(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069864
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240515BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240515BHJP
B41J 2/19 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/01 207
B41J2/19
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180117
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 奈菜実
(72)【発明者】
【氏名】平林 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】東上 誠司
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB02
2C056EB15
2C056EB40
2C056EB44
2C056EC16
2C056EC18
2C056EC23
2C056EC56
2C056EC57
2C056FA13
2C056JA01
2C056JC20
2C056JC23
2C056KB04
2C056KB05
2C056KB08
2C056KB37
2C056KC02
2C056KC17
(57)【要約】
【課題】液体収容体の交換時に負圧がヘッドに作用するおそれを低減できる液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液体吐出装置11は、ノズル16から液体を吐出するヘッド14と、液体が密封された液体収容体90が着脱可能に装着される装着部22と、液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、サブタンクとヘッドとに接続される接続流路と、接続流路に位置する開閉弁と、制御部と、を備え、液体収容体が交換される場合、制御部は、開閉弁を閉じる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、
前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、
前記サブタンクと前記ヘッドとに接続される接続流路と、
前記接続流路に位置する開閉弁と、
制御部と、を備え、
前記液体収容体が交換される場合、前記制御部は、前記開閉弁を閉じることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記サブタンク内を大気に開放する細管流路と、
前記サブタンク内を大気に開放する開放流路と、
前記開放流路に位置する開放弁と、を備え、
前記細管流路は、細管部分を有し、
前記液体収容体が交換される場合、前記制御部は、前記開放弁を開くことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ノズルの吐出状態を検知する状態検知部と、
電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを検知する交換検知部と、
前記ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、を備え、
電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを電源オン時に前記交換検知部が検知した場合、前記制御部は、
前記状態検知部によって前記ノズルの吐出状態を検知し、
前記状態検知部によって前記ノズルの吐出状態が不良であると検知された場合に、前記メンテナンス部によって前記ヘッドをメンテナンスすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、
前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、
前記サブタンクと前記ヘッドとを接続する接続流路と、
前記接続流路に位置する開閉弁と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体収容体が交換される場合に、前記開閉弁を閉じることを含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項5】
前記液体吐出装置は、
前記サブタンク内を大気に開放する細管流路と、
前記サブタンク内を大気に開放する開放流路と、
前記開放流路に位置する開放弁と、を備え、
前記細管流路は、細管部分を有し、
前記液体吐出装置の制御方法は、前記液体収容体が交換される場合に、前記開放弁を開くことを含むことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項6】
電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを電源オン時に検知した場合に、前記ノズルの吐出状態を検知することと、
前記ノズルの吐出状態が不良であると検知した場合に、前記ヘッドをメンテナンスすることと、を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノズルが開口するヘッドと、ヘッドと接続されるサブタンクと、サブタンクと接続される装着部とを備える液体吐出装置が記載されている。装着部には、液体を収容する液体収容体が装着される。液体収容体が装着部に装着されることによって、液体収容体からサブタンクに液体が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される液体吐出装置においては、液体収容体を交換することがある。新品の液体収容体は、通常、脱気されているため、負圧の状態で密封されている。そのため、液体収容体を交換すると、液体収容体の負圧がサブタンクを通じてヘッドに作用するおそれがある。ヘッドに負圧が作用すると、ノズルから空気が引き込まれるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、前記サブタンクと前記ヘッドとに接続される接続流路と、前記接続流路に位置する開閉弁と、制御部と、を備え、前記液体収容体が交換される場合、前記制御部は、前記開閉弁を閉じる。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、前記サブタンクと前記ヘッドとを接続する接続流路と、前記接続流路に位置する開閉弁と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記液体収容体が交換される場合に、前記開閉弁を閉じることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】液体吐出装置の一実施例を示す模式図である。
【
図2】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体吐出装置の一実施例について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12を備える。液体吐出装置11は、カバー13を備える。カバー13は、筐体12に取り付けられる。カバー13は、筐体12に対して開閉するように構成される。カバー13が開くことによって、ユーザーは、筐体12内にアクセスできる。
【0010】
液体吐出装置11は、ヘッド14を備える。ヘッド14は、液体を吐出するように構成される。ヘッド14が媒体に液体を吐出することによって、媒体に画像が印刷される。ヘッド14は、ノズル面15を有する。ノズル面15には、1以上のノズル16が開口する。ヘッド14は、ノズル16から液体を吐出する。一例では、ヘッド14は、ノズル面15が水平に対して斜めとなる傾斜姿勢で液体を吐出する。ヘッド14は、媒体の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインヘッドである。ヘッド14は、媒体に対して走査しながら液体を吐出するシリアルヘッドでもよい。
【0011】
液体吐出装置11は、メンテナンス部17を備える。メンテナンス部17は、ヘッド14をメンテナンスするように構成される。メンテナンス部17は、クリーニングによりヘッド14から排出される液体を受けることによって、ヘッド14をメンテナンスする。クリーニングは、ノズル16から液体を強制的に排出させる動作である。クリーニングによって、増粘した液体、気泡などがヘッド14から排出される。
【0012】
クリーニングは、加圧クリーニングを含む。加圧クリーニングは、ヘッド14内を加圧することによって、ノズル16から液体を強制的に排出させる動作である。一例では、後述するポンプ58がヘッド14内を加圧することによって、加圧クリーニングが実行される。
【0013】
クリーニングは、吸引クリーニングを含む。吸引クリーニングは、ヘッド14内が吸引されることによって、ノズル16から液体を強制的に排出させる動作である。一例では、メンテナンス部17がヘッド14内を吸引することによって、吸引クリーニングが実行される。
【0014】
クリーニングは、微加圧クリーニングを含んでもよい。微加圧クリーニングは、加圧クリーニングと同様に、ヘッド14内が加圧されることによってノズル16から液体を強制的に排出させる動作である。一例では、ポンプ58がヘッド14内を加圧することによって、微加圧クリーニングが実行される。微加圧クリーニングは、加圧クリーニングと比べて、ノズル16から排出される液量が小さい。そのため、微加圧クリーニングでは、加圧クリーニングと比べて、クリーニング強度が小さい。
【0015】
メンテナンス部17は、フラッシングによりヘッド14から吐出される液体を受けることによって、ヘッド14をメンテナンスしてもよい。フラッシングは、ヘッド14がノズル16から液体を適宜吐出するメンテナンスである。フラッシングによって、ノズル16の目詰まりが抑制される。
【0016】
メンテナンス部17は、ヘッド14をワイピングすることによって、ヘッド14をメンテナンスしてもよい。ワイピングは、メンテナンス部17がノズル面15を払拭する動作である。ワイピングによって、ノズル面15から液体及び異物などが除去される。
【0017】
メンテナンス部17は、ヘッド14をキャッピングすることによって、ヘッド14をメンテナンスしてもよい。キャッピングは、メンテナンス部17がヘッド14に接触することによってノズル16と通じる空間を形成する動作である。キャッピングによってノズル16が保湿される。
【0018】
液体吐出装置11は、供給機構21を備える。供給機構21は、液体収容体90からヘッド14に液体を供給するように構成される。供給機構21は、液体収容体90とヘッド14とに接続される。供給機構21は、液体収容体90とヘッド14との間で液体を循環させるように構成されてもよい。
【0019】
液体収容体90は、例えば、インクカートリッジである。液体収容体90は、収容室91を画定する。収容室91は、液体が収容される空間である。液体収容体90には、導出口92が開口する。導出口92は、収容室91と通じる。導出口92を通じて、収容室91に収容される液体が供給機構21に導出される。
【0020】
液体収容体90は、導出弁93を有する。導出弁93は、導出口92を塞ぐように位置する。導出弁93は、液体収容体90が供給機構21に接続されることで開く。導出弁93が閉じている場合、収容室91は、密閉空間である。特に、新品の液体収容体90において、収容室91は、脱気された状態で密閉されている。そのため、新品の液体収容体90において、収容室91は負圧である。
【0021】
供給機構21は、装着部22を有する。装着部22は、液体収容体90が装着されるように構成される。装着部22において、液体収容体90は着脱可能である。一例では、カバー13が開くことによって、液体収容体90が交換可能となる。装着部22に液体収容体90が装着されることによって、液体収容体90からヘッド14に液体を供給可能となる。装着部22に液体収容体90が装着されることによって、導出弁93が開く。
【0022】
供給機構21は、1以上のサブタンクを有する。サブタンクは、液体収容体90から供給される液体を貯留するように構成される。サブタンクは、液体収容体90とヘッド14との間で、液体を一時的に貯留する。一例では、供給機構21は、第1サブタンク23と、第2サブタンク24とを有する。
【0023】
第1サブタンク23は、装着部22と接続される。第1サブタンク23は、液体収容体90から液体を供給される。第1サブタンク23は、ヘッド14から液体を供給されてもよい。すなわち、第1サブタンク23に、ヘッド14から液体が戻されてもよい。第1サブタンク23は、第1貯留体25を有する。第1貯留体25は、液体が貯留される第1貯留室26を画定する。
【0024】
第1サブタンク23は、導入管27を有する。導入管27は、第1貯留体25と接続される。導入管27は、第1貯留体25の内外にわたって延びる。導入管27は、第1貯留体25の天面を貫通するように延びる。導入管27の下端は、第1貯留体25内、すなわち第1貯留室26に位置する。導入管27の上端は、第1貯留体25外に位置する。
【0025】
導入管27は、装着部22に装着される液体収容体90と接続される。導入管27が液体収容体90と接続されることによって、導入管27を通じて第1貯留室26に液体が導入される。このとき、液体収容体90と第1サブタンク23との水頭差によって、液体収容体90から第1貯留室26に液体が導入される。詳しくは、導入管27を通じて第1貯留室26から収容室91に空気が流れることによって、導入管27を通じて収容室91から第1貯留室26に液体が流れる。そのため、第1サブタンク23においては、導入管27の下端の位置と液面の位置とが一致するように液体が貯留される。第1サブタンク23において、液面の位置は、ノズル面15よりも下方である。
【0026】
第1サブタンク23は、導入弁28を有する。導入弁28は、導入管27に位置する。導入弁28は、液体収容体90が装着部22に装着されることによって、開くように構成される。液体収容体90が装着部22に装着される場合、導入弁28は、導出弁93よりも先に開く。これにより、液体収容体90から液体が漏れるおそれが低減される。
【0027】
第1サブタンク23は、液量センサー29を有してもよい。液量センサー29は、第1貯留室26に貯留される液体の量を検出する。詳しくは、液量センサー29は、第1貯留室26に貯留される液体の液面を検知することによって、その液量を検出する。一例では、液量センサー29は、液面の位置を多段階で検知する。液量センサー29は、少なくとも、導入管27の下端の位置と一致する液面の位置を検知する。
【0028】
第1サブタンク23は、第1分離膜30を有してもよい。第1分離膜30は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。一例では、第1分離膜30は、第1貯留体25の天面に取り付けられる。第1分離膜30は、第1貯留体25に貯留される液体が後述する第1開放流路52に流れるおそれを低減する。
【0029】
第2サブタンク24は、第1サブタンク23と接続される。第2サブタンク24は、第1サブタンク23から液体を供給される。したがって、第2サブタンク24は、第1サブタンク23を通じて液体収容体90から液体を供給される。
【0030】
第2サブタンク24は、第2貯留体31を有する。第2貯留体31は、液体が貯留される第2貯留室32を画定する。第2サブタンク24は、第1サブタンク23における液面の位置と第2サブタンク24における液面の位置とが一致するように、液体を貯留する。そのため、通常、第2サブタンク24における液面の位置は、導入管27の下端の位置と一致する。第2サブタンク24において、液面の位置は、第1サブタンク23と同様に、ノズル面15よりも下方である。
【0031】
第2サブタンク24は、フィルター33を有してもよい。一例では、フィルター33は、第2貯留体31の底面に取り付けられる。フィルター33は、第2サブタンク24からヘッド14に流れる液体から異物を捕集する。
【0032】
第2サブタンク24は、第2分離膜34を有してもよい。一例では、第2分離膜34は、第2貯留体31の天面に位置する。第2分離膜34は、第1分離膜30と同様に、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。第2分離膜34は、第2貯留体31に貯留される液体が後述する第2開放流路53に流れるおそれを低減する。
【0033】
供給機構21は、供給流路35を有する。供給流路35は、第1サブタンク23と第2サブタンク24とに接続される。供給流路35を通じて、第1サブタンク23から第2サブタンク24に液体が供給される。供給流路35を通じて、第2サブタンク24から第1サブタンク23に液体が供給されてもよい。
【0034】
供給機構21は、供給弁36を有してもよい。供給弁36は、供給流路35に位置する。供給弁36は、第1サブタンク23から第2サブタンク24に液体が流れることを許容する。供給弁36は、第2サブタンク24から第1サブタンク23に液体が流れることを規制する。このように、供給弁36は、例えば、一方向弁である。供給弁36は、第1サブタンク23内と第2サブタンク24内との圧力差に応じて開閉する。供給弁36は、例えば、第1サブタンク23内の圧力が第2サブタンク24内の圧力よりも大きい場合に開く。すなわち、供給弁36は、第2サブタンク24内の圧力が第1サブタンク23内の圧力以下である場合に閉じる。これにより、第2サブタンク24においては、通常、第1サブタンク23の液面の位置と第2サブタンク24の液面の位置とが一致するように、液体が貯留される。供給弁36は、一方向弁に限らず、第1サブタンク23と第2サブタンク24との圧力差に応じて制御される電磁弁でもよい。
【0035】
供給機構21は、1以上の接続流路を有する。接続流路は、サブタンクとヘッド14とに接続される流路である。一例では、供給機構21は、第1接続流路37と、第2接続流路38とを有する。第1接続流路37は、第1サブタンク23とヘッド14とに接続される流路である。第1接続流路37を通じて、第1サブタンク23からヘッド14に液体が供給されてもよい。第1接続流路37を通じて、ヘッド14から第1サブタンク23に液体が供給されてもよい。第2接続流路38は、第2サブタンク24とヘッド14とに接続される流路である。第2接続流路38を通じて、第2サブタンク24からヘッド14に液体が供給されてもよい。第2接続流路38を通じて、ヘッド14から第2サブタンク24に液体が供給されてもよい。
【0036】
供給流路35、第1接続流路37、及び、第2接続流路38によって、サブタンクとヘッド14との間で循環流路が形成される。一例では、第2接続流路38を通じて第2サブタンク24からヘッド14に液体が流れる一方で、第1接続流路37を通じてヘッド14から第1サブタンク23に液体が流れることによって、サブタンクとヘッド14との間で液体が循環する。これにより、供給機構21及びヘッド14において液体が停滞することによって、液体に増粘、沈殿などが生じるおそれが低減される。
【0037】
供給機構21は、1以上の開閉弁を有する。開閉弁は、接続流路に位置する弁である。一例では、供給機構21は、第1開閉弁39と、第2開閉弁40とを有する。第1開閉弁39は、第1接続流路37に位置する。第1開閉弁39は、第1接続流路37を開閉する。第2開閉弁40は、第2接続流路38に位置する。第2開閉弁40は、第2接続流路38を開閉する。
【0038】
開閉弁は、ノーマルオープン型の電磁弁である。ノーマルオープン型とは、非通電時において、開いた状態となる弁のことである。そのため、第1開閉弁39及び第2開閉弁40は、通常、開いた状態となる。例えば、第1開閉弁39及び第2開閉弁40は、液体吐出装置11の電源オフ中において、開いた状態となる。
【0039】
液体収容体90が交換される場合に、開閉弁が閉じる。開閉弁が開いた状態で液体収容体90が交換されると、装着部22に装着された液体収容体90内の負圧がサブタンクを通じてヘッド14に作用するおそれがある。ヘッド14に負圧が作用すると、ノズル16から空気が引き込まれるおそれがある。その結果、ノズル16に形成される液体のメニスカスが破壊されるおそれがある。この場合、ノズル16が正常に液体を吐出できなくなる。すなわち、ノズル16の吐出状態が不良となる。液体収容体90の交換時に開閉弁が閉じることによって、液体収容体90内の負圧がヘッド14に作用するおそれが低減される。
【0040】
ヘッド14が媒体に液体を吐出しない場合、例えば待機時に、開閉弁が閉じてもよい。これにより、液体吐出装置11に振動又は衝撃などが加わった場合に、ヘッド14から液体が漏れるおそれを低減できる。
【0041】
供給機構21は、微加圧部41を有する。微加圧部41は、接続流路に位置する。微加圧部41は、接続流路内の液体を加圧するように構成される。一例では、微加圧部41は、第1接続流路37に位置する。詳しくは、微加圧部41は、第1接続流路37において第1開閉弁39とヘッド14との間に位置する。そのため、微加圧部41は、第1接続流路37内の液体を加圧する。
【0042】
微加圧部41は、収容体42を有する。収容体42は、第1接続流路37に位置する。微加圧部41は、可撓性部材43を有する。可撓性部材43は、収容体42内に位置する。可撓性部材43は、収容体42内の空間を液室44と空気室45とに区画する。液室44は、液体が収容される空間である。液室44は、第1接続流路37と通じる。そのため、第1接続流路37を流れる液体は、液室44に流入する。空気室45は、空気が収容される空間である。可撓性部材43によって、収容体42内において、空気と液体とが分離されている。空気室45は、後述する空気流路56と通じる。
【0043】
微加圧部41は、ばね46を有する。ばね46は、収容体42と可撓性部材43とに取り付けられる。ばね46は、空気室45に位置する。ばね46は、液室44の容積が小さくなるように可撓性部材43を押す。ばね46は、液室44の液体を加圧、すなわち第1接続流路37内の液体を加圧する。
【0044】
微加圧部41は、微加圧クリーニングを実行する。空気流路56を通じて空気室45が減圧されると、第1サブタンク23から液室44に液体が引き込まれる。このとき、ノズル16に形成される液体のメニスカスによって、ヘッド14から液室44に液体が引き込まれるおそれが小さい。その後、空気室45の減圧が解除されると、ばね46によって液室44からヘッド14に液体が送られる。これにより、ノズル16から液体が強制的に排出される。
【0045】
液体吐出装置11は、調整機構51を有する。調整機構51は、供給機構21の圧力を調整するように構成される。例えば、調整機構51は、第1サブタンク23、第2サブタンク24、及び、微加圧部41などの圧力を調整する。調整機構51は、供給機構21の圧力を調整することによって、供給機構21において液体を流動させる。例えば、調整機構51は、サブタンクからヘッド14に液体を流動させたり、ヘッド14からサブタンクに液体を流動させたりする。すなわち、調整機構51は、サブタンクからヘッド14に液体を供給させたり、サブタンクとヘッド14との間で液体を循環させたりする。
【0046】
調整機構51は、1以上の開放流路を有する。開放流路は、サブタンク内を大気に開放する流路である。開放流路は、サブタンクに接続される。一例では、調整機構51は、第1開放流路52と、第2開放流路53とを有する。
【0047】
第1開放流路52は、第1サブタンク23に接続される。詳しくは、第1開放流路52は、第1サブタンク23の天面に接続される。第1開放流路52を通じて、第1サブタンク23内が大気に開放される。詳しくは、第1開放流路52を通じて、第1分離膜30越しに第1サブタンク23内が大気に開放される。
【0048】
第2開放流路53は、第2サブタンク24に接続される。詳しくは、第2開放流路53は、第2サブタンク24の天面に接続される。第2開放流路53を通じて、第2サブタンク24内が大気に開放される。詳しくは、第2開放流路53を通じて、第2分離膜34越しに第2サブタンク24内が大気に開放される。
【0049】
第1開放流路52及び第2開放流路53は、互いに繋がっていてもよい。一例では、第1開放流路52及び第2開放流路53は、後述する細管流路54によって互いに繋がっている。第1開放流路52及び第2開放流路53は、互いに独立した流路であってもよい。
【0050】
調整機構51は、1以上の細管流路54を有する。細管流路54は、サブタンク内を大気に開放する流路である。細管流路54は、サブタンクと接続される。細管流路54は、開放流路と異なる流路である。一例では、調整機構51は、1つの細管流路54を有する。この場合、細管流路54は、第1サブタンク23と第2サブタンク24とで共通の流路である。調整機構51は、第1サブタンク23と第2サブタンク24とでそれぞれ別々の細管流路54を有してもよい。
【0051】
細管流路54は、開放流路と接続されてもよい。一例では、細管流路54は、第1開放流路52の途中部分と、第2開放流路53の途中部分とに接続される。詳しくは、細管流路54は、第1開放流路52と第1接続点P1で接続される。細管流路54は、第2開放流路53と第2接続点P2で接続される。この場合、細管流路54は、開放流路の一部分を通じてサブタンク内を大気に開放する。細管流路54は、開放流路から分岐するともいえる。細管流路54は、開放流路とは独立した流路であってもよい。例えば、細管流路54は、サブタンクの天面に直接接続されてもよい。
【0052】
細管流路54は、細管部分55を有する。細管部分55は、細管流路54において流路断面積が小さい部分である。したがって、細管部分55は、細管流路54において流路抵抗が大きくなる部分である。細管流路54は、細管部分55を通じてサブタンク内を大気に開放させる。細管部分55は、蛇行するように延びてもよいし、複数回屈曲しながら延びてもよい。これにより、細管部分55の流路抵抗がより大きくなる。
【0053】
開放流路、細管流路54、又は、その双方によりサブタンク内が大気に開放されることによって、サブタンク内が大気圧に維持される。その一方、サブタンク内が大気に開放されることによって、サブタンク内の液体が蒸発しやすくなる。そのため、通常、サブタンク内は、細管流路54を通じて大気に開放される。この場合、細管部分55の流路抵抗が大きいため、サブタンク内が大気に開放されつつも、液体の蒸発が抑制される。液体吐出装置11においては、例えば、サブタンク内の圧力を速やかに大気圧に戻す必要がある場合に、開放流路を通じてサブタンク内が大気に開放される。
【0054】
調整機構51は、空気流路56を有する。空気流路56は、微加圧部41と接続される流路である。空気流路56は、空気室45と通じる。
調整機構51は、中継流路57を有してもよい。中継流路57は、開放流路と接続される流路である。一例では、中継流路57は、第1開放流路52及び第2開放流路53と接続される。詳しくは、中継流路57は、第1開放流路52と第1接続点P1で接続される。そのため、中継流路57は、細管流路54を通じて第2開放流路53と接続される。
【0055】
調整機構51は、1以上のポンプ58を有する。ポンプ58は、例えば、チューブポンプである。ポンプ58は、空気流路56と接続される。ポンプ58は、中継流路57と接続される。ポンプ58は、空気流路56及び中継流路57の双方と接続される。調整機構51は、複数のポンプ58を有してもよい。調整機構51は、空気流路56と接続されるポンプ58と、中継流路57と接続されるポンプ58とを別々で有してもよい。
【0056】
ポンプ58は、空気流路56から空気を引き込んだり、空気流路56に空気を送り込んだりする。これにより、ポンプ58は、微加圧部41内の圧力を調整する。ポンプ58は、例えば、空気流路56を通じて空気室45を減圧する。ポンプ58が空気室45を減圧することによって、微加圧クリーニングが実行される。ポンプ58は、空気流路56を通じて空気室45を加圧することもできる。
【0057】
ポンプ58は、中継流路57から空気を引き込んだり、中継流路57に空気を送り込んだりする。これにより、ポンプ58は、サブタンク内の圧力を調整する。ポンプ58は、例えば、中継流路57を通じてサブタンク内を加圧する。詳しくは、ポンプ58は、中継流路を通じて、第1サブタンク23内、第2サブタンク24内、又は、その双方を加圧する。ポンプ58がサブタンク内を加圧することによって、加圧クリーニングが実行される。ポンプ58は、中継流路57を通じてサブタンク内を減圧することもできる。ポンプ58が中継流路57を通じて第1サブタンク23内を減圧することによって、ヘッド14から第1サブタンク23に液体が戻される。これにより、ポンプ58は、液体を循環させる。
【0058】
ポンプ58は、空気流路56から引き込んだ空気を中継流路57に送り込んだり、中継流路57から引き込んだ空気を空気流路56に送り込んだりする。例えば、ポンプ58が正転することによって、空気流路56が減圧される一方で、中継流路57が加圧される。ポンプ58が逆転することによって、空気流路56が加圧される一方で、中継流路57が減圧される。
【0059】
調整機構51は、圧力センサー59を有してもよい。一例では、圧力センサー59は、空気流路56及び中継流路57に接続される。圧力センサー59は、空気流路56及び中継流路57の圧力を検出する。圧力センサー59は、空気流路56を通じて空気室45の圧力を検出できる。これにより、調整機構51は、微加圧部41内の圧力を調整しやすい。圧力センサー59は、中継流路57を通じて、第1サブタンク23、第2サブタンク24、又は、その双方の圧力を検出できる。これにより、調整機構51は、サブタンク内の圧力を調整しやすい。
【0060】
調整機構51は、切換機構60を有してもよい。切換機構60は、開放流路、細管流路54、空気流路56、及び、中継流路57の開閉を切り換える機構である。切換機構60は、例えば、セレクターバルブである。切換機構60は、1以上の弁を含む。
【0061】
切換機構60は、1以上の開放弁を含む。開放弁は、開放流路を大気に通じさせる弁である。開放弁は、開放流路に位置する。開放弁は、開放流路を開閉する。一例では、切換機構60は、第1開放弁61と、第2開放弁62とを含む。
【0062】
第1開放弁61は、第1開放流路52を大気に通じさせる弁である。第1開放弁61は、第1開放流路52に位置する。詳しくは、第1開放弁61は、第1開放流路52において、第1接続点P1と第1サブタンク23との距離よりも、第1開放弁61と第1サブタンク23との距離が大きくなる位置に位置する。第1開放弁61が開くことによって、第1開放流路52が大気に開放される。
【0063】
第2開放弁62は、第2開放流路53を大気に通じさせる弁である。第2開放弁62は、第2開放流路53に位置する。詳しくは、第2開放弁62は、第2開放流路53において、第2接続点P2と第2サブタンク24との距離よりも、第2開放弁62と第2サブタンク24との距離が大きくなる位置に位置する。第2開放弁62が開くことによって、第2開放流路53が大気に開放される。
【0064】
液体収容体90が交換される場合に、開放弁が開いてもよい。液体収容体90が交換されると、装着部22に装着された液体収容体90内の負圧がサブタンクに作用することによってサブタンク内が負圧になる。そのため、液体収容体90が交換される場合には、サブタンク内の圧力を速やかに大気圧に戻すことが好ましい。液体収容体90の交換時に開放弁が開くことによって、サブタンク内の負圧が速やかに解消される。
【0065】
切換機構60は、第1選択弁63を含む。第1選択弁63は、空気流路56を大気に通じさせる弁である。第1選択弁63が開くことによって、空気室45を大気に開放したり、中継流路57から引き込まれた空気を大気に排出したりできる。
【0066】
切換機構60は、第2選択弁64を含む。第2選択弁64は、空気流路56を圧力センサー59に通じさせる弁である。第2選択弁64が開くことによって、圧力センサー59は、空気流路56の圧力を検出できる。
【0067】
切換機構60は、第3選択弁65を含む。第3選択弁65は、空気流路56をポンプ58に通じさせる弁である。第3選択弁65が開くことによって、ポンプ58は、空気室45を減圧したり加圧したりできる。
【0068】
切換機構60は、第4選択弁66を含む。第4選択弁66は、中継流路57を大気に通じさせる弁である。第4選択弁66が開くことによって、空気流路56から引き込まれた空気を大気に排出できる。
【0069】
切換機構60は、第5選択弁67を含む。第5選択弁67は、中継流路57を圧力センサー59に通じさせる弁である。第5選択弁67が開くことによって、圧力センサー59は、中継流路57の圧力を検出できる。
【0070】
切換機構60は、第6選択弁68を含む。第6選択弁68は、中継流路57を開放流路に通じさせる弁である。詳しくは、第6選択弁68は、中継流路57においてポンプ58を第1接続点P1に通じさせる弁である。第6選択弁68が開くことによって、ポンプ58が中継流路57及び開放流路を通じてサブタンク内を加圧したり減圧したりできる。
【0071】
切換機構60は、第7選択弁69を含む。第7選択弁69は、細管流路54を大気に通じさせる弁である。第7選択弁69が開くことによって、細管流路54が大気に開放される。なお、細管流路54を通じてサブタンク内を大気に開放させるために、第7選択弁69は、通常開いた状態で維持される。
【0072】
切換機構60は、第8選択弁70を含む。第8選択弁70は、細管流路54を第1サブタンク23に通じさせる弁である。第8選択弁70は、例えば、第1開放流路52において、第1サブタンク23と第1接続点P1との間に位置する。第8選択弁70が開くことによって、細管流路54が第1サブタンク23に通じる。また、第8選択弁70が開くことによって、中継流路57が第1サブタンク23に通じる。なお、細管流路54を通じて第1サブタンク23内を大気に開放させるために、第8選択弁70は、通常開いた状態で維持される。
【0073】
切換機構60は、第9選択弁71を含む。第9選択弁71は、細管流路54を第2サブタンク24に通じさせる弁である。第9選択弁71は、例えば、第2開放流路53において、第2サブタンク24と第2接続点P2との間に位置する。第9選択弁71が開くことによって、細管流路54が第2サブタンク24に通じる。また、第9選択弁71が開くことによって、中継流路57が第2サブタンク24に通じる。なお、細管流路54を通じて第2サブタンク24内を大気に開放させるために、第9選択弁71は、通常開いた状態で維持される。
【0074】
切換機構60は、ポンプ58が空気室45の圧力を調整する場合、第2選択弁64、第3選択弁65、及び、第4選択弁66を開き、その他の選択弁を閉じる。これにより、ポンプ58が空気室45を減圧する場合には、空気室45の空気が空気流路56及び中継流路57を通じて大気に排出される。また、ポンプ58が空気室45を加圧する場合には、中継流路57及び空気流路56を通じて大気から空気室45に空気が送り込まれる。このとき、圧力センサー59は、空気室45の圧力を検出する。
【0075】
切換機構60は、第1サブタンク23内を大気に開放する場合、開放弁及び第8選択弁70を開く。これにより、第1貯留室26は、第1開放流路52を通じて大気に開放される。第1サブタンク23内の圧力は、第1開放流路52を通じて速やかに大気圧に戻る。
【0076】
切換機構60は、第2サブタンク24内を大気に開放する場合、開放弁及び第9選択弁71を開く。これにより、第2貯留室32は、第2開放流路53を通じて大気に開放される。第2サブタンク24内の圧力は、第2開放流路53を通じて速やかに大気圧に戻る。
【0077】
切換機構60は、第1サブタンク23内を加圧する場合、第1選択弁63、第5選択弁67、第6選択弁68、及び、第8選択弁70を開き、その他の選択弁及び開放弁を閉じる。これにより、中継流路57及び第1開放流路52を通じて大気から第1サブタンク23内に空気が送り込まれる。このとき、圧力センサー59は、第1サブタンク23内の圧力を検出する。
【0078】
切換機構60は、第2サブタンク24内を加圧する場合、第1選択弁63、第5選択弁67、第6選択弁68、及び、第9選択弁71を開き、その他の選択弁及び開放弁を閉じる。これにより、中継流路57及び第2開放流路53を通じて大気から第2サブタンク24内に空気が送り込まれる。このとき、圧力センサー59は、第2サブタンク24内の圧力を検出する。
【0079】
切換機構60は、液体収容体90から第1サブタンク23及び第2サブタンク24に液体が充填される場合、第1開閉弁39と第2開閉弁40とが閉じる状態で、第1サブタンク23内と第2サブタンク24内とを大気に開放する。これにより、液体収容体90から第1サブタンク23に液体が充填され、第1サブタンク23から第2サブタンク24に液体が充填される。
【0080】
切換機構60は、ヘッド14が媒体に液体を吐出する場合、すなわち印刷時に、第1開閉弁39と第2開閉弁40とが開く状態で、第1サブタンク23内と第2サブタンク24内とを大気に開放する。これにより、印刷時には、第1接続流路37を通じて第1サブタンク23からヘッド14に液体が供給される。また、第2接続流路38を通じて第2サブタンク24からヘッド14に液体が供給される。切換機構60は、印刷時に、第1開閉弁39を閉じる状態で、第1サブタンク23内と第2サブタンク内とを大気に開放してもよい。この場合でも、第2接続流路38を通じて第2サブタンク24からヘッド14に液体が供給される。
【0081】
切換機構60は、液体が循環する場合、第1開閉弁39と第2開閉弁40とが開く状態で、第1サブタンク23内を大気に開放する。この状態で、第2サブタンク24内が加圧されることによって、第2接続流路38を通じて第2サブタンク24からヘッド14に液体が供給され、第1接続流路37を通じてヘッド14から第1サブタンク23に液体が戻される。
【0082】
図2に示すように、液体吐出装置11は、操作部81を備える。操作部81は、タッチパネル、ボタン、レバー、及び、スイッチなどを含む。ユーザーは、操作部81を操作することによって、液体吐出装置11に指示を与える。
【0083】
ユーザーは、操作部81を操作することによって、液体吐出装置11に交換通知を与えてもよい。交換通知は、液体収容体90が交換されることを液体吐出装置11に知らせる通知である。液体吐出装置11は、交換通知を受けると、カバー13を自動的に開いてもよい。液体吐出装置11は、交換通知を受けると、カバー13のロックを解除したり、装着部22に対する液体収容体90のロックを解除したりしてもよい。これにより、ユーザーは、液体収容体90をスムーズに交換できる。液体吐出装置11は、ユーザーが操作部81を操作することに限らず、例えばユーザーがカバー13を手動で開いたことを契機に、交換通知を受けてもよい。その他に、液体吐出装置11は、液体吐出装置11と通信可能に接続される外部端末から交換通知を受けてもよい。外部端末は、例えば、ユーザーが所有するパーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレットなどである。
【0084】
ユーザーは、操作部81を操作することによって、液体吐出装置11に完了通知を与えてもよい。完了通知は、液体収容体90の交換が完了したことを液体吐出装置11に知らせる通知である。液体吐出装置11は、完了通知を受けると、カバー13を自動的に閉じてもよい。液体吐出装置11は、完了通知を受けると、カバー13をロックしたり、装着部22に対して液体収容体90をロックしたりしてもよい。液体吐出装置11は、ユーザーが操作部81を操作することに限らず、例えばユーザーがカバー13を手動で閉じたことを契機に、完了通知を受けてもよい。その他に、液体吐出装置11は、液体吐出装置11と通信可能に接続される外部端末が完了通知を受けてもよい。
【0085】
液体吐出装置11は、制御部82を備える。制御部82は、液体吐出装置11が備える各種構成を制御する。制御部82は、例えば、ヘッド14、供給機構21、及び、調整機構51などを制御する。
【0086】
制御部82は、ソフトウェアにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部82は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行するASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部82は、プロセッサー及びハードウェア回路の組み合わせを含む回路で構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、ならびに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納する。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0087】
制御部82は、状態検知部83を含む。状態検知部83は、ノズル16の吐出状態を検知するように構成される。制御部82は、例えば、メモリーに記憶されるプログラムを実行することによって、状態検知部83として機能する。
【0088】
状態検知部83は、例えば、ノズル16における液体の残留振動に基づいて、吐出状態を検知する。状態検知部83は、液体の吐出を伴わない程度の残留振動から吐出状態を検知できる。吐出状態が不良である場合、吐出状態が正常である場合と比べて、残留振動の波形が変化する。これにより、状態検知部83は、ノズル16の吐出状態が不良であるか否かを検知する。吐出状態が不良である場合、ノズル16から液体が正しく吐出されないおそれがある。例えば、ノズル16に形成される液体のメニスカスが破壊されている場合、ノズル16の吐出状態が不良となる。
【0089】
状態検知部83は、残留振動に基づいて吐出状態を検知することに限らず、その他の手法によって吐出状態を検知してもよい。例えば、状態検知部83は、ノズル16から吐出される液体が光学センサーの検知範囲に進入したか否かに基づいて吐出状態を検知してもよい。例えば、状態検知部83は、ノズル16が媒体に液滴を吐出することによって形成された液滴パターンをカメラが撮像することによって得られた画像情報に基づいて、吐出状態を検出してもよい。
【0090】
制御部82は、交換検知部84を含む。交換検知部84は、液体収容体90が電源オフ中に交換されたことを検知するように構成される。制御部82は、例えば、メモリーに記憶されるプログラムを実行することによって、交換検知部84として機能する。液体収容体90は、液体吐出装置11の電源オン中に限らず、液体吐出装置11の電源オフ中に交換されることがある。電源オン中においては、制御部82は、交換通知によって液体収容体90が交換されることを把握できる。電源オフ中においては、制御部82は、液体収容体90が交換されることを把握できない。そのため、交換検知部84は、電源オン時、すなわち液体吐出装置11の電源が投入された場合に、液体収容体90が電源オフ中に交換されたことを検知する。
【0091】
液体収容体90は、通常、自身が収容する液体に関する情報が記憶される記憶基板を有する。交換検知部84は、装着部22に液体収容体90が装着されると、記憶基板から情報を取得する。交換検知部84は、記憶基板から取得した情報が変化したことによって、液体収容体90の交換を検知する。したがって、交換検知部84は、電源オン時に記憶基板から情報を取得することによって、液体収容体90が電源オフ中に交換されたか否かを検知できる。
【0092】
<交換処理>
次に、制御部82が実行する交換処理について説明する。交換処理は、制御部82が交換通知を受け取ったことを契機に開始される。
【0093】
図3に示すように、制御部82は、ステップS11において、開閉弁を閉じる。詳しくは、制御部82は、第1開閉弁39及び第2開閉弁40のうち少なくとも第1開閉弁39を閉じる。制御部82は、第1開閉弁39及び第2開閉弁40を閉じてもよい。これにより、装着部22に装着される新たな液体収容体90からヘッド14に負圧が及ぶおそれが低減される。
【0094】
制御部82は、ステップS12において、開放弁を開く。詳しくは、制御部82は、第1開放弁61及び第2開放弁62のうち少なくとも一方を開く。制御部82は、第1開放弁61及び第2開放弁62を開いてもよい。第1サブタンク23内を大気に開放する場合には、制御部82は、第8選択弁70も開く。第2サブタンク24内を大気に開放する場合には、第9選択弁71も開く。これにより、液体収容体90が交換されることによって生じたサブタンク内の負圧が解消される。
【0095】
ステップS11及びステップS12においては、液体収容体90の負圧がヘッド14に作用しない、且つ、サブタンク内が開放流路を通じて大気に開放されればよい。例えば、第1開閉弁39が閉じる且つ第8選択弁70が開く状態で、第1開放弁61及び第2開放弁62の何れかが開いていればよい。例えば、第2開閉弁40が閉じる且つ第9選択弁71が開く状態で、第1開放弁61及び第2開放弁62の何れかが開いていればよい。例えば、第1開閉弁39及び第2開閉弁40が閉じる且つ第8選択弁70及び第9選択弁71が開く状態で、第1開放弁61及び第2開放弁62の何れかが開いていればよい。
【0096】
制御部82は、ステップS13において、液体収容体90の交換が完了したか否かを判定する。制御部82は、完了通知を受けた場合に、液体収容体90の交換が完了したと判定し、ステップS14に処理を移行する。制御部82は、完了通知を受けるまで、ステップS13で待機する。
【0097】
制御部82は、ステップS14において、開閉弁を開く。詳しくは、制御部82は、第1開閉弁39及び第2開閉弁40の双方を開く。
制御部82は、ステップS15において、開放弁を閉じる。詳しくは、制御部82は、第1開放弁61及び第2開放弁62の双方を閉じる。制御部82は、ステップS15の処理を終えると、交換処理を終了する。交換処理によって、ヘッド14に負圧が作用することなく液体収容体90が交換される。
【0098】
<復帰処理>
次に、制御部82が実行する復帰処理について説明する。復帰処理は、液体収容体90が電源オフ中に交換されたことを電源オン時に交換検知部84が検知した場合に開始される。したがって、復帰処理は、液体吐出装置11の電源が投入された際に、実行される。
【0099】
図4に示すように、制御部82は、ステップS21において、状態検知部83によってノズル16の吐出状態を検知する。液体収容体90が電源オフ中に交換された場合、ヘッド14に負圧が作用することによってノズル16の吐出状態が不良になりやすい。
【0100】
制御部82は、ステップS22において、吐出状態が不良のノズル16が有るか否かを判定する。制御部82は、吐出状態が不良のノズル16が有ると判定した場合に、ステップS23に移行する。制御部82は、吐出状態が不良のノズル16が無いと判定した場合に、復帰処理を終了する。
【0101】
制御部82は、ステップS23において、メンテナンス部17によってヘッド14をメンテナンスする。このとき、ヘッド14には、加圧クリーニング又は吸引クリーニングが実行される。これにより、吐出状態の不良が解消される。したがって、ノズル16の吐出状態が正常に復帰する。吐出状態が不良のノズル16が有る場合に微加圧クリーニングを実行すると、空気室45を減圧することによってノズル16から空気を引き込むおそれが大きい。これは、吐出状態が不良の場合には、ノズル16に形成されるメニスカスが破壊されているおそれが大きいためである。そのため、復帰処理においては、ヘッド14に微加圧クリーニングを実行しない。
【0102】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)液体収容体90が交換される場合、制御部82は、開閉弁を閉じる。開閉弁が開いた状態で装着部22に新品の液体収容体90が装着されると、液体収容体90の負圧がサブタンクを通じてヘッド14に及ぶ。ヘッド14に負圧が及ぶと、ノズル16から空気が引き込まれるおそれがある。上記構成によれば、液体収容体90の交換時に開閉弁が閉じるため、液体収容体90内の負圧がヘッド14に作用するおそれが低減される。
【0103】
(2)液体収容体90が交換される場合、制御部82は、開放弁を開く。通常、サブタンク内は、細管流路54を通じて大気に開放されている。装着部22に新品の液体収容体90が装着されると、液体収容体90の負圧がサブタンクに作用する。このとき、サブタンク内が細管流路54を通じて大気に開放されていても、細管部分55によってサブタンク内に空気が流入しづらい。そのため、サブタンク内の負圧が解消されにくい。上記構成によれば、液体収容体90の交換時において、開放弁が開くことによって、開放流路を通じてサブタンク内が大気に開放される。開放流路を通じてサブタンク内に空気が流入することによって、サブタンクの負圧が速やかに解消される。
【0104】
(3)液体収容体90が電源オフ中に交換されたことを電源オン時に交換検知部84が検知した場合、制御部82は、状態検知部83によってノズル16の吐出状態を検知する。制御部82は、状態検知部83によってノズル16の吐出状態が不良であると検知された場合に、メンテナンス部17によってヘッド14をメンテナンスする。液体収容体90が電源オフ中に交換される場合、開閉弁は開いたままである。そのため、ヘッド14に負圧が作用することによって、ノズル16の吐出状態が不良となるおそれがある。この点、上記構成によれば、液体収容体90が電源オフ中に交換されることによってノズル16の吐出状態が不良となった場合に、メンテナンス部17によってその不良が解消される。
【0105】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0106】
・ヘッド14が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド14が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0107】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0108】
(A)液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、前記サブタンクと前記ヘッドとに接続される接続流路と、前記接続流路に位置する開閉弁と、制御部と、を備え、前記液体収容体が交換される場合、前記制御部は、前記開閉弁を閉じる。
【0109】
開閉弁が開いた状態で装着部に新品の液体収容体が装着されると、液体収容体の負圧がサブタンクを通じてヘッドに及ぶ。ヘッドに負圧が及ぶと、ノズルから空気が引き込まれるおそれがある。上記構成によれば、液体収容体の交換時に開閉弁が閉じるため、液体収容体内の負圧がヘッドに作用するおそれが低減される。
【0110】
(B)上記液体吐出装置は、前記サブタンク内を大気に開放する細管流路と、前記サブタンク内を大気に開放する開放流路と、前記開放流路に位置する開放弁と、を備え、前記細管流路は、細管部分を有し、前記液体収容体が交換される場合、前記制御部は、前記開放弁を開いてもよい。
【0111】
通常、サブタンク内は、細管流路を通じて大気に開放されている。装着部に新品の液体収容体が装着されると、液体収容体の負圧がサブタンクに作用する。このとき、サブタンク内が細管流路を通じて大気に開放されていても、細管部分によってサブタンク内に空気が流入しづらい。そのため、サブタンク内の負圧が解消されにくい。上記構成によれば、液体収容体の交換時において、開放弁が開くことによって、開放流路を通じてサブタンク内が大気に開放される。開放流路を通じてサブタンク内に空気が流入することによって、サブタンクの負圧が速やかに解消される。
【0112】
(C)上記液体吐出装置は、前記ノズルの吐出状態を検知する状態検知部と、電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを検知する交換検知部と、前記ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、を備え、電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを電源オン時に前記交換検知部が検知した場合、前記制御部は、前記状態検知部によって前記ノズルの吐出状態を検知し、前記状態検知部によって前記ノズルの吐出状態が不良であると検知された場合に、前記メンテナンス部によって前記ヘッドをメンテナンスしてもよい。
【0113】
液体収容体が電源オフ中に交換される場合、開閉弁は開いたままである。そのため、ヘッドに負圧が作用することによって、ノズルの吐出状態が不良となるおそれがある。この点、上記構成によれば、液体収容体が電源オフ中に交換されることによってノズルの吐出状態が不良となった場合に、メンテナンス部によってその不良が解消される。
【0114】
(D)液体吐出装置の制御方法は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、液体が密封された液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、前記液体収容体から供給される液体を貯留するサブタンクと、前記サブタンクと前記ヘッドとを接続する接続流路と、前記接続流路に位置する開閉弁と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記液体収容体が交換される場合に、前記開閉弁を閉じることを含む。上記方法によれば、上述した液体吐出装置と同様の効果が得られる。
【0115】
(E)上記液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、前記サブタンク内を大気に開放する細管流路と、前記サブタンク内を大気に開放する開放流路と、前記開放流路に位置する開放弁と、を備え、前記細管流路は、細管部分を有し、前記液体吐出装置の制御方法は、前記液体収容体が交換される場合に、前記開放弁を開くことを含んでもよい。上記方法によれば、上述した液体吐出装置と同様の効果が得られる。
【0116】
(F)上記液体吐出装置の制御方法は、電源オフ中に前記液体収容体が交換されたことを電源オン時に検知した場合に、前記ノズルの吐出状態を検知することと、前記ノズルの吐出状態が不良であると検知した場合に、前記ヘッドをメンテナンスすることと、を含んでもよい。上記方法によれば、上述した液体吐出装置と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0117】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…カバー、14…ヘッド、15…ノズル面、16…ノズル、17…メンテナンス部、21…供給機構、22…装着部、23…第1サブタンク、24…第2サブタンク、25…第1貯留体、26…第1貯留室、27…導入管、28…導入弁、29…液量センサー、30…第1分離膜、31…第2貯留体、32…第2貯留室、33…フィルター、34…第2分離膜、35…供給流路、36…供給弁、37…第1接続流路、38…第2接続流路、39…第1開閉弁、40…第2開閉弁、41…微加圧部、42…収容体、43…可撓性部材、44…液室、45…空気室、46…ばね、51…調整機構、52…第1開放流路、53…第2開放流路、54…細管流路、55…細管部分、56…空気流路、57…中継流路、58…ポンプ、59…圧力センサー、60…切換機構、61…第1開放弁、62…第2開放弁、63…第1選択弁、64…第2選択弁、65…第3選択弁、66…第4選択弁、67…第5選択弁、68…第6選択弁、69…第7選択弁、70…第8選択弁、71…第9選択弁、81…操作部、82…制御部、83…状態検知部、84…交換検知部、90…液体収容体、91…収容室、92…導出口、93…導出弁、P1…第1接続点、P2…第2接続点。