(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069949
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】リッド開閉装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180259
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和輝
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】リッド閉位置で基材とリッドとの氷結による固着を防止すること。
【解決手段】リッド開閉装置は、開口部が設けられた基材と、開口部を閉じる閉位置と開口部を開放する開位置との間で開閉動作するリッドと、リッドの閉位置で基材に対するリッドの少なくとも上下位置を位置決めする位置決め部と、を備える。位置決め部は、基材及びリッドのうちの一方に凹状に設けられた係合凹部と、基材及びリッドのうちの他方に凸状に設けられ、リッドの閉位置で係合凹部に少なくとも上下方向に係合する係合凸部と、を有する。係合凹部及び係合凸部のうちの一方は、リッドの閉位置で上下方向に延びるリブを有する。リブは、先端にてリッドの閉位置で係合凹部及び係合凸部のうちの他方に係合する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた基材と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で開閉動作するリッドと、
前記リッドの前記閉位置で前記基材に対する前記リッドの少なくとも上下位置を位置決めする位置決め部と、
を備え、
前記位置決め部は、
前記基材及び前記リッドのうちの一方に凹状に設けられた係合凹部と、
前記基材及び前記リッドのうちの他方に凸状に設けられ、前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部に少なくとも上下方向に係合する係合凸部と、
を有し、
前記係合凹部及び前記係合凸部のうちの一方は、前記リッドの前記閉位置で上下方向に延びるリブを有し、
前記リブは、先端にて前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部及び前記係合凸部のうちの他方に係合する、リッド開閉装置。
【請求項2】
前記係合凹部は、前記リッドの前記閉位置で水平に対して傾斜する下壁面を有する、請求項1に記載されたリッド開閉装置。
【請求項3】
前記下壁面は、前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部の奥側から手前側にかけて下方に傾斜し、
前記リブは、前記リッドの前記閉位置で上下方向に延びつつ前記係合凹部の奥側から手前側に向けて延びるように板状に形成されている、請求項2に記載されたリッド開閉装置。
【請求項4】
前記下壁面は、前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部の左右方向に傾斜し、
前記リブは、前記リッドの前記閉位置で上下方向に延びつつ前記係合凹部の左右方向に延びるように板状に形成されている、請求項2に記載されたリッド開閉装置。
【請求項5】
前記リブは、前記係合凹部に設けられ、前記リッドの前記閉位置で前記下壁面から上方に延びている、請求項3又は4に記載されたリッド開閉装置。
【請求項6】
前記リブは、前記係合凸部に設けられ、前記リッドの前記閉位置で前記係合凸部の下面から下方に延びている、請求項3又は4に記載されたリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車体に取り付けられる基材の開口部を開閉するリッドを開閉動作させることが可能なリッド開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、基材の開口部を開閉するリッドを備えるリッド開閉装置が知られている(例えば、特許文献1)。基材は、例えば車体に取り付けられ車両の充電口や給油口などを露出させるベース部材である。また、リッドは、基材の開口部を閉じる閉位置とその開口部を開方向する開位置との間で開閉動作する蓋材である。上記の特許文献1記載のリッド開閉装置において、基材には係合凹部が設けられ、リッドには係合凸部が設けられている。基材の係合凹部とリッドの係合凸部とは、リッドの閉位置で互いに係合して基材に対するリッドの位置決めを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の如くリッド閉位置で係合凹部と係合凸部とが互いに係合する構造において、係合時に係合凹部と係合凸部とが面同士を突き合わせて上下方向に対向するものとすると、係合状態で係合凹部と係合凸部とが接する面積或いは面同士が近接する箇所の面積が大きくなる。このため、特に冬季において、係合凹部と係合凸部との間に溜まる水量があまり多く無くても、係合状態で係合凹部と係合凸部との間に溜まる水の凍結する領域が広範囲に亘ることになり、リッド閉位置で基材とリッドとが氷結により固着し易くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、リッド閉位置で基材とリッドとの氷結による固着を防止することが可能なリッド開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、開口部が設けられた基材と、前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で開閉動作するリッドと、前記リッドの前記閉位置で前記基材に対する前記リッドの少なくとも上下位置を位置決めする位置決め部と、を備え、前記位置決め部は、前記基材及び前記リッドのうちの一方に凹状に設けられた係合凹部と、前記基材及び前記リッドのうちの他方に凸状に設けられ、前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部に少なくとも上下方向に係合する係合凸部と、を有し、前記係合凹部及び前記係合凸部のうちの一方は、前記リッドの前記閉位置で上下方向に延びるリブを有し、前記リブは、先端にて前記リッドの前記閉位置で前記係合凹部及び前記係合凸部のうちの他方に係合する、リッド開閉装置である。
【0007】
この構成によれば、リッド閉位置で基材とリッドとの氷結による固着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両に搭載されたリッド開閉装置のリッド閉位置での正面側からの斜視図である。
【
図2】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での正面図である。
【
図3】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での斜視図である。
【
図4】一実施形態のリッド開閉装置が備える基材の正面側からの斜視図である。
【
図5】一実施形態のリッド開閉装置が備えるリッドの正面側からの斜視図である。
【
図6】一実施形態のリッド開閉装置が備える基材の正面図である。
【
図7】一実施形態のリッド開閉装置のリッド閉位置での基材とリッドとの位置関係を表した断面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係るリッド開閉装置のリッド閉位置での基材とリッドとの位置関係を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1-
図8を用いて、本発明に係るリッド開閉装置の具体的な実施形態について説明する。
【0010】
一実施形態に係るリッド開閉装置1は、基材に対してリッドを開閉動作させる装置である。
【0011】
リッド開閉装置1は、例えば、ガソリン車やディーゼル車,電気自動車,ハイブリッド自動車などの車両に搭載されており、車体側部や車体前部などの車体面2に設けられた取付孔2aに設置される。取付孔2aの奥側には、例えば車両へのエネルギ供給のための供給口(具体的には充電口や給油口など;
図2参照)3が配置される。尚、本実施例においては、適宜、リッド開閉装置1を車両外側から見た場合を基準にして方向を示し、車両外側(手前側)と車両内側(奥側)を結ぶ方向を表裏方向Xとし、車体面2に沿った横方向を左右方向Yとし、車体面2に沿った縦方向を上下方向Zとする。
【0012】
リッド開閉装置1は、
図1及び
図2に示す如く、基材10と、リッド20と、開閉機構30と、を備えている。リッド開閉装置1は、開閉機構30の駆動により動力をリッド20に伝達することにより、リッド20を基材10に対して開閉動作させる。
【0013】
基材10は、供給口3を収容する容器状或いは箱状のボックス部材である。基材10は、取付孔2aに嵌るように車体面2に取り付け固定されている。基材10は、底壁部11と、側壁部12と、収容空間13と、開口部14と、を有している。基材10は、奥側にて底壁部11が形成され、側壁部12が底壁部11の周縁を取り囲んで収容空間13を区画形成するように構成され、かつ手前側にて開口部14が形成された筒状の有底部材である。基材10は、樹脂などにより成形された射出成形体である。
【0014】
供給口3は、燃料タンクやバッテリなどに一端が接続する配管やケーブルの他端に設けられている。燃料タンクやバッテリは、底壁部11に設けられた貫通孔11aよりも奥側に配置されている。供給口3は、貫通孔11aよりも手前側に配置され、収容空間13に収容されている。供給口3は、リッド20の閉位置でそのリッド20の奥側に隠れる一方、リッド20の開位置で燃料供給や充電が可能となるように開口部14を介して車外に露出する。
【0015】
基材10は、枠部15を有している。枠部15は、開口部14の周縁部に沿って環状に形成されており、開口部14の周縁部から枠外方向に向けて延出するようにフランジ状に形成されている。基材10は、枠部15の裏面が車体面2の取付孔2a周縁のフランジ面などに当接することにより車体面2に位置決めされる。
【0016】
リッド20は、基材10の開口部14を開閉する蓋部材である。リッド20は、板状に形成されている。リッド20は、開口部14やその開口部14の周縁における枠部15に合わせた大きさを有している。リッド20は、リッド20の閉位置で車体面2に面一になるように開口部14を閉じる。尚、リッド20の表面は、車体面2に合わせて湾曲していてもよい。リッド20は、例えば樹脂により成形された射出成形体である。
【0017】
リッド20は、閉位置と開位置との間で移動する開閉動作を行うことが可能である。尚、閉位置とは、リッド20が開口部14を閉じる位置のことである。また、開位置とは、リッド20が開口部14を開放する所定位置のことである。リッド20は、基材10に対して位置移動可能に支持されている。リッド20は、開閉機構30からの動力により開閉動作することが可能である。
【0018】
開閉機構30は、リッド20を基材10に対して閉位置と開位置との間で開閉動作させる機構である。開閉機構30は、基材10とリッド20との間に介在している。開閉機構30は、基材10とリッド20とを繋ぐアームやリンクなどを含んで構成されている。
【0019】
尚、開閉機構30は、例えば、モータなどのアクチュエータの発生する動力を用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよいし、或いは、操作者の手動操作に伴う外力を動力として用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよいし、更には、それらのアクチュエータによる動力と外力とを選択的に用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよい。
【0020】
また、開閉機構30は、リッド20を開動作させる動力源とリッド20を閉動作させる動力源とを、互いに異なる種類とする機構であってもよい。例えば、リッド20を開動作させる動力源がアクチュエータであり、リッド20を閉動作させる動力源が操作者の手動操作であってもよい。また、開閉機構30は、通常時はアクチュエータを用いてリッド20開動作させるが、アクチュエータの故障などの緊急時に操作者の手動操作でリッド20を開動作させる機構であってもよい。
【0021】
更に、開閉機構30は、リッド20の開閉動作時にリッド20を開口部14に対して平行な状態に保ったまま移動させるスライド型の機構であってもよいし、或いは、リッド20の開閉動作時にリッド20を開口部14に対して略平行に延びる軸を中心にして回動させるグースネック型の機構であってもよい。また、開閉機構30が基材10に対してリッド20を開閉動作させる方向は、上下方向Zでもよいし或いは左右方向Yであってもよい。尚、
図2、
図3、及び
図5においては、スライド型かつ左右方向Yへの開閉動作型の開閉機構30が示されている。
【0022】
また、開閉機構30によりリッド20が閉位置近傍で基材10に対して移動する方向は、上記のスライド型の機構の場合を含めて表裏方向Xであることがリッド20の閉位置で収容空間13の密閉性を確保するうえで好ましい。
【0023】
リッド開閉装置1は、位置決め部40を備えている。位置決め部40は、リッド20の閉位置で基材10に対するリッド20の少なくとも上下位置を位置決めする部位である。位置決め部40は、基材10及びリッド20に設けられている。位置決め部40は、基材10及びリッド20においてリッド20の閉位置で収容空間13に収まる位置に配置されている。
【0024】
位置決め部40は、係合凹部41と、係合凸部42と、を有している。係合凹部41と係合凸部42とは、リッド20の閉位置で互いに少なくとも上下方向Zに係合する。係合凹部41は、基材10に凹状に設けられている。係合凸部42は、リッド20に凸状に設けられている。係合凹部41と係合凸部42とは、基材10及びリッド20において一組以上設けられている。
【0025】
以下、本実施形態では、係合凹部41と係合凸部42とは、一組設けられているものとする。尚、この係合凹部41と係合凸部42との一組は、開閉機構30が配置される側(
図2や
図3では左側)から遠い側(
図2や
図3では供給口3を挟んだ右側)に配置されることが基材10に対するリッド20の位置決めを有効なものとするうえで好ましい。また、この一組は、
図2に示す如く、供給口3に対して上側に配置されることが、リッド20の開位置で車外の人が基材10の収容空間13内の供給口3を見下した際に基材10の上壁としての側壁部12が庇となって係合凹部41が視認し難くなるようにするうえで好ましい。
【0026】
係合凹部41は、基材10の底壁部11に孔や溝が少なくとも手前側に開口するように設けられている。係合凹部41は、凹溝部41aと、周縁壁部41bと、を有している。凹溝部41aは、底壁部11の表面から裏側に向けて凹んだ孔又は溝である。周縁壁部41bは、凹溝部41aを区画形成するために凹溝部41aの周縁に設けられた壁部位である。周縁壁部41bは、上壁面41buと、下壁面41bdと、側壁面41bsと、を有している。
【0027】
尚、周縁壁部41bは、凹溝部41aの四方全てを取り囲んでいる必要はなく、凹溝部41aに対して少なくとも上側と下側とに設けられていればよく、
図2及び
図4に示す如く、側壁面41bsが右側にのみ設けられるものとし、左側には側壁面41bsが設けられなくてもよい。
【0028】
上壁面41bu及び下壁面41bdは、互いに上下方向Zに相対する面をなしている。上壁面41bu及び下壁面41bdはそれぞれ、平面状に形成されている。上壁面41buは、水平(具体的には、略水平を含む。)に広がっている。下壁面41bdは、水平に対して傾斜している。具体的には、下壁面41bdは、
図4に示す如く、係合凹部41の奥側から手前側にかけて下方に傾斜している。下壁面41bdの傾斜角度は、下壁面41bdに付着した水滴がその下壁面41bdを上側から下側に流れて下壁面41bdの下端にある開口から落下する角度であればよく、例えば5°~30°に設定されている。
【0029】
側壁面41bsは、平面状に形成されている。側壁面41bsは、左右方向Y(具体的には、側壁面41bsが右側壁面であるときは、左右方向Yのうち左方)に向いており、上下方向Zと表裏方向Xとを含む面に沿って広がっており、上壁面41buと下壁面41bdとを繋いでいる。側壁面41bsは、右側のみに設けられている。係合凹部41の凹溝部41aは、手前側にて開口して収容空間13に一体化されていると共に、左側にて開口して供給口3側の収容空間13に一体化されている。
【0030】
係合凹部41は、リブ43を有している。リブ43は、リッド20の閉位置で係合凸部42に係合する部位である。リブ43は、リッド20の閉位置で上下方向Zに延びている。リブ43は、先端(具体的には、上端)にて係合凸部42に係合し得る。尚、リブ43は、水平方向に直交する鉛直な上下方向Zの成分を含んだ状態で形成されていればよく、上下方向Zに対して僅かに傾斜していてもよい。上下方向Zに対するリブ43の傾斜角度は、例えば、5°~30°であってよい。
【0031】
リブ43は、リッド20の閉位置で上下方向Zに延びつつ係合凹部41の奥側から手前側に向けてすなわち表裏方向Xに延びるように板状に形成されている。リブ43は、先端での係合凸部42との係合時に係合凸部42に線接触する。リブ43は、リッド20の閉位置で下壁面41bdから上方に突出して延びている。リブ43は、下壁面41bdに一体形成されている。リブ43の先端は、下壁面41bd(具体的には、その奥側の上端)よりも上方に位置している。尚、リブ43は、下壁面41bdからの高さが少なくとも1mmであるように形成されていればよく、例えば手前側の高さが6mm~8mmの範囲内でありかつ奥側の高さが1mm~2mmの範囲内であるように形成されている。
【0032】
また、リブ43は、唯一つ設けられるだけでもよいが、複数個設けられていることが係合凹部41と係合凸部42との係合を安定的に行ううえで好ましい。以下、本実施形態では、係合凹部41が3つのリブ43を有しているものとする。尚、
図2、
図4、
図6、及び
図7においては、リブ43が3つ設けられている係合凹部41が示されている。また、複数個のリブ43は、リブ43同士の左右方向Yの間隔が少なくとも2mmであるように配置構成されていればよく、例えばその間隔は4mm~5mmの範囲内である。
【0033】
係合凸部42は、リッド20の裏面からリッド20の閉位置で奥側に突出している。係合凸部42は、係合凹部41の凹溝部41aに対応した大きさに形成されている。係合凸部42は、表裏方向Xに沿って柱状又は筒状に延びている。係合凸部42は、断面四角状に形成されている。係合凸部42は、リッド20の閉位置で係合凹部41の凹溝部41aに嵌り、係合凸部42の外面(特に下面)が係合凹部41のリブ43の先端に係合する。
【0034】
尚、リッド20の裏面から係合凸部42の延びる方向は、リッド20の開閉動作時における閉位置近傍での基材10に対するリッド20の移動方向に合わせたものであればよく、表裏方向Xの成分を含んでいればよい。また、この係合凸部42の延びる方向は、その基材10に対するリッド20の移動方向に対して傾斜していてもよい。また、その移動方向に対する係合凸部42の傾斜角度は、例えば、5°~30°であってよい。
【0035】
また、位置決め部40は、基材10の係合凹部41のリブ43の先端とリッド20の係合凸部42の外面とが互いに係合する際に、その係合凸部42の外面がその係合凹部41の周縁壁部41b(特に、上壁面41buや下壁面41bd,側壁面41bs)に対して非接触になるように構成することが、基材10とリッド20との氷結による固着を防止するうえで好ましい。更に、この係合時、リッド20の係合凸部42の先端が基材10の係合凹部41の奥側の壁に対して非接触になることが、基材10とリッド20との氷結による固着を防止するうえで好ましい。
【0036】
次に、リッド開閉装置1の動作について説明する。
リッド開閉装置1において、リッド20が閉位置にあるときは、リッド20の係合凸部42が基材10の係合凹部41の凹溝部41aに嵌ってその係合凹部41のリブ43に係合するので、リッド20は、基材10に対して少なくとも上下方向Zに位置決めされている。
【0037】
上記の如くリッド20が閉位置にあるときに操作者により所定の開操作が行われると、開閉機構30がリッド20を開動作させる動力を発生する。かかる動力が発生すると、リッド20が閉位置から基材10に対して開位置に向けて開動作する。このリッド20の開動作の開始直後には、リッド20の係合凸部42が基材10の係合凹部41の凹溝部41aから引き出されるので、係合凸部42と係合凹部41との係合が解除される。
【0038】
また、リッド20が開位置に達した後に所定の閉操作が行われると、開閉機構30がリッド20を閉動作させる動力を発生する。かかる動力が発生すると、リッド20が開位置から基材10に対して閉位置に向けて閉動作する。このリッド20の閉動作の終了直前には、リッド20の係合凸部42が基材10の係合凹部41の凹溝部41aに挿入されて嵌りその係合凹部41のリブ43に係合する。かかる係合が生じると、リッド20が基材10に対して少なくとも上下方向Zに位置決めされる。
【0039】
従って、リッド開閉装置1においては、リッド20が開閉機構30により基材10に対して開閉動作する際に、基材10の係合凹部41とリッド20の係合凸部42とを係合させ或いはその係合を解除させることができる。
【0040】
そして、リッド開閉装置1において、基材10の係合凹部41とリッド20の係合凸部42との係合は、係合凹部41のリブ43の先端と係合凸部42の外面との係合により実現される。この係合構造によれば、係合凹部41と係合凸部42との係合状態で両者が接する面積或いは面同士が近接する箇所の面積を縮小することができる。このため、係合凹部41と係合凸部42との間に溜まる水を凍結し難くし、或いは、その水が凍結したとしてもその凍結領域を狭い範囲に抑えることができる。
【0041】
従って、リッド開閉装置1によれば、リッド20の閉位置で基材10とリッド20とが氷結により固着するのを防止することができ、仮にその固着が生じたとしても小さい力でリッド20を基材10に対して開動作させることができる。
【0042】
また、リッド開閉装置1において、リブ43は、下壁面41bdから上方に突出して延びているが、係合凹部41の下壁面41bdは、リッド20の閉位置で水平に対して傾斜している。この傾斜構造によれば、下壁面41bdに水が進入したとしても、その水は下壁面41bdの上側から下側に流れてその下端(手前側)から外部に排出される。このため、下壁面41bdに水を溜まり難くすることができ、下壁面41bdに多量の水が溜まることに伴う係合凹部41と係合凸部42との間の水が凍結したときの凍結領域の拡大を抑えることができる。従って、リッド閉位置での基材10とリッド20との氷結に伴う固着の防止性能を向上させることができる。
【0043】
上記の如く下壁面41bdの下端から外部に排出された水は、収容空間13の下部に向けて落下する。この落下した水が収容空間13に溜まるのは、供給口3への水の進入を防ぐうえで好ましくない。そこで、収容空間13から外部へ水が排出されるように基材10における収容空間13の下部(特に最下端)に水の抜け穴16(
図3参照)を設けることが好適であり、更に、その収容空間13の下部に水が集まり易くなるように水の通路を設けることが好適である。
【0044】
ところで、上記の実施形態においては、位置決め部40の係合凹部41が基材10に凹状に設けられており、係合凸部42がリッド20に凸状に設けられている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、位置決め部40の係合凹部41がリッド20に凹状に設けられ、係合凸部42が基材10に凸状に設けられる構成に適用することとしてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態においては、係合凹部41が、リッド20の閉位置で上下方向Zに延びるリブ43を有する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図8に示す如く、係合凸部42が、リッド20の閉位置で上下方向Zに延びるリブ43を有する構成に適用することとしてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態においては、リブ43が係合凹部41の下壁面41bdから上方に延びており、係合凸部42の下面がそのリブ43の先端(具体的には、上端)に係合している。すなわち、係合凹部41と係合凸部42との間でのリブ43の係合が係合凸部42の下側でのみ行われている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、係合凹部41と係合凸部42との間でのリブ43の係合が係合凸部42の上側でのみ或いは右側でのみ行われる構成や下側と上側と右側との何れか二つ以上で行われる構成に適用することとしてもよい。尚、この変形形態は、リブ43が係合凸部42の下面から下方に延びて、係合凹部41の下壁面41bdがそのリブ43の先端(具体的には、下端)に係合する構成に適用することとしてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態においては、リブ43が、基材10の位置決め部40をなす係合凹部41の下壁面41bdから上方に突出して延びており、その下壁面41bdに一体形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、リブ43が、基材10の係合凹部41よりも奥側に位置する底壁部11或いは奥壁部から手前側に突出して延びており、その底壁部11或いはその奥壁部に一体形成されていてもよい。この構造においては、リブ43の下端と下壁面41bdとの間に隙間が形成されていてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態においては、
図3、
図5、及び
図7に示す如く、係合凸部42が断面四角状に形成されており、係合凸部42の上面が平面状である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、係合凸部42の上面が、その高さ位置が左右方向Yで変化するように凸状や山状に上方に盛り上げっていてもよい。この変形形態によれば、係合凸部42の上面に水が進入してもその水がその係合凸部42の上面に溜まり難くなるので、係合凸部42の上面と係合凹部41との氷結による固着を防止することが可能となる。
【0049】
また、上記の実施形態においては、係合凹部41の下壁面41bdがリッド20の閉位置で係合凹部41の奥側から手前側にかけて下方に傾斜し、リブ43がリッド20の閉位置で上下方向に延びつつ係合凹部41の奥側から手前側に向けて延びるように板状に形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、係合凹部41の下壁面41bdがリッド20の閉位置で係合凹部41の左右方向Yに傾斜し、リブ43がリッド20の閉位置で上下方向に延びつつ係合凹部41の左右方向Yに延びるように板状に形成される構成に適用することとしてもよい。
【0050】
この変形形態の傾斜構造においても、下壁面41bdに水が進入したとしても、その水は下壁面41bdの上側から下側に流れてその下端(右端或いは左端)から外部に排出される。このため、下壁面41bdに水を溜まり難くすることができ、下壁面41bdに多量の水が溜まることに伴う係合凹部41と係合凸部42との間の水が凍結したときの凍結領域の拡大を抑えることができる。従って、リッド閉位置での基材10とリッド20との氷結に伴う固着の防止性能を向上させることができる。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。また、本明細書は、出願当初に各請求項に記載された引用関係で示される技術思想を開示するだけでなく、各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0052】
1:リッド開閉装置、10:基材、13:収容空間、14:開口部、20:リッド、30:開閉機構、40:位置決め部、41:係合凹部、41a:凹溝部、41b:周縁壁部、41bu:上壁面、41bd:下壁面、41bs:側壁面、42:係合凸部、43:リブ。