(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069870
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】風洞試験システム及び煙発生装置
(51)【国際特許分類】
G01M 9/02 20060101AFI20240515BHJP
G01P 13/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G01M9/02
G01P13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180127
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳郎
【テーマコード(参考)】
2F034
2G023
【Fターム(参考)】
2F034CA05
2F034CA15
2G023AA03
2G023AB02
2G023AB15
2G023AB17
2G023AB24
2G023AC03
(57)【要約】
【課題】被測定物の周囲の気流を効率良く解析することを可能にすることを課題とする。
【解決手段】本実施形態では、風洞試験システム10の送風部30で発生させた所定の風速に煙発生装置60の穴が設けられた円盤部を回転させることにより発生した間欠煙を射出し、この間欠煙により被測定物100の周りの気流の画像を撮像部40で撮像し、その画像を解析部50により解析することにより、被測定物100の周りの気流を可視化するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風洞に設置された被測定物に対して煙を射出し、該被測定物の周囲の煙の流れを解析する風洞試験システムであって、
前記風洞内に所定の風速の空気を送風する送風部と、
前記被測定物に向けて間欠的に煙を発生する煙発生装置と、
前記被測定物の周囲の煙の流れを含む画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記被測定物の周囲の空気の流れを解析する解析部と
を備えた風洞試験システム。
【請求項2】
前記煙発生装置は、
外周部に所定の間隔で穴が設けられた円盤部と、
前記円盤部の中心を軸として所定方向に回転させる駆動部と、
煙を発生する煙発生部と、
前記煙発生部により発生された煙を前記円盤部の外周部に導く第1の円筒部と、
前記円盤部に設けられた穴を通過した煙を前記被測定物に導く第2の円筒部と
を備えた請求項1に記載の風洞試験システム。
【請求項3】
前記円盤部は、
穴の数、穴の中心位置、穴の大きさ並びに直径が同一の複数の円盤からなり、
前記複数の円盤の中心を位置合わせした状態で少なくとも1つの円盤を回転させることにより、前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を変更可能とした請求項2に記載の風洞試験システム。
【請求項4】
前記煙発生装置は、
前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を調整すべく、前記複数の円盤の間に設けられた歯車を制御する歯車制御部を備えた請求項3に記載の風洞試験システム。
【請求項5】
前記歯車制御部は、
前記複数の円盤の回転数に応じて前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を調整するよう、前記複数の円盤の間に設けられた歯車を制御する請求項4に記載の風洞試験システム。
【請求項6】
前記解析部は、
前記撮像部により撮像された画像に粒子画像流速測定法を適用して、前記被測定物の周囲の空気の流れを解析する請求項1乃至5のいずれか一つに記載の風洞試験システム。
【請求項7】
風洞に設置された被測定物に対して煙を射出し、該被測定物の周囲の煙の流れを解析する場合に用いられる煙発生装置であって、
外周部に所定の間隔で穴が設けられた円盤部と、
前記円盤部の中心を軸として所定方向に回転させる駆動部と、
煙を発生する煙発生部と、
前記煙発生部により発生された煙を前記円盤部の外周部に導く第1の円筒部と、
前記円盤部に設けられた穴を通過した煙を前記被測定物に導く第2の円筒部と
を備えた煙発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の周囲の気流を効率良く解析することを可能にする風洞試験システム及び煙発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の対象物の周囲の気流を観測する風洞試験システムが知られている。例えば、車両の走行時の風の影響を測定する場合には、該車両を風洞試験システム内に設置し、煙流出ノズルから該車両に対して煙を射出するとともに、車両の周囲の画像をカメラで撮像する。そして、カメラで撮像した画像をPIV(Particle Image Velocimetry)解析することにより、車両の周囲の気流が観測される。
【0003】
このため、特許文献1には、被測定物に向けて射出された被測定物の周囲の煙の流線を可視化する風洞試験装置が開示されている。かかる特許文献1を用いることにより、被測定物の周囲の気流の経路を線として計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、煙流出ノズルから該車両に対して煙を連続的に射出するため、煙が一様に混ざり合ってしまう場合がある。その結果、PIV解析で必要な煙の濃淡や形状が発生せず、気流の解析ができないという問題が生ずる場合がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、被測定物の周囲の気流を効率良く解析することを可能にする風洞試験システム及び煙発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、風洞に設置された被測定物に対して煙を射出し、該被測定物の周囲の煙の流れを解析する風洞試験システムであって、前記風洞内に所定の風速の空気を送風する送風部と、前記被測定物に向けて間欠的に煙を発生する煙発生装置と、前記被測定物の周囲の煙の流れを含む画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記被測定物の周囲の空気の流れを解析する解析部とを備えた。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記煙発生装置は、外周部に所定の間隔で穴が設けられた円盤部と、前記円盤部の中心を軸として所定方向に回転させる駆動部と、煙を発生する煙発生部と、前記煙発生部により発生された煙を前記円盤部の外周部に導く第1の円筒部と、前記円盤部に設けられた穴を通過した煙を前記被測定物に導く第2の円筒部とを備えた。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記円盤部は、穴の数、穴の中心位置、穴の大きさ並びに直径が同一の複数の円盤からなり、前記複数の円盤の中心を位置合わせした状態で少なくとも1つの円盤を回転させることにより、前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を変更可能とした。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記煙発生装置は、前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を調整すべく、前記複数の円盤の間に設けられた歯車を制御する歯車制御部を備えた。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記歯車制御部は、前記複数の円盤の回転数に応じて前記煙発生部により発生された煙が前記複数の円盤を通過可能な量を調整するよう、前記複数の円盤の間に設けられた歯車を制御する。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記解析部は、前記撮像部により撮像された画像に粒子画像流速測定法を適用して、前記被測定物の周囲の空気の流れを解析する。
【0013】
また、本発明は、風洞に設置された被測定物に対して煙を射出し、該被測定物の周囲の煙の流れを解析する場合に用いられる煙発生装置であって、外周部に所定の間隔で穴が設けられた円盤部と、前記円盤部の中心を軸として所定方向に回転させる駆動部と、煙を発生する煙発生部と、前記煙発生部により発生された煙を前記円盤部の外周部に導く第1の円筒部と、前記円盤部に設けられた穴を通過した煙を前記被測定物に導く第2の円筒部とを備えた。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被測定物の周囲の気流を効率良く解析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る風洞試験システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した煙発生装置の斜視図を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した煙発生装置の上面図を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した煙発生装置のAA'面での断面を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した円盤部の構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、風洞試験システムにおける間欠煙の状況の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、風洞試験システムにおける気流の解析の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例1の円盤部の構造の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例2の円盤部の構造の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例3の円盤部の構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る風洞試験システム及び煙発生装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
まず、本実施形態に係る風洞試験システムの概要について説明する。
図1は、実施形態に係る風洞試験システムの概要を示す図である。
図1に示す風洞試験システム10は、風洞20内に送風部30から一定の速度(例えば30km/h)の風を発生させ、煙発生装置60で間欠的に発生した煙を被測定物100に送る。そして、被測定物100の周りの煙の動きを撮像部40で撮像し、撮像した画像を解析部50で解析することにより被測定物100の気流を解析するシステムである。
【0018】
図1に示すように、風洞試験システム10は、風洞20、風洞窓21、送風部30、撮像部40、解析部50及び煙発生装置60を有する。また、被測定物100は、ワイヤ101によって風洞20の天井部から吊り下げられている。風洞20は、四方を壁で囲まれた四角柱の形状であり、解放端の一端に送風部30が配設されている。また、風洞20の内部の様子を撮像するために、四方の壁の一部に透明なアクリル等を用いた風洞窓21を配設している。
【0019】
送風部30は、風洞20に所定の風速の風を送る装置である。撮像部40は、被測定物100の周りの煙の流れを撮像し、撮像した画像を解析部50に送信する。解析部50は、撮像部40で撮像した煙の流れの画像から気流のベクトルを解析する処理部である。気流のベクトルを解析する方法としては、例えば粒子画像流速測定法(PIV:Particle Image Velocimetry)等がある。煙発生装置60は、風洞20の外部に設置され、円筒部により風洞20内に間欠的に煙を発生させる装置である。
【0020】
<煙発生装置60の構造の概要>
次に、煙発生装置60の構造の概要について説明する。
図2は、
図1に示した煙発生装置60の斜視図を示す図である。
図2に示すように、煙発生装置60は、煙発生部61と、円筒部62と、別の円筒部63と、円盤挟み込み部64と、円盤部65と、駆動部66と、駆動制御部67とを有する。また、円盤部65には、円盤部65を貫通する穴68を複数有する。
【0021】
煙発生部61は、連続的に煙を発生する部位である。煙の発生は、例えばグリコーゲンを主成分とする液体を加熱し気化させ、その後、断熱膨張することにより煙を発生させる。円筒部62は、該煙発生部61で発生した煙を円盤部65に導く管である。円筒部63は、円筒部62と円盤部65に設けられた穴68とを通過した煙を被測定物100に導く管である。
【0022】
円盤挟み込み部64は、一端に円筒部62が接続されており、もう一方に円筒部63が接続されている治具で、円筒部62の接続部と円筒部63の接続部の間に円盤部65を挟み込む。
【0023】
円盤部65は、円形の板状の構造であり、外周部に所定の間隔で穴68が設けられている。駆動部66は、円盤部65を所定の回転数で回転させる。駆動部66は、円盤部65と接続されている。駆動制御部67は、円盤部65が所定の回転数になるように駆動部66を制御する制御部である。
【0024】
次に、煙発生装置60の構造について詳細に説明する。
図3は、
図2に示した煙発生装置60の上面図を示す図である。
図3に示すように、煙発生部61は、煙の出力部に円筒部62の一端が接続されており、煙発生部61から発生された煙は、円筒部62に導かれる。円筒部62のもう一端は円盤挟み込み部64に接続されている。円筒部63は、一端を円盤挟み込み部64に接続されており、円筒部62に導かれた煙は、円盤部65に設けられた穴68を通過し円筒部63より被測定物100に射出される。
【0025】
円盤部65は、円盤挟み込み部64の円筒部62と円筒部63の間に挟み込む。駆動部66は、円盤挟み込み部64に治具によって固定されており、駆動部66と円盤部65は、駆動軸69により接続されている。具体的には、
図4のように、円盤部65の円の中心軸と駆動部66の回転軸を一致させ、駆動軸69を用いて接続している。この構造により、円盤部65は、駆動部66により所定の方向に、所定の回転数で回転する。
【0026】
煙発生装置60の円盤部65は、
図4のように円盤挟み込み部64の上部に挿入され、円筒部62と円筒部63との間に設置される。そして、円盤部65は、円筒部62と、円筒部63と、円盤部65とで形成される煙の通路の開口を開いたり閉じたりするシャッターの役割をはたす。具体的には、円筒部62と、円盤部65の穴68と円筒部63の開口が重なった場合に、煙発生部61で発生した煙が円筒部62、円盤部65の穴68を通過して円筒部63から被測定物100に射出される。また、円盤部65の穴68が円筒部62及び円筒部63の開口と重ならない場合は、煙発生部61で発生した煙は円盤部65を通過することができず、円筒部63から射出されないため、円盤部65が所定の方向に回転することにより間欠的に煙を射出することができる。
【0027】
<円盤部65の構造>
次に、円盤部65の構造について説明する。
図5は、
図3に示した円盤部の構造の一例を示す図である。
図5に示すように円盤部65は、円盤部65の外周に近い場所に穴68を有する。穴68は、円盤部65の円盤外周の内側の円周上に等間隔に設けられる。例えば、穴68を円盤部65に4つ設ける場合には、90°間隔に設けられることとなる。
【0028】
円盤部65は、円盤挟み込み部64に挟み込まれた状態で回転するため、円盤部65の材質としては、低摩擦、高耐熱及び耐薬品性を持つ材料が好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(Poky Tetra Fluoro Etylene:PTFE)等が好ましい。
【0029】
次に、煙発生装置60を用いた風洞試験システム10の風洞20内の煙の状態について説明する。
図6は、風洞試験システムにおける間欠煙の状況の一例を示す図である。
図6に示すように風洞20内は、煙発生装置60により間欠的に煙70が射出されるため、煙70が存在する空間と煙70が存在しない空間を生成することができる。
【0030】
風洞20内に煙70が間欠的に射出されることにより、風洞20内に煙70の濃淡を発生させることができ、間欠的な煙70によって被測定物100の周りの気流が可視化しやすくすることができる。
【0031】
次に、風洞試験システム10における気流の解析について説明する。
図7は、風洞試験システム10における気流の解析の一例を示す図である。
図7では、煙70から解析された気流のベクトルを矢印で表している。なお、気流の解析には、粒子画像流速測定法(PIV:Particle Image Velocimetry)等を用いている。
【0032】
図7に示すように、気流のベクトルは、領域Cにおいて被測定物100の内側に渦巻状の流れができていることを示しており、領域Cにおいて気流が滞留している様子が測定できている。また、領域Dにおいては、被測定物100の下方に気流ができてきることを示している。
【0033】
上述してきたように、本実施形態では、風洞試験システム10の送風部30で発生させた所定の風速に煙発生装置60の穴68が設けられた円盤部65を回転させることにより発生した間欠煙を射出し、この間欠煙により被測定物100の周りの気流の画像を撮像部40で撮像し、その画像を解析部50により解析することにより、被測定物100の周りの気流を可視化することができるため、被測定物の周囲の気流を効率良く解析することを可能にすることができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、円盤部65の穴68は4つの場合について説明したが、本発明は、これに限定されることはなく、穴68は、2つ以上で円盤部65の外周部内側に均等に配置されていればよい。
【0035】
<変形例1>
ところで、上記実施形態では、煙発生装置60の円盤部65の穴68の大きさは一定である場合について説明したが、変形例1では、円盤部65の穴の数、穴の中心位置、穴の大きさ並びに直径が同一の複数の円盤部65を用意して、該複数の円盤部65を中心の位置合わせした状態で重ね合わせ、少なくとも1つの円盤部65を回転させることにより、煙の通過可能な量を可変可能とする場合について説明する。
【0036】
図8は、変形例1の円盤部65の構造の一例を示す図である。
図8に示すように、円盤部65aは、4つの穴68aを有し、4つの穴68aは円盤部65aの外周の内側に均等間隔に設けられている。また、円盤部65bも円盤部65a同様に、円盤部65aの穴68aと同じ大きさの4つの穴68bを有し、4つの穴68bは円盤部65aと同様に円盤部65bの外周の内側に均等間隔に設けられている。
【0037】
そして、円盤部65a及び円盤部65bを円盤の中心を位置合わせた状態で重ね合わせて円盤部65を形成する。例えば、円盤部65a及び円盤部65bを重ね合わせる場合に、穴68a及び穴68bの重なりが小さく、形成される開口部71aが小さい場合は、煙の通過可能な量の少ない円盤部65を形成する。また、穴68a及び穴68bが重なるように円盤部65a及び円盤部65bを重ね合わせることにより、煙の通過可能な量が多い円盤部65を形成することができる。
【0038】
円盤部65をこのような構造にすることにより、円盤部65の回転数に応じて煙の通過可能な量を調整可能とし、円盤部65の回転数に応じた煙の量を射出することができる。
【0039】
<変形例2>
ところで、上記変形例1では、円盤部65の穴の数、穴の中心位置、穴の大きさ並びに直径が同一の複数の円盤部65を用意して、該複数の円盤部65を中心の位置合わせした状態で重ね合わせ、少なくとも1つの円盤部65を回転させることにより、煙の通過可能な量を可変可能とする場合について説明したが、変形例2では、重ね合わせる複数の円盤部65にそれぞれ内歯車を形成し、歯車制御部によって煙の通過可能な量を調整する場合について説明する。
【0040】
図9は、変形例2の円盤部の構造の一例を示す図である。
図9に示すように、円盤部65cは、穴68c及び内歯車72bを有し、円盤部65dは、穴68d及び内歯車72cを有する。
【0041】
円盤部65は、円盤部65c及び円盤部65dを円盤の中心を位置合わせした状態で重ね合わせて形成し、開口部71bの大きさは、円盤部65cに設けられた内歯車72bと、円盤部65dに設けられた内歯車72cとに噛み合うようにギア72aを挿入し、ギア72aを図示しない歯車制御部により回転させることにより開口部71bの大きさを調整することができる。これにより、円盤部65を通過できる煙の量を調整することが可能となる。
【0042】
なお、煙発生装置60は、円盤部65の開口部71bの大きさを調整する場合に内歯車72b及び内歯車72cに噛み合うようにギア72aを挿入するが、気流の解析を行う場合には、円盤部65を回転させるため、ギア72aを抜く構造となっている。
【0043】
<変形例3>
ところで、上記変形例2では、重ね合わせる複数の円盤部65にそれぞれ内歯車72b及び72cを形成し、歯車制御部によって煙の通過可能な量を調整する場合について説明したが、変形例3では、穴68の形状が異なる円盤部65を複数枚用意し、円盤部65の回転数を駆動部66により変化させた場合に、円盤部65を付け替える場合について説明する。
【0044】
図10は、変形例3の円盤部65の構造の一例を示す図である。ここでは、煙発生装置60に用いる円盤部65の穴68の大きさの異なる円盤部65を複数枚用意する場合について説明する。
図10(a)に示すように、円盤部65eの外周部の内側に外周に沿った長円形の穴68eが等間隔に設けられている円盤部65eを示している。ここで長円形の穴68eは、穴の長さが円周の1/16としている。また、
図10(b)に円盤部65fの外周部の内側に長円形の穴の長さが円周部の1/8とした穴68fが設けられている円盤部65fを示している。
【0045】
煙発生装置60は、被測定物100の気流を解析する所定の風速に対応して煙の射出量を可変にするために、穴68の大きさが異なる円盤部65を選択し、操作者によって付け替える。具体的には、解析する風速が遅い場合は、穴68の穴が小さい円盤部65を選択し、風速が早い場合は、穴68が大きい円盤部65を選択する。
【0046】
例えば、被測定物100の風速30km/hの気流を解析する場合は、円盤部65を使用し、被測定物100の風速40km/hの気流を解析する場合は、円盤部65eを使用し、被測定物100の風速50km/hの気流を解析する場合は、円盤部65fを使用する。このように風速により円盤部65の穴68の大きさを変えることにより風洞20内に気流の解析に必要な煙を発生することができる。
【0047】
なお、上記の実施形態では、被測定物100の周囲の煙の流れを撮像するための風洞窓21及び撮像部40が1つである場合について説明したが、本発明は、これに限定されることはなく、風洞窓21を風洞20の上面及び側面に設け、それぞれに撮像部40を設けて、三次元の気流のベクトルを解析できるようにしてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、煙発生装置60は、風洞20の外部に設置され煙発生装置60で発生された煙を風洞20の内部に射出する場合について説明したが、本発明は、これに限定されることはなく、煙発生装置60を風洞20の内部に設置するようにしてもよい。
【0049】
上記の実施形態及び各変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る風洞試験システム及び煙発生装置は、被測定物の周囲の気流を効率良く解析することを可能にする場合に適している。
【符号の説明】
【0051】
10 風洞試験システム
20 風洞
21 風洞窓
30 送風部
40 撮像部
50 解析部
60 煙発生装置
61 煙発生部
62、63 円筒部
64 円盤部挟み込み部
65、65a、65b、65c、65d、65e、65f 円盤部
66 駆動部
67 駆動制御部
68、68a、68b、68c、68d、68e、68f 穴
69 駆動軸
70 煙
71a、71b 開口部
72a ギア
72b、72c 内歯車
100 被測定物
101 ワイヤ