(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069903
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】冷凍・冷蔵ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A47F3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180193
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】小林 章
(72)【発明者】
【氏名】馬上 朋之
(72)【発明者】
【氏名】星野 五大
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA05
3B110CA06
3B110EA03
(57)【要約】
【課題】ショーケース本体の開口の上方を覆う上部フードを設け、この上部フードによって冷凍・冷蔵ショーケース内の熱負荷を低減し、さらに、冷凍・冷蔵ショーケース内の保冷性能を高め、また、上部フードが重量化してもこの上部フードを支持する部分に破損や亀裂等が生じないようにする。
【解決手段】冷凍・冷蔵ショーケースは、上端に長方形状の開口を有するショーケース本体と、開口の長手方向の両端に立設されたアクリル側板と、開口の上方をこの開口の長手方向に沿って覆う長尺形状の上部フードと、を有し、上部フードは非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成され、上部フードの長手方向の両端部は、上部フードの荷重がアクリル側板の上端側縁部に作用するようにアクリル側板に取付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に長方形状の開口を有する冷蔵ショーケース本体と、
前記開口の長手方向の両端に立設されたアクリル側板と、
前記開口の上方をこの開口の長手方向に沿って覆う長尺形状の上部フードと、
を有し、
前記上部フードは非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成され、
前記上部フードの長手方向の両端部は、前記上部フードの荷重が前記アクリル側板の上端側縁部に作用するように前記アクリル側板に取付けられていることを特徴とする冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項2】
前記アクリル側板の側面に上部フード支持部材が取付けられ、この上部フード支持部材には、下面部が前記アクリル側板の上端側縁部に当接される荷重受け部が設けられ、この荷重受け部の上面部に前記上部フードが載置されていることを特徴とする請求項1記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍・冷蔵商品を陳列するための冷凍・冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、冷凍・冷蔵商品を陳列するための各種の冷凍・冷蔵ショーケースが用いられている。このような冷凍・冷蔵ショーケースの一例としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された冷凍機内蔵型ショーケースは、上方に開口を有する直方体形状のショーケース本体を備え、その開口の上方にショーケース本体の長手方向に沿って延出する上部フードが配置されている。上部フードは、ショーケース本体内に陳列されている商品を見易くするため、透明なアクリル板で形成されている。
【0003】
また、特許文献1に記載された冷凍機内蔵型ショーケースには、その長手方向の両側に透明なアクリル板で形成した側板(アクリル側板)が設けられており、これらのアクリル側板に上部フードの両端が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された冷凍機内蔵型ショーケースでは、上部フードが透明なアクリル板で形成されているため、天井側からの輻射熱が上部フードを透過しやすく、冷凍機内蔵型ショーケース内に陳列されている商品が天井側からの輻射熱で温められ、冷凍機内蔵型ショーケース内の熱負荷が大きくなっている。
【0006】
また、冷凍機内蔵型ショーケース内の低温の輻射熱は、透明なアクリル板を透過して放熱され易く、冷凍機内蔵型ショーケース内の保冷性能が低下している。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上方に開口を有する冷凍・冷蔵ショーケースにおいて、この開口の上方を覆う上部フードを設け、この上部フードを輻射熱を反射しやすい材料で形成することにより、天井側からの輻射熱を上部フードで反射し、輻射熱による冷凍・冷蔵ショーケース内の熱負荷を低減することであり、さらに、冷凍・冷蔵ショーケース内の低温の輻射熱を上部フードでショーケース本体内に反射することにより冷凍・冷蔵ショーケース内の保冷性能を高めることである。また、上部フードを輻射熱を反射しやすい材料で形成することにより上部フードが重量化しても、重量化した上部フードを支持する部分に破損や亀裂等が生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷凍・冷蔵ショーケースは、上端に長方形状の開口を有するショーケース本体と、前記開口の長手方向の両端に立設されたアクリル側板と、前記開口の上方をこの開口の長手方向に沿って覆う長尺形状の上部フードと、を有し、前記上部フードは非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成され、前記上部フードの長手方向の両端部は、前記上部フードの荷重が前記アクリル側板の上端側縁部に作用するように前記アクリル側板に取付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、前述の冷凍・冷蔵ショーケースにおいて、前記アクリル側板の側面に上部フード支持部材が取付けられ、この上部フード支持部材には、下面部が前記アクリル側板の上端側縁部に当接される荷重受け部が設けられ、この荷重受け部の上面部に前記上部フードが載置されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る冷凍・冷蔵ショーケースによれば、ショーケース本体の開口の上方を覆う上部フードが、非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成されているため、天井側からの輻射熱を上部フードにより上方へ反射させ、冷凍・冷蔵ショーケース内の熱負荷を低減することができる。さらに、冷凍・冷蔵ショーケース内からの低温の輻射熱を上部フードによりショーケース本体内に向けて反射させ、冷凍・冷蔵ショーケース内の保冷性を高めることができる。また、上部フードを非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成することにより、その上部フードが重量化しても重量化した上部フードの荷重を強度の強いアクリル側板の上端側縁部で支持することができ、重量化した上部フードを支持することが原因となるアクリル側板の破損や亀裂を防止できる。
【0011】
また、アクリル側板の側面に上部フード支持部材が取付けられ、この上部フード支持部材には、下面部がアクリル側板の上端側縁部に当接される荷重受け部が設けられ、この荷重受け部の上面部に上部フードが載置されているので、上部フードの荷重を簡単な構造によりアクリル側板の上端側縁部で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】冷凍・冷蔵ショーケースを示す斜視図である。
【
図2】上部フードによる輻射熱の反射状態を示す側面図である。
【
図3】アクリル側板への上部フードの取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、図面に基いて説明する。
図1は本発明の冷凍・冷蔵ショーケース1を示す斜視図であり、この冷凍・冷蔵ショーケース1は、直方体形状のショーケース本体2を備え、ショーケース本体2の上端には長方形状の開口3が形成されている。ショーケース本体2の長手方向の両端には、開口3の位置よりも上方に立ち上がったアクリル側板4が立設されている。このアクリル側板4は透明な材料で形成されており、冷凍・冷蔵ショーケース1内の商品が側方からも見易くなっている。ショーケース本体2内には複数のカゴ状のバケット5が収容され、各バケット5内には様々な冷凍・冷蔵商品が収納されている。
【0014】
冷凍・冷蔵ショーケース1には、開口3の上方を開口3の長手方向に沿って覆う長尺形状の上部フード6が設けられている。この上部フード6は、非透明であって輻射熱を反射しやすい材料、例えば、金属板等で形成されている。上部フード6の長手方向の両端部は、アクリル側板4に取付けられている。このアクリル側板4の外周部の上端側には、
図3に示すように水平方向に平坦な上端側縁部7が形成されている。
【0015】
上部フード6の上面(詳しくは、後述する上部フード上面板6bの上面)と上部フード6の下面とは、凹凸のない平坦な面とされており、それによって上部フード6による輻射熱の反射効果が高められている。
【0016】
また、上部フード6の上面と下面の表面積は、ショーケース本体2内へのバケット5の出し入れに支障を生じない範囲でできるだけ大きく形成されており、それによって上部フード6による輻射熱の反射効果が高められている。
【0017】
図2は、上部フード6による輻射熱の反射状態を説明する側面図である。上部フード6は、非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成されているため、天井側からの輻射熱であって上部フード6の上面に当たったものは上方向きに反射される。また、冷凍・冷蔵ショーケース1内からの低温の輻射熱であって上部フード6の下面に当たったものは冷凍・冷蔵ショーケース1内に向けて反射される。
【0018】
図3は、アクリル側板4への上部フード6の取付構造を示している。アクリル側板4の側面には、金属で形成された上部フード支持部材8が取付けられている。アクリル側板4の側面への上部フード支持部材8の取付けは、アクリル側板4に形成した挿通孔9にビス(図示せず)を挿通し、そのビスを上部フード支持部材8のビス孔(図示せず)に螺合させることにより行われている。
【0019】
上部フード支持部材8には、一対の荷重受け部10が形成されている。この荷重受け部10の下面部は、アクリル側板4の上端側縁部7に当接されている。荷重受け部10の上面部には上部フード6が載置されている。なお、上部フード6は、上部フード基板6aと上部フード上面板6b(仮想線で図示)とに分割して形成されており、上部フード基板6aの幅方向の両端に嵌合部6cが形成され、上部フード上面板6bはその長手方向の両端が嵌合部6cに着脱可能に嵌合されている。上部フード基板6aは、荷重受け部10に形成されたビス孔11にビス止めされるとともに、アクリル側板4に形成された挿通孔12に挿通されるビス(図示せず)によりビス止めされている。
【0020】
このような構成において、この冷凍・冷蔵ショーケース1では、開口3の上方に上部フード6が配置され、この上部フード6は非透明であって輻射熱を反射しやすい材料で形成されている。このため、
図2に示すように、天井側からの輻射熱であって上部フード6の上面に当たったものを上方向きに反射させることができ、冷凍・冷蔵ショーケース1内に入り込む輻射熱を抑制して冷凍・冷蔵ショーケース1内の熱負荷を軽減することができる。
【0021】
さらに、
図2に示すように、冷凍・冷蔵ショーケース1内からの低温の輻射熱であって上部フード6の下面に当たったものを冷蔵ショーケース1内に反射させることができ、それにより冷凍・冷蔵ショーケース1内の保冷性を高めることができる。
【0022】
上部フード6を非透明であって輻射熱を反射しやすい材料、例えば、金属板等で形成することにより、アクリル板等で形成する場合に比べて重量化する。しかし、上部フード6の荷重を、上部フード支持部材8の荷重受け部10を介してアクリル側板4の上端側縁部7で支持しており、このアクリル側板4の上端側縁部7は上方からの荷重に対する強度が強くなっている。このため、重量化した上部フード6を支持したことが原因となってアクリル側板4に破損が生じることが防止される。特に、ビス止めに使用されている挿通孔9、12には上部フード6の荷重が直接作用することはなく、これらの挿通孔9、12の内周部での亀裂の発生が防止される。
【符号の説明】
【0023】
1 冷凍・冷蔵ショーケース
2 ショーケース本体
3 開口
4 アクリル側板
5 バケット
6 上部フード
6a 上部フード基板
6b 上部フード上面板
6c 嵌合部
7 上端側縁部
8 上部フード支持部材
9 挿通孔
10 荷重受け部
11 ビス孔
12 挿通孔