(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069924
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】渦電流ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 49/02 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H02K49/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180218
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴洋
【テーマコード(参考)】
5H649
【Fターム(参考)】
5H649AA00
5H649BB02
5H649GG01
5H649GG13
5H649GG16
5H649HH13
5H649HH16
5H649JK02
(57)【要約】
【課題】ロータの径方向において渦電流ブレーキ装置が大きくなることを抑制するとともにロータに対する制動力を高めることができる渦電流ブレーキ装置を得る。
【解決手段】この渦電流ブレーキ装置は、回転可能に設けられたロータ1と、ロータ1に渦電流を発生させてロータ1を制動するステータ2と、を備え、ロータ1は、リング状に形成された第1ブレーキ部103を有し、第1ブレーキ部103は、第1ブレーキ部103の周方向がロータ1の周方向D3に一致するように配置されており、ステータ2は、ロータ1の径方向D2において第1ブレーキ部103に隣り合うように配置された複数の第1コイル203を有し、複数の第1コイル203は、ロータ1の周方向D3に沿って並んで配置されており、複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、第1ブレーキ部103に渦電流が発生して、ロータ1が制動される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられたロータ(1)と、
前記ロータ(1)に渦電流を発生させて前記ロータ(1)を制動するステータ(2)と、
を備え、
前記ロータ(1)は、リング状に形成された第1ブレーキ部(103)を有し、
前記第1ブレーキ部(103)は、前記第1ブレーキ部(103)の周方向が前記ロータ(1)の周方向に一致するように配置されており、
前記ステータ(2)は、前記ロータ(1)の径方向において前記第1ブレーキ部(103)に隣り合うように配置された複数の第1コイル(203)を有し、
前記複数の第1コイル(203)は、前記ロータ(1)の周方向に沿って並んで配置されており、
前記複数の第1コイル(203)のそれぞれに電流が供給されることによって、前記第1ブレーキ部(103)に渦電流が発生して、前記ロータ(1)が制動される渦電流ブレーキ装置。
【請求項2】
前記ロータ(1)は、リング状に形成された第2ブレーキ部(104)を有し、
前記第2ブレーキ部(104)は、前記第1ブレーキ部(103)と同心円状に配置されており、
前記複数の第1コイル(203)は、前記ロータ(1)の径方向において前記第1ブレーキ部(103)と前記第2ブレーキ部(104)との間に配置されており、
前記複数の第1コイル(203)のそれぞれに電流が供給されることによって、前記第1ブレーキ部(103)および前記第2ブレーキ部(104)のそれぞれに渦電流が発生して、前記ロータ(1)が制動される請求項1に記載の渦電流ブレーキ装置。
【請求項3】
前記複数の第1コイル(203)は、前記ロータ(1)の周方向に沿ってリング状に並んで配置されている請求項1または請求項2に記載の渦電流ブレーキ装置。
【請求項4】
前記ロータ(1)は、リング状に形成された第3ブレーキ部(105)を有し、
前記第3ブレーキ部(105)は、前記第3ブレーキ部(105)の周方向が前記ロータ(1)の周方向に一致するように配置されており、
前記ステータ(2)は、前記ロータ(1)の径方向において前記第3ブレーキ部(105)に隣り合うように配置された複数の第2コイル(204)を有し、
前記複数の第2コイル(204)は、前記ロータ(1)の周方向に沿って並んで配置されており、
前記複数の第2コイル(204)のそれぞれに電流が供給されることによって、前記第3ブレーキ部(105)に渦電流が発生して、前記ロータ(1)が制動される請求項1または請求項2に記載の渦電流ブレーキ装置。
【請求項5】
前記ロータ(1)は、リング状に形成された第4ブレーキ部(106)を有し、
前記第4ブレーキ部(106)は、前記第3ブレーキ部(105)と同心円状に配置されており、
前記複数の第2コイル(204)は、前記ロータ(1)の径方向において前記第3ブレーキ部(105)と前記第4ブレーキ部(106)との間に配置されており、
前記複数の第2コイル(204)のそれぞれに電流が供給されることによって、前記第3ブレーキ部(105)および前記第4ブレーキ部(106)のそれぞれに渦電流が発生して、前記ロータ(1)が制動される請求項4に記載の渦電流ブレーキ装置。
【請求項6】
前記複数の第2コイル(204)は、前記ロータ(1)の周方向に沿ってリング状に並んで配置されている請求項4に記載の渦電流ブレーキ装置。
【請求項7】
前記第3ブレーキ部(105)は、前記第1ブレーキ部(103)と同心円状に配置されている請求項4に記載の渦電流ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、渦電流ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能に設けられたロータと、ロータに渦電流を発生させてロータを制動するステータと、を備えている渦電流ブレーキ装置が知られている。ロータは、ブレーキディスクを有している。ブレーキディスクの形状は、円板状になっている。ブレーキディスクは、ロータの軸方向に直交する平面に沿って配置されている。ステータは、複数のコイルを有している。複数のコイルは、ロータの周方向に沿って1つずつ並んで配置されている。複数のコイルのそれぞれは、ロータの軸方向においてブレーキディスクに隣り合うように配置されている。複数のコイルのそれぞれに電流が供給されることによって、ブレーキディスクに渦電流が発生して、ロータが制動される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、複数のコイルのそれぞれは、ロータの軸方向においてブレーキディスクに隣り合うように配置されている。したがって、複数のコイルのそれぞれを大きくしてロータに対する制動力を高めるためには、ロータの径方向においてブレーキディスクを大きくしなければならない。これにより、ロータの径方向において渦電流ブレーキ装置が大きくなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロータの径方向において渦電流ブレーキ装置が大きくなることを抑制するとともにロータに対する制動力を高めることができる渦電流ブレーキ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る渦電流ブレーキ装置は、回転可能に設けられたロータと、ロータに渦電流を発生させてロータを制動するステータと、を備え、ロータは、リング状に形成された第1ブレーキ部を有し、第1ブレーキ部は、第1ブレーキ部の周方向がロータの周方向に一致するように配置されており、ステータは、ロータの径方向において第1ブレーキ部に隣り合うように配置された複数の第1コイルを有し、複数の第1コイルは、ロータの周方向に沿って並んで配置されており、複数の第1コイルのそれぞれに電流が供給されることによって、第1ブレーキ部に渦電流が発生して、ロータが制動される。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータは、リング状に形成された第2ブレーキ部を有し、第2ブレーキ部は、第1ブレーキ部と同心円状に配置されており、複数の第1コイルは、ロータの径方向において第1ブレーキ部と第2ブレーキ部との間に配置されており、複数の第1コイルのそれぞれに電流が供給されることによって、第1ブレーキ部および第2ブレーキ部のそれぞれに渦電流が発生して、ロータが制動される。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第1コイルは、ロータの周方向に沿ってリング状に並んで配置されている。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータは、リング状に形成された第3ブレーキ部を有し、第3ブレーキ部は、第3ブレーキ部の周方向がロータの周方向に一致するように配置されており、ステータは、ロータの径方向において第3ブレーキ部に隣り合うように配置された複数の第2コイルを有し、複数の第2コイルは、ロータの周方向に沿って並んで配置されており、複数の第2コイルのそれぞれに電流が供給されることによって、第3ブレーキ部に渦電流が発生して、ロータが制動される。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータは、リング状に形成された第4ブレーキ部を有し、第4ブレーキ部は、第3ブレーキ部と同心円状に配置されており、複数の第2コイルは、ロータの径方向において第3ブレーキ部と第4ブレーキ部との間に配置されており、複数の第2コイルのそれぞれに電流が供給されることによって、第3ブレーキ部および第4ブレーキ部のそれぞれに渦電流が発生して、ロータが制動される。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第2コイルは、ロータの周方向に沿ってリング状に並んで配置されている。
また、この発明に係る渦電流ブレーキ装置では、第3ブレーキ部は、第1ブレーキ部と同心円状に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る渦電流ブレーキ装置によれば、ロータの径方向において渦電流ブレーキ装置が大きくなることを抑制するとともにロータに対する制動力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の渦電流ブレーキ装置を軸方向および径方向に沿った平面で切った断面を示す図である。
【
図3】
図1の渦電流ブレーキ装置を軸方向に垂直な平面で切った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置を示す斜視図である。実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置は、例えば、航空機用ブレーキ装置として用いられる。実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置は、ロータ1と、ステータ2と、を備えている。実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置は、ロータ1とステータ2とが互いに接触しない非接触型ブレーキ装置である。
【0010】
ロータ1は、図示しない回転軸を中心に回転する。ロータ1の軸線に沿った方向を軸方向D1とする。ロータ1の軸線に直交する平面においてロータ1の軸線を中心とする円の半径に沿った方向を径方向D2とする。ロータ1の軸線に直交する平面においてロータ1の軸線を中心とする円の円周に沿った方向を周方向D3とする。
【0011】
図2は、
図1の渦電流ブレーキ装置を軸方向D1および径方向D2に沿った平面で切った断面を示す図である。
図3は、
図1の渦電流ブレーキ装置を軸方向D1に垂直な平面で切った断面を示す図である。
図4は、
図3のロータ1を示す断面図である。
図5は、
図3のステータ2を示す断面図である。ロータ1は、一対の軸受3を介してステータ2に回転可能に取り付けられている。
【0012】
ロータ1は、ロータ円筒部101と、ロータ円板部102と、第1ブレーキ部103と、第2ブレーキ部104と、第3ブレーキ部105と、第4ブレーキ部106と、を有している。
【0013】
ロータ円筒部101は、円筒状に形成されている。ロータ円筒部101は、ロータ円筒部101の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。一対の軸受3のそれぞれの外輪は、ロータ円筒部101の内周面に取り付けられている。
【0014】
ロータ円板部102は、円板状に形成されている。ロータ円板部102は、軸方向D1に垂直な平面に沿って配置されている。ロータ円板部102は、ロータ円筒部101に固定されている。ロータ円板部102は、ロータ円筒部101から径方向D2の外側に向かって突出している。
【0015】
第1ブレーキ部103は、リング状に形成されている。第1ブレーキ部103は、第1ブレーキ部103の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。第1ブレーキ部103は、ロータ円板部102に固定されている。
【0016】
第2ブレーキ部104は、リング状に形成されている。第2ブレーキ部104は、第2ブレーキ部104の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。第2ブレーキ部104は、第1ブレーキ部103と同心円状に配置されている。したがって、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104は、径方向D2において互いに重なっている。第2ブレーキ部104は、径方向D2において第1ブレーキ部103の外側に配置されている。第2ブレーキ部104は、ロータ円板部102に固定されている。
【0017】
第3ブレーキ部105は、リング状に形成されている。第3ブレーキ部105は、第3ブレーキ部105の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。第3ブレーキ部105は、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104と同心円状に配置されている。したがって、第1ブレーキ部103、第2ブレーキ部104および第3ブレーキ部105は、径方向D2において互いに重なっている。第3ブレーキ部105は、径方向D2において第2ブレーキ部104の外側に配置されている。第3ブレーキ部105は、ロータ円板部102に固定されている。
【0018】
第4ブレーキ部106は、リング状に形成されている。第4ブレーキ部106は、第4ブレーキ部106の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。第4ブレーキ部106は、第3ブレーキ部105と同心円状に配置されている。したがって、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106は、径方向D2において互いに重なっている。第4ブレーキ部106は、径方向D2において第3ブレーキ部105の外側に配置されている。第4ブレーキ部106は、ロータ円板部102に固定されている。
【0019】
ステータ2は、ステータ円筒部201と、ステータ円板部202と、複数の第1コイル203と、複数の第2コイル204と、を備えている。
【0020】
ステータ円筒部201は、円筒状に形成されている。ステータ円筒部201は、ステータ円筒部201の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。ステータ円筒部201は、径方向D2においてロータ円筒部101の内側に配置されている。ステータ円筒部201は、径方向D2においてロータ円筒部101に対向するように配置されている。一対の軸受3のそれぞれの内輪は、ステータ円筒部201の外周面に取り付けられている。
【0021】
ステータ円板部202は、円板状に形成されている。ステータ円板部202は、軸方向D1に垂直な平面に沿って配置されている。ステータ円板部202は、軸方向D1においてロータ円板部102に対向するように配置されている。ステータ円板部202は、ステータ円筒部201に固定されている。ステータ円板部202は、ステータ円筒部201から径方向D2の外側に向かって突出している。
【0022】
複数の第1コイル203のそれぞれは、径方向D2において第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104に隣り合うように配置されている。複数の第1コイル203のそれぞれは、径方向D2において第1ブレーキ部103と第2ブレーキ部104との間に配置されている。複数の第1コイル203は、周方向D3に沿って1つずつ並んで配置されている。複数の第1コイル203は、周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている。言い換えれば、複数の第1コイル203は、周方向D3の全域に渡って並んで配置されている。複数の第1コイル203のそれぞれは、取付部材を介してステータ円板部202に取り付けられている。
【0023】
複数の第1コイル203のそれぞれには、図示しない電源装置から直流電流または交流電流が供給されるようになっている。複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、複数の第1コイル203のそれぞれには、磁界が発生する。
【0024】
複数の第1コイル203のそれぞれは、発生する磁界の向きが径方向D2に沿うように配置されている。複数の第1コイル203のそれぞれは、周方向D3に互いに隣り合う一対の第1コイル203のそれぞれに発生する磁束の向きが互いに異なるようになっている。
【0025】
複数の第2コイル204のそれぞれは、径方向D2において第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106に隣り合うように配置されている。複数の第2コイル204のそれぞれは、径方向D2において第3ブレーキ部105と第4ブレーキ部106との間に配置されている。したがって、複数の第2コイル204は、径方向D2において複数の第1コイル203の外側に配置されている。複数の第2コイル204は、周方向D3に沿って1つずつ並んで配置されている。複数の第2コイル204は、周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている。言い換えれば、複数の第2コイル204は、周方向D3の全域に渡って並んで配置されている。複数の第2コイル204のそれぞれは、取付部材を介してステータ円板部202に取り付けられている。
【0026】
複数の第2コイル204のそれぞれには、図示しない電源装置から直流電流または交流電流が供給されるようになっている。複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、複数の第2コイル204のそれぞれには、磁界が発生する。
【0027】
複数の第2コイル204のそれぞれは、発生する磁界の向きが径方向D2に沿うするように配置されている。複数の第2コイル204のそれぞれは、周方向D3に互いに隣り合う一対の第2コイル204のそれぞれに発生する磁界の向きが互いに異なるようになっている。
【0028】
第1コイル203の数および第2コイル204の数は、互いに一致している。複数の第1コイル203は、複数の第2コイル204のそれぞれと1つずつ径方向D2に隣り合うように配置されている。複数の第1コイル203および複数の第2コイル204は、径方向に互いに隣り合う第1コイル203および第2コイル204のそれぞれに発生する磁界の向きが互いに一致するようになっている。
【0029】
次に、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置の動作について説明する。ステータ2に対して周方向D3に回転しているロータ1を制動する場合に、複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給され、複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給される。
【0030】
複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、複数の第1コイル203のそれぞれに磁界が発生する。複数の第1コイル203のそれぞれに磁界が発生することによって、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれには、径方向D2に沿った磁束が通る。
【0031】
第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれに径方向D2に沿った磁束が通ることによって、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれに渦電流が発生する。第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれに渦電流が発生することによって、ロータ1が制動される。
【0032】
複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、複数の第2コイル204のそれぞれに磁界が発生する。複数の第2コイル204のそれぞれに磁界が発生することによって、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれには、径方向D2に沿った磁束が通る。
【0033】
第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれに径方向D2に沿った磁束が通ることによって、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれに渦電流が発生する。第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれに渦電流が発生することによって、ロータ1が制動される。
【0034】
以上説明したように、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置は、回転可能に設けられたロータ1と、ロータ1に渦電流を発生させてロータ1を制動するステータ2と、を備えている。ロータ1は、リング状に形成された第1ブレーキ部103を有している。第1ブレーキ部103は、第1ブレーキ部103の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。ステータ2は、径方向D2において第1ブレーキ部103に隣り合うように配置された複数の第1コイル203を有している。複数の第1コイル203は、周方向D3に沿って並んで配置されている。複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、第1ブレーキ部103に渦電流が発生して、ロータ1が制動される。この構成によれば、複数の第1コイル203のそれぞれは、径方向D2において第1ブレーキ部103に隣り合うように配置されている。これにより、複数の第1コイル203のそれぞれを軸方向D1に大きくしてロータ1に対する制動力を高めることができる。したがって、径方向D2において渦電流ブレーキ装置が大きくなることを抑制するとともにロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0035】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータ1は、リング状に形成された第2ブレーキ部104を有している。第2ブレーキ部104は、第1ブレーキ部103と同心円状に配置されている。複数の第1コイル203は、径方向D2において第1ブレーキ部103と第2ブレーキ部104との間に配置されている。複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれに渦電流が発生して、ロータ1が制動される。この構成によれば、複数の第1コイル203のそれぞれは、径方向D2において第1ブレーキ部103と第2ブレーキ部104との間に配置されている。これにより、複数の第1コイル203のそれぞれに発生した磁界によって、第1ブレーキ部103および第2ブレーキ部104のそれぞれに渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0036】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第1コイル203は、周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている。この構成によれば、複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、周方向D3における第1ブレーキ部103の全域に渡って渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。また、複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給されることによって、周方向D3における第2ブレーキ部104の全域に渡って渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0037】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータ1は、リング状に形成された第3ブレーキ部105を有している。第3ブレーキ部105は、第3ブレーキ部105の周方向が周方向D3に一致するように配置されている。ステータ2は、径方向D2において第3ブレーキ部105に隣り合うように配置された複数の第2コイル204を有している。複数の第2コイル204は、周方向D3に沿って並んで配置されている。複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、第3ブレーキ部105に渦電流が発生して、ロータ1が制動される。この構成によれば、複数の第2コイル204のそれぞれは、径方向D2において第3ブレーキ部105に隣り合うように配置されている。これにより、複数の第2コイル204のそれぞれを軸方向D1に大きくしてロータ1に対する制動力を高めることができる。したがって、径方向D2において渦電流ブレーキ装置が大きくなることを抑制するとともにロータ1に対する制動力を高めることができる。また、複数の第1コイル203のそれぞれに電流が供給され、複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、ロータ1が制動される。これにより、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0038】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータ1は、リング状に形成された第4ブレーキ部106を有している。第4ブレーキ部106は、第3ブレーキ部105と同心円状に配置されている。複数の第2コイル204は、径方向D2において第3ブレーキ部105と第4ブレーキ部106との間に配置されている。複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれに渦電流が発生して、ロータ1が制動される。この構成によれば、複数の第2コイル204のそれぞれは、径方向D2において第3ブレーキ部105と第4ブレーキ部106との間に配置されている。これにより、複数の第2コイル204のそれぞれに発生した磁界によって、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のそれぞれに渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0039】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第2コイル204は、周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている。この構成によれば、複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、周方向D3における第3ブレーキ部105の全域に渡って渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。また、複数の第2コイル204のそれぞれに電流が供給されることによって、周方向D3における第4ブレーキ部106の全域に渡って渦電流を発生させることができる。その結果、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0040】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、第3ブレーキ部105は、第1ブレーキ部103と同心円状に配置されている。この構成によれば、軸方向D1における第1ブレーキ部103の位置と、軸方向D1における第3ブレーキ部105の位置とを互いに一致させることができる。その結果、軸方向D1において渦電流ブレーキ装置を小さくすることができる。
【0041】
なお、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、ロータ1が、第1ブレーキ部103、第2ブレーキ部104、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106を備えている構成について説明した。しかしながら、ロータ1が、第1ブレーキ部103、第2ブレーキ部104、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106のうちの少なくとも第1ブレーキ部103を有している構成であればよい。ロータ1が第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106の両方を有していない場合には、ステータ2は、複数の第2コイル204を有していなくてもよい。
【0042】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、ステータ2が、複数の第1コイル203および複数の第2コイル204を有している構成について説明した。しかしながら、ステータ2が、複数の第1コイル203および複数の第2コイル204のうちの少なくとも複数の第1コイル203を有している構成であればよい。ステータ2が複数の第2コイル204を有していない場合には、ロータ1は、第3ブレーキ部105および第4ブレーキ部106を有していなくてもよい。
【0043】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第1コイル203が周方向D3に沿って1つずつ並んで配置されている構成について説明した。しかしながら、複数の第1コイル203が複数の軸方向D1の列になって周方向D3に沿って並んで配置されている構成であってもよい。この場合に、複数の第1コイル203は、軸方向D1および周方向D3の両方に沿って並べられる。複数の第1コイル203が複数の軸方向D1の列になって周方向D3に沿って並んで配置されている構成の場合、第1コイル203の数を増やすことができる。これにより、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0044】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第2コイル204が周方向D3に沿って1つずつ並んで配置されている構成について説明した。しかしながら、複数の第2コイル204が複数の軸方向D1の列になって周方向D3に沿って並んで配置されている構成であってもよい。この場合に、複数の第2コイル204は、軸方向D1および周方向D3の両方に沿って並べられる。複数の第2コイル204が複数の軸方向D1の列になって周方向D3に沿って並んで配置されている構成の場合、第2コイル204の数を増やすことができる。これにより、ロータ1に対する制動力を高めることができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第1コイル203が周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている構成について説明した。しかしながら、複数の第1コイル203が周方向D3に沿って円弧状に並んで配置されている構成であってもよい。言い換えれば、複数の第1コイル203が周方向D3の一部の領域のみに周方向D3に沿って並んで配置されている構成であってもよい。この場合に、第1コイル203の数を減らすことができる。
【0046】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、複数の第2コイル204が周方向D3に沿ってリング状に並んで配置されている構成について説明した。しかしながら、複数の第2コイル204が周方向D3に沿って円弧状に並んで配置されている構成であってもよい。言い換えれば、複数の第2コイル204が周方向D3の一部の領域のみに周方向D3に沿って並んで配置されている構成であってもよい。この場合に、第2コイル204の数を減らすことができる。
【0047】
また、実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置では、第3ブレーキ部105が第1ブレーキ部103と同心円状に配置されている構成について説明した。しかしながら、第3ブレーキ部105が軸方向D1において第1ブレーキ部103に対してずれて配置されている構成であってもよい。
【0048】
以上、好ましい実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置について説明したが、上述した実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置に制限されることはない。特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態1に係る渦電流ブレーキ装置に種々の変形および変換を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ロータ、2 ステータ、3 軸受、101 ロータ円筒部、102 ロータ円板部、103 第1ブレーキ部、104 第2ブレーキ部、105 第3ブレーキ部、106 第4ブレーキ部、201 ステータ円筒部、202 ステータ円板部、203 第1コイル、204 第2コイル。