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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069932
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240515BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/464 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 9/20 20220101ALI20240515BHJP
【FI】
H04Q9/00 341Z
F24H15/395
F24H15/464
F24H15/238
F24H9/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180232
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永井 貴士
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA15
5K048BA14
5K048DA01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB03
5K048FB08
5K048HA11
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】本発明は、屋外に設置される給湯器において、第三者による不当なペアリング操作を抑止した給湯システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の給湯システム1は、給湯器12と情報端末装置11との間で通信を行う給湯システムである。給湯器12は、筐体126と、筐体126の外側面から露出して設けられた操作部120と、操作部120の操作に応じて情報端末装置11とペアリングするために必要なパスコードを発行するパスコード発行部121と、パスコード発行部121が発行したパスコードを表示するパスコード表示部1210とを備えている。筐体126は、少なくとも一部に形成された開口部と、開口部を取り外し自在に閉塞するパネル部材1261とを備え、パスコード表示部1210は、筐体126の内部に隠蔽され且つパネル部材1261を取り外したときに視認可能となる位置に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と情報端末装置との間で通信を行う給湯システムであって、
前記給湯器は、筐体と、前記筐体の外側である外側面から露出して設けられた操作部と、前記操作部の操作に応じて前記情報端末装置とペアリングするために必要なパスコードを発行するパスコード発行部と、前記パスコード発行部が発行したパスコードを表示するパスコード表示部とを備え、
前記筐体は、少なくとも一部に形成された開口部と、前記開口部を取り外し自在に閉塞するパネル部材とを備え、
前記パスコード表示部は、前記筐体の内部に隠蔽され且つ前記パネル部材を取り外したときに視認可能となる位置に設けられていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
給湯器と情報端末装置との間で通信を行う給湯システムであって、
前記給湯器は、筐体と、前記筐体の外側である外側面から露出して設けられた操作部と、前記操作部の操作に応じて前記情報端末装置とペアリングするために必要なパスコードを発行するパスコード発行部と、前記パスコード発行部が発行したパスコードを表示するパスコード表示部とを備え、
前記パスコード表示部が、前記筐体から分離して設けられており、前記操作部にリード線を介して接続可能とされていることを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムにおいて、
前記給湯器は、水流検知部を備え、
前記パスコード表示部は、前記水流検知部が水流を検知したことを条件として、パスコードを表示することを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と情報端末装置との間で通信を行う給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器と、給湯器を遠隔操作するための浴室リモコンと、浴室リモコンとの間で無線通信を行う携帯端末とで構成される風呂システム(給湯システム)が開示されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この風呂システムによれば、浴室内に設置されている浴室リモコンが、近距離無線通信規格の一例であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格に準拠した無線通信を行うBLE通信部(無線通信部)を備えている。
【0004】
また、携帯端末は、給湯システムのユーザが所有しているスマートフォン等であり、BLEの規格に準拠した無線通信を行うBLE通信部を備えている。
【0005】
そして、携帯端末と浴室リモコンとは、各々のBLE通信部を介して無線通信を行うための設定処理であるペアリングが予め行われる。ペアリング操作について具体的には、例えば、浴室リモコンが備える表示部にパスコードを表示させ、当該パスコードを携帯端末に入力することで行われる。
【0006】
ペアリングされた携帯端末と浴室リモコンとは、相互に無線通信を行うことで、例えば、携帯端末を用いて浴室の外部から浴室リモコンを操作することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開第2022-071277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年では、スマートフォン等の携帯端末が普及しており、この種の携帯端末においては一般にBLE通信部(無線通信部)を備えていると考えられる。このため、給湯システムのユーザ以外の第三者が、携帯端末を所有している場合、浴室リモコンとのペアリングが容易に成立する。
【0009】
上記従来の給湯システムにおいては、ペアリング操作の際に、浴室内の浴室リモコンの表示部にパスコードを表示させるため、第三者が所有する携帯端末とペアリングされる可能性は極めて少ない。
【0010】
一方、この種の給湯器としては、浴室リモコンに相当する操作部と表示部とが給湯器の筐体の前面パネルから露出して設けられているものも存在する。そして、この給湯器を屋外に設置した場合には、操作部と表示部とが前面パネルから露出しているため、ユーザ以外の第三者であっても容易に視認することができてしまい、悪戯等による不当なペアリング操作が行われ、ユーザが所望する給湯運転が得られなくなるおそれがある。
【0011】
かかる不都合に鑑み、本発明は、屋外に設置される給湯器において、第三者による不当なペアリング操作を抑止した給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明は、給湯器と情報端末装置との間で通信を行う給湯システムであって、前記給湯器が、筐体と、前記筐体の外側面から露出して設けられた操作部と、前記操作部の操作に応じて前記情報端末装置とペアリングするために必要なパスコードを発行するパスコード発行部と、前記パスコード発行部が発行したパスコードを表示するパスコード表示部とを備え、前記筐体が、少なくとも一部に形成された開口部と、前記開口部を取り外し自在に閉塞するパネル部材とを備え、前記パスコード表示部が、前記筐体の内部に隠蔽され且つ前記パネル部材を取り外したときに視認可能となる位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記第1の発明によれば、パスコード表示部が給湯器の筐体の内部に隠蔽されているので、パスコード発行部によって発行されたパスコードは、筐体からパネル部材を取り外して筐体の開口部を開放しない限り視認できない。このように、情報端末装置とのペアリングを行うためには、パネル部材の取り外し作業を行う必要があるため、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を抑止することができる。
【0014】
また、第2の発明は、給湯器と情報端末装置との間で通信を行う給湯システムであって、前記給湯器が、筐体と、前記筐体の外側面から露出して設けられた操作部と、前記操作部の操作に応じて前記情報端末装置とペアリングするために必要なパスコードを発行するパスコード発行部と、前記パスコード発行部が発行したパスコードを表示するパスコード表示部とを備え、前記パスコード表示部が、前記筐体から分離して設けられており、前記操作部にリード線を介して接続可能とされていることを特徴とする。
【0015】
上記第2の発明によれば、パスコード発行部によって発行されたパスコードは、パスコード表示部を操作部に接続したときにのみ確認することができ、パスコード表示部を操作部に接続しない限り確認できない。このように、情報端末装置とのペアリングを行う際には、パスコード表示部をリード線により操作部に接続する作業を行う必要があるため、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を抑止することができる。
【0016】
また、第1又は第2の発明において、前記給湯器は、水流検知部を備え、前記パスコード表示部は、前記水流検知部が水流を検知したことを条件として、パスコードを表示することが好ましい。
【0017】
水流検知部が水流を検知するのは給湯運転が開始されたときに相当する。具体的には、例えば、給湯カランの開栓操作が行われたとき等が挙げられる。給湯運転を開始させる操作は、ユーザ以外の第三者にとって困難な操作である。そこで、本発明においては、水流検知部が水流を検知したことを条件としてパスコードを表示させる。これにより、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を一層確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態にかかる給湯システムの構成図である。
図2】第1実施形態にかかる情報端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態にかかる給湯器の概略構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態にかかる給湯器の前面パネルを外した状態を示す正面図である。
図5】給湯器と情報端末装置とをペアリングするときの処理動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態にかかる給湯システムの構成図である。
図7】本発明の第3実施形態にかかる給湯システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではなく、当業者によって本発明の技術思想に基づいて必要な変更を行うことができる。
【0020】
(給湯システムの構成)
図1に示すように、第1実施形態の給湯システム1は、情報端末装置11と給湯器12との間で通信を行うシステムである。情報端末装置11は、給湯器12に対して給湯の運転動作を指示する情報を送信可能とされ、給湯器12は、情報端末装置11に対して給湯器12の運転状態等を示す情報を送信可能とされている。
【0021】
(情報端末装置の構成)
情報端末装置11は、スマートフォンまたはタブレット端末装置などの携帯端末装置である。なお、情報端末装置11はPC(Personal Computer)など携帯端末装置以外の装置であってもよい。
【0022】
情報端末装置11は、CPU、メモリ、I/OインターフェースおよびROM,RAM、HDD等の記録装置などによって構成され、後述する給湯器12との通信に関するペアリング処理など各種制御処理を実施する。
【0023】
情報端末装置11は、図2に示すように、操作部110と通信部111とを備えている。
【0024】
情報端末装置11がスマートフォンの場合、操作部110は、表示画面としても機能するタッチパネルである。ユーザが情報端末装置11の所定のアプリケーションを起動することにより、操作部110としての操作用ボタンおよび給湯器12の状態を示す画像等が表示される。情報端末装置11には、給湯器12の運転に係る通信を給湯器12と行うための所定のアプリケーションがあらかじめインストールされている。当該所定のアプリケーションは、給湯器12のメーカ等により提供されるアプリケーションであり、インターネット上のサーバまたは給湯器12の購入時に付随する記録装置等から、適宜、情報端末装置11にダウンロードすることが可能である。
【0025】
通信部111は、Bluetooth(登録商標)および赤外線通信等その他の近距離無線通信方式で給湯器12と通信接続される。通信部111は上記近距離通信方式の他に、Wi-Fi(登録商標)等その他の無線通信方式を採用することもできる。第1実施形態においては、通信部111がBluetooth(登録商標)通信部であり、通信部111が給湯器12の通信部123と通信するが、この限りではなく、上記の通信方式が用いられてもよい。
【0026】
(給湯器の構成)
給湯器12は、公知の構造の給湯器である。このため、詳細な図示及び説明は省略するが、給湯器12は、住宅の屋外に設置され、バーナ等の熱源により給湯用水を加熱し、この加熱した給湯用水を宅内外の台所や浴室、洗面所等の給湯栓、浴槽、食器洗浄機等に供給し得るように構成されている。
【0027】
図3に示されるように、給湯器12は、操作部120と、パスコード発行部121と、水流検知部122と、通信部123とを備えている。
【0028】
また、給湯器12は、図示しない運転制御を行う機能を有する制御部125が搭載されている。制御部125は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。そして、制御部125は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、給湯器12の運転制御(熱源の作動制御および後述する携帯端末装置とのペアリング等)を行う。
【0029】
操作部120は、給湯器12の外壁を構築する筐体126の外側である外側面から露出して設けられている。操作部120は、筐体126の外側面のうち前面(後述する前面パネル1261)から露出して設けられることが好ましい。操作部120は、詳細な図示は省略するが、複数の操作スイッチ等により構成される。この場合、操作部120には、情報端末装置11とのペアリングに用いる際のパスコードを発行させるためのスイッチが含まれる。この他、操作部120には、例えば、給湯器12の運転のON・OFF操作(起動・停止操作)を行うためのスイッチ、給湯温度の目標値を設定するためのスイッチ、浴槽内の湯温や湯量の目標値を設定するためのスイッチ、浴槽への自動湯はりを行う湯はり運転を給湯器12に実行させるためのスイッチ等が含まれる。
【0030】
操作部120には、情報表示部1200が設けられている。情報表示部1200は、給湯器12の運転のON・OFF、給湯温度の目標値、浴槽内の湯温や湯量の目標値、浴槽への自動湯はりを行う湯はり運転を給湯器12が実行しているか否か等の情報を表示する。
【0031】
パスコード発行部121は、後述するように操作部120の操作により、情報端末装置11とのペアリングに用いる際のパスコードを発行する。パスコード発行部は、当該パスコードを表示させるパスコード表示部1210を備えている。
【0032】
図4は第1実施形態にかかる給湯器の前面パネルを外した状態を示す正面図である。パスコード表示部1210および燃焼装置127は、給湯器12の外壁を構築する筐体126の内部に隠蔽されている。図1および図4に示すように、筐体126は、前面に形成された開口部が前面パネル1261(パネル部材)により閉塞されている。前面パネル1261はネジ等を用いて筐体126の前面から着脱自在に取り付けられている。筐体126から前面パネル1261を取り外すことにより、開口部が開放されてパスコード表示部1210が視認可能となる。なお、第1実施形態においては、前面パネル1261を取り外してパスコード表示部1210を視認可能としたが、これに限るものではなく、例えば、パスコード表示部1210に対応する位置の前面パネル1261の一部に開口部を設けてこの開口部のみを閉塞するパネル部材を着雑自在に設けてもよい。これによっても、パスコード表示部1210は筐体126の内部に隠蔽され、パネル部材を取り外すことによりパスコード表示部1210が視認可能となる。パスコード表示部1210は、前述したように、情報端末装置11と給湯器12とのペアリングに用いる際使用するパスコードを表示する。
【0033】
水流検知部122は、例えば、給湯器12の水道導入管および注湯管の少なくとも1つの管の一部に1つまたは複数個設けられ、当該一部を流れる水の流量を検知する。水流検知部122は、例えば、給湯カランの開栓操作が行われたとき等に流水状態を検知する。後述するようにパスコード表示部1210は、水流検知部122が水流を検知したことを条件として、パスコードを表示する。
【0034】
通信部123は、Bluetooth(登録商標)および赤外線通信等その他の近距離無線通信方式で情報端末装置11と通信接続される。通信部123は上記近距離通信方式の他に、Wi-Fi(登録商標)等その他の無線通信方式を採用することもできる。第1実施形態においては、上述のように通信部123がBluetooth(登録商標)通信部であり、通信部123は、情報端末装置11の通信部111とBluetooth(登録商標)通信する。
【0035】
情報端末装置11と給湯器12との実体的な通信を行うためには、事前に、情報端末装置11に給湯器12との通信および操作に供されるアプリケーションをインストールした上で、情報端末装置11と給湯器12とをペアリングさせて互いの識別情報を登録する必要がある。アプリケーションには、給湯器12から無線通信で給湯器12の機器情報を含む通知信号が発信されると、当該通知信号を受信して当該機器情報を認識するステップおよび当該機器情報に基づいて当該通知信号を発信する給湯器12の機種に対応して、給湯器12と情報端末装置11とのペアリングに用いるパスコードを給湯器12から入手するための給湯器12の操作方法を表示させるステップなどを実行させるためのプログラムが組み込まれている。
【0036】
(給湯システムの機能)
以下の説明は、情報端末装置11と給湯器12とのペアリングの処理動作についての説明である。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態にかかる給湯システム1において、給湯器12と情報端末装置11とをペアリングするときの処理動作を示すフローチャートである。当該処理は、給湯器12においては、制御部125が実行する。
【0038】
給湯器12および情報端末装置11は、初期状態において、待機状態である。このとき、情報端末装置11の待機状態において、情報端末装置11は、上記のアプリケーションを起動させている。
【0039】
給湯器12の待機状態において、ユーザの操作により、給湯器12の電源がオンされ、給湯器12に対して所定の操作がされる(STEP21)。所定の操作として、例えば、給湯器12の操作部120のうち少なくとも1つの入力部(操作用スイッチまたは操作用タッチパネルの一部)を操作(押すまたはタップ)することなどがある。
【0040】
制御部125は、STEP21の操作が行われた場合、無線通信で給湯器12の機器情報および個体識別情報を含む通知信号を宛先不特定で送信する(STEP22)。接続信号は、情報端末装置11との通信の接続確立をしない信号である。また、接続信号は、当該送信先の外部端末20を指定しない宛先不特定の信号である。このため、給湯器12に未登録の情報端末装置11でも当該接続信号を受信することができる。給湯器12の機器情報は、自身の給湯器12の機種を示す情報であり、例えば、給湯器12の型式等が挙げられる。給湯器12の個体識別情報は、同じ形式の複数の給湯器12であっても自身を示す情報である。
【0041】
待機状態の情報端末装置11は、STEP22の接続信号の受信圏内にある場合、上記接続信号を受信する(STEP11)。上記接続信号を情報端末装置11が受信すると、情報端末装置11は、接続信号の解析を行って当該接続信号に含む給湯器12の機器情報および個体識別情報などを取得する。当該機器情報により上記接続信号を送信している給湯器12の機種の特定および給湯器12の個体識別が可能となる。なお、情報端末装置11と給湯器12とが既にペアリングされていた場合には、情報端末装置11は、上記接続信号を受信しても当該接続信号の解析を行わないようにしてもよい。
【0042】
情報端末装置11が接続信号を受信したときに、情報端末装置11の画面表示部(不図示)にペアリングするための機種毎の給湯器12の操作手順を表示させてもよい。このとき、情報端末装置11は、給湯器12の機器情報などに基づいてアプリケーション内に保持する操作手順ファイルを検索し、給湯器12の機器情報で特定される給湯器12の機種毎の操作方法を表示させる。当該操作手順ファイルは、給湯器12と情報端末装置11とをペアリングするための給湯器12の操作方法が給湯器12の機種ごとに記録されたデータファイルである。給湯器12の機器情報から特定される給湯器12の機種は、上記接続信号を送信している給湯器12の機種であり、情報端末装置11を通信接続させたい給湯器12の機種である。前記操作手順には、後述するように給湯器12と情報端末装置11とのペアリングに必要な認証用のパスコードを給湯器12のパスコード表示部1210に表示させる表示方法を含む。
【0043】
また、アプリケーションには、給湯器12の機種を検索する検索部が設けられていてもよい。検索部により、給湯器12の機種情報をユーザが直接入力することで、情報端末装置11は、給湯器12の機器情報などに基づいてアプリケーション内に保持する操作手順ファイルを検索し、給湯器12の機種情報で特定される給湯器12の機種毎の操作方法を表示させる。このとき、アプリケーションによって、給湯器12のSTEP21での以前の接続手順などが情報端末装置11の画面表示部に表示されてもよい。
【0044】
STEP22で制御部125が接続信号を送信すると、次いで、制御部125は、水流検知部122により、水道導入管および注湯管の少なくとも1つの管の一部の流水状態を検知する(STEP23)。このとき、操作部120の情報表示部1200にカランやシャワー等の開栓操作を促す表示を行うことが好ましい。ユーザによりカランやシャワー等の開栓操作が行われると、水流検知部122が流水状態を検知する。
【0045】
制御部125が流水状態でない(止水状態)と判断する場合(STEP23:NO)、制御部125は、STEP23の流水状態であるかどうかの判断を繰り返す。その後、STEP23:NOの判断回数が連続して所定回数に達したら、以降の処理を終了し、給湯器12を待機状態に移行させてもよい。このとき、流水状態でないという旨を操作部120に備えられる情報表示部1200に表示させて、ユーザに対して、ペアリングできない旨を報知させてもよい(不図示)。
【0046】
制御部125が流水状態であると判断する場合(STEP23:YES)、制御部125は、パスコード発行部121に対して、給湯器12と情報端末装置11とのペアリングに必要な認証用のパスコードを発行させ、パスコード表示部1210は当該パスコードを表示させる(STEP24)。
【0047】
情報端末装置11は、STEP11にて接続信号を受信すると、次いで、パスコード入力画面をその画面表示部に表示させ、ユーザは、パスコード表示部1210の表示されたパスコードを入力する(STEP12)。このとき、パスコード表示部1210は筐体126の内部に隠蔽されているので、ユーザは、筐体126から前面パネル1261を取り外し、視認可能となったパスコード表示部1210に表示されたパスコードを情報端末装置11に入力する。
【0048】
STEP12にて、情報端末装置11のユーザにより、パスコード入力画面にパスコード表示部1210で表示されたパスコードを入力すると、次いで、情報端末装置11は、入力されたパスコードと情報端末装置11の識別情報とを含む接続認証情報を給湯器12に送信する(STEP13)。
【0049】
給湯器12は、STEP13の接続認証情報の受信圏内にある場合、当該接続認証情報を受信する(STEP25)。制御部125は、パスコード表示部1210が表示したパスコードと接続認証情報に含むパスコードとが一致することを確認すると、情報端末装置11とのペアリングが成功したと判断する。ペアリングの成功により、制御部125は、情報端末装置11の識別情報を登録してこの外部端末20との通信連携機能を有効にし、制御部125は、接続許可信号を情報端末装置11に送信する(STEP26)。次いで、制御部125は給湯器12のペアリング動作処理を終了する。
【0050】
情報端末装置11は、STEP26の接続認証信号の受信圏内にある場合、当該接続認証情報を受信する(STEP25)。次いで、情報端末装置11は給湯器12の識別情報を登録して給湯器12との通信連携機能を有効にする。次いで、情報端末装置11はペアリング動作処理を終了する。
【0051】
情報端末装置11が今回ペアリング前に給湯器12の識別情報を登録していた場合、パスコード入力操作が省略されてもよい。すなわち、STEP11以後、STEP12を経ることなく、STEP13に移行してもよい。
【0052】
以上で給湯器12と情報端末装置11とのペアリングが完了する。これ以後は、情報端末装置11は、アプリケーションによって、接続確立信号の送信により給湯器12との通信接続が確立される。これにより、情報端末装置11は、給湯器12に対して所定の給湯メニューによる給湯運転動作の指示よび給湯器12の運転状態の確認など行うことができる。
【0053】
以上のように、第1実施形態の給湯システム1によれば、給湯器12と情報端末装置11とのペアリングの際、パスコード発行部1210によって発行されたパスコードは、筐体126から前面パネル1261を取り外して筐体126の開口部を開放しない限り視認できない。このように、情報端末装置とのペアリングを行うためには、前面パネル1261の取り外し作業を行う必要があるため、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を抑止することができる。
【0054】
また、水流検知部が水流を検知したことを条件としてパスコードを表示させる。水流検知部が水流を検知するのは給湯運転が開始されたときに相当し、給湯運転を開始させる操作は、ユーザ以外の第三者にとって困難な操作である。このため、第1実施形態の給湯システム1によれば、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を一層確実に抑止することができる。
【0055】
(本発明の給湯システムの第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態にかかる給湯システム1の構成図である。図6に示されるように、パスコード表示部1210は、筐体126から分離して設けられており、操作部120に接続可能なリード線124を介して接続されている。このため、STEP24において、パスコード表示部1210が操作部120に接続されていない場合、パスコードはパスコード表示部1210に表示されない。
【0056】
このような実施形態の給湯システム1によれば、パスコード発行部121によって発行されたパスコードは、パスコード表示部1210を操作部120に接続したときにのみ確認することができ、パスコード表示部1210を操作部120に接続しない限り確認できない。このため、ユーザが情報端末装置11と給湯器12とのペアリングを行う際には、パスコード表示部1210をリード線124により操作部120に接続する作業を行う必要があるため、ユーザ以外の第三者の悪戯等によるペアリング操作を抑止することができる。なお、ユーザ以外、としたが、ユーザの代わりに設置業者、点検業者または修理業者などユーザ以外の者であっても、ペアリング操作を行うことができる。
【0057】
(本発明の給湯システムの第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態にかかる給湯システム1の構成図である。図7に示されるように、第3実施形態では、第2実施形態同様にパスコード表示部1210は、筐体126から分離して設けられている他にパスコード発行部121も、筐体126から分離して設けられている。このとき、パスコード表示部1210は、操作部120に接続可能な第1のリード線1240を介して接続され、パスコード発行部121は、操作部120に接続可能な第2のリード線1241を介して接続されている。
【0058】
このため、STEP24において、パスコード表示部1210およびパスコード発行部121のいずれかが操作部120に接続されていない場合、パスコードはパスコード表示部1210に表示されない。
【0059】
本発明の第3実施形態にかかるパスコード発行部121は、例えば、設置業者点検業者または修理業者が有している情報端末装置12とは別の第2の情報端末装置にインストールされている所定のアプリケーションまたは所定のプログラムである。パスコード発行部121は、パスコードを給湯器12の制御部125を介してパスコード表示部1210に送信する。このため、ユーザ、設置業者、点検業者または修理業者は、パスコード表示部1210に表示されたパスコードを設置時、点検時または修理時に限りペアリング操作を行うことができる。
【0060】
本発明の第3実施形態にかかる給湯器1によれば、情報端末装置11と給湯器12とのペアリング操作の終了後、パスコード発行部121(第2の情報端末装置)は、給湯器12の第2のリード線1241の接続を切断し、給湯器12の制御部125で記憶したパスコードを消去することができる。この場合、今回ペアリング時の後に行う次回ペアリング時において、今回ペアリングを行っていたユーザの登録を解除して、新たに発行されたパスコードを用いて情報端末装置11と給湯器12とがペアリングされる。
【0061】
このように、第3実施形態にかかる給湯システム1によれば、給湯器12にパスコード表示部1210およびパスコード発行部121を設ける必要がなく、給湯器12の設計の自由度が向上する。また、引っ越しなどに伴うユーザの変更において、今回ペアリング時のパスコードを前回ペアリング時のユーザは知得することができないため、前回ペアリング時のユーザの再ペアリングを防止することができ、セキュリティ向上が一層図られる。
【符号の説明】
【0062】
1‥給湯システム、11‥情報端末装置、12‥給湯器、110‥操作部(情報端末装置)、111‥通信部(情報端末装置)、120‥操作部(給湯器)、121‥パスコード発行部、122‥水流検知部、123‥通信部(給湯器)、124‥リード線、125‥制御部、126‥筐体、127‥燃焼装置、1210‥パスコード表示部、1261‥前面パネル(パネル部材)、1240‥第1のリード線、1241‥第2のリード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7