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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069945
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240515BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240515BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240515BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20240515BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240515BHJP
   F21V 17/04 20060101ALI20240515BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240515BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20240515BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240515BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240515BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240515BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240515BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 E
H01L33/50
H01L33/48
F21S2/00 312
F21V17/04
F21V29/503
F21V29/502 100
F21V19/00 610
H04N5/74 Z
F21Y115:30
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180251
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 伸夫
【テーマコード(参考)】
2K203
3K011
3K013
5C058
5F142
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203FA62
2K203FA82
2K203FB04
2K203GA20
2K203HB28
2K203LA02
2K203LA12
2K203LA37
2K203MA11
3K011BA01
3K011BA06
3K011BA08
3K011JA01
3K013AA01
3K013AA07
3K013BA01
3K013EA01
5C058EA52
5F142CB22
5F142CF13
5F142DA13
5F142DB30
5F142GA40
(57)【要約】
【課題】所望の蛍光が得られ、信頼性に優れる光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、発光素子が配置される第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する基板と、蛍光体を含み、発光素子から射出される第1光を、第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、基板の第1面に当接する第3面と、第3面とは反対側に位置する第4面と、を有し、波長変換部材を支持する支持部材と、支持部材を基板に固定する固定部材と、基板と波長変換部材とのそれぞれに当接し、発光素子と波長変換部材とを互いに離間した位置に保持するスペーサー部材と、を備える。固定部材は、弾性部材を含んで構成され、第3面を第1面に向けて押圧した状態で支持部材を基板に固定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、
前記発光素子が配置される第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する基板と、
蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、
前記基板の前記第1面に当接する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を有し、前記波長変換部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記基板に固定する固定部材と、
前記基板と前記波長変換部材とのそれぞれに当接し、前記発光素子と前記波長変換部材とを互いに離間した位置に保持するスペーサー部材と、
を備え、
前記固定部材は、弾性部材を含んで構成され、前記第3面を前記第1面に向けて押圧した状態で前記支持部材を前記基板に固定する、光源装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記支持部材の前記第3面を除く外面の少なくとも一部に当接する板状部材で構成され、前記弾性部材が引っ張られた状態で前記支持部材を前記基板に固定する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記支持部材の前記第4面のうち、前記板状部材が当接する位置に溝部が設けられ、
前記板状部材は、前記溝部の内部に配置され、
前記溝部の深さは、前記板状部材の厚さよりも大きい、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第4面に当接し、前記支持部材の熱が伝達される第1放熱部材をさらに備える、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記基板の前記第2面に当接し、前記基板の熱が伝達される第2放熱部材をさらに備える、請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第2放熱部材に、孔が設けられ、
前記基板の前記第2放熱部材の前記孔に対応する位置に、前記第1面および前記第2面に交差する方向に前記基板を貫通する第1貫通孔が設けられ、
前記板状部材の前記第2放熱部材の前記孔に対応する位置に、前記板状部材を厚さ方向に貫通する第2貫通孔が設けられ、
前記板状部材と前記基板と前記第2放熱部材とは、前記第2貫通孔、前記第1貫通孔および前記孔に挿入されるねじ部材によって、互いに固定されている、請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記基板の前記第1面に、孔が設けられ、
前記支持部材の前記基板の前記孔に対応する位置に、前記第3面に交差する方向に前記支持部材を貫通する貫通孔が設けられ、
前記固定部材は、前記貫通孔および前記孔に挿入されるねじ部材と、前記ねじ部材の頭部と前記支持部材との間に介在する弾性部材と、を備え、
前記固定部材は、前記弾性部材が圧縮された状態で前記支持部材を前記基板に固定する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記波長変換部材を支持する本体部と、前記第3面に沿って延在し、前記本体部の厚さよりも薄い厚さを有する取付部と、を有し、
前記貫通孔は、前記取付部に設けられている、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記支持部材の前記第4面に当接し、前記支持部材の熱が伝達される第1放熱部材をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記基板の前記第2面に当接し、前記基板の熱が伝達される第2放熱部材をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項11】
前記基板の前記孔は、前記第1面および前記第2面に交差する方向に前記基板を貫通する第1貫通孔であり、
前記支持部材の前記貫通孔は、第2貫通孔であり、
前記第2放熱部材の前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応する位置に、孔が設けられ、
前記支持部材と前記基板と前記第2放熱部材とは、前記第2貫通孔、前記第1貫通孔および前記孔に挿入される前記ねじ部材によって、互いに固定されている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記波長変換部材の長軸方向に交差する断面視において、
前記支持部材の幅は、前記基板の幅よりも小さく、
前記第1放熱部材の幅は、前記基板の幅よりも小さい、請求項4に記載の光源装置。
【請求項13】
前記支持部材は、前記第3面から前記第4面に向けて凹んだ凹部を有し、
前記波長変換部材は、前記凹部の内部に配置され、
前記凹部は、前記波長変換部材に当接する底面と、前記底面に交差する方向に延在し、前記波長変換部材に対向する第1壁面および第2壁面と、を有し、
前記第1壁面および前記第2壁面の少なくとも一方は、前記波長変換部材から離間し、前記底面から前記第3面に向かうにつれて前記波長変換部材からの間隔が大きくなる方向に傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記発光素子から射出される前記第1光の少なくとも一部を反射する、請求項1または請求項7に記載の光源装置。
【請求項14】
請求項1または請求項7に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、励起光を射出する発光ダイオード(LED)と、励起光を蛍光に変換するロッド状の蛍光体と、蛍光体を支持するホルダーと、を備える光源装置が開示されている。蛍光体は、ワイヤー状の部材によってホルダーに固定されている。また、LEDの支持基板とホルダーとは、ねじによって直接固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/254455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光源装置において、ホルダーは、蛍光体で発生する熱を外部に放出し、蛍光体の温度上昇を抑制する放熱部材として機能する。そのため、蛍光体は、適度な力でホルダーに密着していることが望ましい。ところが、蛍光体の密着力が所定値よりも小さい場合、蛍光体の熱がホルダーに十分に伝達されないため、蛍光体の温度が上昇し、所望の強度を有する蛍光が得られないおそれがある。逆に、蛍光体の密着力が所定値よりも大きい場合、蛍光体に過大な荷重が加わり、場合によっては蛍光体が破損するおそれがある。また、蛍光体の熱を効率良くホルダーに伝達させるために、接着材を介することなく、蛍光体をホルダーに固定させる構成が望まれる。
【0006】
特許文献1の光源装置においては、LEDの支持基板のリブを蛍光体に当接させ、支持基板とホルダーとをねじ止めすることによって、蛍光体をホルダーに固定している。ところが、蛍光体やリブの製造時に寸法誤差が生じた場合、リブが蛍光体を押圧する力が強すぎたり、弱すぎたり、場合によってはリブが蛍光体に当接しない、等の不具合が生じるおそれがある。そのため、各種部材の寸法誤差によらず、所望の強度を有する蛍光が安定して得られ、信頼性に優れる光源装置の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、前記発光素子が配置される第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する基板と、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、前記基板の前記第1面に当接する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を有し、前記波長変換部材を支持する支持部材と、前記支持部材を前記基板に固定する固定部材と、前記基板と前記波長変換部材とのそれぞれに当接し、前記発光素子と前記波長変換部材とを互いに離間した位置に保持するスペーサー部材と、を備える。前記固定部材は、弾性部材を含んで構成され、前記第3面を前記第1面に向けて押圧した状態で前記支持部材を前記基板に固定する。
【0008】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】第1実施形態の第1照明装置の概略構成図である。
図3】光源装置の斜視図である。
図4】光源装置の正面図である。
図5】光源装置の側面図である。
図6図5の符号Aの個所の拡大図である。
図7図3のVII-VII線に沿う光源装置の断面図である。
図8A】ねじ部材を締める前の固定部材の状態を示す図である。
図8B】ねじ部材を締めた後の固定部材の状態を示す図である。
図9】第2実施形態の光源装置の正面図である。
図10A】ねじ部材を締める前の固定部材の状態を示す図である。
図10B】ねじ部材を締めた後の固定部材の状態を示す図である。
図11】第1変形例の光源装置の正面図である。
図12】第3実施形態の光源装置の斜視図である。
図13】光源装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン(被投写面)SCR上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0012】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投写光学装置6と、を備える。
【0013】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0014】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。
【0015】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0016】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。具体的には、ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過し、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0017】
第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0018】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ84と、リレーレンズ85と、を備える。光源部81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0019】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0020】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ84に入射する。ロッドレンズ84は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ84は、一端に設けられた光入射端面84aと、他端に設けられた光射出端面84bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ84の光入射端面84aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ84の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0021】
青色光LBは、ロッドレンズ84の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面84bから射出される。ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、リレーレンズ85に入射する。リレーレンズ85は、ロッドレンズ84によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0022】
ロッドレンズ84の光射出端面84bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0023】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0024】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0025】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0026】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0027】
投写光学装置6は、複数の投写レンズから構成されている。投写光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投写する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0028】
以下、第1照明装置20の構成について説明する。
図2は、第1照明装置20の概略構成図である。
図2に示すように、第1照明装置20は、光源装置100と、平行化光学系63と、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子102と、重畳光学系103と、を備える。
【0029】
図3は、光源装置100の斜視図である。図4は、光源装置100の正面図である。図5は、光源装置100の側面図である。図6は、図5の符号Aの個所の拡大図である。図7は、図3のVII-VII線に沿う光源装置100の断面図である。なお、図3図7では、図面を見やすくするため、角度変換部材52の図示を省略する。
【0030】
図2図7に示すように、光源装置100は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材52と、ミラー53と、支持部材54と、固定部材65と、スペーサー部材67と、第2ヒートシンク68と、を備える。光源部51は、基板55と、発光素子56と、を備える。
【0031】
波長変換部材50は、X軸方向に延びる四角柱状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換部材50のX軸方向に延びる辺は、Y軸方向に延びる辺およびZ軸方向に延びる辺よりも長い。そのため、X軸方向は、波長変換部材50の長軸方向に対応する。Y軸方向に延びる辺の長さとZ軸方向に延びる辺の長さとは等しい。すなわち、X軸方向に垂直な面(YZ平面)で切断した波長変換部材50の断面形状は、正方形である。波長変換部材50のX軸方向の長さは、例えば40mm~70mm程度である。波長変換部材50の断面形状である正方形の一辺の長さは、例えば1.0mm~1.5mm程度である。なお、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、長方形であってもよい。
【0032】
図2に示すように、波長変換部材50は、第1端面50aおよび第2端面50bと、第1側面50cおよび第2側面50dと、第3側面50eおよび第4側面50fと、を有する。第1端面50aおよび第2端面50bは、波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)に交差し、互いに反対側に位置する。第1側面50cおよび第2側面50dは、第1端面50aおよび第2端面50bと交差し、Y軸方向において互いに反対側に位置する。第3側面50eおよび第4側面50fは、第1側面50cおよび第2側面50dと交差し、Z軸方向において互いに反対側に位置する。以下の説明で、第1側面50c、第2側面50d、第3側面50e、および第4側面50fを合わせて、側面と称することがある。
【0033】
波長変換部材50は、蛍光体を含み、第1波長帯を有する励起光Eを、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。励起光Eは、第1側面50cから波長変換部材50に入射する。蛍光Yは、波長変換部材50の内部を導光した後、第1端面50aから射出される。本実施形態の励起光Eは、特許請求の範囲の第1光に対応する。本実施形態の蛍光Yは、特許請求の範囲の第2光に対応する。
【0034】
波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。
【0035】
波長変換部材50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換部材50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換部材50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに変換する。
【0036】
具体的には、波長変換部材50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてのセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換部材50の材料として、Y、Al、CeO等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0037】
光源部51は、第1波長帯の励起光Eを射出する発光面56aを有する発光素子56を備える。発光素子56は、例えばLEDから構成されている。発光素子56の発光面56aは、波長変換部材50の第1側面50cに対向し、第1側面50cに向けて励起光Eを射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの紫色から青色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。このように、光源部51は、波長変換部材50の長手方向に沿う4つの側面のうち、1つの側面に対向して設けられている。
【0038】
基板55は、発光素子56を支持する。基板55は、発光素子56が配置される第1面55aと、第1面とは反対側に位置する第2面55bと、を有する。基板55には、発光素子を駆動するための駆動回路が印刷等によって直接形成されていてもよいし、駆動回路を有する回路基板が接続されていてもよい。本実施形態の場合、光源部51は、発光素子56と基板55とから構成されているが、その他、導光板、拡散板、レンズ等の他の光学部材を備えていてもよい。本実施形態において、光源部51は、複数の発光素子56を有するが、発光素子56の個数は1つであってもよいし、特に限定されない。
【0039】
支持部材54は、波長変換部材50の周囲を囲むように設けられている。支持部材54は、波長変換部材50を支持する。また、支持部材54は、波長変換部材50で発生する熱を受け、基板55に伝達する。そのため、支持部材54は、所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。支持部材54の材料として、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属が用いられ、特に6061系等のアルミニウム合金が用いられることが望ましい。支持部材54の具体的な構成については後述する。
【0040】
固定部材65は、支持部材54を基板55に固定する。換言すると、固定部材65は、基板55に対する支持部材54の移動を規制する。固定部材65は、波長変換部材50の長軸方向に沿って複数個所に設けられている。本実施形態の場合、固定部材65は、波長変換部材50の第1端面50aに近い側、および第2端面50bに近い側の2個所に設けられている。ただし、必ずしもこの位置に限ることはなく、例えば波長変換部材50の長軸方向の中央部に配置されていてもよい。固定部材65の数は特に限定されない。固定部材65の具体的な構成については後述する。
【0041】
図2に示すように、ミラー53は、波長変換部材50の第2端面50bに設けられている。ミラー53は、波長変換部材50の内部を導光し、第2端面50bに到達した蛍光Yを反射させ、第1端面50aの側に導く。ミラー53は、波長変換部材50の第2端面50bに形成された金属膜もしくは誘電体多層膜から構成されている。または、ミラー53は、波長変換部材50とは別体の部材で構成され、第2端面50bに接合されていてもよい。
【0042】
第1照明装置20において、光源部51から射出された励起光Eが波長変換部材50に入射すると、波長変換部材50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。蛍光Yは任意の発光点から全ての方向に向かって進むが、4つの側面50c,50d,50e,50fに向かった蛍光Yは、側面50c,50d,50e,50fの複数の個所で全反射を繰り返しつつ、第1端面50aまたは第2端面50bに向かって進む。第1端面50aに向かって進む蛍光Yは、角度変換部材52に入射する。第2端面50bに向かって進む蛍光Yは、ミラー53で反射され、第1端面50aに向かって進む。
【0043】
波長変換部材50に入射した励起光Eのうち、蛍光体の励起に使われなかった励起光Eの一部は、光源部51の発光素子56を含む波長変換部材50の周囲の部材、または第2端面50bに設けられたミラー53で反射される。そのため、励起光Eの一部は、波長変換部材50の内部に閉じ込められて再利用される。
【0044】
角度変換部材52は、波長変換部材50の第1端面50aの光射出側に設けられている。角度変換部材52は、例えば、テーパーロッドから構成されている。角度変換部材52は、波長変換部材50から射出された蛍光Yが入射する光入射面52aと、蛍光Yを射出する光射出面52bと、入射した蛍光Yを光射出面52bに向けて反射させる側面52cと、を有する。
【0045】
角度変換部材52は、四角錐台状の形状を有し、光軸Jに垂直な断面積が光の進行方向に沿って広がっている。したがって、光射出面52bの面積は、光入射面52aの面積よりも大きい。光射出面52bおよび光入射面52aの中心を通り、X軸に平行な軸を角度変換部材52の光軸Jとする。なお、角度変換部材52の光軸Jは、第1照明装置20の光軸AX1に一致する。
【0046】
角度変換部材52に入射した蛍光Yは、角度変換部材52の内部を進行する間に、側面52cで全反射する毎に光軸Jに平行な方向に近付くように向きを変える。このようにして、角度変換部材52は、波長変換部材50の第1端面50aから射出される蛍光Yの射出角度分布を変換する。具体的には、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくする。
【0047】
一般的に、光射出領域の面積と光の立体角(最大射出角)との積で規定される光のエテンデューは保存されるため、角度変換部材52の透過前後においても蛍光Yのエテンデューは保存される。角度変換部材52は、上述したように、光射出面52bの面積を光入射面52aの面積よりも大きくした構成を有する。そのため、エテンデュー保存の観点から、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aに入射する蛍光Yの最大入射角度よりも小さくすることができる。このように、角度変換部材52は、集光器として機能する。
【0048】
角度変換部材52は、光入射面52aが波長変換部材50の第1端面50aに対向するように光学接着剤(図示略)を介して波長変換部材50に固定されている。すなわち、角度変換部材52と波長変換部材50とは光学接着剤を介して接触しており、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙(空気層)は設けられていない。仮に角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていた場合、角度変換部材52の光入射面52aに到達した蛍光Yのうち、臨界角以上の角度で光入射面52aに入射した蛍光Yは、光入射面52aで全反射し、角度変換部材52に入射できない。これに対して、本実施形態のように、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていない場合には、角度変換部材52に入射できない蛍光Yを減らすことができる。この観点から、角度変換部材52の屈折率と波長変換部材50の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0049】
角度変換部材52として、テーパーロッドに代えて、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator, CPC)が用いられてもよい。角度変換部材52としてCPCを用いた場合であっても、テーパーロッドを用いた場合と同様の効果が得られる。なお、光源装置100は、必ずしも角度変換部材52を備えていなくてもよい。
【0050】
図7に示すように、スペーサー部材67は、基板55の第1面55aの発光素子56が配置されていない個所に設けられている。図7の例では、3つのスペーサー部材67が設けられているが、スペーサー部材67の数は特に限定されない。スペーサー部材67は、基板55の第1面55aと波長変換部材50の第1側面50cとのそれぞれに当接し、発光素子56と波長変換部材50とを互いに離間した位置に保持する。スペーサー部材67の高さ(基板55と波長変換部材50との間隔)は、例えば0.2mm~2mm程度である。スペーサー部材67は、金属、ガラス等の耐光性に優れる材料で構成されることが望ましい。または、スペーサー部材67は、スクリーン印刷等の手法により基板55の第1面55a上に直接形成されてもよい。また、スペーサー部材67と波長変換部材50との当接としては、互いに直接当接していても、互いの間に部材を介していてもよい。互いの間に部材を配置している場合、この部材としては、非接着部材であることがより好ましい。
【0051】
スペーサー部材67は、基板55の発光素子56が配置された個所に設けられていてもよい。ただし、本実施形態の場合、スペーサー部材67が基板55の発光素子56が配置されていない個所に配置されているため、発光素子56から射出される励起光Eがスペーサー部材67によって遮られることがなく、励起光Eの利用効率を高めることができる。
【0052】
図5に示すように、第2ヒートシンク68は、基板55の第2面55bに当接して設けられている。第2ヒートシンク68は、平板部71と、複数のフィン72と、を有する。平板部71は、略全面にわたって基板55の第2面55bに当接する。複数のフィン72は、波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)に互いに間隔をおいて平板部71上に設けられている。フィン72の数は特に限定されない。第2ヒートシンク68は、ステンレス、アルミニウム等の金属から構成される。
【0053】
第2ヒートシンク68は、基板55に当接することによって基板55の熱が伝達され、フィン72から外部空間に熱を放出する。そのため、図3に示すように、プロジェクター1のファンから送られる風が複数のフィン72に効率良く当たるように、複数のフィン72のそれぞれは、ファンからの風の流れ方向Bと平行に配置されていることが望ましい。これにより、第2ヒートシンク68の冷却効率を高めることができる。また、複数のフィン72の配列方向が波長変換部材50の長軸方向に一致しているため、波長変換部材50を長軸方向にわたって均一に冷却することができる。
【0054】
図4に示すように、第2ヒートシンク68の平板部71には、基板55と固定されるための孔71hが設けられている。第2ヒートシンク68と基板55との固定構造については後述する。本実施形態の第2ヒートシンク68は、特許請求の範囲の第2放熱部材に対応する。
【0055】
以下、支持部材54および固定部材65について詳細に説明する。
図4に示すように、支持部材54は、基板55の第1面55aに当接する第3面54cと、第3面54cとは反対側に位置する第4面54dと、を有する。また、支持部材54は、第3面54cから第4面54dに向けて凹んだ凹部54fを有する。凹部54fは、溝状に形成され、波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)に沿って延在している。波長変換部材50は、凹部54fの内部に配置されている。波長変換部材50の長軸方向に交差する断面視において、支持部材54のZ軸方向の幅W1は、基板55のZ軸方向の幅W2よりも小さい。基板55の第1面55aと第3面54cとの当接は、直接当接していても、間に介在部材を介して当接していてもよい。介在部材としては、例えば、グリスなどを挙げることができ、接着材を除くものである。
【0056】
凹部54fは、波長変換部材50に当接する底面54jと、底面54jに交差する方向に延在し、波長変換部材50の第3側面50eに対向する第1壁面54mと、第4側面50fに対向する第2壁面54nと、を有する。第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、波長変換部材50から離間しており、底面54jから第3面54cに向かうにつれて波長変換部材50からの間隔が大きくなる方向に傾斜する傾斜面で構成される。すなわち、凹部54fは、底面54jから第3面54cに向かうにつれて幅が広がった溝状の形状を有する。なお、第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、必ずしも全体が傾斜面で構成されていなくてもよく、一部に傾斜面を有していてもよい。また、第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、湾曲面で構成されていてもよい。また、第1壁面54mおよび第2壁面54nの少なくとも一方は、波長変換部材50に当接していてもよい。
【0057】
第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、支持部材54の構成材料であるアルミニウム、ステンレス等の金属の表面から構成される。より具体的には、第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、上記の金属表面に鏡面加工が施された加工面から構成される。そのため、第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、光反射性を有しており、入射した励起光Eを反射する。なお、第1壁面54mおよび第2壁面54nのそれぞれは、アルミニウム、ステンレス等の金属の表面に形成された他の金属膜または誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0058】
波長変換部材50の長軸方向に交差する断面視において、発光素子56のZ軸方向の幅W3は、波長変換部材50のZ軸方向の幅W4よりも大きい。これにより、Z軸方向において、発光素子56の両端部は、波長変換部材50の外側にはみ出している。具体的には、発光素子56の両端部は、第3側面50eと第1壁面54mとの間隙、および第4側面50fと第2壁面54nとの間隙と重なる位置まではみ出している。
【0059】
この構成によれば、発光素子56から射出された一部の励起光Eは、第3側面50eと第1壁面54mとの間隙、または第4側面50fと第2壁面54nとの間隙を通って進んだ後、傾斜した第1壁面54mまたは第2壁面54nに入射する。このとき、励起光Eは、第1壁面54mまたは第2壁面54nで反射して、波長変換部材50の第3側面50eまたは第4側面50fに入射する。このように、第1壁面54mおよび第2壁面54nが傾斜していることで、波長変換部材50と支持部材54との間隙を通る励起光Eが第3側面50eまたは第4側面50fに入射しやすくなる。そのため、底面54jで反射して光源部51の側に戻る励起光Eの量を減らすことができる。これにより、励起光Eの利用効率を高めることができる。このとき、励起光Eの一部が支持部材54に入射し、一部が支持部材54に吸収されることによって、支持部材54自体の温度が上昇する。この意味でも、支持部材54の放熱は重要である。
【0060】
基板55の第2ヒートシンク68の孔71hに対応する位置には、第1面55aおよび第2面55bに交差する方向に基板55を貫通する第1貫通孔55hが設けられている。
【0061】
固定部材65は、支持部材54の第3面54cを除く外面に当接する板状部材で構成される。固定部材65は、弾性復帰力が大きい硬鋼材、ステンレス等の金属等からなる弾性部材で構成され、4個所で略直角に屈曲された形状を有する。したがって、固定部材65は、外力を受けた際に弾性変形および弾性復帰が可能である。なお、固定部材65は、弾性変形および弾性復帰が可能な材料であれば、銅等の金属、樹脂、ガラス等の板材であってもよい。
【0062】
固定部材65は、押圧部74と、取付部75と、を有する。押圧部74は、支持部材54の第3面54cを除く外面を囲み、外面に当接する。押圧部74のうち、支持部材54の両側面と対向する部分に、外方に向けて湾曲したばね作用部76が設けられている。この個所にばね作用部76が設けられたことによって、押圧部74は、支持部材54の高さ方向(Y軸方向)に伸縮可能となっている。取付部75は、押圧部74の両端から基板55の第1面55aに沿って延在し、第1面55aに当接する。取付部75のうち、第2ヒートシンク68の孔71hに対応する位置に、取付部75を厚さ方向に貫通する第2貫通孔65hが設けられている。
【0063】
図6に示すように、支持部材54の第4面54dのうち、固定部材65が当接する位置に、溝部54pが設けられている。波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)において、溝部54pの幅L2は、固定部材65の幅L1よりも大きい。これにより、固定部材65は、溝部54pの内部に配置される。また、溝部54pの深さD1は、固定部材65の厚さT1よりも大きい。固定部材65の幅L1は、例えば2mm~10mm程度であることが望ましい。固定部材65の厚さT1は、例えば0.1mm~2mm程度であることが望ましい。この構成によれば、支持部材54に対する固定部材65の位置合わせが容易であり、固定部材65の位置がX軸方向にずれるおそれが少ない。また、固定部材65が支持部材54の第4面54dから下方に突出しないため、他の部品と光源装置100とが干渉しにくく、光源装置100が取り扱いやすくなる。
【0064】
図4に示すように、固定部材65と基板55と第2ヒートシンク68とは、固定部材65の第2貫通孔65h、基板55の第1貫通孔55h、および第2ヒートシンク68の孔71hに挿入されるねじ部材78によって、互いに固定されている。この構成によれば、1つのねじ部材78によって固定部材65と基板55と第2ヒートシンク68とを一括して固定できるため、部材同士の固定構造を簡素化することができる。また、基板55と第2ヒートシンク68とを固定するために、例えば第2ヒートシンク68に貫通孔を設け、フィン72が設けられた側の面から基板55に向けてねじ部材を挿入することは難しいが、上記の構成を採用した場合にはねじ部材78を容易に挿入することができる。したがって、光源装置100の組み立て作業を容易に行えるとともに、第2ヒートシンク68のフィン72の面積、およびフィン72の配置の自由度を確保することができる。
【0065】
なお、上記の効果を求めないのであれば、例えば固定部材65と基板55とを1つのねじ部材で固定し、基板55と第2ヒートシンク68とを他のねじ部材で固定する構成としてもよい。その場合、固定部材65と基板55との固定、および基板55と第2ヒートシンク68との固定をねじ止め以外の方法で行ってもよい。
【0066】
以下、支持部材54が基板55に対して押圧される作用について説明する。
図8Aは、ねじ部材78を締める前の固定部材65の状態を示す図である。図8Bは、ねじ部材78を締めた後の固定部材65の状態を示す図である。
【0067】
図8Aに示すねじ部材78を締める前の段階において、支持部材54の第3面54cは基板55の第1面55aに当接しているが、固定部材65の取付部75は基板55の第1面55aに当接していない。この状態は、固定部材65に外力が加わっておらず、固定部材65の初期状態である。このとき、固定部材65のばね作用部76は、強く屈曲した状態にある。
【0068】
次に、図8Bに示すように、固定部材65の取付部75が基板55の第1面55aに当接するまでねじ部材78を締め付ける。すると、固定部材65のばね作用部76は、強く屈曲した状態から支持部材54の厚さ方向(Y軸方向)に引っ張られ、伸びた状態に変化する。このとき、固定部材65が弾性を有しているため、初期状態に戻ろうとする弾性復帰力が作用し、固定部材65の押圧部74は、支持部材54を基板55の第1面55aに向けて押圧する。
【0069】
上記の作用により、固定部材65は、ばね作用部76が引っ張られた状態で支持部材54を基板55に向けて押圧し、基板55に固定する。固定部材65は、所定の幅を有する板状部材で構成されているため、波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)において支持部材54を安定して固定することができる。また、基板55と波長変換部材50との間にスペーサー部材67が介在しているため、支持部材54が基板55に向けて押圧されたとき、スペーサー部材67が波長変換部材50を支持部材54の凹部54fの底面54jに向けて押圧する力が生じる。これにより、波長変換部材50は、接着材を介することなく、支持部材54に密着した状態で固定される。
【0070】
図2に示すように、光源装置100とインテグレーター光学系70との間に、コリメーターレンズ等からなる平行化光学系63が設けられている。平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yが入射し、蛍光Yの角度分布をさらに小さくし、平行度の高い蛍光Yをインテグレーター光学系70に入射させる。なお、平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの平行度が十分に高い場合には設けられていなくてもよい。
【0071】
インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ101と、を有する。インテグレーター光学系70は、重畳光学系103とともに光源装置100から射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系として機能する。平行化光学系63から射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。第1レンズアレイ61は、第2レンズアレイ101とともに、インテグレーター光学系70を構成する。
【0072】
第1レンズアレイ61は、複数の第1小レンズ61aを有する。複数の第1小レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1小レンズ61aは、角度変換部材52から射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1小レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0073】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ101に向かって進む。第2レンズアレイ101は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ101は、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aに対応する複数の第2小レンズ101aを有する。第2レンズアレイ101は、重畳光学系103とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ101aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。
【0074】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の各第2小レンズ101aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の第2小レンズ101aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0075】
偏光変換素子102は、第2レンズアレイ101から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ101から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。
【0076】
偏光変換素子102は、光源装置100から射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する偏光分離層(図示略)と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する反射層(図示略)と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板(図示略)と、を有する。
【0077】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の光源装置100は、励起光Eを射出する発光素子56と、発光素子56が配置される第1面55aと、第1面55aとは反対側に位置する第2面55bと、を有する基板55と、蛍光体を含み、発光素子56から射出される励起光Eを蛍光Yに変換する波長変換部材50と、基板55の第1面55aに当接する第3面54cと、第3面54cとは反対側に位置する第4面54dと、を有し、波長変換部材50を支持する支持部材54と、支持部材54を基板55に固定する固定部材65と、基板55と波長変換部材50とのそれぞれに当接し、発光素子56と波長変換部材50とを互いに離間した位置に保持するスペーサー部材67と、を備える。固定部材65は、第3面54cを第1面55aに向けて押圧した状態で支持部材54を基板55に固定する。
【0078】
本実施形態の構成によれば、固定部材65の構成材料および厚さ、ばね作用部76の形状および寸法等のパラメーターを適宜選択することによって、固定部材65が支持部材54を基板55に向けて押圧する力を適切に調整することができる。このとき、上述したように、スペーサー部材67の作用によって波長変換部材50が支持部材54に向けて押圧される力も適切に調整され、波長変換部材50と支持部材54との密着性を高めることができる。これにより、波長変換部材50で発生する熱は、支持部材54に十分に伝達された後、支持部材54に当接する基板55を介して第2ヒートシンク68に伝達され、第2ヒートシンク68から外部空間に放熱される。その結果、波長変換部材50の温度上昇に伴う波長変換効率の低下が抑えられ、所望の強度を有する蛍光Yを得ることができる。
【0079】
また、仮に波長変換部材50やスペーサー部材67の製造時に寸法誤差があったとしても、寸法誤差が固定部材65のばね作用部76の変形具合によって吸収されるため、押圧力が常に適切に調整される。その結果、上記の効果が安定して発揮されるとともに、波長変換部材50の破損を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、所望の強度を有する蛍光Yが得られ、信頼性に優れる光源装置100を実現することができる。
【0080】
本実施形態の場合、支持部材54の熱が基板55を介して第2ヒートシンク68から外部空間に放出されるため、支持部材54の第4面54dに必ずしもヒートシンクを設ける必要がない。これにより、光源装置100の小型化を図ることができる。ただし、より多くの熱を放出したい場合には、支持部材54の第4面54dにもヒートシンクを設けてもよい。
【0081】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置100を備えているため、高効率で小型のプロジェクターを実現できる。
【0082】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と略同様であり、支持部材および固定部材の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図9は、第2実施形態の光源装置120の正面図である。
図9において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
図9に示すように、本実施形態の光源装置120は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材(図示略)と、ミラー(図示略)と、支持部材44と、固定部材45と、スペーサー部材67と、第2ヒートシンク68と、を備える。
【0084】
支持部材44は、基板55の第1面55aに当接する第3面44cと、第3面44cとは反対側に位置する第4面44dと、を有する。また、支持部材44は、波長変換部材50を支持する凹部44fが設けられた本体部46と、取付部47と、を有する。本体部46と取付部47とは、一体の部材で構成されている。取付部47は、支持部材44の第3面44cに沿って延在し、本体部46の厚さよりも薄い厚さを有する。凹部44fは、波長変換部材50を支持する底面44jと、底面44jに対して傾斜した第1壁面44mおよび第2壁面44nと、を有する。
【0085】
基板55には、第1面55aおよび第2面55bに交差する方向に貫通する第1貫通孔55hが設けられている。支持部材44の取付部47には、基板55の第1貫通孔55hに対応する位置に、第3面44cに交差する方向に取付部47を貫通する第2貫通孔44hが設けられている。第2ヒートシンク68の第1貫通孔55hおよび第2貫通孔44hに対応する位置には、孔71hが設けられている。本実施形態の場合、本体部46の厚さよりも薄い厚さを有する取付部47に第2貫通孔44hが設けられているため、第2貫通孔44hの加工が容易である。
【0086】
固定部材45は、ねじ部材48と、弾性部材49と、を備える。ねじ部材48は、頭部48aを有し、第2貫通孔44h、第1貫通孔55h、および孔71hに挿入される。弾性部材49は、ねじ部材48が貫通する環状の部材であり、ねじ部材48の頭部48aと支持部材44の取付部47との間に介在する。弾性部材49として、例えばスプリングワッシャー、コイルばね、環状のゴム等が用いられる。
【0087】
支持部材44と基板55と第2ヒートシンク68とは、第2貫通孔44h、第1貫通孔55h、および孔71hに挿入されるねじ部材48によって、互いに固定されている。この構成によれば、1つのねじ部材48によって支持部材44と基板55と第2ヒートシンク68とを一括して固定できるため、部材同士の固定構造を簡素化することができる。また、第1実施形態と同様、第2ヒートシンク68のフィン72が設けられた側の面から固定用のねじ部材を挿入する必要がない。これにより、光源装置120の組み立て作業の簡略化、第2ヒートシンク68の放熱能力の確保を図ることができる。光源装置120のその他の構成は、第1実施形態の光源装置100と同様である。
【0088】
以下、支持部材44が基板55に対して押圧される作用について説明する。
図10Aは、ねじ部材48を締める前の固定部材45の状態を示す図である。図10Bは、ねじ部材48を締めた後の固定部材45の状態を示す図である。
【0089】
図10Aに示すねじ部材48を締める前の段階において、ねじ部材48の頭部48aは、弾性部材49に当接していない。この状態は、弾性部材49に外力が加わっておらず、弾性部材49の初期状態である。次に、図10Bに示すように、ねじ部材48を締め付けると、弾性部材49は、弾性部材49の厚さ方向(Y軸方向)に圧縮された状態に変化する。このとき、弾性部材は49、初期状態に戻ろうとする弾性復帰力によって、支持部材44を基板55の第1面55aに向けて押圧する。
【0090】
上記の作用により、固定部材45は、弾性部材49が圧縮された状態で支持部材44を基板55に向けて押圧し、基板55に固定する。また、基板55と波長変換部材50との間にはスペーサー部材67が介在しているため、支持部材44が基板55に向けて押圧されたとき、スペーサー部材67が波長変換部材50を支持部材44の凹部44fの底面44jに向けて押圧する力が生じる。そのため、波長変換部材50は、接着材を介することなく、支持部材44に密着した状態で固定される。
【0091】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、波長変換部材50やスペーサー部材67の寸法誤差があったとしても、波長変換部材50が適切な力で支持部材44に押圧され、支持部材44が適切な力で基板55に押圧されるため、波長変換部材50の温度上昇に伴う波長変換効率の低下が抑えられ、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、波長変換部材50の破損を抑制することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。これにより、所望の強度を有する蛍光Yが得られ、信頼性に優れる光源装置120を実現することができる。
【0092】
[第1変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。
図11は、第1変形例の光源装置130の正面図である。図11において、上記の第2実施形態の光源装置120と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図11に示すように、第1変形例の支持部材34は、第2実施形態の支持部材44とは異なり、本体部から支持部材の第3面に沿って延在する取付部を有していない。支持部材34の本体部に、第3面34cに交差する方向に支持部材34を貫通する第2貫通孔34hが設けられている。光源装置130のその他の構成は、第2実施形態の光源装置120と同様である。
【0094】
本変形例においても、所望の強度を有する蛍光Yが得られ、信頼性に優れる光源装置130を実現できる、といった上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0095】
本変形例の場合、支持部材34が取付部を有していないため、第2実施形態に比べて、支持部材34のZ軸方向の幅を小さくすることができる。また、十分な厚さを有する支持部材34に第2貫通孔34hが設けられているため、支持部材34が弾性部材49からの押圧力を安定して受けることができる。
【0096】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図面を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と略同様であるため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図12は、第3実施形態の光源装置140の斜視図である。図13は、第3実施形態の光源装置140の正面図である。
図12および図13において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0097】
図12および図13に示すように、本実施形態の光源装置140は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材(図示略)と、ミラー(図示略)と、支持部材94と、固定部材95と、スペーサー部材67と、第1ヒートシンク97と、第2ヒートシンク68と、を備える。
【0098】
第1ヒートシンク97は、支持部材94の第4面94dに対向して設けられている。図示を省略するが、本実施形態においても、第1実施形態の図6に示したように、支持部材94の第4面94dに溝部が設けられ、固定部材95は溝部の内部に配置されている。そのため、支持部材94の第4面94dに固定部材95が配置されていても、固定部材95が第4面94dから突出することがなく、第1ヒートシンク97は、支持部材94の第4面94dに隙間なく当接する。本実施形態の第1ヒートシンク97は、特許請求の範囲の第1放熱部材に対応する。
【0099】
第1ヒートシンク97は、第2ヒートシンク68と同様、平板部98と、複数のフィン99と、を有する。第1ヒートシンク97と支持部材94との固定構造は、特に限定されることはなく、例えば支持部材94に取付部を設け、取付部において第1ヒートシンク97にねじ止めする構成としてもよいし、第1ヒートシンク97に取付部を設け、取付部において支持部材94にねじ止めする構成としてもよい。
【0100】
固定部材95は、第1実施形態の固定部材65と略同様であるが、ばね作用部93が支持部材94の第4面94dに対向する位置に設けられている点で、第1実施形態の固定部材65とは異なる。本実施形態においても、第1実施形態と同様、固定部材95は、ばね作用部93が引っ張られた状態での弾性復帰力によって支持部材94を基板55に押圧し、固定する。
【0101】
図13に示すように、波長変換部材50の長軸方向(X軸方向)に交差する断面視において、支持部材94のZ軸方向の幅W1は、基板55のZ軸方向の幅W2よりも小さい。また、第1ヒートシンク97のZ軸方向の幅W5は、基板55のZ軸方向の幅W2よりも小さい。基板55の幅W2は、例えば50mm~70mm程度である。支持部材94の幅W1は、例えば5mm~20mm程度である。支持部材94の幅W1は、基板5の幅W2の1/3以下であることが好ましく、基板55の幅W2の1/5以下であることがより好ましく、基板55の幅W2の1/10以下であることがさらに好ましい。
光源装置140のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0102】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、波長変換部材50やスペーサー部材67の寸法誤差があったとしても、波長変換部材50が適切な力で支持部材94に押圧され、支持部材94が適切な力で基板55に押圧されるため、波長変換部材50の温度上昇に伴う波長変換効率の低下が抑えられ、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、波長変換部材50の破損を抑制することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。これにより、所望の強度を有する蛍光Yが得られ、信頼性に優れる光源装置140を実現することができる。
【0103】
本実施形態の光源装置140は、第2ヒートシンク68に加えて第1ヒートシンク97を備えているため、支持部材94の熱を効率良く外部空間に放出することができる。また、支持部材94の幅W1は基板55の幅W2と同じでもよいが、波長変換部材50の熱は、波長変換部材50から遠い支持部材94の端部にはあまり伝達されないため、支持部材94の端部側の領域は伝熱の観点からは無駄なスペースとなる。したがって、本実施形態のように、支持部材94の幅W1を基板55の幅W2よりも小さくする構成は合理的である。
【0104】
さらに、支持部材94の熱が第2ヒートシンク68および第1ヒートシンク97の双方から放出されるため、支持部材94の第4面94dに設けられる第1ヒートシンク97の幅W5も、支持部材94の幅W1と同様、無駄に大きくすることなく、基板55の幅W2よりも小さくする構成が合理的である。このように、本実施形態によれば、波長変換部材50の温度上昇をより確実に抑制するとともに、光源装置140の支持部材94側の部分の小型化を図ることができる。
【0105】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記実施形態および変形例の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0106】
第1実施形態および第3実施形態の光源装置において、固定部材は、固定部材の全体が弾性部材で構成されているが、例えば固定部材のうち、ばね作用部が弾性部材で構成されており、ばね作用部以外の部分は弾性を有していなくてもよい。また、固定部材は、必ずしも板状部材で構成されていなくてもよく、例えばピアノ線のような線状部材であってもよい。
【0107】
上記の実施形態では、放熱部材としてヒートシンクの例を挙げたが、その他、ペルチェ素子等の冷却装置、ヒートパイプ等の伝熱部材、液体からなる冷媒を容器内に収容する任意の液冷装置などを用いてもよい。または、支持部材の外面にフィンを直接形成してもよい。この構成によれば、ヒートシンクを支持部材に固定する必要がない。また、上記の実施形態では、支持部材の第4面に放熱部材を設ける例を示したが、支持部材の第4面と交差する側面にさらに放熱部材を設けてもよい。
【0108】
上記の各実施形態では、波長変換部材の長軸方向(X軸方向)に交差する断面視において、支持部材の幅が基板の幅よりも小さい例を示したが、第2実施形態については、固定部材である板状部材の取付個所が不要であるため、必ずしも支持部材の幅が基板の幅よりも小さくなくてもよい。
【0109】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0110】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0111】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0112】
(付記1)
第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、
前記発光素子が配置される第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する基板と、
蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、
前記基板の前記第1面に当接する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を有し、前記波長変換部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記基板に固定する固定部材と、
前記基板と前記波長変換部材とのそれぞれに当接し、前記発光素子と前記波長変換部材とを互いに離間した位置に保持するスペーサー部材と、
を備え、
前記固定部材は、弾性部材を含んで構成され、前記第3面を前記第1面に向けて押圧した状態で前記支持部材を前記基板に固定する、光源装置。
【0113】
付記1の構成によれば、波長変換部材やスペーサー部材の寸法誤差があったとしても、波長変換部材が適切な力で支持部材に押圧され、支持部材が適切な力で基板に押圧される。その結果、波長変換部材の温度上昇に伴う波長変換効率の低下が抑えられる、波長変換部材の破損を抑制することができる、等の効果が得られる。これにより、所望の強度を有する蛍光が得られ、信頼性に優れる光源装置を実現することができる。
【0114】
(付記2)
前記固定部材は、前記支持部材の前記第3面を除く外面の少なくとも一部に当接する板状部材で構成され、前記弾性部材が引っ張られた状態で前記支持部材を前記基板に固定する、付記1に記載の光源装置。
【0115】
付記2の構成によれば、固定部材は、引っ張られた状態の弾性部材の弾性復帰力を利用して、支持部材を基板に押圧することができる。また、固定部材が板状部材で構成されているため、支持部材を基板に安定して押圧することができる。
【0116】
(付記3)
前記支持部材の前記第4面のうち、前記板状部材が当接する位置に溝部が設けられ、
前記板状部材は、前記溝部の内部に配置され、
前記溝部の深さは、前記板状部材の厚さよりも大きい、付記2に記載の光源装置。
【0117】
付記3の構成によれば、板状部材が支持部材の第4面から突出しないため、光源装置の取り扱いが容易である。また、支持部材の第4面に放熱部材を設ける場合、放熱部材が支持部材の第4面に密着するため、支持部材から放熱部材への伝熱性が向上する。
【0118】
(付記4)
前記第4面に当接し、前記支持部材の熱が伝達される第1放熱部材をさらに備える、付記3に記載の光源装置。
【0119】
付記4の構成によれば、支持部材の熱が第4面から第1放熱部材に伝達され、波長変換部材の温度上昇が抑制される。これにより、波長変換効率の低下が抑えられる。
【0120】
(付記5)
前記基板の前記第2面に当接し、前記基板の熱が伝達される第2放熱部材をさらに備える、付記2から付記4までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0121】
付記5の構成によれば、支持部材の熱が基板の第2面から第2放熱部材に伝達され、波長変換部材の温度上昇が抑制される。これにより、波長変換効率の低下が抑えられる。
【0122】
(付記6)
前記第2放熱部材に、孔が設けられ、
前記基板の前記第2放熱部材の前記孔に対応する位置に、前記第1面および前記第2面に交差する方向に前記基板を貫通する第1貫通孔が設けられ、
前記板状部材の前記第2放熱部材の前記孔に対応する位置に、前記板状部材を厚さ方向に貫通する第2貫通孔が設けられ、
前記板状部材と前記基板と前記第2放熱部材とは、前記第2貫通孔、前記第1貫通孔および前記孔に挿入されるねじ部材によって、互いに固定されている、付記5に記載の光源装置。
【0123】
付記6の構成によれば、板状部材と基板と第2放熱部材とがねじ部材によって一括して固定されるため、これらの部材の固定構造を簡略化することができる。
【0124】
(付記7)
前記基板の前記第1面に、孔が設けられ、
前記支持部材の前記基板の前記孔に対応する位置に、前記第3面に交差する方向に前記支持部材を貫通する貫通孔が設けられ、
前記固定部材は、前記貫通孔および前記孔に挿入されるねじ部材と、前記ねじ部材の頭部と前記支持部材との間に介在する弾性部材と、を備え、
前記固定部材は、前記弾性部材が圧縮された状態で前記支持部材を前記基板に固定する、付記1に記載の光源装置。
【0125】
付記7の構成によれば、固定部材は、圧縮された状態の弾性部材の弾性復帰力を利用して、支持部材を基板に押圧することができる。
【0126】
(付記8)
前記支持部材は、前記波長変換部材を支持する本体部と、前記第3面に沿って延在し、前記本体部の厚さよりも薄い厚さを有する取付部と、を有し、
前記貫通孔は、前記取付部に設けられている、付記7に記載の光源装置。
【0127】
付記8の構成によれば、本体部よりも薄い取付部に貫通孔が設けられているため、貫通孔の加工を容易に行うことができる。
【0128】
(付記9)
前記支持部材の前記第4面に当接し、前記支持部材の熱が伝達される第1放熱部材をさらに備える、付記7または付記8に記載の光源装置。
【0129】
付記9の構成によれば、支持部材の熱が第4面から第1放熱部材に伝達され、波長変換部材の温度上昇が抑制される。これにより、波長変換効率の低下が抑えられる。
【0130】
(付記10)
前記基板の前記第2面に当接し、前記基板の熱が伝達される第2放熱部材をさらに備える、付記7から付記9までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0131】
付記10の構成によれば、支持部材の熱が基板の第2面から第2放熱部材に伝達され、波長変換部材の温度上昇が抑制される。これにより、波長変換効率の低下が抑えられる。
【0132】
(付記11)
前記基板の前記孔は、前記第1面および前記第2面に交差する方向に前記基板を貫通する第1貫通孔であり、
前記支持部材の前記貫通孔は、第2貫通孔であり、
前記第2放熱部材の前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応する位置に、孔が設けられ、
前記支持部材と前記基板と前記第2放熱部材とは、前記第2貫通孔、前記第1貫通孔および前記孔に挿入される前記ねじ部材によって、互いに固定されている、付記10に記載の光源装置。
【0133】
付記11の構成によれば、支持部材と基板と第2放熱部材とがねじ部材によって一括して固定されるため、これらの部材の固定構造を簡略化することができる。
【0134】
(付記12)
前記波長変換部材の長軸方向に交差する断面視において、
前記支持部材の幅は、前記基板の幅よりも小さく、
前記第1放熱部材の幅は、前記基板の幅よりも小さい、付記4または付記9に記載の光源装置。
【0135】
付記12の構成によれば、光源装置のうち、支持部材側の部分の小型化を図ることができる。
【0136】
(付記13)
前記支持部材は、前記第3面から前記第4面に向けて凹んだ凹部を有し、
前記波長変換部材は、前記凹部の内部に配置され、
前記凹部は、前記波長変換部材に当接する底面と、前記底面に交差する方向に延在し、前記波長変換部材に対向する第1壁面および第2壁面と、を有し、
前記第1壁面および前記第2壁面の少なくとも一方は、前記波長変換部材から離間し、前記底面から前記第3面に向かうにつれて前記波長変換部材からの間隔が大きくなる方向に傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記発光素子から射出される前記第1光の少なくとも一部を反射する、付記1から付記12までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0137】
付記13の構成によれば、発光素子から射出され、第1壁面または第2壁面と波長変換部材との隙間に入射する第1光が傾斜面で反射し、波長変換部材に入射しやすくなる。これにより、第1光の利用効率を高めることができる。
【0138】
(付記14)
付記1から付記13までのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【0139】
付記14の構成によれば、高効率で小型のプロジェクターを実現できる。
【符号の説明】
【0140】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投写光学装置、50…波長変換部材、54,44,34,94…支持部材、54c,44c,34c,94c…第3面、54d,44d,94d…第4面、54f…凹部、54j…底面、54m…第1壁面、54n…第2壁面、54p…溝部、55…基板、55a…第1面、55b…第2面、56…発光素子、65,45,95…固定部材、67…スペーサー部材、97…第1ヒートシンク(第1放熱部材)、68…第2ヒートシンク(第2放熱部材)、71h…孔、55h…第1貫通孔、65h,44h,34h…第2貫通孔、78,48…ねじ部材、46…本体部、47…取付部、49…弾性部材、100,120,130,140…光源装置、E…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13