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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069891
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】リング状部材及び組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20240515BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240515BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240515BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20240515BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/213
H01M50/588
H01M50/559
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180170
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂田 賢
(72)【発明者】
【氏名】村田 晋士郎
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA18
5H040AT01
5H040DD08
5H043AA04
5H043AA19
5H043CA03
5H043GA23
5H043GA26
5H043JA06F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】製造性の低下を抑えて高品質の組電池を実現する。
【解決手段】リング状部材1Aは、並設される円筒形電池群を含む組電池の、円筒形電池群の端面に設けられる各電極面に対応する、平面状に連続したリング部10群を有する。リング状部材1Aは更に、リング部10群のうちの少なくとも一組の隣接するリング部10の谷間30であって、隣接するリング部10の少なくとも一方の側縁部12に、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも内側に突出するように設けられた鍔部20を有する。このようなリング状部材1Aによれば、その製造効率化、低コスト化が実現される。また、このようなリング状部材1Aが用いられることで、製造性の低下が抑えられて高品質の組電池が実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設される円筒形電池群を含む組電池の、前記円筒形電池群の端面に設けられる各電極面に対応する、平面状に連続したリング部群と、
前記リング部群のうちの少なくとも一組の隣接する前記リング部の谷間であって、隣接する前記リング部の少なくとも一方の側縁部に、平面視で前記リング部群に外接する枠よりも内側に突出するように設けられた鍔部と、
を有する、リング状部材。
【請求項2】
平面視で、長手方向の中心を通って前記長手方向と直交する線に対し、対称な形状を有する、請求項1に記載のリング状部材。
【請求項3】
前記鍔部は、前記鍔部が設けられる前記リング部が対応する前記円筒形電池に設けられた時に、前記円筒形電池の側面に対する前記鍔部の縁の位置が、前記側面に設けられる電子部品が有するリードの前記側面に対する高さと同一又は略同一の位置となるように、設けられる、請求項1に記載のリング状部材。
【請求項4】
前記谷間の1つにおいて、隣接する前記リング部の両方の前記側縁部にそれぞれ1つずつ設けられた2つの前記鍔部を有する、請求項1に記載のリング状部材。
【請求項5】
請求項1に記載のリング状部材を用いた組電池。
【請求項6】
前記谷間の前記鍔部の縁に屈曲部を有し、前記屈曲部に対して一方の第1端部が、前記鍔部が設けられた前記リング部上を延びてその中央開口に位置する前記電極面に接続され、前記屈曲部に対して他方の第2端部が、前記谷間において隣接する前記円筒形電池の間に位置する接続端子と、
前記谷間において隣接する前記円筒形電池の間に設けられ、前記第2端部に接続されるリードを有する電子部品と、
を含む、請求項5に記載の組電池。
【請求項7】
前記リング状部材は、前記谷間の1つにおいて、隣接する前記リング部の両方の前記側縁部にそれぞれ1つずつ設けられた2つの前記鍔部を有し、
当該2つの前記鍔部にそれぞれ1つずつ前記接続端子が設けられ、
前記谷間の1つにおいて隣接する前記円筒形電池の間に、当該1つずつ設けられた前記接続端子にそれぞれ1つずつ接続された2つの前記電子部品が設けられる、請求項6に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状部材及び組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
並列に配置された複数の円筒形電池を含む組電池が知られている。このような組電池に関し、円筒形電池群を絶縁性の接着テープで一括する技術や、円筒形電池とそれに接続されるダイオード等の電子部品との接触による短絡を回避するため電池側面に接着テープ等の絶縁体を配置する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、組電池に関し、円筒形電池群をそれらの電極面に対応したリング部を連続させた平板状で絶縁性のリング状部材を用いて固定する技術が知られている(特許文献2)。このほか、隣接する円筒形電池の谷間に対応するリング部の側縁部から外側に延伸されて当該谷間に折り曲げられる延伸部を設けた絶縁性のリング状部材を用い、円筒形電池群を固定すると共に、円筒形電池と当該谷間に配置される電子部品との短絡を、折り曲げた延伸部によって回避する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-69098号公報
【特許文献2】特開2022-147174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
並設される円筒形電池群を含む組電池において、円筒形電池群をそれらの電極面に対応したリング部を連続させたのみの平板状で絶縁性のリング状部材を用いて固定する場合がある。しかし、この場合には、隣接する円筒形電池間の谷間に設けられる電子部品又はそれと接続される接続端子(タブ)との短絡を回避するために、当該谷間に絶縁テープ等を貼り付けることを要する。そのため、組電池の製造性が低下し得る。
【0006】
組電池において、上記のような、リング部の側縁部から外側に延伸されて隣接する円筒形電池間の谷間に折り曲げられる延伸部を設けた絶縁性のリング状部材を用いると、折り曲げた延伸部によって、当該谷間に設けられる電子部品等との短絡が回避されるようになる。しかし、このリング状部材では、リング部のほか、その外側に比較的大きく延伸される延伸部を含む形状のために、リング状部材の製造性が低下し得る。また、リング状部材がそのような形状であると、各種組電池への汎用性が低下したり、延伸部を隣接する円筒形電池間の谷間に折り曲げる工数を要したりする等、組電池の製造性が低下し得る。
【0007】
1つの側面では、本発明は、製造性の低下を抑えて高品質の組電池を得ることのできるリング状部材を実現することを目的とする。
また、1つの側面では、本発明は、そのようなリング状部材を用い、製造性の低下を抑えて高品質の組電池を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、並設される円筒形電池群を含む組電池の、前記円筒形電池群の端面に設けられる各電極面に対応する、平面状に連続したリング部群と、前記リング部群のうちの少なくとも一組の隣接する前記リング部の谷間であって、隣接する前記リング部の少なくとも一方の側縁部に、平面視で前記リング部群に外接する枠よりも内側に突出するように設けられた鍔部と、を有する、リング状部材が提供される。
【0009】
また、1つの態様では、上記のようなリング状部材を用いた組電池が提供される。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、製造性の低下を抑えて高品質の組電池を得ることのできるリング状部材を実現することが可能になる。
また、1つの側面では、そのようなリング状部材を用い、製造性の低下を抑えて高品質の組電池を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】リング状部材の一例について説明する図である。
図2】リング状部材を用いた組電池の一例について説明する図(その1)である。
図3】リング状部材を用いた組電池の一例について説明する図(その2)である。
図4】リング状部材の別例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1はリング状部材の一例について説明する図である。図1(A)にはリング状部材の一例の側面図を示し、図1(B)にはリング状部材の一例の平面図を示している。図1(C)にはリング状部材の一例の構成について説明するための平面図を示している。
【0013】
図1(A)及び図1(B)に示すリング状部材1Aは、1列に並設される3本の円筒形電池群を含む組電池の、その3本の円筒形電池群に取り付けられるリング状部材の一例である。このリング状部材1Aが取り付けられる組電池に含まれる各円筒形電池は、両端面のうちの一方の端面側に正極端子が設けられ、他方の端面側に負極端子が設けられる電池である。リング状部材1Aは、並設される3本の円筒形電池群の一方若しくは他方の端面側に、又は、両端面側にそれぞれ、取り付けられる部材である。尚、円筒形電池の、正極端子が設けられる端面を「電極面」又は「正極面」とも言い、負極端子が設けられる端面を「電極面」又は「負極面」とも言う。
【0014】
リング状部材1Aは、図1(A)及び図1(B)に示すような平板状の形態を有する。リング状部材1Aは、図1(A)及び図1(B)、並びに、図1(C)に示すように、それが取り付けられる組電池の3本の円筒形電池群の一端面側に設けられる各電極面(正極面又は負極面)に対応する、平面状に連続した3つのリング部10群を有する。図1(C)には便宜上、各リング部10を点線円で模式的に図示している。各リング部10の中央には、対応する各円筒形電池の電極面に通じるような開口部11が設けられる。尚、リング部10の開口部11を「中央開口」とも言う。
【0015】
リング状部材1Aは更に、図1(C)に示すように、リング部10群のうちの少なくとも一組の隣接するリング部10の谷間30であって、隣接するリング部10の少なくとも一方の側縁部12に、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも内側に突出するように設けられた鍔部20を有する。枠40Aは仮想枠であって、図1(C)には枠40Aを鎖線矩形で図示している。ここでは一例として、3つのリング部10群が連続することで外縁に形成される谷間30の各々、即ち、4つの谷間30の各々に、鍔部20が設けられた形態を示している。更に、ここでは一例として、各谷間30において隣接するリング部10の双方の側縁部12にそれぞれ鍔部20が設けられた形態、即ち、1つの谷間30に2つの鍔部20が設けられた形態を示している。
【0016】
リング状部材1Aのリング部10群は、組電池において並設される円筒形電池群を固定する機能を有する。リング状部材1Aの鍔部20は、組電池において隣接する円筒形電池の谷間に搭載される、ダイオード等の保護素子を含む電子部品の、そのリードを円筒形電池の電極面と電気的に接続するための接続端子(「タブ」とも言う)を支持する機能を有する。尚、このような点の詳細については後述する。
【0017】
リング状部材1Aは、図1(C)に示すように、その長手方向D1(鎖線矢印で図示)の中心を通って当該長手方向D1と直交する線CL1(鎖線で図示、「中心線」とも言う)に対し、リング部10群及びそれらの谷間30に設けられる鍔部20が、対称に配置されるような形状を有する。即ち、リング状部材1Aは、平面視で、中心線CL1に対し、左右対称となるような形状とされる。
【0018】
リング状部材1Aは、絶縁性を有する。リング状部材1Aには、各種絶縁材料が用いられる。例えば、リング状部材1Aには、絶縁性の各種樹脂が用いられる。一例として、リング状部材1Aには、ポリカーボネートが用いられる。このほか、リング状部材1Aには、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられてもよい。リング状部材1Aの厚さは、0.1mmから1mm程度の範囲、例えば、0.2mmとされる。リング状部材1Aは、例えば、樹脂等のシート原反からの、金型を用いた打ち抜き加工によって製造される。
【0019】
リング状部材1Aは、金型を用いた打ち抜き加工によって効率的に製造することが可能であり、製造されるリング状部材1Aが平板状であって、用いる金型が比較的簡単な構造となるため、金型作製に要する時間及びコストを削減することが可能になる。
【0020】
また、リング状部材1Aは、リング部10群の谷間30に設けられる鍔部20が、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも内側に設けられる。そのため、リング状部材1Aは、リング部10群の谷間30に枠40Aよりも外側に突出するような鍔形状の部位が設けられる場合に比べて、例えば、上記特許文献2のように、円筒形電池間の谷間に折り曲げ可能な比較的長い鍔形状の延伸部が設けられる場合に比べて、外形サイズが小さくなる。よって、打ち抜き加工によるシート原反からのリング状部材1Aの取り数の低下を抑えることが可能になる。シート原反からの取り数の低下が抑えられることで、リング状部材1Aの低コスト化を実現することが可能になる。また、リング状部材1Aを中心線CL1に対して左右対称となるような平面形状としておくことで、その向きの制限がなくなり、適用可能な組電池又はその端面への取り付けについて、汎用性を高めることが可能になる。
【0021】
鍔部20を有するリング状部材1Aを上記のような形状とし、それを金型による打ち抜き加工で製造することで、汎用性の高いリング状部材1Aを効率的に低コストで実現することが可能になり、リング状部材1Aの製造性を高めることが可能になる。
【0022】
上記のようなリング状部材1Aが、組電池において、並設される円筒形電池群の所定の端面側に取り付けられる。リング状部材1Aを用いることで、組電池の製造性の低下が抑えられる。この点について更に述べる。
【0023】
リング状部材1Aは、平面視で鍔部20がリング部10群に外接する枠40Aよりも内側に設けられ、枠40Aよりも外側に延びる比較的長い鍔形状の部位(例えば上記特許文献2)が設けられない。そのため、円筒形電池群に取り付ける際に用いられる治具の大型化、形状複雑化を回避することが可能になる。更に、このようなリング状部材1Aでは、それを円筒形電池群に取り付ける際、比較的長い鍔形状の部位を円筒形電池間の谷間に折り曲げるといった作業が不要になる。そのため、組電池の製造に要する工数を削減することが可能になる。
【0024】
また、リング状部材1Aでは、例えば図1(C)に示すように、1つの谷間30に2つの鍔部20を設けた形態とすると、後述のように隣接する円筒形電池間に安全部品としてダイオード等の保護素子を含む電子部品を搭載する際の、その搭載位置の制限がなくなる。即ち、詳細は後述するが、1つの谷間30に2つの鍔部20が設けられることで、谷間30において隣接する円筒形電池のうちのいずれの円筒形電池の側面に沿わせて電子部品を搭載するか、といった自由度を高めることが可能になる。リング状部材1Aの各谷間30について、このように1つの谷間30に2つの鍔部20を設けた形態とすると、電子部品の搭載位置の自由度をより一層高めることが可能になる。
【0025】
また、リング状部材1Aでは、例えば図1(C)に示すように、平面形状が左右対称になる形態とすると、その向きに制限がなくなり、リング状部材1Aを、並設される円筒形電池群の一方の電極面側及び他方の電極面側のいずれにも取り付けることが可能になる。換言すれば、並設される円筒形電池群の一方の電極面側及び他方の電極面側のいずれにも取り付けられるリング状部材1Aを、同じ金型を用いて製造することが可能になるとも言える。
【0026】
このように、リング状部材1Aによれば、それを用いた組電池の製造性の低下を抑えることが可能になる。リング状部材1Aによれば、製造性の低下を抑えて高品質の組電池を実現することが可能になる。
【0027】
以下、リング状部材1Aを用いた組電池について、より具体的に説明する。
リング状部材1Aは、並設される円筒形電池群の一方の電極面側及び他方の電極面側の少なくとも一方、即ち、円筒形電池群の正極面側及び負極面側のいずれかにのみ、又は、両方にそれぞれ、取り付けられる。例えば、並設される円筒形電池群の一方の電極面側及び他方の電極面側の両方にそれぞれ取り付けられる場合、一方の電極面側と他方の電極面側とにはそれぞれ、互いに同一形状のリング状部材1Aが取り付けられる。
【0028】
図2及び図3はリング状部材を用いた組電池の一例について説明する図である。図2には組電池の一例の要部斜視図を示している。図3には組電池の一例の要部断面図を示している。図3図2のIII-III断面を模式的に図示したものである。
【0029】
図2及び図3に示す組電池50は、1列に並設される3本の円筒形電池51群を含む。これら円筒形電池51群の一端面側に、1枚の平板状のリング状部材1Aが取り付けられる。リング状部材1Aは、各リング部10が円筒形電池51群の一端面側の各電極面51aに対向し、各リング部10の開口部11から、対応する電極面51aの一部が露出するように、円筒形電池51群の一端面側に取り付けられる。リング状部材1Aは、例えば、リング部10群が、両面テープや接着剤等(図示せず)を用いて、円筒形電池51群の一端面側に貼り付けられる。
【0030】
図2では図示を省略するが、図3に示すように、円筒形電池51群の他端面側にも同様に、もう1枚の平板状のリング状部材1Aが取り付けられる。リング状部材1Aは、各リング部10が円筒形電池51群の他端面側の各電極面51bに対向し、各リング部10の開口部11から、対応する電極面51bの一部が露出するように、円筒形電池51群の他端面側に取り付けられる。リング状部材1Aは、例えば、リング部10群が、両面テープや接着剤等(図示せず)を用いて、円筒形電池51群の他端面側に貼り付けられる。
【0031】
円筒形電池51群の一端面側及び他端面側にそれぞれ貼り付けられるリング状部材1Aは、前述のように、金型を用いたシート原反からの打ち抜き加工によって得ることができる。例えば、打ち抜き加工によって得られたリング状部材1Aの片面に両面テープを貼り付け、その両面テープを用いて、リング状部材1Aを円筒形電池51群の一端面側及び他端面側にそれぞれ貼り付ける。或いは、予めシート原反の片面に両面テープを貼り付けておき、そのシート原反からの打ち抜き加工によって両面テープ付きのリング状部材1Aを得て、その両面テープを用いて、リング状部材1Aを円筒形電池51群の一端面側及び他端面側にそれぞれ貼り付けるようにしてもよい。
【0032】
組電池50において、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側には、互いに同一平面形状のリング状部材1Aが貼り付けられる。そのため、隣接する円筒形電池51の谷間31には、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側において、互いに同じ向きに存在又は突出する鍔部20が設けられる(図3)。
【0033】
リング状部材1Aが、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側にそれぞれ貼り付けられることで、円筒形電池51群が、1列に並設された状態で、リング状部材1Aによって固定される。後述のように、組電池50は、最終的に、全体が絶縁性の熱収縮チューブ(図示せず)で覆われることで完成品とされる。リング状部材1Aによって円筒形電池51群が固定されることで、このように全体を熱収縮チューブで覆う際にも、円筒形電池51群の並びが崩れてしまうこと、そして、組電池50の形状が崩れてしまうことが抑えられる。
【0034】
リング状部材1Aを用いて固定された円筒形電池51群の電極面51a及び電極面51bにはそれぞれ、接続端子60(タブ)が接続される。接続端子60には、各種導電材料が用いられる。例えば、接続端子60には、金属材料が用いられる。一例として、接続端子60には、ステンレスが用いられる。
【0035】
接続端子60には、円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bに接続される接続部61(図2)、及び、接続部61から所定の方向に引き出された引き出し部62(図2)が設けられる。接続部61は、リング状部材1Aのリング部10の開口部11から露出する円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bの部分に、溶接等の手法を用いて接続される。引き出し部62は、接続部61がリング状部材1Aのリング部10の開口部11から露出する円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bの部分に接続された時に、リング状部材1Aの鍔部20に対応した方向、即ち、鍔部20が存在又は突出する方向に延びるように、設けられる。
【0036】
接続端子60の引き出し部62は、鍔部20の縁21に屈曲部62aを有する。接続端子60は、鍔部20の縁21の屈曲部62aに対して一方の端部60a(引き出し部62の根元側及びそれに連続する接続部61)が、鍔部20が設けられたリング部10上を延びてその開口部11(中央開口)に位置する電極面51a又は電極面51bに接続される。尚、この屈曲部62aに対して一方の端部60aを「第1端部」とも言う。接続端子60は、鍔部20の縁21の屈曲部62aに対して他方の端部60b(引き出し部62の先端側)が、鍔部20が設けられる谷間30において隣接する円筒形電池51の間、即ち、隣接する円筒形電池51の谷間31に位置する。尚、この屈曲部62aに対して他方の端部60bを「第2端部」とも言う。
【0037】
例えば、接続端子60は、接続部61が円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bに接続された後に、引き出し部62が折り曲げられて屈曲部62aが形成される。或いは、接続端子60は、接続部61が円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bに接続される前に、引き出し部62が折り曲げられて屈曲部62aが形成され、引き出し部62に屈曲部62aが形成された接続端子60の接続部61が、円筒形電池51の電極面51a又は電極面51bに接続されてもよい。
【0038】
接続端子60の、隣接する円筒形電池51の間(谷間31)に位置する端部60bには、安全部品として、ダイオード等の保護素子を含む電子部品70が接続される。例えば、一対のアキシャルリード71を有するアキシャル型の電子部品70の、そのアキシャルリード71が、隣接する円筒形電池51の間に位置する接続端子60の端部60bに接続される。電子部品70の一対のアキシャルリード71がそれぞれ、円筒形電池51群の一端面側に接続された接続端子60の端部60bと、他端面側に接続された接続端子60の端部60bとに接続される(図3)。電子部品70の一対のアキシャルリード71と、接続端子60の端部60bとは、溶接や半田接合等の手法を用いて接続される。尚、電子部品70のアキシャルリード71を「リード」とも言う。
【0039】
安全部品としての電子部品70が、円筒形電池51の一端面側の電極面51aと他端面側の電極面51bとの間、即ち、正極面と負極面との間に接続されることで、正負極面間の過放電が抑えられるようになる。
【0040】
例えば、リング状部材1Aが用いられ、この図2及び図3に示すような組電池50、即ち、円筒形電池51群、リング状部材1A、接続端子60及び電子部品70を備える組電池50が実現される。
【0041】
尚、ここでは図示を省略するが、組電池50には更に、異なる円筒形電池51間を電気的に接続するためのリード、タブ等が接続されてもよく、組電池50を外部と電気的に接続するためのタブ、リード、コネクタ等が接続されてもよい。
【0042】
組電池50は、最終的に、全体が絶縁性の熱収縮チューブ(図示せず)で覆われることで完成品とされる。組電池50に熱収縮チューブが被せられ、それが熱風により収縮されることで、組電池50が熱収縮チューブで覆われる。
【0043】
上記のような構成を有する組電池50において、リング状部材1Aの鍔部20は、例えば、搭載される電子部品70の形態に基づいて、リング部10の谷間30の側縁部12に設けられる。例えば、リング状部材1Aの鍔部20は、その縁21の位置が、円筒形電池51の側面51cに沿って搭載される電子部品70の、そのアキシャルリード71の形態に基づいて、リング部10の谷間30の側縁部12に設けられる。例えば、図3に示すように、鍔部20は、それが設けられるリング部10が対応する円筒形電池51に設けられた時に、その円筒形電池51の側面51cに対する縁21の位置h1が、その円筒形電池51の側面51cに沿って搭載される電子部品70のアキシャルリード71の当該側面51cに対する高さH1と同一の位置となるように、又は、略同一即ち側面51cに対するアキシャルリード71の高さH1から接続端子60の端部60bの厚さを差し引いた高さの位置となるように、リング部10の谷間30の側縁部12に設けられる。
【0044】
接続端子60は、このような鍔部20が設けられたリング状部材1Aを介して、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側に接続される。接続端子60の引き出し部62は、リング状部材1Aの鍔部20の縁21に屈曲部62aを有し、屈曲部62aに対して接続部61側の端部60aが、鍔部20を含むリング状部材1Aで支持される。屈曲部62aに対して円筒形電池51の谷間31側に折り曲げられた端部60bは、リング状部材1Aのリング部10から鍔部20が突出する分、円筒形電池51の側面51cから離間し、円筒形電池51の側面51cからは浮いた状態となる。そのため、接続端子60の端部60bと円筒形電池51の側面51cとの接触、短絡を回避するために、端部60bと対向する円筒形電池51の側面51cの部分に絶縁テープを貼り付ける等の絶縁処理を施すことが不要になる。
【0045】
また、接続端子60の端部60bは、リング状部材1Aの鍔部20と電子部品70のアキシャルリード71とによって支持されるため、折れ曲がり難くなる。接続端子60には、組電池50を熱収縮チューブで覆う際や、外部からの衝撃によって、外側から内側(円筒形電池51の側面51c側)に向かう外力が加わり得る。接続端子60の端部60bは、リング状部材1Aの鍔部20と電子部品70のアキシャルリード71とによって支持されることで、そのような外力が加わっても、内側に折れ曲がり難くなる。そのため、接続端子60の端部60bと円筒形電池51の側面51cとの外力による接触、短絡を回避するために、円筒形電池51の側面51cに絶縁テープを貼り付ける等の絶縁処理を施すことが不要になる。
【0046】
また、リング状部材1Aの鍔部20は、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも内側に突出するように設けられる。鍔部20は、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも外側には突出しないため、組電池50が熱収縮チューブで覆われる際にも、鍔部20が起点となって熱収縮チューブが破れてしまうようなことが抑えられる。
【0047】
以上説明したように、リング状部材1Aを用いた組電池50では、用いるリング状部材1Aの鍔部20を、平面視でリング部10群に外接する枠40Aよりも外側に突出しないような比較的短い突出量とする。これにより、平面視でリング部10群の枠40Aの外側に突出するような比較的長い鍔形状の部位が設けられる場合に比べて、リング状部材1Aを円筒形電池51群に取り付ける際に用いられる治具の大型化、形状複雑化を回避することができる。また、リング状部材1Aでは、鍔部20が比較的短く、比較的長い鍔形状の場合のような折り曲げが不要になり、両面テープで円筒形電池51群に貼り付ければ足りるため、リング状部材1Aの取り付け(円筒形電池51群の固定)に要する工数を削減することができる。リング状部材1Aによれば、それを用いた組電池50の製造性の低下を抑えることができる。
【0048】
また、リング状部材1Aを用いた組電池50では、用いるリング状部材1Aの鍔部20を、リング部10群の各谷間30について、1つの谷間30に2つ、即ち、隣接するリング部10の各側縁部12にそれぞれ設けた構成とすることができる。このような構成とすることで、リング状部材1Aの向きに制限がなくなり、電子部品70の搭載位置の自由度を高めることができる。
【0049】
即ち、並設される円筒形電池51群のいずれの谷間31に電子部品70を搭載するか、更には、1つの谷間31において隣接する円筒形電池51のうちのいずれの円筒形電池51の側面51cに沿わせて電子部品70を搭載するか、といった自由度を高めることができる。更にまた、1つの谷間31において隣接する円筒形電池51の双方の側面51cにそれぞれ沿わせて電子部品70を搭載し、1つの谷間31に2つの電子部品70を搭載する、といったことも可能になる。尚、電子部品70の搭載の際には、側面51cに沿わせて電子部品70が搭載される円筒形電池51についてそれぞれ、それに対応して設けられるリング部10の鍔部20に、それに延びる接続端子60が設けられ、その鍔部20から谷間31に折れ曲がる端部60bに、電子部品70のアキシャルリード71が接続される。このような構成が、並設される円筒形電池51群の1つの谷間31又は2つ以上の谷間31の各々における、2つの鍔部20のうちの一方又は双方に対して適用される。
【0050】
リング状部材1Aによれば、電子部品70のような安全部品を高い自由度で搭載することができ、高品質の組電池50をその製造性の低下を抑えて実現することができる。
また、リング状部材1Aを用いた組電池50では、用いるリング状部材1Aを、その平面形状が左右対称となるような構成とすることができる。このような構成とすることで、リング状部材1Aの向きに制限がなくなり、リング状部材1Aを、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側のいずれにも取り付けることができる。換言すれば、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側のいずれにも取り付けることができるリング状部材1Aを、同じ金型を用いて製造することができるとも言える。リング状部材1Aによれば、その汎用性を高め、それを用いた組電池50の製造性の低下を抑えることができる。
【0051】
リング部10群の全ての谷間30の各々に2つの鍔部20を設けた、平面形状が左右対称のリング状部材1Aによれば、電子部品70の搭載位置の自由度を高め、且つ、円筒形電池51群の一端面側及び他端面側のいずれにも取り付け可能にしてその汎用性を高めることが可能になる。
【0052】
また、リング状部材1Aでは、鍔部20を、平面視でリング部10群の枠40Aの外側に突出しないような比較的短い突出量とすることで、外形サイズの大型化を抑え、シート原反からの打ち抜き加工でリング状部材1Aを製造する際の、その取り数の低下を抑えることもできる。リング状部材1Aによれば、打ち抜き加工による製造の効率化、取り数の増加による低コスト化を実現することができる。
【0053】
リング状部材1Aによれば、汎用性の高いリング状部材1Aを効率的に低コストで実現することが可能になり、リング状部材1Aの製造性を高めることが可能になる。また、リング状部材1Aを用いることで、製造性の低下を抑えて高品質の組電池50を実現することが可能になる。
【0054】
以上の説明では、1列に並設される3本の円筒形電池51群を含む組電池50に用いるリング状部材1Aを例にしたが、リング状部材は、組電池に含まれる円筒形電池群の本数や配列に合わせて、各種形状とすることができる。
【0055】
図4はリング状部材の別例について説明する図である。図4(A)及び図4(B)にはそれぞれ、リング状部材の別例の平面図を示している。
図4(A)に示すリング状部材1Bは、2列に並設(俵積み)される7本の円筒形電池群を含む組電池の、その7本の円筒形電池群に取り付けられるリング状部材の一例である。リング状部材1Bは、7本の円筒形電池群の一端面側に設けられる各電極面(正極面又は負極面)に対応する、平面状に連続した7つのリング部10群を有する。図4(A)には便宜上、各リング部10を点線円で模式的に図示している。各リング部10の中央には、対応する各円筒形電池の電極面に通じるような開口部11(中央開口)が設けられる。
【0056】
リング状部材1Bは更に、図4(A)に示すように、リング部10群のうちの少なくとも一組の隣接するリング部10の谷間30であって、隣接するリング部10の少なくとも一方の側縁部12に、平面視でリング部10群に外接する枠40Bよりも内側に突出するように設けられた鍔部20を有する。枠40Bは仮想枠であって、図4(A)には枠40Bを鎖線矩形(台形)で図示している。ここでは一例として、7つのリング部10群が連続することで外縁に形成される谷間30の各々、即ち、7つの谷間30の各々に、鍔部20が設けられた形態を示している。更に、ここでは一例として、各谷間30において隣接するリング部10の双方の側縁部12にそれぞれ鍔部20が設けられた形態、即ち、1つの谷間30に2つの鍔部20が設けられた形態を示している。
【0057】
リング状部材1Bは、図4(A)に示すように、その長手方向D2(鎖線矢印で図示)の中心を通って当該長手方向D2と直交する中心線CL2(鎖線で図示)に対し、リング部10群及びそれらの谷間30に設けられる鍔部20が、対称に配置されるような形状を有する。即ち、リング状部材1Bは、平面視で、中心線CL2に対し、左右対称となるような形状とされる。
【0058】
平板状のリング状部材1Bは、比較的簡単な構造の金型を用いた打ち抜き加工によって製造される。また、リング状部材1Bは、リング部10群の谷間30に設けられる鍔部20が、平面視でリング部10群に外接する枠40Bよりも内側に設けられる。そのため、外形サイズが小さくなり、打ち抜き加工によるシート原反からのリング状部材1Bの取り数の低下が抑えられる。リング状部材1Bの平面形状が中心線CL2に対して左右対称であると、その向きの制限がなくなり、汎用性が高められる。鍔部20を有するリング状部材1Bを上記のような形状とし、それを打ち抜き加工で製造することで、汎用性の高いリング状部材1Bが効率的に低コストで実現され、リング状部材1Bの製造性が高められる。
【0059】
例えば、図4(A)に示すようなリング状部材1Bが、7本の円筒形電池群の一端面側若しくは他端面側或いは両端面側に両面テープで貼り付ける等して取り付けられる。これにより、7本の円筒形電池群がリング状部材1Bによって固定される。リング状部材1Bでは、平面視でリング部10群の枠40Bよりも外側に突出しない比較的短い鍔部20が設けられる。そのため、比較的長い鍔形状の部位が設けられる場合に比べて、円筒形電池群に取り付ける際の治具の大型化、形状複雑化が回避される。リング状部材1Bでは、鍔形状の部位を折り曲げるといった作業は不要になり、取り付けに要する工数が削減される。
【0060】
リング状部材1Bは、それが7本の円筒形電池群に取り付けられた時にリング部10の開口部11から露出する電極面に接続される接続端子を支持する機能を有する。接続端子は、リング状部材1Bの鍔部20の縁21で折り曲げられる。これにより、接続端子の、鍔部20の縁21で折り曲げられた端部は、円筒形電池の側面から浮いた状態になる。そのため、当該側面に絶縁テープを貼り付ける等の絶縁処理が不要になる。接続端子は、リング状部材1Bで支持され、外力が加わっても円筒形電池の側面の側に折れ曲がり難くなる。
【0061】
接続端子には、円筒形電池群の谷間に搭載される、安全部品としての電子部品の、そのリードが接続される。リング状部材1Bでは、リング部10群の各谷間30について、1つの谷間30に2つの鍔部20を設けることができる。これにより、リング状部材1Bの向きに制限がなくなり、円筒形電池群の谷間に搭載される電子部品の、その搭載位置の自由度が高められる。
【0062】
リング状部材1Bでは、その平面形状が左右対称となるようにすることができる。これにより、リング状部材1Bの向きに制限がなくなり、1種類の金型を用いて製造されるリング状部材1Bを、円筒形電池群の両端面側のいずれにも採用することができ、その汎用性が高められる。
【0063】
リング状部材1Bの鍔部20は、リング部10群の枠40Bよりも内側にあって、枠40Bよりも外側には突出しない。そのため、7本の円筒形電池群を含み且つリング状部材1B等が取り付けられた組電池が熱収縮チューブで覆われる際にも、鍔部20が起点となって熱収縮チューブが破れてしまうようなことが抑えられる。
【0064】
リング状部材1Bによれば、汎用性の高いリング状部材1Bを効率的に低コストで実現することが可能になり、リング状部材1Bの製造性を高めることが可能になる。また、リング状部材1Bを用いることで、製造性の低下を抑えて、7本の円筒形電池群を含む高品質の組電池を実現することが可能になる。
【0065】
また、図4(B)に示すリング状部材1Cは、2列に並設(俵積み)される6本の円筒形電池群を含む組電池の、その6本の円筒形電池群に取り付けられるリング状部材の一例である。リング状部材1Cは、6本の円筒形電池群の一端面側に設けられる各電極面(正極面又は負極面)に対応する、平面状に連続した6つのリング部10群を有する。図4(B)には便宜上、各リング部10を点線円で模式的に図示している。各リング部10の中央には、対応する各円筒形電池の電極面に通じるような開口部11(中央開口)が設けられる。
【0066】
リング状部材1Cは更に、図4(B)に示すように、リング部10群のうちの少なくとも一組の隣接するリング部10の谷間30であって、隣接するリング部10の少なくとも一方の側縁部12に、平面視でリング部10群に外接する枠40Cよりも内側に突出するように設けられた鍔部20を有する。枠40Cは仮想枠であって、図4(B)には枠40Cを鎖線矩形(平行四辺形)で図示している。ここでは一例として、6つのリング部10群が連続することで外縁に形成される谷間30の各々、即ち、6つの谷間30の各々に、鍔部20が設けられた形態を示している。更に、ここでは一例として、各谷間30において隣接するリング部10の双方の側縁部12にそれぞれ鍔部20が設けられた形態、即ち、1つの谷間30に2つの鍔部20が設けられた形態を示している。
【0067】
平板状のリング状部材1Cは、比較的簡単な構造の金型を用いた打ち抜き加工によって製造される。また、リング状部材1Cは、リング部10群の谷間30に設けられる鍔部20が、平面視でリング部10群に外接する枠40Cよりも内側に設けられる。そのため、外形サイズが小さくなり、打ち抜き加工によるシート原反からのリング状部材1Cの取り数の低下が抑えられる。鍔部20を有するリング状部材1Cを上記のような形状とし、それを打ち抜き加工で製造することで、リング状部材1Cが効率的に低コストで実現され、リング状部材1Cの製造性が高められる。
【0068】
例えば、図4(B)に示すようなリング状部材1Cが、6本の円筒形電池群の一端面側若しくは他端面側或いは両端面側に両面テープで貼り付ける等して取り付けられる。これにより、6本の円筒形電池群がリング状部材1Cによって固定される。リング状部材1Cでは、平面視でリング部10群の枠40Cよりも外側に突出しない比較的短い鍔部20が設けられる。そのため、比較的長い鍔形状の部位が設けられる場合に比べて、円筒形電池群に取り付ける際の治具の大型化、形状複雑化が回避される。リング状部材1Cでは、鍔形状の部位を折り曲げるといった作業は不要になり、取り付けに要する工数が削減される。
【0069】
リング状部材1Cは、それが6本の円筒形電池群に取り付けられた時にリング部10の開口部11から露出する電極面に接続される接続端子を支持する機能を有する。接続端子は、リング状部材1Cの鍔部20の縁21で折り曲げられる。これにより、接続端子の、鍔部20の縁21で折り曲げられた端部は、円筒形電池の側面から浮いた状態になる。そのため、当該側面に絶縁テープを貼り付ける等の絶縁処理が不要になる。接続端子は、リング状部材1Cで支持され、外力が加わっても円筒形電池の側面の側に折れ曲がり難くなる。
【0070】
接続端子には、円筒形電池群の谷間に搭載される、安全部品としての電子部品の、そのリードが接続される。リング状部材1Cでは、リング部10群の各谷間30について、1つの谷間30に2つの鍔部20を設けることができる。これにより、リング状部材1Cの向きに制限がなくなり、円筒形電池群の谷間に搭載される電子部品の、その搭載位置の自由度が高められる。
【0071】
リング状部材1Cは、その平面形状が左右対称ではないが、2枚のリング状部材1Cについて、両面テープ等による接着面を互いに反対側とすれば、それぞれを6本の円筒形電池群の一端面側及び他端面側に取り付けることができる。このように使用することで、リング状部材1Cの汎用性を高めることができる。このように使用されるリング状部材1Cであれば、円筒形電池群の両端面側のいずれにも採用することができるリング状部材1Cを、1種類の金型を用いて製造することができる。
【0072】
リング状部材1Cの鍔部20は、リング部10群の枠40Cよりも内側にあって、枠40Cよりも外側に突出しない。そのため、6本の円筒形電池群を含み且つリング状部材1C等が取り付けられた組電池が熱収縮チューブで覆われる際にも、鍔部20が起点となって熱収縮チューブが破れてしまうようなことが抑えられる。
【0073】
リング状部材1Cによれば、汎用性の高いリング状部材1Cを効率的に低コストで実現することが可能になり、リング状部材1Cの製造性を高めることが可能になる。また、リング状部材1Cを用いることで、製造性の低下を抑えて、6本の円筒形電池群を含む高品質の組電池を実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0074】
1A、1B、1C リング状部材
10 リング部
11 開口部
12 側縁部
20 鍔部
21 縁
30、31 谷間
40A、40B、40C 枠
50 組電池
51 円筒形電池
51a、51b 電極面
51c 側面
60 接続端子
60a、60b 端部
61 接続部
62 引き出し部
62a 屈曲部
70 電子部品
71 アキシャルリード
CL1、CL2 中心線
D1、D2 長手方向
h1 位置
H1 高さ
図1
図2
図3
図4