(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069876
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/42 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B60N2/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180143
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西久保 良
(72)【発明者】
【氏名】三浦 渉
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 利仁
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087DC02
3B087DC04
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制した乗員保護装置を提供する。
【解決手段】乗員保護装置は、アームレスト装置であって、車両に搭載されている車両用シートのシートバックの側部に固定設置される第1部材と、自由端を含む先端部と固定端を含む基端部とを有し、固定端を中心として回動可能に構成された柱状の第2部材であって、車両用シートに座った乗員の腕が載置され得るアームレスト面を有する第2部材と、を有するアームレスト装置と、第1部材に一端が接続され、第2部材に他端が接続され、第1部材と第2部材とに亘って設けられる乗員保護シートと、を備え、第2部材は、使用状態と収納状態とが相互に切り替わるように、固定端を中心として回動可能に構成され、乗員保護シートは、第2部材が使用状態から収納状態に変化する際に第1部材と第2部材との間に収納され、収納状態から使用状態に変化する際に展開される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員を保護するための乗員保護装置であって、
アームレスト装置であって、
前記車両に搭載されている車両用シートのシートバックの側部に固定設置される第1部材と、
自由端を含む先端部と固定端を含む基端部とを有し、前記固定端を中心として回動可能に構成された柱状の第2部材であって、前記車両用シートに座った前記乗員の腕が載置され得るアームレスト面を有する第2部材と、
を有するアームレスト装置と、
前記第1部材に一端が接続され、前記第2部材に他端が接続され、前記第1部材と前記第2部材とに亘って設けられる乗員保護シートと、
を備え、
前記第2部材は、前記先端部が前記基端部に比べて前記車両の前方側に位置し、且つ前記アームレスト面が上方を向いた使用状態と、前記使用状態に比べて前記先端部が前記第1部材の近くに位置する収納状態と、が相互に切り替わるように、前記固定端を中心として回動可能に構成され、
前記乗員保護シートは、前記第2部材が前記使用状態から前記収納状態に変化する際に前記第1部材と前記第2部材との間に収納され、前記収納状態から前記使用状態に変化する際に展開される、
乗員保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗員保護装置において、
前記乗員保護シートは、前記使用状態において前記乗員の肩を保護するための肩保護部を有する、乗員保護装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の乗員保護装置において、
前記乗員保護シートは、基布と、ゴムと、樹脂と、金属とのうちの少なくとも1つの材料により構成され、弾力性または可撓性のうちの少なくとも一方を有する、乗員保護装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の乗員保護装置において、
前記乗員保護シートは、蛇腹状の折り畳み部を有し、
前記折り畳み部は、前記第2部材が前記使用状態から前記収納状態へと変化するとともに折り畳まれる、乗員保護装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の乗員保護装置において、
前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方は、前記乗員保護シートが収納される収納部を有する、乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側面から衝突が起きた場合に、当該車両の乗員を保護するための装置が種々提案されている。例えば特許文献1は、車両の側面からの衝突が検知または予知された場合に、コンソールボックスを退避位置へと移動させることで乗員を保護する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術は、衝撃を予測または検知する装置や、コンソールボックスを移動させる構造を要するため、製造コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、車両の乗員を保護するための乗員保護装置が提供される。この乗員保護装置は、アームレスト装置であって、前記車両に搭載されている車両用シートのシートバックの側部に固定設置される第1部材と、自由端を含む先端部と固定端を含む基端部とを有し、前記固定端を中心として回動可能に構成された柱状の第2部材であって、前記車両用シートに座った前記乗員の腕が載置され得るアームレスト面を有する第2部材と、を有するアームレスト装置と、前記第1部材に一端が接続され、前記第2部材に他端が接続され、前記第1部材と前記第2部材とに亘って設けられる乗員保護シートと、を備え、前記第2部材は、前記先端部が前記基端部に比べて前記車両の前方側に位置し、且つ前記アームレスト面が上方を向いた使用状態と、前記使用状態に比べて前記先端部が前記第1部材の近くに位置する収納状態と、が相互に切り替わるように、前記固定端を中心として回動可能に構成され、前記乗員保護シートは、前記第2部材が前記使用状態から前記収納状態に変化する際に前記第1部材と前記第2部材との間に収納され、前記収納状態から前記使用状態に変化する際に展開される。
この形態の乗員保護装置によれば、乗員保護シートは、第2部材が使用状態と収納状態とに変化する際に、展開または収納されるので、乗員を保護するために複雑な機構により装置を作動させる構成と比較して、簡易な構成にすることができ、製造コストを抑制できる。加えて、第2部材が使用状態では、乗員保護シートは第1部材と第2部材との間に展開されるので、車両に衝突が発生した際に、乗員に加えられる衝撃を乗員保護シートが吸収できる。他方、第2部材が収納状態では、乗員保護シートは第1部材と第2部材との間に収納されるので、車両の乗り降りの妨げとならない。
(2)上記形態の乗員保護装置において、前記乗員保護シートは、前記使用状態において前記乗員の肩を保護するための肩保護部を有してもよい。
この形態の乗員保護装置によれば、乗員保護シートは、肩保護部を有するので、車両に衝突が発生した際に、肩保護部が車両に対して相対的に移動する乗員を受け止めることで、乗員の損傷を抑制できる。
(3)上記形態の乗員保護装置において、前記乗員保護シートは、基布と、ゴムと、樹脂と、金属とのうちの少なくとも1つの材料により構成され、弾力性または可撓性のうちの少なくとも一方を有してもよい。
この形態の乗員保護装置によれば、乗員保護シートは、弾性力または可撓性のうちの少なくとも一方を有する材料により構成されるので、乗員保護シートが弾力性および可撓性を有しない材料により構成される構成と比較して、車両に衝突が発生し乗員が乗員保護シートに寄りかかった際に、乗員に加えられる衝撃をより吸収できる。
(4)上記形態の乗員保護装置において、前記乗員保護シートは、蛇腹状の折り畳み部を有し、前記折り畳み部は、前記第2部材が前記使用状態から前記収納状態へと変化するとともに折り畳まれてもよい。
この形態の乗員保護装置によれば、乗員保護シートは、折り畳み部を有するので、乗員保護シートの展開または収納を円滑に行うことができる。
(5)上記形態の乗員保護装置において、前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方は、前記乗員保護シートが収納される収納部を有してもよい。
この形態の乗員保護装置によれば、第1部材および第2部材のうちの少なくとも一方は、収納部を有するので、乗員保護シートを収納部に収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態としての使用状態における乗員保護装置が設けられた車両用シートを示す側面図である。
【
図2】本開示の一実施形態としての収納状態における乗員保護装置が設けられた車両用シートを示す側面図である。
【
図3】衝突発生時における乗員と乗員保護装置の一例を示す説明図である。
【
図4】第2実施形態の乗員保護装置が設けられた車両用シートを示す側面図である。
【
図5】第3実施形態の乗員保護装置が設けられた車両用シートを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の一実施形態としての使用状態における乗員保護装置10が設けられた車両用シート20を示す側面図である。
図2は、本開示の一実施形態としての収納状態における乗員保護装置10が設けられた車両用シート20を示す側面図である。なお、以下では、「前後」は車両の前後方向を示し、「左右(横)」は車両の左右方向(幅方向)を示すものとする。車両用シート20は、車両に搭載される。車両用シート20は、乗員の座面となるシートクッション21と、乗員の背もたれとなるシートバック22と、乗員の頭部の後傾を抑止するヘッドレスト23と、を備える。乗員保護装置10は、シートバック22に備えられ、車両に衝突等の大きな衝撃が加わった際に、乗員の横方向の移動を抑制し、保護するための装置である。本実施形態における車両は、1人または2人乗りの低速電気自動車(Low Speed Electric Vehicle,LSEV)である。乗員保護装置10は、アームレスト装置1と乗員保護シート3とを備える。
【0009】
アームレスト装置1は、第1部材11と第2部材12とを有する。第1部材11は、シートバック22の側部に固定設置される。第1部材11は、例えば略平板形状、略直方体形状である。第1部材11は、乗員が車両用シート20に座った状態において、第1部材11の上端が乗員の肩よりも高い位置となるように設置されることが好ましい。
【0010】
第2部材12は、アームレスト面Fを有する柱状の部材である。第2部材12は、その一端に先端部13を有し、他端に基端部14を有する。第2部材12は、基端部14においてシートバック22の側部に取り付けられている。第2部材12の取り付けられる位置は、第1部材11よりも高さ方向において低い位置である。基端部14は固定端を含み、先端部13は自由端を含む。このため、第2部材12は、車両前後方向および上下方向に平行な面において、固定端を中心に回動可能である。第2部材12は、かかる回動により、「使用状態」と「収納状態」とが相互に切り替わる。
図1に示すように「使用状態」は、先端部13が基端部14に比べて車両の前方側に位置し、且つアームレスト面Fが上方を向いた状態である。すなわち、使用状態では、車両用シート20に座った乗員は、アームレスト面Fに腕を載置することで第2部材12をアームレストとして使用可能である。
図2に示すように「収納状態」は、使用状態よりも先端部13が第1部材11の近くに位置する状態である。すなわち、収納状態では、第2部材12は、先端部13が上方を向くように跳ね上げられる。乗員は、第2部材12を回動させることで、通常状態および使用状態を相互に切り替えることができる。乗員が車両に乗り降りする際に、第2部材12は収納状態にされ、乗員が車両用シート20に着席後に、第2部材12は使用状態にされる。第2部材12は、乗員がアームレスト面Fに腕を載置いたときの快適性を確保するために、布、革などの被覆部材によって覆われてもよい。
【0011】
図1に示すように乗員保護シート3は、第1部材11と第2部材12との間に亘って設けられる略三角形のシート状部材により構成されている。乗員保護シート3の一端は、第1部材11と接続する。乗員保護シート3の一端は、第1部材11の横方向の端部のうちで、車両用シート20から遠い方の端部に、第1部材11の長手方向に亘って接続されることが好ましい。乗員保護シート3の他端は、第2部材12と接続する。乗員保護シート3の他端は、第2部材12において横方向の端部のうちで、車両用シート20から遠い方の端部に、第2部材12の長手方向に亘って接続されることが好ましい。かかる位置に乗員保護シート3の他端が接続されることで、第2部材12の使用状態時に乗員がアームレスト面Fに腕を載置することの妨げとならない。
【0012】
乗員保護シート3は、基布と、ゴムと、のうちから少なくとも1つの材料により構成される。基布は、例えばナイロン、ポリエステル、アラミド繊維、ガラス繊維、綿等である。ゴムは、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FPM)、天然ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等である。乗員保護シート3を構成する材料は、可撓性または弾力性のうちの少なくとも一方を有することが好ましい。
【0013】
乗員保護シート3は、
図1に示すように第2部材12が使用状態である場合、第1部材11と第2部材12との間に亘って展開されるが、
図2に示すように第2部材12が収納状態である場合、第1部材11と第2部材12との間に収納される。すなわち、乗員保護シート3は、第2部材12の回動による使用状態または収納状態への変化に伴って、展開または収納される。
【0014】
図3は、衝突発生時における乗員Pと乗員保護装置10の一例を示す説明図である。
図3では、1人乗り用のLSEVが紙面左方向から衝突された状況を示している。また、第2部材12は使用状態であり、乗員保護シート3は展開されている。紙面左方向から衝突されると、車両は紙面右方向に移動する一方で、乗員Pは慣性により衝突前の位置に残ろうとするため、
図3中の矢印が示すように車両に対して相対的に紙面左方向に移動する。このとき、乗員Pは乗員保護シート3に押し当てられる。具体的には、乗員Pの右肩は、乗員保護シート3の肩保護部30に押し当てられる。肩保護部30は、乗員保護シート3において、衝突時に乗員Pの肩が接触し、肩を保護するための位置である。肩保護部30は、衝突時に乗員Pの肩を受け止めることで、乗員Pが車両のドアにぶつかることや、車両の外部に投げ出されることを抑止する。
【0015】
以上説明した第1実施形態の乗員保護装置10によれば、使用状態において乗員保護シート3が展開されているため、車両に衝突が発生した際に、乗員保護シート3が肩保護部30で乗員Pの肩を受け止め、乗員Pが車両のドアにぶつかることや、車両の外部に投げ出されることを抑止できる。
【0016】
また、乗員保護シート3は、第2部材12を使用状態に変化させるとともに展開されるので、衝突を検知して乗員Pを保護するための機構を作動させる構成を有する乗員保護装置と比較して、複雑な構造を必要とせず簡易な構成にでき、製造コストを抑制できる。
【0017】
また、乗員保護シート3は、第2部材12を収納状態に変化させるとともに第1部材11と第2部材12との間に収納されるので、乗員Pの車両への乗り降りを妨げない。
【0018】
また、乗員保護シート3は、第2部材12において横方向の端部のうちで、車両用シート20から遠い方の端部に接続されるので、第2部材12が使用状態である場合に、乗員Pがアームレスト面Fに腕を載置することを妨げない。
【0019】
また、乗員保護シート3を弾力性を有する材料により構成することで、乗員保護シート3が弾力性を有しない材料により構成される構成と比較して、車両に衝突が発生した際に、肩保護部30は、乗員Pに加えられる衝撃をより吸収できる。
【0020】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態の乗員保護装置10bが設けられた車両用シート20を示す側面図である。第2実施形態の乗員保護装置10bは、乗員保護シート3bが折り畳み部31を有する点で、第1実施形態の乗員保護装置10と異なる。その他の構成は、第1実施形態の乗員保護装置10と同じなので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0021】
折り畳み部31は、乗員保護シート3bの中心部32を中心とした放射線状の折り目である。中心部32は、乗員保護シート3bにおいて、基端部14に最も近い頂点である。折り畳み部31は、蛇腹状の構造、すなわち山折りと谷折りとが交互に繰り返された構造を有する。山折りおよび谷折りの幅は、互いに同じである。また、山折りおよび谷折りの幅は、第1部材11および第2部材12の幅よりも小さいことが好ましい。折り畳み部31は、第2部材12が使用状態から収納状態に変化するとともに、蛇腹状の構造に沿って折り畳まれる。
【0022】
以上説明した第2実施形態の乗員保護装置10bによれば、第1実施形態の乗員保護装置10と同様の効果を奏する。また、第2実施形態の乗員保護装置10bによれば、乗員保護シート3bが蛇腹状の折り畳み部31を有するので、第2部材12が使用状態と収納状態とに相互に変化する際に、乗員保護シート3bを円滑に展開または収納できる。
【0023】
また、乗員保護シート3bの山折りおよび谷折りの幅は、第1部材11および第2部材12の幅よりも小さいので、乗員保護シート3bは、第1部材11および第2部材12の間に、幅方向においてはみ出ることなく収納できる。
【0024】
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態の乗員保護装置10cが設けられた車両用シート20を示す側面図である。第3実施形態の乗員保護装置10cは、第1部材11が収納部40を有する点で、第1実施形態の乗員保護装置10と異なる。その他の構成は、第1実施形態の乗員保護装置10と同じなので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、第3実施形態の乗員保護装置10cは、第2実施形態の乗員保護装置10bの構成と組み合わせて用いられてもよい。
【0025】
第1部材11は、収納部40を有する。収納部40は、第2部材12が収納状態の場合に、乗員保護シート3を収納する。収納部40は、車両前方側に向けた開口を有する窪みである。収納部40は、第1部材11の長手方向において、乗員保護シート3の一端と同じ長さを有する。
【0026】
以上説明した第3実施形態の乗員保護装置10cによれば、第1実施形態の乗員保護装置10と同様の効果を奏する。また、第3実施形態の乗員保護装置10cによれば、第1部材11が収納部40を有するので、第2部材12が収納状態の場合に、乗員保護シート3を収納部40に収納できる。
【0027】
D.他の実施形態:
(D1)第3実施形態において、収納部40は、第1部材11に代えて第2部材12に設けられてもよい。かかる構成の場合、収納部40は、第2部材12が使用状態である場合に、上方に向けた開口を有する窪みである。また、収納部40は、第1部材11と第2部材12の両方に設けられてもよい。
【0028】
(D2)各実施形態において、乗員保護シート3は、展開された状態における上端が車両用シート20に座った乗員Pの肩よりも高い位置にあってよい。この形態によれば、衝突発生時に、乗員保護シート3の肩保護部30は、乗員Pの肩をより確実に受け止めることができる。
【0029】
(D3)各実施形態において、乗員保護シート3,3bは、樹脂と、金属とのうちから少なくとも1つの材料により構成されてもよい。樹脂は、例えばウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等である。金属は、例えばアルミニウム、ステンレス、銅等である。乗員保護シート3,3bは、可撓性または弾力性のうちの少なくとも一方を有することが好ましい。また、この構成においては、乗員保護シート3,3bは、略二等辺三角形の平面視形状を有する複数の薄板部材により構成してもよい。具体的には、各薄板部材の2つの等辺で挟まれる頂点付近を回転軸が通るように配置し、隣り合う薄板同士を所定の角度で広がることが可能な態様で紐等を用いて繋いだ構成としてもよい。かかる構成により、乗員保護シート3,3bは、扇子のように展開および収納できる。また、可撓性を有する乗員保護シート3,3bは、車両に衝突が発生した際に、乗員Pに加えられる衝撃を吸収できる。
【0030】
(D4)各実施形態において、乗員保護シート3,3bは、平面視において三角形に限らず、扇形、台形等の任意の形状であってよい。
【0031】
(D5)各実施形態において、乗員保護シート3,3bは、メッシュ状やネット状に形成されてもよい。かかる形態によれば、乗員保護シート3,3bがメッシュ状やネット状ではない構成と比較して、乗員保護シート3,3bの弾力性をより向上させ、衝突時に乗員Pに加えられる衝撃をより吸収できる。
【0032】
(D6)各実施形態において、乗員保護装置10,10b,10cは、車両用シート20の片側の側部だけでなく、両側の側部に設けられてもよい。
【0033】
(D7)各実施形態において、乗員保護装置10,10b,10cが搭載される車両が1人または2人乗りのLSEVである例について説明したが、本開示はこれに制限されない。車両は、3人乗り以上の任意の車両であってよい。
【0034】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…アームレスト装置、3,3b…乗員保護シート、10,10b,10c…乗員保護装置、11…第1部材、12…第2部材、13…先端部、14…基端部、20…車両用シート、21…シートクッション、22…シートバック、23…ヘッドレスト、30…肩保護部、31…折り畳み部、32…中心部、40…収納部、F…アームレスト面、P…乗員