(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069947
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】遅延装置および遅延方法
(51)【国際特許分類】
H03K 5/135 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H03K5/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180256
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 正志
【テーマコード(参考)】
5J001
【Fターム(参考)】
5J001BB17
5J001BB21
5J001BB25
5J001CC03
5J001DD00
(57)【要約】
【課題】遅延時間を長くする場合にコンデンサを大型化したり、ロジック回路を多段に構成したりする必要が生じ、装置が大型化してしまう。
【解決手段】非同期入力信号を遅延させた遅延信号を出力する遅延装置であって、前記非同期入力信号の変化をクロック信号に同期した検出タイミングで検出したことに応じて、前記検出タイミングから前記クロック信号に応じた基準遅延時間後の同期遅延タイミングを決定する同期遅延部と、前記非同期入力信号の変化タイミングから前記検出タイミングまでの検出遅延時間を、前記クロック信号に応じた設定時間から引いた調整時間分だけ前記同期遅延タイミングを遅延させた非同期遅延タイミングにおいて前記遅延信号を変化させる非同期遅延部と、を備える遅延装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非同期入力信号を遅延させた遅延信号を出力する遅延装置であって、
前記非同期入力信号の変化をクロック信号に同期した検出タイミングで検出したことに応じて、前記検出タイミングから前記クロック信号に応じた基準遅延時間後の同期遅延タイミングを決定する同期遅延部と、
前記非同期入力信号の変化タイミングから前記検出タイミングまでの検出遅延時間を、前記クロック信号に応じた設定時間から引いた調整時間分だけ前記同期遅延タイミングを遅延させた非同期遅延タイミングにおいて前記遅延信号を変化させる非同期遅延部と、
を備える遅延装置。
【請求項2】
前記非同期遅延部は、
前記検出遅延時間に応じた遅延時間対応値を取得する遅延時間取得部と、
前記遅延時間対応値に基づいて前記同期遅延タイミングから前記調整時間後の前記非同期遅延タイミングを検出する調整時間経過検出部と、
を有する、請求項1に記載の遅延装置。
【請求項3】
前記遅延時間取得部は、
定電流で充電される第1コンデンサと、
前記第1コンデンサの充電を制御する第1コンデンサ制御部と、
前記検出遅延時間に亘り前記第1コンデンサに充電された充電量に応じた値を前記遅延時間対応値として検出する対応値検出部と、
を有する、請求項2に記載の遅延装置。
【請求項4】
前記調整時間経過検出部は、
定電流で放電される第2コンデンサと、
前記第2コンデンサを前記設定時間に対応する充電量まで充電させた後に、前記同期遅延タイミングから前記第2コンデンサの放電を開始させる第2コンデンサ制御部と、
前記第2コンデンサの充電残量に応じた値が前記遅延時間対応値まで低下したタイミングを前記非同期遅延タイミングとして検出するタイミング検出部と、
を有する、請求項3に記載の遅延装置。
【請求項5】
前記第2コンデンサは、前記第2コンデンサ制御部により同じ電流値の定電流で充電と放電とが行われ、
前記第2コンデンサ制御部は、前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電する、請求項4に記載の遅延装置。
【請求項6】
前記第2コンデンサ制御部は、
前記非同期入力信号が立上ったことに応じ、第1の前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記第1の設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電し、
前記非同期入力信号が立下ったことに応じ、第2の前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記第2の設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電し、
前記調整時間経過検出部は、
前記第1の設定時間および前記第2の設定時間のうち、より長い設定時間において前記第2コンデンサ制御部により流される定電流の電流値を、より短い設定時間において前記第2コンデンサ制御部により流される定電流の電流値に対して小さくする電流切替部を有する、請求項5に記載の遅延装置。
【請求項7】
前記同期遅延部は、
前記非同期入力信号の変化を前記クロック信号に同期したタイミングで検出する同期検出部と、
前記クロック信号の変化回数をカウントするカウンタと、
前記カウンタによるカウント値に基づいて前記検出タイミングから前記基準遅延時間が経過したタイミングを前記同期遅延タイミングとして検出する基準遅延時間経過検出部と、
を有する、請求項1に記載の遅延装置。
【請求項8】
前記基準遅延時間経過検出部は、
前記非同期入力信号が立上ったことに応じて、前記非同期入力信号の立上りを検出した前記検出タイミングから第1の前記基準遅延時間後の第1の前記同期遅延タイミングを検出し、
前記非同期入力信号が立下ったことに応じて、前記非同期入力信号が立下りを検出した前記検出タイミングから第2の前記基準遅延時間後の第2の前記同期遅延タイミングを検出する、請求項7に記載の遅延装置。
【請求項9】
前記基準遅延時間経過検出部は、
前記非同期入力信号の立上りを検出した前記検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が第1の基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第1の同期遅延タイミングを検出し、
前記非同期入力信号の立下りを検出した前記検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が第2の基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第2の同期遅延タイミングを検出する、請求項8に記載の遅延装置。
【請求項10】
前記同期検出部は、
前記非同期入力信号の立上りを第1のクロック信号に同期したタイミングで検出する第1の同期検出部と、
前記非同期入力信号の立下りを第2のクロック信号に同期したタイミングで検出する第2の同期検出部と、
を有し、
前記カウンタは、
前記第1の同期検出部により前記非同期入力信号の立上りが検出された第1の前記検出タイミングから、前記第1のクロック信号の変化回数を検出し、
前記第2の同期検出部により前記非同期入力信号の立下りが検出された第2の前記検出タイミングから、前記第2のクロック信号の変化回数を検出し、
前記基準遅延時間経過検出部は、
前記第1の検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第1の同期遅延タイミングを検出し、
前記第2の検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が前記基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第2の同期遅延タイミングを検出する、請求項8に記載の遅延装置。
【請求項11】
非同期入力信号を遅延させた遅延信号を出力する遅延方法であって、
前記非同期入力信号の変化をクロック信号に同期した検出タイミングで検出したことに応じて、前記検出タイミングから前記クロック信号に応じた基準遅延時間後の同期遅延タイミングを決定する同期遅延段階と、
前記非同期入力信号の変化タイミングから前記検出タイミングまでの検出遅延時間を、前記クロック信号に応じた設定時間から引いた調整時間分だけ前記同期遅延タイミングを遅延させた非同期遅延タイミングにおいて前記遅延信号を変化させる非同期遅延段階と、
を備える遅延方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延装置および遅延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非同期の入力信号を遅延させる場合には、入力信号の変化タイミングから出力信号を変化させるまでの遅延時間をコンデンサや多段のロジック回路で計時している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2013-243436号公報
特許文献2 特開2008-166981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遅延時間を長くする場合にコンデンサを大型化したり、ロジック回路を多段に構成したりする必要が生じ、装置が大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、非同期入力信号を遅延させた遅延信号を出力する遅延装置であって、前記非同期入力信号の変化をクロック信号に同期した検出タイミングで検出したことに応じて、前記検出タイミングから前記クロック信号に応じた基準遅延時間後の同期遅延タイミングを決定する同期遅延部と、前記非同期入力信号の変化タイミングから前記検出タイミングまでの検出遅延時間を、前記クロック信号に応じた設定時間から引いた調整時間分だけ前記同期遅延タイミングを遅延させた非同期遅延タイミングにおいて前記遅延信号を変化させる非同期遅延部と、を備える遅延装置が提供される。
【0005】
上記の遅延装置において、非同期遅延部は、前記検出遅延時間に応じた遅延時間対応値を取得する遅延時間取得部と、前記遅延時間対応値に基づいて前記同期遅延タイミングから前記調整時間後の前記非同期遅延タイミングを検出する調整時間経過検出部と、を有してよい。
【0006】
上記の遅延装置において、前記遅延時間取得部は、定電流で充電される第1コンデンサと、前記第1コンデンサの充電を制御する第1コンデンサ制御部と、前記検出遅延時間に亘り前記第1コンデンサに充電された充電量に応じた値を前記遅延時間対応値として検出する対応値検出部と、を有してよい。
【0007】
上記の遅延装置において、前記調整時間経過検出部は、定電流で放電される第2コンデンサと、前記第2コンデンサを前記設定時間に対応する充電量まで充電させた後に、前記同期遅延タイミングから前記第2コンデンサの放電を開始させる第2コンデンサ制御部と、前記第2コンデンサの充電残量に応じた値が前記遅延時間対応値まで低下したタイミングを前記非同期遅延タイミングとして検出するタイミング検出部と、を有してよい。
【0008】
上記の遅延装置において、前記第2コンデンサは、前記第2コンデンサ制御部により同じ電流値の定電流で充電と放電とが行われ、前記第2コンデンサ制御部は、前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電してよい。
【0009】
上記の遅延装置において、前記第2コンデンサ制御部は、前記非同期入力信号が立上ったことに応じ、第1の前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記第1の設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電し、前記非同期入力信号が立下ったことに応じ、第2の前記設定時間に亘って前記第2コンデンサを充電した後、前記同期遅延タイミングから少なくとも前記第2の設定時間に亘って前記第2コンデンサを放電し、前記調整時間経過検出部は、前記第1の設定時間および前記第2の設定時間のうち、より長い設定時間において前記第2コンデンサ制御部により流される定電流の電流値を、より短い設定時間において前記第2コンデンサ制御部により流される定電流の電流値に対して小さくする電流切替部を有してよい。
【0010】
上記何れかの遅延装置において、前記同期遅延部は、前記非同期入力信号の変化を前記クロック信号に同期したタイミングで検出する同期検出部と、前記クロック信号の変化回数をカウントするカウンタと、前記カウンタによるカウント値に基づいて前記検出タイミングから前記基準遅延時間が経過したタイミングを前記同期遅延タイミングとして検出する基準遅延時間経過検出部と、を有してよい。
【0011】
上記の遅延装置において、前記基準遅延時間経過検出部は、前記非同期入力信号が立上ったことに応じて、前記非同期入力信号の立上りを検出した前記検出タイミングから第1の前記基準遅延時間後の第1の前記同期遅延タイミングを検出し、前記非同期入力信号が立下ったことに応じて、前記非同期入力信号が立下りを検出した前記検出タイミングから第2の前記基準遅延時間後の第2の前記同期遅延タイミングを検出してよい。
【0012】
上記の遅延装置において、前記基準遅延時間経過検出部は、前記非同期入力信号の立上りを検出した前記検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が第1の基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第1の同期遅延タイミングを検出し、前記非同期入力信号の立下りを検出した前記検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が第2の基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第2の同期遅延タイミングを検出してよい。
【0013】
前記第1の同期遅延タイミングおよび前記第の同期遅延タイミングを検出する上記の遅延装置において、前記同期検出部は、前記非同期入力信号の立上りを第1のクロック信号に同期したタイミングで検出する第1の同期検出部と、前記非同期入力信号の立下りを第2のクロック信号に同期したタイミングで検出する第2の同期検出部と、を有し、前記カウンタは、前記第1の同期検出部により前記非同期入力信号の立上りが検出された第1の前記検出タイミングから、前記第1のクロック信号の変化回数を検出し、前記第2の同期検出部により前記非同期入力信号の立下りが検出された第2の前記検出タイミングから、前記第2のクロック信号の変化回数を検出し、前記基準遅延時間経過検出部は、前記第1の検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第1の同期遅延タイミングを検出し、前記第2の検出タイミングからの前記カウンタによるカウント値が前記基準カウント値に達したタイミングに基づいて前記第2の同期遅延タイミングを検出してよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、非同期入力信号を遅延させた遅延信号を出力する遅延方法であって、前記非同期入力信号の変化をクロック信号に同期した検出タイミングで検出したことに応じて、前記検出タイミングから前記クロック信号に応じた基準遅延時間後の同期遅延タイミングを決定する同期遅延段階と、前記非同期入力信号の変化タイミングから前記検出タイミングまでの検出遅延時間を、前記クロック信号に応じた設定時間から引いた調整時間分だけ前記同期遅延タイミングを遅延させた非同期遅延タイミングにおいて前記遅延信号を変化させる非同期遅延段階と、を備える遅延方法が提供される。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
<1.実施形態>
<1.1.遅延装置1>
図1は、本実施形態に係る遅延装置1を示す。遅延装置1は、入力される非同期入力信号INを遅延させた遅延信号OUTを出力する。非同期入力信号INは、遅延装置1とは非同期の外部装置(図示せず)から入力されてよい。例えば、遅延装置1はIPM(インテリジェントパワーモジュール)に内蔵されてよく、非同期入力信号INはIPMの制御装置から供給される制御信号であってよい。非同期入力信号INはパルス信号であってよく、一例として1μs~10msのパルス幅を有してよい。遅延装置1は、受信部10と、同期遅延部2と、非同期遅延部3とを備える。
【0019】
<1.1.1.受信部10>
受信部10は、外部装置から非同期入力信号INを受信する。受信部10は、受信した非同期入力信号INを同期遅延部2および非同期遅延部3に供給してよい。
【0020】
<1.1.2.同期遅延部2>
同期遅延部2は、非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKに同期した検出タイミングt2で検出したことに応じて、検出タイミングt2からクロック信号CLKに応じた基準遅延時間TS後の同期遅延タイミングt5を決定する。同期遅延部2は、同期検出部21と、カウンタ22と、充電時間設定部23と、放電時間設定部24とを有してよい。
【0021】
ここで、非同期入力信号INの変化とは、非同期入力信号INの立上りであってもよいし、立下りであってもよい。非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKに同期したタイミングで検出するとは、非同期入力信号INの変化を、クロック信号CLKに同期した複数のタイミングのうち、当該変化タイミングよりも後のタイミングで検出することであってよい。クロック信号CLKに同期したタイミングとは、クロック信号CLKの立上りタイミングであってもよいし、立下りタイミングであってもよい。クロック信号CLKは、例えば2MHzの周波数を有してもよいし、2MHzを分周して得られる、より大きい周波数を有してもよい。クロック信号CLKは、遅延装置1の内部または外部の発振器(図示せず)から出力されてよい。クロック信号CLKに応じた時間とは、クロック信号CLKに同期したタイミングで規定される時間であってよく、クロック周期の整数倍の時間であってもよいし、クロック周期の整数倍の時間に対し、クロック周期の半周期を加えた時間であってもよい。基準遅延時間TSは、予め設定された長さを有してよく、本実施形態では一例としてクロック信号CLKの14.5周期分の長さを有してよい。
【0022】
<1.1.2-1.同期検出部21>
同期検出部21は、非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKに同期したタイミングで検出する。同期検出部21は、受信部10から非同期入力信号INを受信すると共に、上述の発信器からクロック信号CLKを受信してよく、非同期入力信号INの立上りおよび立下りをクロック信号CLKに同期したタイミングでそれぞれ検出してよい。
【0023】
例えば、同期検出部21は、クロック信号CLKに同期した各タイミングで非同期入力信号INの信号レベルを検出し、新たなタイミングで検出した非同期入力信号INの信号レベルと、1つ前のタイミングで検出した非同期入力信号INの信号レベルとの異同により非同期入力信号INの変化を検出してよい。同期検出部21は、クロック信号CLKに応じて非同期入力信号INを取り込む1または複数のDフリップフロップ(図示せず)と、2つのタイミングでDフリップフロップに取り込まれた非同期入力信号INの信号レベルの排他的論理和をとるXORゲート(図示せず)とを有してよい。
【0024】
同期検出部21は、非同期入力信号INの変化を検出した検出タイミングt2で信号レベルが切り替わる信号S(t2)を非同期遅延部3に供給してよい。また、同期検出部21は、検出タイミングt2からクロック信号CLKの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTと、発振器から供給されるクロック信号CLKとをカウンタ22に供給してよい。
【0025】
<1.1.2-2.カウンタ22>
カウンタ22は、クロック信号CLKの変化回数をカウントする。カウンタ22は、クロック信号CLKの立上りおよび立下りの少なくとも一方の回数をカウントしてよく、本実施形態では一例として、立下りの回数をカウントしてよい。
【0026】
カウンタ22は、同期検出部21からリセット信号GRSTを受信したことに応じてリセットされ、リセット信号GRSTが終了することに応じてカウントを開始してよい。カウンタ22は4ビットカウンタであってよく、10進数の0から15まで、別言すれば16進数の0からFまでをカウントアップしてよい。カウンタ22は、カウント値CNTおよびクロック信号CLKを充電時間設定部23および放電時間設定部24に供給してよい。
【0027】
<1.1.2-3.充電時間設定部23>
充電時間設定部23は、非同期遅延部3における後述の第2コンデンサ321の充電時間を設定する。充電時間設定部23は、カウンタ22によるカウントが開始されたタイミングから、クロック信号CLKに応じた設定時間Tsetに亘る期間を充電時間として設定してよく、充電時間に亘って継続する充電指示信号RCCを非同期遅延部3における後述の第2コンデンサ制御部323に供給してよい。なお、設定時間Tsetは、予め設定された長さを有してよく、本実施形態では一例として、1.5周期分の長さを有してよい。設定時間Tsetは、非同期入力信号INを遅延させる所望の遅延時間Tdから基準遅延時間TSを引いた長さであってよい。別言すれば、設定時間Tsetは、遅延時間Td=基準遅延時間TS+設定時間Tsetを満たすように設定されてよい。
【0028】
<1.1.2-4.放電時間設定部24>
放電時間設定部24は、非同期遅延部3における第2コンデンサ321の放電時間を設定する。放電時間設定部24は、基準遅延時間経過検出部の一例であってよく、カウンタ22によるカウント値CNTに基づいて、検出タイミングt2から基準遅延時間TSが経過したタイミングを同期遅延タイミングt5として検出する。放電時間設定部24は、カウント値CNTに基づいて検出タイミングt2からの経過時間が基準遅延時間TSに達したことを検出してよい。本実施形態では一例として、基準遅延時間TSはクロック周期の14.5周期分の長さを有するため、放電時間設定部24は、カウント値CNTとクロック信号CLKとに基づいて、検出タイミングt2からの経過時間が基準遅延時間TSに達したことを検出してよい。放電時間設定部24は、検出した同期遅延タイミングt5から上述の設定時間Tsetに亘る期間を放電時間として設定してよく、放電時間に亘って継続する放電指示信号RCDを非同期遅延部3における第2コンデンサ制御部323に供給してよい。
【0029】
<1.1.3.非同期遅延部3>
非同期遅延部3は、設定時間Tsetから検出遅延時間Tlagを引いた調整時間Tdiffの分だけ同期遅延タイミングt5を遅延させた非同期遅延タイミングt6において、遅延信号OUTを変化させる。検出遅延時間Tlagは、非同期入力信号INの変化タイミングt1から検出タイミングt2までの時間であってよく、設定時間Tsetよりも短い時間であってよい。非同期遅延部3は、遅延時間取得部31と、調整時間経過検出部32とを有してよい。
【0030】
<1.1.3-1.遅延時間取得部31>
遅延時間取得部31は、検出遅延時間Tlagに応じた遅延時間対応値V(Tlag)を取得する。本実施形態では一例として、遅延時間対応値V(Tlag)は、電圧を示す値であってよい。遅延時間取得部31は、第1コンデンサ311と、電流源312と、充放電時間設定部313と、第1コンデンサ制御部314と、対応値検出部315とを有してよい。
【0031】
<1.1.3-1-1.第1コンデンサ311>
第1コンデンサ311は、定電流で充電される。本実施形態では一例として、第1コンデンサ311は、静電容量C1を有し、定電流I1で充電されてよい。
【0032】
<1.1.3-1-2.電流源312>
電流源312は、第1コンデンサ311に対して定電流I1を供給する。
【0033】
<1.1.3-1-3.充放電時間設定部313>
充放電時間設定部313は、第1コンデンサ311の充放電時間を設定する。充放電時間設定部313は、受信部10から非同期入力信号INを受信するとともに、同期検出部21から信号S(t2)を受信してよく、非同期入力信号INの変化タイミングt1から検出タイミングt2までの検出遅延時間Tlagに亘る期間を充電時間として設定してよい。充放電時間設定部313は、充電時間に亘って継続する充電指示信号INPLSを第1コンデンサ制御部314に供給してよい。充放電時間設定部313は、受信部10から供給される非同期入力信号INと、同期検出部21から供給される信号S(t2)との排他的論理和をとるXORゲート(図示せず)を有してよい。充放電時間設定部313は、充電指示信号INPLSの供給前に第1コンデンサ311をリセットさせるリセット指示信号RSTを第1コンデンサ制御部314に供給してよい。第1コンデンサ311をリセットさせるとは、第1コンデンサ311を基準充電量(一例として0)まで放電させることであってよい。
【0034】
<1.1.3-1-4.第1コンデンサ制御部314>
第1コンデンサ制御部314は、第1コンデンサ311の充電を制御する。第1コンデンサ制御部314は、第1コンデンサ311を電流源312と電気的に接続させることで第1コンデンサ311を充電させてよい。第1コンデンサ制御部314は、充放電時間設定部313から供給される充電指示信号INPLSに応じて第1コンデンサ311を充電させてよい。第1コンデンサ制御部314は、充放電時間設定部313から供給されるリセット信号RSTに応じて第1コンデンサ311をリセットさせてよい。
【0035】
<1.1.3-1-5.対応値検出部315>
対応値検出部315は、検出遅延時間Tlagに亘り第1コンデンサ311に充電された充電量に応じた値を遅延時間対応値V(Tlag)として検出する。本実施形態においては一例として、対応値検出部315は、検出遅延時間Tlagの経過後の第1コンデンサ311の充電量から基準充電量(本実施形態では一例として0)を引いた値を遅延時間対応値V(Tlag)として検出してよい。対応値検出部315は、検出した遅延時間対応値V(Tlag)を調整時間経過検出部32に供給してよい。
【0036】
<1.1―3-2.調整時間経過検出部32>
調整時間経過検出部32は、遅延時間対応値V(Tlag)に基づいて同期遅延タイミングt5から調整時間Tdiff後の非同期遅延タイミングt6を検出する。調整時間経過検出部32は、第2コンデンサ321と、電流源322と、第2コンデンサ制御部323と、対応値検出部324と、タイミング検出部325と、出力部326とを有してよい。
【0037】
<1.1.3-2-1.第2コンデンサ321>
第2コンデンサ321は、定電流で放電される。第2コンデンサ321は、第2コンデンサ制御部323により同じ電流値の定電流で充電と放電とが行われてよい。本実施形態では一例として、第2コンデンサ321は、静電容量C2を有し、定電流I2で充放電されてよい。第2コンデンサ321の静電容量C2、充放電の定電流I2と、上述の第1コンデンサ311の静電容量C1、充電の定電流I1とはI2=I1×C2/C1の関係であってよい。これにより、第2コンデンサ321の充放電の速度は、第1コンデンサ311の充電速度と同じであってよい。
【0038】
<1.1.3-2-2.電流源322>
電流源322は、第2コンデンサ321に対して正負の定電流I2を供給する。電流源322は、ソース型の電流源として第2コンデンサ321に対して正の定電流I2を供給してよく、シンク型の電流源として第2コンデンサ321に対して負の定電流I2を供給してよい。第1コンデンサ311の静電容量C1と、第2コンデンサ321の静電容量C2とが等しい場合には、電流源322は遅延時間取得部31の電流源322と同一であってよい。
【0039】
<1.1.3-2-3.第2コンデンサ制御部323>
第2コンデンサ制御部323は、第2コンデンサ321の充放電を制御する。第2コンデンサ制御部323は、設定時間に対応する充電量まで第2コンデンサ321を充電させた後に、同期遅延タイミングt5から第2コンデンサ321の放電を開始させてよい。本実施形態においては一例として、第2コンデンサ制御部323は、設定時間Tsetに亘って第2コンデンサ321を充電した後、同期遅延タイミングt5から少なくとも設定時間に亘って第2コンデンサ321を放電してよい。第2コンデンサ制御部323は、充電時間設定部23から供給される充電指示信号RCCに応じて第2コンデンサ321を充電させてよい。第2コンデンサ制御部323は、放電時間設定部24から供給される放電指示信号RCDに応じて第2コンデンサ321を放電させてよい。
【0040】
なお、放電時間が設定時間Tsetを超える場合には、第2コンデンサ321の充電残量は設定時間Tsetの経過タイミングでゼロになってよい。第2コンデンサ制御部323は、第2コンデンサ321をソース型またはシンク型の電流源322と電気的に接続させることで第2コンデンサ321を充放電させてよい。
【0041】
<1.1.3-2-4.対応値検出部324>
対応値検出部324は、第2コンデンサ321の充電量に応じた値(基準値Vrefとも称する)を検出する。本実施形態においては一例として、対応値検出部324は、第2コンデンサ321の放電期間に亘り、第2コンデンサ321の充電残量を、基準値Vrefとして検出してよい。対応値検出部324は、検出した基準値Vrefをタイミング検出部325に供給してよい。
【0042】
<1.1.3-2-5.タイミング検出部325>
タイミング検出部325は、第2コンデンサ321の充電残量に応じた値が遅延時間対応値V(Tlag)まで低下したタイミングを非同期遅延タイミングt6として検出する。タイミング検出部325は、調整時間経過検出部32の対応値検出部324から基準値Vrefを受信すると共に、遅延時間取得部31の対応値検出部315から遅延時間対応値V(Tlag)を取得し、基準値Vrefが低下して遅延時間対応値V(Tlag)となったタイミングを検出してよい。一例として、タイミング検出部325は、基準値Vrefと遅延時間対応値V(Tlag)とを比較するコンパレータ(図示せず)を有してよい。
【0043】
ここで、本実施形態においては一例として、第2コンデンサ321の放電速度は第1コンデンサ311の充電速度と等しい。そのため、第2コンデンサ321の充電残量が遅延時間対応値V(Tlag)に低下してからゼロになるまでの時間は、第1コンデンサ311がリセットされてから遅延時間対応値V(Tlag)まで充電される時間、つまり検出遅延時間Tlagと等しい。従って、第2コンデンサ321の充電残量が遅延時間対応値V(Tlag)に低下するタイミングは、設定時間Tsetの終了タイミングよりも検出遅延時間Tlagだけ先行するタイミングを示してよい。別言すれば、第2コンデンサ321の充電残量が遅延時間対応値V(Tlag)に低下するタイミングは、設定時間Tsetから検出遅延時間Tlagを引いた調整時間Tdiffの分だけ、設定時間Tsetの開始タイミング、つまり同期遅延タイミングt5よりも遅延した非同期遅延タイミングt6を示してよい。
【0044】
タイミング検出部325は、非同期遅延タイミングt6で信号レベルが切り替わる信号S(t6)を出力部326に供給してよい。
【0045】
<1.1.3-2-6.出力部326>
出力部326は、非同期入力信号INを遅延させた遅延信号OUTを出力する。出力部326は、タイミング検出部325から供給される信号S(t6)に応じて、非同期遅延タイミングt6で遅延信号OUTの信号レベルを変化させてよい。
【0046】
以上の遅延装置1によれば、非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKに同期した検出タイミングt2で検出したことに応じて、クロック信号CLKに応じた基準遅延時間TSだけ検出タイミングt2から後の同期遅延タイミングt5が決定される。そして、非同期入力信号INの変化タイミングから検出タイミングt2までの検出遅延時間Tlagをクロック信号CLKに応じた設定時間Tsetから引いた調整時間Tdiff分だけ同期遅延タイミングt5を遅延させた非同期遅延タイミングt6において遅延信号OUTが変化する。従って、クロック信号CLKの周波数によらず、クロック信号CLKに同期した検出タイミングt2と、非同期入力信号INの変化タイミングとのずれ量、つまり検出遅延時間Tlagを正確に再現し、所望の遅延時間Tdだけ遅延させた遅延信号OUTを生成することができる。また、検出タイミングt2からクロック信号CLKに応じた基準遅延時間TS後の同期遅延タイミングt5を決定することとは別に、クロック信号CLKとは非同期の調整時間Tdiff分だけ同期遅延タイミングt5を遅延した非同期遅延タイミングt6を決定するので、基準遅延時間TSの経過タイミングの検出と、調整時間Tdiffの経過タイミングの検出とを別々に行うことができる。従って、非同期入力信号INの変化タイミングから所望の遅延時間Tdに達するまでの時間をコンデンサや多段のロジック回路で計時する場合と異なり、遅延時間Tdを長くすることによる遅延装置1の大型化を防止することができる。
【0047】
また、同期遅延部2により非同期入力信号INの変化がクロック信号CLKに同期したタイミングで検出され、クロック信号CLKの変化回数のカウント値に基づいて検出タイミングt2から基準遅延時間TSが経過したタイミングが同期遅延タイミングt5として検出される。従って、検出タイミングt2から基準遅延時間TS後の同期遅延タイミングt5を正確に検出することができる。また、コンデンサや多段のロジック回路を用いて同期遅延タイミングt5を検出する場合と異なり、カウンタ22を用いて同期遅延タイミングt5を検出するため、遅延時間Tdを長くすることによる遅延装置1の大型化を確実に防止することができる。
【0048】
また、非同期遅延部3により検出遅延時間Tlagに応じた遅延時間対応値V(Tlag)が取得され、遅延時間対応値V(Tlag)に基づいて同期遅延タイミングt5から調整時間Tdiff後の非同期遅延タイミングt6が検出される。従って、非同期遅延タイミングt6を正確に検出することができる。そのため、検出遅延時間Tlagを正確に再現し、非同期入力信号INを所望の遅延時間Tdだけ正確に遅延させた遅延信号OUTを生成することができる。
【0049】
また、検出遅延時間Tlagに亘り第1コンデンサ311に充電された充電量に応じた値が遅延時間対応値V(Tlag)として検出されるので、検出遅延時間Tlagに応じた遅延時間対応値V(Tlag)を簡易な構成で容易に取得することができる。
【0050】
また、第2コンデンサ321を設定時間Tsetに対応する充電量まで充電させた後に、同期遅延タイミングt5から放電させ、第2コンデンサ321の充電残量に応じた値が遅延時間対応値V(Tlag)まで低下したタイミングが非同期遅延タイミングt6として検出される。従って、調整時間Tdiffを直接的に計測することなく、非同期遅延タイミングt6を検出することができる。そのため、非同期遅延タイミングt6を簡易な構成で容易に検出することができる。
【0051】
また、第2コンデンサ321は同じ電流値の定電流I2で充電と放電とが行われ、第2コンデンサ制御部323により設定時間Tsetに亘って充電された後、同期遅延タイミングt5から少なくとも設定時間Tsetに亘って放電される。従って、同期遅延タイミングt5から調整時間Tdiff後の非同期遅延タイミングt6を正確に検出することができる。
【0052】
<1.2.動作>
図2は、遅延装置1の動作を示す。遅延装置1は、ステップS11~S15の処理を行うことにより非同期入力信号INを遅延した遅延信号OUTを出力する。なお、
図2の動作は、非同期入力信号INが変化するごとに実行されてよい。
【0053】
ステップS11において同期遅延部2の同期検出部21は、非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKに同期した検出タイミングt2で検出する。同期検出部21は、非同期入力信号INの立上りを検出してもよいし、立下りを検出してもよい。
【0054】
ステップS13において、同期検出部21の放電時間設定部24は、検出タイミングt2からクロック信号CLKに応じた基準遅延時間TS後の同期遅延タイミングt5を決定する。本実施形態においては一例として、放電時間設定部24は、検出した同期遅延タイミングt5から設定時間Tsetに亘る期間を放電時間として設定してよい。
【0055】
ステップS15において非同期遅延部3は、非同期入力信号INの変化タイミングt1から検出タイミングt2までの検出遅延時間Tlagを設定時間Tsetから引いた調整時間Tdiff分だけ同期遅延タイミングt5を遅延させた非同期遅延タイミングt6において、遅延信号OUTを変化させる。これにより、クロック信号CLKに同期した検出タイミングt2と、非同期入力信号INの変化タイミングとのずれ量、つまり検出遅延時間Tlagを正確に再現し、所望の遅延時間Tdだけ遅延させた遅延信号OUTが生成される。
【0056】
<1.3.動作波形>
図3は遅延装置1の動作波形をカウンタ22によるカウンタ値CNTと共に示す。なお、本図や、後述の
図5において横軸は時間を示し、縦軸はクロック信号CLK、非同期入力信号IN、充放電時間設定部313による充電指示信号INPLS、リセット信号RST、第1コンデンサ311の充電電圧VCAP、充電時間設定部23による充電指示信号RCC、放電時間設定部24による放電指示信号RCD、第2コンデンサ321の充電電圧RCAP、および、出力される遅延信号OUTの各電圧レベルを示す。本図や、後述の
図4などにおいて各符号に付された添え字のrは、符号で示される信号やタイミングなどの対象が非同期入力信号INの立ち上りに対応することを示す。同様に、添え字のfは、符号で示される対象が非同期入力信号INの立ち下りに対応することを示す。
【0057】
時点t1r(変化タイミングt1rとも称する)において非同期入力信号INがクロック信号CLKと非同期のタイミングで立上ると、充放電時間設定部313がリセット信号RST(図示せず)を第1コンデンサ制御部314に出力して第1コンデンサ311をリセットした後、充電指示信号INPLSをハイレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電を開始させる。
【0058】
時点t2r(検出タイミングt2rとも称する)において同期検出部21が非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKの立上りタイミングで検出する。これにより、同期検出部21からの信号S(t2)(図示せず)の信号レベルが切り替わり、充放電時間設定部313が充電指示信号INPLSをローレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電が終了する。その結果、変化タイミングt1rから検出タイミングt2rまでの検出遅延時間Tlagに亘って第1コンデンサ311が充電されて充電電圧VCAPが遅延時間対応値V(Tlag)rとなる。
【0059】
また、同期検出部21は、検出タイミングt2rからクロック信号CLKの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTを出力してカウンタ22のカウント値をリセットさせる。なお、本実施形態においては一例として、リセット信号GRSTはローレベルのパルス信号であってよい。
【0060】
時点t3rにおいてリセット信号GRSTが終了すると、カウンタ22がカウントアップを開始する。これにより、充電時間設定部23が時点t3rから時点t4rまでの設定時間Tsetに亘って継続する充電指示信号RCCを出力し、第2コンデンサ321を充電させる。
【0061】
時点t5r(同期遅延タイミングt5rとも称する)において検出タイミングt2rからの経過時間が基準遅延時間TSに達すると、放電時間設定部24は少なくとも時点t5rから時点t7rまでの設定時間Tsetrに亘って継続する放電指示信号RCDを出力する。これにより、第2コンデンサ321の充電残量Vrefが時点t5rから時点t7rまで一定の速度で低下する。なお、本実施形態では一例として、放電時間設定部24は時点t5rから後述の時点t1fまで継続する放電指示信号RCDを出力してよい。
【0062】
時点t6r(非同期遅延タイミングt6rとも称する)において充電残量Vrefが遅延時間対応値V(Tlag)rまで低下すると、遅延信号OUTが立上る。これにより、非同期入力信号INが立上ってから、所望の遅延時間Td(=TS+Tset)だけ遅延したタイミングで遅延信号OUTが立上る。
【0063】
時点t1f(変化タイミングt1fとも称する)において非同期入力信号INがクロック信号CLKと非同期のタイミングで立下ると、充放電時間設定部313がリセット信号RST(図示せず)を第1コンデンサ制御部314に出力して第1コンデンサ311をリセットした後、充電指示信号INPLSをハイレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電を開始させる。
【0064】
時点t2f(検出タイミングt2fとも称する)において同期検出部21が非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKの立上りタイミングで検出する。これにより、同期検出部21からの信号S(t2)(図示せず)の信号レベルが切り替わり、充放電時間設定部313が充電指示信号INPLSをローレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電が終了する。その結果、変化タイミングt1rから検出タイミングt2fまでの検出遅延時間Tlagに亘って第1コンデンサ311が充電されて充電電圧VCAPが遅延時間対応値V(Tlag)fとなる。
【0065】
また、同期検出部21は、検出タイミングt2からクロック信号CLKの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTを出力してカウンタ22のカウント値をリセットさせる。
【0066】
時点t3fにおいてリセット信号GRSTが終了すると、カウンタ22がカウントアップを開始する。これにより、充電時間設定部23が時点t3fから時点t4fまでの設定時間Tsetに亘って継続する充電指示信号RCCを出力し、第2コンデンサ321を充電させる。
【0067】
時点t5f(同期遅延タイミングt5fとも称する)において検出タイミングt2fからの経過時間が基準遅延時間TSに達すると、放電時間設定部24は少なくとも時点t5fから時点t7fまでの設定時間Tsetに亘って継続する放電指示信号RCDを出力する。これにより、第2コンデンサ321の充電残量Vrefが時点t5fから時点t7fまで一定の速度で低下する。
【0068】
時点t6f(非同期遅延タイミングt6fとも称する)において充電残量Vrefが遅延時間対応値V(Tlag)fまで低下すると、遅延信号OUTが立ち下る。これにより、非同期入力信号INが立下ってから、所望の遅延時間Td(=TS+Tset)だけ遅延したタイミングで遅延信号OUTが立下る。
【0069】
<2.変形例>
<2.1.遅延装置1A>
図4は、変形例に係る遅延装置1Aを示す。なお、
図1に示された遅延装置1と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0070】
遅延装置1Aは、2つのクロック信号CLKr,CLKfを用いること、第2コンデンサ321に対する充放電の電流値を非同期遅延信号INの立上りの場合と、立下りの場合とで切り替える点で遅延装置1と異なってよい。遅延装置1Aは、同期遅延部2Aおよび非同期遅延部3Aを備えてよい。
【0071】
なお、クロック信号CLKrは第1のクロック信号の一例であってよく、クロック信号CLKfは第2のクロック信号の一例であってよい。クロック信号CLKr,CLKfは周波数が異なってよく、本実施形態では一例としてクロック信号CLKrの方がクロック信号CLKfよりも周波数が小さくてよい。クロック信号CLKfの周波数はクロック信号CLKrの周波数の整数倍であってよく、クロック信号CLKfはクロック信号CLKrを分周して生成されてよい。
【0072】
<2.1.1.同期遅延部2A>
同期遅延部2Aは、同期検出部21r、21fと、カウンタ22Aと、充電時間設定部23Aと、放電時間設定部24Aとを有してよい。
【0073】
<2.1.1-1.同期検出部21r>
同期検出部21rは、第1の同期検出部の一例であってよく、非同期入力信号INの立上りをクロック信号CLKrに同期したタイミングで検出する。同期検出部21rは、受信部10から非同期入力信号INを受信すると共に、遅延装置1Aの内部または外部の発振器(図示せず)からクロック信号CLKrを受信してよく、上記実施形態における同期遅延部2と同様にして、非同期入力信号INの立上りをクロック信号CLKrに同期したタイミングで検出してよい。同期検出部21rは、非同期入力信号INの変化を検出した検出タイミングt2rで信号レベルが切り替わる信号S(t2)rを非同期遅延部3Aに供給してよい。また、同期検出部21rは、検出タイミングt2rからクロック信号CLKrの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTと、発振器から供給されるクロック信号CLKrとをカウンタ22Aに供給してよい。
【0074】
<2.1.1-2.同期検出部21f>
同期検出部21fは、第2の同期検出部の一例であってよく、非同期入力信号INの立下りをクロック信号CLKfに同期したタイミングで検出する。同期検出部21fは、受信部10から非同期入力信号INを受信すると共に、遅延装置1Aの内部または外部の発振器(図示せず)からクロック信号CLKfを受信してよく、上記実施形態における同期遅延部2と同様にして、非同期入力信号INの立下りをクロック信号CLKfに同期したタイミングで検出してよい。同期検出部21fは、非同期入力信号INの変化を検出した検出タイミングt2fで信号レベルが切り替わる信号S(t2)fを非同期遅延部3Aに供給してよい。また、同期検出部21fは、検出タイミングt2fからクロック信号CLKfの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTと、発振器から供給されるクロック信号CLKfとをカウンタ22Aに供給してよい。
【0075】
<2.1.1-3.カウンタ22A>
カウンタ22Aは、クロック信号CLKr、CLKfの変化回数をカウントする。カウンタ22Aは、同期検出部21rにより非同期入力信号INの立上りが検出された検出タイミングt2rからクロック信号CLKrの変化回数を検出し、同期検出部21fにより非同期入力信号INの立下りが検出された検出タイミングt2fから、クロック信号CLKfの変化回数を検出してよい。カウンタ22Aは、同期遅延部2rからリセット信号GRSTを受信してリセットされたことに応じてクロック信号CLKrの変化回数をカウントし、同期遅延部2fからリセット信号GRSTを受信してリセットされたことに応じてクロック信号CLKfの変化回数をカウントしてよい。カウンタ22Aは、クロック信号CLKr、CLKfの立上りおよび立下りの少なくとも一方の回数をカウントしてよく、本実施形態では一例として、立下りの回数をカウントしてよい。
【0076】
カウンタ22Aは4ビットカウンタであってよい。カウンタ22Aは、カウント値CNTと、クロック信号CLKrおよびクロック信号CLKfのうち、カウントに用いたクロック信号CLK(クロック信号GCLKとも称する)を充電時間設定部23Aおよび放電時間設定部24Aに供給してよい。
【0077】
<2.1.1-4.充電時間設定部23A>
充電時間設定部23Aは、上記実施形態における充電時間設定部23と同様にして、非同期遅延部3Aにおける第2コンデンサ321の充電時間を設定する。充電時間設定部23Aは、カウンタ22Aによるカウントが開始されたタイミングから、クロック信号GCLKに応じた設定時間Tsetに亘る期間を充電時間として設定してよい。充電時間設定部23Aは、充電時間に亘って継続する充電指示信号RCCを非同期遅延部3Aにおける第2コンデンサ制御部323Aに供給してよい。
【0078】
なお、クロック信号GCLKがクロック信号CLKrである場合には、クロック信号CLKrに同期したタイミングで設定時間Tset(設定時間Tsetrとも称する)が規定され、クロック信号GCLKがクロック信号CLKfである場合には、クロック信号CLKfに同期したタイミングで設定時間Tset(設定時間Tsetfとも称する)が規定されてよい。設定時間Tsetrと、設定時間Tsetfとは異なる長さを有してよい。
【0079】
<2.1.1-5.放電時間設定部24A>
放電時間設定部24Aは、上記実施形態における放電時間設定部24Aと同様にして、非同期遅延部3Aにおける第2コンデンサ321の放電時間を設定する。
【0080】
放電時間設定部24Aは、カウンタ22Aによるカウント値CNTに基づいて、検出タイミングt2r,t2fから基準遅延時間TSが経過したタイミングを同期遅延タイミングt5r,t5fとして検出してよい。なお、クロック信号GSLKがクロック信号CLKrである場合には、クロック信号CLKrに同期したタイミングで基準遅延時間TS(基準遅延時間TSrとも称する)が規定され、クロック信号GSLKがクロック信号CLKfである場合には、クロック信号CLKfに同期したタイミングで基準遅延時間TS(基準遅延時間TSfとも称する)が規定されてよい。従って、放電時間設定部24Aは、非同期入力信号INが立上ったことに応じて、その検出タイミングt2rから基準遅延時間TSr後の同期遅延タイミングt5rを検出してよい。放電時間設定部24Aは、非同期入力信号INが立下ったことに応じて、その検出タイミングt2fから基準遅延時間TSf後の同期遅延タイミングt5fを検出してよい。基準遅延時間TSrと、基準遅延時間TSfとは異なる長さを有してよい。
【0081】
放電時間設定部24Aは、検出タイミングt2rからのカウント値CNTが基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5rを検出し、検出タイミングt2fからのカウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5fを検出してよい。カウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5r,t5fを検出するとは、当該タイミングを同期遅延タイミングt5r,t5fとして検出することであってもよいし、同期遅延タイミングt5r,t5fよりもクロック信号GCLKの半周期分だけ後のタイミングを同期遅延タイミングt5r,t5fとして検出することであってもよい。本変形例においては一例として、放電時間設定部24Aは、検出タイミング2tr,2tfからのカウント値が10進数の14、別言すれば16進数のEに達したタイミングよりもクロック信号GCLKの半周期分だけ後のタイミングを同期遅延タイミング5tr,5tfとして検出してよい。
【0082】
放電時間設定部24Aは、検出した同期遅延タイミングt5r,t5fからクロック信号GCLKに応じた設定時間Tsetr,Tsetfに亘る期間を放電時間として設定してよい。放電時間設定部24Aは、放電時間に亘って継続する放電指示信号RCDを非同期遅延部3Aにおける第2コンデンサ制御部323に供給してよい。
【0083】
<2.1.2.非同期遅延部3A>
非同期遅延部3Aは、充放電時間設定部313Aと、第2コンデンサ制御部323Aと、電流切替部328Aとを有してよい。
【0084】
<2.1.2-1.充放電時間設定部313A>
充放電時間設定部313Aは、第1コンデンサ311の充電時間を設定する。充放電時間設定部313Aは、受信部10から非同期入力信号INを受信するとともに、同期検出部21r,21fから信号S(t2)r,S(t2)fを受信してよく、非同期入力信号INの変化タイミングt1rから検出タイミングt2rまでの検出遅延時間Tlagrと、非同期入力信号INの変化タイミングt1fから検出タイミングt2fまでの検出遅延時間Tlagfとのそれぞれに亘る期間を充電時間として設定してよい。充放電時間設定部313Aは、上記実施形態における充放電時間設定部313と同様にして、充電時間に亘って継続する充電指示信号INPLSを第1コンデンサ制御部314に供給してよい。また、充放電時間設定部313Aは、充電指示信号INPLSの供給前に第1コンデンサ311をリセットさせるリセット指示信号RSTを第1コンデンサ制御部314に供給してよい。
【0085】
<2.1.2-2.第2コンデンサ制御部323A>
第2コンデンサ制御部323Aは、上記実施形態における第2コンデンサ制御部323と同様にして、第2コンデンサ321の充放電を制御する。第2コンデンサ制御部323Aは、非同期入力信号INが立上ったことに応じ、設定時間Tsetrに亘って第2コンデンサ321を充電した後、同期遅延タイミングt5rから少なくとも設定時間Tsetrに亘って第2コンデンサ321を放電してよい。第2コンデンサ制御部323Aは、非同期入力信号INが立下ったことに応じ、設定時間Tsetfに亘って第2コンデンサ321を充電した後、同期遅延タイミングt5fから少なくとも設定時間Tsetfに亘って第2コンデンサ321を放電してよい。第2コンデンサ制御部323Aは、充電時間設定部23Aから供給される充電指示信号RCCに応じて第2コンデンサ321を充電させてよい。第2コンデンサ制御部323Aは、放電時間設定部24Aから供給される放電指示信号RCDに応じて第2コンデンサ321を放電させてよい。
【0086】
<2.1.2-3.電流切替部328A>
電流切替部328Aは、設定時間Tsetrおよび設定時間Tsetfのうち、より長い設定時間Tsetにおいて第2コンデンサ制御部323Aにより流される定電流I2の電流値を、より短い設定時間Tsetにおいて第2コンデンサ制御部323Aにより流される定電流I2の電流値に対して小さくする。本変形例では一例として、クロック信号CLKrの周期はクロック信号CLKfの周期よりも長いため、設定時間Tsetrおよび設定時間Tsetfが同じ周期分の長さであっても設定時間Tsetrの方が設定時間Tsetfよりも長くなる。そのため、電流切替部328Aは、設定時間Tsetrにおける定電流I2の電流値を、設定時間Tsetfにおける定電流I2の電流値よりも小さくしてよい。
【0087】
電流切替部328Aは、設定時間Tsetrに亘る充電によって第2コンデンサ321が満充電とならない程度に定電流I2の電流値を小さくしてよい。電流切替部328Aは、非同期入力信号INの立上りの場合と立下りの場合とのそれぞれで定電流I1,I2および静電容量C1,C2の関係がI2=I1×C2/C1を満たすように、非同期入力信号INが立上ったことに応じて第1コンデンサ311を充電する定電流I1の電流値も小さくしてよい。
【0088】
電流切替部328Aは、非同期入力信号INを受信してよく、非同期入力信号INが立上ったことに応じて定電流I1,I2の電流値を小さくし、非同期入力信号INが立ち下ったことに応じて定電流I1,I2の電流値を元に戻してよい。電流切替部328Aは、従来より公知の種々の方法により電流値を大小に切り替えてよい。例えば、電流源312,322は、カレントミラー回路を用いて第1コンデンサ311,第2コンデンサ321との間で定電流I1,I2を流してよく、電流切替部328Aは非同期入力信号INの信号レベルに応じて当該カレントミラー回路のカレントミラー比を切り替えることで定電流I1,I2の電流値を切り替えてよい。
【0089】
一例として、電流源312,322のそれぞれは、並列に接続された2つのトランジスタをミラー元に有してよい。電流切替部328Aは、電流源312,322のそれぞれについて、非同期入力信号INが立ち上がったことに応じて参照電流をこれらの2つのトランジスタに分流させ、非同期入力信号INが立ち下がったことに応じて参照電流を1つのトランジスタのみに流すことによってカレントミラー比を切り替えてよい。これに代えて、電流切替部328Aは、電流源312,322のそれぞれに供給する参照電流の大きさを、非同期入力信号INの信号レベルに応じて変更してもよい。
【0090】
以上の遅延装置1Aによれば、非同期入力信号INが立上ったことに応じて、その検出タイミングt2rから基準遅延時間TSr後の同期遅延タイミングt5rが検出され、非同期入力信号INが立下ったことに応じて、その検出タイミングt2fから基準遅延時間TSf後の同期遅延タイミングt5fが検出される。従って、基準遅延時間TSrと基準遅延時間TSfとを異なる時間とすることにより、非同期入力信号INの立上りから遅延信号OUTの立上りまでの遅延時間Tdrと、非同期入力信号INの立下りから遅延信号OUTの立下りまでの遅延時間Tdfとを異なる時間にすることができる。
【0091】
また、非同期入力信号INの立上りをクロック信号CLKrに同期して検出した検出タイミングt2rからクロック信号CLKrの変化回数が検出されて、カウント値CNTが基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5rが検出される。また、非同期入力信号INの立下りをクロック信号CLKfに同期して検出した検出タイミングt2fからクロック信号CLKfの変化回数が検出されて、カウント値CNTが基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5fが検出される。従って、2つのクロック信号CLKr,CLKfと共通の基準カウンタ値とを用いることにより、検出タイミングT2rから同期遅延タイミングt5rまでの基準遅延時間TSrと、検出タイミングT2fから同期遅延タイミングt5fまでの基準遅延時間TSfとを相違させることができる。これにより、非同期入力信号INの立上りから遅延信号OUTの立上りまでの遅延時間Tdrと、非同期入力信号INの立下りから遅延信号OUTの立下りまでの遅延時間Tdfとを相違させることができる。
【0092】
また、非同期入力信号INが立上ったことに応じた設定時間Tsetrと、非同期入力信号INが立下ったことに応じた設定時間Tsetfとのうち、より長い設定時間Tsetにおいて第2コンデンサ制御部323Aにより流される定電流I2の電流値が、より短い設定時間Tsetにおいて第2コンデンサ制御部323Aにより流される定電流I2の電流値に対して小さくされる。従って、設定時間Tsetが長いことにより当該設定時間Tsetに充電される充電量が第2コンデンサ321の容量を超えてしまい、非同期遅延タイミングt6の検出精度が低下してしまうのを防止することができる。
【0093】
<2.2.動作波形>
図5は遅延装置1Aの動作波形をカウンタ値CNTとともに示す。なお、本動作例においては、設定時間Tset
rの方が設定時間Tset
fよりも長いこととして説明する。
【0094】
時点t1rにおいて非同期入力信号INがクロック信号CLKと非同期のタイミングで立上ると、充放電時間設定部313Aがリセット信号RST(図示せず)を第1コンデンサ制御部314に出力して第1コンデンサ311をリセットした後、充電指示信号INPLSをハイレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電を開始させる。ここで、本動作例においては設定時間Tsetrの方が設定時間Tsetfよりも長いため、非同期入力信号INが立上ったことに応じて第1コンデンサ311を充電する定電流I1の電流値は電流切替部328Aによって小さくされている。なお、図中では、定電流I1の電流値を小さくした場合の第1コンデンサ311の充電電圧VCAPを太い実線で示し、定電流I1の電流値を小さくしない場合の第1コンデンサ311の充電電圧VCAPを一点鎖線で示す。
【0095】
時点t2rにおいて同期検出部21rが非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKの立上りタイミングで検出する。これにより、同期検出部21rからの信号S(t2)r(図示せず)の信号レベルが切り替わり、充放電時間設定部313Aが充電指示信号INPLSをローレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電が終了する。その結果、変化タイミングt1rから検出タイミングt2rまでの検出遅延時間Tlagrに亘って第1コンデンサ311が充電されて充電電圧VCAPが遅延時間対応値V(Tlag)rとなる。
【0096】
また、同期検出部21rは、検出タイミングt2rからクロック信号CLKrの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTを出力してカウンタ22のカウント値をリセットさせる。これにより、カウンタ22はクロック信号CLKrをクロック信号GCLKとして選択する。
【0097】
時点t3rにおいてリセット信号GRSTが終了すると、カウンタ22がクロック信号GCLK(ここではクロック信号CLKr)を用いてカウントアップを開始する。これにより、充電時間設定部23Aが時点t3rから時点t4rまでの設定時間Tsetrに亘って継続する充電指示信号RCCを出力し、第2コンデンサ321を充電させる。ここで、本動作例においては設定時間Tsetrの方が設定時間Tsetfよりも長いため、電流切替部328Aによって設定時間Tsetrにおける定電流I2の電流値が設定時間Tsetfにおける定電流I2の電流値よりも小さくされている。後述の時点t5rから時点t7rまでの設定時間Tsetrにおいても同様である。
【0098】
なお、図中では、定電流I2の電流値を小さくした場合の第2コンデンサ321の充電電圧RCAPを太い実線で示し、定電流I2の電流値を小さくしない場合の第2コンデンサ321の充電電圧RCAPを一点鎖線で示す。これらの線で示されるように、本動作例では、設定時間Tsetrにおいて定電流I2の電流値が小さくされる結果、当該設定時間Tsetrに充電される充電量が第2コンデンサ321の容量を超えてしまうのが防止される。
【0099】
時点t5rにおいて検出タイミングt2rからの経過時間が基準遅延時間TSrに達すると、放電時間設定部24Aは少なくとも時点t5rから時点t7rまでの設定時間Tsetrに亘って継続する放電指示信号RCDを出力する。これにより、第2コンデンサ321の充電残量Vrefが時点t5rから時点t7rまで一定の速度で低下する。
【0100】
時点t6rにおいて充電残量Vrefが遅延時間対応値V(Tlag)rまで低下すると、遅延信号OUTが立上る。これにより、非同期入力信号INが立上ってから、所望の遅延時間Tdr(=TSr+Tsetr)だけ遅延したタイミングで遅延信号OUTが立上る。
【0101】
時点t1fにおいて非同期入力信号INがクロック信号CLKと非同期のタイミングで立下ると、充放電時間設定部313Aがリセット信号RST(図示せず)を第2コンデンサ制御部323Aに出力して第1コンデンサ311をリセットした後、充電指示信号INPLSをハイレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電を開始させる。ここで、本動作例においては設定時間Tsetrの方が設定時間Tsetfよりも長いため、第1コンデンサ311を充電する定電流I1の電流値は電流切替部328Aによって元の大きさに戻されている。
【0102】
時点t2fにおいて同期検出部21fが非同期入力信号INの変化をクロック信号CLKfの立上りタイミングで検出する。これにより、同期検出部21fからの信号S(t2)f(図示せず)の信号レベルが切り替わり、充放電時間設定部313Aが充電指示信号INPLSをローレベルに切り替えて第1コンデンサ311の充電が終了する。その結果、変化タイミングt1fから検出タイミングt2fまでの検出遅延時間Tlagfに亘って第1コンデンサ311が充電されて充電電圧VCAPが遅延時間対応値V(Tlag)fとなる。
【0103】
また、同期検出部21fは、検出タイミングt2fからクロック信号CLKfの半周期分のパルス幅を有するリセット信号GRSTを出力してカウンタ22のカウント値をリセットさせる。これにより、カウンタ22はクロック信号CLKfをクロック信号GCLKとして選択する。
【0104】
時点t3fにおいてリセット信号GRSTが終了すると、カウンタ22がクロック信号GCLK(ここではクロック信号CLKf)を用いてカウントアップを開始する。これにより、充電時間設定部23が時点t3fから時点t4fまでの設定時間Tsetfに亘って継続する充電指示信号RCCを出力し、第2コンデンサ321を充電させる。ここで、本動作例においては設定時間Tsetrの方が設定時間Tsetfよりも長いため、電流切替部328Aによって設定時間Tsetfにおける定電流I2の電流値は元の大きさに戻されている。後述の時点t5fから時点t7fまでの設定時間Tsetfにおいても同様である。
【0105】
時点t5fにおいて検出タイミングt2fからの経過時間が基準遅延時間TSに達すると、放電時間設定部24は少なくとも時点t5fから時点t7fまでの設定時間Tsetfに亘って継続する放電指示信号RCDを出力する。これにより、第2コンデンサ321の充電残量Vrefが時点t5fから時点t7fまで一定の速度で低下する。
【0106】
時点t6fにおいて充電残量Vrefが遅延時間対応値V(Tlag)fまで低下すると、遅延信号OUTが立ち下る。これにより、非同期入力信号INが立下ってから、所望の遅延時間Tdf(=TSf+Tsetf)だけ遅延したタイミングで遅延信号OUTが立下る。
【0107】
<3.その他の変形例>
なお、上記の実施形態および変形例においては、第1コンデンサ311および第2コンデンサ321を1組のみ備えることとして説明したが、2組備えることとしてもよい。この場合には、非同期入力信号INの立上りを遅延させる場合と、非同期入力信号INの立下りを遅延させる場合とで別々の組の第1コンデンサ311および第2コンデンサ321が用いられてよい。
【0108】
また、非同期入力信号INのパルス長が遅延時間Tdよりも長いこととして説明したが、遅延時間Tdより短くてもよい。この場合には、非同期入力信号INの立上りを遅延させる場合と、非同期入力信号INの立下りを遅延させる場合とで別々の組の第1コンデンサ311および第2コンデンサ321が備えられてよい。これに代えて、非同期入力信号INのパルス長が遅延時間Tdよりも短い場合、つまり非同期入力信号INの立上りの変化タイミングt1rから立下りの変化タイミングt1fまでの時間が遅延時間Tdよりも短い場合には、これらの立上りおよび立下りの変化による動作が無効とされてよい。この場合には、遅延時間Tdよりも短いパルス長のノイズが遅延信号OUTとして出力されるのが防止される。
【0109】
また、上記の実施形態ではクロック信号CLKが発振器から同期検出部21を介して同期遅延部2の各部に供給されることして説明したが、発振器から直接的に同期遅延部2の各部に供給されることとしてもよい。
【0110】
また、上記の変形例においては、放電時間設定部24Aはクロック信号CLKrの変化回数のカウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5rを検出し、クロック信号CLKfの変化回数のカウント値が基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5fを検出することとして説明したが、他の手法により同期遅延タイミングt5r,t5fを検出してもよい。例えば、放電時間設定部24Aは、非同期入力信号INの立上りを検出した検出タイミングt2rからのカウンタ22によるカウント値が第1の基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5rを検出し、非同期入力信号INの立下りを検出した検出タイミングt2fからのカウンタ22によるカウント値が第2の基準カウント値に達したタイミングに基づいて同期遅延タイミングt5fを検出してもよい。カウンタ22に入力されるクロック信号CLKは共通であってよい。この場合にも、第1の基準カウント値と、第2の基準カウント値とを異なる値に設定することにより、検出タイミングT2rから同期遅延タイミングt5rまでの基準遅延時間TSrと、検出タイミングT2fから同期遅延タイミングt5fまでの基準遅延時間TSfとを相違させることができる。従って、非同期入力信号INの立上りから遅延信号OUTの立上りまでの遅延時間Tdrと、非同期入力信号INの立下りから遅延信号OUTの立下りまでの遅延時間Tdfとを相違させることができる。
【0111】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0112】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0113】
1 遅延装置
2 同期遅延部
3 非同期遅延部
10 受信部
21 同期検出部
22 カウンタ
23 充電時間設定部
24 放電時間設定部(基準遅延時間経過検出部)
31 遅延時間取得部
32 調整時間経過検出部
311 第1コンデンサ
312 電流源
313 充放電時間設定部
314 第1コンデンサ制御部
315 対応値検出部
321 第2コンデンサ
322 電流源
323 第2コンデンサ制御部
324 対応値検出部
325 タイミング検出部
326 出力部
328 電流切替部