(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069899
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】手術器具アダプタおよび手術支援ロボット
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20240515BHJP
A61B 90/50 20160101ALI20240515BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B90/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180181
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】松元 史哉
(72)【発明者】
【氏名】宮本 靖大
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲嗣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 薫
(57)【要約】
【課題】手動用手術器具の操作ハンドルをスムーズに操作することが可能な手術器具アダプタを提供する。
【解決手段】この手術器具アダプタ300は、ロボットアーム60に配置される第1駆動部751から伝達された第1駆動力により回転駆動される第1回転体311を有するインターフェイス部310と、手動用手術器具400の操作ハンドル402を回転させる第1被駆動部320と、第1回転体311から第1被駆動部320に第1駆動力を伝達する第1駆動力伝達機構330と、を備える。第1被駆動部320は、第1駆動力によって回転されるレバー部321と、レバー部321に接続されるとともに操作ハンドル402に当接し、操作ハンドル402の表面402aに沿って移動するローラ部322と、を含む。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに手動用手術器具を接続するための手術器具アダプタであって、
前記ロボットアームに配置される第1駆動部から伝達された第1駆動力により回転駆動される第1回転体を有するインターフェイス部と、
前記手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる第1被駆動部と、
前記第1回転体から前記第1被駆動部に前記第1駆動力を伝達する第1駆動力伝達機構と、を備え、
前記第1被駆動部は、
前記第1駆動力によって回転されるレバー部と、
前記レバー部に接続されるとともに前記操作ハンドルに当接し、前記操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む、手術器具アダプタ。
【請求項2】
前記第1被駆動部は、前記ローラ部とともに前記操作ハンドルを挟み込む挟み込み部をさらに含む、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項3】
前記挟み込み部は、
前記レバー部に取り付けられる本体部と、
前記操作ハンドルに当接する当接部と、
前記本体部と前記当接部との間に配置され、前記当接部を前記操作ハンドルに向かうように付勢する付勢部と、を含む、請求項2に記載の手術器具アダプタ。
【請求項4】
前記当接部の前記操作ハンドルに当接する部分は、曲面を有する、請求項3に記載の手術器具アダプタ。
【請求項5】
前記第1駆動力伝達機構は、前記第1回転体と前記第1被駆動部との間に配置され、前記第1回転体から前記第1被駆動部に前記第1駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素を含み、
前記ローラ部は、前記レバー部の一方側に接続され、
前記第1被駆動部は、前記レバー部の他方側に接続され、前記細長要素によって回転される第1プーリ部をさらに含む、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項6】
前記第1プーリ部の直径は、前記第1回転体の直径よりも大きい、請求項5に記載の手術器具アダプタ。
【請求項7】
前記第1回転体と前記第1プーリ部との間の前記細長要素の移動経路上に配置される第2プーリ部をさらに備える、請求項5に記載の手術器具アダプタ。
【請求項8】
前記操作ハンドルに対して前記ローラ部を位置決めするように、前記手動用手術器具を保持する手術器具保持部をさらに備える、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項9】
前記インターフェイス部および前記第1被駆動部は、前記手術器具保持部に配置されている、請求項8に記載の手術器具アダプタ。
【請求項10】
前記インターフェイス部は、前記ロボットアームに配置される第2駆動部から伝達された第2駆動力により回転駆動される第2回転体をさらに有し、
前記手動用手術器具のシャフトに接続される回転部を回転させる第2被駆動部と、
前記第2回転体から前記第2被駆動部に前記第2駆動力を伝達する第2駆動力伝達機構と、をさらに備える、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項11】
前記第2駆動力伝達機構は、
前記第2回転体と前記第2被駆動部との間に配置され、前記第2回転体から前記第2被駆動部に前記第2駆動力を伝達するギア部を含む、請求項10に記載の手術器具アダプタ。
【請求項12】
駆動部を有するロボットアームと、
前記ロボットアームに手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタとを備え、
前記手術器具アダプタは、
前記ロボットアームに配置される前記駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、
前記手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる被駆動部と、
前記回転体から前記被駆動部に前記駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を含み、
前記被駆動部は、
前記駆動力によって回転されるレバー部と、
前記レバー部に接続されるとともに前記操作ハンドルに当接し、前記操作ハンドルの表面に沿って移動するローラ部と、を含む、手術支援ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、手術器具アダプタおよび手術支援ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットアームに手動用手術器具を接続するための手術器具アダプタが知られている。たとえば、特許文献1には、操作者によって操作される操作ハンドルを備える手動用手術器具を、ロボットアームに取り付けるための手術器具アダプタが開示されている。特許文献1では、手動用手術器具の先端には開閉可能なエンドエフェクタが配置されている。特許文献1の手術器具アダプタは、保持部材と、機械式の指部材と、リニアアクチュエータと、を含む。保持部材は、手動用手術器具を保持する。保持部材に手動用手術器具が保持された状態で、機械式の指部材は、操作ハンドルに当接する。機械式の指部材は、操作ハンドルに当接する角柱形状を有する。リニアアクチュエータによって、機械式の指部材が直線移動されることにより、角柱形状の指部材が操作ハンドルの表面を摺動する。これにより、指部材により操作ハンドルが回転する。その結果、手動用手術器具のエンドエフェクタが閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0249993号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、角柱形状の指部材が操作ハンドルの表面を摺動しながら、指部材により操作ハンドルが回転される。このため、角柱形状の指部材と操作ハンドルとの間に働く摩擦力が比較的大きくなる。その結果、指部材は、操作ハンドルをスムーズに回転させることができない場合があるという問題点がある。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、手動用手術器具の操作ハンドルをスムーズに回転させることが可能な手術器具アダプタおよび手術支援ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この開示の第1の局面による手術器具アダプタは、ロボットアームに手動用手術器具を接続するための手術器具アダプタであって、ロボットアームに配置される第1駆動部から伝達された第1駆動力により回転駆動される第1回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる第1被駆動部と、第1回転体から第1被駆動部に第1駆動力を伝達する第1駆動力伝達機構と、を備え、第1被駆動部は、第1駆動力によって回転されるレバー部と、レバー部に接続されるとともに操作ハンドルに当接し、操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む。
【0007】
この開示の第1の局面による手術器具アダプタは、上記のように、第1被駆動部は、第1駆動力によって回転されるレバー部と、レバー部に接続されるとともに操作ハンドルに当接し、操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む。これにより、第1被駆動部のローラ部は操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するため、ローラ部と操作ハンドルとの間に働く摩擦力は比較的小さい。このため、第1被駆動部は、手動用手術器具の操作ハンドルをスムーズに回転させることができる。
【0008】
この開示の第2の局面による手術支援ロボットは、駆動部を有するロボットアームと、ロボットアームに手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタとを備え、手術器具アダプタは、ロボットアームに配置される駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる被駆動部と、回転体から被駆動部に駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を含み、被駆動部は、駆動力によって回転されるレバー部と、レバー部に接続されるとともに操作ハンドルに当接し、操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む。
【0009】
この開示の第2の局面による手術支援ロボットは、上記のように、被駆動部は、駆動力によって回転されるレバー部と、レバー部に接続されるとともに操作ハンドルに当接し、操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む。これにより、被駆動部のローラ部は操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するため、ローラ部と操作ハンドルとの間に働く摩擦力は比較的小さい。このため、被駆動部が手動用手術器具の操作ハンドルをスムーズに回転させることが可能な手術支援ロボットを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、上記のように、手動用手術器具の操作ハンドルをスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による手術支援システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態による医療用台車の構成を示す図である。
【
図3】一実施形態によるロボットアームの構成を示す図である。
【
図5】一実施形態によるアーム操作部の構成を示す斜視図である。
【
図6】一実施形態によるロボットアームの駆動部からアダプタおよび医療器具を取り外した状態を示した斜視図である。
【
図7】一実施形態によるアダプタおよび手術器具をY2方向側から見た斜視図である。
【
図8】一実施形態による手術支援ロボットの制御ブロック図である。
【
図9】一実施形態によるロボットアームの制御ブロック図である。
【
図10】一実施形態による医療用台車およびポジショナの制御ブロック図である。
【
図12】一実施形態による手術器具アダプタに手動用手術器具が取り付けられた状態を示す図である。
【
図13】一実施形態による手術器具アダプタに配置された操作ハンドルがA2側に回転された状態を示す図である。
【
図14】一実施形態による手術器具アダプタをY2方向側から見た斜視図である。
【
図15】一実施形態による操作ハンドルおよび第1被駆動部を示す図である。
【
図16】一実施形態による第1被駆動部を示す図である。
【
図17】一実施形態による第1駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【
図18】一実施形態による第2駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【
図19】一実施形態による手術器具アダプタに配置された操作ハンドルがA1側に回転された状態を示す図である。
【
図20】変形例による第1被駆動部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(手術支援システムの構成)
本実施形態による手術支援システム100の構成について説明する。手術支援システム100は、手術支援ロボット1と、遠隔操作装置2とを備えている。
【0014】
なお、本願明細書において、手術器具4の長手方向をZ方向とする。手術器具4の先端側をZ1側とし、手術器具4の基端側をZ2側とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。
【0015】
図1に示すように、手術支援ロボット1は、手術室内に配置されている。遠隔操作装置2は、手術支援ロボット1から離間した位置に配置されている。医師などの操作者は、手術支援ロボット1に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置2に入力する。遠隔操作装置2は、入力された指令を手術支援ロボット1に送信する。手術支援ロボット1は、受信した指令に基づいて動作する。手術支援ロボット1は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。
【0016】
(手術支援ロボットの構成)
図1に示すように、手術支援ロボット1は、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50と、複数のロボットアーム60と、アーム操作部80と、を備えている。
【0017】
図2に示すように、医療用台車3は、ポジショナ40を移動させる。医療用台車3は、入力装置33を含む。入力装置33は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ40、アームベース50、および、複数のロボットアーム60の移動や姿勢の変更の操作を受け付ける。医療用台車3は、操作ハンドル34、
図8に示されるスタビライザ34cおよび電動シリンダ34dを含む。入力装置33は、表示部33aを含む。表示部33aは、たとえば、液晶パネルである。
【0018】
図2に示すように、台車ポジショナ操作部35が、医療用台車3の後方に台車ポジショナ操作支持部36により支持されており、台車ポジショナ操作部35が操作されることで、医療用台車3またはポジショナ40が移動される。台車ポジショナ操作部35は、入力装置33と、操作ハンドル34を含む。入力装置33は、表示部33aと、ジョイスティック33bと、イネーブルスイッチ33cと、を含む。ジョイスティック33bは、医療用台車3の入力装置33の近傍に配置されている。入力装置33に表示される動作モードを選択し、ジョイスティック33bを操作することによりポジショナ40が3次元的に移動される。
【0019】
イネーブルスイッチ33cは、医療用台車3のジョイスティック33bの近傍に配置されている。イネーブルスイッチ33cは、ポジショナ40の移動を許可または不許可とする。そして、イネーブルスイッチ33cが押下されポジショナ40の移動が許可された状態でジョイスティック33bが操作されることにより、ポジショナ40が移動される。
【0020】
また、操作ハンドル34は、医療用台車3の表示部33aの近傍に配置されている。そして、操作ハンドル34は、看護師、技師などの操作者が把持するとともに回転することにより医療用台車3の移動を操作するスロットル34aを有する。具体的には、操作ハンドル34は、入力装置33の下方に配置されている。そして、スロットル34aが、手前側から奥側に回転されることにより、医療用台車3が前進する。また、スロットル34aが、奥側から手前側に回転されることにより、医療用台車3が後進する。また、スロットル34aの回転量に応じて医療用台車3の速度が変更される。また、操作ハンドル34は、R方向で示される左右に回転可能に構成されており、操作ハンドル34の回転とともに医療用台車3が回転する。
【0021】
また、医療用台車3の操作ハンドル34に、医療用台車3の移動を許可または不許可とするイネーブルスイッチ34bが配置されている。そして、イネーブルスイッチ34bが押下され医療用台車3の移動が許可された状態で操作ハンドル34のスロットル34aが操作されることにより、医療用台車3が移動される。
【0022】
図1に示すように、ポジショナ40は、たとえば、7軸多関節ロボットからなる。ポジショナ40は、医療用台車3上に配置されている。ポジショナ40は、アームベース50の位置を調整する。ポジショナ40は、アームベース50の位置を3次元に移動させる。
【0023】
ポジショナ40は、ベース部41と、ベース部41に連結された複数のリンク部42とを含む。複数のリンク部42同士は、関節43により連結されている。
【0024】
アームベース50は、ポジショナ40の先端に取り付けられている。複数のロボットアーム60は、各々のロボットアーム60の基端が、アームベース50に取り付けられている。複数のロボットアーム60は、折り畳まれた収納姿勢をとることが可能である。アームベース50と、複数のロボットアーム60とは、滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、ロボットアーム60は、手術器具4を支持する。
【0025】
アームベース50には、
図8に示される、ステータスインジケータ53およびアームステータスインジケータ54が配置されている。ステータスインジケータ53は、手術支援システム100の状態を表示する。アームステータスインジケータ54は、ロボットアーム60の状態を表示する。
【0026】
ロボットアーム60は、複数配置されている。具体的には、4つのロボットアーム60a、60b、60cおよび60dが配置されている。ロボットアーム60a、60b、60cおよび60dは、互いに同様の構成を有する。
【0027】
図3に示すように、ロボットアーム60は、アーム部61と、第1リンク部72と、第2リンク部73と、並進移動機構部70とを含む。ロボットアーム60は、回転軸線としてのJT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7軸線と、直動軸線としてのJT8軸線とを有する。JT1からJT7までの軸線は、アーム部61の関節64の回転軸線である。また、JT7軸線は、第1リンク部72の回転軸線である。JT8軸線は、並進移動機構部70が、第2リンク部73を第1リンク部72に対してZ方向に沿って相対的に移動させる直動軸線である。アーム部61は、ベース部62、リンク部63、および関節64を含む。
【0028】
アーム部61は、7軸多関節ロボットアームからなる。第1リンク部72は、アーム部61の先端に配置されている。第2リンク部73には、後述するアーム操作部80が取り付けられる。並進移動機構部70は、第1リンク部72と第2リンク部73との間に配置されている。第2リンク部73には、手術器具4を保持するホルダ71が配置されている。
【0029】
複数のロボットアーム60の各々の先端には、手術器具4が取り付けられている。手術器具4は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント、手術部位の画像を取り込むための内視鏡6およびピボット位置PPを設定するためのピボット位置設定器具などを含む。インストゥルメントとしての手術器具4は、被駆動ユニット4aと鉗子4bとシャフト4cとを含む。
【0030】
図1に示すように、複数のロボットアーム60のうちの一つの、たとえば、ロボットアーム60cの先端には内視鏡6が取り付けられ、残りの、たとえば、ロボットアーム60a、60bおよび60dの先端には、内視鏡6以外の手術器具4が取り付けられる。内視鏡6は、互いに隣り合うように配置されている4つのロボットアーム60のうちの、中央に配置される2つのロボットアーム60bおよび60cのうちのいずれかに取り付けられる。
【0031】
(インストゥルメントの構成)
図4に示すように、インストゥルメントの先端には、たとえば、鉗子4bが配置されている。インストゥルメントの先端には、鉗子4b以外に、関節を有する器具として、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダ、マイクロジセクター、ステーブルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄ツール、スネアワイヤ、および、クリップアプライヤーなどが配置される。インストゥルメントの先端には、関節を有しない器具として、切断刃、焼灼プローブ、洗浄器、カテーテル、および、吸引オリフィスなどが配置される。
【0032】
鉗子4bは、第1支持体4eと、第2支持体4fとを含む。第1支持体4eは、ジョー部材104aおよび104bの基端側をJT11軸線周りに回転可能に支持する。第2支持体4fは、第1支持体4eの基端側をJT10軸線周りに回転可能に支持する。シャフト4cは、JT9軸線周りに回転する。ジョー部材104aおよびジョー部材104bは、JT12軸線周りに開閉する。
【0033】
(アーム操作部の構成)
図5に示すように、アーム操作部80は、ロボットアーム60に取り付けられており、ロボットアーム60を操作する。具体的には、アーム操作部80は、第2リンク部73に取り付けられている。
【0034】
アーム操作部80は、イネーブルスイッチ81と、ジョイスティック82と、リニアスイッチ83と、モード切替ボタン84と、モードインジケータ84aと、ピボットボタン85と、アジャストメントボタン86と、を含む。
【0035】
イネーブルスイッチ81は、ジョイスティック82およびリニアスイッチ83によるロボットアーム60の移動を許可または不許可とする。看護師、助手などの操作者によりアーム操作部80が把持された状態で、イネーブルスイッチ81が押下されることにより、ロボットアーム60による手術器具4の移動が許可される。
【0036】
ジョイスティック82は、ロボットアーム60による手術器具4の移動を操作するための操作具である。ジョイスティック82は、ロボットアーム60の移動方向および移動速度を操作する。ジョイスティック82が倒された方向および倒された角度に応じて、ロボットアーム60が移動される。
【0037】
リニアスイッチ83は、手術器具4の長手方向であるZ方向に手術器具4を移動させるためのスイッチである。リニアスイッチ83は、手術器具4を患者Pに挿入する方向に移動させるリニアスイッチ83aと、手術器具4を患者Pから離間するに方向に移動させるリニアスイッチ83bとを含む。リニアスイッチ83aとリニアスイッチ83bとは、共に、押しボタンスイッチからなる。
【0038】
モード切替ボタン84は、手術器具4を並進移動させるモードと回転移動させるモードとを切り替えるための押しボタンスイッチである。ロボットアーム60を並進移動させるモードでは、手術器具4の先端4dが、X-Y平面上において移動するように、ロボットアーム60が移動される。ロボットアーム60を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが記憶部32に記憶されていない時は、鉗子4bを中心に回転移動し、ピボット位置PPが記憶部32に記憶されている時は、ピボット位置PPを支点として手術器具4が回転移動するように、ロボットアーム60が移動される。なお、手術器具4のシャフト4cがトロカールTに挿入された状態で、手術器具4が回転移動される。モード切替ボタン84は、アーム操作部80のZ方向側の面に配置されている。
【0039】
モードインジケータ84aは、切り替えられたモードを表示する。モードインジケータ84aの点灯は、回転移動モードを表し、消灯は、並進移動モードを表す。また、モードインジケータ84aは、ピボット位置PPが設定されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。モードインジケータ84aは、アーム操作部80のZ方向側の面に配置されている。
【0040】
ピボットボタン85は、ロボットアーム60に取り付けられた手術器具4の移動の支点となるピボット位置PPを設定するための押しボタンスイッチである。
【0041】
アジャストメントボタン86は、ロボットアーム60の位置を最適化するためのボタンである。内視鏡6が取り付けられたロボットアーム60に対するピボット位置PPの設定後、アジャストメントボタン86が押下されることにより、他のロボットアーム60およびアームベース50の位置が最適化される。
【0042】
(遠隔操作装置)
図1に示すように、遠隔操作装置2は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置2は、アーム121および操作ハンドル21を含む操作部120と、フットペダル22と、タッチパネル23と、モニタ24と、支持アーム25と、支持バー26とを含む。操作部120は、医師などの操作者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。
【0043】
操作部120は、手術器具4を操作するためのハンドルである。また、操作部120は、手術器具4に対する操作量を受け付ける。操作部120は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作部120と、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作部120と、を含んでいる。操作者の左手により操作される操作部120および操作者の右手により操作される操作部120は、各々、操作ハンドル21Lおよび操作ハンドル21Rを含む。
【0044】
モニタ24は、内視鏡6によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。支持アーム25は、モニタ24の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ24を支持する。タッチパネル23は、支持バー26に配置されている。モニタ24近傍に配置されたセンサにより操作者の頭部を検知することにより手術支援ロボット1は遠隔操作装置2による操作が可能になる。操作者は、モニタ24により患部を視認しながら、操作部120およびフットペダル22を操作する。これにより、遠隔操作装置2に指令が入力される。遠隔操作装置2に入力された指令は、手術支援ロボット1に送信される。
【0045】
(医療器具、アダプタ、ドレープおよびアームの構成)
図6および
図7を参照して、手術器具4、アダプタ220、ドレープ210およびロボットアーム60の構成について説明する。
【0046】
図6および
図7に示すように、手術器具4は、ロボットアーム60にアダプタ220を介して取り外し可能に接続される。アダプタ220は、ロボットアーム60の駆動部75と、手術器具4との間に配置される。アダプタ220は、ドレープ210を保持するためのドレープアダプタであり、手術のたびにユーザにより交換される。これにより、アダプタ220を利用してドレープ210を保持することができる。ドレープ210は、ロボットアーム60を覆うためのドレープであり、滅菌処理されている。アダプタ220は、ロボットアーム60との間にドレープ210を挟み込むように構成されている。駆動部75は、第1駆動部751、第2駆動部752、第3駆動部753および第4駆動部754を含む。第1駆動部751は、駆動部の一例である。
【0047】
手術器具4は、Y2方向側に配置された取付面である接続部4gがアダプタ220に取り付けられて接続される。接続部4gは、ハウジング4hに配置され、アダプタ220を介してロボットアーム60に取り付けられて接続される。また、アダプタ220は、Y1方向側に配置された取付面である接続部220aに手術器具4が取り付けられて接続される。また、アダプタ220は、Y2方向側に配置された取付面である接続部220bがロボットアーム60の駆動部75に取り付けられて接続される。また、ロボットアーム60の駆動部75は、Y1方向側に配置された取付面である接続部76にアダプタ220が取り付けられて接続される。
【0048】
図6に示すように、ロボットアーム60は、清潔区域において使用されるため、ドレープ210により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者を含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させる場合は、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者を含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ210により覆われる。
【0049】
ドレープ210は、ロボットアーム60を覆う本体部211と、ロボットアーム60の駆動部75と、アダプタ220との間に挟み込まれる取付部212とを備えている。本体部211は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなっている。本体部211には、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220とが互いに係合可能なように、開口部が配置されている。本体部211の開口部には、開口部を塞ぐように取付部212が配置されている。取付部212は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部212は、本体部211に比べて硬く、かつ、撓みにくく形成されている。取付部212は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220とが互いに係合可能なように、開口部が配置されている。取付部212の開口部は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220との係合する部分に対応するように配置されていてもよい。また、取付部212の開口部は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220との複数の係合する部分に対応するように複数個配置されていてもよい。
【0050】
図6および
図7に示すように、アダプタ220は、アダプタ本体部221と、アダプタ本体部221にY方向に延びる回転軸線周りに回転可能に保持された複数の駆動伝達部222とを備えている。複数の駆動伝達部222は、アダプタ本体部221に回転軸線周りに回転可能に配置されている。駆動伝達部222は、手術器具4の4つの被駆動部材4iに対応するように4つ配置されている。駆動伝達部222は、ロボットアーム60からの駆動力を手術器具4の被駆動部材4iに伝達するように構成されている。駆動伝達部222は、手術器具4の被駆動部材4iの嵌合凸部4jと嵌合する嵌合凹部222aを含んでいる。嵌合凹部222aは、駆動伝達部222の手術器具4側であるY1方向側に、駆動伝達部222のY1方向側の表面から手術器具4側とは反対側であるY2方向側に向かって窪むように形成されている。
【0051】
また、駆動伝達部222は、ロボットアーム60の駆動部75の嵌合凸部75aと嵌合する嵌合凹部222bを含んでいる。嵌合凹部222bは、駆動伝達部222のロボットアーム60側であるY2方向側に、駆動伝達部222のY2方向側の表面からロボットアーム60側とは反対側であるY1方向側に向かって窪むように形成されている。
【0052】
(制御系の構成)
図8に示すように、手術支援システム100は、制御装置130と、アーム制御部31aと、ポジショナ制御部31bと、操作制御部110と、を備えている。
【0053】
制御装置130は、医療用台車3の内部においてアーム制御部31aおよびポジショナ制御部31bと通信するように配置され、手術支援システム100の全体を制御する。具体的には、制御装置130は、アーム制御部31a、ポジショナ制御部31b、および、操作制御部110の各々と通信し、制御する。制御装置130と、アーム制御部31a、ポジショナ制御部31b、および、操作制御部110とは、LANなどによって接続されている。制御装置130は、医療用台車3の内部に配置されている。
【0054】
アーム制御部31aは、複数のロボットアーム60ごとに配置されている。すなわち、医療用台車3の内部には、複数のロボットアーム60の数に対応した複数のアーム制御部31aが配置されている。
【0055】
図8に示すように、入力装置33は、制御装置130にLANなどによって接続されている。ステータスインジケータ53、アームステータスインジケータ54、操作ハンドル34、スロットル34a、ジョイスティック33b、スタビライザ34cおよび電動シリンダ34dと、ポジショナ制御部31bとは、配線145によって、互いの情報を共有可能な通信ネットワークによりシリアル通信接続されている。なお、
図8では、1つの配線145に、ステータスインジケータ53、アームステータスインジケータ54などの全てが接続されているように記載されているが、実際には、ステータスインジケータ53、アームステータスインジケータ54、操作ハンドル34、スロットル34a、ジョイスティック33b、スタビライザ34cおよび電動シリンダ34dごとに、配線145が配置されている。
【0056】
図9に示すように、アーム部61には、複数の関節64に対応するように、複数のサーボモータM1と、エンコーダE1と、減速機とが配置されている。エンコーダE1は、サーボモータM1の回転角を検出する。減速機は、サーボモータM1の回転を減速させてトルクを増大させる。医療用台車3の内部には、サーボモータM1を制御するためのサーボ制御部C1がアーム制御部31aに隣接して配置されている。また、サーボ制御部C1には、サーボモータM1の回転角を検出するためのエンコーダE1が電気的に接続されている。
【0057】
アーム部61の関節64と、ポジショナ40の関節43の各々には、ブレーキBRKが搭載されている。また、医療用台車3の前輪と、アームベース50および並進移動機構部70にもブレーキBRKが搭載されている。アーム制御部31aからアーム部61の関節64と並進移動機構部70とに搭載された各ブレーキBRKへ制御信号が各々一方通行で送信される。制御信号は、ブレーキBRKをオンオフする信号である。ブレーキBRKをオンする信号は、ブレーキBRKが効いている状態を保持する信号を含む。ポジショナ制御部31bから、ポジショナ40の関節43とアームベース50とに搭載された各ブレーキBRKへの制御信号についても同様である。アームベース50と、アーム部61と、並進移動機構部70とは、起動時に全てのブレーキBRKが解除され、重力に抗するようにサーボモータSMが駆動されることにより、ロボットアーム60の姿勢とアームベース50の姿勢とが維持される。手術支援システム100にエラーが発生した際には、アームベース50と、アーム部61と、並進移動機構部70とに搭載されたブレーキBRKがオンされる。手術支援システム100のエラーが解除されると、アームベース50と、アーム部61と、並進移動機構部70とに搭載されたブレーキBRKはオフされる。手術支援システム100のシャットダウン操作によって、アームベース50と、アーム部61と、並進移動機構部70とに搭載されたブレーキBRKはオンされる。また、医療用台車3の前輪は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車3のイネーブルスイッチ34bが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。また、ポジショナ40の各関節43は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車3のイネーブルスイッチ33cが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。
【0058】
第2リンク部73には、手術器具4の被駆動ユニット4aに配置された被駆動部材を回転させるためのサーボモータM2と、エンコーダE2と、減速機とが配置されている。エンコーダE2は、サーボモータM2の回転角を検出する。減速機は、サーボモータM2の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車3には、手術器具4を駆動するサーボモータM2を制御するためのサーボ制御部C2が配置されている。サーボ制御部C2には、サーボモータM2の回転角を検出するためのエンコーダE2が電気的に接続されている。なお、サーボモータM2、エンコーダE2およびサーボ制御部C2は、各々複数配置されている。
【0059】
並進移動機構部70には、手術器具4を並進移動させるためのサーボモータM3と、エンコーダE3と、減速機とが配置されている。エンコーダE3は、サーボモータM3の回転角を検出する。減速機は、サーボモータM3の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車3には、手術器具4を並進移動するサーボモータM3を制御するためのサーボ制御部C3が配置されている。サーボ制御部C3には、サーボモータM3の回転角を検出するためのエンコーダE3が電気的に接続されている。
【0060】
図10に示すように、ポジショナ40には、ポジショナ40の複数の関節43に対応するように、複数のサーボモータM4と、エンコーダE4と、減速機とが配置されている。エンコーダE4は、サーボモータM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0061】
医療用台車3は、車輪を備えており、駆動輪としての前輪と、操作ハンドル34によって操舵される後輪とを有する。なお、後輪は、前輪よりも操作ハンドル34に近い側に配置されている。また、医療用台車3には、医療用台車3の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータM5と、エンコーダE5と、減速機とブレーキが配置されている。減速機は、サーボモータM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。また、医療用台車3の操作ハンドル34には、
図2に示すポテンショメータP1が配置されており、スロットル34aの捻りに応じてポテンショメータP1で検出した回転角に基づき、前輪のサーボモータM5は駆動される。また、医療用台車3の後輪は、双輪形式であり、操作ハンドル34の左右の回転に基づき、後輪は操舵される。また、医療用台車3の操作ハンドル34には、
図2に示すポテンショメータP2が回転軸に配置されており、医療用台車3の後輪には、サーボモータM5aとエンコーダE5aと減速機が配置されている。減速機は、サーボモータM5aの回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。操作ハンドル34の左右の回転に応じてポテンショメータP2で検出した回転角に基づき、サーボモータM5aは駆動される。すなわち、操作ハンドル34の左右の回転による後輪の操舵は、サーボモータM5aによりパワーアシストされるように構成されている。
【0062】
医療用台車3は、前輪が駆動されることにより、前後方向に移動する。また、医療用台車3の操作ハンドル34が回転されることにより、後輪が操舵されて、医療用台車3が左右方向に回転する。
【0063】
図10に示すように、医療用台車3には、ポジショナ40を移動するサーボモータM4を制御するためのサーボ制御部C4が配置されている。また、サーボ制御部C4には、サーボモータM4の回転角を検出するためのエンコーダE4が電気的に接続されている。また、医療用台車3には、医療用台車3の前輪を駆動するサーボモータM5を制御するためのサーボ制御部C5が配置されている。サーボ制御部C5には、サーボモータM5の回転角を検出するためのエンコーダE5が電気的に接続されている。医療用台車3には、医療用台車3の後輪の操舵をパワーアシストするサーボモータM5aを制御するためのサーボ制御部C5aが配置されている。サーボ制御部C5aには、サーボモータM5aの回転角を検出するためのエンコーダE5aが電気的に接続されている。
【0064】
図8に示すように、制御装置130は、アーム操作部80に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム60を制御する。たとえば、制御装置130は、アーム操作部80のジョイスティック82に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム60を制御する。具体的には、アーム制御部31aは、ジョイスティック82から入力された入力信号を制御装置130に出力する。制御装置130は受け取った入力信号と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部31aを介して、位置指令をサーボ制御部C1に出力する。サーボ制御部C1は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータM1に出力する。これにより、ジョイスティック82に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム60が移動される。
【0065】
制御装置130は、アーム操作部80のリニアスイッチ83からの入力信号に基づいてロボットアーム60を制御する。具体的には、アーム制御部31aは、リニアスイッチ83から入力された入力信号を制御装置130に出力する。制御装置130は受け取った入力信号と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部31aを介して、位置指令をサーボ制御部C1またはC3に出力する。サーボ制御部C1またはC3は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータM1またはM3に出力する。これにより、リニアスイッチ83に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム60が移動される。
【0066】
ポジショナ制御部31bは、医療用台車3に配置されている。ポジショナ制御部31bは、ポジショナ40および医療用台車3を制御する。ポジショナ40には、ポジショナ40の複数の関節43に対応するように、サーボモータSMと、エンコーダENと、減速機とが配置されている。ポジショナ40のサーボモータSMを制御するサーボ制御部SCは、医療用台車3に配置されている。医療用台車3には、医療用台車3の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSMと、エンコーダENと、減速機と、サーボ制御部SCと、ブレーキとが配置されている。
【0067】
操作制御部110は、遠隔操作装置2の本体に配置されている。操作制御部110は、操作部120を制御する。操作制御部110は、左手用の操作部120と右手用の操作部120との各々に対応するように配置されている。操作部120には、操作部120の複数の関節に対応するように、サーボモータSMと、エンコーダENと、減速機とが配置されている。操作部120のサーボモータSMを制御するサーボ制御部SCは、操作制御部110に隣接して遠隔操作装置2の本体に配置されている。
【0068】
(手動用手術器具の構成)
図11を参照して、手動用手術器具400の構成について説明する。手動用手術器具400は、本来、医師などの術者により操作される器具であるが、本実施形態では医師が直接操作するのではなく、遠隔操作装置2を介して手術支援ロボット1により操作される。
【0069】
手動用手術器具400は、グリップ部401と、操作ハンドル402と、回転部403と、シャフト404と、エンドエフェクタ405とを備えている。エンドエフェクタ405は、シャフト404の先端に配置される一対のジョー部材を有する。
【0070】
操作ハンドル402は、中央に孔部が配置される環形状を有する。医師などの術者が、グリップ部401および操作ハンドル402を把持する。これにより、グリップ部401は、術者の手のひらに当接する。術者は、指を環形状の操作ハンドル402の内側に引っかける。術者が操作ハンドル402を握ることにより、操作ハンドル402がA1方向に回転する。これにより、一対のジョー部材が閉じる。術者が操作ハンドル402を握った状態を解除することにより、操作ハンドル402がA2方向に回転する。これにより、一対のジョー部材が開く。
【0071】
回転部403は、シャフト404に接続されている。回転部403がB1方向またはB2方向に回転することにより、シャフト404がB1方向またはB2方向に回転する。
【0072】
(手術器具アダプタの構成)
次に、手術器具アダプタ300の構成について説明する。手術器具アダプタ300は、ロボットアーム60に手動用手術器具400を接続するためのものである。
【0073】
本実施形態では、手術器具アダプタ300は、
図12に示すインターフェイス部310と、
図13に示す、第1被駆動部320、第1駆動力伝達機構330、第2プーリ部340、手術器具保持部350と、
図18に示す、第2被駆動部360および第2駆動力伝達機構370と、を備えている。第1被駆動部320は、被駆動部の一例である。第1駆動力伝達機構330は、駆動力伝達機構の一例である。
【0074】
図14に示すように、インターフェイス部310は、
図6に示されるロボットアーム60に配置される第1駆動部751から伝達された第1駆動力により回転駆動される第1回転体311を有する。インターフェイス部310は、ロボットアーム60に配置される第2駆動部752から伝達された第2駆動力により回転駆動される第2回転体312を有する。インターフェイス部310は、
図6に示す第2リンク部73のホルダ71にアダプタ220を介して取り付けられる。第1回転体311および第2回転体312は、プーリである。プーリは、キャプスタンとも呼ばれる。第1回転体311および第2回転体312の第2リンク部73側には、各々、嵌合凸部311aおよび嵌合凸部312aが配置されている。嵌合凸部311aおよび嵌合凸部312aは、
図6に示すアダプタ220の嵌合凹部222aと嵌合する。第1回転体311および第2回転体312は、それぞれ、軸線F1および軸線F2周りに回転する。軸線F1および軸線F2は、Y方向に沿っている。第1回転体311は、回転体の一例である。
【0075】
本実施形態では、
図13に示すように、第1被駆動部320は、第1駆動部751から伝達された第1駆動力によって、手動用手術器具400の操作ハンドル402を回転させる。第1被駆動部320は、操作ハンドル402を、A1方向およびA2方向に回転させる。
【0076】
本実施形態では、第1被駆動部320は、レバー部321と、
図15に示すローラ部322と、挟み込み部323と、第1プーリ部324と、を含む。レバー部321は、第1駆動力によって回転される。具体的には、レバー部321は、手術器具保持部350の内面に固定されている。レバー部321は、軸線F3を回転軸線として回転する。軸線F3は、X方向に沿っている。レバー部321は、板形状を有する。
【0077】
本実施形態では、
図15に示すように、ローラ部322は、レバー部321に接続されるとともに操作ハンドル402に当接する。ローラ部322は、操作ハンドル402の表面402aに沿って回転しながら移動する。表面402aは、操作ハンドル402のZ1側の面である。ローラ部322は、たとえば、金属により形成されている。ローラ部322は、レバー部321の一方側である先端側に接続されている。ローラ部322は、レバー部321の先端側に回転可能に接続されている。ローラ部322は、レバー部321に、片持ち梁状に接続されている。ローラ部322は、軸線F4を回転軸線として回転する。軸線F4は、X方向に沿っている。ローラ部322は、円柱形状を有する。ローラ部322は、操作ハンドル402に線接触する。
【0078】
本実施形態では、挟み込み部323は、ローラ部322とともに操作ハンドル402を挟み込む。挟み込み部323は、環形状の操作ハンドル402の内側の表面402bに当接する。表面402bは、Z1側の表面402aとは反対のZ2側の面である。
【0079】
本実施形態では、
図16に示すように、挟み込み部323は、本体部323aと、当接部323bと、付勢部323cと、を含む。本体部323aは、レバー部321に取り付けられる。本体部323aは、L字形状を有する。本体部323aは、本体部323aの基端側が、レバー部321の先端側に取り付けられる。本体部323aの基端側には、溝部323dが配置されており、レバー部321が溝部323dに挿入されている。本体部323aは、レバー部321に対して回転しない。本体部323aは、ネジなどの締結部材によりレバー部321に取り付けられている。
【0080】
当接部323bは、操作ハンドル402に当接する。当接部323bは、環形状の操作ハンドル402の内側の表面402bに当接する。本実施形態では、当接部323bの操作ハンドル402に当接する部分323eは、曲面を有する。当接部323bは、略半円柱形状を有する。当接部323bのZ1側の部分323eは曲面であり、当接部323bのZ2側の部分323fは平面である。
【0081】
本実施形態では、付勢部323cは、本体部323aと当接部323bとの間に配置されている。付勢部323cは、当接部323bを操作ハンドル402に向かうように付勢する。当接部323bは、たとえば、圧縮コイルばねである。付勢部323cの一方端は、当接部323bの部分323fに接続されている。付勢部323cの他方端は、本体部323aに接続されている。本体部323aには、溝部323gが配置されている。溝部323gは、十字形状を有する。溝部323gは、Z方向に沿って形成されているとともに、X方向に沿って形成されている。溝部323gのZ2側の内面に付勢部323cの他方端が接続されている。溝部323gのZ方向に沿って形成されている部分に、付勢部323cおよび当接部323bが配置されている。
【0082】
本実施形態では、
図17に示すように、第1プーリ部324は、レバー部321の他方側である基端側に接続されている。第1プーリ部324は、後述する第2細長要素332によって回転される。
【0083】
本実施形態では、第1駆動力伝達機構330は、第1回転体311から第1被駆動部320に第1駆動力を伝達する。第1駆動力伝達機構330は、第1回転体311と第1被駆動部320との間に配置されている。第1駆動力伝達機構330は、第1回転体311から第1被駆動部320に第1駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素を含む。第1駆動力伝達機構330は、第1回転体311および第2プーリ部340に巻回される第1細長要素331と、第2プーリ部340および第1被駆動部320の第1プーリ部324に巻回される第2細長要素332と、を含む。第1細長要素331および第2細長要素332は、細長要素の一例である。
【0084】
本実施形態では、第2プーリ部340は、第1回転体311と第1プーリ部324との間の細長要素の移動経路上に配置される。上記のように、第1回転体311および第2プーリ部340に第1細長要素331が巻回されている。第2プーリ部340および第1プーリ部324に第2細長要素332が巻回されている。第2プーリ部340において、第1細長要素331と第2細長要素332とは、X方向にずらして配置されている。手術器具保持部350において、第2プーリ部340は、第1回転体311のZ2方向側に配置されている。第2プーリ部340は、インターフェイス部310に配置されている。第1細長要素331は、Z方向に沿うように配置されている。第2細長要素332は、Z方向に交差するように配置されている。第2プーリ部340は、軸線F5を回転軸線として回転する。軸線F5は、X方向に沿っている。
【0085】
本実施形態では、
図13に示すように、第1プーリ部324の直径d1は、第1回転体311の直径d2よりも大きい。直径d1と直径d2とは、第1駆動部751の駆動力によって、第1被駆動部320が操作ハンドル402を回転させることができるように設定される。なお、第1回転体311の直径d2は、第1細長要素331が巻き掛けられている軸部の直径を示す。
【0086】
本実施形態では、手術器具保持部350は、操作ハンドル402に対してローラ部322を位置決めするように、手動用手術器具400を保持する。手術器具保持部350は、手動用手術器具400のグリップ部401、操作ハンドル402および回転部403を覆う筐体である。
図12に示すように、手術器具保持部350は、本体部351と、蓋部352と、を含む。蓋部352は、ヒンジ部353により、本体部351に取り付けられている。蓋部352は、本体部351の開口部を覆う。本体部351には、孔部354が形成されている。手動用手術器具400のシャフト404が孔部354に挿入され、孔部354に回転部403が位置決めされる。
図13に示すように、グリップ部401および操作ハンドル402は、本体部351に配置される。操作ハンドル402は、ローラ部322に当接するように、本体部351に配置される。
【0087】
本実施形態では、インターフェイス部310および第1被駆動部320は、手術器具保持部350に配置されている。インターフェイス部310は、手術器具保持部350の本体部351のY2側に配置されている。第1被駆動部320は、本体部351のX2側の内面に取り付けられている。環形状の操作ハンドル402の中央の孔部に、挟み込み部323が挿入されるように、操作ハンドル402が本体部351に配置される。
【0088】
本実施形態では、
図18に示すように、第2被駆動部360は、手動用手術器具400の回転部403を回転させる。第2駆動力伝達機構370は、第2回転体312から第2被駆動部360に第2駆動力を伝達する。第2駆動力伝達機構370は、第2回転体312と第2被駆動部360との間に配置され、第2回転体312から第2被駆動部360に第2駆動力を伝達するギア部371を含む。第2回転体312には、はすば歯車312bが配置されている。ギア部371は、はすば歯車部371aと、平歯車371bと、を含む。第2被駆動部360は、筒部材361と、平歯車362とを含む。筒部材361には、手動用手術器具400の回転部403が挿入される。筒部材361は、手術器具保持部350の孔部354に配置されている。平歯車362は、筒部材361の外周に配置されている。第2回転体312のはすば歯車312bと、はすば歯車部371aとが噛み合っている。平歯車371bと平歯車362とが噛み合っている。これにより、第2駆動部752から第2被駆動部360に第2駆動力が伝達される。
【0089】
図13に示すように、手術器具保持部350の内面には、手動用手術器具400の回転部403が筒部材361からZ2方向に抜けないようにする抜け防止部材356が配置されている。抜け防止部材356がグリップ部401に当接することにより、手動用手術器具400の回転部403が筒部材361からZ2方向に抜けることを防止する。
【0090】
(動作)
図19に示すように、第1駆動部751から伝達された第1駆動力により、第1回転体311が軸線F1周りをG1方向に回転することにより、第1細長要素331によって第2プーリ部340が軸線F5周りをG2方向に回転する。第2プーリ部340の回転により、第2細長要素332によって第1プーリ部324が軸線F3周りをG3方向に回転する。これにより、ローラ部322が操作ハンドル402の表面402aに沿って移動することにより、操作ハンドル402がA1方向に回転する。
図13に示すように、第1回転体311が軸線F1周りをG1方向とは反対方向に回転することにより、当接部323bが操作ハンドル402の表面402bに沿って移動することにより、操作ハンドル402がA2方向に回転する。
【0091】
図18に示すように、第2駆動部752から伝達された第2駆動力により第2回転体312が軸線F2周りをG11方向に回転することにより、ギア部371のはすば歯車部371aおよび平歯車371bがG12方向に回転する。ギア部371の平歯車371bがG12方向に回転することにより、平歯車362がG13方向に回転する。平歯車362および筒部材361が回転することにより、手動用手術器具400の回転部403がG13方向に回転する。第2回転体312が軸線F2周りをG11方向とは反対方向に回転することにより、手動用手術器具400の回転部403がG13方向とは反対方向に回転する。
【0092】
[本実施形態の効果]
第1被駆動部320は、第1駆動力によって回転されるレバー部321と、レバー部321に接続されるとともに操作ハンドル402に当接し、操作ハンドル402の表面402aに沿って回転しながら移動するローラ部322と、を含む。これにより、第1被駆動部320のローラ部322は操作ハンドル402の表面402aに沿って回転しながら移動するため、ローラ部322と操作ハンドル402との間に働く摩擦力は比較的小さい。このため、第1被駆動部320は、手動用手術器具400の操作ハンドル402をスムーズに回転させることができる。
【0093】
第1被駆動部320は、ローラ部322とともに操作ハンドル402を挟み込む挟み込み部323をさらに含む。これにより、ローラ部322により操作ハンドル402をA1方向に回転させることができるとともに、挟み込み部323により、操作ハンドル402をA1方向とは反対のA2方向に回転させることができる。すなわち、操作ハンドル402の両方向の回転を、第1駆動部751の第1駆動力によって制御することができる。また、挟み込み部323により、ローラ部322が操作ハンドル402から離間することを抑制できる。
【0094】
挟み込み部323は、レバー部321に取り付けられる本体部323aと、操作ハンドル402に当接する当接部323bと、本体部323aと当接部323bとの間に配置され、当接部323bを操作ハンドル402に向かうように付勢する付勢部323cと、を含む。これにより、付勢部323cにより当接部323bが操作ハンドル402に向かうように付勢されているので、操作ハンドル402が回転することにより、操作ハンドル402と当接部323bとの間の間隔が変化した場合でも、操作ハンドル402と当接部323bとの当接状態を維持することができる。
【0095】
当接部323bの操作ハンドル402に当接する部分323eは、曲面を有する。これにより、挟み込み部323の当接部323bと操作ハンドル402との間に働く摩擦力は比較的小さいので、挟み込み部323を操作ハンドル402対してスムーズに移動させることができる。
【0096】
第1駆動力伝達機構330は、第1回転体311と第1被駆動部320との間に配置され、第1回転体311から第1被駆動部320に第1駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる第1細長要素331および第2細長要素332を含む。ローラ部322は、レバー部321の一方側に接続され、第1被駆動部320は、レバー部321の他方側に接続され、第2細長要素332によって回転される第1プーリ部324をさらに含む。これにより、第1細長要素331および第2細長要素332を露出するように配置することにより、第1細長要素331および第2細長要素332を容易に洗浄することができる。
【0097】
手術器具アダプタ300は、第1回転体311と第1プーリ部324との間の第1細長要素331および第2細長要素332の移動経路上に配置される第2プーリ部340をさらに備える。これにより、第1回転体311と第1プーリ部324との間に第1細長要素331および第2細長要素332に干渉する部材が配置されている場合でも、第2プーリ部340により第1細長要素331および第2細長要素332の移動経路を変更することにより、第1細長要素331および第2細長要素332と部材との干渉を抑制できる。
【0098】
第1プーリ部324の直径d1は、第1回転体311の直径d2よりも大きい。これにより、第1駆動部751のトルクを、第1回転体311、第2プーリ部340、および、第1プーリ部324を介して大きくした状態で第1被駆動部320に伝達することができる。そのため、第1駆動部751を大型化することなく、操作ハンドル402を回転させる駆動力を確保することができる。
【0099】
手術器具アダプタ300は、操作ハンドル402に対してローラ部322を位置決めするように、手動用手術器具400を保持する手術器具保持部350をさらに備える。これにより、手術器具保持部350により手動用手術器具400を保持させることにより、操作ハンドル402に対してローラ部322を容易に位置決めすることができる。
【0100】
筒部材361は、手術器具保持部350に配置されており、ベアリングを介してインターフェイス部310と接続されている。手動用手術器具400の回転部403が、筒部材361と係合することで手動用手術器具400を容易に位置決めすることができる。具体的には、手動用手術器具400のシャフト404に接続される回転部403には切り欠きがある。回転部403の切り欠きに嵌るように手術器具保持部350の筒部材361が接続されることで、手動用手術器具400は、手術器具保持部350に対して位置決めされる。
【0101】
インターフェイス部310は、ロボットアーム60に配置される第2駆動部752から伝達された第2駆動力により回転駆動される第2回転体312をさらに有する。手術器具アダプタ300は、手動用手術器具400のシャフト404に接続される回転部403を回転させる第2被駆動部360と、第2回転体312から第2被駆動部360に第2駆動力を伝達する第2駆動力伝達機構370と、をさらに備える。これにより、手動用手術器具400の回転部403を、第2駆動部752の第2駆動力により容易に回転させることができる。
【0102】
第2駆動力伝達機構370は、第2回転体312と第2被駆動部360との間に配置され、第2回転体312から第2被駆動部360に第2駆動力を伝達するギア部371を含む。これにより、比較的簡易な構成であるギア部371により、手動用手術器具400の回転部403を、第2駆動部752の第2駆動力により容易に回転させることができる。
【0103】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0104】
上記実施形態では、第1駆動力伝達機構330が、ワイヤまたはケーブルからなる第1細長要素331および第2細長要素332を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第1駆動力伝達機構330がガイドワイヤを含んでいてもよい。
【0105】
上記実施形態では、第1被駆動部320が、挟み込み部323を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図20の変形例に示すように、第1被駆動部420に挟み込み部323が含まれていなくてもよい。第1被駆動部420は、レバー部321に接続されるローラ部322のみから構成されている。第1被駆動部420は、駆動部の一例である。
【0106】
上記実施形態では、挟み込み部323の当接部323bが、略半円柱形状を有する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、当接部が円柱形状でかつ回転可能なローラ部から形成されていてもよい。
【0107】
上記実施形態では、手動用手術器具400の操作ハンドル402を回転させる第1被駆動部320と、手動用手術器具400の回転部403を回転させる第2被駆動部360とがの両方が手術器具アダプタ300に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、手動用手術器具400の操作ハンドル402を回転させる第1被駆動部320のみが手術器具アダプタ300に配置されていてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、ロボットアーム60が4つ配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットアーム60の数は、少なくとも1つ以上配置されていれば他の任意の数であってもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、アーム部61およびポジショナ40が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アーム部61およびポジショナ40が7軸多関節ロボット以外の軸構成の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。7軸多関節ロボット以外の軸構成とは、例えば、6軸や8軸である。
【0110】
また、上記実施形態では、手術支援ロボット1が、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50とを備えている例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50は必ずしも必要なく、手術支援ロボット1が、ロボットアーム60だけで構成されてもよい。
【0111】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0112】
(項目1)
ロボットアームに手動用手術器具を接続するための手術器具アダプタであって、
前記ロボットアームに配置される第1駆動部から伝達された第1駆動力により回転駆動される第1回転体を有するインターフェイス部と、
前記手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる第1被駆動部と、
前記第1回転体から前記第1被駆動部に前記第1駆動力を伝達する第1駆動力伝達機構と、を備え、
前記第1被駆動部は、
前記第1駆動力によって回転されるレバー部と、
前記レバー部に接続されるとともに前記操作ハンドルに当接し、前記操作ハンドルの表面に沿って回転しながら移動するローラ部と、を含む、手術器具アダプタ。
【0113】
(項目2)
前記第1被駆動部は、前記ローラ部とともに前記操作ハンドルを挟み込む挟み込み部をさらに含む、項目1に記載の手術器具アダプタ。
【0114】
(項目3)
前記挟み込み部は、
前記レバー部に取り付けられる本体部と、
前記操作ハンドルに当接する当接部と、
前記本体部と前記当接部との間に配置され、前記当接部を前記操作ハンドルに向かうように付勢する付勢部と、を含む、項目2に記載の手術器具アダプタ。
【0115】
(項目4)
前記当接部の前記操作ハンドルに当接する部分は、曲面を有する、項目3に記載の手術器具アダプタ。
【0116】
(項目5)
前記第1駆動力伝達機構は、前記第1回転体と前記第1被駆動部との間に配置され、前記第1回転体から前記第1被駆動部に前記第1駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素を含み、
前記ローラ部は、前記レバー部の一方側に接続され、
前記第1被駆動部は、前記レバー部の他方側に接続され、前記細長要素によって回転される第1プーリ部をさらに含む、項目1から項目4までのいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【0117】
(項目6)
前記第1プーリ部の直径は、前記第1回転体の直径よりも大きい、項目5に記載の手術器具アダプタ。
【0118】
(項目7)
前記第1回転体と前記第1プーリ部との間の前記細長要素の移動経路上に配置される第2プーリ部をさらに備える、項目5に記載の手術器具アダプタ。
【0119】
(項目8)
前記操作ハンドルに対して前記ローラ部を位置決めするように、前記手動用手術器具を保持する手術器具保持部をさらに備える、項目1から項目7までのいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【0120】
(項目9)
前記インターフェイス部および前記第1被駆動部は、前記手術器具保持部に配置されている、項目8に記載の手術器具アダプタ。
【0121】
(項目10)
前記インターフェイス部は、前記ロボットアームに配置される第2駆動部から伝達された第2駆動力により回転駆動される第2回転体をさらに有し、
前記手動用手術器具のシャフトに接続される回転部を回転させる第2被駆動部と、
前記第2回転体から前記第2被駆動部に前記第2駆動力を伝達する第2駆動力伝達機構と、をさらに備える、項目1から項目9までのいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【0122】
(項目11)
前記第2駆動力伝達機構は、
前記第2回転体と前記第2被駆動部との間に配置され、前記第2回転体から前記第2被駆動部に前記第2駆動力を伝達するギア部を含む、項目10に記載の手術器具アダプタ。
【0123】
(項目12)
駆動部を有するロボットアームと、
前記ロボットアームに手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタとを備え、
前記ロボットアームに配置される前記駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、
前記手術器具アダプタは、
前記手動用手術器具の操作ハンドルを回転させる被駆動部と、
前記回転体から前記被駆動部に前記駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を含み、
前記被駆動部は、
前記駆動力によって回転されるレバー部と、
前記レバー部に接続されるとともに前記操作ハンドルに当接し、前記操作ハンドルの表面に沿って移動するローラ部と、を含む、手術支援ロボット。
【0124】
60 ロボットアーム
100 手術支援ロボット
300 手術器具アダプタ
310 インターフェイス部
311 第1回転体(回転体)
312 第2回転体
320、420 第1被駆動部(被駆動部)
321 レバー部
322 ローラ部
323 挟み込み部
323a 本体部
323b 当接部
323c 付勢部
323e 部分
324 第1プーリ部
330 第1駆動力伝達機構(駆動力伝達機構)
331 第1細長要素(細長要素)
332 第2細長要素(細長要素)
340 第2プーリ部
350 手術器具保持部
360 第2被駆動部
370 第2駆動力伝達機構
371 ギア部
400 手動用手術器具
402 操作ハンドル
403 回転部
404 シャフト
751 第1駆動部(駆動部)
752 第2駆動部