(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069885
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】物品仮固定具
(51)【国際特許分類】
B44D 3/14 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B44D3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180160
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将喜
(72)【発明者】
【氏名】谷口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】可知 靖典
(72)【発明者】
【氏名】吉田 薪之介
(72)【発明者】
【氏名】秋山 立樹
(57)【要約】
【課題】鉄塔などに対して安定して塗料缶などを仮固定でき、かつ、仮固定の解除が容易な物品仮固定具を提供する。
【解決手段】 鉄塔部材Tと対向する開口部21を有するケース2と、開口部21に対して進退自在にケース2内に配設された磁石3と、ケース2に配設され2つの方向に可動で、一方の方向に動かすと磁石3を開口部21側に前進させ、他方の方向に動かすと磁石3を開口部21から後退させるレバー4と、ケース2に設けられ、物品を吊り下げるための吊り部5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔を含む鉄鋼構造体に塗料缶を含む物品を仮固定するための物品仮固定具であって、
前記鉄鋼構造体と対向する対向部を有するケースと、
前記対向部に対して進退自在に前記ケース内に配設された磁石と、
前記ケースに配設され2つの方向に可動で、一方の方向に動かすと前記磁石を前記対向部側に前進させ、他方の方向に動かすと前記磁石を前記対向部から後退させるハンドルと、
前記ケースに設けられ、前記物品を吊り下げるための吊り部と、
を備えることを特徴とする物品仮固定具。
【請求項2】
前記磁石の少なくとも両側面側に、鉄板状で前記磁石の磁力を前記対向部側に集中させるヨーク板を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の物品仮固定具。
【請求項3】
前記ハンドルは、回転軸を中心に2つの方向に回動可能なレバーで構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の物品仮固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料が入った塗料缶などを鉄塔などに仮固定するための物品仮固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄塔への塗装は、従来から人力で行っており、作業者が鉄塔に安全帯を取り付けて体を鉄塔で支え、バランスを取りながら、一方の手で塗料缶を持ち他方の手で刷毛塗りしたり、塗料缶をフックで鉄塔部材に掛けて(ぶら下げて)刷毛塗りしたりしていた。しかしながら、高所での不安定な姿勢での作業となるため、作業者に大きな負担となるばかりでなく、怪我や墜落などを招くおそれがあった。しかも、塗料缶をフックで鉄塔部材に掛けられるのは、水平な鉄塔部材に限られるため、作業者が塗料缶を片手で持って片手で刷毛塗りしなければならないケース・場所が多く、作業者への負担が大きかった。
【0003】
一方、高所において塗料缶の転倒を防止できる、という転倒防止器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この転倒防止器は、塗料缶を収容するカバー缶の底面に、永久磁石を取り付けるとともに、カバー缶の底部周囲に軟らかいつばを設けることで、塗料缶の滑落や転倒を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の転倒防止器では、塗料缶を収容した転倒防止器を屋根などの上に置くことを前提とするため、細長く斜めにも配設されている鉄塔部材などには安定して置くことができず、塗料缶が転倒、滑落などするおそれがある。しかも、転倒防止器のカバー缶の底面に永久磁石が取り付けられているだけであるため、転倒防止器を移動せる際に、永久磁石の吸着力に抗して転倒防止器を持ち上げなければならず、作業者への負担が大きいばかりでなく、持ち上げた弾みで塗料缶内の塗料が外に飛び散るおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、鉄塔などに対して安定して塗料缶などを仮固定でき、かつ、仮固定の解除が容易な物品仮固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、鉄塔を含む鉄鋼構造体に塗料缶を含む物品を仮固定するための物品仮固定具であって、前記鉄鋼構造体と対向する対向部を有するケースと、前記対向部に対して進退自在に前記ケース内に配設された磁石と、前記ケースに配設され2つの方向に可動で、一方の方向に動かすと前記磁石を前記対向部側に前進させ、他方の方向に動かすと前記磁石を前記対向部から後退させるハンドルと、前記ケースに設けられ、前記物品を吊り下げるための吊り部と、を備えることを特徴とする物品仮固定具である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の物品仮固定具において、前記磁石の少なくとも両側面側に、鉄板状で前記磁石の磁力を前記対向部側に集中させるヨーク板を備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の物品仮固定具において、前記ハンドルは、回転軸を中心に2つの方向に回動可能なレバーで構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ケースの対向部を鉄鋼構造体に対向させた状態で、ハンドルを一方の方向に動かして磁石をケースの対向部側に前進させると、磁力によって本物品仮固定具が鉄鋼構造体に仮固定される。そして、ケースの吊り部を介して物品を吊り下げることで、物品が鉄鋼構造体に仮固定される。また、ハンドルを他方の方向に動かして磁石をケースの対向部から後退させると、本物品仮固定具つまり物品が鉄鋼構造体から取り外される。
【0011】
このように、ハンドルを一方の方向に動かすだけで、磁力によって鉄塔などの鉄鋼構造体に対して塗料缶などの物品を容易かつ安定して仮固定することが可能で、かつ、ハンドルを他方の方向に動かすだけで、容易かつ迅速に物品の仮固定を解除することが可能となる。しかも、磁力で仮固定してケースの吊り部を介して物品を吊り下げるため、ケースの対向部が対向(対面)できるところであれば、細長く斜めにも配設されている鉄塔部材などにも、安定して物品を仮固定することが可能となる。
【0012】
そして、このように、物品の仮固定やその解除を安定かつ容易に行えることで、鉄塔などの高所においても、作業者が安全かつ容易に作業を行うことが可能となり、しかも、怪我や墜落などを防止することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、磁石の少なくとも両側面側にヨーク板を備えるため、磁石の磁力がケースの対向部側に集中し、磁石による鉄鋼構造体への吸着力・固定力が高まり、より安定して物品を仮固定することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ハンドルが2方向に回動可能なレバーで構成されているため、レバーを一方に回動したり他方に回動したりするだけで、鉄鋼構造体への仮固定やその解除が可能なため、より容易かつ迅速な操作が可能となる。このため、不安定な姿勢が強いられる鉄塔などの高所においても、安全かつ容易に物品の仮固定や取り外しを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態に係る物品仮固定具を鉄塔部材に仮固定した状態を示す断面図である。
【
図2】
図1の物品仮固定具を鉄塔部材から取り外した状態を示す断面図である。
【
図3】
図1の物品仮固定具の吊り部を除く平面図である。
【
図4】
図1の物品仮固定具の台座とレバーを示す平面図である。
【
図6】
図1の物品仮固定具を介して、塗装缶を鉄塔の水平部材に仮固定した状態を示す正面図である。
【
図7】
図1の物品仮固定具を介して、塗装缶を鉄塔の斜め部材に仮固定した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態に係る物品仮固定具1を鉄塔部材Tに仮固定した状態を示す断面図であり、
図2には、物品仮固定具1を鉄塔部材Tから取り外した状態を示す断面図である。この物品仮固定具1は、鉄鋼構造体に物品を仮固定するための固定具であり、この実施の形態では、鉄鋼構造体が鉄塔で、塗料が入った塗料缶Cが物品の場合について、主として以下に説明する。また、鉄塔は、複数の鉄塔部材Tで構成されているが、断面が略L字状の長尺体である山形鋼の鉄塔部材Tに、塗料缶Cを仮固定する場合を例にして、主として説明する。
【0018】
この物品仮固定具1は、主として、ケース2と、磁石3と、レバー(ハンドル)4と、吊り部5と、を備える。
【0019】
ケース2は、鉄塔部材Tと対向(面的に対向)する対向部を有する筐体である。すなわち、この実施の形態では、略立方体状の箱で底面が開口し、この開口部21が対向部として鉄塔部材Tに対向するようになっている。このように、この実施の形態では、開口部21が対向部となっているが、後述するようにして磁石3の磁力で仮固定ができれば、開口部21ではなく板部などを対向部としてもよい。
【0020】
ここで、ケース2の内空間は、
図3に示すように、平面から見て略長方形で開口部21も略長方形となっている。さらに、開口部21の両長辺側には、ケース2の底面からくり抜いた空間部22が形成され、この空間部22に手を入れて物品仮固定具1を持ち上げたり、点検したりできるようになっている。
【0021】
磁石3は、開口部21に対して進退自在にケース2内に配設された永久磁石(例えば、ネオジム磁石)であり、この実施の形態では、台座31を介して進退自在となっている。すなわち、台座31は、
図3、
図4に示すように、ケース2の内空間の平面と同等の平面を有する板体で、ケース2の内壁面に沿って(接しながら)、開口部21側に前進したり開口部21から後退したりできるようになっている。
【0022】
このような台座31の底面(開口部21側の面)に、
図1、
図5に示すように、断面が略コ字状で台座31の幅方向に延びる鉄鋼製のヨーク材32が、その開口が開口部21側を向くように、2つ平行に配設されている。そして、このヨーク材32内に、断面が略四角い棒状の磁石3が配設され、磁石3がヨーク材32から突出・露出しないようになっている。つまり、磁石3が鉄塔部材Tに直接接触せず、これにより、後述するようにしてレバー4を下げることで、物品仮固定具1を鉄塔部材Tから容易に取り外せるようになっている。
【0023】
このように、磁石3がヨーク材32内に配設されることで、磁石3の両側面側にヨーク材32の両側板(ヨーク板)32aが位置し、磁石3の磁力が開口部21側に集中するようになっている。また、後述するようにして、レバー4を最上位まで上げて磁石3をケース2の開口部21側に前進させた状態で、
図1に示すように、ヨーク材32の両側板32aがケース2の開口部21から突出して鉄塔部材Tに接し、開口部21つまりケース2が鉄塔部材Tに接しないようになっている。
【0024】
そして、このように、ヨーク材32の両側板32aが鉄塔部材Tに接した状態で、後述するようにして塗料缶Cを吊り下げた物品仮固定具1を安定して鉄塔部材Tに仮固定でき、かつ、鉄塔部材Tから取り外せるように、磁石3の磁力・吸着力や配設数が設定されている。従って、この実施の形態では、2つの磁石3を配設しているが、磁石3の磁力によっては、1つまたは3つ以上配設してもよい。
【0025】
レバー4は、ケース2に配設され2つの方向に可動で、一方の方向に動かすと磁石3を開口部21側に前進させ、他方の方向に動かすと磁石3を開口部21から後退させるハンドルであり、この実施の形態では、回転軸41を中心に2つの方向に回動可能となっている。すなわち、レバー4は、
図1に示すように、棒状体で、先端部(台座31側の端部)にレバー4の長手方向に延びる長孔4aが形成され、中央部に回転軸41が貫通している。
【0026】
一方、台座31には、
図4に示すように、平面から見て台座31の一辺から中央部に向かって延びるスリット(長い切欠き)31aが形成され、このスリット31a内にレバー4の先端側が出し入れ可能となっている。また、レバー4の長孔4aに連結ピン42が挿入され、この連結ピン42の両端部がスリット31aの先端側(台座31の中央部側)において台座31で支持されている。
【0027】
また、
図1に示すように、ケース2の一側壁の上部に形成されたレバー挿入孔2aを介して、レバー4の先端側がケース2内に挿入されている。さらに、レバー4の回転軸41の両端部が、
図5に示すように、レバー挿入孔2aにおいてケース2で支持されている。これにより、ケース2で支持された回転軸41を中心に、レバー4がシーソー状に2つの方向に回動可能となっている。
【0028】
このように、台座31とレバー4が連結され、レバー4が回動可能となっていることで、
図1に示すように、レバー4の把持側(ケース2から露出した側)を上げると、台座31つまり磁石3がケース2の開口部21側に前進する。また、
図2に示すように、レバー4の把持側を下げると、台座31つまり磁石3がケース2の開口部21から後退するものである。
【0029】
ここで、磁石3が最も後退した状態で、物品仮固定具1を鉄塔部材Tから容易に取り外せるように、後退量(開口部21から離れる距離)が設定されている。また、レバー4の把持側を下げる方向に常にレバー4を押圧するバネ(押圧手段)を設け、平常時は磁石3がケース2の開口部21から後退し、鉄塔部材Tに仮固定したい時だけレバー4の把持側を上げることで、磁石3をケース2の開口部21側に前進させられるようにしてもよい。これにより、物品仮固定具1が不用意に鉄塔部材Tなどに仮固定されるのを防止することが可能となる。
【0030】
吊り部5は、ケース2に設けられ、塗料缶Cを吊り下げるためのフックである。すなわち、
図1に示すように、回転ピン51と吊りリング52を備え、回転ピン51は、ケース2の上面(開口部21に対向する面)から垂直に延びるように配設され、かつ、中心周りに回転自在に配設されている。
【0031】
また、吊りリング52は、回転ピン51を貫通して配設され、かつ、その貫通孔を中心に回転自在に配設されている。さらに、一部が開閉部521として分割され、開閉部521が一端部を中心に開閉自在となっている。これにより、例えば、
図6、
図7に示す塗料缶Cの取っ手C1などを開閉部521に押し当てて開閉部521を開け、取っ手C1などを吊りリング52内に入れると開閉部521がバネ(図示せず)で閉じて、取っ手C1などを吊りリング52に掛けられるものである。ここで、
図6、
図7では、取っ手C1に連結バンドC2を取り付け、この連結バンドC2を吊りリング52に掛けているが、取っ手C1を吊りリング52に直接掛けてもよい。
【0032】
このようにして取っ手C1などを吊りリング52に掛け、吊り部5を介して物品仮固定具1と塗料缶Cを連結すると、鉄塔部材Tに仮固定された物品仮固定具1から塗料缶Cが吊り下げられる。このとき、上記のように、回転ピン51が中心周りに回転自在で、かつ、吊りリング52が回転ピン51の貫通孔を中心に回転自在なため、
図6,
図7に示すように、仮固定された物品仮固定具1の位置、姿勢などに関わらず、塗料缶Cが常に略垂直に吊り下げられる。このため、どのように物品仮固定具1を鉄塔部材Tに仮固定しても、塗料缶C内の塗料がこぼれたりすることがなく、適正に仮固定される。
【0033】
このような構成の物品仮固定具1を用いて、塗料缶Cを鉄塔に仮固定しながら(預けながら)、順次鉄塔を塗装するには、まず、仮固定させたい鉄塔部材Tに物品仮固定具1を仮固定する。すなわち、
図1に示すように、ケース2の開口部21を鉄塔部材Tに対向させた状態で、レバー4を上げて(一方の方向に動かして)磁石3をケース2の開口部21側に前進させればよい。これにより、磁石3の磁力によって本物品仮固定具1が鉄塔部材Tに仮固定される。
【0034】
そして、上記のようにして吊り部5の吊りリング52に塗料缶Cの取っ手C1などを掛けて、塗料缶Cを吊り下げることで、塗料缶Cが鉄塔部材Tに仮固定される。ここで、吊り部5に塗料缶Cを掛けたまま、本物品仮固定具1を鉄塔部材Tに仮固定してもよい。
【0035】
また、次の塗装場所に移動する場合などには、
図2に示すように、レバー4を下げて(他方の方向に動かして)磁石3をケース2の開口部21から後退させればよい。これにより、本物品仮固定具1つまり塗料缶Cが鉄塔部材Tから取り外されるため、塗料缶Cを持って移動すればよい。
【0036】
以上のように、この物品仮固定具1によれば、レバー4を一方の方向に動かすだけで、磁力によって鉄塔部材Tに塗料缶Cを容易かつ安定して仮固定することが可能で、かつ、レバー4を他方の方向に動かすだけで、容易かつ迅速に塗料缶Cの仮固定を解除することが可能となる。しかも、磁力で仮固定してケース2の吊り部5を介して塗料缶Cを吊り下げるため、ケース2の開口部21が対向(対面)できるところであれば、細長く斜めにも配設されている鉄塔部材Tなどにも、安定して塗料缶Cを仮固定することが可能となる。すなわち、
図6、
図7に示すような鉄塔の水平部材Tや斜め部材Tに対しても、安定して塗料缶Cを仮固定することが可能となる。
【0037】
そして、このように、塗料缶Cの仮固定やその解除を安定かつ容易に行えることで、鉄塔などの高所においても、作業者が安全かつ容易に塗装を行うことが可能となり、しかも、怪我や墜落などを防止することが可能となる。
【0038】
また、磁石3の少なくとも両側面側に両側板(ヨーク板)32aを備えるため、磁石3の磁力がケース2の開口部21側に集中し、磁石3による鉄塔部材Tへの吸着力・固定力が高まり、より安定して塗料缶Cを仮固定することが可能となる。
【0039】
さらに、ハンドルが2方向に回動可能なレバー4で構成されているため、レバー4を一方に回動したり他方に回動したりするだけで、鉄塔部材Tへの仮固定やその解除が可能なため、より容易かつ迅速な操作が可能となる。このため、不安定な姿勢が強いられる鉄塔などの高所においても、安全かつ容易に塗料缶Cの仮固定や取り外しを行うことが可能となる。
【0040】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、鉄鋼構造体が鉄塔(鉄塔部材T)で、物品が塗料缶Cの場合について説明したが、その他の鉄鋼構造体や物品であってもよいことは勿論である。例えば、鉄鋼構造体が工事現場の足場で、物品が工具袋であってもよい。また、ケース2の形状を略L字体とし、鉄塔部材Tである山形鋼に沿うように配置して、より強固かつ安定に仮固定できるようにしてもよい。
【0041】
また、上記の実施の形態では、吊りリング52の一部が開閉部521として開閉自在となっているが、吊りリング52を2重に巻いたリングにして非開放型とし、落下しないようにしてもよい(望ましい)。
【符号の説明】
【0042】
1 物品仮固定具
2 ケース
21 開口部(対向部)
3 磁石
31 台座
32 ヨーク材
32a 両側板(ヨーク板)
4 レバー(ハンドル)
41 回転軸
5 吊り部
51 回転ピン
52 吊りリング
T 鉄塔部材(鉄鋼構造体の部材)
C 塗料缶(物品)