(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069882
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】バスポンプ装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20240515BHJP
D06F 39/00 20240101ALI20240515BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20240515BHJP
B01F 25/422 20220101ALI20240515BHJP
【FI】
D06F39/08 301Z
D06F39/00 Z
B01F23/231
B01F25/422
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180157
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 壮隆
(72)【発明者】
【氏名】阪口 浩士
【テーマコード(参考)】
3B166
4G035
【Fターム(参考)】
3B166AB03
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA50
3B166BA52
3B166BA83
3B166DA02
3B166DA06
3B166DC43
4G035AB04
4G035AC02
(57)【要約】
【課題】風呂の残り湯に微小気泡を含有させて洗濯機に供給することが可能なバスポンプ装置を提供する。
【解決手段】バスポンプ装置1は、ポンプ部2と、ホース部3と、ポンプ部2内に同軸に重ね合わされて配設された6枚の円板状部材20と、を有する。円板状部材20は、板厚方向に水を通す各傾斜貫通孔21aと環状凹部22aを有する。各傾斜貫通孔21aは、上面21における開口21a1を底面22a3に近づくにしたがって中心軸CAを中心に徐々に回転させて形成した形状をしている。環状凹部22aは、各傾斜貫通孔21aの底面22a3における開口21a2を連結して下面22に開口した円環状の孔として形成されている。6枚の円板状部材20がポンプ部2内に同軸に重ね合わされて配設された状態で、各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aは連通して水の流路を形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風呂の残り湯を洗濯機に供給するバスポンプ装置であって、
バスポンプ本体と、該バスポンプ本体から前記洗濯機に水を供給する給水ホースと、前記バスポンプ本体又は前記給水ホースの内部に配設された微小気泡発生機構と、を有しており、
該微小気泡発生機構は、中心軸を同軸に重ね合わされた複数の円板状部材によって構成されており、
該円板状部材は板厚方向に水を通す貫通孔が設けられ、該貫通孔は前記板厚方向に配置された第1貫通孔部と第2貫通孔部とを有し、
前記第1貫通孔部は前記円板状部材の前記板厚方向の一面において前記中心軸を中心として周方向に等間隔で設けられた複数の扇形状の一面側開口が前記円板状部材の前記板厚方向の他面の方向に向かうにつれて前記中心軸を中心に同一回転方向に徐々に回転して前記一面に対して傾斜した孔として形成されており、
前記第2貫通孔部は前記第1貫通孔部の前記他面の方向の他面側開口を連結して前記他面に開口した円環状の孔として形成されており、
前記円板状部材が重ね合わされた状態で前記バスポンプ本体又は前記給水ホースの内部に形成された前記円板状部材の外径よりわずかに大きい内径を有する円柱状の内径部分の内部に配置したとき前記貫通孔は連通して水の流路を形成しているバスポンプ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記微小気泡発生機構は、前記バスポンプ本体の内部であって前記給水ホースとの連結部に配設されているバスポンプ装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記微小気泡発生機構は、前記給水ホースにおける前記バスポンプ本体と反対側の端部に取付けられた配管部材の内部に配設されているバスポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスポンプ装置に関する。詳しくは、微小気泡を含有する風呂水を吐出可能なバスポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用の洗濯機において洗濯水を微小気泡を含有するものとすることによって、被洗濯物の繊維組織間の隙間に入り込んでいる汚れを効果的に除去できることが知られている。特許文献1に開示された技術においては、水道水を洗濯機に供給する給水ホースの中に微小気泡水生成部を設けている。微小気泡生成部は、水道水の流れる方向に沿って径が漸次縮小する第1通水路と、第1通水路の出口側に連通して設けられ水道水の流れる方向に沿って径が漸次増大する第2通水路と、第1通水路と第2通水路とを繋ぐ絞り部と、第1通水路の入口部に設けられる複数の取水孔が設けられる取水プレートと、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術においては、水道水は0.15MPa~0.4MPaの水圧があるので上記のような微小気泡生成部によって供給水に微小気泡を含有させることができる。一方、風呂の残り湯を洗濯に有効利用するために洗濯機に供給するバスポンプ装置においては、水圧が水道水と比較して低いため上記のような微小気泡生成部によっては供給水に微小気泡を含有させることが困難であるという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、風呂の残り湯に微小気泡を含有させて洗濯機に供給することが可能なバスポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、風呂の残り湯を洗濯機に供給するバスポンプ装置であって、バスポンプ本体と、該バスポンプ本体から前記洗濯機に水を供給する給水ホースと、前記バスポンプ本体又は前記給水ホースの内部に配設された微小気泡発生機構と、を有しており、該微小気泡発生機構は、中心軸を同軸に重ね合わされた複数の円板状部材によって構成されており、該円板状部材は板厚方向に水を通す貫通孔が設けられ、該貫通孔は前記板厚方向に配置された第1貫通孔部と第2貫通孔部とを有し、前記第1貫通孔部は前記円板状部材の前記板厚方向の一面において前記中心軸を中心として周方向に等間隔で設けられた複数の扇形状の一面側開口が前記円板状部材の前記板厚方向の他面の方向に向かうにつれて前記中心軸を中心に同一回転方向に徐々に回転して前記一面に対して傾斜した孔として形成されており、前記第2貫通孔部は前記第1貫通孔部の前記他面の方向の他面側開口を連結して前記他面に開口した円環状の孔として形成されており、前記円板状部材が重ね合わされた状態で前記バスポンプ本体又は前記給水ホースの内部に形成された前記円板状部材の外径よりわずかに大きい内径を有する円柱状の内径部分の内部に配置したとき前記貫通孔は連通して水の流路を形成していることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、微小気泡発生機構は、複数の円板状部材に設けられた第1貫通孔部と第2貫通孔部を水が通過して流れることにより、低い水圧であっても効果的に水に微小気泡を含有させることができる。これによって、バスポンプ装置を利用した低圧での水供給においても残り湯に微小気泡を含有させて洗濯機に供給することができ、風呂の残り湯を利用して被洗濯物の繊維組織間の隙間に入り込んでいる汚れを効果的に除去できる洗濯が期待される。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記微小気泡発生機構は、前記バスポンプ本体の内部であって前記給水ホースとの連結部に配設されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、給水ホースは微小気泡発生機構を備えない通常のバスポンプ装置において使用されているものと同じものを利用できる。また、微小気泡発生機構がバスポンプ本体の内部に配置されるので外観の見栄えを悪化させるおそれを抑制できる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記微小気泡発生機構は、前記給水ホースにおける前記バスポンプ本体と反対側の端部に取付けられた配管部材の内部に配設されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、バスポンプ本体は微小気泡発生機構を備えない通常のバスポンプ装置において使用されているものとすることができる。また、微小気泡発生機構が給水ホースのバスポンプ本体と反対側の端部に取付けられた配管部材の内部に配置されるので外観の見栄えを悪化させるおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態であるバスポンプ装置の部分断面図である。
【
図2】上記実施形態におけるポンプ部内に配置された状態の円板状部材の断面図である。
【
図3】上記実施形態における円板状部材の斜視図である。
【
図4】上記実施形態における円板状部材の平面図である。
【
図6】上記実施形態における円板状部材の側面図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII矢視線断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態であるバスポンプ装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係るバスポンプ装置1の構成について、
図1~
図8を用いて説明する。バスポンプ装置1は、風呂の残り湯を有効利用するために残り湯を汲み上げて洗濯機に供給するものである。
【0014】
図1に示すように、バスポンプ装置1は、浴槽の残り湯の中に投入され水を汲み上げるポンプ部2と、ポンプ部2により浴槽から図示しない洗濯機の洗濯槽に水を送るホース部3と、を有する。ここで、ポンプ部2とホース部3が、それぞれ特許請求の範囲の「バスポンプ本体」と「給水ホース」に相当する。
【0015】
ポンプ部2は、樹脂製のケース4の内部にポンプ5とフィルタ6が配置されて構成され、水を吸入する複数の吸入口7と、吸入した水を吐出する吐出口8と、を有する。ケース4の吐出口8の側は、略円筒状をしたホース連結部4aとして形成され、その円柱状の内径部9には、吸入口7の側の円板状部材挿入部10と、吐出口8の側のホース取付部11が連続して形成されている。ホース取付部11には、円板状部材挿入部10の側の雌ねじが切られた雌ねじ部11aと、雌ねじ部11aより内径が大きい拡径部11bが連続して形成されている。円板状部材挿入部10における、吸入口7の側の端部には内径が縮径された縮径部10aが形成されている。円板状部材挿入部10には、6枚の円板状部材20が重ねられた状態で挿入されている。以後、各図において、ポンプ部2における吐出口8の方向が上で、吸入口7の方向が下として、上下の方向を記載し必要に応じてこの方向を用いて説明する。ここで、6枚の円板状部材20が、特許請求の範囲の「微小気泡発生機構」に相当し、円板状部材挿入部10が、特許請求の範囲の「内径部分」に相当する。また、ホース連結部4aが、特許請求の範囲の「連結部」に相当する。
【0016】
図2~
図8に示すように、円板状部材20は、円形の上面21と円形の下面22とを有し、外径面23の直径が樹脂製のケース4における円板状部材挿入部10の内径よりわずかに小さい略円板状に形成されている。下面22の側には、中心軸CAを中心とした円形が上方に向かって延びて形成された外側面22a1と、中心軸CAを中心とした円形が上方に向かって延びて形成された内側面22a2と、を有する円環状の環状凹部22aが形成されている。環状凹部22aは、下面22に対して垂直で径方向に延びる面で切った断面が矩形状をしており、環状凹部22aの円板状部材20の厚み方向の深さである下面22と底面22a3との距離は、円板状部材20の厚みの半分程度に設定されている。ここで、上面21、下面22、環状凹部22aが、それぞれ、特許請求の範囲の「一面」、「他面」、「第2貫通孔部」に相当する。
【0017】
円板状部材20の環状凹部22aの上側部分には、中心軸CAを中心として周方向に等間隔で配置された8つの傾斜貫通孔21aが設けられている。
図4に示すように、傾斜貫通孔21aの上面21における開口21a1は、中心軸CAを中心として中心角θ1が22.5度の扇形状部分の一部である円弧21a11、円弧21a12、径方向部21a13、径方向部21a14で囲まれた形状をしている。円弧21a11を含む円が内側円C1であり、円弧21a12を含む円が外側円C2である。径方向部21a14を含む第1径方向線DL1に対して径方向部21a13を含む第2径方向線DL2は22.5度の角度で交わっている。なお、
図1において、円板状部材20を、ケース4における円板状部材挿入部10の中に配置した状態で、円板状部材20の中心軸CAは円板状部材挿入部10の中心軸CAに一致する。周方向に隣合う開口21a1は、中心軸CAを中心として45度回転させると重なり合う関係にある。
図4及び
図7に示すように、環状凹部22aの底面22a3における開口21a2は、上下方向から見て開口21a1を中心軸CAを中心に中心角θ2である15度反時計回りに回転させた関係にある。円弧21a11は円弧21a21と、円弧21a12は円弧21a22と、径方向部21a13は径方向部21a23と、径方向部21a14は径方向部21a24と対応している。そして、第1径方向線DL1に対して径方向部21a24を含む第3径方向線DL3は15度の角度で交わっている。また、
図6及び
図8に示すように、上面21と底面22a3の間の上下方向の中央部分における開口21a3は、中心軸CAの延びる方向から見て開口21a1を中心軸CAを中心に中心角θ3である7.5度反時計回りに回転させた関係にある。円弧21a11は円弧21a31と、円弧21a12は円弧21a32と、径方向部21a13は径方向部21a33と、径方向部21a14は径方向部21a34と対応している。そして、第1径方向線DL1に対して径方向部21a34を含む第4径方向線DL4は7.5度の角度で交わっている。すなわち、各傾斜貫通孔21aは、上面21における開口21a1を底面22a3に近づくにしたがって中心軸CAを中心に
図4において反時計回りに徐々に回転させて形成した形状をしている。これによって、傾斜貫通孔21aの中を開口21a2から開口21a3を経由して開口21a1に流れる水には分散作用が与えられて空気が微小気泡化される。なお、
図4、
図7及び
図8において、煩雑化を避けるため8つの傾斜貫通孔21aの内1つの傾斜貫通孔21aにのみ符号を付して表している。ここで、各傾斜貫通孔21aが、特許請求の範囲の「第1貫通孔部」に相当し、各傾斜貫通孔21aと環状凹部22aを合わせたものが、特許請求の範囲の「貫通孔」に相当する。また、開口21a1と開口21a2が、それぞれ、特許請求の範囲の「一面側開口」と「他面側開口」に相当する。
【0018】
図3~
図6に示すように、一対の周縁嵌合凸部24は、上下方向から見て、上面21の外径面23と外側面22a1の間において第1径方向線DL1を中心とする周方向の部分に上方に向けて突出して設けられている。各周縁嵌合凸部24の第1径方向線DL1に対して垂直な周方向の寸法は外径面23の半径の1/2程度であり、各周縁嵌合凸部24の上面21からの突出高さは外径面23の上下方向寸法の1/2程度である。各周縁嵌合凸部24の頂部は面取りが施されている。一対の周縁嵌合凹部25は、上下方向から見て、下面22の外径面23と外側面22a1の間において第2径方向線DL2を中心とする周方向の部分に上方に向けて凹んで設けられている。各周縁嵌合凹部25は、各周縁嵌合凸部24に対して嵌り合う形状に形成されている。上面21の内側円C1の中心部には上方に向けて突出した中央嵌合凸部26が設けられている。中央嵌合凸部26の半径は内側円C1の半径の1/2程度であり、中央嵌合凸部26の上面21からの突出高さは外径面23の上下方向寸法の1/2程度である。中央嵌合凸部26の頂部は面取りが施されている。下面22の内側円C1の中心部には上方に向けて凹む中央嵌合凹部27が設けられている。中央嵌合凹部27は、中央嵌合凸部26に対して嵌り合う形状に形成されている。上下に隣り合う円板状部材20を、一対の周縁嵌合凸部24と一対の周縁嵌合凹部25を嵌め合わせるとともに中央嵌合凸部26と中央嵌合凹部27を嵌め合わせて重ね合わせたとき、隣り合う円板状部材20は中心軸CAを中心に
図4において反時計回りに中心角θ1である22.5度回転させた関係にある。
【0019】
ケース4における円板状部材挿入部10の中へ6枚の円板状部材20を配設する手順について説明する。円板状部材挿入部10の中に吐出口8の側から一番下側の円板状部材20を下面22の側から挿入して下面22を縮径部10aの上側の面に当接させる。次に、円板状部材挿入部10の中に吐出口8の側から下から二番目の円板状部材20を下面22の側から挿入して一番下側の円板状部材20の一対の周縁嵌合凸部24に一対の周縁嵌合凹部25を嵌め合わせるとともに、一番下側の円板状部材20の中央嵌合凸部26に中央嵌合凹部27を嵌め合わせて上面21に当接させる。以下、円板状部材挿入部10の中に吐出口8の側から円板状部材20を1つずつ下面22の側から挿入して直前に挿入した円板状部材20の一対の周縁嵌合凸部24に一対の周縁嵌合凹部25を嵌め合わせるとともに、直前に挿入した円板状部材20の中央嵌合凸部26に中央嵌合凹部27を嵌め合わせて上面21に当接させていく。これによって、上下に隣り合う円板状部材20は、円板状部材挿入部10の中心軸と、重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の中心軸と、は一致して中心軸CAとなるとともに、互いに中心角θ1である22.5度だけ周方向にずれて重ね合わされて配置される。重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aは連通して空洞部Hを形成する。このとき、上下方向から見て、隣り合う円板状部材20の底面22a3における開口21a2と上面21の開口21a1とは、中心軸CAを中心に中心角θ2である15度だけ反時計回りにずれているので水の流れに乱流が生じやすくより分散作用が与えられて空気が微小気泡化される。なお、上述した方法に代えて、円板状部材20を予め
図4に示すような6枚重ねの状態に組み付けてから、6枚重ねの円板状部材20をまとめて円板状部材挿入部10の中へ挿入して配設しても良い。
【0020】
図1に示すように、ホース部3は、柔軟なホース13の一端部側に連結部材14が取付けられている。ホース13の他端部側は、何らかの部材が取付けられていても何も取付けられていなくてもかまわない。連結部材14は、略円筒状の部材で、先端部側には外径部分にケース4の雌ねじ部11aに螺合可能な雄ねじの切られた雄ねじ部14aが形成され、先端と反対側には雄ねじ部14aより径の大きい大径部14bが形成されている。大径部14bには、オーリング12が嵌め込まれる環状のオーリング溝14cが形成されている。オーリング溝14cにオーリング12が嵌め込んだ状態で、連結部材14の雄ねじ部14aをケース4の雌ねじ部11aに対して螺合させていくと、雄ねじ部14aの先端部分がケース4の内部に配設された6枚の円板状部材20における一番上の円板状部材20の上面21に当接して押圧した状態で螺合が停止する。このとき、6枚の円板状部材20は中心軸CAの方向に密着した状態となるとともに、オーリング12がケース4の拡径部11bと連結部材14のオーリング溝14cとの間で圧縮変形させられた状態となる。これによって、6枚の円板状部材20の中を通った水は水密状態を保ってホース13に送られることができる。
【0021】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。ケース4の円板状部材挿入部10の中に配置された6枚の円板状部材20において、各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aを水が通過して流れることにより、低い水圧であっても効果的に水に微小気泡を含有させることができる。これによって、バスポンプ装置1を利用した低圧での水供給においても残り湯に微小気泡を含有させて洗濯機に供給することができ、風呂の残り湯を利用して被洗濯物の繊維組織間の隙間に入り込んでいる汚れを効果的に除去できる洗濯が期待される。
【0022】
また、6枚の円板状部材20は、ケース4のホース連結部4aの内部においてホース部3の連結部材14に当接して配設されている。これによって、ホース部3は6枚の円板状部材20を備えない通常のバスポンプ装置において使用されているものと同じものを利用できるとともに、6枚の円板状部材20がポンプ部2の内部に配置されるので外観の見栄えを悪化させるおそれを抑制できる。
【0023】
図9に本発明の他の実施形態に係るバスポンプ装置1Aを示す。バスポンプ装置1Aは、バスポンプ装置1に対して、ポンプ部2のケース4の内部に6枚の円板状部材20が配設されず、その代わりに、6枚の円板状部材20がホース部3Aのポンプ部2と反対側の端部に取付けられた樹脂製のエルボ15の内部に配設されている点で異なる。エルボ15は、ホース13の側の第1開口15aと、ホース13と反対側の第2開口15bと、を有している。第1開口15aの側には、一般部に対し拡径された円筒状のホース連結部16が形成されている。ホース連結部16の内部の円柱状の内径部17には、ホース13と反対側の円板状部材挿入部18と、ホース13の側のホース取付部19が連続して形成されている。ホース取付部19には、円板状部材挿入部18の側の雌ねじが切られた雌ねじ部19aと、雌ねじ部19aより内径が大きい拡径部19bが連続して形成されている。円板状部材挿入部18における、ホース取付部19と反対側の端部には、内径が縮径された縮径部18aが形成されている。円板状部材挿入部18には、6枚の円板状部材20が重ねられた状態で挿入されている。ここで、ホース部3Aとエルボ15が、それぞれ特許請求の範囲の「給水ホース」と「配管部材」に相当する。また、円板状部材挿入部18が、特許請求の範囲の「内径部分」に相当する。
【0024】
円板状部材20は、バスポンプ装置1においてポンプ部2のケース4の内部に配設されたものと同一のものである。円板状部材挿入部18の中へ6枚の円板状部材20を配設する手順は、ホース取付部19の側から円板状部材20を上面21の側から挿入していく点でバスポンプ装置1における配設手順と異なる。具体的には、円板状部材挿入部18の中に第1開口15aの側から一番上側の円板状部材20を上面21の側から挿入して上面21を縮径部18aの下側の面に当接させる。次に、円板状部材挿入部18の中に第1開口15aの側から上から二番目の円板状部材20を上面21の側から挿入して一番上側の円板状部材20の一対の周縁嵌合凹部25に一対の周縁嵌合凸部24を嵌め合わせるとともに、一番上側の円板状部材20の中央嵌合凹部27に中央嵌合凸部26を嵌め合わせて下面22に当接させる。以下、円板状部材挿入部18の中に第1開口15aの側から円板状部材20を1つずつ上面21の側から挿入して直前に挿入した円板状部材20の一対の周縁嵌合凹部25に一対の周縁嵌合凸部24を嵌め合わせるとともに、直前に挿入した円板状部材20の中央嵌合凹部27に中央嵌合凸部26を嵌め合わせて下面22に当接させていく。これによって、上下に隣り合う円板状部材20は、円板状部材挿入部18の中心軸と、重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の中心軸と、は一致して中心軸CAとなるとともに、互いに中心角θ1である22.5度だけ周方向にずれて重ね合わされて配置される。重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aは連通して空洞部Hを形成する。このとき、上下方向から見て、隣り合う円板状部材20の底面22a3における開口21a2と上面21の開口21a1とは、中心軸CAを中心に中心角θ2である15度だけ反時計回りにずれているので水の流れに乱流が生じやすくより分散作用が与えられて空気が微小気泡化される。なお、上述した方法に代えて、円板状部材20を予め
図4に示すような6枚重ねの状態に組み付けてから、6枚重ねの円板状部材20をまとめて円板状部材挿入部18の中へ挿入して配設しても良い。
【0025】
図9に示すように、ホース部3Aは、柔軟なホース13の他端部側に連結部材14が取付けられている。ホース13の一端部側には、6枚の円板状部材20が配設されていないポンプ部2が取付けられている。連結部材14は、バスポンプ装置1においてホース13の一端部側に取付けられていたものと同一である。オーリング溝14cにオーリング12が嵌め込んだ状態で、連結部材14の雄ねじ部14aをエルボ15の雌ねじ部19aに対して螺合させていくと、雄ねじ部14aの先端部分がエルボ15の内部に配設された6枚の円板状部材20における一番下の円板状部材20の下面22に当接して押圧した状態で螺合が停止する。このとき、6枚の円板状部材20は中心軸CAの方向に密着した状態となるとともに、オーリング12がエルボ15の拡径部19bと連結部材14のオーリング溝14cとの間で圧縮変形させられた状態となる。これによって、6枚の円板状部材20の中を通った水は水密状態を保ってエルボ15の第2開口15bから吐出される。
【0026】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。エルボ15の円板状部材挿入部18の中に配置された6枚の円板状部材20において、各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aを水が通過して流れることにより、低い水圧であっても効果的に水に微小気泡を含有させることができる。これによって、バスポンプ装置1Aを利用した低圧での水供給においても残り湯に微小気泡を含有させて洗濯機に供給することができ、風呂の残り湯を利用して被洗濯物の繊維組織間の隙間に入り込んでいる汚れを効果的に除去できる洗濯が期待される。
【0027】
また、6枚の円板状部材20は、ホース部3Aのエルボ15の内部であってホース部3Aの連結部材14に当接して配設されている。これによって、ポンプ部2は6枚の円板状部材20を備えない通常のバスポンプ装置とすることができるとともに、6枚の円板状部材20がホース部3Aの内部に配置されるので外観の見栄えを悪化させるおそれを抑制できる。
【0028】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0029】
上記実施形態のバスポンプ装置1Aにおいては、エルボ15の内部に6枚の円板状部材20を配設した。しかし、これに限らず直線状のパイプの中に6枚の円板状部材20を配設してもよい。
【0030】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0031】
1,1A バスポンプ装置、2 ポンプ部(バスポンプ本体)、3,3A ホース部(給水ホース)、4 ケース、4a ホース連結部(連結部)、9 内径部、10 円板状部材挿入部(内径部分)、13 ホース、14 連結部材、15 エルボ(配管部材)、16 ホース連結部、17 内径部、18 円板状部材挿入部(内径部分)、20 円板状部材(微小気泡発生機構)、21 上面(一面)、21a 傾斜貫通孔(第1貫通孔部、貫通孔)、21a1 開口(一面側開口)、21a2 開口(他面側開口)、22 下面(他面)、22a 環状凹部(第2貫通孔部、貫通孔)、CA 中心軸