(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006987
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】温度制御システムを検査する方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20240110BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240110BHJP
G05D 23/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H01L21/02 Z
G05D23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082210
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081484
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ チョンウ
(72)【発明者】
【氏名】チュ ヨンシク
【テーマコード(参考)】
3K058
5H323
【Fターム(参考)】
3K058AA84
3K058CA04
3K058CA33
3K058CB23
3K058CB32
3K058CB34
3K058CE24
3K058CE29
5H323AA01
5H323AA05
5H323BB18
5H323CB02
5H323DA03
5H323DB01
5H323JJ04
5H323SS05
5H323SS10
(57)【要約】
【課題】温度制御システムの検査方法を提供する。
【解決手段】温度制御システムの電流測定値に基づいて計測行列を生成する段階;計測行列に基づいて計測行列と同じ次元を有する変換行列を算出する段階;及び変換行列に基づいて計測行列と同じ次元を有する補助行列を算出する段階;及び補助行列と変換行列との差分演算に基づいて、複数のダイオードのうち、欠陥ダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階;を含む方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配列された複数のヒータ及び複数のダイオードを含む温度制御システムを検査する方法であって、前記方法は、
前記温度制御システムの電流測定値に基づいて計測行列を生成する段階と、
前記計測行列に基づいて前記計測行列と同じ次元を有する変換行列を算出する段階と、
前記変換行列に基づいて前記計測行列と同じ次元を有する補助行列を算出する段階と、
前記補助行列と前記変換行列との差分演算に基づいて、前記複数のダイオードのうち、欠陥ダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階と、を含むが、
前記計測行列の成分それぞれ及び前記変換行列の成分それぞれは、前記複数のダイオードのうち、対応するものと連結された前記欠陥ダイオードの個数に依存することを特徴とする温度制御システムを検査する方法。
【請求項2】
前記欠陥マトリックス成分のうち、値が1であるものに対応する前記複数のダイオードを故障と決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項3】
前記欠陥マトリックス成分のうち、値が0であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項4】
前記欠陥マトリックス成分のうち、しきい値以下であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定し、かつ前記欠陥マトリックスの前記成分のうち、しきい値以下であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項5】
前記温度制御システムは、
前記複数のヒータそれぞれの第1電極に連結された複数のロウバスと、
前記複数のダイオードそれぞれのカソードに連結された複数のカラムバスと、
前記複数のロウバスに連結され、前記複数のロウバスを介した電力伝達を許容するか、遮断する複数のロウスイッチ素子と、
前記複数のカラムバスに連結され、前記複数のカラムバスを介した電力伝達を許容するか、遮断する複数のカラムスイッチ素子をさらに含み、
前記複数のヒータそれぞれの第2電極は、前記複数のダイオードのうち、いずれか1つのアノードに連結されることを特徴とする請求項1に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項6】
前記変換行列の前記成分は、前記複数のカラムバスにそれぞれ接続された前記複数のダイオードのうち、前記変換行列の前記成分にそれぞれ対応する前記欠陥ダイオードの個数と同一であることを特徴とする請求項5に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項7】
前記計測行列の前記成分それぞれは、前記複数のロウスイッチのうち、いずれか1つをターンオンさせ、前記複数のカラムスイッチのうち、いずれか1つをターンオフにした後、前記複数のカラムバスを介して出力される電流の測定値の和に基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項8】
前記計測行列の前記成分それぞれは、前記複数のロウスイッチのうち、いずれか1つのみをターンオンさせ、前記複数のカラムスイッチのうち、いずれか1つのみをターンオフにした後、前記複数のカラムバスを介して出力される電流の測定値の和に基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項9】
前記計測行列の前記成分それぞれは、前記複数のロウスイッチのうち、いずれか1つのみをターンオンさせ、前記複数のカラムスイッチのうち、いずれか1つのみをターンオフにした後、前記複数のロウバスを介して入力される電流の測定値の和に基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項10】
前記補助行列の成分それぞれは、前記変換行列の同じカラムに含まれた成分のうち、最大値と同一であることを特徴とする請求項1に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項11】
複数のロウバス、前記複数のロウバスに連結された複数のロウスイッチ素子、複数のカラムバス、前記複数のカラムバスに連結された複数のカラムスイッチ素子、前記複数のロウバスに連結された複数のヒータ、前記複数のヒータそれぞれに連結され、かつ前記複数のカラムバスに連結された複数のヒータを含む温度制御システムを検査する方法であって、前記方法は、
前記複数のロウスイッチ素子のうち、選択された1つをターンオンさせ、前記複数のカラムスイッチ素子のうち、選択された1つをターンオフにした後、前記複数のカラムバスを介して出力される電流をセンシングすることで、計測行列を決定する段階と、
前記計測行列に基づいて、変換行列を算出する段階と、
前記変換行列に基づいて、補助行列を算出する段階と、
前記補助行列及び前記変換行列に基づいて前記複数のダイオードのうち、欠陥のあるダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階と、を含むが、
前記変換行列は、下記式によって決定され、
ここで、Tijは、変換行列の(i,j)成分であり、Kijは、計測行列の行列の(i,j)成分であり、前記αは、前記複数のカラムバスの数及び前記複数のロウバスの数に基づいて決定されることを特徴とする温度制御システムを検査する方法。
【請求項12】
前記αは、下記式によって決定され、
ここで、Nは、前記複数のカラムバスの数及び前記複数のロウバスの数であることを特徴とする請求項11に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項13】
前記欠陥マトリックスは、前記補助行列と前記変換行列との差分演算に基づいて算出されることを特徴とする請求項11に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項14】
0の値を有する前記欠陥マトリックス成分に対応する前記複数のダイオードを故障と決定する段階をさらに含む、請求項11に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項15】
0ではない値を有する前記欠陥マトリックス成分に対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項11に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項16】
しきい値以上の値を有する前記欠陥マトリックス成分に対応する前記複数のダイオードを故障と決定し、しきい値未満の値を有する前記欠陥マトリックス成分に対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項11に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項17】
複数のロウバス、前記複数のロウバスに連結された複数のロウスイッチ素子、複数のカラムバス、前記複数のカラムバスに連結された複数のカラムスイッチ素子、前記複数のロウバスに連結された複数のヒータ、前記複数のヒータそれぞれに連結され、かつ前記複数のカラムバスに連結された複数のヒータを含む温度制御システムを検査する方法であって、前記方法は、
前記複数のカラムバスにそれぞれ接続された前記複数のダイオードのうち、前記変換行列の前記成分にそれぞれ対応する前記欠陥ダイオードの個数と同じ変換行列を算出する段階と、
前記変換行列に基づいて、補助行列を算出する段階と、
前記補助行列及び前記変換行列の間の演算に基づいて前記複数のダイオードのうち、欠陥のあるダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階と、を含むが、
前記補助行列の成分それぞれは、前記変換行列の同じカラムに含まれた成分のうち、最大値と同一であることを特徴とする温度制御システムを検査する方法。
【請求項18】
前記欠陥マトリックスは、前記補助行列と前記計測行列との差分演算に基づいて算出されることを特徴とする請求項17に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項19】
前記欠陥マトリックス成分のうち、値が1であるものに対応する前記複数のダイオードを故障と決定し、前記欠陥マトリックス成分のうち、値が0であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項17に記載の温度制御システムを検査する方法。
【請求項20】
前記欠陥マトリックス成分のうち、しきい値以下であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定し、かつ前記欠陥マトリックスの前記成分のうち、しきい値以下であるものに対応する前記複数のダイオードを正常と決定する段階をさらに含む、請求項17に記載の温度制御システムを検査する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御システムを検査する方法に係り、さらに具体的に、マトリックス状に配置された複数のヒータを含む温度制御システムを検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程は、高度に統制されたパラメータ(例えば、温度、気圧及び雰囲気)下で遂行される。これにより、半導体素子の製造工程が遂行される工程チャンバは、前記パラメータを調節するための多様な要素を含む。
【0003】
パラメータを調節するための一要素は、複数のヒータ及び複数のダイオードがマトリックス状に配列された温度制御システムである。複数のダイオードの欠陥は、所望しないヒータの駆動を引き起こし、これは、温度制御システムの動作信頼性を低下させる。
【0004】
これにより、温度制御システムに含まれた複数のダイオードの欠陥、及び欠陥のあるダイオードを識別するための方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、温度制御システムに含まれた複数のダイオードの欠陥、及び欠陥のあるダイオードを識別するための温度制御システムを検査する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
技術的課題を達成するための例示的な実施形態によれば、マトリックス状に配列された複数のヒータ及び複数のダイオードを含む温度制御システムを検査する方法であって、前記方法は、前記温度制御システムの電流測定値に基づいて計測行列を生成する段階;前記計測行列に基づいて前記計測行列と同じ次元を有する変換行列を算出する段階;前記変換行列に基づいて前記計測行列と同じ次元を有する補助行列を算出する段階;及び、前記補助行列と前記変換行列との差分演算に基づいて、前記複数のダイオードのうち、欠陥ダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階;を含むが、前記計測行列の成分それぞれ及び前記変換行列の成分それぞれは、前記複数のダイオードのうち、対応するものと連結された前記欠陥ダイオードの個数に依存する。
【0007】
例示的な実施形態によれば、複数のロウバス、前記複数のロウバスに連結された複数のロウスイッチ素子、複数のカラムバス、前記複数のカラムバスに連結された複数のカラムスイッチ素子、前記複数のロウバスに連結された複数のヒータ、前記複数のヒータそれぞれに連結され、かつ前記複数のカラムバスに連結された複数のヒータを含む温度制御システムを検査する方法が提供される。前記方法は、前記複数のロウスイッチ素子のうち、選択された1つをターンオンさせ、前記複数のカラムスイッチ素子のうち、選択された1つをターンオフにした後、前記複数のカラムバスを介して出力される電流をセンシングすることで、計測行列を決定する段階;前記計測行列に基づいて、変換行列を算出する段階;及び前記変換行列に基づいて、補助行列を算出する段階;及び、前記補助行列及び前記変換行列に基づいて前記複数のダイオードのうち、欠陥のあるダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階;を含むが、前記変換行列は、下記の式によって決定され、
【0008】
【0009】
ここで、Tijは、変換行列の(i,j)成分であり、Kijは、計測行列の行列の(i,j)成分であり、前記αは、前記複数のカラムバスの数及び前記複数のロウバスの数に基づいて決定される。
【0010】
例示的な実施形態によれば、複数のロウバス、前記複数のロウバスに連結された複数のロウスイッチ素子、複数のカラムバス、前記複数のカラムバスに連結された複数のカラムスイッチ素子、前記複数のロウバスに連結された複数のヒータ、前記複数のヒータそれぞれに連結され、かつ前記複数のカラムバスに連結された複数のヒータを含む温度制御システムを検査する方法が提供される。前記方法は、前記複数のカラムバスにおいて、前記複数のダイオードのうち、前記変換行列の前記成分それぞれに対応するダイオードが連結された変換行列の成分に連結された前記欠陥ダイオードの個数と同じ変換行列を算出する段階;前記変換行列に基づいて、補助行列を算出する段階;及び前記補助行列及び前記変換行列の間の演算に基づいて前記複数のダイオードのうち、欠陥のあるダイオードを示す欠陥マトリックスを算出する段階;を含むが、前記補助行列の成分それぞれは、前記変換行列の同じカラムに含まれた成分のうち、最大値と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態による温度制御システムの検査方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2A】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図2B】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図2C】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図2D】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図3】例示的な実施形態による温度制御システムの検査方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図5】他の例示的な実施形態による温度制御システムの検査方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6A】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図6B】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図6C】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【
図6D】例示的な実施形態による温度制御システムを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図面上の同じ構成要素については、同じ参照符号を付し、これらについての重複説明は省略する。
【0013】
図1は、例示的な実施形態による温度制御システム100の検査方法を説明するためのフローチャートである。さらに具体的に、
図1は、温度制御システム100の第1ないし第16ダイオード(D11、D12、D13、D14、D21、D22、D23、D24、D31、D32、D33、D34、D41、D42、D43、D44、以下D11~D44)の故障検出方法を説明するためのフローチャートである。
【0014】
図2Aないし
図2Dは、例示的な実施形態による温度制御システム100を示す。
【0015】
図1及び
図2を参照すれば、温度制御システム100は、電源110、第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd、第1ないし第16ヒータR11、R12、R13、R14、R21、R22、R23、R24、R31、R32、R33、R34、R41、R42、R43、R44、以下、R11~R44、第1ないし第16ダイオードD11~D44、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4及び第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4を含む。
【0016】
温度制御システム100は、例えば、プラズマチャンバのような半導体素子製造設備内部の温度を制御するように構成されうる。
図2Aないし
図2Dの概路図において、ドットは、電気的経路間のジャンクションを示す。したがって、ドットで表示されていない電気経路間の単純クロッシングは、ジャンクションを構成しない。
【0017】
電源110は、例えば、電圧ソースでもある。電源110は、第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4の入力ノードna、nb、nc、ndと第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4の出力ノードn1、n2、n3、n4との電位差を供給電圧VSに保持する。
【0018】
例えば、入力ノードna、nb、nc、ndそれぞれと出力ノードn1との電位差は、供給電圧VSでもあり、入力ノードna、nb、nc、ndそれぞれと出力ノードn2との電位差は、供給電圧VSでもあり、入力ノードna、nb、nc、ndそれぞれと出力ノードn3との電位差は、供給電圧VSでもあり、入力ノードna、nb、nc、ndそれぞれと出力ノードn4との電位差は、供給電圧VSでもある。
【0019】
第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4及び第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4は、第1ないし第16ヒータR11~R44に電源110によって生成された電力を供給するための経路を提供する。第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4の入力ノードn1、n2、n3、n4は、電源110の第1電極(例えば、正の電極)に連結されうる。第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4の出力ノードn1、n2、n3、n4は、電源110の第2電極(例えば、負の電極)に連結されうる。第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4及び第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4は、例えば、ワイヤのような導電体を含む。
【0020】
第1ロウスイッチ素子Saは、第1ロウバスX1に連結され、第2ロウスイッチ素子Sbは、第2ロウバスX2に連結され、第3ロウスイッチ素子Scは、第3ロウバスX3に連結され、第4ロウスイッチ素子Sdは、第4ロウバスX4に連結されうる。
【0021】
第1ロウスイッチ素子Saは、第1ロウバスX1を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第2ロウスイッチ素子Sbは、第2ロウバスX2を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第3ロウスイッチ素子Scは、第3ロウバスX3を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第4ロウスイッチ素子Sdは、第4ロウバスX4を介した電力伝達を許容するか、遮断することができる。
【0022】
第1ヒータR11は、第1ダイオードD11と直列に連結されうる。第2ヒータR12は、第2ダイオードD12と直列に連結されうる。第3ヒータR13は、第3ダイオードD13と直列に連結されうる。第4ヒータR14は、第4ダイオードD14と直列に連結されうる。第5ヒータR21は、第5ダイオードD21と直列に連結されうる。第6ヒータR22は、第6ダイオードD22と直列に連結されうる。第7ヒータR23は、第7ダイオードD23と直列に連結されうる。第8ヒータR24は、第8ダイオードD24と直列に連結されうる。第9ヒータR31は、第9ダイオードD31と直列に連結されうる。第10ヒータR32は、第10ダイオードD32と直列に連結されうる。第11ヒータR33は、第11ダイオードD33と直列に連結されうる。第12ヒータR34は、第12ダイオードD34と直列に連結されうる。第13ヒータR41は、第13ダイオードD41と直列に連結されうる。第14ヒータR42は、第14ダイオードD42と直列に連結されうる。第15ヒータR43は、第15ダイオードD43と直列に連結されうる。第16ヒータR44は、第16ダイオードD44と直列に連結されうる。
【0023】
第1ないし第16ヒータR11~R44及び第1ないし第16ダイオードD11~D44は、マトリックス状に配列されうる。これにより、第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4のうち、1つを選択し、かつ第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4のうち、1つを選択することで、第1ないし第16ヒータR11~R44のうち、1つ及び第1ないし第16ダイオードD11~D44がアクセスされうる。例えば、第3ロウバスX3及び第2カラムバスY2を選択することで、第11ヒータR32及び第11ダイオードD32がアクセスされうる。
【0024】
第1ないし第4ヒータR11、R12、R13、R14それぞれの第1電極は、第1ロウバスX1に連結されうる。第5ないし第8ヒータR21、R22、R23、R24それぞれの第1電極は、第2ロウバスX2に連結されうる。第9ないし第12ヒータR31、R32、R33、R34それぞれの第1電極は、第3ロウバスX3に連結されうる。第13ないし第16ヒータR41、R42、R43、R44それぞれの第1電極は、第4ロウバスX4に連結されうる。
【0025】
第1ダイオードD11のアノードは、第1ヒータR11の第2電極に連結され、第1ダイオードD11のカソードは、第1カラムバスY1に連結されうる。第2ダイオードD12のアノードは、第2ヒータR12の第2電極に連結され、第2ダイオードD12のカソードは、第2カラムバスY2に連結されうる。第3ダイオードD13のアノードは、第3ヒータR13の第2電極に連結され、第3ダイオードD13のカソードは、第3カラムバスY3に連結されうる。第4ダイオードD14のアノードは、第4ヒータR14の第2電極に連結され、第4ダイオードD14のカソードは、第4カラムバスY1に連結されうる。
【0026】
第5ダイオードD21のアノードは、第5ヒータR21の第2電極に連結され、第5ダイオードD21のカソードは、第1カラムバスY1に連結されうる。第6ダイオードD22のアノードは、第6ヒータR22の第2電極に連結され、第6ダイオードD22のカソードは、第2カラムバスY2に連結されうる。第7ダイオードD23のアノードは、第7ヒータR23の第2電極に連結され、第7ダイオードD23のカソードは、第3カラムバスY3に連結されうる。第8ダイオードD24のアノードは、第8ヒータR24の第2電極に連結され、第8ダイオードD24のカソードは、第4カラムバスY4に連結されうる。
【0027】
第9ダイオードD31のアノードは、第9ヒータR31の第2電極に連結され、第9ダイオードD31のカソードは、第1カラムバスY1に連結されうる。第10ダイオードD32のアノードは、第10ヒータR32の第2電極に連結され、第10ダイオードD32のカソードは、第2カラムバスY2に連結されうる。第11ダイオードD33のアノードは、第11ヒータR33の第2電極に連結され、第11ダイオードD33のカソードは、第3カラムバスY3に連結されうる。第12ダイオードD34のアノードは、第12ヒータR34の第2電極に連結され、第12ダイオードD34のカソードは、第4カラムバスY4に連結されうる。
【0028】
第13ダイオードD41のアノードは、第13ヒータR41の第2電極に連結され、第13ダイオードD41のカソードは、第1カラムバスY1に連結されうる。第14ダイオードD42のアノードは、第14ヒータR42の第2電極に連結され、第14ダイオードD42のカソードは、第2カラムバスY2に連結されうる。第15ダイオードD43のアノードは、第15ヒータR43の第2電極に連結され、第15ダイオードD43のカソードは、第3カラムバスY3に連結されうる。第16ダイオードD44のアノードは、第16ヒータR44の第2電極に連結され、第16ダイオードD44のカソードは、第4カラムバスY4に連結されうる。
【0029】
第1ないし第16ヒータR11~R44それぞれは、供給電圧VSに基づいて熱を生成することができる。第1ないし第16ダイオードD11~D44それぞれは、正常(Normal)状態で第1ないし第16ヒータR11~R44を通過する電流方向を制限することができる。第1ないし第16ダイオードD11~D44は、それぞれのアノードからそれぞれのカソードへの電流を許容するが、それぞれのカソードからそれぞれのアノードへの電流を遮断することができる。第1ないし第16ダイオードD11~D44それぞれは、第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4の入力ノードna、nb、nc、ndから第1ないし第16ダイオードD11~D44を介した第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4の出力ノードn1、n2、n3、n4への電流を許容することができる。第1ないし第16ダイオードD11~D44それぞれは、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4の出力ノードn1、n2、n3、n4から第1ないし第16ダイオードD11~D44を介した第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4の入力ノードna、nb、nc、ndへの電流を遮断することができる。
【0030】
第1カラムスイッチ素子S1は、第1カラムバスY1に連結され、第2カラムスイッチ素子S2は、第2カラムバスY2に連結され、第3カラムスイッチ素子S3は、第3カラムバスY3に連結され、第4カラムスイッチ素子S4は、第4カラムバスY4に連結されうる。
【0031】
第1カラムスイッチ素子S1は、第1カラムバスY1を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第2カラムスイッチ素子S2は、第2カラムバスY2を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第3カラムスイッチ素子S3は、第3カラムバスY3を介した電力伝達を許容するか、遮断し、第4カラムスイッチ素子S4は、第4カラムバスY4を介した電力伝達を許容するか、遮断する。
【0032】
一例として、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd及び第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4それぞれはリレーを含む。他の例として、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd及び第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4それぞれは、カップリングされた1つ以上のトランジスタを含む。
【0033】
第1電流計Sc1は、第1カラムバスY1を介して出力される電流をセンシングするように構成され、第2電流計Sc2は、第2カラムバスY2を介して出力される電流をセンシングするように構成され、第3電流計Sc3は、第3カラムバスY3を介して出力される電流をセンシングするように構成され、第4電流計Sc4は、第4カラムバスY4を介して出力される電流をセンシングするように構成されうる。
【0034】
以下、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が欠陥である例示を参照し、温度制御システム100の検査方法(すなわち、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、欠陥のあるものを識別する方法)について詳細に説明する。
【0035】
欠陥のある第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44は、逆方向電流を許容する。
図2Aないし
図2Dにおいて、欠陥のある第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44は、破線の円(dashed circle)で表示される。
【0036】
図1及び
図2Aないし
図2Dを参照すれば、P10において、複数のロウスイッチ素子(例えば、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd)のうち、選択された1つをターンオンさせ、複数のロウスイッチ素子、例えば、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sdのうち、他のものをターンオフさせ、複数のカラムスイッチ素子(例えば、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4)のうち、選択された1つをターンオフさせ、複数のカラムスイッチ素子(例えば、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4)のうち、他のものをターンオンさせた後、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して出力される電流をセンシングすることで、計測行列Kを決定することができる。
【0037】
この際、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sdのうち、選択されたもの(すなわち、ターンオンされたもの)の序数をiと定義し、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4のうち、選択されたもの(すなわち、ターンオフされたもの)の序数をjと定義するとき、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4の計測値から下記式1のように計測行列Kを生成することができる。
【0038】
【0039】
ここで、Kijは、計測行列Kのi行j列成分(Component)であって、I1、I2、I3、I4によって決定される。I1は、第1電流計Sc1の測定値(Readings)であり、I2は、第2電流計Sc2の測定値であり、I3は、第3電流計Sc3の測定値であり、I4は、第4電流計Sc4の測定値であり、|VS|は、供給電圧VSの大きさであり、Rは、第1ないし第16ヒータR11~R44それぞれの抵抗値である。後述するように、マトリックスの大きさによって決定されるものであって、マトリックスの行の数及び列の数より1ほど小さい値を有する。
【0040】
例えば、
図2Aのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオンされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオフされ、第1カラムスイッチ素子S1がターンオフされ、第2ないし第4カラムスイッチ素子S2、S3、S4がターンオンされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
11を決定する。
【0041】
その場合、第1カラムスイッチ素子S1がターンオフされたので、I1値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I2ないしI4それぞれの値は
【0042】
【0043】
なので、K11の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第1ダイオードD11を通過し、第9ダイオードD31を逆方向に通過し、第10ないし第12ダイオードD32、D33、D34のうち、いずれか1つを通過する迂回路が形成されうる。
【0044】
これにより、K11の値は、下記の通りである。
【0045】
【0046】
他の例として、
図2Bのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオンされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオフされ、第2カラムスイッチ素子S2がターンオフされ、第1、第3及び第4カラムスイッチ素子S1、S3、S4がターンオンされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
12を決定する。
【0047】
その場合、第2カラムスイッチ素子S2がターンオフされたので、I2値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I1、I3及びI4それぞれの値は、
【0048】
【0049】
なので、K12の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第2ダイオードD12を通過し、第6ダイオードD22を逆方向に通過し、第5、第7及び第8ダイオードD21、D23、D24のうち、いずれか1つを通過する迂回路が形成されうる。
【0050】
これにより、K12の値は、下記の通りである。
【0051】
【0052】
他の例として、
図2Cのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオンされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオフされ、第3カラムスイッチ素子S3がターンオフされ、第1、第2及び第4カラムスイッチ素子S1、S2、S4がターンオンされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
13を決定する。
【0053】
その場合、第3カラムスイッチ素子S3がターンオフされたので、I3値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I1、I2及びI4それぞれの値は、
【0054】
【0055】
なので、K13の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第3ダイオードD13を通過し、第7ダイオードD23を逆方向に通過し、第5、第6及び第8ダイオードD21、D22、D24のうち、いずれか1つを通過する第1迂回路、及び第3ダイオードD13を通過し、第15ダイオードD43を逆方向に通過し、第13、第14及び第16ダイオードD41、D42、D44のうち、いずれか1つを通過する第2迂回路が形成されうる。
【0056】
これにより、K13の値は、下記の通りである。
【0057】
【0058】
他の例として、
図2Dのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオンされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオフされ、第4カラムスイッチ素子S4がターンオフされ、第1ないし第3カラムスイッチ素子S1、S2、S3がターンオンされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
14を決定する。
【0059】
その場合、第4カラムスイッチ素子S4がターンオフされたので、I4の値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I1、I2及びI3それぞれの値は、
【0060】
【0061】
なので、K14の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第4ダイオードD14を通過し、第12ダイオードD34を逆方向に通過し、第9、第10及び第11ダイオードD31、D32、D33のうち、いずれか1つを通過する第1迂回路、及び第4ダイオードD14を通過し、第16ダイオードD44を逆方向に通過し、第13、第14及び第15ダイオードD41、D42、D43のうち、いずれか1つを通過する第2迂回路が形成されうる。
【0062】
これにより、K14の値は、下記の通りである。
【0063】
【0064】
上述したところと同様の方式で計測行列Kの残りの成分を決定する。
【0065】
さらに具体的に、第2ロウスイッチ素子Sbをターンオンさせ、第1、第3及び第4ロウスイッチ素子Sa、Sc、Sdをターンオフさせ、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4のうち、いずれか1つのみを順にターンオンさせた後、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して出力される電流の和を算出することで、計測行列Kの第2ロウの成分を決定する。
【0066】
また、第3ロウスイッチ素子Scをターンオンさせ、第1、第2及び第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sdをターンオフさせ、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4のうち、いずれか1つのみを順にターンオンさせた後、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して出力される電流の和を算出することで、計測行列Kの第3ロウの成分を決定する。
【0067】
また、第4ロウスイッチ素子Sdをターンオンさせ、第1、第2及び第3ロウスイッチ素子Sa、Sb、Scをターンオフさせ、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4のうち、いずれか1つのみを順にターンオンさせた後、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して出力される電流の和を算出することで、計測行列Kの第4ロウの成分を決定する。
【0068】
【0069】
次いで、P20において、計測行列Kに基づいて変換行列Tを算出する。変換行列Tは、計測行列Kと同じ次元を有する。すなわち、変換行列Tのロウの数は、計測行列Kのロウの数と同一でもあり、変換行列Tのカラムの数は、計測行列Kのカラムの数と同一でもある。例えば、計測行列Kが4by4行列である場合、変換行列Tも4by4行列である。
【0070】
変換行列Tの各成分は、計測行列Kの各成分を式7の変換を適用することで得られる。
【0071】
【0072】
ここで、変換係数αは、行列の大きさによって決定される。さらに具体的に、変換係数αは、計測行列Kのカラムの数によって決定される。例えば、N by N行列である場合、α=N/(N-1)でもあり、本例示のように計測行列のカラムの数N=4である場合、α=4/3である。式6に、式7の変換を適用する場合、下記式8のような変換行列が算出される。
【0073】
【0074】
次いで、P30において、変換行列Tに基づいて補助行列TMを算出する。補助行列TMは、変換行列Tと同じ次元を有する。すなわち、補助行列TMのロウの数は、変換行列Tのロウの数と同一であり、補助行列TMのカラムの数は、変換行列Tのカラムの数と同一である。
【0075】
これにより、補助行列TMは、計測行列Kと同じ次元を有する。すなわち、補助行列TMのロウの数は、計測行列Kのロウの数と同一であり、補助行列TMのカラムの数は、計測行列Kのカラムの数と同一である。
【0076】
例示的な実施形態によれば、変換行列Tが4by4行列である場合、補助行列TMも4by4行列である。補助行列TMの各成分は、変換行列Tの各カラムの値のうち、最大値でもある。
【0077】
例えば、補助行列TMの第1カラムに含まれた成分それぞれの値は、変換行列Tの第1カラムの成分のうち、最大値である1でもある。また、補助行列TMの第2カラムに含まれた成分それぞれの値は、変換行列Tの第2カラムの成分のうち、最大値である1でもある。また、補助行列TMの第3カラムに含まれた成分それぞれの値は、変換行列Tの第3カラムの成分のうち、最大値である2でもある。また、補助行列TMの第4カラムに含まれた成分それぞれの値は、変換行列Tの第4カラムの成分のうち、最大値である3でもある。これにより、補助行列TMは、式9のように決定されうる。
【0078】
【0079】
上述した例示とは異なって、変換行列Tの特定カラムに含まれた成分それぞれの値が3/13である場合、前記特定カラムの全ダイオードが故障しているので、TMの対応するカラムに含まれた全成分の値は、16/13と決定される。
【0080】
次いで、P40において、補助行列TMと変換行列Tに基づいて欠陥マトリックスDを算出する。例示的な実施形態によれば、式10のように、補助行列TMと変換行列Tに演算(例えば、差分演算)を遂行することで、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、欠陥のあるものを示す欠陥マトリックスDを決定することができる。
【0081】
【0082】
式10の0ではない(Non zero)成分は、欠陥のある第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44と一致する。
【0083】
変換行列Tにおいて、特定成分に対応するダイオードD11~D44が欠陥のある場合、前記特定成分と同一列に含まれた他の成分に当該成分の故障が反映される。
【0084】
さらに具体的に、第1カラムスイッチ素子S1がターンオフされた場合の測定値に基づき、計測行列K及び変換行列Tの第1カラムに含まれた(1,1)、(2,1)、(3,1)及び(4,1)成分が決定される。第1カラムに含まれた欠陥のあるダイオードは、第9ダイオードD31である。第1カラムスイッチ素子S1がオフされた場合、欠陥のある第9ダイオードD31は、第10ないし第12ダイオードD32、D33、D34を経由する迂回路を提供するので、変換行列Tの(1,1)、(2,1)及び(4,1)成分の値は、1である。一方、変換行列Tの(3,1)成分の決定において、第1、第5及び第13ダイオードD11、D21、D41は、迂回路を提供しないので、変換行列Tの(3,1)成分の値は、0である。
【0085】
第2カラムスイッチ素子S2がターンオフされた場合の測定値に基づき、計測行列K及び変換行列Tの第2カラムに含まれた(1、2)、(2、2)、(3、2)及び(4、2)成分が決定される。第2カラムに含まれた欠陥のあるダイオードは、第6ダイオードD22である。第2カラムスイッチ素子S2がターンオフされた場合、第6ダイオードD22は、第5、第7及び第8ダイオードD21、D23、D24を経由する迂回路を提供するので、変換行列Tの(1、2)、(3、2)及び(4、2)成分の値は、1である。一方、変換行列Tの(2、2)成分の決定において、第2、第10及び第14ダイオードD12、D32、D42は、迂回路を提供しないので、変換行列Tの(2、2)成分の値は、0である。
【0086】
第3カラムスイッチ素子S3がターンオフされた場合の測定値に基づき、計測行列K及び変換行列Tの第3カラムに含まれた(1、3)、(2、3)、(3、3)及び(4、3)成分が決定される。第3カラムに含まれた欠陥のあるダイオードは、第7及び第15ダイオードD23、D43である。第3カラムスイッチ素子S3がオフされた場合、第7ダイオードD23は、第5、第6及び第8ダイオードD21、D22、D24を経由する迂回路を提供し、第15ダイオードD43は、第13、第14及び第16ダイオードD41、D42、D44を経由する迂回路を提供する。これにより、変換行列Tの(1,3)、(3,3)成分は、第7ダイオードD23を含む迂回路及び第15ダイオードD43を含む迂回路に影響を受けるので、変換行列Tの(1,3)、(3,3)成分の値は、2である。一方、変換行列Tの(2,3)成分は、第15ダイオードD43を含む第1迂回路によってのみ影響を受け、変換行列Tの(4,3)成分は、第7ダイオードD23を含む第2迂回路によってのみ影響を受ける。これにより、変換行列Tの(2,3)成分、及び(4,3)成分の値はそれぞれ1である。
【0087】
第4カラムスイッチ素子S4がターンオフされた場合の測定値に基づき、計測行列K及び変換行列Tの第4カラムに含まれた(1,4)、(2,4)、(3,4)及び(4,4)成分が決定される。第4カラムに含まれた欠陥のあるダイオードは、第4、第12及び第16ダイオードD14、D34、D44である。第4カラムスイッチ素子S4がオフされた場合、第4ダイオードD14は、第1、第2及び第3ダイオードD11、D12、D13を経由する迂回路を提供し、第12ダイオードD34は、第9、第10及び第11ダイオードD31、D32、D33を経由する迂回路を提供し、第16ダイオードD44は、第13、第14及び第15ダイオードD41、D42、D43を経由する迂回路を提供する。
【0088】
これにより、変換行列Tの(1,4)成分は、第12及び第16ダイオードD34、D44のうち、いずれか1つを逆方向に経由する含む迂回路に影響を受け、変換行列Tの(2,4)成分は、第4、第12及び第16ダイオードD14、D34、D44のうち、いずれか1つを逆方向に経由する迂回路に影響を受け、変換行列Tの(3,4)成分は、第4及び第16ダイオードD14、D44のうち、いずれか1つを逆方向に経由する迂回路に影響を受け、変換行列Tの(4,4)成分は、第4及び第12ダイオードD14、D34のうち、いずれか1つを逆方向に経由する迂回路に影響を受ける。これにより、変換行列Tの(1,4)、(3,4)及び(4,4)成分それぞれの値は、2であり、変換行列Tの(2,4)成分の値は3である。
【0089】
ここで、正常であるダイオード(すなわち、第1、第2、第3、第5、第8、第10、第11、第13及び第14ダイオードD11、D12、D13、D21、D24、D32、D33、D41、D42)に対応する変換行列Tの成分を正常成分と定義し、欠陥のあるダイオード(すなわち、第4、第6、第7、第9、第12、第15、及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44)に対応する変換行列Tの成分を故障成分と定義する。
【0090】
この際、変換行列Tの正常成分の値は、対応するダイオードと同じカラムバスに連結された欠陥のあるダイオードの個数と同一である。一方、変換行列Tの故障成分の値は、対応するダイオードと同じカラムバスに連結された欠陥のあるダイオードの個数-1と同一である。
【0091】
補助行列KMは、変換行列Tの各カラムの最大値と決定されるところ、補助行列TMの成分それぞれは、当該列に含まれた欠陥のあるダイオードの個数と同一である。したがって、変換行列Tと補助行列TMとの差分演算であるTM-Tにおいて、欠陥のあるダイオードに対応する成分の値は1となり、正常であるダイオードに対応する成分の値は0となる。
【0092】
従来の温度制御システム100の検査において、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sdのうち、1つをターンオンさせ、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4のうち、1つをターンオンさせることで、第1ないし第16ダイオードD11~D44の故障を決定した。しかし、従来の温度制御システム100の検査は、電流計測値が正常値から変わることに基づいて、故障の発生を確認することはできるが、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、欠陥のあるものの位置を確認することができない。
【0093】
例示的な実施形態による温度制御システム100の検査方法は、第1ないし第16ダイオードD11~D44の故障発生有無を確認することに加えて、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、欠陥のあるダイオードを決定することができる。
【0094】
実際のチップ抵抗のような抵抗素子の形成において、工程の厳密性にもかかわらず、同一抵抗を有するように設計された第1ないし第16ヒータR11~R44の抵抗値の間に差があり得る。これにより、式10と同様の方式を通じて算出された行列は、正常ダイオードに対応する0ではない(non-zero)成分を含むことができる。
【0095】
但し、このような第1ないし第16ヒータR11~R44の抵抗値の公差(Tolerance)は、第1ないし第16ヒータR11~R44の抵抗値に比べて非常に小さい値なので、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、正常なものに対応するものの欠陥マトリックスDの成分は非常に小さい値を有する。これにより、欠陥マトリックスDの判別は、0ではない(non-zero)行列の成分を識別する以外に、既設定の臨界値に基づいて欠陥マトリックスDの成分に対応する第1ないし第16ダイオードD11~D44を故障と決定することを含みうる。例示的な実施形態によれば、欠陥マトリックスDの判別は、設定されたしきい値以上の欠陥マトリックスDの成分に対応する第1ないし第16ダイオードD11~D44を故障と決定することを含む。一例として、臨界値は、約1/10000以上でもある。他の例において、前記臨界値は、約1/1000以上でもある。他の例において、前記臨界値は、約1/100以下でもある。
【0096】
以上、理解の便宜上、4by4行列を基準に欠陥のあるダイオードを決定する方法について説明したが、MbyN行列も前記と同様の方式で決定されうる。ここで、M及びNは、2以上の任意の整数である。
【0097】
まず、第1ないし第N電流計の測定値に基づいて一般化されたN by N計測行列GKを下記式11のように決定する。
【0098】
【0099】
次いで、下記式12によって定義される変換式に基づいて変換行列を算出する。
【0100】
【0101】
ここで、Nは、一般化された計測行列GKのカラムの数である。
【0102】
次いで、式13に基づいて下記のように定義される一般化された補助行列GTMを算出する。
【0103】
【0104】
ここで、maxは、因子である
【0105】
【0106】
のうち、最大値を算出する関数てある。例外的に、j番目カラムに含まれた成分それぞれの値がいずれもN-1である場合、すなわち、
【0107】
【0108】
である場合、j番目カラムの全ダイオードが故障しているので、GTMij=Nと決定される。
【0109】
次いで、式14と同様に、一般化された変換行列GTと一般化された補助行列GTM間の演算を通じて、欠陥のあるダイオードを示す一般化された欠陥マトリックスGDを算出することができる。
【0110】
【0111】
一般化された欠陥マトリックスGDにおいて、0の値を有する成分に対応するダイオードは、正常であり、0ではない値を有する成分に対応するダイオードは、欠陥のあるものである。
【0112】
他の例において、一般化された欠陥マトリックスGDにおいて、しきい値未満の値を有する成分に対応するダイオードは、正常であり、しきい値以上の値を有する成分に対応するダイオードは、欠陥のあるものである。
【0113】
図3は、例示的な実施形態による温度制御システム101の検査方法を説明するためのフローチャートである。
【0114】
図4は、例示的な実施形態による温度制御システム101を示す。
【0115】
図3及び
図4を参照すれば、温度制御システム101は、電源110、第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd、第1ないし第16ヒータR11、R12、R13、R14、R21、R22、R23、R24、R31、R32、R33、R34、R41、R42、R43、R44(以下、R11~R44)、第1ないし第16ダイオードD11~D44、第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4及び第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4を含む。
【0116】
例示的な実施形態によれば、温度制御システム101は、第1電流計Sc1が第1ロウバスX1に連結され、第2電流計Sc2が第2ロウバスX2に連結され、第3電流計Sc3が第3ロウバスX3に連結され、第4電流計Sc4が第4ロウバスX4に連結されたことを除き、
図2Aないし
図2Dを参照して説明した温度制御システム100と同一である。
【0117】
温度制御システム101の検査方法において、P11は、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4ロウバスX1、X2、X3、X4を介して流れる電流の和を算出することを除き、P10と同一である。
【0118】
P20及びP30は、
図1ないし
図2Dでの説明と実質的に同一である。
【0119】
図5は、他の例示的な実施形態による温度制御システム100の検査方法を説明するためのフローチャートである。
【0120】
図6Aないし
図6Dは、例示的な実施形態による温度制御システム100を示す。
【0121】
図5及び
図6Aないし
図6Dを参照すれば、P110において、複数のロウスイッチ素子(例えば、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sd)のうち、選択された1つをターンオフさせ、複数のロウスイッチ素子、例えば、第1ないし第4ロウスイッチ素子Sa、Sb、Sc、Sdのうち、他のものをターンオンさせ、複数のカラムスイッチ素子(例えば、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4)のうち、選択された1つをターンオンさせ、複数のカラムスイッチ素子(例えば、第1ないし第4カラムスイッチ素子S1、S2、S3、S4)のうち、他のものをターンオフさせた後、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して出力される電流をセンシングすることで、計測行列K’を決定することができる。
【0122】
計測行列の各成分Kij’は、下記の式15のように決定されうる。
【0123】
【0124】
例えば、
図6Aでのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオフされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオンされ、第1カラムスイッチ素子S1がターンオンされ、第2ないし第4カラムスイッチ素子S2、S3、S4がターンオフされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
11’を決定する。
【0125】
その場合、第2ないし第4カラムスイッチ素子S2、S3、S4がターンオフされたので、I2、I3及びI4値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I1の値は、
なので、K
11’の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第8、第12及び第16ダイオードD24、D34、D44のうち、いずれか1つを通過し、第4ダイオードD14を逆方向に通過し、第1ダイオードD11を通過する迂回路が形成されうる。
【0126】
これにより、K11’の値は、下記数式16の通りである。
【0127】
【0128】
他の例において、
図6Bでのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオフされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオンされ、第2カラムスイッチ素子S2がターンオンされ、第1、第3及び第4カラムスイッチ素子S1、S3、S4がターンオフされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
12’を決定する。
【0129】
その場合、第1、第3及び第4カラムスイッチ素子S1、S3、S4がターンオフされたので、I1、I3及びI4値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I2の値は、
【0130】
【0131】
なので、K12’の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第4ダイオードD14を逆方向に通過し、第2ダイオードD12を通過する迂回路が形成されうる。
【0132】
これにより、K12’の値は、下記数式17の通りである。
【0133】
【0134】
他の例において、
図6Cでのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオフされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオンされ、第3カラムスイッチ素子S3がターンオンされ、第1、第2及び第4カラムスイッチ素子S1、S2、S4がターンオフされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
13’を決定することができる。
【0135】
この場合、第1、第2及び第4カラムスイッチ素子S1、S2、S4がターンオフされたので、I1、I2及びI4値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I3の値は
【0136】
【0137】
なので、K13’の値は、0である。しかし、本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、第4ダイオードD14を逆方向に通過し、第3ダイオードD13を通過する迂回路が形成されうる。
【0138】
これにより、K13’の値は、下記式18の通りである。
【0139】
【0140】
他の例において、
図6Dでのように、第1ロウスイッチ素子Saがターンオンされ、第2ないし第4ロウスイッチ素子Sb、Sc、Sdがターンオフされ、第4カラムスイッチ素子S4がターンオフされ、第1ないし第3カラムスイッチ素子S1、S2、S3がターンオンされた場合、第1ないし第4電流計Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を用いて第1ないし第4カラムバスY1、Y2、Y3、Y4を介して流れる電流の値をセンシングすることで、K
14’を決定することができる。
【0141】
この場合、第1ないし第3カラムスイッチ素子S1、S2、S3がターンオフされたので、I1、I2及びI3の値は、0である。第1ないし第16ダイオードD11~D44がいずれも正常である場合、I1、I2及びI3それぞれの値は
【0142】
【0143】
なので、K
14’の値は、0である。本例示において、第4、第6、第7、第9、第13、第15及び第16ダイオードD14、D22、D23、D31、D34、D43、D44が故障しているので、
図6Dのスイッチ状態で、迂回路は形成されない。
【0144】
これにより、K14’の値は、下記式19の通りである。
【0145】
【0146】
上述したところのような方式で計測行列K’の残り成分を決定することができる。計測行列K’は、数式20の通りである。
【0147】
【0148】
次いで、P120において、計測行列K’に基づいて変換行列T’を算出することができる。変換行列T’は、計測行列K’と同じ次元を有する。すなわち、変換行列T’のロウの数は、計測行列K’のロウの数と同一でもあり、変換行列T’のカラムの数は、計測行列K’のカラムの数と同一でもある。例えば、計測行列K’が4by4行列である場合、変換行列Tも4by4行列でもある。
【0149】
変換行列Tの各成分は、計測行列Kの各成分に式21の変換を適用することで得られる。
【0150】
【0151】
ここで、変換係数αは、行列の大きさによって決定される。さらに具体的に、変換係数αは、行列のロウの数によって決定される。例えば、N by N行列である場合、α=N/(N-1)でもあり、本例示と共にロウの数Nが4である場合、α=4/3である。数式20に数式21の変換を適用する場合、下記式22のような変換行列が算出される。
【0152】
【0153】
次いで、P130において、変換行列T’に基づいて補助行列TM’を算出することができる。
【0154】
補助行列TM’は、変換行列T’と同じ次元を有する。例えば、変換行列T’が4by4行列である場合、補助行列TM’も4by4行列でもある。補助行列TM’の各成分は、変換行列T’の各ロウの値のうち、最大値でもある。
【0155】
例えば、補助行列TM’の第1ロウに含まれた成分それぞれの値は、変換行列T’の第1ロウの成分のうち、最大値である1でもある。例えば、補助行列TM’の第2ロウに含まれた成分それぞれの値は、変換行列T’の第2ロウの成分のうち、最大値である2でもある。例えば、補助行列TM’の第3ロウに含まれた成分それぞれの値は、変換行列T’の第3ロウの成分のうち、最大値である2でもある。例えば、補助行列TM’の第4ロウに含まれた成分それぞれの値は、変換行列T’の第4ロウの成分のうち、最大値である2でもある。これにより、補助行列TM’は、数式24のように決定されうる。
【0156】
【0157】
上述した例示とは異なって、変換行列T’の特定ロウに含まれた成分それぞれの値が3の場合(すなわち、ロウの数-1である場合)、前記ロウの全ダイオードが故障しているので、対応するロウに含まれた全成分の値は、4と決定される。
【0158】
次いで、P140において、補助行列TM’と変換行列T’に基づいて欠陥マトリックスD’を算出することができる。例示的な実施形態によれば、数式25のように、補助行列TM’と変換行列T’に演算(例えば、差分演算)を遂行することで、第1ないし第16ダイオードD11~D44のうち、欠陥のあるものを示す欠陥マトリックスD’を決定する。
【0159】
【0160】
以上で、理解の便宜上、4by4行列を基準に欠陥のあるダイオードを決定する方法について説明したが、N by N行列も前記と同様の方式で決定されうる。
【0161】
まず、第1ないし第N電流計の測定値に基づいて一般化された計測行列GK’を下記式26のように決定する。
【0162】
【0163】
次いで、下記式27によって定義される変換式に基づいて一般化された変換行列GT’を算出する。
【0164】
【0165】
ここで、Nは、一般化された変換行列GT’のロウの数である。
【0166】
次いで、下記数式28のように定義される一般化された補助行列GTM’を算出する。
【0167】
【0168】
ここで、maxは、因子である
【0169】
【0170】
のうち、最大値を算出する関数てある。例外的に、j番目ロウに含まれた成分それぞれの値がいずれもN-1である場合、すなわち、
【0171】
【0172】
である場合、j番目ロウの全ダイオードが故障しているので、
【0173】
【0174】
と決定される。
【0175】
次いで、数式30のように、一般化された変換行列GT’と一般化された補助行列GTM’との演算を通じて、欠陥のあるダイオードを示す一般化された欠陥マトリックスGDを算出する。
【0176】
【0177】
一般化された欠陥マトリックスGD’において、0の値を有する成分に対応するダイオードは正常であり、0ではない値を有する成分に対応するダイオードは、欠陥のあるものである。
【0178】
他の例において、一般化された欠陥マトリックスGD’において、しきい値未満の値を有する成分に対応するダイオードは、正常であり、しきい値以上の値を有する成分に対応するダイオードは、欠陥のあるものである。
【0179】
前述したように図面と明細書において例示的な実施形態が開示された。本明細書において特定の用語を使用して実施形態を説明したが、これは、単に本開示の技術的思想を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を制限するために使用されたものではない。したがって、当該技術分野の通常の知識を有する者であれば、これらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【符号の説明】
【0180】
100,101 温度制御システム
110 電源