(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069875
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】半導体集積回路及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20240515BHJP
H03K 19/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H04L25/02 K
H03K19/00 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180140
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】598005878
【氏名又は名称】吉川工業アールエフセミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】矢野 彰
(72)【発明者】
【氏名】福本 達久
【テーマコード(参考)】
5J056
5K029
【Fターム(参考)】
5J056BB42
5J056BB52
5J056CC04
5J056CC10
5J056DD13
5J056DD51
5J056DD55
5K029AA18
5K029DD04
5K029DD24
5K029DD25
(57)【要約】
【課題】コストの増大を抑制し、信号線を介して供給される電圧が耐圧より高い場合であっても1線式通信によるデータ通信が可能な半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路は、データ通信を行う信号線から電力の供給を受けて動作する半導体集積回路であり、信号線を介したデータ通信に関する制御を行う通信制御回路と、信号線と接続される半導体集積回路の入出力端子に接続され、信号線により供給された電力を半導体集積回路内の回路に供給するダイオードと、ダイオードの出力電圧に基づいて、入出力端子から入力された電圧を制御する電源生成回路とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信を行う信号線から電力の供給を受けて動作する半導体集積回路であって、
前記信号線を介した前記データ通信に関する制御を行う通信制御回路と、
前記信号線と接続される前記半導体集積回路の入出力端子に接続され、前記信号線により供給された電力を前記半導体集積回路内の回路に供給するダイオードと、
前記ダイオードの出力電圧に基づいて、前記入出力端子から入力された電圧を制御する電源生成回路とを有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記電源生成回路は、前記ダイオードの出力電圧に基づいて、前記入出力端子から入力された電圧が前記半導体集積回路の耐圧を超えないように制御することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記電源生成回路は、
基準電圧と前記ダイオードの出力電圧とを比較する比較部と、
前記比較部での比較結果に基づいて、前記入出力端子から入力された電圧を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記ダイオードのアノードが前記入出力端子に接続され、
前記電源生成回路は、
前記ダイオードのカソードとグランド電位との間に直列に接続された第1の抵抗及び第2の抵抗と、
基準電圧を生成する電圧源と、
一方の入力端が前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点に接続され、他方の入力端が前記電圧源に接続されたオペアンプと、
ドレインが前記入出力端子に接続され、ソースがグランド電位に接続され、ゲートが前記オペアンプの出力端に接続されたトランジスタとを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記ダイオードから供給される電力を保持するコンデンサを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
1本の前記信号線を用いた1線式通信でデータ通信を行うことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記1線式通信に加えて、前記1線式通信とは異なる通信方式でデータ通信が可能であり、
前記1線式通信でデータ通信を行うか、あるいは前記異なる通信方式でデータ通信を行うかを切り替え可能であることを特徴とする請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記異なる通信方式は、2本の前記信号線を用いてデータ通信を行う2線式通信であることを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
データ通信を行う信号線から電力の供給を受けて動作する半導体集積回路と、
前記半導体集積回路の電源端子に接続されたコンデンサとを有し、
前記半導体集積回路は、
前記信号線を介した前記データ通信に関する制御を行う通信制御回路と、
前記信号線と接続される前記半導体集積回路の入出力端子にアノードが接続され、前記電源端子にカソードが接続され、前記信号線により供給された電力を前記半導体集積回路内の回路に供給するダイオードと、
前記ダイオードの出力電圧に基づいて、前記入出力端子から入力された電圧を制御する電源生成回路とを有することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
1本の前記信号線を用いた1線式通信でデータ通信を行うことを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1線式通信によるデータ通信が可能な半導体集積回路、及びそれを有する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接地線(GND)と、電力供給線を兼ねる1本の信号線とで、1つのマスタと1又は複数のスレーブがデータ通信を行う1線式通信の技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に、1線式通信によりマスタとスレーブとの間でデータ通信を行うシステムの一例を示す。
図5に示すシステムでは、1つのマスタ500と、複数のスレーブとしてのタグ基板510(510-1、510-2、510-3、・・・)とが、1本の信号線520を用いた1線式通信により通信を行うことができる。マスタ500の入出力端子TRXと、それぞれのタグ基板510の入出力端子TRXとが、信号線520で接続されている。また、信号線520は、プルアップ抵抗R51を介して所定の電圧(
図5では、一例として5.0V)を供給する電源(電源線)に接続されている。マスタ500と、スレーブとしてのタグ基板510とが、必要に応じて信号線520をローレベルにドライブすることにより、マスタ-スレーブ間でのシリアルデータ通信を行う。また、タグ基板510は、信号線520を介して電力の供給を受ける。
【0005】
スレーブとしてのタグ基板510の各々は、通信回路511、整流ダイオード512、及び平滑コンデンサ513を有する。通信回路511は、通信に関する制御等を行う回路であり、1つのICで構成されている。信号線520を介してタグ基板510に供給された電力は、タグ基板510の入出力端子TRXから整流ダイオード512を介して供給され、平滑コンデンサ513により保持される。平滑コンデンサ513に保持された電力は、回路の動作電力としてタグ基板510内の回路に供給される。
【0006】
ここで、信号線520がプルアップ抵抗R51を介して接続される電源(電源線)の電圧が高いほど、通信距離が伸ばせる、ノイズマージンが稼げるなどの利点がある。しかしながら、信号線520を介してタグ基板510に供給される電圧が通信回路511を構成するICの耐圧を超えてしまうと、通信回路511の故障や破壊が起きる。通信回路511を構成するICの故障や破壊を防止するには、例えば、
図5に示すように、ICに耐圧を超える電圧が供給されないよう、信号線520を介してタグ基板510に供給された電圧を低い電圧にクランプするためのツェナーダイオード514を設ける必要がある。また、通信回路511として1線式通信とは異なる通信方式(
図5では、一例として2線式通信)で通信を行う回路を用いる場合には、
図5に示すように、プロトコル変換等を行う変換回路515を設ける必要がある。これら整流ダイオード512、ツェナーダイオード514、及び変換回路515等を、通信回路511を構成するICとは別の外付け部品として搭載すると、部品コストや実装コストなどスレーブとしてのタグ基板510の製造コストが増大するといった問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コストが増大することを抑制し、信号線を介して供給される電圧が耐圧より高い場合であっても1線式通信によるデータ通信が可能な半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体集積回路は、データ通信を行う信号線から電力の供給を受けて動作する半導体集積回路であって、前記信号線を介した前記データ通信に関する制御を行う通信制御回路と、前記信号線と接続される前記半導体集積回路の入出力端子に接続され、前記信号線により供給された電力を前記半導体集積回路内の回路に供給するダイオードと、前記ダイオードの出力電圧に基づいて、前記入出力端子から入力された電圧を制御する電源生成回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストが増大することを抑制し、信号線を介して供給される電圧が耐圧より高い場合であっても1線式通信によるデータ通信が可能な半導体集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における半導体集積回路を適用したシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における電源生成回路の構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態における1線式通信を説明する図である。
【
図4】本実施形態における2線式通信を説明する図である。
【
図5】1線式通信でデータ通信を行うシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における半導体集積回路を適用したシステムの構成例を示す図である。
図1には、1つのマスタ100と、複数のスレーブとしてのタグ基板110(110-1、110-2、110-3、・・・)とが、1本の信号線120を用いた1線式通信によりデータ通信を行うシステムを一例として示している。なお、マスタ100に対し信号線120を介して接続されるスレーブとしてのタグ基板110の数は、
図1に示した例に限定されず、1つであってもよいし、任意の複数の数であってもよい。
【0013】
図1に示すように、マスタ100の入出力端子TRXと、それぞれのタグ基板110の入出力端子TRXとが、信号線120により接続されている。また、信号線120は、プルアップ抵抗R11を介して所定の電圧を供給する電源(電源線)に接続されている。
図1には、一例として、5.0Vの電圧を供給する電源(電源線)に接続されている例を示している。したがって、信号線120は、通常、ハイレベルにプルアップされている。例えば、マスタ100と、スレーブとしてのタグ基板110とが、ハイレベルにプルアップされている信号線120を、必要に応じてローレベル(GND)にドライブすることにより、マスタ-スレーブ間でのシリアルデータ通信を行う。また、タグ基板110は、信号線120がプルアップ抵抗R11を介して接続されている電源(電源線)から、接続信号線120を介して電力の供給を受ける。
【0014】
マスタ100は、1線式通信の通信方式におけるマスタとしての機能を実現するものである。マスタ100は、例えば、マイクロコンピュータやFPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成される。
【0015】
スレーブとしてのタグ基板110は、各々が1線式通信の通信方式におけるスレーブとしての機能を実現する。なお、タグ基板110-1とタグ基板110-2、110-3、・・・は、内部構成が同じであるため、
図1においては、タグ基板110-1のみ内部構成を図示して、他は図示を省略している。タグ基板110の各々は、通信回路111及び平滑コンデンサ117を有する。平滑コンデンサ117は、一方の電極が通信回路111の電源端子VDDに接続され、他方の電極が通信回路111のグランド端子GNDに接続されている。タグ基板110は通信システムの一例であり、通信回路111は半導体集積回路の一例である。
【0016】
通信回路111は、1つのICで構成されており、本実施形態では、このICの耐圧は、信号線120がプルアップ抵抗R11を介して接続されている電源(電源線)の電圧より低いものとする。例えば、
図1に示したように電源(電源線)の電圧が5.0Vであれば、ICの耐圧は3.3V等であるとする。通信回路111は、タグ基板110の入出力端子TRXと接続される入出力端子TRX0と、通信回路111内の回路に電源を供給するための電源端子VDDとグランド電位(GND)を供給するためのグランド端子GNDとを有する。通信回路111は、通信制御回路112、入力回路113、出力バッファ114、整流ダイオード115、及び電源生成回路116を有する。
【0017】
通信制御回路112は、通信に関する各種制御等を行う。通信制御回路112は、信号線120及びタグ基板110の入出力端子TRXを介して通信回路111の入出力端子TRX0より入力された信号(データ)を、入力回路113を介して受信する。また、通信制御回路112は、入力された信号(データ)に対する応答を行う際、出力バッファ114を制御して信号線120を駆動する。1線式通信における応答においては、通信制御回路112は、必要に応じて信号線120をローレベルにドライブするよう出力バッファ114の制御を行う。
【0018】
整流ダイオード115は、アノードが通信回路111の入出力端子TRX0に接続され、カソードが電源端子VDDに接続される。信号線120を介してタグ基板110に供給された電力は、タグ基板110の入出力端子TRXから整流ダイオード115を介して供給される。また、信号線120を介してタグ基板110に供給された電力は、タグ基板110の入出力端子TRXから整流ダイオード115を介して供給され、平滑コンデンサ117により保持される。平滑コンデンサ117に保持された電力は、回路の動作電力として通信回路111内の回路に供給することができる。ここで、整流ダイオード115は、独立した素子として設けてもよいし、1線式通信においては、出力バッファ114におけるPMOSトランジスタを使用することがないので、そのPMOSトランジスタのボディダイオードを整流ダイオード115として使用するようにしてもよい。
【0019】
電源生成回路116は、通信回路111の入出力端子TRX0、及び整流ダイオード115のカソード(電源端子VDD)に接続されている。電源生成回路116は、電源生成機能及び過電圧保護機能を有し、整流ダイオード115のカソード(電源端子VDD)の電圧に基づいて、通信回路111の入出力端子TRX0から入力され、通信回路111内の回路に供給される電圧を制御する。具体的には、電源生成回路116は、整流ダイオード115のカソード(電源端子VDD)の電圧に基づいて、通信回路111内の回路に供給される電圧が通信回路111を構成するICの耐圧を超えないように(ICの耐圧以下とするように)制御する。
【0020】
図2は、電源生成回路116の構成例を示す図である。電源生成回路116は、抵抗R21、R22、基準電圧源VS、オペアンプOP、及びNMOSトランジスタNTを有する。
【0021】
抵抗R21、R22は、整流ダイオード115のカソードとグランド電位(GND)との間に直列に接続される。抵抗R21の一端が整流ダイオード115のカソードに接続され、抵抗R21の他端と抵抗R22の一端とが接続され、抵抗R22の他端がグランド電位(GND)に接続される。基準電圧源VSは、基準電圧VREFを出力する電圧源である。基準電圧源VSは、例えばバンドギャップリファレンス回路である。
【0022】
オペアンプOPは、一方の入力端が抵抗R21と抵抗R22の接続点に接続され、他方の入力端が基準電圧源VSに接続され、出力端がNMOSトランジスタNTのゲートに接続される。すなわち、オペアンプOPには、整流ダイオード115のカソードの電圧VM1を抵抗R21、R22により抵抗分圧して得られた電圧VM2、及び基準電圧源VSにより生成された基準電圧VREFが入力される。オペアンプOPは、入力された電圧VM2と基準電圧VREFの差に応じた出力電圧、言い換えれば基準電圧VREFに対する電圧VM2の違いに応じた出力電圧を出力する。オペアンプOPは、比較部の一例である。
【0023】
NMOSトランジスタNTは、ソースがグランド電位(GND)に接続され、ドレインが通信回路111の入出力端子TRX0(整流ダイオード115のアノード)に接続され、ゲートにオペアンプOPの出力電圧が供給される。NMOSトランジスタNTは、ゲートに供給されるオペアンプOPの出力電圧に基づいて駆動能力が制御され、入出力端子TRX0から入力された電圧を制御する。NMOSトランジスタNTは、制御部の一例である。
【0024】
電源生成回路116は、整流ダイオード115のカソードから出力される電圧VM1をモニタして、入出力端子TRX0から入力された電圧が通信回路111を構成するICの耐圧を超えないように制御する。電源生成回路116は、電圧VM1を抵抗R21、R22により抵抗分圧して得られた電圧VM2と基準電圧VREFとを比較して、比較結果に基づき、入出力端子TRX0とグランド電位(GND)との間に接続されたNMOSトランジスタNTの駆動量を制御する。このようにして、電源生成回路116は、電圧VM1に基づいてフィードバック制御を行い、入出力端子TRX0から入力され通信回路111に供給される電圧を制御する。ここで、抵抗R21、R22の抵抗値は、例えば、電圧VM1が通信回路111を構成するICの耐圧と整流ダイオード115の順方向電圧(Vf)との差としたときに、抵抗R21、R22により抵抗分圧して得られる電圧VM2が基準電圧VREFと等しくなる(略同じ電圧であってもよい)ような抵抗値とすればよい。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、信号線120を介してタグ基板110(通信回路111)に供給される電圧が通信回路111を構成するICの耐圧より高い場合であっても、通信回路111に供給される電圧が耐圧以下となるように制御して、1線式通信によるデータ通信を行うことが可能となる。また、
図5に示した整流ダイオード512やツェナーダイオード514のような外付け部品を用いずに、これらの外付け部品によって実現される機能を1つのチップ内に内蔵することにより、製造コストが増大することを抑制することができる。また、タグ基板110としての回路面積も低減することができる。
【0026】
なお、前述した説明では、平滑コンデンサ117を通信回路111を構成するICの外部に設けるようにしている。しかし、これに限定されず、信号線120の電圧が所定の電圧以下となって電力の供給が行われないとき(信号線120がローレベルとされるとき)にタグ基板110(通信回路111)内の回路が動作できるよう電力を供給できればよく、平滑コンデンサ117を外部に設けずに通信回路111内に電力を保持するコンデンサを設けるようにしてもよい。
【0027】
また、
図1に示した例においては、信号線120がプルアップ抵抗R11を介して接続されている電源(電源線)の電圧を5.0Vとした例を示したが、これに限定されるものではない。信号線120がプルアップ抵抗R11を介して接続されている電源(電源線)の電圧が通信回路111を構成するICの耐圧より高い場合に、本実施形態を適用することは好適であり、信号線120がプルアップ抵抗R11を介して接続されている電源(電源線)の電圧は、例えば12Vや24V等であってもよい。
【0028】
なお、前述した説明では、半導体集積回路としての通信回路111が、1線式通信の通信方式におけるスレーブとしての機能を有する例を示したが、これに限定されるものではなく、通信回路111が、1線式通信の通信方式に加え、他の異なる通信方式におけるスレーブとしての機能を有するようにしてもよい。
【0029】
例えば、半導体集積回路としての通信回路111が、1線式通信の通信方式に加え、特開2015-95725号公報に記載のような2線式通信の通信方式におけるスレーブとしての機能をも有し、動作モードの切替等によって通信方式を1線式通信又は2線式通信に切り替えられるようにしてもよい。通信回路111において、2線式通信におけるスレーブとしての機能を実現するには、信号(データ)が伝送される2本の信号線のそれぞれに対して入力回路113及び出力バッファ114を設けて通信制御回路112が制御すればよい。また、2本の信号線のうちの第1の信号線と接続される第1の入出力端子TRX0と電源端子VDDとの間に整流ダイオード115及び電源生成回路116を設けるとともに、第1の信号線とは異なる第2の信号線と接続される第2の入出力端子TRX1と電源端子VDDとの間にも整流ダイオード115及び電源生成回路116を設ければよい。
【0030】
図3及び
図4を参照して、1線式通信及び2線式通信の通信方式に対応し通信方式を切り替え可能な通信回路111を有するスレーブを用いたシステムについて説明する。
図3には、1線式通信でデータ通信を行う場合の例を示している。
図4には、2線式通信でデータ通信を行う場合の例を示している。なお、以下の説明において、
図1に示した構成要素と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
図3(A)は、マスタ300-1と、通信方式を1線式通信又は2線式通信に切り替え可能な通信回路111を有するスレーブとしての複数のタグ基板310(310-1、310-2、310-3、・・・)との間で、1線式通信によりデータ通信を行うシステムの構成例を示す図である。マスタ300-1に対し1本の信号線320-1を介して接続されるスレーブとしてのタグ基板310の数は、
図3(A)に示した例に限定されず、1つであってもよいし、任意の複数の数であってもよい。
【0032】
マスタ300-1の入出力端子TRXと、それぞれのタグ基板310の第1の入出力端子TRX0とが、1つの信号線320-1により接続されている。また、タグ基板310の第2の入出力端子TRX1がグランド電位(GND)に接続されている。信号線320-1は、プルアップ抵抗R31を介して所定の電圧(例えば、5.0V)を供給する電源(電源線)に接続されている。
【0033】
マスタ300-1は、1線式通信の通信方式におけるマスタとしての機能を実現するものである。スレーブとしてのタグ基板310の各々は、通信回路111及び平滑コンデンサ117を有する。通信回路111の第1の入出力端子TRX0はタグ基板310の第1の入出力端子TRX0に接続され、通信回路111の第2の入出力端子TRX1はタグ基板310の第2の入出力端子TRX1に接続されている。通信回路111は、動作モードの切替等によって、1線式通信の通信方式におけるスレーブとして機能し、1線式通信でデータ通信を行うように設定されている。また、タグ基板310は、信号線320-1がプルアップ抵抗R31を介して接続されている電源(電源線)から、信号線320-1を介して電力の供給を受ける。
【0034】
マスタ300-1と、スレーブとしてのタグ基板310との間のデータ通信は、例えば、
図3(B)に波形例を示すように信号線320-1のレベルを制御することにより行われる。
図3(A)に示したシステムにおいて、信号線320-1は、通常、ハイレベルにプルアップされている。まず、マスタ300-1が、ハイレベルにプルアップされている信号線320-1を、必要に応じてローレベル(GND)にドライブすることにより、スレーブに送信するコマンドが送信される(351)。それに対するスレーブ応答期間において、応答を行うスレーブとしてのタグ基板310が、ハイレベルにプルアップされている信号線320-1を、必要に応じてローレベル(GND)にドライブすることにより、応答データの送信が行われる(352)。
【0035】
図4(A)は、マスタ300-2と、通信方式を1線式通信又は2線式通信に切り替え可能な通信回路111を有するスレーブとしての複数のタグ基板310(310-1、310-2、310-3、・・・)との間で、2線式通信によりデータ通信を行うシステムの構成例を示す図である。マスタ300-2に対し2本の信号線320-1、320-2を介して接続されるスレーブとしてのタグ基板310の数は、
図4(A)に示した例に限定されず、1つであってもよいし、任意の複数の数であってもよい。
【0036】
マスタ300-2の第1の入出力端子TRX0と、それぞれのタグ基板310の第1の入出力端子TRX0とが、第1の信号線320-1により接続されている。また、マスタ300-2の第2の入出力端子TRX1と、それぞれのタグ基板310の第2の入出力端子TRX1とが、第2の信号線320-2により接続されている。
【0037】
マスタ300-2は、2線式通信の通信方式におけるマスタとしての機能を実現するものである。スレーブとしてのタグ基板310の各々は、通信回路111及び平滑コンデンサ117を有する。通信回路111の第1の入出力端子TRX0はタグ基板310の第1の入出力端子TRX0に接続され、通信回路111の第2の入出力端子TRX1はタグ基板310の第2の入出力端子TRX1に接続されている。通信回路111は、動作モードの切替等によって、2線式通信の通信方式におけるスレーブとして機能し、2線式通信でデータ通信を行うように設定されている。ここで、2本の信号線320-1、320-2は、レベルが互いに逆相になるように、例えばマスタ300-2によって駆動されており、タグ基板310は、2本の信号線320-1、320-2を介して電力の供給を受けることができる。
【0038】
マスタ300-2と、スレーブとしてのタグ基板310との間のデータ通信は、例えば、
図4(B)に波形例を示すように2本の信号線320-1、320-2のレベルを制御することにより行われる。まず、マスタ300-2が、信号線320-1、320-2におけるレベルの継続時間を送信データに応じて制御することにより、スレーブに送信するコマンドが送信される(451)。それに対するスレーブ応答期間において、応答を行うスレーブとしてのタグ基板310が、2本の信号線320-1、320-2のレベルを、変化させないか、あるいは共にローレベル(GND)になるよう制御することにより、応答データの送信が行われる(452)。
【0039】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 マスタ
110 スレーブ
111 通信回路
112 通信制御回路
113 入力回路
114 出力バッファ
115 整流ダイオード
116 電源生成回路
117 平滑コンデンサ
120 信号線(電力供給線)
R11、R21、R22 抵抗
OP オペアンプ
VS 基準電圧源
NT NMOSトランジスタ