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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069849
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】サイドノック式多色・多機能筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/12 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B43K24/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180097
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】月岡 之博
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA02
2C353HE01
2C353HE14
(57)【要約】
【課題】リフィールの筒状ケース内での配置を工夫して、1本のリフィールを筒状ケースの中心に配置することにより、その1本のリフィールを筒状ケースの先端から中心軸上に突出させ、筆感を向上できる多色・多機能筆記具を提供することを課題とする。
【解決手段】筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、前記複数のリフィールには、それぞれ、スライダが取り付けられ、前記複数のリフィールのうち1つのリフィールは前記筒状ケースの中心に配置されていることを特徴とする多色・多機能筆記具。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、
前記複数のリフィールには、それぞれ、スライダが取り付けられ、
前記複数のリフィールのうち1つのリフィールは前記筒状ケースの中心に配置されていることを特徴とする多色・多機能筆記具。
【請求項2】
前記スライダのそれぞれは、他の前記スライダと互いに当接する当接部を備え、
前記当接部の当接面は前記筒状ケースの中心からずれていることを特徴とする請求項1に記載された多色・多機能筆記具。
【請求項3】
前記当接部の少なくとも1つは、前記スライダの中心線からずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項2に記載された多色・多機能筆記具。
【請求項4】
前記複数のリフィールには、それぞれ、前記リフィールを前記筒状ケースの先端から没入する方向に付勢するバネが設けられており、
前記バネの少なくとも1つは、前記リフィールと同心に配置されていないことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された多色・多機能筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数色のボールペン用リフィールから1つのボールペン用リフィールを択一的に選択して使用できる多色筆記具、ボールペン、サインペンなどの複数種類のリフィールから1つのリフィールを択一的に選択して使用できる多機能筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多色筆記具や多機能筆記具(以下、まとめて「多色・多機能筆記具」という。)では、すべてのリフィールが筒状ケース内に均等に配置されている。
(特許文献1(図6~8)、特許文献2(図5)参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-25616号公報
【特許文献2】特開2018-47615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の多色・多機能筆記具では、すべてのリフィールが筒状ケース内に均等に配置されているため、リフィールの一つを筒状ケースの中心軸上にある先端開口から突出させたとき、そのリフィールの先端は筒状ケースの中心軸に対して傾いた状態で突出する。このため、筆記する際の筆感が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、リフィールの筒状ケース内での配置を工夫して、1本のリフィールを筒状ケースの中心に配置することにより、その1本のリフィールを筒状ケースの先端から中心軸上に突出させ、筆感を向上できる多色・多機能筆記具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、
前記複数のリフィールには、それぞれ、スライダが取り付けられ、
前記複数のリフィールのうち1つのリフィールは前記筒状ケースの中心に配置されていることを特徴とする多色・多機能筆記具。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多色・多機能筆記具は、1本のリフィールを筒状ケースの中心に配置することにより、その1本のリフィールでの筆記時の筆感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の縦断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の横断面図であり、図1のII-II線横断面図である。
図3】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の横断面図であり、図1のIII-III線横断面図である。
図4】本発明に係る実施形態の多色筆記具1のスライダの図である。
図5】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の第1ボールペン用リフィール3での筆記時の縦断面図である。
図6】従来の多色筆記具の、(a)横断面図、(b)3つのスライダの当接状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の多色筆記具1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[全体構成]
図1は、本実施形態における多色筆記具1の縦断面図であり、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5がいずれも筒状ケース2の先端から突出していない状態を示す。(ただし、第3ボールペン用リフィール5は、省略されている。)
多色筆記具1は、筒状ケース2、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5、クリップ6などを有している。
筒状ケース2は、長軸方向中央部付近で、前側ケース21と後側ケース22の2つの部材に分けられている。前側ケース21と後側ケース22は、ネジにより着脱自在に結合されている。なお、以降、筒状ケース2の長軸方向を、単に「軸方向」という。また、後側ケース22の軸方向に直交する横断面を、単に「横断面」といい、横断面の中心を、単に「中心」という。
なお、筒状ケース2は、3つ以上の部材に分けたものでもよい。また、複数の部材を分離結合する手段としては、ネジのほか、他の任意の係合手段、嵌合手段などを採用してもよい。
【0011】
筒状ケース2内には、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5が、それぞれ、交換可能に収納されている。
後側ケース22内には、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5をそれぞれ貫通する3つの貫通部を有する貫通支持部材221が設けられており、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、貫通支持部材221により、互いに離間した状態を維持するように支持されている。
第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、それぞれ、サイドノックとしての第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51を軸方向先端側にスライドすることにより、先端開口211から突出する。
そして、先端開口211から突出している第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4又は第3ボールペン用リフィール5に対して、先端開口211から突出していない第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4又は第3ボールペン用リフィール5を軸方向先端側に少しスライドしてから解放することにより、先端開口211から突出していた第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4又は第3ボールペン用リフィール5が先端開口211から没入する構成となっている。なお、第1ボールペン用リフィール3は、クリップ6を開くことによっても没入できるように構成してもよい。
【0012】
なお、本実施形態では、多色筆記具1を例としているが、ボールペン用リフィールとシャープペンシル用リフィールを有する多機能筆記具でもよく、多色・多機能筆記具として使用するリフィールは、種々の色のボールペン用リフィール、シャープペンシル用リフィール、サインペンやマーカーなどの他の筆記具のほか、タッチペン、電子ペンなどの電子デバイスへの入力手段でもよい。
また、本実施形態では、3本のリフィールを有する多色筆記具1であるが、2本のリフィールを有する多色・多機能筆記具、4本以上のリフィールを有する多色・多機能筆記具でもよい。
【0013】
[ボールペン用リフィール]
第1ボールペン用リフィール3の後端部が、サイドノックとしての第1スライダ31に装着されている。(図1参照)
同様に、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5も、それぞれの後端部が、第2スライダ41、第3スライダ51に装着されている。
【0014】
[スライダ]
図4は、本発明に係る実施形態の多色筆記具1の第1スライダ31の図である。
第1スライダ31は、第1スライダ当接部312を備えている。そして、第1スライダ31の後端部側には、クリップ6が揺動軸により揺動可能に取り付けられている。(図1参照)
同様に、第2スライダ41、第3スライダ51も、それぞれ、第2スライダ当接部412、第3スライダ当接部512を備えている。なお、第2スライダ41と第3スライダ51は、第1スライダ31とは操作する箇所の形状が異なっている。
また、本実施形態では、第1ボールペン用リフィール3は、クリップ6のようなバネなどを有するバインダ機能付きクリップと連結した第1スライダ31により操作される構成となっているが、これに限らず、バインダ機能を有さないクリップと一体のスライダ、第2ボールペン用リフィール4と同様のスライダなどにより操作するように構成してもよい。
【0015】
第1スライダ31の先端側には、第1スライダリフィール用突起313と第1スライダコイルバネ用突起314を備えている。第1スライダリフィール用突起313が、第1ボールペン用リフィール3の後端部に挿入されることにより、第1ボールペン用リフィール3が第1スライダ31に装着されている。また、第1スライダコイルバネ用突起314には、第1ボールペン用コイルバネ222が係合されている。
同様に、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5にも、それぞれ、リフィール用突起とコイルバネ用突起が備えられている。そして、それぞれのリフィール用突起に、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5の後端部が挿入され、それぞれのコイルバネ用突起に、第2ボールペン用コイルバネ223、第3ボールペン用コイルバネ224が係合されている。
【0016】
なお、第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51と、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5との取付手段は、これに限られず、第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51に形成した挿入孔に、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5の後端部を挿入することにより取り付けるなどの他の取付手段を採用してもよい。
同様に、第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51と、第1ボールペン用コイルバネ222、第2ボールペン用コイルバネ223、第3ボールペン用コイルバネ224の取付手段も、他の取付手段を採用してもよい。
【0017】
[リフィール選択機構]
第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、リフィール選択機構により、択一的に先端開口211から突出する。
リフィール選択機構は、第1スライダ31、第2スライダ41及び第3スライダ51、第1ボールペン用コイルバネ222、第2ボールペン用コイルバネ223、第3ボールペン用コイルバネ224を有する。
第1ボールペン用コイルバネ222は、一端が、第1スライダ31の第1スライダコイルバネ用突起314に係合され、他端が、貫通支持部材221に形成された第1挿入穴2211に挿入されている。これにより、第1スライダ31と貫通支持部材221は、互いに離間する方向に付勢される。
同様に、第2ボールペン用コイルバネ223、第3ボールペン用コイルバネ224は、それぞれ、一端がコイルバネ用突起に係合され、他端が貫通支持部材221に形成された挿入穴に挿入されている。これにより、第2スライダ41及び第3スライダ51と貫通支持部材221は、互いに離間する方向に付勢される。
そして、従来の多色筆記具と同様、第1スライダ当接部312、第2スライダ当接部412、第3スライダ当接部512、第1ボールペン用コイルバネ222、第2ボールペン用コイルバネ223及びに第3ボールペン用コイルバネ224により、3つのリフィールのうちの1つが、択一的に先端開口211から出没する。
なお、各コイルバネ用突起を各コイルバネの全長を支持できるような長さに形成して、各コイルバネ用突起の先端を貫通支持部材221に設けた孔に挿入する構成としてもよい。
また、各コイルバネを引張バネとして、各ボールペン用リフィールを筒状ケース2に引張る方向に付勢することにより、各ボールペン用リフィールを先端開口211から没入させる構成としてもよい。
【0018】
[リフィール配置]
従来の多色・多機能筆記具では、各リフィールは、中心に対してほぼ平均的に配置されており、各リフィールと中心との距離はほぼ等しくされていた。(図6(a)参照)また、3つのスライダの当接面も、ほぼ中心に配置されていた。(図6(b)参照)
これに対して、本実施形態では、第1ボールペン用リフィール3を、筒状ケース2の中心に配置している。また、第2ボールペン用リフィール4と第3ボールペン用リフィール5は、中心からクリップ6とは反対側にずれた位置に配置されている。(図2参照)
また、第1スライダ当接部312、第2スライダ当接部412及び第3スライダ当接部512の当接面も、中心からずれた位置、より詳細には、クリップ6側から離間する方向にずれた位置に配置されている。そして、第2スライダ当接部412、第3スライダ当接部512は、第2スライダ41の第2スライダ中心線411、第3スライダ51の第3スライダ中心線511から、それぞれ、クリップ6側から離間する方向にずれた位置に形成されている。第2スライダ中心線411、第3スライダ中心線511は、それぞれ、多色筆記具1の後端側から見て、第2スライダ41、第3スライダ51を、筒状ケース2の周方向に2つに分割する線である。(図3参照)
【0019】
また、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5と、第1ボールペン用コイルバネ222、第2ボールペン用コイルバネ223、第3ボールペン用コイルバネ224は、それぞれ、位置をずらして配置されており(同心に配置されておらず)、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、従来のボールペン用リフィールとコイルバネを同心に配置したものより、互いに近づけて配置することができる。
【0020】
[筆感]
図5は、本発明に係る実施形態の多色筆記具1の第1ボールペン用リフィール3での筆記時の縦断面図である。
第1ボールペン用リフィール3は、筒状ケース2の中心に配置されているため、第1スライダ31により先端開口211から突出させたとき、筒状ケース2の中心軸上にまっすぐに突出する。
そのため、多色筆記具でありながら、単機能筆記具と同じ筆感で筆記することができる。
また、リフィールとコイルバネを別の位置に配置することにより、リフィール間の距離を小さくすることができるので、1本のリフィールを中心に配置したにもかかわらず、他のリフィールの中心からのずれ量が従来の多色筆記具と同程度であり、従来の多色筆記具と筆感が劣ることもない。
【0021】
以上、本発明に係る実施形態の多色筆記具1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 多色筆記具
2 筒状ケース
21 前側ケース
211 先端開口
22 後側ケース
221 貫通支持部材
2211 第1挿入穴
222 第1ボールペン用コイルバネ
223 第2ボールペン用コイルバネ
224 第3ボールペン用コイルバネ
3 第1ボールペン用リフィール
31 第1スライダ
312 第1スライダ当接部
313 第1スライダリフィール用突起
314 第1スライダコイルバネ用突起
4 第2ボールペン用リフィール
41 第2スライダ
411 第2スライダ中心線
412 第2スライダ当接部
5 第3ボールペン用リフィール
51 第3スライダ
511 第3スライダ中心線
512 第3スライダ当接部
6 クリップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6