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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069934
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240515BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20240515BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20240515BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B45/10
H05B45/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180235
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】羽生田 有美
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA07
3K273QA27
3K273QA29
3K273RA17
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA36
3K273TA41
3K273TA52
3K273UA16
3K273UA18
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】光源部の制御性を向上可能な照明器具を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、照明器具は、光源部及び照明制御部を備える。光源部は、互いに対して異なる光色で発光する複数種類の発光素子を備える。照明制御部は、所定の数のチャンネルのそれぞれに対して、光源部の動作に関する調整項目を設定し、所定の数のチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した調整項目に関連するパラメータを調整する。照明制御部は、所定の数のチャンネルの1チャンネル以上をオフチャンネルに設定可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して異なる光色で発光する複数種類の発光素子を備える光源部と;
所定の数のチャンネルを少なくとも前記光源部の動作の制御に割り当て可能であるとともに、前記所定の数のチャンネルのそれぞれに対して、前記光源部の前記動作に関する調整項目を設定する照明制御部であって、前記所定の数のチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した前記調整項目に関連するパラメータを調整するとともに、前記所定の数のチャンネルの1チャンネル以上をオフチャンネルに設定可能な照明制御部と;
を具備する、照明器具。
【請求項2】
前記照明制御部は、前記オフチャンネルに対して、前記チャンネル信号の前記信号値に関係なく前記光源部の前記複数種類の発光素子の全てで調光率を0%にする調整を、前記調整項目として設定する、請求項1の照明器具。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記オフチャンネルからの前記チャンネル信号によって別の器具の動作が制御される状態に、前記オフチャンネルを割り当て可能にする、請求項1又は2の照明器具。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記所定の数のチャンネルに対して、調整項目データで示される前記オフチャンネルを含む調整項目の中から選択された1つを、調整項目として設定する、請求項1又は2の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light emitting diode)等の発光素子を備える光源部が搭載された照明器具が、例えば、舞台及びスタジオ等で用いられている。
このような照明器具では、調光操作卓等の操作器での操作入力に対応させて、光源部の動作が制御され、例えば、操作器での操作入力に対応させて、光源部から照射される光が調光及び調色される。
また、前述のような照明器具として、互いに対して異なる光色で発光する複数種類の発光素子が光源部に搭載される照明器具がある。
このような照明器具では、操作器での操作入力に対応させて、複数種類の発光素子から出力比、すなわち、複数種類の発光素子の光色の混色比が調整され、光源部から照射される光が調色される。
【0003】
舞台及びスタジオ等では、前述のような照明器具が複数用いられ、複数の照明器具及び1つ以上の操作器から照明システムが構成される。このような照明システムでは、照明器具のそれぞれでの光源部の動作等の制御に、所定の数のチャンネルが割り当てられる。そして、照明器具のそれぞれでは、操作器での操作入力に基づいたチャンネル信号を割り当てられたチャンネルから受信し、割り当てられたチャンネルからのチャンネル信号の信号値に基づいて、光源部の動作が制御される。
【0004】
前述のように照明器具及び操作器から構成される照明システムでは、照明システムが用いられる状況等に対応させて照明器具での光源部の動作の制御が柔軟に行われる(光源部の動作の制御の順応性を向上させる)こと等の光源部の制御性を向上することが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-9594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、光源部の制御性を向上可能な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、照明器具は、光源部及び照明制御部を備える。光源部は、互いに対して異なる光色で発光する複数種類の発光素子を備える。照明制御部は、所定の数のチャンネルを少なくとも光源部の動作の制御に割り当て可能であり、所定の数のチャンネルのそれぞれに対して、光源部の動作に関する調整項目を設定する。照明制御部は、所定の数のチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した調整項目に関連するパラメータを調整し、所定の数のチャンネルの1チャンネル以上をオフチャンネルに設定可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用いられる状況等に対する光源部の制御性を向上可能な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る照明システムの一例を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る照明器具の所定のモードにおいて、光源部の動作の制御に割り当てられたチャンネルのそれぞれに対して調整項目を設定する処理の一例を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る照明器具の動作の制御に割り当てられた所定の数のチャンネルに対して設定された調整項目の設定パターンの例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の照明器具(10A)は、光源部(111)及び照明制御部(112)を備える。光源部(111)は、互いに対して異なる光色で発光する複数種類の発光素子(E1~Ek)を備える。照明制御部(112)は、所定の数(Nb)のチャンネルを少なくとも光源部(111)の動作の制御に割り当て可能であり、所定の数(Nb)のチャンネルのそれぞれに対して、光源部(111)の動作に関する調整項目を設定する。照明制御部(112)は、所定の数(Nb)のチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した調整項目に関連するパラメータを調整し、所定の数(Nb)のチャンネルの1チャンネル以上をオフチャンネルに設定可能である。このため、照明器具(10A)の動作の制御に割り当てられた所定の数(Nb)チャンネルの中の1チャンネル以上がオフチャンネルに割り当てられた場合、オフチャンネルからのチャンネル信号を、照明器具(10A)の動作の制御以外の用途に割り当て可能となる。これにより、照明システム(1)が用いられる状況等に対する照明器具(10A)での光源部(111)の動作の制御の順応性が、向上する。
【0011】
実施形態の照明器具(10A)では、照明制御部(112)は、オフチャンネルに対して、チャンネル信号の信号値に関係なく光源部(111)の複数種類の発光素子(E1~Ek)の全てで調光率を0%にする調整を、 調整項目として設定する。これにより、オフチャンネルからのチャンネル信号の信号値が変化しても、光源部(111)の動作状態が変化しない状態が、適切に形成され、オフチャンネルからのチャンネル信号の信号値が照明器具(10A)の光源部(111)の動作に影響を与えない状態が、適切に形成される。
【0012】
実施形態の照明器具(10A)では、照明制御部(112)は、オフチャンネルからのチャンネル信号によって別の器具の動作が制御される状態に、オフチャンネルを割り当て可能にする。これにより、操作器(11)に割り当てられるチャンネル数が制限されても、1つの操作器(11)で動作を制御する照明器具(10)の数を増加可能となる。
【0013】
実施形態の照明器具(10A)では、照明制御部(112)は、所定の数(Nb)のチャンネルに対して、調整項目データ(116)で示されるオフチャンネルを含む調整項目の中から選択された1つを、調整項目として設定する。これにより、照明システム(1)のユーザ等は、照明器具(10A)を含む照明システム(1)が用いられる状況等に対応させて、所定の数(Nb)のチャンネルのそれぞれに適宜の調整項目を選択及び設定可能になる。
【0014】
以下、図面等を参照にして、実施形態について説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る照明システム1の一例を示す。図1の一例の照明システム1は、例えば、舞台及びスタジオ等において利用される。図1の一例では、照明システム1は、照明器具10Aを含む複数の照明器具10及び操作器11を備える。照明器具10のそれぞれは、例えば、ムービングライト、スポットライト、ホリゾントライト、ボーダーライト、フラッドライト及びダウンライト等のいずれかである。ある一例では、照明システム1は、1つ以上のバトンを備え、バトンのそれぞれでは、2台以上の照明器具10が支持される。また、操作器11は、例えば、調光操作卓である。図1においては、照明システム1が、1つの操作器11を備える構成を開示するが、照明システム1が、2つ以上の操作器11を備えていてもよい。
【0016】
照明器具10Aを含む照明器具10のそれぞれには、通信線が接続され、照明器具10のそれぞれは、接続される通信線を通して、操作器11等の外部の機器と通信する。照明器具10のそれぞれには、例えば、照明関連の機器固有の通信規格であるDMX(Digital Multiplex)、及び、DMXを拡張した通信規格であるRDM(Remote Device Management)等で用いられる通信線であるDMX線が、接続される。この場合、照明器具10のそれぞれは、DMX線を通して外部と通信し、DMX信号を外部からの信号として受信する。なお、通信規格であるDMXは、DMX512とも称する。
【0017】
操作器11は、接続される通信線、又は、ネットワークを通して、外部と通信する。ある一例では、操作器11に前述のDMX線が接続される。この場合、照明器具10のそれぞれは、操作器11からDMX線を通して送信されたDMX信号を、受信する。また、本一例では、操作器11は、中間機器として1つ以上のスプリッタを間に介して、照明器具10のそれぞれと通信する。そして、操作器11からのDMX信号は、スプリッタによって、複数の照明器具10に分配される。
【0018】
また、別のある一例では、操作器11は、ネットワークを介して外部と通信し、例えば、イーサネット(登録商標)、IP(Internet Protocol)ネットワーク及びLAN(Local Area Network)等のいずれかを介して、外部と通信する。この場合、操作器11は、中間機器として1つ以上のノードを間に介して、照明器具10のそれぞれと通信する。そして、操作器11からネットワークを介して送信された信号は、ノードによって、DMX信号に変換される。そして、ノードによって変換されたDMX信号が、複数の照明器具10に分配される。
【0019】
なお、スプリッタ及びノード等の中間機器は、例えば、照明器具10を支持するバトン等に搭載される。また、ある一例では、照明システム1において、複数の中間機器が設けられ、複数の中間機器のそれぞれに1つ以上の照明器具10がDMX線等の通信線を介して接続される。そして、照明器具10が接続された複数の中間機器同士が、通信線を介してカスケード接続される。また、照明器具10同士が通信線を介してカスケード接続されてもよい。
【0020】
調光操作卓等である操作器11は、操作入力部101、制御部102、記憶部103及び通信部105を備える。操作器11には、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体が設けられる。操作器11に設けられるプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。操作器11は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、操作器11は、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。操作器11では、プロセッサ又は集積回路によって、制御部102の処理が行われる。また、操作器11では、記憶媒体が記憶部103として機能する。
【0021】
通信部105は、ポート又はネットワークインタフェース等の操作器11に設けられるインタフェースから構成される。通信部105は、前述したようにして、照明器具10を含む外部の機器と通信する。また、操作器11には、告知部が設けられてもよい。この場合、告知部は、ユーザインタフェースによって構成される。告知部では、照明システム1のユーザ等に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、告知部は、ディスプレイ及びタッチパネル等のいずれかを備える。また、告知部は、操作器11とは別体に設けられてもよい。
【0022】
また、操作器11では、操作入力部101は、ユーザインタフェースによって構成される。操作器11の操作入力部101では、照明システム1のユーザ等によって、各種の操作が入力される。操作入力部101では、例えば、操作器11と通信する照明器具10の動作に関する操作入力が行われる。ある一例では、操作器11は、調光操作卓であり、操作器11には、操作入力部101として、複数のフェーダが設けられる。そして、フェーダのそれぞれにおいて、照明器具10の動作に関する操作入力が行われる。別のある一例では、操作器11に設けられる表示画面、又は、操作器11とは別体の端末又はコンピュータの表示画面に、複数のフェーダ画像(仮想フェーダ)が表示される。そして、複数のフェーダ画像を用いて、照明器具10の動作に関する操作入力が行われる。
【0023】
操作器11の制御部102は、操作入力部101での操作入力に基づいて、操作器11と通信する照明器具10の動作に関する指令信号を生成する。そして、照明システム1では、通信部105は、制御部102によって生成された指令信号を、照明器具10Aを含む複数の照明器具10に送信する。これにより、照明器具10のそれぞれには、操作器11からの指令信号となるDMX信号等が、入力される。
【0024】
照明器具10のそれぞれは、光源部111、照明制御部112、記憶部113及び通信部115を備える。なお、図1では、1つの照明器具10Aについてのみ、光源部111、照明制御部112、記憶部113及び通信部115を示すが、照明器具10A以外の照明器具10についても、同様に、光源部111、照明制御部112、記憶部113及び通信部115が設けられる。
【0025】
照明器具10のそれぞれには、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体が設けられる。照明器具10のそれぞれでは、操作器11と同様に、プロセッサ又は集積回路は、CPU、ASIC、FPGA及びDSP等のいずれかを含む。照明器具10のそれぞれは、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、照明器具10のそれぞれは、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。照明器具10のそれぞれでは、プロセッサ又は集積回路によって、照明制御部112の処理が行われる。また、照明器具10のそれぞれでは、記憶媒体が記憶部113として機能する。
【0026】
照明器具10のそれぞれでは、通信部115は、ポート等のインタフェースから構成され、通信部115は、前述したようにして、操作器11を含む外部の機器と通信する。また、ある一例では、照明システム1では、照明器具10のそれぞれについての各種の設定を行うリモコン等の設定器(図示しない)が、ユーザインタフェースとして設けられてもよい。また、ある一例では、照明システム1では、照明器具10のそれぞれについての各種の設定を行うユーザインタフェース(例えば、ボタン、タッチパネルなど)が、照明器具10のそれぞれに設けられてもよい。これらの場合、設定器では、照明器具10のそれぞれの設定に関する操作入力が、照明システム1のユーザによって行われる。また、ある一例では、1つの照明器具10において、複数のモードに切替わり可能である。そして、複数のモードに切替わり可能な照明器具10のモードを切替える操作入力が、設定器において行われる。
【0027】
操作器11と通信する照明器具10のそれぞれでは、通信部115は、操作器11からの指令信号となるDMX信号等を、受信する。そして、指令信号を受信した照明器具10のそれぞれでは、照明制御部112は、受信した指令信号において示される指令内容に基づいて、光源部111の動作を制御する。このため、操作器11と通信する照明器具10のそれぞれでは、操作器11の操作入力部101での操作入力に対応させて、光源部111の動作等の照明器具10の動作が制御される。例えば、照明器具10のそれぞれでは、操作器11での操作入力に対応させて、光源部111から照射される光が調光及び調色される。
【0028】
操作器11からの指令信号によって複数の照明器具10の動作を制御している状態では、操作器11の制御部102は、Naチャンネル(Naは2以上の自然数)を、操作器11からの指令信号の送信に割り当てる。この際、操作器11の制御部102は、指令信号の送信に割り当てたNaチャンネルについて、チャンネル番号等を取得する。操作器11によって動作が制御される照明器具10のそれぞれでは、操作器11からの指令信号を受信することにより、指令信号の送信に割り当てられたNaチャンネルのそれぞれからチャンネル信号が入力される。指令信号の送信に割り当てられたNaチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値は、操作器11の操作入力部101での操作入力に対応した値となる。なお、ある一例では、操作器11が複数のフェーダを備える調光操作卓であり、操作器11に設けられるフェーダの数と同一のチャンネル数が、操作器11からの指令信号の送信に割り当てられる。
【0029】
また、操作器11からの指令信号によって動作が制御される照明器具10のそれぞれでは、照明制御部112は、Naチャンネルの中の1チャンネル以上を、光源部111の動作の制御に割り当てる。この際、照明器具10のそれぞれでは、照明制御部112は、光源部111の動作の制御に割り当てた1チャンネル以上について、チャンネル番号等を取得する。照明器具10のそれぞれでは、操作器11からの指令信号を受信すると、照明制御部112は、光源部111の動作の制御に割り当てた1チャンネル以上のそれぞれから入力されるチャンネル信号の信号値を、取得する。そして、照明器具10のそれぞれでは、照明制御部112は、動作の制御に割り当てたチャンネルから入力されたチャンネル信号の信号値に基づいて、光源部111の動作を制御する。
【0030】
ここで、DMXで用いられるDMX線では、1系統につき最大で512チャンネルを使用可能である。ある一例では、照明システム1において照明器具10のそれぞれは、DMX線を通して通信し、照明器具10のそれぞれでは、操作器11からの指令信号となるDMX信号を受信することにより、512チャンネルの中のNaチャンネルのそれぞれからチャンネル信号が入力される。そして、照明器具10のそれぞれでは、Naチャンネルの中の1チャンネル以上が光源部111の動作の制御に割り当てられ、照明制御部112は、動作の制御に割り当てたチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に基づいて、光源部111の動作を制御する。また、DMXを用いた通信では、512チャンネルのそれぞれにおいて、チャンネル信号の信号値は、0~255のいずれかの値に設定される。
【0031】
また、照明器具10のそれぞれにおいて光源部111の動作の制御に割り当てられるチャンネル数は、照明器具10の種類に対応して、変化する。また、複数のモードに切替わり可能な照明器具10では、光源部111の動作の制御に割り当てられるチャンネル数が、モードに対応して変化してもよい。なお、チャンネル数は、フットプリント及び占有領域等とも称する。
【0032】
以下、照明器具10Aの光源部111の構成、及び、照明器具10Aでの光源部111の動作の制御について説明する。なお、照明システム1では、照明器具10A以外の照明器具10において、光源部111の構成、及び、光源部111の動作の制御等が、照明器具10Aと同様であってもよく、照明器具10Aとは異なってもよい。
【0033】
図1等に示すように、照明器具10Aでは、光源部111は、複数種類の発光素子E1~Ek(kは2以上の自然数)を備える。複数種類の発光素子E1~Ekは、互いに対して異なる光色で発光する。照明器具10Aでは、操作器11からの指令信号に対応させて複数種類の発光素子E1~Ekからの出力比、すなわち、発光素子E1~Ekの光色の混色比を調整することにより、光源部111から照射される光が調色される。ある一例では、複数種類の発光素子E1~Ekとして、赤色、緑色、青色及び白色の発光素子が設けられる。白色の発光素子は、例えば、色温度が3000Kの白色を発光する発光素子である。また、別のある一例では、複数種類の発光素子E1~Ekとして、前述の4種類の発光素子に加えて、シアン色及びアンバー色の発光素子が設けられる。
【0034】
また、照明器具10Aは、所定のモードであるモードα0を含む1つ以上のモードを有し、1つ以上のモードのそれぞれにおいて、光源部111の動作の制御を行う。また、照明器具10Aが複数のモードに切替わり可能な場合、照明器具10Aでは、光源部111の動作の制御に割り当てられるチャンネル数が、モードに対応して変化してもよい。照明器具10Aでは、照明制御部112は、動作の制御に割り当てたチャンネルのそれぞれに対して、モードに対応した調整項目を設定する。そして、照明制御部112は、動作の制御に割り当てたチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、チャンネルごとに設定した調整項目に関連するパラメータを調整する。照明制御部112は、設定した調整項目に関連するパラメータを調整することにより、光源部111の動作を制御し、光源部111から照射される光を調光及び調色等する。
【0035】
以下、照明器具10Aの所定のモードであるモードα0における、照明器具10Aの光源部111の動作の制御について、説明する。照明器具10Aでは、照明制御部112は、モードα0において、操作器11からの指令信号の送信に割り当てられたNaチャンネルの中で、最大でNbチャンネル(NbはNa以下の自然数)を光源部111の動作の制御に割り当てる。すなわち、照明器具10Aのモードα0では、所定の数Nbのチャンネルを、照明器具10Aの光源部111の操作の制御に割り当て可能である。そして、照明器具10Aでは、照明制御部112は、モードα0において、割り当てたNbチャンネルのそれぞれから入力されるチャンネル信号の信号値に基づいて、光源部111の動作等を制御する。ある一例では、モードα0において照明器具10Aの動作の制御に割り当て可能なチャンネル数である所定の数Nbは、4、8及び16のいずれかである。
【0036】
照明器具10Aの記憶部113には、調整項目データ116が記憶される。そして、調整項目データ116では、照明器具10Aの光源部111の動作に関する調整項目が示され、項目数Mの調整項目が示される。ある一例では、調整項目データ116において示される調整項目の項目数Mは、モードα0において光源部111の動作の制御に割り当て可能なチャンネル数(所定の数Nb)より多い。
【0037】
モードα0では、照明システム1のユーザ等によって、調整項目データ116で示される項目数Mの調整項目の中から、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルのそれぞれに対して設定する調整項目が、選択される。この際、所定の数Nbのチャンネルのそれぞれに対して設定する調整項目を選択する操作入力は、例えば、リモコン等の設定器(図示しない)において行われる。そして、モードα0では、照明器具10Aの照明制御部112は、Nbチャンネルのそれぞれに対して、調整項目データ116で示される項目数Mの調整項目の中から選択された1つを、調整項目として設定する。
【0038】
図2は、照明器具10Aの所定のモードであるモードα0において、光源部111の動作の制御に割り当てられたチャンネルのそれぞれに対して調整項目を設定する処理の一例を示す。図2の一例では、前述の所定の数Nbが8となり、モードα0において、照明器具10Aの光源部111の動作の制御に、8チャンネルが割り当てられる。
【0039】
また、図2の一例では、チャンネル番号Ch.6が、照明器具10Aの先頭チャンネルとして設定され、チャンネル番号Ch.6~Ch.13の8チャンネルを、照明器具10Aの光源部111の動作の制御に割り当て可能である。ある一例では、照明器具10Aの照明制御部112は、リモコン等の設定器での操作入力に基づいて、照明器具10Aの先頭チャンネルを設定する。別のある一例では、照明器具10Aの照明制御部112は、操作器11を含む外部の機器と通信を行うことにより、照明器具10A以外の器具の動作の制御等に割り当てられているチャンネルに関する情報等を、取得する。そして、照明制御部112は、外部の機器との通信によって取得した情報等に基づいて、照明器具10Aの先頭チャンネルを設定する。
【0040】
図2の一例では、照明制御部112は、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたチャンネル番号Ch.6~Ch.13の8チャンネルのそれぞれに対して、調整項目を設定する。すなわち、調整項目β1~β8のそれぞれが、設定される。また、図2の一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“光色γ1のインテンシティ”、“光色γ2でのインテンシティ”、・・・、“光色γj-1でのインテンシティ”及び“光色γjでのインテンシティ”のj項目の調整項目が、含まれる。ここで、jは、Mより小さい自然数である。光色γ1~γjは、互いに対して異なる光色であり、光色γ1~γjでは、複数種類の発光素子E1~Ekからの出力比に相当する発光素子E1~Ekの光色の混色比が、互いに対して異なる。光色γ1~γjのそれぞれと発光素子E1~Ekからの出力比との関係は、例えば、記憶部113に記憶され、照明制御部112は、光色γ1~γjのそれぞれに対応する出力比を取得可能である。
【0041】
ここで、光色γ1~γjの1つである光色γaは、例えば、赤色の発光素子の光色と青色の発光素子の光色とを1:1の混色比で混色させた光色であり、光色γ1~γjの光色γaとは別の1つである光色γbは、例えば、赤色の発光素子からの光の光色である。また、光色γ1~γjの光色γa,γbとは別の1つである光色γcは、例えば、色温度3000Kの白色の光の光色である。ある一例では、光色γ1~γjに、互いに対して色温度が異なる4種類の白色(3000K、4000K、5000K、6500K)、及び、JATETが公開する“フィルタ相関DMXレベル表”で示される19種類のポリカラーの光色に相当する(光色を再現した)色(フィルタカラーともいう。フィルタNo.#140、#16、#22、#31、#40、#57、#59、#63、#64、#65、#71、#72、#77、#78、#84、#86、#87、#88に相当する(を再現する)色)が、含まれる。なお、フィルタカラーは、上述した19種類のポリカラーの光色のそれぞれを指す。光色γ1~γjに含まれる前述の23種類の光色は、例えば、照明器具10Aの製造段階等において、プリセットされる。また、光色γ1~γjには、前述の23種類の光色に加えて、照明システム1のユーザ等によって登録された1種類以上の光色が含まれてもよい。この場合、jは24以上の整数であり、照明器具10Aとしては、予めプリセットされた光色と、ユーザ等によって登録された光色と、を照射可能である。
【0042】
ここで、光色γ1~γjの任意の1つを光色γmとし、照明制御部112は、Nbチャンネルのある1チャンネルに対して、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したとする。この場合、照明制御部112は、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光色γmの光の明るさ(強度)を調整する。すなわち、光色γmに対応した出力比で複数種類の発光素子E1~Ekの光色を混色した光について、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させた調光が、行われる。
【0043】
また、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号のみに基づいて、光源部111の動作の制御が行われ、他のチャンネルからのチャンネル信号が、光源部111の動作の制御に用いられないものとする。この場合、照明制御部112は、光色γmを維持したまま、すなわち、発光素子E1~Ekからの出力比を光色γmとなる出力比で維持したまま、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の明るさ(強度)を調整する。つまり、光色γmを構成する発光素子E1~Ekそれぞれの出力比を維持したまま、発光素子E1~Ekそれぞれの発光強度を調整する。
【0044】
また、図2の一例では、調整項目データで示されるM項目の調整項目に、“インテンシティ”が含まれる。Nbチャンネルのある1チャンネルに対して“インテンシティ”を調整項目に設定した場合、照明制御部112は、“インテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の明るさ(強度)を調整する。これにより、光源部111から照射される光が、調光される。また、Nbチャンネルのある1チャンネルに対して“インテンシティ”を調整項目に設定し、かつ、Nbチャンネルの別のある1チャンネルに対して“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したとする。この場合、照明制御部112は、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値、及び、“インテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値の両方に対応させて、光色γmの光の明るさ(強度)を調整する。
【0045】
また、図2の一例では、光源部111は、ストロボ機能を有し、調整項目データで示されるM項目の調整項目に、“ストロボ”が含まれる。Nbチャンネルのある1チャンネルに対して“ストロボ”を調整項目に設定した場合、照明制御部112は、“ストロボ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111のストロボ機能の動作を調整及び制御する。例えば、照明制御部112は、“ストロボ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、ストロボ機能が動作している状態とストロボ機能の動作が停止している状態との間を切替える。また、ストロボ機能が複数種類の動作状態で動作可能な場合は、照明制御部112は、“ストロボ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、複数種類の動作状態の間で、ストロボ機能の動作を切替える。ある一例では、ストロボ機能は、“ノーマルストロボ”、“オープニングパルス”、“クロージングパルス”及び“ランダムストロボ”の4種類の動作状態で動作可能である。
【0046】
図2の一例では、照明器具10Aの光源部111の動作の制御に割り当てられた8チャンネルの中で、Ch.6の調整項目β1として“光色γ1のインテンシティ”が、Ch.7の調整項目β2として“光色γ2のインテンシティ”が、Ch.8の調整項目β3として“光色γj-1のインテンシティ”が、Ch.9の調整項目β4として“光色γ3のインテンシティ”が、Ch.10の調整項目β5として“ストロボ”が、それぞれ、設定される。そして、Ch.6~Ch.10のそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、照明制御部112は、前述したようにして、光源部111の動作を制御する。
【0047】
また、本実施形態では、図2の一例でも示すように、調整項目データで示されるM項目の調整項目に、“調光率0%調整”が含まれる。“調光率0%調整”とは、チャンネル信号の信号値に関係なく光源部111の複数種類の発光素子E1~Ekの全てで調光率を0%にする調整に、相当する。言い換えると、チャンネル信号の信号値に関係なく光源部111を動作させない調整である。照明器具10Aのモードα0では、照明制御部112は、光源部111の動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの中の1チャンネル以上に対して、調整項目を“調光率0%調整”に設定可能である。ある一例では、Nbチャンネルの中の複数チャンネルに対して、調整項目を“調光率0%調整”に設定可能である。
【0048】
ここで、光源部111の動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの全てに対して、調整項目が“調光率0%調整”に設定されたとする。この場合、割り当てられたNbチャンネルからのチャンネル信号の信号値に関係なく、照明器具10Aの光源部111から光が照射されない状態で維持され、光源部111から照射される光の調光率が0%で維持される。そして、Nbチャンネルの1チャンネル以上に対して“調光率0%調整”を調整項目に設定した場合、照明制御部112は、“調光率0%調整”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値が変化しても、光源部111の動作状態を変化させない。したがって、照明器具10Aの動作の制御では、“調光率0%調整”が調整項目に設定されたチャンネルは、チャンネル信号の信号値が、照明器具10Aの動作に影響を与えないオフチャンネルとなる。ここでの照明器具10Aの動作とは、例えば、照明器具10Aが備える光源部111の動作(点灯制御動作等)や、照明器具10Aが備えるファンにおける動作(ON/OFF動作、回転数の変更動作等)、照明器具10Aが備える照射方向調整機構(電気的信号により、照明器具10Aから照射される光の方向を、水平方向や垂直方向において変更する機構を指す)における照射方向調整動作が、挙げられる。これらの照明器具10Aの動作は、光源部111の動作と同様に、操作器11で制御される場合がある。
【0049】
本実施形態では、前述のように、割り当てられたNbチャンネルの中の1チャンネル以上に対して、調整項目を“調光率0%調整”に設定可能である。このため、照明制御部112は、所定の数Nbのチャンネルの1チャンネル以上を、チャンネル信号の信号値が照明器具10Aの光源部111の動作に影響を与えないオフチャンネルに設定可能である。
【0050】
図2の一例では、照明器具10Aの光源部111の動作の制御に割り当てられた8チャンネルの中で、Ch.11の調整項目β6、Ch.12の調整項目β7及びCh.13の調整項目β8として、“調光率0%調整”が設定される。このため、照明器具10Aの動作の制御に関しては、Ch.11~Ch.13のそれぞれが、チャンネル信号の信号値が光源部111の動作に影響を与えないオフチャンネルに設定される。したがって、図2の一例では、Ch.11~Ch.13からのチャンネルの信号値が変化しても、照明器具10Aの光源部111の動作状態が変化しない。つまり、オフチャンネルではない設定がされたチャンネルの信号値は、オフチャンネルに設定されたチャンネルの信号値より優先される。
【0051】
また、本実施形態では、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの1つ以上がオフチャンネルに設定された場合、オフチャンネルに設定されたチャンネルは、照明システム1の照明器具10Aとは別の器具の動作の制御に、割り当て可能となる。ここでの別の器具とは、照明器具10Aとは同一の種類の照明器具であったり、照明器具10Aとは異なる種類の照明器具であったり、照明器具ではない器具(例えば、バトン、スクリーン、プロジェクタ、送風機等)であってもよい。例えば、照明制御部112は、オフチャンネルに設定したチャンネルを、照明器具10A以外の照明器具10のいずれかの光源部111の動作の制御に、割り当て可能にする。オフチャンネルが照明器具10Aとは別の器具の動作の制御に割り当てられた場合、その別の器具では、照明器具10Aではオフチャンネルに設定されているチャンネルからのチャンネル信号によって、動作が制御される。そして、その別の器具では、照明器具10Aではオフチャンネルに設定されているチャンネルからのチャンネル信号の信号値が変化することにより、動作状態が変化する。
【0052】
図2の一例では、オフチャンネルに設定されたCh.11~Ch.13のそれぞれを、照明器具10A以外の別の器具の動作の制御に割り当て可能である。すなわち、Ch.11~Ch.13のそれぞれは、チャンネル信号によって照明器具10Aとは別の器具の動作が制御される状態に、割り当て可能である。
【0053】
前述のように本実施形態では、モードα0での照明器具10Aの光源部111の動作の制御に、所定の数Nbのチャンネルを割り当て可能である。そして、照明器具10Aの照明制御部112は、所定の数Nbのチャンネルのそれぞれに対して、光源部111の動作に関する調整項目を設定し、所定の数Nbのチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した調整項目に関連するパラメータを調整する。そして、モードα0では、照明制御部112は、所定の数Nbのチャンネルに対して、調整項目データ116で示される調整項目の中から選択された1つを、調整項目として設定する。このため、照明システム1のユーザ等は、照明器具10Aを含む照明システム1が用いられる状況等に対応させて、Nbチャンネルのそれぞれに適宜の調整項目を選択及び設定可能になる。したがって、照明システム1が用いられる状況等に対する照明器具10Aでの光源部111の動作の制御の順応性が、向上し、光源部111の制御性が向上する。
【0054】
また、モードα0では、割り当てられたNbチャンネルのそれぞれに対して、“光色γ1のインテンシティ”~“光色γjのインテンシティ”のj項目のいずれかを、調整項目として設定可能である。そして、照明制御部112は、“光色γmのインテンシティ”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光色γmの光の明るさ(強度)を調整する。このため、照明システム1のユーザ等は、照明器具10Aの光源部111から照射可能な光色として記憶部113等に登録されている光色を用いて、照明器具10Aからの光の調光及び調色を含む照明器具10Aの動作を制御可能となる。これにより、照明システム1のユーザ等が照明器具10Aからの光の光色を新たに作成及び設定する手間等を省略可能となり、照明システム1が用いられる舞台及びスタジオ等を借りてから本番までの期間が短い状況等に、適切に対応可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、照明器具10Aのモードα0において、所定の数Nbのチャンネルの1チャンネル以上を、チャンネル信号の信号値が照明器具10Aの動作に影響を与えないオフチャンネルに設定可能となる。このため、モードα0において照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの中の1チャンネル以上がオフチャンネルに割り当てられた場合、オフチャンネルに設定されたチャンネルからのチャンネル信号を、照明器具10Aの動作の制御以外の用途に割り当て可能となる。これにより、照明システム1が用いられる状況等に対する照明器具10Aでの光源部111の動作の制御の順応性が、向上し、光源部111の制御性が向上する。
【0056】
また、本実施形態では、照明器具10Aのモードα0において、照明制御部112は、オフチャンネルに対して、チャンネル信号の信号値に関係なく光源部111の複数種類の発光素子E1~Ekの全てで調光率を0%にする調整を、調整項目として設定する。これにより、オフチャンネルからのチャンネル信号の信号値が変化しても、光源部111の動作状態が変化しない状態が、適切に形成される。すなわち、オフチャンネルからのチャンネル信号の信号値が照明器具10Aの光源部111の動作に影響を与えない状態が、適切に形成される。
【0057】
また、照明器具10Aのモードα0では、照明制御部112は、照明器具10Aではオフチャンネルに設定されているチャンネルからのチャンネル信号によって照明器具10Aとは別の器具の動作が制御される状態に、チャンネルを割り当て可能にする。すなわち、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの中でオフチャンネルに設定されたチャンネルを、別の照明器具の動作の制御に割り当てることが可能になる。これにより、操作器11からの指令信号の送信に割り当てたNaチャンネルによって動作が制御される照明器具10の数を、増加させることが可能になる。したがって、操作器11に設けられるフェーダの数が制限される等して操作器11に割り当てられるチャンネル数が制限されても、1つの操作器11で動作を制御する照明器具10の数を増加可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、照明器具10Aのモードα0において、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルのそれぞれに対して、調整項目データで示されるM項目の調整項目の中から、照明器具10Aが用いられる状況等に対応した適宜の調整項目を選択及び設定可能である。このため、1つのモードであるモードα0のみで、照明器具10A及び照明システム1が用いられる様々な状況に、対応可能となる。したがって、照明器具10Aのモードの数を減少可能となり、照明器具10Aについて多数のモードから動作させるモードを選択する手間等が、低減される。
【0059】
なお、モードα0での照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルに対して設定可能な調整項目は、前述した調整項目に限るものではない。図3は、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルに対して設定された調整項目の設定パターンの例を示す。図3では、所定の数Nbが8であり、照明器具10Aの動作の制御に8チャンネルが割り当てられる例について説明する。また、図3では、割り当てられた8チャンネルへの調整項目の設定パターンとして、設定パターンε1~ε5が示される。
【0060】
設定パターンε1では、図2の一例と同様に、割り当てられた8チャンネルに対して、調整項目が設定される。すなわち、8チャンネルの中で、1チャンネルの調整項目が“光色γ1のインテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“光色γ2のインテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“光色γ3のインテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“光色γj-1のインテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“ストロボ”に、残りの3チャンネルの調整項目が“調光率0%調整”に、それぞれ、設定される。
【0061】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“色相”及び“彩度”が含まれる。そして、設定パターンε2では、割り当てられた8チャンネルの中で、1チャンネルの調整項目が“インテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“色相”に、別の1チャンネルの調整項目が“彩度”に、残りの5チャンネルの調整項目が“調光率0%調整”に、それぞれ、設定される。8チャンネルの調整項目が設定パターンε2に設定された場合、照明制御部112は、“色相”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の色相を調整する。そして、照明制御部112は、“彩度”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の彩度を調整する。なお、色相の調整によって、CIE LAB色空間のa色度図における円の周方向についての位置が調整され、彩度の調整によって、同a色度図における円の径方向についての位置が調整される。
【0062】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“Dimto Warm”が含まれる。そして、設定パターンε3では、割り当てられた8チャンネルの中で、1チャンネルの調整項目が“Dim to Warm”に、残りの7チャンネルの調整項目が“調光率0%調整”に、それぞれ、設定される。8チャンネルの調整項目が設定パターンε3に設定された場合、照明制御部112は、“Dim to Warm”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光について調光(明るさの調整)及び色温度の調整を同時に行う。この場合、照明制御部112は、チャンネル信号の信号値に対応させて調光率を低くするほど、色温度を低くする。
【0063】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“色温度”及び“白色の色合い”が含まれる。そして、設定パターンε4では、割り当てられた8チャンネルの中で、1チャンネルの調整項目が“インテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“色温度”に、別の1チャンネルの調整項目が“白色の色合い”に、残りの5チャンネルの調整項目が“調光率0%調整”に、それぞれ、設定される。8チャンネルの調整項目が設定パターンε4に設定された場合、照明制御部112は、“色温度”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光について、白色の色温度を調整する。そして、照明制御部112は、“白色の色合い”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光について、白色の色温度を維持したまま、色合いを調整する。この際、例えば、xy色度図における黒体軌跡を基準として、色偏差(duv)プラス方向(緑色側方向)及び色偏差(duv)マイナス方向(マゼンタ色側方向)のいずれの色合いであるか等が、調整される。
【0064】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“カット/フェード切替え”が含まれる。そして、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルに対する調整項目の設定パターンのある1つにおいて、ある1チャンネルに対して“カット/フェード切替え”が調整項目として設定され、別のある1チャンネルに対して“インテンシティ”又は“光色γjのインテンシティ”が調整項目として設定される。この場合、照明制御部112は、前述したように、インテンシティを調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の明るさ(強度)を調整する。そして、光源部111から照射される光の明るさを変化させる際には、照明制御部112は、“カット/フェード切替え”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、明るさを変化させる動作をカットとフェードとの間で切替える。すなわち、“カット/フェード切替え”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光の明るさを急に変化させる(カット)か、又は、徐々に変化させるか(フェード)が、切替えられる。なお、フェードの動作については、チャンネルの値によって、光の明るさを変化させる時間を調整可能に構成されていてもよい。
【0065】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“Filter Color Preset”が含まれる。“Filter Color Preset”が設定されたチャンネルでは、予め登録された、フィルタカラーに相当する光色の少なくとも1つ以上を再現可能である。そして、設定パターンε5では、割り当てられた8チャンネルの中で、1チャンネルの調整項目が“インテンシティ”に、別の1チャンネルの調整項目が“Filter Color Preset”に、残りの6チャンネルの調整項目が“調光率0%調整”に、それぞれ、設定される。8チャンネルの調整項目が設定パターンε5に設定された場合、照明制御部112は、“Filter Color Preset”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の光色を、照明器具10Aの製造段階等でプリセットされた23種類の光色の間で切替える。例えば、“Filter Color Preset”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて切替えられる光色は、前述したような、互いに対して色温度が異なる4種類の白色、及び、JATETのフィルタ相関DMXレベル表で示される19種類のポリカラーの光色の計23種類である。
【0066】
また、ある一例では、調整項目データ116で示されるM項目の調整項目に、“User Color Preset”が含まれる。“User Color Preset”が設定されたチャンネルでは、予めユーザが登録した光色を再現可能である。そして、照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルに対する調整項目の設定パターンのある1つにおいて、ある1チャンネルに対して“User Color Preset”が調整項目として設定される。この場合、照明制御部112は、“User Color Preset”を調整項目に設定したチャンネルからのチャンネル信号の信号値に対応させて、光源部111から照射される光の光色を、照明システム1のユーザ等によって登録された複数種類の光色の間で切替える。
【0067】
前述したいずれの例でも、照明器具10Aのモードα0において、所定の数Nbのチャンネルの1チャンネル以上を、チャンネル信号の信号値が光源部111の動作に影響を与えないオフチャンネルに設定可能となる。このため、いずれの例でも、モードα0において照明器具10Aの動作の制御に割り当てられたNbチャンネルの中の1チャンネル以上がオフチャンネルに割り当てられた場合、オフチャンネルに設定されたチャンネルからのチャンネル信号を、照明器具10Aの動作の制御以外の用途に割り当て可能となる。これにより、照明システム1が用いられる状況等に対する照明器具10Aでの光源部111の動作の制御の順応性が、向上し、光源部111の制御性が向上する。
【0068】
照明器具10Aが備えるモードとしては、前述したような、ユーザが調整項目を自由に設定可能なモードと、予め項目が定められたモードと、の2種類のモードを備えることが好ましい。
【0069】
調整項目を自由に設定可能なモードは、照明器具10Aの動作の制御に割り当て可能なチャンネル数の上限である所定の数Nbは、例えば、4、8及び16のいずれかであり、例えば照明器具10Aは、4チャンネルの調整項目を自由に設定可能なモードと、8チャンネルの調整項目を自由に設定可能なモードと、16チャンネルの調整項目を自由に設定可能なモードと、を備える。そして、チャンネルのそれぞれに、少なくとも1つのオフチャンネルが設定される状態で、前述したような調整項目、及び、図2図3に示すような調整項目を設定する。照明器具10Aをこのように構成することで、ユーザが必要な調整項目、チャンネル数に応じて柔軟にチャンネルを設定することが可能となる。このため、光源部の制御においては、不要なチャンネルを設ける必要がなく、光源部の制御性を向上することが可能となる。例えば、ユーザが制御に3チャンネルだけ使用したい場合は、4チャンネルの調整項目を自由に設定可能なモードを選択し、1チャンネルにオフチャンネルを設定する。このように設定することで、間違って不使用チャンネルの信号値を操作した場合に、光源部が誤動作をすることを抑制することが可能である。
【0070】
また、予め項目が定められたモードは、例えば、4チャンネルを使用するモードで、赤色LEDのインテンシティを調整するチャンネルと、緑色LEDのインテンシティを調整するチャンネルと、青色LEDのインテンシティを調整するチャンネルと、白色LEDのインテンシティを調整するチャンネルと、を備えるモードである。また、例えば、1チャンネルを使用するモードで、Dim to Warm動作をするかどうかを調整するチャンネルである。照明器具10Aは、1つまたは複数の、予め項目が定められたモードを備えることが望ましい。照明器具の操作に慣れていないユーザは、この予め項目が定められたモードを選択することで、モードの細かい設定を行うことなく、照明器具10Aを動作させることが可能となり、光源部の制御性を向上することが可能となる。また、照明器具10Aが、ユーザが調整項目を自由に設定可能なモードと、予め項目が定められたモードと、の2種類のモードを備えることで、ユーザが行いたい動作の要望や、照明器具操作の熟練度によってモードを使い分けることが可能となり、光源部の制御性を向上することが可能となる。
【0071】
なお、それぞれのチャンネルで制御されるのは、光源部111だけでなく、例えば、照明器具10Aと一体/別体に配設されたファン、照明器具10Aの照射方向調整機構等がチャンネルによって制御される構成であってもよい。また、1つのモード(ユーザが調整項目を自由に設定可能なモード、予め項目が定められたモード、のどちらも)において、光源部111の動作を制御する調整項目と、光源部111以外の動作を制御する調整項目と、の両方が設定されてもよい。
【0072】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、照明制御部は、所定の数のチャンネルのそれぞれに対して、光源部の動作に関する調整項目を設定し、所定の数のチャンネルのそれぞれからのチャンネル信号の信号値に対応させて、設定した調整項目に関連するパラメータを調整する。そして、照明制御部は、所定の数のチャンネルの1チャンネル以上をオフチャンネルに設定可能である。これにより、光源部の制御性が向上可能な照明器具を提供することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…照明システム、10,(10A)…照明器具、11…操作器、101…操作入力部、102制御部、103…記憶部、105…通信部、111…光源部、112…照明制御部、113…記憶部、115…通信部、116…調整項目データ、E1~Ek…発光素子。
図1
図2
図3