(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069846
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】粉体塗装装置
(51)【国際特許分類】
B05B 14/10 20180101AFI20240515BHJP
B05B 14/45 20180101ALI20240515BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240515BHJP
B05C 19/06 20060101ALI20240515BHJP
B05B 5/025 20060101ALI20240515BHJP
B05B 5/08 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B05B14/10
B05B14/45
B05C11/10
B05C19/06
B05B5/025 B
B05B5/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180087
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】小田 真也
【テーマコード(参考)】
4D073
4F034
4F042
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB06
4D073CA02
4D073CA04
4D073DC02
4D073DC19
4D073DC23
4F034AA01
4F034BA01
4F034BA17
4F034BB04
4F034BB11
4F034CA11
4F034DA17
4F042AA01
4F042AB03
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB04
4F042CB05
4F042CB11
4F042CC07
4F042CC15
4F042CC24
4F042CC30
4F042EC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】静電塗装ガンから被塗物まで粉体塗料を飛行させる飛行エアから余分な搬送エアを取り除き、必要最小限の適正な飛行エアで粉体塗料を被塗物に吹き付けることができる、塗着効率の良い粉体塗装装置を提供する。
【解決手段】塗料タンク2内の粉体塗料Aを、圧縮エアが投入されたインジェクタ5によって吸い込み、塗料ホース9を経由して圧縮エアを搬送エアにして静電塗装ガン3まで搬送し、静電塗装ガン3から粉体塗料Aを被塗物Bに噴射して静電気力によって粉体塗料Aを被塗物Bに付着させる粉体塗装装置において、前記塗料ホース9の下流側端部に、塗料ホース9内を通過する粉体塗料Aと搬送エアとの混相流から粉体塗料Aと搬送エアとを分離するサイクロン10を設置し、このサイクロン10によって搬送エアと分離した粉体塗料Aを第2インジェクタ11によって静電塗装ガン3に供給するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料タンク内の粉体塗料を、圧縮エアが投入されたインジェクタによって吸い込み、塗料ホースを経由して、インジェクタに投入された圧縮エアを搬送エアにして静電塗装ガンまで搬送し、静電塗装ガンから粉体塗料を被塗物に噴射して静電気力によって粉体塗料を被塗物に付着させる粉体塗装装置において、前記塗料ホースの下流側端部に、塗料ホース内を通過する粉体塗料と搬送エアとの混相流から粉体塗料と搬送エアとを分離するサイクロンを設置し、このサイクロンによって搬送エアと分離した粉体塗料を第2インジェクタによって静電塗装ガンに供給することを特徴とする粉体塗装装置。
【請求項2】
前記サイクロンは、搬送エアと共に、粒径の小さな粉体塗料を取り除くことを特徴とする請求項1記載の粉体塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電塗装ガンから粉体塗料を被塗物に噴射し、静電気力によって粉体塗料を被塗物に付着させる粉体塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体塗装装置として、
図2に示すように、塗料タンク20内の粉体塗料Aを、圧縮エアが投入されるインジェクタ21によって吸い込み、塗料ホース22を経由して、インジェクタ21に投入された圧縮エアを搬送エアにして静電塗装ガン23まで搬送し、静電塗装ガン23から粉体塗料Aを被塗物Bに噴射して静電気力によって粉体塗料Aを被塗物Bに付着させる装置が知られている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-25429号公報
【特許文献2】特開2016-159248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のように、インジェクタ21によって粉体塗料Aを吸引し、塗料ホース22を経由して搬送エアによって静電塗装ガン23まで粉体塗料Aを搬送する場合、粉体塗料Aを塗料ホース22内で詰まりなく、静電塗装ガン23まで搬送するには、搬送エアの流量を塗料ホース22の経路長に応じて大きくする必要がある。
【0005】
この塗料タンク20から静電塗装ガン23まで粉体塗料Aを搬送する搬送エアには、粉体塗料Aを静電塗装ガン23から被塗物Bまで飛行させる飛行エアも含まれている。
【0006】
このため、搬送エアの流量が大きいと、静電塗装ガン23から被塗物Bまで粉体塗料Aを飛行させる飛行エアも大きくなって、飛行エアの力が粉体塗料Aを被塗物Bに付着させる静電気力よりも上回り、飛行エアの力で被塗物Bに付着する粉体塗料Aを吹き飛ばし、被塗物Bに付着する粉体塗料Aの塗着効率が悪くなる。
【0007】
そこで、この発明は、静電塗装ガンから被塗物まで粉体塗料を飛行させる飛行エアから余分な搬送エアを取り除き、必要最小限の適正な飛行エアで粉体塗料を被塗物に吹き付けることができる、塗着効率の良好な粉体塗装装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、この発明は、塗料タンク内の粉体塗料を、圧縮エアが投入されるインジェクタによって吸い込み、塗料ホースを経由して、インジェクタに投入される圧縮エアを搬送エアにして静電塗装ガンまで搬送し、静電塗装ガンから粉体塗料を被塗物に噴射して静電気力によって粉体塗料を被塗物に付着させる粉体塗装装置において、前記塗料ホースの下流側端部に、塗料ホース内を通過する粉体塗料と搬送エアとの混相流から粉体塗料と搬送エアとを分離するサイクロンを設置し、このサイクロンによって搬送エアと分離した粉体塗料を第2インジェクタによって静電塗装ガンに供給するようにしたものである。
【0009】
また、前記サイクロンによって搬送エアと共に、粒径の小さな粉体塗料を取り除くようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る粉体塗装装置によれば、塗料ホースの下流側端部に設置されたサイクロンによって、粉体塗料と搬送エアとの混相流から粉体塗料と搬送エアとが分離され、搬送エアから分離された粉体塗料が第2インジェクタによって静電塗装ガンに供給されるので、第2インジェクタのエア量を静電塗装ガンを通過して被塗物まで到達するだけの必要最小限に制限することによって、静電塗装ガンを通過するエア量が、静電気力による粉体塗料の付着力を上回るということを防止でき、粉体塗料の被塗物に対する塗着効率が向上する。
【0011】
また、サイクロンによって搬送エアの分離と共に、被塗物に塗着し難い粒子径の小さい粉体塗料を除去することにより、塗着効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明に係る粉体塗装装置を示す概略構成図である。
【
図2】従来の粉体塗装装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の粉体塗装装置の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示す粉体塗装装置は、塗装ブース1内で被塗物Bに塗料タンク2内の粉体塗料Aを静電塗装ガン3から吹き付けて塗装を行うものである。
【0015】
静電塗装ガン3としては、ガン先端にコロナ電極を備えたコロナ静電式塗装ガン、あるいはガン本体内に摩擦チューブを備える摩擦帯電式静電塗装ガンを使用することができる。
【0016】
塗装ブース1には、被塗物Bに付着しなかったオーバースプレー粉を回収するための回収ダクト4を設けている。
【0017】
塗料タンク2は、底面に多孔板2aを有し、この多孔板2aの下面から流動エアー2bを供給する流動式のものを使用している。流動式の塗料タンク2は、流動エアー2bによって塗料タンク2内の粉体塗料Aの固まりをほぐすと共に、除湿を行うことができる。
【0018】
粉体塗料Aを収容する塗料タンク2の下部には、粉体塗料Aの排出口2cが設置され、この排出口2cとインジェクタ5との間に、定量供給装置6が設置されている。
【0019】
定量供給装置6は、塗料タンク2の排出口2cに接続される中継タンク7と、中継タンク7の下方部分に設けられたスクリューフィーダーユニット8とを備える。
【0020】
前記中継タンク7内には、粉体塗料A間の余分な空気を抜き、単位容積当たりの粉体塗料Aの量が一定になるように、バイブレータ7aによって振動する網7bが張られている。中継タンク7の上面には、エアー排出口7cが設置されている。
【0021】
前記スクリューフィーダーユニット8は、上面に供給口、前端に排出口を有するスクリューガイド8aと、このスクリューガイド8a内に収容されるスクリュー8bとを備えている。
【0022】
前記スクリュー8bのスクリュー軸の後方端は、スクリューガイド8aを貫通し、中継タンク7の後方壁に設置されたモータ8cに連結されている。
【0023】
また、前記スクリュー8bのスクリュー軸の前方端は、スクリューガイド8aの前端壁に回転可能に支持されている。
【0024】
前記スクリューガイド8aの前端の排出口は、インジェクタ5の吸引口5aに接続される排出口通路8dに接続されている。
【0025】
前記スクリューガイド8aの排出口には、整流板8eがスプリングによって開閉可能に設けられている。粉体塗料Aは、前記スクリュー8bの回転によって整流板8eに連続的に押し付けられ、粉体塗料Aが排出口から排出口通路8dに供給される。
【0026】
前記スクリューフィーダーユニット8の前端に位置する排出口通路8dの下方には、インジェクタ5が設置されている。
【0027】
前記インジェクタ5には、エアー供給管5bが接続され、このエアー供給管5bから吹き入れられた搬送エアーによって、上面の吸引口5aから粉体塗料Aが吸引されて塗料ホース9を通じて静電塗装ガン3へ向かって粉体塗料Aを搬送している。
【0028】
インジェクタ5にエアー供給管5bを介して供給される搬送エアーは、制御盤によって制御されている。また、静電塗装ガン3とスクリューフィーダーユニット8も制御盤によって制御されている。
【0029】
前記塗料ホース9の下流側端部には、塗料ホース9内を通過する粉体塗料Aと搬送エアとの混相流から粉体塗料Aと搬送エアとを分離するサイクロン10が設置されている。
【0030】
サイクロン10は、漏斗状または円筒状のサイクロン本体10aに、搬送エアーと共に粉体塗料Aを、渦を描くように流し込み、搬送エアーをサイクロン本体10aの円の中心から上方に排気させることにより、粉体塗料Aを遠心分離し、分離した粉体塗料Aをサイクロン本体10aの壁面に衝突させ、その後重力によりサイクロン本体10aの下部に粉体塗料Aを溜める装置である。
【0031】
サイクロン本体10aの下部には、第2インジェクタ11が設置され、この第2インジェクタ11に供給される圧縮エア11aによってサイクロン本体10aの下部に溜まった粉体塗料Aを吸引し、静電塗装ガン3から粉体塗料Aが被塗物Bに向けて噴射される。
【0032】
この第2インジェクタ11に供給される圧縮エア11aは、静電塗装ガン3を通過し、被塗物Bまで到達するだけの必要最小限の飛行エアになるように制御され、静電気力によって被塗物Bに付着する粉体塗料Aの飛行エアによる吹き飛ばしを軽減している。
【0033】
サイクロン10の排気は、排気ファン12によってバッグフィルタ13に吸引されている。サイクロン10の排気には、被塗物Bに塗着し難い粒子径の小さい粉体塗料Aが含まれ、この粒子径の小さい粉体塗料Aは、バッグフィルタ13によって集塵される。集塵されたサイクロン10の排気は、2次フィルタ14を経由して室内排気されている。
【0034】
以上のように、
図1に示す粉体塗装装置によれば、塗料ホース9の下流側端部に設置されたサイクロン10によって、粉体塗料Aと搬送エアとの混相流から粉体塗料Aと搬送エアとが分離され、搬送エアから分離された粉体塗料Aが第2インジェクタ11によって静電塗装ガン3に供給されるので、第2インジェクタ11のエア量を静電塗装ガン3を通過して被塗物Bまで到達するだけの必要最小限に制限することによって、静電気力によって被塗物Bに付着する粉体塗料Aの飛行エアによる吹き飛ばしを軽減している。
【0035】
また、サイクロン10によって搬送エアの分離と共に、被塗物Bに塗着し難い粒子径の小さい粉体塗料Aを除去することができるので、塗着効率をさらに向上させることができる。
【0036】
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0037】
2 塗料タンク
3 静電塗装ガン
5 インジェクタ
9 塗料ホース
10 サイクロン
11 第2インジェクタ