(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069941
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】台車用荷崩れ防止ロープ
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B62B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180247
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】398075851
【氏名又は名称】株式会社ホシプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】星川 和胤
(72)【発明者】
【氏名】辻 佳奈子
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050FF01
3D050GG06
3D050KK12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】台車で荷物を運ぶ際に、荷崩れを起こさないためのロープを提供する。
【解決手段】台車用荷崩れ防止ロープにおいて、ロープで積載物を十字に締結するための十字部材を備えており、前記十字部材は、ロープを通した筒型通し部と、第一フック材と、第二フック材を有し、前記筒型通し部が、第一穴部と第二穴部を備え、前記第一フック材は、前記第一穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有し、前記第二フック材は、前記第二穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有することを特徴とするロープを提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車用荷崩れ防止ロープにおいて、ロープで積載物を十字に締結するための十字部材を備えており、
前記十字部材は、ロープを通した筒型通し部、第一フック材及び第二フック材を有し、
前記筒型通し部が、第一穴部と第二穴部を備え、
前記第一フック材は、前記第一穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有し、
前記第二フック材は、前記第二穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有することを
特徴とするロープ。
【請求項2】
前記ロープの先端に台車のハンドルに取り付ける保持体と、前記ロープの他先端に台車天板前方の返しに掛ける天板用フック材を有している、請求項1記載のロープ。
【請求項3】
前記保持体が、巻取部、取り付け部、押さえ板及びベルトを備える請求項2記載のロープ。
【請求項4】
前記巻取部は、ハンドル、ローラー部及びロック部を有し、
前記ロック部は、一対のばね部を有し、
前記各ばね部の先端に第一爪部、および前記各ばね部の中央部に第二爪部と第三爪部を有しており、
かつ前記ローラー部は、前記各ばね部を係合するための一対の第一窓部と一対の第二窓部を有することにより、
前記巻取部はロック機構を有することを特徴とする請求項3記載のロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車で荷物を運ぶ際に、荷崩れを起こさないためのロープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から台車で荷物を運ぶ際に、道が凸凹であったり段差があったりして、積載物が滑落することがあるため、それを防止するものが、各種提案されている。台車にストッパーを設けロープで固定するもの、台車底面のケース内にロープの巻取り装置があり使用時にロープを引っ張り出して荷物を固定するもの、リールから引き出されたベルトを使用して固定するものなどがある。
特許文献1、2及び3は、台車で荷物を運ぶ際に荷崩れを起こさない効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-321656
【特許文献2】特開2000-52993
【特許文献3】特開2022-91069
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、台車にストッパーを設けロープで固定するものであるが、台車の荷物を十字に締結できないので、荷崩れを起こしやすい。よって、天板長手方向にも短手方向にも締結できる十字構造であることが望まれるものである。
【0005】
特許文献2は、台車の台座の底面のケース内にロープの巻取り装置があり使用時にロープを引っ張り出して、天板長手方向に荷物を締結するものである。また第二の実施形態としてロープの巻取り装置が台座側面にも備えられており、荷物を天板短手方向にも締結できる。
よって、特許文献2は天板長手方向にも短手方向にも締結できる構造である。
しかし、ロープの巻取り装置ははじめから台車に備えられているものであり、どの台車でも使用できるわけではない。よって、特定の装置がなくても、簡易に、荷崩れを起こさないものが望まれるものである。
【0006】
特許文献3は、リールから引き出されたベルトを使用するものであり、どの台車にも使用できる。また台車の天板長手方向でも短手方向でも、使用可能である。しかし、十字方向に締結するには、ベルトが2本必要であり、1本では十字方向に締結できない。また、ベルトの付属品はリールやカムバックルなど、構造が複雑である。よって、さらに簡易に十字に締結できる構造であり、経済的なものが望まれるものである。
【0007】
この発明の目的は、台車で荷物を運ぶ際に、荷崩れを起こさないためのロープであって、天板長手方向にも短手方向にも1本のロープで十字に締結できる構造であり、簡易で経済的なロープを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するため、本発明は、台車用荷崩れ防止ロープにおいて、ロープで積載物を十字に締結するための十字部材を備えており、前記十字部材は、ロープを通した筒型通し部、第一フック材及び第二フック材を有し、前記筒型通し部が、第一穴部と第二穴部を備え、前記第一フック材は、前記第一穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有し、前記第二フック材は、前記第二穴部でロープを通すロープ通し部と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部を有することを特徴とするロープを採用した。
【0009】
また前記ロープが、前記ロープの先端に台車のハンドルに取り付ける保持体と、前記ロープの他先端に台車天板前方の返しに掛ける天板用フック材を有しており、前記保持体が、ロープの巻取部、取り付け部、押さえ板及びベルトを備えることを特徴とするロープを採用した。
【発明の効果】
【0010】
従って、ロープを台車に取り付ける際には、まずロープの先端の保持体を台車のハンドルに取り付け、前記保持体に備わる巻取部よりロープを出す。次にロープの他先端の天板用フック材を台車天板前方の返しに引っ掛ける。次に十字部材を荷物の上に持ってくる。前記十字部材は、ロープを通した筒型通し部と、第一フック材と第二フック材を有している。前記第一フック材と前記第二フック材は、筒型通し部の第一穴部と第二穴部でロープが通されている。前記筒型通し部から前記第一フック材と前記第二フック材を天板短手方向に引っ張りだし、一方のフック材の引っ掛け部を台車天板側方の返しにかけ、もう一方のフック材の引っ掛け部を反対側の台車天板側方の返しにかける。最終的に天板長手方向に引っ張りアジャスターで長さを調整する。
このように、1本のロープで、天板長手方向と短手方向の十字に締結できる構造である。
【0011】
特許文献1では、十字に締結できないので、荷崩れを起こしやすい。しかし本願は、筒型通し部から第一フック材と第二フック材を天板短手方向に引っ張りだすので、天板長手方向と短手方向の十字に締結できる構造である。
【0012】
特許文献2では、天板長手方向にも短手方向にも締結できる構造であるが、ロープの巻取り装置の備わる台車においてしか使用できない。しかし本願は、ロープと少しの付属品で、簡易に、台車の天板部分に「返し」を有する台車であれば使用できる。「返し」は台車の天板部分にフック材の引っ掛け部を掛けるためのものである。
【0013】
特許文献3は、ベルトが2本必要であり、ベルトの付属品であるリールやカムバックルなど部品が複雑で値段も高くなるが、本願は1本のロープと少しの付属品で十字に締結できる構造であり、経済的なロープである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の荷崩れ防止ロープを台車の荷物に使用した一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】台車のハンドルに固定された保持体の台車正面から見た拡大斜視図である。
【
図5】台車に荷物を載せたときの中央部の斜視図である。
【
図12】ロック部及びローラー部の拡大斜視図である。
【
図14】巻取部がロック解除時のロック部及びローラー部の拡大斜視図である。
【
図15】巻取部がロック時のロック部及びローラー部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の荷崩れ防止ロープを台車の荷物に使用した一実施形態を示す斜視図である。
荷崩れ防止用ロープ100は、前記ロープ100の先端に台車のハンドルに取り付ける保持体102と、中心部に十字部材201、及びロープ100の他先端に台車天板前方の返しに掛ける天板用フック材108を備える。
【0016】
図2は、台車1のハンドル101に固定された本発明の荷崩れ防止ロープ100の保持体102を台車正面から見た拡大斜視図である。保持体102は、ロープの巻取部106、取り付け部103、押さえ板104及びベルト105を有する。保持体102を台車1のハンドル101に固定するには、まず取り付け部103を台車1のハンドル101に取り付け、その後ベルト105を台車1のハンドル101の裏側から巻き付け、穴部110を通して引っ張る。ベルト105は、図のようにベルト歯があるものが好ましい。ベルトは台車のハンドルに巻き付けるものであり、その素材はシリコンやゴム等、滑り止め効果を期待できるものが好ましい。
前記ロープは、巻取り部106に収納されている。巻取部は、ハンドル111やローラー部113(
図12に図示)が動かないようにロック機構を有している。ロック機構は、締結中にロープが緩むのを防ぐ効果がある。
前記天板用フック材108は、ロープを巻取部106に巻き取った後、保持体102に引っ掛けて収納することができる。
【0017】
図3は
図2における保持体102を台車の背面からみた拡大斜視図である。
裏側に通したベルト105を、押さえ板104で抑えロックし、台車1のハンドル101に、保持体102を固定する。
【0018】
図4は台車天板前方の拡大斜視図である。ロープの取り付け方法は、以下の通りとなる。前記保持体102に備わる巻取部106よりロープを引き出し、ロープの他先端の天板用フック材108を台車天板前方の返し107に引っ掛ける。ロープの天板長手方向の長さ調節は、天板短手方向に引き出した後にロープを通しているアジャスター109で行う。
【0019】
図5は台車に荷物を載せたときの中央部の斜視図であり、
図6は十字部材201の拡大図である。
図5において、十字部材201を使用して、天板短手方向に筒型通し部202から第一フック材204と第二フック材205に通したロープを引っ張ることで、台車天板短手方向に締結することができる。
【0020】
図6は、締結する前の前記十字部材201の状態を示している。前記十字部材201は、ロープを通した筒型通し部202と第一フック材204と第二フック材205を有している。前記筒型通し部202は、第一穴部203aと第二穴部203bを備えている。
【0021】
図7は、台車天板短手方向に締結するために前記第一フック材204と前記第二フック材205を引き出した際の十字部材201の状態を示している。
前記第一フック材204は前記第一穴部203aでロープを通すロープ通し部206と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部208を有している。同様に前記第二フック材205は前記第二穴部203bでロープを通すロープ通し部207と、台車天板側方の返しに掛けるための引っ掛け部209を有している。十字部材201により台車天板短手方向に締結することができる。
【0022】
最終的なロープの調整としては、
図4のアジャスター109を使用して、天板長手方向の長さの調節を行う。
【0023】
図8は、ロープを通していないときの収納時の十字部材201の拡大図である。第一フック材204の引っ掛け部208はその先端に滑り止め210を有しており、第二フック材205の引っ掛け部209はその先端に滑り止め211を有している。
【0024】
図9は、筒型通し部202の拡大図である。前記筒型通し部202は、筒型通し部の仮想中心Oを中心とした点対称である位置に第一穴部203aと第二穴部203bを備えている。
【0025】
次に、保持体102のロープの巻取部106のロック機構についても詳細に述べる。
図10は、巻取部106がロック解除時の正面図である。巻取部106は、ローラー部113、ハンドル111、ロック部112を備えている。ローラー部113はロープを巻きつけるものであるが、ハンドル111と連動してハンドルを回すことにより、ロープを巻きつけることができる。
【0026】
図11は、巻取部106がロック時の正面図である。ロック部112を巻取部本体方向119Aに押すと、ロックがかかり、ローラー部113が回転しない。ロック解除の際には、ロック部112を巻取り部外方向119Bに引っ張り出すと、ロックが外れ、ローラー部113が回転可能となる。
このように、巻取部106は、ロック部112とローラー部113によってロック機構を備える。
【0027】
図12は、ロック部112と、ローラー部113の拡大斜視図である。ロック部112は、ロック部の内側中央部に一対のばね部114を有している。前記ばね部114は樹脂製でありストロークが長いため、ばね状弾性を有している。
ロック部112は、前記ばね部114の先端に第一爪部115を有し、前記ばね部114の中央部に第二爪部116aと第三爪部116bを有している。
ローラー部113は、天井側方向に第一窓部117と第二窓部118を有している。第一窓部117の方が第二窓部118よりも大きい。図示していないが、
図14の正面視のローラー部の下側にも第一窓部117と第二窓部118を有している。よって、ローラー部113は、ロック部112の前記各ばね部を係合するための一対の第一窓部117と一対の第二窓部118を有する。
【0028】
図13は、ロック部112の拡大斜視図である。ロック部112は、一対のばね部114をロック部112の内側中央部にロック部112の仮想中心線Lに対して線対称で備えている。
【0029】
図14は、巻取部106がロック解除時のロック部112及びローラー部113の拡大斜視図である。ロック部のばね部114の先端の第一爪部115は、第一窓部117の巻取部本体方向119Aの先端にある。第二爪部116aと第三爪部116bはそれ以上外方向に移動しないように第一窓部117の巻取り部外方向119Bの先端で係止する。
【0030】
図15は、巻取部106がロック時のロック部112及びローラー部113の拡大斜視図である。前記ロック部112を巻取部本体方向119Aに押すと、ロックがかかる。押すことにより、前記ロック部の前記ばね部114の先端の第一爪部115が、第一窓部117から第二窓部118に移動して係止する。第二爪部116aと第三爪部116bは第一窓部117の巻取部本体方向119Aの先端で係止する。
【0031】
上記のように、ロック部112は、一対のばね部114を有しており、前記各ばね部114の先端には第一爪部115を有し、前記各ばね部114の中央部の両側に第二爪部116aと第三爪部116bを有している。かつローラー部113は、前記各ばね部114を係合する一対の第一窓部117と一対の第二窓部118を有している。これにより、巻取部106においてロック機構を備えることができる。
【0032】
巻取部106がロック機構を備えると、締結中にロープが緩むのを防ぐ効果がある。
したがって、前記巻取部は、ハンドル、ローラー部及びロック部を有し、前記ロック部は、一対のばね部を有し、前記各ばね部の先端に第一爪部、および前記各ばね部の中央部に第二爪部と第三爪部を有しており、かつ前記ローラー部は、前記各ばね部を係合するための一対の第一窓部と一対の第二窓部を有することにより、前記巻取部はロック機構を有することを特徴とロープである。
【0033】
本発明の荷崩れ防止ロープの部品の素材は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂等が好ましい。しかし、それに限られるものではない。
【0034】
前記ロープの素材は、ゴム製でもよいが、価格綿面・安全面から見ると繊維ロープが好ましい。しかしそれに限られるものではない。
【0035】
よって、本発明の十字部材の採用により、従来の如く2本のロープで台車の積載物を固定する必要がなく、1本のロープで固定できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は台車で荷物を運ぶ際に荷崩れを起こさないためのロープとして、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 台車
100 ロープ
101 ハンドル
102 保持体
103 取り付け部
104 押さえ板
105 ベルト
106 巻取部
107 台車天板の返し
108 天板用フック材
109 アジャスター
110 穴部
111 ハンドル
112 ロック部
113 ローラー部
114 ばね部
115 第一爪部
116a 第二爪部
116b 第三爪部
117 第一窓部
118 第二窓部
119A 巻取部本体方向
119B 巻取部外方向
201 十字部材
202 筒型通し部
203a 第一穴部
203b 第二穴部
204 第一フック材
205 第二フック材
206 第一フック材のロープ通し部
207 第二フック材のロープ通し部
208 第一フック材の引っ掛け部
209 第二フック材の引っ掛け部
210 211 滑り止め