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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069878
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】遮音壁構造及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180147
(22)【出願日】2022-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 配布による公開 公開者:株式会社ケー・エフ・シー 公開日:令和4年9月9日 公開した場所(配布場所):株式会社ネクスコ東日本エンジニアリングに電子メールにて発明スケッチ図を配布
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 一郎
(72)【発明者】
【氏名】森岡 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】大城 泰元
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
(57)【要約】
【課題】H型支柱の間に設置されている別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行える。
【解決手段】内側フランジ21と外側フランジ22を有し、道路に沿って所定間隔をあけて立設されるH型支柱2と、第1、第2のH型支柱2a、2bとの間に道路側から挿入可能な遮音板5と、内側フランジ21に係止されるクリップ留具6と、クリップ留具6の道路側に配置される内壁62から道路側に突出するように固定される取付ボルト7と、遮音板5の幅方向の端部に固定されるZ型留具9を備え、遮音板5の幅方向の端縁から突出するZ型留具9の突出壁93の取付穴94が取付ボルト7に外挿され、取付ボルト7に螺合される緩み止めナット10で押圧されて突出壁93が内壁62に固定される遮音壁構造1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側フランジと外側フランジを有し、道路に沿って所定間隔をあけて立設されるH型支柱と、
第1の前記H型支柱と第2の前記H型支柱との間に道路側から挿入可能な遮音板と、
前記内側フランジに係止されるクリップ留具と、
前記クリップ留具の道路側に配置される内壁から道路側に突出するように固定される取付ボルトと、
前記遮音板の幅方向の端部に固定されるZ型留具とを備え、
前記遮音板の幅方向の端縁から突出する前記Z型留具の突出壁に取付穴が形成され、
前記取付穴が前記取付ボルトに外挿され、
前記取付ボルトに螺合されるナットで押圧されて前記Z型留具の前記突出壁が前記クリップ留具の前記内壁に固定されていることを特徴とする遮音壁構造。
【請求項2】
前記取付ボルトが前記内側フランジに固定されていることを特徴とする請求項1記載の遮音壁構造。
【請求項3】
前記第1のH型支柱の前記内側フランジと前記外側フランジとの間に一方の側端部が差し込まれ、前記第2のH型支柱の前記内側フランジと前記外側フランジとの間に他方の側端部が差し込まれる差込遮音板が、少なくとも前記遮音板の上側に固定して設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の遮音壁構造。
【請求項4】
立設された第1のH型支柱の第1の内側フランジと第1の外側フランジとの間に一方の側端部が差し込まれ、前記第1のH型支柱と間隔をあけて立設された第2のH型支柱の第2の内側フランジと第2の外側フランジとの間に他方の側端部が差し込まれた破損状態の差込遮音板を、一部切断若しくは一部変形して前記第1のH型支柱と前記第2のH型支柱との間から除去する第1工程と、
前記第1の内側フランジと前記第2の内側フランジのそれぞれにクリップ留具を係止し、前記クリップ留具の道路側に配置される内壁から道路側に突出するように取付ボルトを固定する第2工程と、
上段の差込遮音板の下側で、幅方向の両端部にそれぞれZ型留具が固定された遮音板を前記第1のH型支柱と前記第2のH型支柱との間に道路側から挿入すると共に、前記遮音板の幅方向の端縁から突出する前記Z型留具の突出壁に形成された取付穴を前記取付ボルトにそれぞれ外挿し、それぞれの前記取付ボルトにナットを螺合して前記Z型留具の前記突出壁を前記クリップ留具の前記内壁に押圧するように固定する第3工程とを備えることを特徴とする遮音壁構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型支柱の間に遮音板が設けられる遮音壁構造及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すように、道路101の脇の壁高欄102から立設するH型支柱103を道路に沿って間隔をあけて複数配置し、一方のH型支柱103のフランジ間に一方の側端部を差し込み、一方のH型支柱103と隣り合う他方のH型支柱103のフランジ間に他方の側端部を差し込んで差込遮音板104を設け、差込遮音板104とフランジとの間に設置されるバネ性の固定金具105で差込遮音板104をH型支柱103に固定すると共に、一方のH型支柱103と他方のH型支柱103との間に設けられる差込遮音板104を上段に向かって積み上げていく遮音壁構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-87480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような一方のH型支柱と他方のH型支柱との間に差し込まれる差込遮音板を上段に向かって積み上げていく遮音壁構造では、差込遮音板が破損した場合、破損した差込遮音板を交換する作業では、破損した差込遮音板よりも上段に積み上げられている差込遮音板を取り外す作業が必要となる。
【0005】
特に、通行車両の衝突で破損するのは下段の方に設置された差込遮音板であることが圧倒的に多く、このような場合に、上段に積み上げられた多数の差込遮音板を取り外し、破損した差込遮音板を新たな差込遮音板に入れ替えた後、入れ替えた差込遮音板の上段に多数の差込遮音板を積み上げて取付をし直す作業には多大な労力が必要となる。そのため、H型支柱の間に設置されている別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行うことができる遮音壁構造が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、H型支柱の間に設置されている別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行うことができる遮音壁構造及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遮音壁構造は、内側フランジと外側フランジを有し、道路に沿って所定間隔をあけて立設されるH型支柱と、第1の前記H型支柱と第2の前記H型支柱との間に道路側から挿入可能な遮音板と、前記内側フランジに係止されるクリップ留具と、前記クリップ留具の道路側に配置される内壁から道路側に突出するように固定される取付ボルトと、前記遮音板の幅方向の端部に固定されるZ型留具とを備え、前記遮音板の幅方向の端縁から突出する前記Z型留具の突出壁に取付穴が形成され、前記取付穴が前記取付ボルトに外挿され、前記取付ボルトに螺合されるナットで押圧されて前記Z型留具の前記突出壁が前記クリップ留具の前記内壁に固定されていることを特徴とする。
これによれば、遮音板を第1のH型支柱と第2のH型支柱との間に道路側から挿入して取付作業を行うことができ、H型支柱の間に設置されている別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行うことができる。従って、例えばH型支柱の間に設置されている上段の差込遮音板の固定、設置状態を維持しつつ、破損した差込遮音板を新たな遮音板に交換することができ、遮音板の交換作業の労力を大幅に低減することもできる。また、H型支柱の上端から差込遮音板を差し込むような高所の作業が不要となり、遮音板の取付作業の作業性と安全性を高めることができる。
【0008】
本発明の遮音壁構造は、前記取付ボルトが前記内側フランジに固定されていることを特徴とする。
これによれば、取り付けた遮音板をより高い強度で固定することができる。また、取り付けた遮音板の下側が道路脇の壁高欄や下段遮音板等で支持されていない場合にも、取り付けた遮音板を安定して固定することができる。
【0009】
本発明の遮音壁構造は、前記第1のH型支柱の前記内側フランジと前記外側フランジとの間に一方の側端部が差し込まれ、前記第2のH型支柱の前記内側フランジと前記外側フランジとの間に他方の側端部が差し込まれる差込遮音板が、少なくとも前記遮音板の上側に固定して設置されていることを特徴とする。
これによれば、H型支柱の間に設置されている積み上げられた上段の差込遮音板等の上側の差込遮音板の固定、設置状態を維持しつつ、独立して遮音板の取付作業を行うことができる。従って、例えばH型支柱の間に設置されている積み上げられた上段の差込遮音板の固定、設置状態を維持しつつ、破損した差込遮音板を新たな遮音板に交換することができ、遮音板の交換作業の労力を大幅に低減することもできる。
【0010】
本発明の遮音壁構造の構築方法は、立設された第1のH型支柱の第1の内側フランジと第1の外側フランジとの間に一方の側端部が差し込まれ、前記第1のH型支柱と間隔をあけて立設された第2のH型支柱の第2の内側フランジと第2の外側フランジとの間に他方の側端部が差し込まれた破損状態の差込遮音板を、一部切断若しくは一部変形して前記第1のH型支柱と前記第2のH型支柱との間から除去する第1工程と、前記第1の内側フランジと前記第2の内側フランジのそれぞれにクリップ留具を係止し、前記クリップ留具の道路側に配置される内壁から道路側に突出するように取付ボルトを固定する第2工程と、上段の差込遮音板の下側で、幅方向の両端部にそれぞれZ型留具が固定された遮音板を前記第1のH型支柱と前記第2のH型支柱との間に道路側から挿入すると共に、前記遮音板の幅方向の端縁から突出する前記Z型留具の突出壁に形成された取付穴を前記取付ボルトにそれぞれ外挿し、それぞれの前記取付ボルトにナットを螺合して前記Z型留具の前記突出壁を前記クリップ留具の前記内壁に押圧するように固定する第3工程とを備えることを特徴とする。
これによれば、遮音壁を第1のH型支柱と第2のH型支柱との間に道路側から挿入して取付作業を行うことができ、H型支柱の間に設置されている別の差込遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行うことができる。従って、H型支柱の間に設置されている上段の差込遮音板の固定、設置状態を維持しつつ、破損した差込遮音板を新たな遮音板に交換することができ、遮音板の交換作業の労力を大幅に低減することもできる。また、H型支柱の上端から差込遮音板を差し込むような高所の作業が不要となり、遮音板の取付作業の作業性と安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、H型支柱の間に設置されている別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板の取付作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による実施形態の遮音壁構造を道路側から見た正面図。
図2図1のA-A断面図。
図3】アイボルトを省略した図1のB-B拡大断面図。
図4】実施形態の遮音壁構造における遮音板の固定箇所周辺の断面図。
図5】(a)~(c)は破損した差込遮音板を除去して実施形態の遮音壁構造を構築する手順の説明図。
図6】H型支柱の内側フランジへのクリップ留具の取り付けとH型支柱の間に遮音板を挿入する工程を説明する斜視説明図。
図7】Z型留具の突出壁から道路側に突出する取付ボルトにナットを螺合する工程を説明する斜視説明図。
図8】既設の落下防止ワイヤに遮音板を取り付ける工程を説明する模式説明図。
図9】(a)は従来の遮音壁構造を道路側から見た正面図、(b)は同図(a)の遮音壁構造の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態の遮音壁構造及びその構築方法〕
本発明による実施形態の遮音壁構造1では、図1図4に示すように、道路側に向いて位置する内側フランジ21と、その内側フランジ21と対向する外側フランジ22を有するH型支柱2が道路に沿って所定間隔をあけて複数立設されており、H型支柱2は図示省略する道路脇の壁高欄の上方に突出するように立設されている。図示例では、第1の内側フランジ21aと第1の外側フランジ22aを有する第1のH型支柱2aが立設されていると共に、第2の内側フランジ21bと第2の外側フランジ22bを有する第2のH型支柱2bが、第1のH型支柱2aと間隔をあけて立設されている。
【0014】
隣り合うH型支柱2・2の間には、一方のH型支柱2の内側フランジ21と外側フランジ22との間に一方の側端部が差し込まれ、他方のH型支柱2の内側フランジ21と外側フランジ22との間に他方の側端部が差し込まれるようにして差込遮音板3が設けられ、差込遮音板3は背面と外側フランジ22との間に設けられるバネ性の固定金具4で一方のH型支柱2と他方のH型支柱2とに固定されている。差込遮音板3は、隣り合うH型支柱2・2の間に複数段積み上げるようにして設けられている。尚、隣り合うH型支柱2・2の間に設けられる差込遮音板3は、既存の適宜の固定方法でH型支柱2に固定することが可能である。
【0015】
図示例の隣り合う第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間にも同様に差込遮音板3が設けられ、固定金具4で固定されているが、図1の略中央には差込遮音板3とは異なる遮音板5が設けられている。遮音板5は、上側の差込遮音板3と下側の差込遮音板3との間に挟まれるようにして、第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間に設けられている。遮音板5は、差込遮音板3よりも左右方向に幅狭で形成され、対向する第1のH型支柱2aの内側フランジ21aの先端縁と第2のH型支柱2bの内側フランジ21bの先端縁との距離と、同一幅か僅かに小さい幅で形成されており、第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間に道路側から挿入可能になっている。
【0016】
尚、本実施形態における差込遮音板3と遮音板5は、いずれも金属製の道路側前面板31、51と外側背面板32、52との間に吸音材33、53が挟まれるように設けられた構成であり、側方に突出するようにアイボルト34、54が埋設されている。差込遮音板3のアイボルト34のリング部は上下方向に貫通するように配置され、遮音板の脱落を防止するため、アイボルト34のリング部には張力を与えられている既存の脱落防止ワイヤ12が挿通される(図8参照)。また、遮音板5のアイボルト54のリング部も上下方向に貫通するように配置され(図2図5参照)、アイボルト54のリング部は、シャックル13と連結ワイヤ14を介して脱落防止ワイヤ12に連結、接続される。
【0017】
遮音板5の取付箇所において、H型支柱2の内側フランジ21にはクリップ金具等のクリップ留具6が係止されている。クリップ留具6は、断面視略コ字状に形成され、外壁61は内側フランジ21の裏面に当接するように配置され、内壁62は内側フランジ21の表面側で道路側に配置されている。クリップ留具6の内壁62には内壁62に形成された貫通穴63に挿通するようにして取付ボルト7が設けられ、取付ボルト7は内壁62から道路側に突出するようにして固定されている(図4参照)。
【0018】
本実施形態における取付ボルト7は、雄ねじ部の途中に部分的にねじ山がなく雄ねじ部より小径で形成された段落とし部71が設けられたスタッドボルトであり、段落とし部71が内壁62から道路側に突出する部分に配置されている。段落とし部71は、取付ボルト7に螺合された緩み止めナット11等のナットが交通振動等で緩んだ場合に、緩んだナットを段落とし部71に落とし込ませることにより、取付ボルト7からナットが脱落することを防止する。
【0019】
更に、本実施形態におけるスタッドボルトの取付ボルト7の外側端部にはナット8が螺着され、取付ボルト7の外側端部とナット8とが、内側フランジ21の表面とクリップ留具6の内壁62との間に配置され、ナット8が内側フランジ21の表面とクリップ留具6の内壁62との間に挟み込まれて押圧されている。即ち、クリップ留具6は、スタッドボルトで構成される取付ボルト7の外側端部に螺着されたナット8と内側フランジ21とを押圧するように挟み込んで、内側フランジ21に係止されている。
【0020】
遮音板5の幅方向の端部にはZ型金具等のZ型留具9が固定されている。Z型留具9の取付壁91は、遮音板5の道路側前面板51に沿うように配置されており、遮音板5の厚み方向に貫通して設けられた貫通ボルト10に取付壁91の取付穴92が外挿され、ナット締めすることにより、Z型留具9が遮音板5に固定されている。尚、貫通ボルト10も、取付ボルト7と同様にナット脱落防止用の段落とし部を有するものとすると好適である。
【0021】
取付壁91よりも道路側に寄った位置で遮音板5の幅方向の端縁から突出するZ型留具9の突出壁93にも取付穴94が形成されている。Z型留具9の突出壁93は、クリップ留具6の内壁62の内側に沿うように配置されると共に、内壁62から道路側に突出する取付ボルト7に突出壁93の取付穴94が外挿される。取付ボルト7には緩み止めナット11が道路側から螺合され、螺合された緩み止めナット11で押圧されてZ型留具9の突出壁93がクリップ留具6の内壁62に固定されている。
【0022】
尚、本実施形態では、遮音板5の上側と下側に固定金具4でH型支柱2に固定された差込遮音板3がそれぞれ設けられ、固定された下側の差込遮音板3で遮音板5が支持されるため、内側フランジ21に対するクリップ留具6のクリップ力だけで、遮音板5を内側フランジ21に係止しているが、遮音板5の上下の状態如何に拘わらず遮音板5を安定して定置、固定するには、スタッドボルトで構成される取付ボルト7を内側フランジ21に溶接等で固定する構成とすると好適である。
【0023】
本実施形態の遮音壁構造1を、破損した差込遮音板3dを撤去して遮音板5に交換して構築する場合には、図5(a)、(b)に示すように、破損状態の差込遮音板3dと差込遮音板3dを固定していた固定金具4をH型支柱2・2間から道路側に取り外して除去する。図示例の破損状態の差込遮音板3dは、上側の差込遮音板3と下側の差込遮音板3との間に挟まれるように設置されているものであり、上段と下段にそれぞれ破損していない状態の差込遮音板3が配置されている。
【0024】
破損状態の差込遮音板3dは、立設された第1のH型支柱2aの第1の内側フランジ21aと第1の外側フランジ22aとの間に一方の側端部が差し込まれ、第1のH型支柱2aと間隔をあけて立設された第2のH型支柱2bの第2の内側フランジ21bと第2の外側フランジ22bとの間に他方の側端部が差し込まれて設置されているため、除去時には、破損状態の差込遮音板3dを一部切断若しくは一部変形して、第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間から道路側に除去する(図1図2参照)。また、破損状態の差込遮音板3dのアイボルト34は切断し、張力付与された脱落防止ワイヤ12の状態を維持しつつ、破損状態の差込遮音板3dを除去する(図8参照)。
【0025】
そして、破損状態の差込遮音板3dを除去した箇所において、図6に示すように、第1のH型支柱2aの第1の内側フランジ21aと、第2のH型支柱2bの第2の内側フランジ21bのそれぞれにクリップ留具6を係止し、それぞれのクリップ留具6の道路側に配置される内壁62から道路側に突出するように取付ボルト7を固定する。取付ボルト7は、上述のクリップ留具6のクリップ力による係止だけで固定してもよく、又、内側フランジ21a、21bに溶接等で固定してもよい。
【0026】
更に、破損していない上段の差込遮音板3の下側且つ下段の差込遮音板3の上側の箇所において、幅方向の両端部にそれぞれZ型留具9・9が固定された遮音板5を第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間に道路側から挿入すると共に、遮音板5の幅方向の端縁から突出する各Z型留具9の突出壁93に形成された取付穴94を取付ボルト7にそれぞれ外挿し、それぞれの取付ボルト7に緩み止めナット11を螺合して各Z型留具9の突出壁93を各クリップ留具6の内壁62に押圧するように固定する(図5(c)、図6図7参照)。これにより、破損した差込遮音板3dを撤去して遮音板5に交換された遮音壁構造1が構築される。
【0027】
本実施形態によれば、遮音板5を第1のH型支柱2aと第2のH型支柱2bとの間に道路側から挿入して取付作業を行うことができ、H型支柱2・2の間に設置されている差込遮音板3等の別の遮音板の固定状態に影響を与えずに、独立して遮音板5の取付作業を行うことができる。従って、例えばH型支柱2・2の間に設置されている積み上げられた状態等の上段の差込遮音板3の固定、設置状態を維持しつつ、破損した差込遮音板3dを新たな遮音板5に交換することができ、遮音板5の交換作業の労力を大幅に低減することもできる。また、H型支柱2の上端から差込遮音板3を差し込むような高所の作業が不要となり、遮音板5の取付作業の作業性と安全性を高めることができる。
【0028】
また、取付ボルト7をH型支柱2の内側フランジ21に溶接等で固定する場合には、取り付けた遮音板5をより高い強度で固定することができる。また、取り付けた遮音板5の下側が道路脇の壁高欄や下段の差込遮音板3等で支持されていない場合にも、取り付けた遮音板5を安定して固定することができる。
【0029】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0030】
例えば上記実施形態の遮音壁構造1は、差込遮音板3と遮音板5の双方がH型支柱2に固定されてH型支柱2・2間に設けられる構造としたが、本発明の遮音壁構造には、遮音壁として遮音板5だけが用いられ、各遮音板5がH型支柱2に固定されてH型支柱2・2間に設けられる構造も含まれ、又、差込遮音板3以外の別の遮音板と上記遮音板5との双方がH型支柱2に固定されてH型支柱2・2間に設けられる構造も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、道路脇に道路に沿って設けられる遮音壁構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…遮音壁構造 2、2a、2b…H型支柱 21、21a、21b…内側フランジ 22、22a、22b…外側フランジ 3、3d…差込遮音板 31…道路側前面板 32…外側背面板 33…吸音材 34…アイボルト 4…固定金具 5…遮音板 51…道路側前面板 52…外側背面板 53…吸音材 54…アイボルト 6…クリップ留具 61…外壁 62…内壁 63…貫通穴 7…取付ボルト 71…段落とし部 8…ナット 9…Z型留具 91…取付壁 92…取付穴 93…突出壁 94…取付穴 10…貫通ボルト 11…緩み止めナット 12…脱落防止ワイヤ 13…シャックル 14…連結ワイヤ 101…道路 102…壁高欄 103…H型支柱 104…差込遮音板 105…固定金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9