IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バイオマスガス化炉 図1
  • 特開-バイオマスガス化炉 図2
  • 特開-バイオマスガス化炉 図3
  • 特開-バイオマスガス化炉 図4
  • 特開-バイオマスガス化炉 図5
  • 特開-バイオマスガス化炉 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069853
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】バイオマスガス化炉
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/42 20060101AFI20240515BHJP
   C10J 3/26 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C10J3/42
C10J3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180102
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 拓朗
(57)【要約】
【課題】燃料ガスを効率的に生成可能で、かつ簡潔な構成で実現できる、バイオマスガス化炉を提供する。
【解決手段】バイオマスガス化炉1Aは、木質のバイオマス原料Fを加熱してガス化し、燃料ガスGを生成する。バイオマスガス化炉1Aは、熱源3と、バイオマス原料Fを収容し、熱源3からの熱によりバイオマス原料Fから燃料ガスGを生成する容器部2と、容器部2の上側に設けられ、生成された燃料ガスGを外部へと排出する燃料ガス排出部15と、燃料ガスGを燃料ガス排出部15へと誘導するような気流を生成する燃料ガス誘導部17と、を備えている。バイオマスガス化炉1Aは、容器部2の底部に、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された後に残る残渣Zを、気流により燃料ガスGとともに外部へと排出される大きさの粉粒体Pに粉砕する、残渣粉砕部5を更に備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質のバイオマス原料を加熱してガス化し、燃料ガスを生成する、バイオマスガス化炉であって、
熱源と、
前記バイオマス原料を収容し、前記熱源からの熱により前記バイオマス原料から前記燃料ガスを生成する容器部と、
前記容器部の上側に設けられ、生成された前記燃料ガスを外部へと排出する燃料ガス排出部と、
前記燃料ガスを前記燃料ガス排出部へと誘導するような気流を生成する燃料ガス誘導部と、
を備え、
前記容器部の底部に、前記バイオマス原料から前記燃料ガスが生成された後に残る残渣を、前記気流により前記燃料ガスとともに外部へと排出される大きさの粉粒体に粉砕する、残渣粉砕部を更に備えている、バイオマスガス化炉。
【請求項2】
前記容器部は、軸線が上下方向に延在するように設けられた内筒と外筒を備え、
前記内筒の下端は、前記外筒の下端よりも上方に設けられ、
前記残渣粉砕部は、前記内筒の下端よりも下方に設けられ、
前記バイオマス原料は、前記残渣粉砕部上に、前記内筒の内側にまで堆積した堆積部を形成されるように供給され、
前記残渣粉砕部には、前記残渣粉砕部上に堆積した前記堆積部の下端の部分が前記残渣として供給される、請求項1に記載のバイオマスガス化炉。
【請求項3】
前記内筒の下端と、前記残渣粉砕部との間には、隙間が設けられ、
生成された前記燃料ガスは、前記隙間から前記内筒と前記外筒の間の空間へと流出し、当該空間を上方へと誘導された後に前記燃料ガス排出部から排出される、請求項2に記載のバイオマスガス化炉。
【請求項4】
前記残渣粉砕部は、
前記容器部の底面に固定される基体と、
前記基体の上方に設けられ、上下方向に延在する回転軸周りに回転する回転体と、
を備え、
前記回転体の下面には、
上方へと凹むように円錐状に形成された凹部と、
前記凹部の径方向外側に位置して、前記基体の上面に近接する外縁部と、
が形成される、請求項1に記載のバイオマスガス化炉。
【請求項5】
前記回転体には、前記回転体の上面と前記凹部とを上下に貫通して、前記基体の上面と前記凹部との間に形成される内部空間に連通する孔が設けられ、
前記残渣は、前記回転体の上面から前記孔を介して前記内部空間へと導入される、請求項4に記載のバイオマスガス化炉。
【請求項6】
前記燃料ガス誘導部は、前記燃料ガス排出部の外側に設けられたファンであり、
前記燃料ガス排出部から排出された前記燃料ガスから、前記粉粒体を排除するフィルタを更に備えている、請求項1に記載のバイオマスガス化炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスガス化炉に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマス原料から生成した燃料ガスを燃料として、発電等を目的として使用することが行われている。燃料ガスは、バイオマス原料をバイオマスガス化炉で加熱してガス化することにより生成される。
【0003】
このようなバイオマスガス化炉として、例えば特許文献1には、外熱式ロータリーキルン形式の熱分解部と、ガス化部とを備えたバイオマスガス化装置の構成が開示されている。熱分解部は、バイオマス原料を間接加熱して熱分解し、タール分を含む熱分解ガスとチャーを発生させる。ガス化部は、熱分解部から抽出されるタール分を含む熱分解ガスおよびチャーに対し、酸化ガスが導入されて、タール分を熱分解させるとともに、チャーをガス化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-177106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成においては、バイオマス原料から燃料ガスが生成された後に残る、バイオマス原料の残渣は、熱分解部の下方に区画形成された捕集部に落下し、スクリューフィーダによって搬出される。このように、残渣を排出するための機構を設けることにより、バイオマスガス化装置が複雑かつ大型なものとなる。
また、バイオマスガス化装置内の熱が、捕集部からスクリューフィーダ等の残渣を排出する機構を介して伝播し、外部へと漏れてしまう。これにより、バイオマスガス化装置の熱効率が低減し、燃料ガスの生成効率も低減する。
【0006】
本発明の目的は、燃料ガスを効率的に生成可能で、かつ簡潔な構成で実現できる、バイオマスガス化炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のバイオマスガス化炉は、木質のバイオマス原料を加熱してガス化し、燃料ガスを生成する、バイオマスガス化炉であって、熱源と、前記バイオマス原料を収容し、前記熱源からの熱により前記バイオマス原料から前記燃料ガスを生成する容器部と、前記容器部の上側に設けられ、生成された前記燃料ガスを外部へと排出する燃料ガス排出部と、前記燃料ガスを前記燃料ガス排出部へと誘導するような気流を生成する燃料ガス誘導部と、を備え、前記容器部の底部に、前記バイオマス原料から前記燃料ガスが生成された後に残る残渣を、前記気流により前記燃料ガスとともに外部へと排出される大きさの粉粒体に粉砕する、残渣粉砕部を更に備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃料ガスを効率的に生成可能で、かつ簡潔な構成で実現できる、バイオマスガス化炉を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の構成を示す断面図である。
図2図1のバイオマスガス化炉の残渣粉砕部の構成を示す断面図である。
図3】残渣粉砕部の基体の上面を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第1変形例の構成を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第2変形例の構成を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第3変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の構成を示す断面図を図1に示す。
バイオマスガス化炉1Aは、木質のバイオマス原料Fを加熱してガス化し、燃料ガスGを生成する。バイオマスガス化炉1Aは、容器部2と、熱源3と、残渣粉砕部5と、制御部80と、を主に備えている。
【0011】
容器部2は、バイオマス原料Fを収容し、熱源3からの熱によりバイオマス原料Fから燃料ガスを生成する。本実施形態においては、容器部2は、軸線Cが上下方向に延在するように設けられた、外筒10と、内筒20と、を備えている。
外筒10は、軸線Cに沿って上下方向に延びる円筒状の筒状部11と、筒状部11の上端を閉塞する天板部12と、筒状部11の下端を閉塞する底板部13と、を一体に備えている。
【0012】
内筒20は、外筒10に対し、軸線Cを中心とした径方向の内側に間隔をあけて設けられている。内筒20は、軸線Cが上下方向に延在するよう、円筒状に形成されている。これにより、外筒10と内筒20とは、同一の軸線Cを中心とした二重筒構造とされている。内筒20の内側には、上下方向に延びる円柱状の内部空間S1が形成されている。内筒20の下端20bは、外筒10の下端10bよりも上方に位置するように設けられている。内筒20の上部20tは、外筒10の天板部12を貫通して上方に突出している。
【0013】
内筒20の上端には、上方に向けて開口する開口部20hが形成されている。開口部20hは、バイオマス原料Fの供給口である。バイオマスガス化炉1Aは、開口部20hの上方に、コンベア等の、図示されないバイオマス原料供給部を備えている。バイオマス原料Fは、バイオマス原料供給部によって、開口部20hの上方から、内筒20の内側の内部空間S1に供給される。供給されたバイオマス原料Fは、後述する残渣粉砕部5上に、残渣粉砕部5の上端から、上方の内筒20の内側にまで堆積し、堆積部100を形成する。
【0014】
内筒20と外筒10との間には、上方から見て円環状をなす空間Sが形成されている。この空間Sは、内筒20の下端20bから外筒10の天板部12まで、上下方向に連続して延びている。内筒20の下端20bより下に位置する、外筒10内の底部には、上方から見て円形の底部空間S3が形成されている。底部空間S3は、内部空間S1、及び空間Sの下側に形成されている。内部空間S1と、空間Sとは、底部空間S3を介して互いに連通している。
【0015】
熱源3は、容器部2内に収容されたバイオマス原料Fを加熱し、バイオマス原料Fから燃料ガスを生成する。本実施形態において、熱源3として、反応炉30が設けられている。反応炉30は、容器部2の外に設けられている。反応炉30は、外筒10を外方から加熱する。反応炉30は、外筒10の筒状部11を、外筒10の径方向の外方から取り囲むように形成されている。反応炉30は、外周壁部31と、上壁部32と、底壁部33と、を一体に有している。外周壁部31は、外筒10の筒状部11に対して、間隔をあけて設けられている。外周壁部31は、上下方向に延びる筒状に形成されている。外周壁部31を上方から見た際の断面形状は、円形、楕円形、多角形状等、いかなる形状であってもよい。上壁部32は、外筒10の筒状部11の上端よりも下方に配置されている。上壁部32は、外周壁部31の上端と、外筒10の筒状部11との間を上方から閉塞している。底壁部33は、外筒10の底板部13と、ほぼ同じ高さに配置されている。底壁部33は、外周壁部31の下端と、外筒10の筒状部11との間を下方から閉塞している。反応炉30の全体は、図示されない断熱材によって覆われた構成となっている。
【0016】
反応炉30は、流体入口34と、流体出口35と、を更に備えている。流体入口34は、反応炉30の下部に形成されている。流体入口34は、反応炉30の外部から供給される高温流体Hを、反応炉30内に送り込むためのものである。高温流体Hとしては、例えば1000℃以上のガスが用いられる。流体入口34から反応炉30内に送り込まれた高温流体Hは、外筒10を外方から加熱する。外筒10を加熱する高温流体Hの熱エネルギーは、輻射伝熱等により外筒10から空間Sを通して内筒20にも伝播し、内筒20を外方から加熱する。流体出口35は、反応炉30の上部に形成されている。流体出口35は、反応炉30内に送り込まれた高温流体Hを、反応炉30外に排出するためのものである。流体出口35から排出される、反応処理に用いられた後の高温流体Hの余剰熱エネルギーは、例えば、適宜のボイラー、熱交換器等で利用することができる。
【0017】
バイオマスガス化炉1Aは、燃料ガス排出部15と、燃料ガス誘導部17と、フィルタ19と、を更に備えている。
燃料ガス排出部15は、外筒10の上側(上部)に、内筒20と外筒10の間の空間Sと外筒10の外部とが連通するように形成されている。燃料ガス排出部15は、空間S内の燃料ガスGを、外筒10の外部へと排出する。燃料ガス排出部15は、外部のダクト16に接続されている。
【0018】
燃料ガス誘導部17は、燃料ガスGを燃料ガス排出部15へと誘導するような気流を生成する。本実施形態においては、燃料ガス誘導部17として、燃料ガス排出部15の外側に、ファン18が設けられている。ファン18は、モータ等の駆動源(図示無し)によって回転駆動される。ファン18は、空間Sに負圧を生じさせて空間S内の燃料ガスGを吸引し、燃料ガス排出部15へと誘導するように設けられている。このような構成により、燃料ガスGは、内筒20と外筒10の間の空間Sを通じて排出される。より詳細には、燃料ガスGは、内筒20と外筒10の間の空間Sを、上方へと誘導された後に、排出される。
フィルタ19は、燃料ガス排出部15からダクト16に排出された燃料ガスGから、粉粒体を排除する。フィルタ19は、図1においてはダクト16内に設けられているように図示されているが、実際には、ダクト16の先に設けられた図示されない集塵機の内部に設けられている。フィルタ19で除塵された燃料ガスGは、ガス冷却器で例えば40℃以下に冷却される。冷却された燃料ガスGは、内燃機関等の適宜の下流側設備へと供給される。
【0019】
残渣粉砕部5は、容器部2の底部に、すなわち底部空間S3の内部に設けられている。残渣粉砕部5は、内筒20の下端20bよりも下方に設けられている。内筒20の下端20bと、残渣粉砕部5との間には、上下方向に隙間2Sが設けられている。残渣粉砕部5は、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された後に残る残渣Zを粉砕する。残渣Zは、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された結果として残されたものである。この残渣Zには、チャーやクリンカが含まれる。チャーは、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成される一連の化学反応において、燃料ガスGの生成に使用されずに残されたものである。クリンカは、バイオマス原料Fに含まれる灰分等の物質が、熱源3からの熱により溶融して固形化した塊である。
残渣粉砕部5は、残渣Zを、燃料ガス誘導部17によって生成される気流により、燃料ガスGとともに燃料ガス排出部15から外部へと排出される程度の大きさの、粉粒体Pに粉砕する。
【0020】
図2は、図1のバイオマスガス化炉の残渣粉砕部の構成を示す断面図である。
図1図2に示されるように、残渣粉砕部5は、基体51と、回転体52と、を備えている。基体51と回転体52は、蓄熱性が高く、熱変形が少ない物質で形成されている。本実施形態においては、基体51と回転体52は、セラミックスで形成されている。
基体51は、容器部2の底面に、すなわち外筒10の底板部13上に固定されている。基体51は、上下方向から見ると、円形に形成されている。
回転体52は、基体51の上方に設けられている。回転体52も、基体51と同様に、上下方向から見ると、円形に形成されている。回転体52は、上下方向に延在する回転軸52sの上端部に接続されている。回転軸52sは、基体51と容器部2の底面を貫通して下方に延びている。回転軸52sは、モータ52m等の駆動源により回転駆動される。回転軸52sが回転駆動されることで、基体51の上方で、回転体52が回転軸52s周りに回転駆動される。これにより、回転体52は、基体51に対し、相対的に回転する。
【0021】
図2に示されるように、回転体52の下面52bには、凹部53と、外縁部54と、が形成されている。凹部53は、回転体52の下面52bの中央部に形成されている。凹部53は、径方向外側から径方向内側に向かって、上方へと凹むように円錐状に形成されている。外縁部54は、凹部53の径方向外側に形成されている。外縁部54は、基体51の上面51tに近接するよう形成されている。これにより、基体51の上面51tと凹部53との間には、径方向内側から外側に向かうにつれて、漸次高さが小さくなるような、内部空間5Sが形成されている。
【0022】
上記のように、残渣粉砕部5は、粉粒体Pが、燃料ガス誘導部17によって生成される気流に乗って燃料ガス排出部15から外部へと排出される程度の大きさとなるように、残渣Zを粉砕する。粉砕された粉粒体Pの粒径は、大きくとも、例えば2~5mm程度とするのが好ましい。粉粒体Pの粒径の、より好ましい範囲は、例えば、3μm~20μm程度である。
外縁部54における、回転体52の下面52bと、基体51の上面51tとの間の間隔は、上記のような、粉砕された粉粒体Pの粒径と同程度の大きさとなるように、回転体52は、基体51に対して位置づけられている。
【0023】
回転体52には、回転体52の上面52tと凹部53とを上下に貫通する孔55が形成されている。孔55は、回転体52の上面52tから内部空間5Sに連通するよう形成されている。回転体52の上面52tには、孔55の上端部に、上方に向かって漸次拡径するように形成された、テーパ部55tが設けられている。また、回転体52の上面52tの外周部には、上方に向かって立ち上がる周壁部52wが形成されている。
【0024】
図3は、残渣粉砕部の基体の上面を示す平面図である。
図3に示されるように、基体51の上面51tには、径方向内側から外縁に至るように、複数の誘導溝57、58が形成されている。複数の誘導溝57、58は、複数の誘導主溝57と、複数の誘導分岐溝58を備えている。複数の誘導主溝57は、基体51の上面51tを、回転軸52sを中心として周方向に等角度(例えば45°)に区分するように、径方向内側から外周部まで、放射状に延びるように形成されている。これにより、基体51の上面51tは、複数のエリア57aに区分されている。
各エリア57aにおいて、誘導分岐溝58は、複数本(例えば2本)、互いに平行に延びるように形成されている。複数の誘導分岐溝58の各々は、誘導主溝57から、誘導主溝57よりも回転体52の回転方向R側に位置するエリア57aに向けて、誘導主溝57の外側を向く方向から斜めに、例えば45°の角度をつけて分岐し、外周部まで延伸するように設けられている。
【0025】
制御部80は、バイオマスガス化炉1Aの動作を制御する。バイオマスガス化炉1Aは、センサ81を備えている。センサ81は、内筒20内の、堆積部100の高さ、すなわち堆積部100の上端の位置を検出する。制御部80は、センサ81で検出される堆積部100の高さに基づいて、残渣粉砕部5の動作を制御する。制御部80は、センサ81で検出される堆積部100の高さが、所定の高さ閾値以下の場合には、残渣粉砕部5を停止させ、バイオマス原料供給部からバイオマス原料Fを供給する。制御部80は、センサ81で検出される堆積部100の高さが、高さ閾値を越えた場合に、バイオマス原料供給部からのバイオマス原料Fの供給を停止し、残渣粉砕部5を稼働させる。
バイオマス原料供給部からバイオマス原料Fを常時供給する構成としたうえで、制御部80は、センサ81で検出される堆積部100の高さが、所定の高さ閾値以下の場合には、残渣粉砕部5を停止させ、高さ閾値を越えた場合に、残渣粉砕部5を稼働させるようにしてもよい。
【0026】
このようなバイオマスガス化炉1Aにおいては、バイオマス原料Fが、開口部20hの上方から供給される。バイオマス原料Fは、例えば、枝葉、樹皮等の木質材料である。バイオマス原料Fは、バイオマスガス化炉1Aへの供給に先立ち、細かく砕かれる。バイオマス原料Fは、開口部20hから供給できるようであれば、どのような大きさのものであっても構わない。バイオマス原料Fは、粒状のものであれば、例えば一般的に製紙用として用いられる50mm程度の粒径のものが用いられても構わない。ただし、バイオマス原料Fは、細かいほど全体の表面積が大きくなるため、燃料ガスGの生成効率が高くなる。したがって、バイオマス原料Fは、例えば10mm程度の粒径のものが最も多くなるような粒度分布とするのが好ましい。また、細長い形状の、いわゆるピンチップであれば、最大の長さが50mm程度となるようにするのが好ましい。
【0027】
開口部20hから内筒20の内側の内部空間S1に供給されたバイオマス原料Fは、残渣粉砕部5上に堆積し、堆積部100を形成する。堆積部100は、残渣粉砕部5の上面から内筒20の内側にまで堆積する。堆積部100の下端に位置するバイオマス原料Fは、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された結果として残された残渣Zとして、残渣粉砕部5に供給され、残渣粉砕部5によって粉砕される。その結果として、残渣Zが粉砕された粉粒体Pが生成される。生成された粉粒体Pは、残渣粉砕部5の径方向外側に順次排出される。このようにして、堆積部100は、上方から下方へと順次下降(沈降)していく。これに伴って、堆積部100の高さが低減し、所定の高さ閾値以下となると、制御部80は、残渣粉砕部5を停止させ、バイオマス原料供給部からバイオマス原料Fを投入する。
【0028】
内筒20の内側に投入されたバイオマス原料Fは、堆積部100を形成するバイオマス原料Fが上方から下方に向かって順次下降していく過程で、熱源3からの熱により加熱されて、熱分解反応、酸化反応、還元反応を順次生じる。これによって、燃料ガスGが生成される。
生成された燃料ガスGは、ファン18により吸引されることで生じる気流により、残渣粉砕部5と内筒20の下端20bとの間の隙間2Sから径方向の外側へと誘導され、内筒20と外筒10の間の空間Sへと流出する。その後、燃料ガスGは、内筒20と外筒10の間の空間Sを、下方から上方に向かって上昇していき、燃料ガス排出部15から外部へと排出される。
【0029】
堆積部100のバイオマス原料Fは、下側に位置するものほど早い時間に容器部2に供給されて、燃料ガスGを生成する化学反応が長い時間進行し、結果としてチャーが残される。
また、バイオマス原料Fに含まれる灰分等の物質が、熱源3からの熱により溶融して固形化することで、クリンカが生成される。
このような、チャーやクリンカを含む残渣Zのなかで、燃料ガス誘導部17によって生成される気流の速さよりも自由落下する速度が小さい程度に体積が小さなものにおいては、残渣粉砕部5と内筒20の下端20bとの間の隙間2Sから内筒20と外筒10の間の空間Sへと流出する燃料ガスGとともに、気流に乗って、燃料ガス排出部15から外部へと排出される。
【0030】
燃料ガス誘導部17によって生成される気流の速さよりも自由落下する速度が大きな残渣Z(チャーやクリンカ)は、残渣粉砕部5の上に堆積する。残渣粉砕部5には、このような、残渣粉砕部5上に堆積した堆積部100の、下端に位置するバイオマス原料Fが、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された結果として残された残渣Zとして、供給される。
図2に示されるように、回転体52の上面52tに周壁部52wが形成されているため、残渣Zが、回転体52の上面52tから、径方向外側に崩れ落ちるのを抑えることができる。
【0031】
残渣粉砕部5上に堆積した堆積部100の下端の部分は、残渣Zとして、回転体52の上面52tに設けられたテーパ部55tにより孔55の方向へと誘導されて、回転体52の上面52tから孔55を介して内部空間5Sへと導入されることで、残渣粉砕部5へと供給される。
基体51の上面51tと凹部53との間の内部空間5Sに供給された残渣Zは、回転体52の回転により、回転体52の回転方向Rに回転するように流動する。ここで、基体51の上面51tには、径方向内側から外縁に至るように、複数の誘導溝57、58が形成されている。特に誘導分岐溝58は、回転軸52sを中心として放射状に延びるように形成された誘導主溝57から、誘導主溝57よりも回転体52の回転方向R側に位置するエリア57aに向けて、誘導主溝57の外側を向く方向から斜めに、角度をつけて分岐して設けられている。このため、残渣Zが回転方向Rに回転するように流動する過程で、残渣Zは誘導分岐溝58に沿って、径方向外側に向けて誘導される。このようにして、残渣Zは、複数の誘導溝57、58から受ける力を受けて、誘導溝57、58に沿って、内部空間5S内を径方向外側の外縁部54へと誘導されていく。
また、残渣Zは、基本的には常時、回転体52の上面52tから内部空間5Sへと供給される。このように、後続して供給される残渣Zによって内側から押されることによっても、残渣Zは、径方向外側の外縁部54へと誘導される。
【0032】
残渣Zは、基体51の上面51tと回転体52の外縁部54との間で摺り潰されることで、燃料ガス誘導部17によって生成される気流により、燃料ガスGとともに燃料ガス排出部15から外部へと排出される大きさの粉粒体Pへと粉砕される。
粉粒体Pは、回転体52の外縁部54と、基体51の上面51tとの間から、径方向外側の底部空間S3に排出される。排出された粉粒体Pは、燃料ガス誘導部17によって生成される気流により、上方に吸い上げられ、燃料ガスGとともに燃料ガス排出部15から外部へと排出される。
【0033】
ここで、残渣Zに含まれるクリンカも、残渣粉砕部5で粉砕される。
クリンカは、堆積部100の全体にわたって生成される。容器部2等のバイオマスガス化炉1Aの表面に接して位置するクリンカが、表面に付着すると、熱源3からの熱により加熱されて熱を帯び、溶融して、付着した表面に損傷を与えることがある。クリンカは、燃料ガスGの生成を継続していると、時間の経過とともに成長する。堆積部100は時間とともに下へと沈降するため、堆積部100は下側になるほど、大きなクリンカを有し得る。
残渣粉砕部5を備えずに、堆積部100の下側の残渣Zを外部へと排出する構成とした場合においては、残渣Zには成長したクリンカが大きなまま残された状態となるため、残渣Zを容器部2の外部に排出するための、スクレーパやスクリューフィーダ等を含む、バイオマスガス化炉の各種設備の表面に付着し、損傷を与える可能性が高くなる。
これに対し、上記したような残渣粉砕部5を備えることで、成長したクリンカも残渣粉砕部5で粉砕されて粉粒体Pとなり、気流に乗って排出される。これにより、クリンカがバイオマスガス化炉1Aに損傷を与える可能性が低減される。
【0034】
回転体52の外縁部54と、基体51の上面51tとの間から排出された粉粒体Pの一部が、基体51の外側の、外筒10の底板部13上に堆積するような場合に備え、外筒10の底板部13を取り外して、底板部13上を定期的に清掃することができるようにするのが望ましい。
【0035】
燃料ガス誘導部17によって生成される気流により燃料ガス排出部15から外部へと排出された燃料ガスGが、フィルタ19内を通過することにより、燃料ガスGから粉粒体Pが分離される。
【0036】
上述したようなバイオマスガス化炉1Aは、木質のバイオマス原料Fを加熱してガス化し、燃料ガスGを生成する、バイオマスガス化炉1Aである。バイオマスガス化炉1Aは、熱源3と、バイオマス原料Fを収容し、熱源3からの熱によりバイオマス原料Fから燃料ガスGを生成する容器部2と、容器部2の上側に設けられ、生成された燃料ガスGを外部へと排出する燃料ガス排出部15と、燃料ガスGを燃料ガス排出部15へと誘導するような気流を生成する燃料ガス誘導部17と、を備えている。バイオマスガス化炉1Aは、容器部2の底部に、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された後に残る残渣Zを、気流により燃料ガスGとともに外部へと排出される大きさの粉粒体Pに粉砕する、残渣粉砕部5を備えている。
このようなバイオマスガス化炉1Aによれば、容器部2の内側に収容されたバイオマス原料Fからは、熱源3からの熱による反応で、燃料ガスGが生成される。生成された燃料ガスGは、燃料ガス誘導部17により生成された気流により、燃料ガス排出部15へと誘導され、外部へと排出される。
バイオマス原料Fの、燃料ガスGが生成された結果として残された残渣Zは、容器部2の底部に設けられた残渣粉砕部5により粉砕される。この残渣Zは、気流により燃料ガスGとともに外部へと排出される大きさの粉粒体Pとなるまで粉砕される。このため、残渣Zが粉砕されて生成された粉粒体Pは、燃料ガスGとともに気流に乗って、燃料ガス排出部15から外部へと排出される。したがって、バイオマス原料Fの残渣Zを排出するための、スクリューフィーダ等の機構を、特段に設ける必要がない。これにより、バイオマスガス化炉1Aの構造が簡潔なものとなる。
上記のように、バイオマスガス化炉1Aに、バイオマス原料Fの残渣Zを排出するための機構が不要となるため、このような機構を介してバイオマスガス化炉1A内部の熱の、外部への漏洩が抑制される。したがって、バイオマスガス化炉1Aの熱効率が向上する。
更に、残渣Zは、残渣粉砕部5により粉砕されて粉粒体Pとなることにより、一定量の残渣Zあたりの表面積が大きくなる。このため、粉粒体Pが気流に乗って燃料ガスGとともに燃料ガス排出部15へと誘導される過程で、ガス化反応により燃料ガスGが生成されやすくなる。特に、残渣Zを排出するための機構が設けられた場合において当該機構により外部へと排出されたはずの残渣Zも、残渣粉砕部5によって粉砕されて粉粒体Pとなり、気流に乗って燃料ガス排出部15へと誘導される過程で燃料ガスGが生成される。したがって、残渣Zを排出するための機構が設けられた構造に比べると、同じ量のバイオマス原料Fを供給した場合に生成される燃料ガスGの総量が多くなる。
以上の効果が相乗し、燃料ガスGを効率的に生成することができる。
結果として、燃料ガスGを効率的に生成可能で、かつ簡潔な構成で実現できる、バイオマスガス化炉1Aを提供することができる。
【0037】
既に説明したように、残渣粉砕部5を備えずに、堆積部100の下側の残渣Zを外部へと排出する構成とした場合においては、容器部2の内部には、成長したクリンカが大きなまま、残渣Z中に残された状態となるため、残渣Zを容器部2の外部に排出するための、スクレーパやスクリューフィーダ等を含む、バイオマスガス化炉の各種設備の表面に付着し、損傷を与える可能性が高くなる。
これに対し、上記したような残渣粉砕部5を備えることで、成長したクリンカも残渣粉砕部5で粉砕されて粉粒体Pとなり、気流に乗って排出される。これにより、クリンカがバイオマスガス化炉1Aに損傷を与える可能性が低減される。
【0038】
また、上記のように、バイオマスガス化炉1Aを簡潔な構成で実現することができるため、バイオマスガス化炉1Aの製造コストを低減可能である。更には、定期的なメンテナンスにおける、メンテナンス作業が容易となるため、運用コストをも低減することができる。
【0039】
また、容器部2は、軸線Cが上下方向に延在するように設けられた内筒20と外筒10を備え、内筒20の下端20bは、外筒10の下端10bよりも上方に設けられ、残渣粉砕部5は、内筒20の下端20bよりも下方に設けられ、バイオマス原料Fは、残渣粉砕部5上に、内筒20の内側にまで堆積した堆積部100を形成されるように供給され、残渣粉砕部5には、残渣粉砕部5上に堆積した堆積部100の下端の部分が残渣Zとして供給される。
このような構成により、残渣粉砕部5には、残渣粉砕部5上に、内筒20の内側にまで堆積した堆積部100の下端の部分が残渣Zとして供給されるので、基本的には、全ての残渣Zが、内筒20から直接、残渣粉砕部5に供給されることになる。このため、容器部2の、クリンカが付着する可能性がある場所が、内筒20の内部のみに限定される。これにより、バイオマスガス化炉1Aの損傷が抑制される。
【0040】
また、内筒20の下端20bと、残渣粉砕部5との間には、隙間2Sが設けられ、生成された燃料ガスGは、隙間2Sから内筒20と外筒10の間の空間Sへと流出し、当該空間Sを上方へと誘導された後に燃料ガス排出部15から排出される。
このような構成によれば、内筒20内で生成された燃料ガスGは、内筒20の下端20bと残渣粉砕部5との間の隙間2Sから、内筒20と外筒10の間の空間Sへと流出する。これにより、燃料ガスGが残渣Zとともに残渣粉砕部5に送り込まれるのが抑制され、燃料ガスGを、燃料ガス排出部15から効率良く排出することができる。
【0041】
また、残渣粉砕部5は、容器部2の底面に固定される基体51と、基体51の上方に設けられ、上下方向に延在する回転軸52s周りに回転する回転体52と、を備えている。回転体52の下面52bには、上方へと凹むように円錐状に形成された凹部53と、凹部53の径方向外側に位置して、基体51の上面51tに近接する外縁部54と、が形成されている。
ここで、残渣Zは、基体51の上面51tと凹部53との間に形成される内部空間5Sに供給され、内部空間5S内を径方向外側の外縁部54へと誘導されて、基体51の上面51tと回転体52の外縁部54との間で摺り潰されることで粉粒体Pが生成される。
このような構成によれば、残渣粉砕部5が、基体51と回転体52とを備えた、臼のような構成をなす。このような残渣粉砕部5においては、基体51の上面51tと回転体52の凹部53との間に形成される内部空間5Sに供給された残渣Zが、内部空間5S内を径方向外側の外縁部54へと誘導されて、残渣粉砕部5から排出される過程で、摺り潰されることで、残渣Zの粒径が徐々に小さくなる。残渣Zは、最終的に基体51の上面51tと回転体52の外縁部54との間で摺り潰されることにより、基体51の上面51tと回転体52の外縁部54との間隔に応じた粒径の粉粒体Pとなる。このようにして、粉粒体Pが、気流により燃料ガスGとともに外部へと排出される大きさとなるまで、残渣Zが粉砕される。
【0042】
また、回転体52には、回転体52の上面52tと凹部53とを上下に貫通して、基体51の上面51tと凹部53との間に形成される内部空間5Sに連通する孔55が設けられ、残渣Zは、回転体52の上面52tから孔55を介して内部空間5Sへと導入される。
このような構成によれば、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成された結果として残された残渣Zを、容器部2から、回転体52の上面52tと凹部53とを上下に貫通する孔55を通して、内部空間5S内へと導入することができる。したがって、バイオマス原料Fから燃料ガスGが生成される過程で、順次生成される残渣Zを、残渣粉砕部5で順次連続的に摺り潰すことができる。
【0043】
また、基体51と回転体52はセラミックスで形成されている。
このような構成によれば、基体51と回転体52とを、蓄熱性が高いセラミックスで形成することによって、基体51と回転体52とが蓄熱体となり、バイオマス原料Fや粉粒体Pに対する伝熱面積が増加し、燃料ガスGへのガス化が促進される。
また、セラミックスは熱変形が少なく、基体51と回転体52との熱変形が抑えられる。このため、例えば熱変形により回転体52の外縁部54が基体51の上面51tに接触、押圧されて、回転体52が回転しなくなるような不具合を、抑制することができる。したがって、バイオマスガス化炉1Aを安定して稼働させることができる。
【0044】
また、熱源3は、容器部2の外に設けられた反応炉30である。
このような構成によれば、容器部2の外に設けられた反応炉30によって、容器部2内のバイオマス原料Fに対して十分な熱が供給される。その結果、バイオマス原料Fから燃料ガスGを効率良く得ることができる。
【0045】
また、燃料ガス誘導部17は、燃料ガス排出部15の外側に設けられたファン18であり、燃料ガス排出部15から排出された燃料ガスGから、粉粒体Pを排除するフィルタ19を更に備えている。
このような構成によれば、ファン18により、燃料ガスGを燃料ガス排出部15へと誘導するような気流を生成し、燃料ガスGを効率良く外部に排出することができる。
また、フィルタ19により、燃料ガス排出部15から排出された燃料ガスGから、粉粒体Pを排除することができる。
【0046】
(実施形態の第1変形例)
なお、本発明のバイオマスガス化炉は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、外筒10の底板部13の外周部から、筒状部11が直交して上方に延びている。
図4は、本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第1変形例の構成を示す平面図である。
例えば、図4に示すバイオマスガス化炉1Bのように、外筒10の底板部13の外周部と、筒状部11の下端部との間に、湾曲面14を形成するようにしてもよい。このような湾曲面14を設けることで、底板部13の外周部と筒状部11の下端部が交差する部分で、粉粒体Pが長時間留まるのを抑えることができ、粉粒体Pが気流に乗って、燃料ガスGとともに排出されやすくなる。
【0047】
(実施形態の第2変形例)
図5は、本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第2変形例の構成を示す平面図である。
図5に示すバイオマスガス化炉1Cのように、外筒10の底板部13の外周部に堆積する粉粒体Pを、底板部13から上方に向かって巻きあげるため、残渣粉砕部5の下側から、残渣粉砕部5に対して径方向の外側の底板部13上に堆積する粉粒体Pに向かって、加熱空気等のガスを、底板部13の上面に沿って吹き付けて送り込む、ガス供給ライン90を備えるようにしてもよい。
ガス供給ライン90は、例えば回転軸52sを管状に形成し、容器部2の外部から回転軸52sの内側を通って、残渣粉砕部5の下側へとガスを供給するように設けられても構わない。
このように構成することで、底板部13上に粉粒体Pが堆積することが抑制されるので、底板部13上に堆積した粉粒体Pを清掃するためのメンテナンスの頻度を低減することができる。
【0048】
(実施形態の第3変形例)
図6は、本発明の実施形態に係るバイオマスガス化炉の第3変形例の構成を示す平面図である。
また、上記実施形態では、容器部2が、外筒10と内筒20とを備える構成としたが、これに限られない。例えば、図6に示すように、バイオマスガス化炉1Dの容器部2Dは、上部筒状部26と、傾斜部27と、を備えるようにしてもよい。残渣粉砕部5は、容器部2Dの底部に設けられている。上部筒状部26は、残渣粉砕部5に対して上方に離間して設けられている。上部筒状部26は、残渣粉砕部5よりも大きな径寸法を有している。傾斜部27は、上部筒状部26の下端から残渣粉砕部5の上端に向けて、径寸法が漸次小さくなるように形成されている。
このような構成において、容器部2Dの外周部には、残渣粉砕部5で粉砕された粉粒体Pを、残渣粉砕部5の外縁部から燃料ガス排出部15Dへと誘導し、排出するために、残渣粉砕部5の外縁部から容器部2Dの内部空間に至る、排出流路29が設けられている。
【0049】
(その他の変形例)
また、上記実施形態、及び各変形例では、容器部2、2D内に設けられたバイオマス原料Fに外部から熱を加えて、ガス化する外熱式ガス化方式とされている。
これに限らず、バイオマスガス化炉としては、容器部内に設けられたバイオマス原料Fの一部を容器部で燃焼させて、その熱によりガス化する部分燃焼ガス化方式を採用してもよい。この場合には、容器部の外側に反応炉が設けられず、バイオマス原料Fを燃焼させることにより生じる熱が、熱源となる。
また、底板部13上に堆積した粉粒体Pの量を計測するセンサを設け、当該センサによる検出量によって、底板部13を清掃するためのメンテナンスを実施するタイミングを判断することができるようにしてもよい。このようなセンサとしては、例えば、底板部13上に堆積した粉粒体Pの上面の高さ位置を計測するレベルセンサを用いるようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1A~1D バイオマスガス化炉 51t 上面
2、2D 容器部 52 回転体
2S 隙間 52s 回転軸
3 熱源 52b 下面
5 残渣粉砕部 52t 上面
5S 内部空間 53 凹部
10 外筒 54 外縁部
10b 下端 55 孔
15、15D 燃料ガス排出部 100 堆積部
17 燃料ガス誘導部 C 軸線
18 ファン F バイオマス原料
19 フィルタ G 燃料ガス
20 内筒 P 粉粒体
20b 下端 S 内筒と外筒の間の空間
30 反応炉 Z 残渣
51 基体
図1
図2
図3
図4
図5
図6