは、透過型電子顕微鏡により取得した画像データに基づいて実際の架橋ゴムの網目構造をより忠実に把握して網目構造の実際の不均一性を的確に定量化できる架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ゴムの架橋状態や物性は架橋ゴムの網目構造の不均一性の程度に影響を受けることが知られている。架橋ゴムの網目構造を評価する方法として、透過型電子顕微鏡を用いた計算機トモグラフィー法により架橋ゴムの超薄切片の3次元画像を取得し、取得した3次元画像から網目構造に存在する空隙部を球体近似して得られた粒径のメジアン径を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には比較例として、透過型電子顕微鏡により架橋ゴムの超薄切片の2次元画像を取得して、取得した2次元画像から網目構造の空隙部を円近似して得られたメジアン径を用いる方法も開示されている。
【0003】
網目構造の不均一性は、網目の大きさのばらつきが大きいほど高くなる。特許文献1に記載の方法では、網目の大きさを、3次元画像では空隙部の内接球の外径を用いて近似し、2次元画像では空隙部の内接円の直径を用いて近似して把握している。しかしながら、空隙部の形状は様々な形状があることから、同じ外径の内接球、同じ直径の内接円として近似しても実際の空隙部の大きさには差異があり、異なる外径の内接球、異なる外径の内接円として近似しても実際の空隙部の大きさが同等であることもある。つまり、特許文献1に記載の方法では、近似した網目の大きさが実際の網目構造の網目の大きさから大幅に乖離することがあるため、実際の網目の大きさを精度よく把握できない。それ故、網目構造の実際の不均一性を的確に定量化するには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実際の架橋ゴムの網目構造をより忠実に把握して網目構造の実際の不均一性を的確に定量化する架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法は、膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを透過型電子顕微鏡により取得し、取得した前記画像データを用いる架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法において、前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されるデータ処理を演算装置により行って、それぞれの前記領域が表示される領域画像データを取得し、この領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出し、算出したそれぞれの前記領域の大きさから算出される指標に基づいて前記網目構造の不均一性を定量化することを特徴とする。
【0007】
上記の目的を達成する本発明の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システムは、膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを取得する透過型電子顕微鏡と、この透過型電子顕微鏡が取得した前記画像データを用いて架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化する演算装置とを備える架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システムにおいて、前記演算装置は、前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されて表示される領域画像データを取得するデータ処理と、前記領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出するデータ処理と、算出したそれぞれの前記大きさから算出される指標に基づいて前記網目構造の不均一性を定量化するデータ処理とを行う構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、領域画像データから得たそれぞれの領域の大きさが、網目構造のそれぞれの網目の大きさを忠実に表している。それぞれの領域の大きさのばらつきは架橋ゴムの網目構造の不均一さを表しており、それぞれの領域の大きさから算出される指標は架橋ゴムの網目構造の実際の不均一性をより具体的に示している。そのため、その指標を用いることで、実際の網目構造をより忠実に把握して網目構造の実際の不均一性を的確に定量化するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システムの実施形態を例示する説明図である。
【
図2】架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法の実施形態の手順を例示するフロー図である。
【
図3】透過型電子顕微鏡により取得された画像データを例示する説明図である。
【
図4】
図3の画像データをデータ処理して得られた分離画像データを例示する説明図である。
【
図5】
図4の分離画像データをデータ処理して得られた線変換画像データを例示する説明図である。
【
図6】
図5の線変換画像データから領域群を特定した画像データを例示する説明図である。
【
図7】
図6の領域群を多数の領域に分割した領域画像データを例示する説明図である。
【
図8】実施例で得られた領域の体積とその頻度を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システムを、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1に例示する定量化システム1の実施形態を用いて、架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法が実施される。この定量化方法は、膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片20の画像データ30を透過型電子顕微鏡2により取得し、取得した画像データ30を演算装置3によりデータ処理することにより、架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化する方法である。
【0012】
定量化システム1は透過型電子顕微鏡2および演算装置3を備えている。演算装置3は公知の種々のコンピュータを用いることができる。演算装置3は、中央演算処理部(CPU)4、主記憶部(メモリ)5、補助記憶部(例えば、HDD)6、入力部(キーボード、マウス)7、および、出力部(ディスプレイ)8を有している。定量化プログラム10は演算装置3の補助記憶部6にインストールされる。
【0013】
--透過型電子顕微鏡2は公知の種々の透過型電子顕微鏡を用いることができる。透過型電子顕微鏡2は膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片20に電子線を照射し、透過した電子線の強弱から超薄切片20の内部の電子透過率の空間分布が観測可能な画像データ30を取得する。透過型電子顕微鏡2が取得した画像データ30は演算装置3に入力され、補助記憶部6に記憶される。透過型電子顕微鏡2は超薄切片20を撮影して画像データ30として二次元画像データを取得可能であればよいが、画像データ30として超薄切片20の三次元画像データを取得してもよい。
【0014】
演算装置3は、入力部7により定量化プログラム10が起動されて実行されると、定量化プログラム10により指示された各データ処理を実行する。そして、各データ処理を実行して架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化した結果を算出して出力部8に出力する。
【0015】
定量化プログラム10は、起動した後に、入力部7により各処理で用いるフィルタの選択などを含む初期設定が行われる。定量化プログラム10は、初期設定が完了した後に、演算装置3に初期設定に従った各処理を実行させる。
【0016】
図2は定量化方法の手順の一例を示す。まず、超薄切片20を準備し(S110)、透過型電子顕微鏡2により超薄切片20の画像データ30を取得する(S120)。ついで、定量化プログラム10を起動して実行することで、定量化プログラム10は演算装置3に各手順を実行させる(S130~S180)。最終的に、架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化した結果が出力部8出力されると終了となる。この手順の一例では、画像データ30として三次元画像データを用いている。以下に、各ステップ(S110~S180)の内容を詳述する。
【0017】
超薄切片20を準備するステップ(S110)では、架橋ゴムの試験片を作成し、超薄切片20をその試験片から切り出す。架橋ゴムの試験片は、重合性モノマーを用いて架橋ゴムを膨潤させた後に、重合開始剤の存在下で重合性モノマーを重合させることにより、飽和状態に膨潤させた網目構造が固定化した状態となっている。
【0018】
架橋ゴムのゴム成分としては、加硫剤により架橋可能なゴム成分であればよく、天然ゴム(NR)、あるいは、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などの合成ゴムが例示される。加硫剤(架橋剤)としては、ゴム成分の鎖状高分子を示す分子鎖どうしを架橋可能であればよく、有機過酸化物や硫黄が例示される。架橋ゴムには、加硫剤以外の、加硫促進剤、老化防止剤、難燃剤、補強材、および、着色剤などのゴム配合剤が配合されていてもよい。
【0019】
試験片の作成時に用いる重合性モノマーとしては、架橋ゴムを飽和状態まで膨潤させて架橋ゴムとの共存下で重合可能なものであればよく、メタクリル酸メチル、スチレンモノマー、および、シリコーンなどが例示される。重合開始剤としては、熱、光、または、酸化還元によりラジカルを発生させるものであればよく、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ペルオキシド、および、トリエチルボランなどが例示される。
【0020】
架橋ゴムの網目構造を構成する分子鎖は、重合開始剤による発生するラジカルにより切断されることが知られている。試験片の作成では、重合開始剤の配合量を減らすことでラジカルの発生を抑制することが好ましい。具体的に、重合開始剤の配合量は、重合性モノマー100質量部に対して、10質量部未満とすることが望ましく、3質量部以下とすることがより望ましい。重合開始剤の配合量は、重合性モノマーと重合開始剤の組み合わせによっても異なる。例えば、重合性モノマーとしてスチレンモノマーを用いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いる場合、重合開始剤の配合量は、スチレンモノマー100質量部に対して、0.3質量部程度でよい。このように、試験片の作成で用いる重合開始剤の配合量を減らすことで、ラジカルによる分子鎖の切断が抑制されるので、実際の網目構造をより忠実に把握して、これに伴い網目構造の実際の不均一性を的確に定量化するには有利になる。
【0021】
超薄切片20の厚さは例えば50nm~300nmである。透過型電子顕微鏡2により二次元画像を取得する場合の超薄切片20の厚さは50nm~100nmが望ましく、三次元画像を取得する場合の超薄切片20の厚さは100nm~300nmが望ましい。
【0022】
超薄切片20は染色剤で染色することもできる。染色剤としては、四酸化オスミウムおよびヨウ素などが例示される。染色剤は、架橋ゴムの分子鎖を染色するが重合性モノマーを染色しないものが望ましい。
【0023】
図3に例示する画像データ30を取得するステップ(S120)では、透過型電子顕微鏡2により超薄切片20を撮影し、超薄切片20の内部の電子透過率の空間分布が観測可能な画像データ30を取得する。画像データ30として三次元画像を取得する場合、公知の電子線トモグラフィーの手法を用いることができる。具体的に、画像データ30として三次元画像を取得する場合、このステップでは、まず、超薄切片20を連続的に傾斜させながら透過型電子顕微鏡2により撮影した二次元画像データを複数、撮影する。次いで、電子線トモグラフィーの手法を用いて撮影した複数の二次元画像データから一枚の三次元画像データである画像データ30を再構成する。
【0024】
図3の画像データ30の一例は、一辺の長さをL〔nm〕(透過型電子顕微鏡2の倍率に応じた変数)の正方形を上面および下面とし、高さ(図の表裏方向の長さ)を超薄切片20の厚さとする直方体の三次元画像データである。画像データ30には、電子透過率が異なる明部31と暗部32とが存在する。明部31は、網目構造を構成する分子鎖やその分子鎖どうしが結合した架橋点が存在することにより電子透過率が低い部分である。暗部32は、画像データ30における明部31以外の部分であり、主に重合性モノマーが重合して成る包埋樹脂相が存在することにより電子透過率が高い部分である。なお、画像データ30は、明部31と暗部32のそれぞれの色彩が反転した状態でもよい。
【0025】
画像データ30は、一辺の長さがL〔nm〕の正方形の二次元画像データである多数の断層画像データに分割することができる。画像データ30が多数の断層画像データに分割されることで、後述するステップで二次元画像データ処理を用いることが可能となる。このように、画像データ30に対する画像データ処理に二次元画像データ処理を用いることで、三次元画像データ処理に比して演算負荷を低減するには有利になる。例えば、超薄切片20の厚さが100nmの場合、画像データ30は、60枚~100枚程度の断層画像データに分割される。
【0026】
図4に例示する分離画像データ33を作成するステップ(S130)では、演算装置3により画像データ30に写る明部31の領域と暗部32の領域とを領域分離して二値化して分離画像データ33を作成するデータ処理が実行される。具体的に、このステップでは、まず、画像データ30を多数の断層画像データに分割し、分割した多数の断層画像データごとに領域分離して二値化する。次いで、領域分離して二値化した多数の断層画像データを積層して分離画像データ33を再構成する。分離画像データ33では、白色部分が明部31を示し、黒色部分が暗部32を示す。
【0027】
このステップでは、明部31と暗部32とを領域分離する前に、画像データ30のノイズを除去したり、画像データ30の輝度を補正したりするとよい。ただし、画像データ30のノイズ状況や輝度ムラの状況によっては、ノイズの除去や輝度ムラの補正を省略してもよく、ノイズの除去や輝度の補正のデータ処理は適宜、選択可能とするとよい。
【0028】
ノイズを除去する手法は公知の種々のノイズを除去する手法を用いることができる。その手法としては、メディアンフィルタやガウシアンフィルタなどのノイズ除去フィルタを用いる手法、膨張処理および収縮処理を用いる手法、および、機械学習により作成したノイズ除去モデルを用いる手法などが例示される。輝度を補正する手法は公知のシェーディング補正の手法を用いることができる。その手法としては、コサイン四乗則を用いた手法や白基準となるデータを用いた手法などが例示される。領域分離する前の画像処理としては、トップハット処理やブラックハット処理を用いることもできる。
【0029】
領域分離して二値化する手法は公知の種々の二値化の手法を用いることができる。代表的な二値化の手法としては、閾値による二値化、領域抽出による二値化(例えば、動的輪郭モデル)、および、機械学習により作成した領域分離モデルを用いた二値化などが例示される。閾値による二値化は、その閾値として、予め把握した値を用いてもよく、大津の二値化の手法により自動的に判別された値を用いてもよい。また、明部31を複数の領域に分割して暗部32を含む三つ以上の領域に分離し、暗部32の領域とその他の像の領域とで二値化してもよい。
【0030】
領域分離して二値化した後に、明部31と暗部32との界面を平滑化してもよい。界面を平滑化することにより、明部31および暗部32のそれぞれが複雑な形状からより単純な形状に変換される。界面の平滑化の画像データ処理が省かれても、次の明部31を細線化する画像データ処理は実行可能であるが、明部31を細線化する画像データ処理に要する演算負荷の低減のために界面の平滑化の画像データ処理を実行することが望ましい。なお、平滑化の画像データ処理は、明部31の輪郭を対象としてもよい。
【0031】
平滑化する手法としては、ノイズを除去する手法と同様の手法が例示される。一般的に画像データ処理においてノイズの除去と平滑化とは同一視されるが、本実施形態ではそれぞれ異なるデータ処理として定義する。ノイズの除去は透過型電子顕微鏡2で取得した画像データ30を対象として画像データ30に写るノイズを除去することを目的としたものである。対して、界面の平滑化は領域分離して二値化した分離画像データ33を対象として分離画像データ33に写る明部31と暗部32との界面を平滑化することを目的としたものである。例えば、ノイズの除去と界面の平滑化とで同じフィルタを用いる場合は、フィルタにおけるカーネル係数が異なる。ノイズの除去で用いるフィルタのカーネル数は画像データ30のノイズの除去に適した値に設定され、界面の平滑化で用いるフィルタのカーネル数は分離画像データ33に写る明部31と暗部32の界面の平滑化に適した値に設定される。
【0032】
図4に例示する分離画像データ33は、画像データ30に対して、ノイズ除去、二値化、および、平滑化のそれぞれの画像データ処理を施したものである。分離画像データ33の明部31と暗部32は、画像データ30に比して境界が明確になっている。
【0033】
図5に例示する線変換画像データ34を作成するステップ(S140)では、演算装置3により分離画像データ33の全ての明部31を細線化した線画像データ35が多数、存在する線変換画像データ34を作成するデータ処理が実行される。具体的に、このステップでは、まず、分離画像データ33を多数の断層画像データに分割し、分割した多数の断層画像データごとに明部31を細線化する。次いで、明部31を細線化した多数の断層画像データを積層して線変換画像データ34を再構成する。
【0034】
図5に例示する線変換画像データ34は、分離画像データ33に写る全ての明部31に細線化の画像データ処理を施したものである。明部31を細線化して得られた線画像データ35はその明部31を中心線で表したものであり、明部31の骨格が特定されたデータである。明部31が網目構造の分子鎖や架橋点が存在する部分であることから、網目構造を構成する分子鎖やその分子鎖どうしが結合した架橋点が特定されて表示されたものである。
【0035】
細線化のアルゴリズムは公知の種々のアルゴリズムを用いることができる。代表的なアルゴリズムとして、Hilditchのアルゴリズム、田村の方法、Nagendraprasad-Wang-Guptaのアルゴリズム、Zhang-Suenのアルゴリズムなどが例示される。
【0036】
領域群36を特定するステップ(S150)では、演算装置3により、線変換画像データ34に基づいて、線画像データ35以外の部分である領域群36を特定するデータ処理が実行される。このステップでは、演算装置3が、線変換画像データ34が示す直方体と同一の直方体を表す三次元画像データから線変換画像データ34に存在する全ての線画像データ35を切り抜いた残りの部分を領域群36として特定する。また、このステップでは、演算装置3が、線変換画像データ34から多数の線画像データ35の全てを削除して、多数の線画像データ35の全てが削除された残りの部分を領域群36として特定してもよい。
【0037】
図6は、特定された領域群36を示す画像データの一例である。この画像データでは、領域群36が白色に近い部分であり、線画像データ35が切り抜かれた部分(以下、切抜部分37)が黒色に近い部分である。領域群36の表面に形成された切抜部分37は、より黒色に近い色を示し、領域群36の内部に形成された切抜部分37は、黒色よりも薄い色を示す。なお、黒点状の切抜部分37は、厚さ方向(図面の表裏方向)に延在する線画像データ35により切り抜かれた部分を示す。領域群36は、網目構造を構成する分子鎖やその分子鎖どうしが結合した架橋点以外の部分である。つまり、領域群36は、網目構造のそれぞれの網目に相当する。
【0038】
図7に例示する領域画像データ38を作成するステップ(S160)では、演算装置3により、網目構造のそれぞれの網目に相当する領域39(39A、39B、39C、・・・)を特定し、それぞれの領域39が表示される領域画像データ38を作成するデータ処理が実行される。それぞれの領域39は、領域群36に対して、モード法、K-means法、領域拡張法、SNAKE法、Watershed法などの公知の種々の領域分割手法(セグメンテーション)が用いられて、領域群36が多数分割されることにより特定される。なお、領域分割手法では、切抜部分37を境界とする。領域39は、元となる画像データ30が三次元画像データの場合、網目構造のそれぞれの網目に相当する三次元空間領域を表し、元となる画像データ30が二次元画像データの場合、それぞれの網目に相当する二次元空間領域を表す。以上のように、線画像データ35以外の部分である領域群36に対して領域分割手法を用いることにより、網目構造を構成する分子鎖やその分子鎖どうしが結合した架橋点が特定されて表示される部分(線画像データ35)と、網目構造のそれぞれの網目に相当する部分(領域39)との境界(領域39の輪郭)をより高精度に抽出するには有利になる。
【0039】
図7の領域画像データ38には、分割された多数の領域39が存在する。図中では、分割された領域39ごとに彩度を異ならせて視覚的に区別可能に表示されている。領域39は、網目構造を構成する分子鎖やその分子鎖どうしが結合した架橋点以外の部分が、分子鎖や架橋点を境界として分割されたものであることから、主に重合性モノマーが重合して成る包埋樹脂相が特定されて表示されたものである。つまり、それぞれの領域39は、網目構造のそれぞれの網目の大きさが特定されて表示されたものである。
【0040】
領域39の大きさを算出するステップ(S170)では、演算装置3により、領域画像データ38でのそれぞれの領域39の大きさを算出するデータ処理が実行される。このステップでは、公知の種々の算出方法を用いて、それぞれの領域39の大きさを算出することができる。例えば、それぞれの領域39を構成するピクセル数やボクセル数を用いてそれぞれの領域39の大きさを算出する。
【0041】
領域39の大きさは、領域39が領域画像データ38において占有している度合いを示し、領域39の形状に応じた値を示す。例えば、
図7中の領域39Aは領域39Bよりも大きく見えるが、領域39Aの厚さ(図の表裏方向の長さ)は、領域39Bの厚さよりも小さくなっている。それ故、領域39Aの大きさ(体積)と領域39Bの大きさ(体積)とは等しくなっている。また、領域39Bと領域39Cとは等しく見えるが、領域39Cの厚さは領域39Bの厚さよりも小さく、領域39A、39Bの大きさ(体積)は領域39Cの大きさ(体積)よりも大きくなっている。このように、それぞれの領域39の大きさは、網目構造の実際の網目の大きさを忠実に表している。
【0042】
具体的に、領域39の大きさは、領域画像データ38が二次元画像データの場合、領域39の面積や円相当径(その面積を有する円の直径)を用いることができる。また、領域39の大きさは、領域画像データ38が三次元画像データの場合、領域39の体積や球相当径(その体積を有する球の直径)を用いることができる。なお、円相当径は、領域39の面積に等しい面積を有する円の直径を示し、球相当径は、領域39の体積に等しい体積を有する球の直径を示す。したがって、円相当径や球相当径は、面積や体積と同様に領域39の大きさを忠実に表している。このように、領域39の大きさとして、領域39の面積や円相当径、体積や球相当径のいずれかを用いることにより、従来技術の網目構造の網目の大きさを網目の内接円や外接円を用いる手法に比して、領域39の大きさより忠実に把握できる。それ故、網目構造の実際の不均一性を的確に定量化するには有利になる。
【0043】
不均一性を定量化するステップ(S180)では、演算装置3によりそれぞれの領域39の大きさから算出される指標に基づいて網目構造の不均一性を定量化するデータ処理が実行される。網目構造の不均一性は、それぞれの網目の大きさのばらつきが大きいほど高くなる。網目の大きさは、領域39の大きさで表される。したがって、それぞれの領域39の大きさから算出される指標に基づいて架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化することが可能である。
【0044】
具体的に、不均一性の定量化では、それぞれの領域39の大きさに基づいて、それぞれの領域39の大きさの分散状態を表す分散指標を算出し、定量化の指標としてその分散指標を用いる。この分散指標は、いわゆる算術的な分散、標準偏差などを用いる。網目構造の不均一性は網目の大きさのばらつきで表すことができるため、定量化の指標として算出した分散指標を用いることで、網目構造の不均一性を定量化できる。
【0045】
また、不均一性の定量化では、それぞれの領域39の大きさに基づいて、領域画像データ38に多数存在している領域39での大きさの平均値、中央値、最頻値、四分位数などの代表値を算出し、その代表値を定量化の指標として用いる。上述した分散指標と代表値との両方を用いて、網目構造の不均一性を定量化してもよい。
【0046】
不均一性の定量化の指標としては、複数の分散指標(例えば、分散と標準偏差)の組み合わせ、複数の代表値の組み合わせ(例えば、最頻値と半値幅の組み合わせ、箱ひげ図)を用いることもできる。なお、箱ひげ図では、中央値、下側四分位数、上側四分位数、外れ値を除いた最小値、外れ値を除いた最大値が表される。
【0047】
領域39の大きさの算出は、統一された同条件下(使用する画像データ30を同じ倍率、大きさ、枚数にする)で行えばよい。このように同条件に設定することで様々な試験片に対して網目構造の不均一性を単純比較することができる。使用する画像データ30の倍率、大きさ、枚数が試験片によって異なる場合は、画像データ30の全領域の大きさに対して領域39の大きさが占める割合を算出して不均一性を定量化する。
【0048】
以上のとおり、本実施形態によれば、透過型電子顕微鏡2を用いて得られる画像データ30に写る像の中から網目を構成する分子鎖や架橋点が存在する明部31以外の暗部32、つまり、網目構造のそれぞれの網目に相当する領域39に着目したことで、それぞれの網目の形状の異なりや複雑な網目の形状も考慮した上で網目構造の実際の不均一性を的確に定量化することが可能となる。具体的に、領域画像データ38から得たそれぞれの領域39の大きさが、網目構造のそれぞれの網目の大きさを忠実に表している。それぞれの領域39の大きさのばらつきは架橋ゴムの網目構造の不均一さを表しており、それぞれの領域39の大きさから算出される指標は架橋ゴムの網目構造の実際の不均一性をより具体的に示している。そのため、その指標を用いることで、実際の網目構造をより忠実に把握して網目構造の実際の不均一性を的確に定量化するには有利になる。
【0049】
網目構造の不均一性を定量化することで、網目構造の不均一性と架橋ゴムの架橋状態や物性との相関関係を見出すことが可能となる。その結果、網目構造の不均一性を指標として架橋ゴムの架橋状態や物性を評価可能になる。このように、架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化は、架橋ゴムの配合成分の配合量、架橋条件などの開発作業や改良作業に大きく寄与する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法および定量化システムは特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0051】
画像データ30は三次元画像データに限定されずに、二次元画像データでもよい。三次元画像データは二次元画像データに比してデータ量が多くなることから、より忠実に不均一性を定量化できる。一方で、三次元画像データを取得するには複雑な手法を用いる必要があり、二次元画像データを取得するよりは手間が掛かる。また、三次元画像データの画像データ処理は二次元画像データの画像データ処理に比して演算負荷が高い。よって、画像データ30として、二次元画像データと三次元画像データのどちらの画像データを用いるかは、適宜選択すればよい。
【0052】
上記の定量化方法は、一枚の超薄切片20のみを用いて不均一性を定量化してもよいが、一つの試験片から複数枚の超薄切片20を作成し、それぞれの超薄切片20から得られた全ての画像データ30におけるそれぞれの領域39の大きさに基づいて不均一性を定量化することが望ましい。このように、複数枚の画像データ30を用いることで、超薄切片20の試験片での採取位置の違いに起因する領域39の大きさのデータのばらつきを小さくするには有利になる。超薄切片20を採取する際には、画像データ30を取得するときよりも透過型電子顕微鏡2の倍率を低倍率にしてその試験片の代表的な架橋状態(より均一な架橋状態)を呈している位置を特定して、その位置から採取するとよい。
【0053】
画像データ30として三次元画像データを用いる場合、上記の定量化方法のステップ(S130、S140)では、それぞれのステップで三次元画像データを多数の断層画像データに分割して、画像データ処理を施した後に、多数の断層画像データから三次元画像データを再構成した。三次元画像データは、ステップ(S130)で多数の断層画像データに分割した後、ステップ(S140)での画像データ処理が完了した後に、三次元画像データが再構成されればよい。
【0054】
上記の定量化方法では、それぞれの領域39の大きさに基づいて不均一性を定量化したが、それぞれの領域39ごとの形状特性を加えることもできる。具体的に、演算装置3により、領域画像データ38でのそれぞれの領域39の形状特性を特定するデータ処理が実行される。ついで、演算装置3により、特定したそれぞれの領域39の形状特性から算出した指標と上記の定量化方法で算出した指標との両方の指標に基づいて不均一性を定量化するデータ処理が実行される。領域39の形状特性としては、円形度、伸長度・アスペクト比、包絡度などの公知の種々の形状パラメータを用いることができる。それぞれの形状特性から算出される指標としては、それぞれの形状パラメータの分散状態を表す分散指標や、それぞれの形状パラメータの代表値を用いることができる。
【0055】
それぞれの領域39の大きさが等しくても、それぞれの領域39の形状特性のばらつきが大きければ、網目構造の不均一性は高くなる。したがって、それぞれの領域39の大きさから算出される指標に加えて、それぞれの領域39の形状特性から算出される指標も用いることで、架橋ゴムの網目構造の実際の不均一性をより的確に定量化することが可能になる。
【実施例0056】
評価対象の架橋ゴムとして、イソプレンゴムを硫黄で加硫した架橋ゴムの試験片を用いた。スチレンモノマーで48時間膨潤させた。試験片にスチレンモノマー100質量部に対してアゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を添加し、80℃で24時間加熱した。次いで、試験片からウルトラミクロトームにより100nmの超薄切片20を作成し、四酸化オスミウムで染色した。次いで、透過型電子顕微鏡2の設定を加速電圧200〔kV〕、倍率10万倍とし、超薄切片20を撮影し、超薄切片20の角度を3°ずつ変えながら50枚の二次元画像データを取得した。電子トモグラフィー法を用いて取得した50枚の二次元画像データから再構成した一枚の三次元画像データを画像データ30として取得した。
【0057】
演算装置3により、取得した画像データ30を100枚の連続断層画像に分解して、分解した連続断層像のそれぞれに対してメディアンフィルタ処理を施してノイズを除去した。次いで、画像データ30をトップハット処理後、大津の二値化により領域分離して分離画像データ33に変換した。次いで、分離画像データ33にHilditchのアルゴリズムにより細線化処理を施して複数の線画像データ35を有する線変換画像データ34に変換した。次いで、線変換画像データ34から全ての線画像データ35を切り抜いた残りの部分を領域群36として抽出した。次いで、Watershed法を用いて、抽出した領域群36を多数の領域39に分割して領域画像データ38を取得した。次いで、取得した領域画像データ38での分割した多数の領域39ごとの体積〔nm3〕を算出した。
【0058】
図8に例示する領域39の体積とその頻度とを示すグラフ図は、領域画像データ38から得られたそれぞれの領域39の体積に基づいて作成されたものである。
図8のデータから領域39の体積の分散、標準偏差を算出し、算出した分散、標準偏差を網目構造の不均一性の定量化の指標として用いることができる。網目構造の不均一性に関して、定性的な評価ではなく、定量的な指標を用いた評価を行うことができる。
【0059】
本開示は、以下の発明を包含する。
発明(1):膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを透過型電子顕微鏡により取得し、取得した前記画像データを用いる架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法において、
前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されるデータ処理を演算装置により行って、それぞれの前記領域が表示される領域画像データを取得し、この領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出し、算出したそれぞれの前記領域の大きさから算出される指標に基づいて前記網目構造の不均一性を定量化する架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
発明(2):前記指標としてそれぞれの前記領域の大きさの分散状態を表す分散指標を用いる発明(1)に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
発明(3):前記指標としてそれぞれの前記領域の大きさの代表値を用いる発明(1)または発明(2)に記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
発明(4):前記画像データをデータ処理することにより、前記画像データにおける前記網目構造を構成する分子鎖が特定されて表示される線画像データを取得し、取得した前記線画像データ以外の部分を領域群として特定し、その領域群を多数の前記領域に分割して、前記領域画像データを取得する発明(1)~発明(3)のいずれかに記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
発明(5):前記領域の大きさとして、前記領域の面積、円相当径、体積、および、球相当径のいずれかを用いる発明(1)~(4)のいずれかに記載の架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化方法。
発明(6):膨潤させた網目構造が固定化した架橋ゴムの超薄切片の画像データを取得する透過型電子顕微鏡と、この透過型電子顕微鏡が取得した前記画像データを用いて架橋ゴムの網目構造の不均一性を定量化する演算装置とを備える架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システムにおいて、
前記演算装置は、前記画像データにおける前記網目構造のそれぞれの網目に相当する領域が特定されて表示される領域画像データを取得するデータ処理と、前記領域画像データでのそれぞれの前記領域の大きさを算出するデータ処理と、算出したそれぞれの前記大きさに基づいて前記網目構造の不均一性を定量化するデータ処理とを行う構成である架橋ゴムの網目構造の不均一性の定量化システム。